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ドンバス戦争せんそう

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ウクライナ紛争ふんそう (2014年ねん-) > 2014年ねんウクライナでの親しんロシア派は騒乱そうらん > ドンバス戦争せんそう
ドンバス戦争せんそう
2014年ねんウクライナでの親しんロシア派は騒乱そうらんとウクライナ紛争ふんそう (2014年ねん-)中なか

2016年ねん7月がつの軍事ぐんじ状況じょうきょう。ピンクはドネツク人民じんみん共和きょうわ国こくとルガンスク人民じんみん共和きょうわ国こくが実効じっこう支配しはいする地域ちいきを、クリーム色しょくはウクライナ共和きょうわ国こく政府せいふの統治とうちが及およぶ地域ちいきを強調きょうちょうしたもの。
時とき2014年ねん4月がつ6日にち (2014-04-06) - 現在げんざい
(10年ねん4ヶ月かげつ2週しゅう5日間にちかん)
場所ばしょウクライナ東部とうぶのドンバス地域ちいき
同国どうこくのドネツィク州しゅうとルハーンシク州しゅうを含ふくむ
現況げんきょう

膠着こうちゃく状態じょうたい

衝突しょうとつした勢力せいりょく
ウクライナの旗 ウクライナ ドネツク人民共和国の旗 ドネツク人民じんみん共和きょうわ国こく
ルガンスク人民共和国の旗 ルガンスク人民じんみん共和きょうわ国こく
ロシアの旗 ロシア連邦れんぽう[注釈ちゅうしゃく 1][1][2][3]
指揮しき官かん

ウォロディミル・ゼレンスキー
(2019-)
ペトロ・ポロシェンコ
(2014-2019)
オレクサンドル・トゥルチノフ
(2014)

パブロ・キリレンコ（英語えいご版ばん） （ドネツィク州しゅう知事ちじ、現職げんしょく）

セルヒー・ガイダイ（英語えいご版ばん） （ルハーンシク州しゅう知事ちじ、現職げんしょく）

デニス・プシーリン
(2018-)
A・ザハルチェンコ †
(2014-2018)
パベル・グバレフ（英語えいご版ばん）
(2014)
レオニード・パセチニク
(2017-)
イゴール・プロトニツキ（英語えいご版ばん）
(2014-2017)
ヴァレリー・ボロトフ（英語えいご版ばん）
(2014)

ウラジーミル・プーチン[注釈ちゅうしゃく 1]
部隊ぶたい

ウクライナ軍ぐん

ウクライナ保安庁ほあんちょう

ウクライナ内務省ないむしょう:

ウクライナ国家こっか国境こっきょう庁ちょう

親しん露ろ派は分離ぶんり主義しゅぎ勢力せいりょく:

ワグナー・グループ[7][8]

ロシア連邦れんぽう軍ぐん[注釈ちゅうしゃく 1]
ロシア連邦れんぽうの登録とうろくコサック[9]
チェチェン共和国の旗 チェチェン共和国ちぇちぇんきょうわこくのカディロフ一派いっぱ[10]
セルビアの傭兵ようへい[11]
戦力せんりょく
隊員たいいん64,000人にん[12] 戦闘せんとう員いん40,000 - 45,000人にん[13]
（ロシア志願しがん兵へい3,000-4,000人にん）[14]
正規せいきロシア兵へい1,000 - 2,000人にん（ウクライナとアメリカの推定すいてい値ち）[15][16]
被害ひがい者しゃ数すう
死者ししゃ 4,459人にん[17][18][19]
行方ゆくえ不明ふめい70人にん[20]
負傷ふしょう者しゃ9,500 - 10,500人にん[21]		 死者ししゃ5,670人にん[*][21][22]
負傷ふしょう者しゃ12,500 - 13,500人にん[21]
民間みんかん人じんの死者ししゃ3,367人にん（2016 - 2020年ねんで329人にん）[23]
総計そうけいで死者ししゃ13,000 - 13,200人にん、負傷ふしょう者しゃ29,000 - 31,000人にん[21]
141万まんのウクライナ人じんが国内こくない避難ひなん民みん、92.5万まん人にんが海外かいがい避難ひなん[24]
*  400 - 500人にんのロシア兵へい（アメリカ国務省こくむしょう、2015年ねん3月がつ）が含ふくまれる[25]

キエフ攻勢こうせい

北東ほくとう部ぶ攻勢こうせい

東部とうぶ攻勢こうせい

ドンバス攻勢こうせい

南部なんぶ攻勢こうせい

西部せいぶ空爆くうばく

海戦かいせん

ロシア本土ほんどへの攻撃こうげき

ドンバス戦争せんそう（ドンバスせんそう、ウクライナ語ご: Війна на Донбасі, ロシア語ご: Война в Донбассе, 英語えいご: War in Donbass）は、ウクライナ共和きょうわ国こく東部とうぶのドネツィク州しゅうとルハーンシク州しゅう、通称つうしょうドンバス地方ちほうで2014年ねんから続つづく、ロシア・ウクライナ戦争せんそう（クリミア危機きき・ウクライナ東部とうぶ紛争ふんそう）の一いち局面きょくめんとなる武力ぶりょく衝突しょうとつである。ウクライナ東部とうぶ戦争せんそう（ウクライナ語ご: Війна на сході України）とも。

尊厳そんげんの革命かくめいおよびユーロマイダン運動うんどうの余波よはで、2014年ねん3月がつ初旬しょじゅんからロシア連邦れんぽうを後うしろ盾たてとする反はんウクライナ政府せいふの分離ぶんり主義しゅぎグループが、ドネツィク州しゅうとルハーンシク州しゅうで抗議こうぎ行動こうどうを実施じっしした。これらのデモ活動かつどうはロシアによるクリミアの併合へいごう（2014年ねん2月がつ-3月がつ）を受うけてのもので、ウクライナ南部なんぶと東部とうぶにおよぶ広域こういきな親しん露ろ派はの同時どうじ抗議こうぎの一環いっかんだったが、これが激化げきかして「ドネツク人民じんみん共和きょうわ国こく」と「ルガンスク人民じんみん共和きょうわ国こく」を称しょうする分離ぶんり主義しゅぎ勢力せいりょくとウクライナ政府せいふ側がわとの武力ぶりょく衝突しょうとつに発展はってんした[26]。当初とうしょの抗議こうぎ行動こうどうは主おもにウクライナ政府せいふに対たいして不満ふまんを表明ひょうめいする国内こくない的てきなものだったが、ロシアが彼かれらを利用りようしてウクライナに対たいする組織そしき的てきな政治せいじ活動かつどうおよび軍事ぐんじ行動こうどうを開始かいししたとする見方みかたもある[27]。一方いっぽうで元もと諜報ちょうほう員いん等とうを称しょうする人物じんぶつらの証言しょうげん[28][29]から、自治じち権けんを定さだめたミンスク議定ぎてい書しょの履行りこうを要求ようきゅうする以外いがいに、ロシアは当事とうじ者しゃではなかったと親おや露ろ派はメディアは主張しゅちょうしている[30]。

停戦ていせん協定きょうていが結むすばれては協定きょうてい違反いはんの武力ぶりょく衝突しょうとつが繰くり返かえされており[31][32]、2021年ねん秋あきにはロシアがウクライナ国境こっきょうへの軍ぐんの集結しゅうけつを開始かいしし（ロシア・ウクライナ危機きき）、ドネツク人民じんみん共和きょうわ国こくとルガンスク人民じんみん共和きょうわ国こくを国家こっか承認しょうにんした上うえで2022年ねん2月がつ24日にちにはロシアがウクライナに侵攻しんこうした（現在げんざい進行しんこう中ちゅう）。

背景はいけい

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詳細しょうさいは「尊厳そんげんの革命かくめい」および「2014年ねんウクライナでの親しんロシア派は騒乱そうらん」を参照さんしょう
「ドネツク人民じんみん共和きょうわ国こく」および「ルガンスク人民じんみん共和きょうわ国こく」も参照さんしょう

2014年ねんにウクライナで起おきたマイダン革命かくめいで親しん露ろ派はだった大統領だいとうりょうのヴィクトル・ヤヌコーヴィチが失脚しっきゃくし、ロシアへ亡命ぼうめいした。これに反発はんぱつした親しん露ろ派はによる騒乱そうらんが起おきた。

ドネツィク州しゅう

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ドネツィクでの親しん露ろ派はによる抗議こうぎ運動うんどう（2014年ねん3月がつ9日にち）

ウクライナの東部とうぶおよび南部なんぶにいた親しん露ろ派はの抗議こうぎ者しゃたちは、2014年ねん3月がつ1日にちから6日にちまでドネツィク州しゅう庁舎ちょうしゃを占拠せんきょした[33]。その後ごウクライナ保安庁ほあんちょう（SBU）によって鎮圧ちんあつされた[33]。4月6日にち、1000-2000人にんがドネツィクでの集会しゅうかいに集あつまり、3月がつにクリミアで実施じっしされたものと同様どうようの住民じゅうみん投票とうひょうを要求ようきゅうした[34]。デモ隊たいは州しゅう庁舎ちょうしゃを襲撃しゅうげきして1-2階かいを占拠せんきょした。彼かれらは、同どう州しゅうの住民じゅうみん投票とうひょうを実施じっしするための特別とくべつ立法りっぽう会議かいぎが地域ちいき当局とうきょくによって開催かいさいされなかった場合ばあいは「人民じんみんの委任いにん」で地域ちいき政府せいふを統制とうせいし、現職げんしょくのあらゆる地方ちほう議会ぎかい議員ぎいんと国会こっかい議員ぎいんを解任かいにんすると述のべた[35]。これらの要求ようきゅうは満みたされなかったため、活動かつどう家かたちが州しゅう庁舎ちょうしゃで会議かいぎを開ひらいてウクライナからの独立どくりつを支持しじする評決ひょうけつを行おこなった。2014年ねん4月がつ7日にちに彼かれらはドネツク人民じんみん共和きょうわ国こく（DPR）を宣言せんげんした[36][注釈ちゅうしゃく 2]。

