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インターロイキン-22

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
IL22
PDBに登録とうろくされている構造こうぞう
PDBオルソログ検索けんさく: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧いちらん

1M4R, 1YKB, 3DGC, 3DLQ, 3G9V, 3Q1S

識別子しきべつし
記号きごうIL22, IL-21, IL-22, IL-D110, IL-TIF, ILTIF, TIFIL-23, TIFa, zcyto18, interleukin 22
外部がいぶIDOMIM: 605330 MGI: 1355307 HomoloGene: 9669 GeneCards: IL22
遺伝子いでんし位置いち (ヒト)
12番染色体 (ヒト)
染色せんしょくたい12ばん染色せんしょくたい (ヒト)[1]
12番染色体 (ヒト)
IL22遺伝子の位置
IL22遺伝子の位置
バンドデータ開始かいしてん68,248,242 bp[1]
終点しゅうてん68,253,604 bp[1]
遺伝子いでんし位置いち (マウス)
10番染色体 (マウス)
染色せんしょくたい10ばん染色せんしょくたい (マウス)[2]
10番染色体 (マウス)
IL22遺伝子の位置
IL22遺伝子の位置
バンドデータ開始かいしてん118,040,847 bp[2]
終点しゅうてん118,045,952 bp[2]
遺伝子いでんしオントロジー
分子ぶんし機能きのう 血漿けっしょうタンパク結合けつごう
interleukin-22 receptor binding
cytokine activity
細胞さいぼう構成こうせい要素ようそ 細胞さいぼうがい空間くうかん
細胞さいぼうがい領域りょういき
生物せいぶつがくてきプロセス とうしつコルチコイドへの反応はんのう
acute-phase response
炎症えんしょう反応はんのう
regulation of signaling receptor activity
サイトカイン媒介ばいかいシグナル伝達でんたつ経路けいろ
出典しゅってん:Amigo / QuickGO
オルソログ
たねヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_020525

NM_016971

RefSeq
(タンパク質たんぱくしつ)

NP_065386

NP_058667

場所ばしょ
(UCSC)
Chr 12: 68.25 – 68.25 MbChr 12: 118.04 – 118.05 Mb
PubMed検索けんさく[3][4]
ウィキデータ
閲覧えつらん/編集へんしゅう ヒト閲覧えつらん/編集へんしゅう マウス

インターロイキン-22えい: interleukin-22略称りゃくしょう: IL-22)は、ヒトではIL22遺伝子いでんしにコードされるタンパク質たんぱくしつである[5][6]

構造こうぞう

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IL-22はαあるふぁヘリックス構成こうせいされるサイトカインである。IL-22は、IL10RB英語えいごばんIL22R1英語えいごばんサブユニットからなるヘテロりょう体型たいけい細胞さいぼう表面ひょうめん受容じゅようたい(IL-22受容じゅようたい、IL-22R)に結合けつごうする[7]。IL-22Rは組織そしき細胞さいぼう発現はつげんしており、免疫めんえき細胞さいぼうでは発現はつげんしていない[8]

IL-22のN-結合けつごうがたグリコシル部位ぶい除去じょきょした変異へんいたいこう親和しんわせい可溶性かようせい受容じゅようたいsIL22R1との結晶けっしょうおこなわれている。結晶けっしょうがくてき非対称ひたいしょう単位たんいには、2つのIL-22-sIL22R1ふく合体がったいふくまれていた[7]

機能きのう

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IL-22は炎症えんしょう部位ぶいにおいて、いくつかの免疫めんえき細胞さいぼう集団しゅうだんによってさんされる。αあるふぁβべーたT細胞さいぼうTh1、Th22、Th17くわえて、γがんまδでるたT細胞さいぼうNKT細胞さいぼうILC3英語えいごばんこうちゅうだまマクロファージがIL-22のさんせいおこなう。IL-22は造血ぞうけつけい細胞さいぼうおもあいだしつ細胞さいぼう上皮じょうひ細胞さいぼう影響えいきょうあたえる。IL-22の影響えいきょうとしては、細胞さいぼう生存せいぞん増殖ぞうしょくこう微生物びせいぶつ作用さようしめ因子いんしS100英語えいごばん、Reg3βべーたReg3γがんま英語えいごばんディフェンシンなど)の合成ごうせい刺激しげきがあげられる。このように、IL-22は創傷そうしょう治癒ちゆ微生物びせいぶつたいする防御ぼうぎょ双方そうほう関与かんよしている[9]。IL-22の調節ちょうせつ異常いじょうは、全身ぜんしんせいエリテマトーデス関節かんせつリウマチ乾癬かんせんなど、いくつかの自己じこ免疫めんえき疾患しっかん病因びょういん関与かんよしている[10]

IL-22の生物せいぶつがくてき活性かっせいは、IL22R1とIL10R2からなる細胞さいぼう表面ひょうめんふく合体がったいIL-22Rへの結合けつごうによって開始かいしされ、さらに可溶性かようせい結合けつごうタンパク質たんぱくしつIL-22BP英語えいごばんとの相互そうご作用さようによっても調節ちょうせつされる。IL-22BPはIL22R1の細胞さいぼうがい領域りょういき(sIL22R1)との配列はいれつ類似るいじせいしめす。IL22R1とIL10R2は細胞さいぼう標的ひょうてきシグナル伝達でんたつ関与かんよし、免疫めんえき応答おうとう選択せんたくてき開始かいし調節ちょうせつする[7]。IL-22は免疫めんえき応答おうとう、S100、ディフェンシンの刺激しげきかいして免疫めんえき疾患しっかんにも寄与きよする。またIL-22は、IL-10同様どうように、肝臓かんぞうかん細胞さいぼうはいちょう上皮じょうひ細胞さいぼう生存せいぞん促進そくしんする[11]一部いちぶ条件下じょうけんかでは、IL-22の炎症えんしょう促進そくしん機能きのう組織そしき保護ほご機能きのうは、しばしばきょう発現はつげんしているサイトカインIL17A英語えいごばんによって調節ちょうせつされる[12]。IL-22を阻害そがいすることにより、視神経ししんけいくじけ滅後めつご網膜もうまく神経しんけい細胞さいぼうじくさく再生さいせい促進そくしんする可能かのうせいがある[13]

