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エチオナミド

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エチオナミド
IUPAC命名めいめいほうによる物質ぶっしつめい
臨床りんしょうデータ
販売はんばいめい Trecator, others
Drugs.com monograph
MedlinePlus a682402
胎児たいじ危険きけん分類ぶんるい
  • US: C
法的ほうてき規制きせい
投与とうよ経路けいろ by mouth
薬物やくぶつ動態どうたいデータ
血漿けっしょうタンパク結合けつごう~30%
半減はんげん2 to 3 hours
識別しきべつ
CAS番号ばんごう
536-33-4 チェック
ATCコード J04AD03 (WHO)
PubChem CID: 2761171
DrugBank DB00609 チェック
ChemSpider 2041901 チェック
UNII OAY8ORS3CQ チェック
KEGG D00591  チェック
ChEBI CHEBI:4885 チェック
ChEMBL CHEMBL1441 チェック
化学かがくてきデータ
化学かがくしきC8H10N2S
分子ぶんしりょう166.244 g/mol
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エチオナミド (Ethionamide) は結核けっかく治療ちりょうもちいられる抗生こうせい物質ぶっしつである[2]具体ぐたいてきにはそのこう結核けっかくやくとも活性かっせいざいたいせい肺結核はいけっかく治療ちりょうもちいられる[2]ハンセン病はんせんびょう治療ちりょうやくとしてはもはや推奨すいしょうされていない[3][2]投与とうよほう経口けいこうである[2]

エチオナミドの副作用ふくさようかくりつたか[4]一般いっぱんてき副作用ふくさよう下痢げり腹痛はらいた食欲しょくよく不振ふしんがあげられる。重度じゅうど副作用ふくさよう肝臓かんぞう炎症えんしょううつびょうがあげられる[2]肝臓かんぞう問題もんだいのある患者かんじゃへの投与とうよけるべきである。妊娠にんしんなか患者かんじゃへの投与とうよ推奨すいしょうされておらず安全あんぜんせい明確めいかくである[2]。エチオナミドはチオアミドぞくする医薬品いやくひんである。作用さようじょミコールさん使用しよう阻害そがいすることによるものだとかんがえられる[5]

エチオナミドは1956ねん発見はっけんされ、アメリカでは1965ねん医薬品いやくひんとして承認しょうにんされた[5][2]世界せかい保健ほけん機関きかん必須ひっす医薬品いやくひんリスト掲載けいさいされるもっと効果こうかてき安全あんぜん医療いりょう制度せいど必要ひつようとされる医薬品いやくひんである[6]開発途上国かいはつとじょうこくでのおろし価格かかくは1かげつぶんやく$5.94~$24.12あめりかドルである[7]

効能こうのう効果こうか[編集へんしゅう]

こう結核けっかくやく併用へいよう

エチオナミドは、活動かつどうせい結核けっかく治療ちりょうやくとして、こう結核けっかくやくとの併用へいよう使用しようされる[8]

エチオナミドは、食事しょくじ有無うむにかかわらず、経口けいこうでよく吸収きゅうしゅうされるが、しのぶひろしせいたかめるために食事しょくじ一緒いっしょ投与とうよされることがおお[9][10]。エチオナミドは、血液けつえきのう関門かんもん通過つうかし、のう脊髄せきずいえきなか血漿けっしょう同等どうとう濃度のうどたっする[10]

エチオナミドの抗菌こうきんスペクトルには、M. tuberculosisM.bovis英語えいごばんM.segmatisふくまれる[11]。また、M. leprae英語えいごばん[12]M. avium英語えいごばん[13]M. kansasii英語えいごばん[8]などの結核けっかくせいマイコバクテリア英語えいごばん感染かんせんたいしてもまれに使用しようされる。イソニアジド同様どうよう作用さようち、両者りょうしゃともにプロドラッグでありながらことなる経路けいろ活性かっせいされるため、交差こうさたいせいは13%の菌株きんしゅにしかられない[14]たいせいは、くすり活性かっせい必要ひつようなethAや、ethAを抑制よくせいするために過剰かじょう発現はつげんするethRの変異へんいによってしょうじる。また、inhAやinhAのプロモーターに変異へんいがあると、結合けつごう部位ぶい変化へんか過剰かじょう発現はつげんによりたいせいしょうじる[4]

動物どうぶつ実験じっけん先天せんてんせい障害しょうがいこしたことから、FDA妊娠にんしんカテゴリーCに分類ぶんるいしている[1][15]。エチオナミドが母乳ぼにゅうちゅう排泄はいせつされるかかは不明ふめいである[8]