ルハーンシク州しゅう

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ルハーンシク州しゅうの暴動ぼうどうは4月がつ6日にちに始はじまり、ドネツィクおよびハルキウ市内しないでの同様どうようの占領せんりょうの後のちに、約やく1,000人にんの活動かつどう家かがルハーンシク市しにあるウクライナ保安庁ほあんちょう（SBU）の建物たてものを占拠せんきょした時ときだった[37]。デモ隊たいは建物たてものにバリケードを造つくり、逮捕たいほされた分離ぶんり主義しゅぎ者しゃの指導しどう者しゃ全員ぜんいんを釈放しゃくほうするよう要求ようきゅうした[37]。警察けいさつは建物たてものの支配しはいを奪回だっかいすることに成功せいこうしたが、デモ隊たいは「人民じんみんの議会ぎかい」を求もとめて建物たてものの外そとに再さい集結しゅうけつし、ロシアへの連邦れんぽう入いりまたは併合へいごうに向むけた「人民じんみん政府せいふ」を要請ようせいした[38]。この集会しゅうかいで、彼かれらはヴァレリー・ボロトフ（英語えいご版ばん）を「人民じんみん知事ちじ」の地位ちいに選出せんしゅつし[39]、2つの住民じゅうみん投票とうひょうが発表はっぴょうされた。1つ目めは5月11日にちの投票とうひょうで、この地域ちいきが何なんらかの形かたちを自治じちを模索もさくすべきか否ひかを判断はんだんするもの。2つ目めは5月18日にちの投票とうひょうで、この地域ちいきがロシア連邦れんぽうに参加さんかするべきか独立どくりつを宣言せんげんべきかを判断はんだんするものとして予定よていが組くまれた[40]。4月27日にちにルガンスク人民じんみん共和きょうわ国こく（LPR）が宣言せんげんされた[41][注釈ちゅうしゃく 3]。人民じんみん共和きょうわ国こくの議員ぎいん達たちは、ウクライナ政府せいふがすべての抗議こうぎ者しゃに恩赦おんしゃを与あたえてロシア語ごを公用こうよう語ごとして設置せっちし、地域ちいき状況じょうきょうの住民じゅうみん投票とうひょうを実施じっしするよう要求ようきゅうした[41]。彼かれらは、4月がつ29日にち14:00までにキエフ（ウクライナ政府せいふ）が要求ようきゅうを満みたさなければ、自分じぶん達たちはドネツク人民じんみん共和きょうわ国こくと並行へいこうして反乱はんらん蜂起ほうきする予定よていであるという趣旨しゅしの最後さいご通牒つうちょうを発布はっぷした[41]。

戦史せんし概要がいよう

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詳細しょうさいは「ドンバス戦争せんそうのタイムライン（英語えいご版ばん）」を参照さんしょう

2014年ねん4月がつ12日にち、所属しょぞく不明ふめいの分離ぶんり主義しゅぎ武装ぶそう勢力せいりょくがウクライナ内務省ないむしょうのドネツィク事務所じむしょを占拠せんきょ[42][43]し、2月がつ革命かくめい後のちに解散かいさんとなったベルクトの警官けいかんが分離ぶんり主義しゅぎ勢力せいりょくに加くわわった。ドネツク人民じんみん共和きょうわ国こくの宣言せんげん後ご、4月がつ14日にちまでに親しん露ろ派は武装ぶそう勢力せいりょくが同どう州しゅう内ないにある多おおくの都市とし[注釈ちゅうしゃく 4]で政府せいふ庁舎ちょうしゃを占拠せんきょした[44][45]。4月27日にちにはウクライナ国営こくえいテレビ（英語えいご版ばん）の地方ちほう局きょくが占領せんりょうされ[46]、武装ぶそう勢力せいりょくがロシアのテレビ番組ばんぐみを放送ほうそうするようになった。5月4日にちにはドネツィク市しの警察けいさつ本部ほんぶにドネツク人民じんみん共和きょうわ国こくの旗はたが掲かかげられた[47]。

騒動そうどう拡大かくだいへの対処たいしょとして、ウクライナ大統領だいとうりょう代行だいこうのオレクサンドル・トゥルチノフはドネツィク州しゅうの分離ぶんり主義しゅぎ運動うんどうに対たいして「対たいテロ作戦さくせん」を開始かいしすると表明ひょうめいした[48]。トゥルチノフは占拠せんきょされた庁舎ちょうしゃを奪還だっかんして「国くにの保護ほご下かに置おく」決定けってい書しょに署名しょめいし[49][50]、武器ぶきを置おいて投降とうこうしたデモ参加さんか者しゃには恩赦おんしゃを与あたえるとした[51]。

ドネツィクでは2014年ねん4月がつから8月がつにかけてロシア市民しみんが分離ぶんり独立どくりつ運動うんどうを主導しゅどうし、ロシアからの志願しがん者しゃや物資ぶっしによる支援しえんが行おこなわれていたとされる[52][53][54]。それらの分析ぶんせきによれば2014年ねん5月がつに紛争ふんそうが激化げきかする中なか、ロシアは「ハイブリッド戦略せんりゃく」を採用さいようし、ドンバス地域ちいきを情勢じょうせい不安ふあんに陥おとしいれるべく、非ひ正規せいき軍ぐん、正規まさきロシア軍ぐん、従来じゅうらいの軍事ぐんじ支援しえんを組くみ合あわせて情報じょうほう漏洩ろうえい戦術せんじゅつなども展開てんかいしたという[55][56][57]。NATOの監視かんしによれば、ロシアからの兵器へいきの供給きょうきゅうはOSCEの報告ほうこくに反はんして確認かくにんされていないのみならず、ロシア部隊ぶたいの痕跡こんせきをOSCEも認みとめていない。ウクライナ保安庁ほあんちょう（SBU）長官ちょうかんのヴァシル・フリツァク（英語えいご版ばん）が2015年ねん10月がつのドンバスで観測かんそくしたロシア人じん戦闘せんとう員いんは56人にんであった[58]。ウクライナ政府せいふによると、2014年ねん夏なつの紛争ふんそう最盛さいせい期きにはロシア系けい準じゅん軍事ぐんじ組織そしきが戦闘せんとう員いんの15%から80%を占しめていたとされる[54]。

2014年ねん4月がつ、ウクライナは「対たいテロ作戦さくせん (ATO)（ウクライナ語ご版ばん）[注釈ちゅうしゃく 5]」と呼よばれる親おや露ろ派はへの反撃はんげきを開始かいしした[59]:4[60]。この作戦さくせんは2014年ねん8月がつ下旬げじゅんまでに、親しん露ろ勢力せいりょくの支配しはい域いきを大幅おおはばに縮小しゅくしょうすることに成功せいこうし、ロシア-ウクライナ間あいだ国境こっきょうの統制とうせい奪還だっかんが間近まぢかとなった[61]。これに対たいしてロシアはハイブリッド戦略せんりゃくを放棄ほうきし、従来じゅうらいの方式ほうしきでドンバス侵攻しんこうを開始かいししたとアメリカはみなしている[61][62]。ランド研究所けんきゅうじょのレポートによれば2014年ねん8月がつ22日にちから25日にちにかけて、ロシア当局とうきょく側がわが「人道的じんどうてき支援しえんの車両しゃりょう部隊ぶたい（humanitarian convoy）」と称しょうした車列しゃれつがウクライナ政府せいふの許可きょかなしに国境こっきょうを越こえてウクライナ領土りょうどに入はいったとされる。これは、2022年ねん2月がつ24日にちまで一いち度どもドンバスにロシア軍ぐんがいたことはないというNATO関係かんけい者しゃの証言しょうげん[63]とは矛盾むじゅんする。この越境えっきょうは親しん露ろ勢力せいりょくの支配しはい域いきのほか、支配しはい下かでないドネツィク州しゅう南東なんとう部ぶなどの地域ちいきでも観測かんそくされた。これらの出来事できごとは、前月ぜんげつのロシア側がわからウクライナ地点ちてんへの越境えっきょう砲撃ほうげきが報道ほうどうされた後のちに起おこった[64][65]。ウクライナ保安庁ほあんちょう長官ちょうかんのバレンティン・ナリバイチェンコ（英語えいご版ばん）は8月がつ22日にちの出来事できごとを「ロシアによるウクライナへの直接的ちょくせつてき侵略しんりゃく」と特徴とくちょうづけて語かたり[66][67]、一方いっぽうで他たの西側にしがわ諸国しょこくとウクライナ当局とうきょく者しゃはこの出来事できごとをロシアによるウクライナへの「ステルス侵略しんりゃく」と表現ひょうげんした[65]。ドンバスにおけるロシア軍ぐんの存在そんざいに関かんしてロシアの公的こうてき機関きかんはウクライナでの「正規せいき武装ぶそう軍ぐん」の存在そんざいを否定ひていしているが、他たの婉曲えんきょく表現ひょうげんと共ともに「軍事ぐんじ専門せんもん家か」の存在そんざいは度々たびたび認みとめており、通常つうじょうはロシアが「ロシア語ご圏けんの人々ひとびとを守まもる」ために彼かれらを配備はいび「せざるを得えなかった」という議論ぎろんを伴ともなう[注釈ちゅうしゃく 6][69]。

