エレーナ・コスチュチェンコ

エレーナ・コスチュチェンコ Елена Костюченко
イベントでエヴゲーニヤ・オットーと並ならんで座すわるエレーナ・コスチュチェンコ
生誕せいたん	(1987-07-25) 1987年ねん7月がつ25日にち（36歳さい） ロシア社会しゃかい主義しゅぎ連邦れんぽうソビエト共和きょうわ国こく、ヤロスラヴリ
国籍こくせき	ロシア
教育きょういく	モスクワ国立こくりつ大学だいがく
職業しょくぎょう	ジャーナリスト 活動かつどう家か

エレーナ・ゲナージエヴナ・コスチュチェンコ（ロシア語ご: Еле́на Генна́дьевна Костюче́нко、英語えいご: Elena Gennadyevna Kostyuchenko、1987年ねん9月25日にち-）は、ロシアのジャーナリスト・LGBTの権利けんり活動かつどう家か。新聞しんぶん社しゃノーヴァヤ・ガゼータの調査ちょうさ報道ほうどうを担当たんとう。現げんロシア連邦れんぽうヤロスヤヴリ出身しゅっしん。

2011年ねん、コスチュチェンコは記者きしゃとして初はじめてパンク・ロック・バンドのプッシー・ライオットやカザフスタンで発生はっせいしたジャナオゼン虐殺ぎゃくさつについて報ほうじた。彼女かのじょはまた、論議ろんぎを呼よんだヒムキの森もりを横断おうだんする12車線しゃせん高速こうそく道路どうろの建設けんせつ計画けいかくに対たいする反対はんたい運動うんどうを取材しゅざいし、ウクライナ東部とうぶのドネツク・ルガンスク両りょう共和きょうわ国こくにおけるロシア人じん戦闘せんとう員いんの存在そんざいを暴露ばくろした。

コスチュチェンコはこれまで、彼女かのじょのジャーナリズムと積極せっきょく的てき行動こうどうに対たいする報復ほうふくとして、襲撃しゅうげきや拘束こうそくを何なん度どか経験けいけんしている。

経歴けいれき

モスクワからほど遠とおくない街まち、ヤロスラヴリで生うまれ、16歳さいには同市どうしの地方ちほう紙しに勤務きんむしていた。彼女かのじょはのちに「ジャーナリストとして働はたらきはじめたときには、崇高すうこうな大志たいしをいだいていませんでした……ただ冬ふゆ用ようのバックル付つきブーツを買かいたかっただけなんです。私わたしの家族かぞくは貧乏びんぼうでした。6か月げつのあいだ学校がっこうの清掃せいそうをするか、それでなければ地方ちほう新聞しんぶんのためになにか書かくしか選択肢せんたくしがありませんでした。それで、地方ちほう新聞しんぶんでなにかを書かくことにしたんです」と語かたっている。その後ご、彼女かのじょは『ノヴァヤ・ガゼータ』紙しに掲載けいさいされたアンナ・ポリトコフスカヤによるチェチェン共和国ちぇちぇんきょうわこくに関かんする記事きじを読よむ。イギリスの新聞しんぶん『ガーディアン』は、『ノヴァヤ・ガゼータ』を「クレムリンの権力けんりょくに一貫いっかんして批判ひはん的てきな最後さいごの重要じゅうような出版しゅっぱん物ぶつ」であり、「他たのおおくのロシアのテレビや新聞しんぶんと違ちがい、プーチン[大統領だいとうりょう]の指図さしずに従したがわない、真しんのジャーナリズムに打うち込こんでいる新聞しんぶん」と評ひょうした。ポリトコフスカヤの記事きじは、コスチュチェンコにとって驚おどろくべきものだった。彼女かのじょは「私わたしは驚おどろきました。このロシアという国くにと、この国くにで起おこっていること、そのすべてについて私わたしが誤解ごかいしていたことに気付きづきました」と語かたっている。

コスチュチェンコはモスクワへと移うつり住すみ、モスクワ大学だいがくでジャーナリズムについて学まなび、17歳さいになるとノーヴァヤ・ガゼータ社しゃでインターンとして働はたらくようになった。正社員せいしゃいんとして働はたらくようになった彼女かのじょは、同どう新聞しんぶん社しゃ史上しじょう一番いちばん若わかいメンバーであった。コスチュチェンコは、ポリトコフスカヤが暗殺あんさつされた2006年ねん10月がつから2年ねん半はん後ご、当時とうじを振ふり返かえって次つぎのように語かたっている。「私わたしは、彼女かのじょが私わたしのアイドルだったことについて一いち度ども告つげていなかったことに気きづきました」。コスチュチェンコはまた、「職場しょくばに来きて、同僚どうりょうを見みて考かんがえる：次つぎはだれか？」と考かんがえるようになったため、今いまでは彼女かのじょの同僚どうりょう全員ぜんいんを讃たたえていると語かたった。