副作用ふくさよう[編集へんしゅう]

重大じゅうだい副作用ふくさようは、げきしょう肝炎かんえん急性きゅうせい肝炎かんえんなどのおもあつかん障害しょうがいである[16]

エチオナミドは、しばしば嘔吐おうとなどの胃腸いちょう障害しょうがいこし、患者かんじゃ服用ふくよう中止ちゅうしする原因げんいんとなる[10]。 この症状しょうじょうは、食事しょくじ一緒いっしょ服用ふくようすることで改善かいぜんする場合ばあいがある[8]

エチオナミドはかん細胞さいぼう毒性どくせいこす可能かのうせいがあり、重度じゅうどかん機能きのう障害しょうがいゆうする患者かんじゃには禁忌きんきとされている[よう出典しゅってん]。エチオナミドを使用しようしている患者かんじゃは、きも機能きのう検査けんさ定期ていきてきにモニタリングする必要ひつようがある[8]きも毒性どくせい患者かんじゃ最大さいだい5%に発生はっせいし、イソニアジド同様どうようのパターンをたどり、通常つうじょう治療ちりょう開始かいし1~3カ月かげつ発生はっせいするが、治療ちりょう開始かいし6カ月かげつ以上いじょう経過けいかしても発生はっせいする可能かのうせいがある[17]きも機能きのう検査けんさ異常いじょうのパターンは、おおくの場合ばあいALTAST上昇じょうしょうである[17]

精神せいしん障害しょうがい脳症のうしょうなどの中枢ちゅうすう神経しんけいけい副作用ふくさよう、および末梢まっしょう神経しんけい障害しょうがい報告ほうこくされている[8][13]。 エチオナミドと一緒いっしょピリドキシン投与とうよすることで、これらの作用さよう軽減けいげんできる可能かのうせいがあり、推奨すいしょうされる[8]

エチオナミドは、甲状腺こうじょうせんホルモン合成ごうせい阻害そがいするために使用しようされるメチマゾール構造こうぞうてき類似るいじしており、何人なんにんかの結核けっかく患者かんじゃにおいて甲状腺こうじょうせん機能きのう低下ていかしょうとの関連かんれん指摘してきされている[18]。エチオナミド投与とうよちゅうは、甲状腺こうじょうせん機能きのう定期ていきてきにモニタリングすることが推奨すいしょうされる[8]

相互そうご作用さよう[編集へんしゅう]

エチオナミドは、同時どうじ服用ふくようしているほかこう結核けっかくやく副作用ふくさよう悪化あっかさせる可能かのうせいがある。一緒いっしょ服用ふくようするとイソニアジドの濃度のうどたかめ、末梢まっしょう神経しんけい障害しょうがいかん毒性どくせい発生はっせいりつたかくなる可能かのうせいがある[8]サイクロセリンとの併用へいようでは、痙攣けいれん報告ほうこくされている。リファンピシンとの併用へいようにより、高率こうりつかん毒性どくせい報告ほうこくされている[8]米国べいこく添付てんぷ文書ぶんしょでは、精神病せいしんびょう反応はんのう誘発ゆうはつする可能かのうせいがあるため、アルコールの過剰かじょう摂取せっしゅ注意ちゅうい喚起かんきされている[1]

作用さようじょ[編集へんしゅう]

エチオナミドは、結核けっかくきんモノオキシゲナーゼであるethAという酵素こうそによって活性かっせいされ、NAD+と結合けつごうして付加ふかたい英語えいごばん形成けいせいし、イソニアジド同様どうようにinhAを阻害そがいするプロドラッグである[19]作用さようじょとしては、ミコールさん破壊はかいによるものとかんがえられている[5][20]