この結果けっか、ドネツク人民じんみん共和きょうわ国こくとルガンスク人民じんみん共和きょうわ国こくは、以前いぜんにウクライナからの軍事ぐんじ攻撃こうげきで失うしなっていた支配しはい域いきの多おおくを奪回だっかいした。2014年ねん9月がつ5日にちにウクライナ、ロシア、ドネツク、ルカンスクの四よん者しゃは両りょう州しゅうの自治じちと停戦ていせんを確立かくりつする協定きょうてい「ミンスク議定ぎてい書しょ」に署名しょめいした[70]。しかし双方そうほうで停戦ていせん違反いはんが一般いっぱん的てきになった。停戦ていせん中ちゅうに親しん露ろ勢力せいりょくとウクライナ政府せいふが支配しはいする領土りょうど間あいだの境さかいが固かたまっていく中なか、ウォーロード（現げんウクライナの中央ちゅうおう政府せいふ）が親しん露ろ勢力せいりょく側がわの地域ちいき一帯いったいを支配しはいして、更さらなる不安定ふあんてい化かを招まねいた[71]。2015年ねん1月がつにこの停戦ていせんは完全かんぜんに崩壊ほうかいし、ドネツク国際こくさい空港くうこうやデバルツェボ（英語えいご版ばん）を含ふくむ紛争ふんそう地帯ちたい全域ぜんいきで激はげしい戦闘せんとうが再ふたたび起おこった。2015年ねん2月がつ12日にち、ウクライナ、ドネツク、ルカンスク、ロシア、ドイツ、フランスの六ろく者しゃは、16時じ間あいだに及およぶ徹夜てつやでの協議きょうぎの末すえ、ミンスク2を締結ていけつした。協定きょうていの署名しょめい直後ちょくご、分離ぶんり主義しゅぎ勢力せいりょくは（ミンスク2で境界きょうかいを策定さくていしなかった）デバルツェボに攻撃こうげきを開始かいしし、ウクライナ軍ぐんに撤退てったいを余儀よぎなくさせた。デバルツェボ陥落かんらく後ごの数ヶ月すうかげつ間あいだ、小競こぜり合あいが境界きょうかい沿ぞいで続つづいていたが、領土りょうどの変更へんこうは起おきなかった。この膠着こうちゃく状態じょうたいで、同どう戦争せんそうは「凍結とうけつされた紛争ふんそう（英語えいご版ばん）[注釈ちゅうしゃく 7]」[72]のレッテルが貼はられることになった。この地域ちいきは戦争せんそう地帯ちたいのままで、毎月まいつき数すう十じゅう人にんの兵士へいしや民間みんかん人じんが殺害さつがいされた[73]。2017年ねん、ウクライナ兵へいが戦闘せんとうで3日にちごとに平均へいきん1人にん死亡しぼうしていると報道ほうどうされ[74]、ウクライナ政府せいふによればロシア軍ぐんと分離ぶんり主義しゅぎ部隊ぶたいの数かずはそれぞれ6,000人にんと4万まん人にんということであった[75][76]。2017年ねん末まつまでに、欧州おうしゅう安全あんぜん保障ほしょう協力きょうりょく機構きこう（OSCE）の観測かんそく任務にんむは、監視かんしが許可きょかされたちょうど2つの国境こっきょう検問けんもん所しょで軍服ぐんぷくを着きた約やく3万まん人にんがロシアからドンバスに越境えっきょうする行動こうどうを把握はあくしていた[77][要よう出典しゅってん]。

紛争ふんそうが始はじまって以来いらい29回かいの停戦ていせんが行おこなわれ、それぞれが無む期限きげん発効はっこうを意図いとしたものだったが、どれも住民じゅうみんを襲おそう暴動ぼうどうを止とめることはできなかった[32][78]。最もっとも長ながく続つづいた停戦ていせんは、2016年ねんの6週間しゅうかんであった[78]。直近ちょっきんの停戦ていせんは2020年ねん7月がつ27日にちに発効はっこうしたもので、これによりウクライナ側がわの戦闘せんとう員いんは1カ月かげつ以上いじょうにわたり死者ししゃを出ださなかった[32]。

2019年ねん10月がつ1日にちにウクライナ、ロシア、ドネツク、ルカンスク、OSCEの五ご者しゃは、紛争ふんそう終結しゅうけつに向むけたロードマップに合意ごういした[79]。しかし2022年ねん時点じてんで、同どう紛争ふんそうの終結しゅうけつは見みえていない[31][32]。

主おもな戦闘せんとう

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民間みんかん人じんへの攻撃こうげき

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戦闘せんとう部隊ぶたい

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国内外こくないがいの軍隊ぐんたいがドンバスの紛争ふんそうに参加さんかしている。ロシアの正規せいき軍ぐんが関与かんよしているか否ひかは、西側にしがわ諸国しょこくとロシアとで見解けんかいの相違そういがある。欧州おうしゅう安全あんぜん保障ほしょう協力きょうりょく機構きこう（OSCE）の監視かんし団だんは、監視かんし地域ちいきのドネツクの施設しせつを警備けいびしていた男おとこが、自身じしんはロシア連邦れんぽうオレンブルグの第だい16空挺くうてい旅団りょだんに所属しょぞくしていると語かたり、識別しきべつ用ようの記章きしょうを身みに着つけていなかったことを報告ほうこくしている[80]。The Guardian紙かみは、英国えいこく王立おうりつ防衛ぼうえい安全あんぜん保障ほしょう研究所けんきゅうじょ（RUSI）により公表こうひょうされたレポートを紹介しょうかいし、2015年ねん初頭しょとうには117の戦闘せんとう・戦闘せんとう支援しえん部隊ぶたいから合計ごうけい4万まん2000人にんのロシア軍ぐんが関与かんよしており、ウクライナの前線ぜんせんに出入でいりしたり、ロシア国内こくないから砲撃ほうげきを注ちゅういだりしていると報ほうじた[81][82]。2015年ねん12月17日にち、ロシア大統領だいとうりょうのウラジーミル・プーチンはウクライナで拘束こうそくされたロシア連邦れんぽう軍ぐん参謀さんぼう本部ほんぶ情報じょうほう総局そうきょく（GRU）の工作こうさく員いんに関かんして、ロシアには「軍事ぐんじ分野ぶんやを含ふくめ（ウクライナで）様々さまざまな問題もんだいの解決かいけつに取とり組くむ人々ひとびとがいる」と述のべつつ「それは正規せいきのロシア軍ぐんがそこにいることを意味いみするものではない」と続つづけた。一般いっぱん的てきにこれは、軍ぐんの特殊とくしゅ部隊ぶたいがこの紛争ふんそうに関与かんよしたことをロシアが認みとめたものと受うけ取とられた[83]。OSCEのウクライナ特別とくべつ監視かんし団だんは、「貨物かもつ200便びん[注釈ちゅうしゃく 8]」と記しるされたロシア連邦れんぽう軍ぐんの「儀式ぎしき」車両しゃりょうが、監視かんし団だんが設置せっちされて以来いらい2018年ねん5月がつ時点じてんで24台だい以上いじょうがウクライナの親しん露ろ派は占領せんりょう地ち側がわからロシア側がわへ国境こっきょうを越こえたことを報告ほうこくした[84][85][86]。ドネツク人民じんみん共和きょうわ国こく首相しゅしょうのアレクサンドル・ボロダイ（英語えいご版ばん）によると、50,000人にんのロシア市民しみんが分離ぶんり主義しゅぎ勢力せいりょくのために戦たたかったとされる[87]。

2018年ねん2月がつ時点じてんで分離ぶんり主義しゅぎ勢力せいりょくの数かずは約やく31,000人にんと推定すいていされ、そのうち80%（25,000人にん）がドンバスの住民じゅうみん、15%（5,000人にん）がロシアや他国たこくからの軍事ぐんじ請負うけおい業者ぎょうしゃ、3%（900-1,000人にん）が正規せいきのロシア軍人ぐんじんであるとウクライナ当局とうきょくは見みている。この割合わりあいは前年ぜんねんから大幅おおはばに変化へんかしており、その主おもな理由りゆうとしては給与きゅうよ面めんから「徐々じょじょにロシア司令しれい部ぶが『共和きょうわ国こく』の軍隊ぐんたいを現地げんち民みんで補充ほじゅうしている」とし、ロシア軍ぐんは依然いぜんとして指揮しき官かんの地位ちいの大だい部分ぶぶんを占しめており、電子でんし戦せん装置そうちなどの高度こうどな兵器へいきを運用うんようしているという[88]。

反はんウクライナ政府せいふ側がわの分離ぶんり主義しゅぎ勢力せいりょく

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主おもな構成こうせいは以下いかのとおり。

このほかフランス、ドイツ、アメリカ、イタリア、ポーランド、ルーマニア、セルビア、スペイン、トルコなどからの志願しがん兵へいが反はん政府せいふ勢力せいりょく側がわで戦たたかっていたとの報告ほうこくがある[89][90][91]。また、少すくなくとも200人にんの反はん政府せいふ勢力せいりょくに与くみするセルビア人じん志願しがん兵へいがウクライナで戦闘せんとう中ちゅうである[92]。ドイツの新聞しんぶん『ヴェルト・アム・ソンタグ（英語えいご版ばん）』は、100人にん以上いじょうのドイツ国民こくみん[注釈ちゅうしゃく 9]がウクライナ東部とうぶで親しん露ろ派は勢力せいりょくと共ともに戦たたかっていると報ほうじた[93]。