標的ひょうてき組織そしき

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IL-22の標的ひょうてきおも造血ぞうけつけい細胞さいぼうであり、肝臓かんぞうはい皮膚ひふ胸腺きょうせん膵臓すいぞう腎臓じんぞう消化しょうかかんすべりまく心臓しんぞう乳房ちぶさ脂肪しぼう組織そしき上皮じょうひ細胞さいぼうあいだしつ細胞さいぼう標的ひょうてきとなる[9]

シグナル伝達でんたつ

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IL-22はIL-10ファミリーまたはIL-10スーパーファミリーとばれるサイトカインのグループにぞくする。このグループにはIL-19英語えいごばんIL-20英語えいごばんIL-24英語えいごばんIL-26英語えいごばんなどがふくまれ[14]細胞さいぼう炎症えんしょう応答おうとう強力きょうりょくなメディエーターである。IL-22の細胞さいぼうシグナル伝達でんたつにはIL10R2が利用りようされ、これはこのファミリーのほかのメンバーであるIL-10、IL-26、IL-28英語えいごばんIL-29英語えいごばん共通きょうつうである[15]

さんせい調節ちょうせつ

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IL-22のさんせいおもIL-23受容じゅようたいシグナルによって誘導ゆうどうされる。IL-23はじょう細胞さいぼうにおいて、特定とくていTollさま受容じゅようたいによるリガンド認識にんしきとくDectin-1英語えいごばんまたはNOD2英語えいごばんシグナルとのわせによってさんされる。IL-1βべーたもIL-22のさんせい刺激しげきする。一方いっぽう、IL-22BPはIL-22の受容じゅようたい結合けつごう部位ぶい遮断しゃだんする可溶性かようせい阻害そがい因子いんしとなる[9]

出典しゅってん

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  1. ^ a b c GRCh38: Ensembl release 89: ENSG00000127318 - Ensembl, May 2017
  2. ^ a b c GRCm38: Ensembl release 89: ENSMUSG00000074695 - Ensembl, May 2017
  3. ^ Human PubMed Reference:
  4. ^ Mouse PubMed Reference:
  5. ^ “Human interleukin-10-related T cell-derived inducible factor: molecular cloning and functional characterization as an hepatocyte-stimulating factor”. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 97 (18): 10144–9. (August 2000). doi:10.1073/pnas.170291697. PMC 27764. PMID 10954742. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC27764/. 
  6. ^ “Interleukin (IL)-22, a novel human cytokine that signals through the interferon receptor-related proteins CRF2-4 and IL-22R”. The Journal of Biological Chemistry 275 (40): 31335–9. (October 2000). doi:10.1074/jbc.M005304200. PMID 10875937. 
  7. ^ a b c PDB: 3DGC​; “Structure of IL-22 bound to its high-affinity IL-22R1 chain”. Structure 16 (9): 1333–44. (September 2008). doi:10.1016/j.str.2008.06.005. PMC 2637415. PMID 18599299. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2637415/. 
  8. ^ “IL-22 increases the innate immunity of tissues”. Immunity 21 (2): 241–54. (August 2004). doi:10.1016/j.immuni.2004.07.007. PMID 15308104. 
  9. ^ a b c “Interleukin-22: immunobiology and pathology”. Annual Review of Immunology 33 (1): 747–85. (2015-03-21). doi:10.1146/annurev-immunol-032414-112123. PMC 4407497. PMID 25706098. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4407497/. 
  10. ^ “Emerging role of interleukin-22 in autoimmune diseases”. Cytokine & Growth Factor Reviews 24 (1): 51–7. (February 2013). doi:10.1016/j.cytogfr.2012.07.002. PMC 4003867. PMID 22906768. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4003867/. 
  11. ^ “Interleukin-10 and the interleukin-10 receptor”. Annual Review of Immunology 19: 683–765. (2001). doi:10.1146/annurev.immunol.19.1.683. PMID 11244051. .
  12. ^ “Pathological versus protective functions of IL-22 in airway inflammation are regulated by IL-17A”. The Journal of Experimental Medicine 207 (6): 1293–305. (June 2010). doi:10.1084/jem.20092054. PMC 2882840. PMID 20498020. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2882840/. 
  13. ^ “Optic nerve regeneration screen identifies multiple genes restricting adult neural repair”. Cell Reports 34 (9). (March 2021). PMC 8009559. PMID 33657370. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8009559/. 
  14. ^ “Interleukin-10 and related cytokines and receptors”. Annual Review of Immunology 22: 929–79. (2004). doi:10.1146/annurev.immunol.22.012703.104622. PMID 15032600. 
  15. ^ “IL-28A, IL-28B, and IL-29: promising cytokines with type I interferon-like properties”. Cytokine & Growth Factor Reviews 21 (4): 237–51. (August 2010). doi:10.1016/j.cytogfr.2010.04.002. PMID 20655797. 

関連かんれん文献ぶんけん

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