2011年ねんのゲイ・プライド・パレードにおいて、コスチュチェンコは殴打おうだされ、病院びょういんに搬送はんそうされた。 コスチュチェンコは、2011年ねん12月に起おきたジャオナゼン虐殺ぎゃくさつについての情報じょうほう封鎖ふうさを破やぶった最初さいしょのジャーナリストとなった。

ロシア下院かいんで同性愛どうせいあい宣伝せんでん禁止きんし法ほうの第だい一読いちどく会かいが行おこなわれた日ひの前日ぜんじつにあたる2013年ねん1月がつ24日にち、ティーホン・ジャトコと彼かれの兄弟きょうだいフィリップは、ドーシチの番組ばんぐみ「ジャトコ・スリー」において、コスチュチェンコにインタビューをおこなった。コスチュチェンコは同どう週しゅうの初はじめに参加さんかした「キスの日ひ」について論ろんじた。このアクションは、「異性愛者いせいあいしゃ、同性愛どうせいあい者しゃ、カップル、独身どくしん者しゃ、そして、大切たいせつな誰だれかがいる人ひとたちがいっしょに下院かいん議会ぎかいに行いき、キスする相手あいてがいない場合ばあいは隣となりに立たっている人ひとと抱だき合あう」というものだった。結果けっかとして、ロシア正教会せいきょうかいの活動かつどう家かや他たの人々ひとびとから参加さんか者しゃに対たいする暴力ぼうりょくが起おきた。「友人ゆうじんの2人ふたりが鼻はなを折おられました」と彼女かのじょは語かたった。「そして、私わたしのガールフレンドがめった打うちにされました」。彼女かのじょはデモについて尋たずねられ、「何なにかアクションを起おこすことは、ただ家かのなかで座すわり下院かいん議員ぎいんたちが私わたしたちのことを二に級きゅう市民しみんと宣言せんげんするのを待まつよりも、いつだって良よいことです」と答こたえた。彼女かのじょは「私わたしはロシアにおけるLGBT活動かつどうの中心ちゅうしんではありません。実際じっさい、私わたしはあまり活動かつどうをしていません――他たに多おおくの仕事しごとがあります。ただ、この1週間しゅうかんは、それに集中しゅうちゅうしています。なぜなら、私わたしの人生じんせいが長ながい間あいだ深刻しんこくな影響えいきょうを受うけることは明白めいはくであり、ロシアの何なん百ひゃく万まん人にんものゲイやレズビアンの人々ひとびとの人生じんせいも同様どうように影響えいきょうを受うけるからです」と強調きょうちょうした。

2013年ねん5月がつ、コスチュチェンコはモスクワで行おこなわれたゲイ・プライド集会しゅうかいに参加さんかした容疑ようぎにより拘束こうそくされた。 同年どうねん9月がつ、コスチュチェンコは、同性愛どうせいあいをアルコール依存いぞん症しょうや薬物やくぶつ乱用らんようと同等どうとうの扱あつかいとし、児童じどうをゲイの両親りょうしんから引ひき離はなす法案ほうあんに投票とうひょうした、クローゼットのロシアの政治せいじ家かたちを「暴露ばくろ」するとTwitter上じょうで脅迫きょうはくした。彼女かのじょはさらに「これは警告けいこくである。彼かれらは私わたしたちの人生じんせいを破壊はかいしようとしているが、私わたしたちは彼かれらを破壊はかいする」とツイートした。コスチュチェンコは、ロシアの国会こっかい議員ぎいんがおこなっている、公おおやけには知しられていない同性愛どうせいあいの行為こういを明あきらかにすることは、「核かく爆ばく弾だん」であり、「最後さいごの手段しゅだん」としてのみ使用しようすべきだとしていたが、ゲイやレズビアンの親おやから子供こどもを引ひき離はなす予定よていの法案ほうあんがすでに提出ていしゅつされていることを考慮こうりょして、「その時ときは来きた」と述のべた。彼女かのじょは、ロシア下院かいんで同どう法案ほうあんの第だい一読いちどく会かいを行おこなう日ひに、クローゼットの下院かいん議員ぎいんについての報告ほうこく書しょを公開こうかいすると約束やくそくした。