ウクライナ政府せいふ側がわの勢力せいりょく

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主おもな構成こうせいは以下いかのとおり。

ウクライナ支持しじの志願しがん兵へい部隊ぶたい（英語えいご版ばん）が少すくなくとも50隊たいは結成けっせいされ、ドンバス人じん民兵みんぺい他たの反はん政府せいふ勢力せいりょくと戦たたかった[94]。ここにはドンバス大隊だいたい、アゾフ大隊だいたい、ハリコフ大隊だいたいなどが含ふくまれ[95]、一部いちぶの部隊ぶたいはウクライナ国家こっか親衛隊しんえいたいとの契約けいやくに基もとづいて行動こうどうする[96]。これら志願しがん部隊ぶたいは軍事ぐんじ行動こうどうに積極せっきょく参加さんかしており、その一部いちぶは右派うはセクターに属ぞくしている[97]。

主おもにベラルーシ、ジョージア、ロシアからの外国がいこく人じん兵士へいし（各国かっこくから約やく100人にん）が志願しがん兵へい大隊だいたいに加くわわっており[98][99][100][101][102]、同おなじくアメリカ、フランス、ドイツ、ノルウェー、スウェーデン、グルジア、ポーランド、スペイン、チェコ、イギリス、クロアチア、イタリア、カナダからも志願しがん者しゃが参加さんかしている[98]。

ロシアの関与かんよ

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詳細しょうさいは「ウクライナ紛争ふんそう (2014年ねん-)」および「ロシア・ウクライナ危機きき (2021年ねん-2022年ねん)」を参照さんしょう
反はん政府せいふ側がわが占拠せんきょしたドネツィク（2016年ねん）。ロシア国旗こっきが背景はいけいに映うつっている。

ドンバス戦争せんそうにおけるロシアの関与かんよは、2014年ねんの紛争ふんそう開始かいしより様々さまざまな形かたちで実施じっしされている。

ウクライナ南部なんぶおよび東部とうぶの当初とうしょの抗議こうぎ行動こうどうは、主おもにウクライナ暫定ざんてい政府せいふに対たいする国内こくない不満ふまんの表出ひょうしゅつだった[27]。この段階だんかいでのロシアの関与かんよはデモを支持しじする発言はつげんに限定げんていされ、ドネツィクとルハンーシクの分離ぶんり主義しゅぎ者しゃの出現しゅつげんは、ロシア支配しはいから独立どくりつした小ちいさな非ひ主流しゅりゅう派はの抗議こうぎ者しゃグループとして始はじまった[27][103]。しかしロシアはこれを利用りようし続つづけることになり、ウクライナ東部とうぶ紛争ふんそう拡大かくだいの一環いっかんとして反はんウクライナの組織そしき的てきな政治せいじ活動かつどうや軍事ぐんじ行動こうどうを開始かいしする[27][104]。ロシア大統領だいとうりょうのウラジーミル・プーチンは、ドンバスを歴史れきし的てきな「新しんロシア」(ノヴォロシア)地域ちいきの一部いちぶと説明せつめいしたことで分離ぶんり主義しゅぎ運動うんどうに正当せいとう性せいを与あたえる声明せいめいを出だした[105]。2014年ねん4月がつまでにロシア市民しみんは分離ぶんり主義しゅぎ運動うんどうを掌握しょうあくし、チェチェンやコサックの武装ぶそう勢力せいりょくを含ふくむロシアからのボランティアや資材しざいによって分離ぶんり主義しゅぎ運動うんどうが支援しえんされた[52][53][54][106]。ドネツク人民じんみん共和きょうわ国こく司令しれい官かんのイーゴリ・ギルキンによると、4月がつにこの支援しえんがなかったら、ハルキウやオデッサがそうなったように、この運動うんどうは徐々じょじょに消失しょうしつしてしまうはずだった[107]。2014年ねん5月がつに分離ぶんり主義しゅぎ派はとウクライナ政府せいふの対立たいりつが激化げきかするにつれ、ロシアは「ハイブリッド戦略せんりゃく」を採用さいようして、情報じょうほう漏洩ろうえい戦術せんじゅつ、非ひ正規せいきの戦闘せんとう員いん、正規まさきロシア軍ぐん、従来じゅうらいの軍事ぐんじ支援しえんを組くみ合あわせて実行じっこうし、分離ぶんり主義しゅぎ者しゃを支援しえんすると共ともにドンバス地域ちいきを情勢じょうせい不安ふあんに陥おとしいれた[55][56][57]。2014年ねん5月がつ下旬げじゅんの第だい一いち次じドネツク空港くうこうの戦たたかいがこの紛争ふんそうの転換てんかん点てんになり、これがロシアの志願しがん兵へいを大量たいりょうに巻まき込こんだ分離ぶんり主義しゅぎ者しゃとウクライナ政府せいふとの間あいだの最初さいしょの戦たたかいだった[108][109]:15。ウクライナ政府せいふによると、2014年ねん夏なつの紛争ふんそう最盛さいせい期きにはロシアの準じゅん軍事ぐんじ組織そしきが戦闘せんとう員いんの15-80%を占しめていたと報告ほうこくされた[54]。

2014年ねん8月がつまでに、ウクライナの「反はんテロ作戦さくせん（ATO）」は親しん露ろ勢力せいりょくの支配しはい下かにある地域ちいきを大幅おおはばに減へらすことに成功せいこうし、ロシア-ウクライナ間あいだ国境こっきょうの支配しはい奪還だっかんも間近まぢかとなった[61]。イーゴリ・ギルキンはロシアの軍事ぐんじ介入かいにゅうを促うながし、当方とうほうの非ひ正規せいき軍隊ぐんたいの戦闘せんとう経験けいけん不足ふそくにドネツク州しゅうでの現地げんち住民じゅうみんの兵士へいし採用さいようの難むずかしさが重かさなって撤退てったいが起おこったと述のべた。ギルキンはロシア大統領だいとうりょうのプーチンに宛あてて「ウラジーミル・プーチン大統領だいとうりょうが個人こじん的てきに新しんロシアと名付なづけた領土りょうどにおけるこの戦争せんそうに負まけることは、クレムリン（ロシア政府せいふ）の権力けんりょくや大統領だいとうりょうの権力けんりょくを損そこなわせるだろう」と述のべた[110]。ドンバスの状況じょうきょう悪化あっかへの対処たいしょで、ロシアはハイブリッド戦略せんりゃくを放棄ほうきして従来じゅうらいの地方ちほう侵攻しんこうを開始かいしした[61][62]。この侵攻しんこうの最初さいしょの兆候ちょうこうは、2014年ねん8月がつ25日にちのウクライナ保安庁ほあんちょう（SBU）によるウクライナ領土りょうどでの現役げんえきロシア空挺くうてい団だんの捕縛ほばくだった[111]。SBUが彼かれらの写真しゃしんと名前なまえを公開こうかいする[112]と、翌日よくじつにロシア国防省こくぼうしょうはこれらの兵士へいしが「偶然ぐうぜん」国境こっきょうを越こえてしまったと述のべた[113][114][115]。ニコライ・ミトロキンの推計すいけいによると、イロヴァイスクの戦たたかい中なかの2014年ねん8月がつ半なかばまでにドンバスの分離ぶんり主義しゅぎ20,000-25,000人にんの兵士へいしが戦闘せんとうを行おこない、うち「現地げんち民みん」は40-45%に過すぎなかったという[116]。

2014年ねん8月がつ27日にちから、ロシアから膨大ぼうだいな量りょうの軍事ぐんじ装備そうびと軍部ぐんぶ隊たいがドネツィク州しゅう南部なんぶ[注釈ちゅうしゃく 10]へと越境えっきょうしてきた。西側にしがわの当局とうきょく者しゃはこの新あらたな攻勢こうせいをロシア連邦れんぽうによる「ステルス侵略しんりゃく」と表現ひょうげんした。アメリカ国務省こくむしょう報道ほうどう官かんのジェン・サキは「これらの進攻しんこうはロシア主導しゅどうの反撃はんげきが実行じっこう中ちゅうである可能かのう性せいが高たかいことを示しめしている」と語かたり、ウクライナ大統領だいとうりょうのペトロ・ポロシェンコは「ロシア軍ぐんの侵攻しんこうが行おこなわれた」と発言はつげんした[65][117][118]。2014年ねん8月がつ28日にち、NATO司令しれい官かんのニコ・タクはロシア兵へい1,000人にんがドンバス紛争ふんそう地域ちいきで活動かつどうしていると発言はつげんした[119]。侵攻しんこうの前まえの週しゅうに、ロシアは国境こっきょうを越こえてウクライナの部隊ぶたいを砲撃ほうげきした[120]。ロシアからの越境えっきょう砲撃ほうげき（英語えいご版ばん）事案じあんは7月がつ中旬ちゅうじゅんから6週間しゅうかん報告ほうこくされ、その間あいだにロシアは40カ所かしょで53回かいの攻撃こうげきに出でて、ウクライナの軍事ぐんじ作戦さくせんに深刻しんこくな影響えいきょうを与あたえた[121][122][57]。当時とうじ、ロシア政府せいふ報道ほうどう官かんはドンバスへのロシア介入かいにゅうのあらゆる報道ほうどうを否定ひていした[123]が、戦争せんそう勃発ぼっぱつ前まえのドンバスでは分離ぶんり主義しゅぎへの支持しじが限定げんてい的てきであり、現地げんちの武装ぶそう蜂起ほうきを支持しじする証拠しょうこはほとんどなかった[124]。そのためウクライナによる紛争ふんそうの即時そくじ解決かいけつを妨さまたげていたのは、ロシアの介入かいにゅうだけだったとされている[125][126][127]。結果けっかとして、2014年ねん8月がつの侵攻しんこう中ちゅうにロシアはイーゴリ・ギルキンやアレクサンドル・ボロダイを含ふくむ分離ぶんり主義しゅぎ運動うんどうの強硬きょうこう指導しどう者しゃ達たちのすげ替かえも決定けっていした。この人事じんじ異動いどうはその後ごの侵攻しんこうと一緒いっしょに行おこなわれ、紛争ふんそうにおけるもう一ひとつの転換てんかん点てんを表あらわすものとなった。この直前ちょくぜんにあったドネツクとルガンスクの軍事ぐんじ的てき失策しっさくを考慮こうりょして、ロシアはドンバスにいる非ひ正規せいき戦闘せんとう員いんの寄よせ集あつめにはもはや頼たよれないと判断はんだんし、指導しどう者しゃ達たちの更迭こうてつを命めいじたとされている[128]。それは完全かんぜんには制御せいぎょできなかったロシア市民しみん主導しゅどうによる強硬きょうこうな分離ぶんり主義しゅぎ計画けいかくを放棄ほうきして、ウクライナ国内こくないでドンバスに特別とくべつな地位ちいを付与ふよしてもらう思考しこうへの変更へんこうであり、現地げんち採用さいようを基本きほんとする（ロシアの意向いこうに）従順じゅうじゅんなドネツク・ルガンスク司令しれい部ぶに置おき換かわった[129][130][131]。このことは、ウクライナにおけるロシアの利得りとくを増ふやす政治せいじ的てき口実こうじつとして軍事ぐんじ的てきに重要じゅうようでない現地げんちの親しん露ろ派は政治せいじ活動かつどう家かを登用とうようする、紛争ふんそうの「先住民せんじゅうみん化か」というロシアの試こころみを表あらわすものだった[116]。

