エアフルト会議かいぎ

エアフルト会議かいぎ（エアフルトかいぎ）は、1808年ねん 9月27日にちから10月14日にちにかけて、フランス皇帝こうていナポレオン1世せいとロシア皇帝こうていアレクサンドル1世せいの間あいだで開ひらかれた会談かいだん。前年ぜんねんに締結ていけつした第だい四よん次じ対たい仏ふつ大だい同盟どうめいの講和こうわ条約じょうやくであるティルジットの和わ約やくの内容ないようを再さい確認かくにんする内容ないようであった^[1]。

背景はいけい[編集へんしゅう]

ティルジット会議かいぎまでにナポレオンはアレクサンドル1世せいと会談かいだんして同盟どうめいを締結ていけつし、彼かれのナポレオン崇拝すうはい熱ねつを高たかめていた。しかし、エアフルト会議かいぎまでにロシア帝国ていこく宮廷きゅうていでは反はん仏ふつ感情かんじょうが高たかまり、にわか仕込じこみの同盟どうめいは危機ききに瀕ひんしていた。ナポレオンおよびジャン=バティスト・ノンペール・ド・シャンパニー外相がいしょう（英語えいご版ばん）は、スペイン問題もんだいを解決かいけつし、きたるべきオーストリアとの戦争せんそうに備そなえるために、仏ふつ露ろ同盟どうめいの再さい強化きょうかを図はかった。

このころ、ナポレオンに仕つかえながら王おう党派とうはや連合れんごう国こく側がわにも接近せっきんして二に重じゅうスパイを務つとめていたタレーランは、ひそかにロシア皇帝こうていアレクサンドル1世せいに接近せっきんし、フランスの要求ようきゅうに抵抗ていこうするよう助言じょげんした。

会議かいぎ[編集へんしゅう]

会談かいだんの開催かいさい地ちであるエアフルトの町まちは、当時とうじはエアフルト公国こうこく（英語えいご版ばん）としてフランス皇帝こうていナポレオンの直轄ちょっかつ地ちとして直接ちょくせつ統治とうちされていた。ナポレオンは会議かいぎの中なかで、アレクサンドル1世せいにフランス帝国ていこくの栄光えいこうを見みせつけることで、彼かれにフランスへの畏敬いけいの念ねんを抱いだかせようとした。会議かいぎは、ヨーロッパ中ちゅうの王おう、王子おうじ、公爵こうしゃく、男爵だんしゃく、名士めいしが華美かびな衣装いしょうで参加さんかするという素晴すばらしい会議かいぎとなった。また、フランスの俳優はいゆう・タルマの率ひきいるコメディ・フランセーズも参加さんかし、会議かいぎ開催かいさい期間きかんに16ものフランス悲劇ひげきを上演じょうえんした。あるいはドイツの文豪ぶんごうゲーテがナポレオンにはじめて拝謁はいえつしたのもこの時ときである。（ゲーテから強つよい影響えいきょうを受うけていたショーペンハウアーはこの会議かいぎに批判ひはん的てきだったため、ゲーテがナポレオンと会あったことに皮肉ひにくな目めを向むけている。）

この会議かいぎで締結ていけつされたエアフルト条約じょうやくは14項目こうもくからなり、イギリスに対たいしフランスとの継つぎ戦せんを中止ちゅうしするよう要求ようきゅうすること、スウェーデンの勢力せいりょく下かであったフィンランド大公たいこう国こくのロシアによる征服せいふくを承認しょうにんすること、フランスの対たいオーストリア戦争せんそうに際さいしロシアが最大限さいだいげんの援助えんじょを行おこなうことなどが約束やくそくされた。

会談かいだんを終おえた仏ふつ露ろ両りょう皇帝こうていは、10月14日にちに故郷こきょうに向むけて出発しゅっぱつした。半年はんとし後ご、この会談かいだんで想定そうていされていたフランス・オーストリア間あいだの戦争せんそうが始はじまり、アレクサンドル1世せいはロシア国内こくないの反はん仏ふつ感情かんじょうを抑おさえつつ、なんとかこの合意ごういに応こたえようとフランスを可能かのうな限かぎり援助えんじょした。ナポレオンがオーストリア皇女おうじょマリ・ルイーズと再婚さいこんすると対たいオーストリア戦争せんそうは終結しゅうけつを見みせたが、ロシアとの蜜月みつげつ関係かんけいは終焉しゅうえんを迎むかえた。仏ふつ露ろ両国りょうこくの最後さいごの首脳しゅのう会談かいだんがこのエアフルト会議かいぎであった。そして、1812年ねんまでにロシアは大陸たいりく封鎖ふうさ令れいに違反いはんし、ナポレオンのイギリスに対たいする経済けいざい戦争せんそうの障害しょうがいとなった。ロシア宮廷きゅうていにおける反はん仏ふつ感情かんじょうはピークに達たっし、国防こくぼう費ひは増額ぞうがくされポーランド侵攻しんこうに備そなえて軍隊ぐんたいが国境こっきょうに配備はいびされた。ナポレオンは、大軍たいぐんによる先制せんせい攻撃こうげきでロシアを屈服くっぷくさせようとロシア遠征えんせいを試こころみたが失敗しっぱいに終おわった。