2014年ねん2月がつ、コスチュチェンコはモスクワの赤あかの広場ひろばでの抗議こうぎ活動かつどう中ちゅう、約やく10人にんのLGBT活動かつどう家かと共ともに逮捕たいほされた。ソチオリンピックの開会かいかい式しきが行おこなわれている間あいだ、彼かれらはレインボーフラッグを掲かかげながらロシアの国歌こっかを歌うたった。釈放しゃくほう後ご、コスチュチェンコは、警察けいさつが事前じぜんに彼女かのじょの電話でんわを盗聴とうちょうして抗議こうぎ活動かつどうを知しっており、待まち構かまえていたと疑うたがっていると述のべた。彼女かのじょは、抗議こうぎ活動かつどうの直前ちょくぜんに集会しゅうかい場所ばしょを変かえ、新あたらしい場所ばしょを電話でんわやテキストメッセージでのみ伝つたえたが、それらが傍受ぼうじゅされていたと信しんじていると語かたった。

2014年ねん6月がつ、コスチュチェンコは、ウクライナのドネツィク空港くうこうでの戦闘せんとう中ちゅうに死亡しぼうしたロシア民兵みんぺいの遺体いたいの帰国きこくをロシア当局とうきょくが隠蔽いんぺいしようとしていると報ほうじた。

2014年ねん11月、ラジオ・フリー・ヨーロッパは、ロシアのSNS、フコンタクテで活動かつどうする支援しえん団体だんたい「チルドレン・404」（ロシア語ごで「ヂェーチ-404」）について報ほうじ、同どうグループはLGBTの若者わかものに対たいして「安全あんぜんな仮想かそう空間くうかんを提供ていきょうする」ことを目指めざしていると説明せつめいした。コスチュチェンコはこれを「今こん現在げんざいのロシアのLGBTコミュニティにとって、最もっとも優すぐれ、最もっとも人道的じんどうてきなプロジェクト」と評価ひょうかし、新あらたなロシアの反はん同性愛どうせいあい「プロパガンダ」法ほうの下したでは「最もっとも脆弱ぜいじゃくな社会しゃかい集団しゅうだんはLGBTの若者わかものです」と述のべた。「この法律ほうりつによれば、LGBTの若者わかものは存在そんざいしない」と付つけ加くわえた。

2018年ねん、コスチュチェンコは、コロンビア大学ころんびあだいがくのハリマン研究所けんきゅうじょでポール・クレブニコフ・ロシア市民しみん社会しゃかいフェローを務つとめた。

ジャーナリズム観かん

コスチュチェンコは「もし我々われわれがニュー・ソーシャル・ジャーナリズムは目的もくてきを持もっていると言いえるのならば、その目的もくてきとはすべての人々ひとびとに声こえを与あたえることです」と語かたっている。彼女かのじょはまた、ロシア人じんは「我々われわれの国くに[ロシア]で何なにが起おきているのか全まったく知しりません……なぜなら、ローカル・メディアはおのおのの地方ちほう当局とうきょくによってほぼ完全かんぜんに破壊はかいされており、よって我々われわれロシア人じんはそれぞれの地域ちいきで何なにが起おきているのか知しらないからです」と、インタビューに答こたえている。コスチュチェンコはさらに、真しんに迫せまったテレビ報道ほうどうを行おこなう地方ちほう放送ほうそう局きょくの少すくなさについて不平ふへいをもらしつつ、ただインターネットのみが地方ちほうにおけるルポルタージュといえるものを幾いく分ふんか供給きょうきゅうしていると語かたっている。

受賞じゅしょう歴れき

• 2013年ねん5月がつ、ジャナオゼン抗議こうぎについてのルポータージュにより、カザフスタンで「自由じゆう」賞しょうが授与じゅよされた7人にんのうちの1人ひとりに選えらばれた。
• ノルウェーで、2013年ねんフリット・オルド賞しょう（フリー・ワード）を授与じゅよされた。
• コスチュチェンコは、2015年ねんオスロ・フリーダム・フォーラムで弁士べんしを務つとめた。
• 2015年ねん、欧州おうしゅう報道ほうどう賞しょうから優秀ゆうしゅう著作ちょさく賞しょうを授与じゅよされた。

外部がいぶリンク

• エレーナ・コスチュチェンコ『わたしの愛あいする国くに』 - 「ロシアの朝焼あさやけ」、高柳たかやなぎ聡子さとこによる翻訳ほんやく

関連かんれん項目こうもく

• 2014年ねんソチオリンピックとLGBT権利けんり抗議こうぎ活動かつどう
• チェチェンにおける同性愛どうせいあい者しゃ粛清しゅくせい