ロシア軍ぐんとその装備そうびは第だい二に次じドネツク空港くうこうの戦たたかいとデバルツェボの戦たたかいでも継続けいぞく参加さんかした[132][133]。2015年ねん3月がつにロイヤル・ユナイテッド・サービス研究所けんきゅうじょが公表こうひょうした報告ほうこく書しょでは、2014年ねん8月がつの侵攻しんこう以来いらい「ウクライナの主権しゅけん領土りょうどに多数たすうのロシア軍ぐんが存在そんざいする」ことがドンバス戦争せんそうの「恒久こうきゅう的てきな特徴とくちょう」だと書かかれていた[81][82]。デバルツェボでのウクライナ軍ぐん撤退てったいを受うけて、2015年ねん2月がつ15日にちに紛争ふんそうの当事とうじ者しゃ達たちはこの戦闘せんとうを終おわらせるミンスク2議定ぎてい書しょに調印ちょういんした[134]。これらの条件じょうけんは、2014年ねん初頭しょとうに親しん露ろ派はの抗議こうぎ者しゃによって提唱ていしょうされた連邦れんぽう化かと同様どうよう、ウクライナが分離ぶんり主義しゅぎ地域ちいきに「特別とくべつな地位ちい」を与あたえてそこをウクライナに再さい統合とうごうすることを要求ようきゅうしている点てんで、ロシアにとって非常ひじょうに有利ゆうりなものだった[134]。これは、欧州おうしゅう連合れんごうまたはNATOとの将来しょうらい的てき統合とうごうを防ふせぐのに使つかえる、ウクライナにおけるロシアの「戦略せんりゃく的てき仕掛しかけ」を確立かくりつすることになった[134]。2015年ねん12月17日にちの記者きしゃ会見かいけんで、ロシア大統領だいとうりょうのプーチンはドンバス地域ちいきにおけるロシア兵へいの存在そんざいを初はじめて認みとめたが、これはそこに「ロシア部隊ぶたい」がいるという意味いみではないと述のべた[135]。

2019年ねん4月がつ24日にち、プーチンはドネツクとルガンスクが支配しはいする地域ちいきの住民じゅうみんに対たいしてロシアの市民しみん権けんを獲得かくとくするプロセスを迅速じんそく化かする行政ぎょうせい命令めいれいを出だした。これは、ソ連それん崩壊ほうかい後ごの紛争ふんそうを受うけて設立せつりつされた他ほかの親しん露ろ派は保護ほご領りょう[注釈ちゅうしゃく 11]でロシアが実行じっこうしたことと似にている[127]。

2022年ねん2月がつ21日にち、プーチンはドネツクとルガンスクの独立どくりつを承認しょうにんする大統領だいとうりょう令れいに署名しょめい[136]し、両りょう地域ちいきに「平和へいわ維持いじ」を目的もくてきとした軍ぐんの派遣はけんを命めいじる命令めいれい書しょに署名しょめいした[137]。24日にちにはウクライナの非ひ軍事ぐんじ化かを目的もくてきとした特別とくべつ軍事ぐんじ活動かつどうを承認しょうにんし、ロシア軍ぐんによるウクライナへの全面ぜんめん侵攻しんこうが開始かいしされた[138]。

人道じんどう上じょうの懸念けねん

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「:en:Humanitarian situation during the war in Donbas」も参照さんしょう
損壊そんかいを受うけたリシチャンスク（英語えいご版ばん）の建物たてもの（2014年ねん8月がつ4日にち）

国連こくれんは、ドネツク人民じんみん共和きょうわ国こく（DPR）およびルガンスク人民じんみん共和きょうわ国こく（LPR）と手てを組くんだ反はん政府せいふ勢力せいりょくによる占有せんゆう地域ちいきでの人権じんけんの「警戒けいかいすべき悪化あっか」を観察かんさつした[139]。国連こくれんは主おもにドネツクの部隊ぶたいが行おこなった標的ひょうてきの殺害さつがい、拷問ごうもん、拉致らち事件じけんを記録きろくし、同どう地域ちいきにおける無法むほう状態じょうたいの拡大かくだいを報告ほうこくした[140]。また、国連こくれんはジャーナリストや国際こくさい的てき監視かんし団だんへの脅迫きょうはく、攻撃こうげき、拉致らち、ウクライナ統一とういつ支持しじ者しゃへの殴打おうだや攻撃こうげきを報告ほうこくした[140]。ロシアはこれらの報道ほうどうを批判ひはんして、それが「政治せいじ的てき動機どうき」だと述のべた[141]。ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告ほうこく書しょは「ウクライナ東部とうぶの反はんキエフ勢力せいりょくは、ウクライナ政府せいふを支援しえんしていると疑うたがわれる人々ひとびとを誘拐ゆうかい、攻撃こうげき、嫌いやがらせをしている。[中略ちゅうりゃく]反はんウクライナ政府せいふ勢力せいりょくは殴打おうだや誘拐ゆうかいをすることで、自分じぶん達たちを支援しえんしない者ものは誰だれであれ黙だまるか去さったほうが良よいというメッセージを送おくっている」と述のべた[142]。また、オレグ・リャシュコの民兵みんぺいやアイダール大隊だいたいといったウクライナ軍ぐんによる現地げんち住民じゅうみんの殴打おうだ、拉致らち、処刑しょけいの可能かのう性せいも事例じれいが複数ふくすうあるとした[143][144]。アムネスティ・インターナショナルは、ウクライナ政府せいふ支持しじ派はの志願しがん兵へい大隊だいたいがウクライナ東部とうぶへの人道じんどう支援しえんを阻止そしすることが増ふえていると指摘してきした[145]。2014年ねん9月がつにはアムネスティ・インターナショナルは親しんウクライナ志願しがん兵へいの軍ぐんによる戦争せんそう犯罪はんざいを止とめさせるようにウクライナ政府せいふに進言しんげんした[146]。8月、イーゴリ・ギルキンの上級じょうきゅう顧問こもんであったイーゴリ・ドルズは「非常ひじょう事態じたいの中なか、幾度いくどか我々われわれは無秩序むちつじょを防ふせぐために銃撃じゅうげきによる処刑しょけいを実施じっしした。その結果けっか、スラビャンスクからは撤退てったいしたわが部隊ぶたいには今いまは高たかい規律きりつがある」と述のべた[147]。2015年ねん末まつまでにドネツクとルガンスクの支配しはい域いきには、拉致らちした民間みんかん人じんと捕虜ほりょを収容しゅうようする場所ばしょが合あわせて79ヵ所かしょ存在そんざいした[148]。 2014年ねん7月がつ28日にちに公表こうひょうされた国連こくれん人権じんけん高等こうとう弁務べんむ官かん事務所じむしょ(OHCHR)の報告ほうこく書しょによると、戦闘せんとう時期じきの4月がつ中旬ちゅうじゅん以降いこうで「控ひかえ目めな推計すいけい」に基もとづき、少すくなくとも1,129人にんの民間みんかん人じんが死亡しぼうし、3,442人にんが負傷ふしょうした[149][150]。さらに報告ほうこく書しょは、ドネツィク州しゅうおよびルハンーシク州しゅうの不動産ふどうさんやインフラに少すくなくとも7億おく5000万まんドル相当そうとうの損害そんがいが与あたえられていることを明あきらかにした[150]。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ウクライナ政府せいふ軍ぐんと政府せいふ支持しじ派はの準じゅん軍事ぐんじ組織そしき、そして反はん政府せいふ勢力せいりょくもが民間みんかん地域ちいきへの攻撃こうげきで無む誘導ゆうどうロケット砲ほうBM-21を使用しようしたと述のべ、「人口じんこうの多おおい地域ちいきでの無分別むふんべつなロケット砲ほう使用しようは国際こくさい人道じんどう法ほうや戦時せんじ国際こくさい法ほうに違反いはんしており、戦争せんそう犯罪はんざいに相当そうとうする可能かのう性せいがある」と主張しゅちょうした[151][152]。『ニューヨーク・タイムズ』は民間みんかん人じんの死亡しぼう率りつが高たかい「ウクライナ東部とうぶの住民じゅうみんはウクライナの親おや欧米おうべい政府せいふに愛想あいそが尽つきて立たち去さった」と報ほうじ、この感情かんじょうが反はん政府せいふ勢力せいりょくの「兵士へいし採用さいように拍車はくしゃをかける」のに役立やくだったと報道ほうどうした[153]。2014年ねん9月がつ上旬じょうじゅんにミンスク議定ぎてい書しょが調印ちょういんされたにもかかわらず、2015年ねん1月がつ上旬じょうじゅんまでの戦争せんそうによる死者ししゃ数すうは4,707人にんに増加ぞうかした[154]。