ethA遺伝子いでんし発現はつげんは、転写てんしゃ抑制よくせい因子いんしであるethRによって制御せいぎょされている。ethAの発現はつげん改善かいぜんすることでエチオナミドの有効ゆうこうせいたかまるとかんがえられており、ethR阻害そがいざい併用へいようやくとしてもちいることが医薬品いやくひん開発かいはつしゃ関心かんしんあつめている[4]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c Trecator- ethionamide tablet, film coated”. DailyMed (2020ねん5がつ20日はつか). 2020ねん7がつ28にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c d e f g Ethionamide”. The American Society of Health-System Pharmacists. 2016ねん12月20にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2016ねん12月8にち閲覧えつらん
  3. ^ Standard Chemotherapy”. www.hrsa.gov. 2016ねん12月20にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2016ねん12月15にち閲覧えつらん
  4. ^ a b c Wolff, Kerstin A.; Nguyen, Liem (2012-09-01). “Strategies for potentiation of ethionamide and folate antagonists against Mycobacterium tuberculosis”. Expert Review of Anti-infective Therapy 10 (9): 971–981. doi:10.1586/eri.12.87. ISSN 1478-7210. PMC 3971469. PMID 23106273. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3971469/. 
  5. ^ a b c Ethionamide”. TB Online. Global Tuberculosis Community Advisory Board. 2013ねん9がつ14にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2012ねん8がつ18にち閲覧えつらん
  6. ^ WHO Model List of Essential Medicines (19th List)”. World Health Organization (2015ねん4がつ). 2016ねん12月13にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2016ねん12月8にち閲覧えつらん
  7. ^ Ethionamide”. International Drug Price Indicator Guide. 2016ねん12月8にち閲覧えつらん
  8. ^ a b c d e f g h i j Summary of Product Characteristics”. World Health Organization. 2016ねん3がつ5にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2016ねん12月14にち閲覧えつらん
  9. ^ Auclair, B.; Nix, D. E.; Adam, R. D.; James, G. T.; Peloquin, C. A. (2001). “Pharmacokinetics of Ethionamide Administered under Fasting Conditions or with Orange Juice, Food, or Antacids”. Antimicrobial Agents and Chemotherapy 45 (3): 810–4. doi:10.1128/AAC.45.3.810-814.2001. PMC 90379. PMID 11181366. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC90379/. 
  10. ^ a b c Bennett, John E.; Dolin, Raphael; Blaser, Martin; Mandell, Gerald L (2015). “38 - Antimycobacterial Agents”. Mandell, Douglas, and Bennett's principles and practice of infectious diseases. ISBN 978-0-323-40161-6. OCLC 889211235 
  11. ^ Rastogi, Nalin; Labrousse, Valérie; Goh, Khye Seng (1996). “In Vitro Activities of Fourteen Antimicrobial Agents Against Drug Susceptible and Resistant Clinical Isolates of Mycobacterium tuberculosis and Comparative Intracellular Activities Against the Virulent H37Rv Strain in Human Macrophages”. Current Microbiology 33 (3): 167–75. doi:10.1007/s002849900095. PMID 8672093. 
  12. ^ WHO Model Prescribing Information: Drugs Used in Mycobacterial Diseases: Leprosy: Ethionamide and protionamide”. apps.who.int. 2016ねん12月20にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2016ねん12月14にち閲覧えつらん
  13. ^ a b Bennett, John E.; Dolin, Raphael; Blaser, Martin; Douglas, R. Gordon (2015). “253 - Mycobacterium avium Complex”. Mandell, Douglas, and Bennett's principles and practice of infectious diseases. pp. 2832–2843.e3. ISBN 978-0-323-40161-6. OCLC 889211235 
  14. ^ Belardinelli, Juan M.; Morbidoni, Héctor R. (2013-04-01). “Recycling and refurbishing old antitubercular drugs: the encouraging case of inhibitors of mycolic acid biosynthesis”. Expert Review of Anti-infective Therapy 11 (4): 429–440. doi:10.1586/eri.13.24. ISSN 1478-7210. PMID 23566152. 
  15. ^ Ethionamide Use During Pregnancy”. Drugs.com. 2016ねん12月21にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2016ねん12月14にち閲覧えつらん
  16. ^ ツベルミンじょう100mg 添付てんぷ文書ぶんしょ”. www.info.pmda.go.jp. PMDA. 2021ねん6がつ6にち閲覧えつらん
  17. ^ a b Ethionamide”. livertox.nlm.nih.gov. 2016ねん12月24にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2016ねん12月14にち閲覧えつらん
  18. ^ McDonnell, Marie E.; Braverman, Lewis E.; Bernardo, John (2005). “Hypothyroidism Due to Ethionamide”. New England Journal of Medicine 352 (26): 2757–9. doi:10.1056/NEJM200506303522621. PMID 15987931. 
  19. ^ Vannelli, T. A.; Dykman, A.; Ortiz De Montellano, P. R. (2002). “The Antituberculosis Drug Ethionamide is Activated by a Flavoprotein Monooxygenase”. Journal of Biological Chemistry 277 (15): 12824–9. doi:10.1074/jbc.M110751200. PMID 11823459. 
  20. ^ Quemard, A; Laneelle, G; Lacave, C (1992). “Mycolic acid synthesis: A target for ethionamide in mycobacteria?”. Antimicrobial Agents and Chemotherapy 36 (6): 1316–21. doi:10.1128/aac.36.6.1316. PMC 190338. PMID 1416831. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC190338/.