ドネツィク空港くうこう付近ふきんにあるイベルスキー修道院しゅうどういん（英語えいご版ばん）の廃墟はいきょ（2015年ねん5月がつ）

2014年ねん8月がつ上旬じょうじゅんまでに、少すくなくとも73万まん人にんがドンバスでの戦闘せんとうから逃のがれ、ロシアに向むけて出発しゅっぱつした[155]。この人数にんずうは以前いぜんの推定すいてい値ちよりも遥はるかに大おおきく、国連こくれん難民なんみん高等こうとう弁務べんむ官かん事務所じむしょ(UNHCR)によって与あたえられたものだった。国内こくない難民なんみんの数かずは11.7万まん人にんに増加ぞうかした[155]。8月を通とおしての急きゅうな戦闘せんとう激化げきかを経へて、9月がつ初旬しょじゅんまでにウクライナ国内こくないでドンバスから避難ひなんした人々ひとびとの数かずは26万まん人にんに倍増ばいぞうした[156]。ドンバスからロシアに逃のがれた難民なんみんの数かずは81.4万まん人にんに上のぼった[157]。ミンスク議定ぎてい書しょによって確立かくりつされた不安定ふあんていな停戦ていせんの2ヶ月かげつにもかかわらず、ドンバスから逃のがれたウクライナの難民なんみん数すうは11月中旬ちゅうじゅんに46.6万まん人にんへと急増きゅうぞうした[158]。

2015年ねん4月がつまでに、この戦争せんそうが少すくなくとも130万まん人にんのウクライナ国内こくない避難ひなん民みんを引ひき起おこした[159]。加くわえて、80万まん人にん以上いじょうがウクライナを逃避とうひしており、うち65.9万まん人にん以上いじょうがロシアに、約やく8.1万まん人にんがベラルーシに、ほか数すう千せん人にんが他たの国々くにぐにに向むかった[160]。

国連こくれんOHCHRの他ほかの報告ほうこく書しょによると、2016年ねん3月がつ時点じてんで300万まん人にん以上いじょうがドンバス紛争ふんそう地域ちいきで暮くらし続つづけた[161]。これには、ドネツクとルガンスク両りょう人民じんみん共和きょうわ国こくの支配しはい域いきに住すんでいた270万まん人にんと、ウクライナ支配しはい地域ちいきの20万まん人にんが含ふくまれると言いわれている。さらに、ウクライナ政府せいふは紛争ふんそうから逃のがれたウクライナ国内こくないの合計ごうけい160万まん人にんの国内こくない避難ひなん民みんを登録とうろくしたと伝つたえられている。100万まん人にん以上いじょうが他たの場所ばしょに亡命ぼうめいを求もとめたと報告ほうこくされ、その大半たいはんがロシア行いきだった[161]。同どう報告ほうこく書しょはまた、分離ぶんり主義しゅぎ支配しはい地域ちいきに住すむ人々ひとびとが「法ほうの支配しはいの完全かんぜんな欠如けつじょ、恣意しい的てき拘束こうそく、拷問ごうもん、独房どくぼう監禁かんきんの報告ほうこく、そして現実げんじつの是正ぜせい機能きのうへの接触せっしょくがない」ことを経験けいけんしていると述のべた[161][162]。

2017年ねん11月がつまでに国連こくれんはウクライナにおいて180万まん人にんの国内こくない避難ひなん民みんと紛争ふんそうの影響えいきょうを受うけた人々ひとびとを特定とくていし、ロシア連邦れんぽうで亡命ぼうめいまたは難民なんみんの地位ちいを求もとめていた別べつの427,240人にんに加くわえて、イタリアで11,230人にん、ドイツで10,495人にん、スペインで8,380人にん、ポーランドで4,595人にんを特定とくていした[163]。

死傷ししょう者しゃ

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詳細しょうさいは「:en:Casualties of the Russo-Ukrainian War」を参照さんしょう

2020年ねん2月がつ中旬ちゅうじゅん時点じてんで、同どう戦争せんそうによる死亡しぼう者しゃ数すうは13,000 - 13,200人にんとされている[21]。国連こくれんは2020年ねん3月がつ末まつまでに、3,353人にんの民間みんかん人じんが紛争ふんそうで死亡しぼうしたことを確認かくにんした。民間みんかん人じん死亡しぼう者しゃのうち外国がいこく人じんは312人にんで、内訳うちわけはマレーシア航空こうくう17便びん撃墜げきつい事件じけんの乗客じょうきゃくと乗組のりくみ員いん298人にん[23]、ロシア人じんジャーナリスト11人にん[164]、イタリア人じんジャーナリスト1人にん[165][166]、越境えっきょう砲撃ほうげきで死亡しぼうしたロシア民間みんかん人じん1人にん[167]、リトアニアの外交がいこう官かん1人ひとりである[168]。

ウクライナ側がわ勢力せいりょく

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ウクライナ政府せいふ側がわは、2020年ねん6月がつ初旬しょじゅんまでに、海外かいがい生うまれのウクライナ市民しみん211人ひとりと外国がいこく人じん13人にんを含ふくむ兵士へいし4,444人にんの死亡しぼう[注釈ちゅうしゃく 12]を確認かくにんしている[17][19][注釈ちゅうしゃく 13]。この他ほかにウクライナ兵へい70人にんが行方ゆくえ不明ふめいになった[20]。

親しん露ろの情報じょうほう筋すじは、2015年ねん6月がつ下旬げじゅんまでにウクライナ勢力せいりょく1万まん人にんが死亡しぼうし、2万まん人にんが負傷ふしょうし、13,500人にんが逃亡とうぼうまたは行方ゆくえ不明ふめいになったと主張しゅちょうした[171]。

分離ぶんり主義しゅぎ勢力せいりょく　

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分離ぶんり主義しゅぎ者しゃは、2015年ねん2月がつ初頭しょとう時点じてんで失うしなった兵士へいしはせいぜい1,400人にんだと発表はっぴょうした[172]。国連こくれんは、分離ぶんり主義しゅぎ者しゃ5,650人にんが2020年ねん2月がつ中旬ちゅうじゅんまでに（あらゆる原因げんいんによって）命いのちを失うしなったと報告ほうこくした[21]。

ウクライナ政府せいふは、2015年ねん初頭しょとうの戦闘せんとう中ちゅうに7,577[173]-14,600人にん[174]の分離ぶんり主義しゅぎ者しゃが死亡しぼうし、12,000人にんが行方ゆくえ不明ふめいになった[175]と主張しゅちょうした。彼かれらはまた、2016年ねん1月がつから4月がつにかけて更さらに103人にんのロシア人じん兵士へいしが死亡しぼうしたと主張しゅちょうした[176]。

2015年ねん2月がつ下旬げじゅんにドネツクで報ほうじられた分離ぶんり主義しゅぎ者しゃ墓地ぼちの画像がぞう[177]では、プレートの数字すうじが少すくなくとも2213まで振ふられているのが見みて取とれた[178]。2015年ねん8月がつ下旬げじゅん、ロシアのニュースサイト『デロヴァヤ・ジズニ』により報ほうじられた漏洩ろうえいスクープによると、2015年ねん2月がつ1日にちまでにウクライナで2,000人にんのロシア兵へいが殺害さつがいされた[179][180]。アメリカ国務省こくむしょうは、2015年ねん3月がつ初頭しょとうまでにロシア兵へい400-500人にんが死亡しぼうしたと発表はっぴょうした[181]。

2020年ねん7月がつ下旬げじゅんまでに、ドネツク人民じんみん共和きょうわ国こく当局とうきょくは同どう支配しはい域いきで合計ごうけい4,932人にんの分離ぶんり主義しゅぎ者しゃと民間みんかん人じんが殺害さつがいされたと発表はっぴょう[182]し、ルガンスク人民じんみん共和きょうわ国こくは2018年ねん1月がつまでに同どう支配しはい域いきで1,328人にんが死亡しぼうしたと発表はっぴょうした[183]。

国際こくさい社会しゃかいの反応はんのう

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詳細しょうさいは「:en:International reactions to the war in Donbass」を参照さんしょう

多おおくの監視かんし団だんが、ウクライナ政府せいふと反はん政府せいふ勢力せいりょくの双方そうほうに和平わへいを求もとめ、ドンパスの緊張きんちょうを緩和かんわするよう求もとめている。

NATO首脳しゅのう会談かいだんでウクライナ大統領だいとうりょうのペトロ・ポロシェンコがアメリカ大統領だいとうりょうのバラク・オバマや他たの西側にしがわ諸国しょこく指導しどう者しゃと会談かいだんする様子ようす（2014年ねん9月がつ4日にち）

北大西洋条約機構の旗 北大西洋きたたいせいよう条約じょうやく機構きこう - 北大西洋きたたいせいよう条約じょうやく機構きこう（NATO）は2014年ねん8月がつにドンバス戦争せんそうとクリミア危機ききに関かんする声明せいめいを発表はっぴょうした[184]。声明せいめいによると、ロシアは「その行動こうどうから注意ちゅういをそら」させようとしており、「事実じじつの間あいだ違ちがった解釈かいしゃくに基もとづいてNATOに対たいする一連いちれんの非難ひなんを行おこなった」のみならず「ウクライナ当局とうきょくの正当せいとう性せいに根拠こんきょのない攻撃こうげきを行おこない、ウクライナ領土りょうどの一部いちぶを占拠せんきょするために武力ぶりょくを行使こうしした」と述のべた[184]。8月22日にちのロシアによる人道的じんどうてき支援しえん車両しゃりょう部隊ぶたい（humanitarian convoy）の無む許可きょか入国にゅうこくを受うけて、NATO事務じむ総長そうちょうのアンダース・フォグ・ラスムッセンはこの事件じけんが「ロシア自身じしんで作つくり上あげていて燃料ねんりょうを供給きょうきゅうし続つづけており、同どう地域ちいきの危機ききを深ふかめるだけである。国際こくさい的てきな人道じんどう主義しゅぎの無視むしは、援助えんじょ車列しゃれつの真しんの目的もくてきが民間みんかん人じんを支援しえんすることなのか武装ぶそうした分離ぶんり主義しゅぎ者しゃに補給ほきゅうすることなのか、という疑問ぎもんが生しょうじてしまう」と述のべた[185]。8月がつ下旬げじゅん、NATO司令しれい官かん達たちは会合かいごうを開ひらき、ドンバスにおける軍事ぐんじ状況じょうきょうの評価ひょうかを修正しゅうせいした。彼かれらはウクライナ政府せいふの観点かんてんからは戦争せんそうは既すでに負まけだと発言はつげんした[186]。ドネツィク州しゅう南部なんぶにおける8月がつ下旬げじゅんの攻勢こうせいは、クリミアに至いたるロシアの地上ちじょうルートを作つくるために使用しようされ、半島はんとうの違法いほう併合へいごうを確固かっこたるものにすることができると予想よそうされた。NATO司令しれい官かんのフィリップ・ブリードラブ（英語えいご版ばん）は9月がつ20日はつか、ミンスク議定ぎてい書しょの一環いっかんで実行じっこうされた停戦ていせんは「名なばかりの停戦ていせん」だと述のべ、兵士へいしと装備そうびが国境こっきょうを越こえてドンバスに自由じゆうに流入りゅうにゅうすることを許ゆるしたとしてロシアを批判ひはんした[187]。

ロシアの旗 ロシア連邦れんぽう - ロシア外務省がいむしょうはあらゆる諸しょ問題もんだいでロシア政府せいふを「非難ひなん」するウクライナ当局とうきょくに反論はんろんし「ウクライナ市民しみんはあらゆる質問しつもんに対たいしてキエフ（ウクライナ政府せいふ）から明確めいかくな答こたえを得えたいと考かんがえている。これらの法的ほうてき主張しゅちょうに耳みみを傾かたむける時間じかんである」と述のべた[36][188]。また、ウクライナ東部とうぶと南部なんぶの事態じたいを「注意深ちゅういぶかく観察かんさつしている」と述のべ、ウクライナを連邦れんぽうに変かえる「真しんの憲法けんぽう改正かいせい」を再ふたたび要請ようせいした[189]。4月7日にちの『ガーディアン』紙しに掲載けいさいされた意見いけん記事きじで、ロシア外相がいしょうのセルゲイ・ラブロフはウクライナを不安定ふあんてい化かさせた犯人はんにんはロシアではなく欧おう米こめであり「ロシアはウクライナの早期そうき安定あんていを促進そくしんすべく全力ぜんりょくを尽つくしている」と書かいた[189][190]。ロシア外務省がいむしょうは、ドネツィクへの武力ぶりょく侵略しんりゃくに対たいするキエフによる「犯罪はんざい的てき指令しれい」に厳きびしい非難ひなんを発はっした。「クーデターの結果けっかとして自みずからを自称じしょうしたキエフ当局とうきょくは、抗議こうぎ行動こうどうの暴力ぼうりょく的てきな軍事ぐんじ弾圧だんあつに乗のり出だした」として「自国じこく民みんに対たいする戦争せんそうを直ただちに止とめること」を要求ようきゅうした[191]。ロシア大統領だいとうりょうのウラジーミル・プーチンは、ドネツク人民じんみん共和きょうわ国こくとルガンスク人民じんみん共和きょうわ国こくが支配しはいする都市としの包囲ほういを第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん中なかのレニングラード包囲ほうい戦せんと比較ひかくして「悲かなしいことだが、それは私わたしに第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんを思おもい出ださせる。あの時ときはドイツのファシスト勢力せいりょくがレニングラードなど我々われわれの都市としを包囲ほういして、人口じんこう多おおい地域ちいきとその住民じゅうみんを砲撃ほうげきした」と述のべた[192]。

ヤーヴォリウ（英語えいご版ばん）近郊きんこうで「恐おそれを知しらぬ守護しゅご者しゃ（Fearless Guardian）」作戦さくせん実行じっこう中ちゅうのアメリカ空挺くうてい部隊ぶたいとウクライナ国家こっか親衛隊しんえいたい

アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく - 2014年ねん4月がつ7日にち、アメリカ国務こくむ長官ちょうかんのジョン・ケリーはこの事件じけんは「自発じはつ的てきではないように思おもえた」と発言はつげんし、ロシア側がわの交渉こうしょう相手あいてであるセルゲイ・ラブロフに電話でんわで「分離ぶんり主義しゅぎ者しゃ、破壊はかい活動かつどうする者もの、扇動せんどう工作こうさく員いんの活動かつどうを公おおやけに否定ひていする」よう要請ようせいした[36]。アメリカ国家こっか安全あんぜん保障ほしょう会議かいぎの報道ほうどう官かんは、分離ぶんり主義しゅぎ者しゃがロシアの支援しえんを受うけているようだと指摘してきした。彼女かのじょは声明せいめいで「我々われわれは、ロシアで称しょうされている併合へいごう以前いぜんのクリミアで同様どうようのいわゆる抗議こうぎ活動かつどうを見みた」と述のべ、「我々われわれはプーチン大統領だいとうりょうと彼かれの政府せいふにウクライナを情勢じょうせい不安ふあんにする全すべての取とり組くみを中止ちゅうしするよう要請ようせいし、またこれ以上いじょうの軍事ぐんじ介入かいにゅうに対たいして警告けいこくする」と付つけ加くわえた[193]。当時とうじ駐ちゅうウクライナ大使たいしだったジェフリー・R・ピャット（英語えいご版ばん）は、親しん露ろの反はん政府せいふ勢力せいりょくを「テロリスト」と特徴付とくちょうづけた[194]。合衆国がっしゅうこく政府せいふは、反はん政府せいふ勢力せいりょくに対抗たいこうするウクライナ政府せいふの戦闘せんとうを支援しえんするためウクライナに軍事ぐんじ顧問こもんを派遣はけんしている[195][196]。4月にアメリカ国防総省こくぼうそうしょうは700万まんドルの非ひ致死ちし軍事ぐんじ装備そうびをウクライナ軍ぐんに出荷しゅっかした。さらに800万まんドルの援助えんじょパッケージ計画けいかくが2014年ねん8月がつ1日にちに発表はっぴょうされた[197]。同日どうじつ、国防総省こくぼうそうしょうはウクライナ国家こっか親衛隊しんえいたいの訓練くんれんを支援しえんする1,900万まんドルの援助えんじょパッケージを提案ていあんした。この提案ていあんは議会ぎかいの承認しょうにんを必要ひつようとし、2015年ねんに発効はっこう予定よていとなった。7月には、国防総省こくぼうそうしょうの戦略せんりゃくおよび政策せいさくの専門せんもん家かグループがウクライナ政府せいふの軍事ぐんじ需要じゅようを評価ひょうかするためキエフを訪問ほうもんすることが発表はっぴょうされた[198]。 2014年ねん9月がつ8日にちの『ニューヨーク・タイムズ』は、最初さいしょの非ひ致死ちし的てき援助えんじょパッケージの一部いちぶだけが実際じっさいにウクライナに到着とうちゃくしたと報ほうじた[199]。この報道ほうどうは遅延ちえんの理由りゆうとして同どう地域ちいきの戦闘せんとう激化げきかをもたらすことへの懸念けねんを挙あげているが、2014年ねん9月がつ13日にちの『グローブ・アンド・メール』の報道ほうどうでは、ウクライナ当局とうきょく者しゃの腐敗ふはいによる販売はんばい可能かのうな機器ききの転用てんように関かんする懸念けねんによって、アメリカおよびカナダ（後者こうしゃは2億おくドル）の軍事ぐんじ援助えんじょパッケージが遅おくれることを示しめす様々さまざまな資料しりょうが挙あげられた[200] 2015年ねん3月がつ11日にち、合衆国がっしゅうこく政府せいふはウクライナに追加ついかで7,500万まんドル相当そうとうの非ひ致死ちし的てき援助えんじょを送おくると述のべた[201]。 2016年ねん3月がつ、アメリカ国務こくむ次官補じかんほのビクトリア・ヌーランドは合計ごうけい2億おく6600万まんドルがウクライナへの非ひ致死ちし的てき援助えんじょに費ついやされたと発表はっぴょうし、また約やく1,200人にんのウクライナ兵士へいしと750人にんの国家こっか親衛隊しんえいたいがアメリカ軍人ぐんじんによる訓練くんれんを受うけたと発言はつげんした[202]。

 ウクライナ - ウクライナ兵へい19人にんがロケット砲撃ほうげきで殺害さつがいされた後のちに大統領だいとうりょうのペトロ・ポロシェンコは、親しん露ろ派は分離ぶんり主義しゅぎ者しゃに対たいして復讐ふくしゅうを誓ちかい、「同どう武装ぶそう勢力せいりょくは我々われわれの兵士へいしそれぞれの命いのちに対たいして数すう百ひゃくの命いのちで贖あがなってもらうことになる。責任せきにんを免まぬかれるテロリストなど1人ひとりも存在そんざいしないだろう」と語かたった[203]。

ウクライナの世論せろん　

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キエフ住民じゅうみんと全ぜんウクライナ連合れんごう「自由じゆう」党とうとで設立せつりつしたシッヒ大隊だいたい（英語えいご版ばん）の兵士へいし（2014年ねん8月がつ26日にち）

2014年ねん9月がつ12-25日にちにかけて、アメリカのシンクタンクである共和党きょうわとう国際こくさい研究所けんきゅうじょ（英語えいご版ばん）により、ロシアに併合へいごうされたクリミアを除のぞくウクライナ国民こくみんの世論せろん調査ちょうさが実施じっしされた[204]。投票とうひょう者しゃの89%がロシアのウクライナ介入かいにゅうに反対はんたいした。地域ちいき別べつに分わけると、ウクライナ東部とうぶ（ドニプロペトロウシク州しゅうを含ふくむ）では78 %が介入かいにゅうに反対はんたいし、ウクライナ南部なんぶでは89 %、ウクライナ中部ちゅうぶでは93 %、ウクライナ西部せいぶでは99 %が反対はんたいした[204]。母国ぼこく語ごで分わけると、ロシア語ご話者わしゃの79 %とウクライナ語ご話者わしゃの95 %が介入かいにゅうに反対はんたいした。世論せろんの80%が「ウクライナは単一たんいつ国家こっかであり続つづけるべき」との回答かいとうだった[204]。世論せろんの56 %は「ドンバス再建さいけんのためにロシアが補償ほしょうすべき」と答こたえたが、32 %は「ドネツィク州しゅうとルハーンシク州しゅうが支払しはらうべき」と答こたえた。世論せろんの59 %が「ドンバスにおける政府せいふの軍事ぐんじ作戦さくせんを支持しじする」と回答かいとうし、33 %が反対はんたいと答こたえた。回答かいとう者しゃの73 %は、ドンバス戦争せんそうはウクライナが直面ちょくめんしている三さん大だい重要じゅうよう問題もんだいの1つだと答こたえた[204]。

2017年ねんに同どう研究所けんきゅうじょが実施じっしした世論せろん調査ちょうさでは、ウクライナ人じんの圧倒的あっとうてき多数たすうが「ドネツク・ルガンスクの両りょう人民じんみん共和きょうわ国こくはウクライナの一部いちぶとして残のこるべき」だと考かんがえていることが示しめされた。この調査ちょうさでは、ウクライナ政府せいふが支配しはいしているドンバス地域ちいきからの回答かいとう者しゃサンプルが多おおく含ふくまれ、その過半数かはんすうは「地域ちいき全体ぜんたいがウクライナに残のこって欲ほしい」との希望きぼうを口くちにした。この調査ちょうさ結果けっかでは、国内こくないウクライナ人じんの80 %およびドネツィク州しゅうやルハーンシク州しゅうに住すむ人々ひとびとの73 %が両りょう人民じんみん共和きょうわ国こくの支配しはい域いきも「ウクライナの一部いちぶであり続つづけるべき」だと支持しじしていることが示しめされた。世論せろんの約やく60%は、ミンスク議定ぎてい書しょが原因げんいんでウクライナが失うしなわれた領土りょうどを取とり戻もどすための十分じゅうぶんな行動こうどうができなくなっていると考かんがえていた[205]。

紛争ふんそうの位置いちづけ

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ドンバスにおける紛争ふんそうの性質せいしつ理解りかいは、時間じかんの経過けいかとともに変化へんかしている。

NATOは2014年ねん7月がつ、この紛争ふんそうをロシア非ひ正規せいき軍ぐんとの戦争せんそうだと考かんがえていると語かたり[206]、他たはロシアの代理だいり者しゃとウクライナ間あいだの戦争せんそうだと考かんがえた[207]。赤十字せきじゅうじ国際こくさい委員いいん会かいは2014年ねん7月がつ、ドンバス地域ちいきでの出来事できごとを「国際こくさい間あいだではない武力ぶりょく紛争ふんそう」と表現ひょうげんした[208][209]。イタルタス通信つうしんやロイターなど一部いちぶの通信つうしん社しゃは、この状況じょうきょうをウクライナが「内戦ないせん」状態じょうたいにあることを意味いみするものと解釈かいしゃくした[210]。2014年ねん8月がつのロシア軍ぐんによる侵攻しんこうを受うけて、アムネスティ・インターナショナルは2014年ねん9月がつ初頭しょとうにそれが「非ひ国際こくさい」とは逆ぎゃくで「国際こくさい的てき」な戦争せんそうと思おもわれると述のべた[211]。同どう事務じむ総長そうちょうのサリル・シェティ（英語えいご版ばん）は「衛星えいせい画像がぞう、ウクライナ国内こくないで捕とらえられたロシア軍ぐんの報告ほうこく、国境こっきょうを越こえていくロシア軍ぐんや軍事ぐんじ車両しゃりょうの目撃もくげき証言しょうげんを合あわせると、これが今いまや国際こくさい的てきな武力ぶりょく紛争ふんそうであることは間違まちがいない」と発言はつげんした[211]。この紛争ふんそうは、ロシアによって展開てんかいされたウクライナに対たいする「ハイブリッド戦争せんそう」の一部いちぶといった分類ぶんるいもされている[212]。

2015年ねん初頭しょとうまで、欧州おうしゅう連合れんごう（EU）は紛争ふんそうの参加さんか者しゃを「外国がいこくの武装ぶそう勢力せいりょく」またはロシアが支援しえんする分離ぶんり主義しゅぎ者しゃであるとレッテル貼ばりする傾向けいこうがあった。2015年ねん1月がつ末まつまでに統合とうごう情勢じょうせいセンターのまとめた報告ほうこく書しょが配くばられた後のち、EU公式こうしき文書ぶんしょは公然こうぜんと彼かれらを「ウクライナにいるロシア軍ぐん」と位置付いちづけるようになった[213]。

英国えいこく王立おうりつ防衛ぼうえい安全あんぜん保障ほしょう研究所けんきゅうじょによって発表はっぴょうされた2015年ねんの論文ろんぶんおよびランド研究所けんきゅうじょによる2017年ねんの報告ほうこく書しょは、この紛争ふんそうが初期しょきの局所きょくしょ的てきな代理だいり紛争ふんそうからどのようにロシアとウクライナ間あいだのハイブリッド戦争せんそうへと進化しんかし、その後ご2014年ねん8月がつにロシア軍ぐんによる直接ちょくせつ侵攻しんこうという限かぎられた従来じゅうらいの戦争せんそうになったのかを文書ぶんしょ化かしたものである[82][214]。

2014年ねん6月がつにウクライナ最高さいこう議会ぎかい議長ぎちょうのオレクサンドル・トゥルチノフは、この紛争ふんそうをロシアとの直接ちょくせつ戦争せんそうと考かんがえていると発言はつげんした[215]。ウクライナ大統領だいとうりょうのペトロ・ポロシェンコによると、この戦争せんそうはウクライナ史しにおける「愛国あいこく戦争せんそう」として知しられることになるはずだという[216]。

ロシアの世論せろん調査ちょうさ機関きかんであるVTSIOM（英語えいご版ばん）が2014年ねん8月がつに行いった調査ちょうさによると、回答かいとうしたロシア市民しみんの59%がドンバス戦争せんそうを内戦ないせんだと見みなしている[217]。回答かいとう者しゃの大半たいはんがウクライナとの直接ちょくせつ戦争せんそうは「絶対ぜったいありえない」または「極きわめて可能かのう性せいが低ひくい」と述のべた。28%は将来しょうらいこのような紛争ふんそうが起おこりうると述のべた[217]。

アンドレアス・ウムランドは、「最初さいしょから紛争ふんそうにロシア人じんが明あきらかに関与かんよしていたにもかかわらず、ロシアとウクライナの国家こっか間あいだ戦争せんそうではなく、今日きょうまでウクライナ国内こくないでの内戦ないせんとして人々ひとびとに処理しょりされている」とし、「内戦ないせんとしてのドンバス戦争せんそうの概念がいねん化か」は2014年ねんから2022年ねんにかけてのドンバスにおける戦闘せんとうの開始かいしや経過けいかの重要じゅうような側面そくめんを捉とらえられていないとした[218]。

脚注きゃくちゅう

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[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく　

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  1. ^ a b c 詳細しょうさいはウクライナへのロシア軍ぐん介入かいにゅうを参照さんしょう。
  2. ^ ドネツィク（ウクライナ語ご: Донецьк）をロシア語ご表記ひょうきして発音はつおんしたものがドネツク（Доне́цк）。人民じんみん共和きょうわ国こくへの分離ぶんりを宣言せんげんしたのが親しん露ろ派はだったため、ロシア語ご読よみとなった。
  3. ^ ルハーンシク（ウクライナ語ご: Луганськ）をロシア語ご表記ひょうきして発音はつおんしたものがルガンスク（Луганская）。人民じんみん共和きょうわ国こくへの分離ぶんりを宣言せんげんしたのが親しん露ろ派はだったため、ロシア語ご読よみとなった。
  4. ^ スラビャンスク、マリウポリ、ホルリフカ、クラマトルスク、イェナーキイェヴェ、マキイフカ、ドルジュキーウカなど。
  5. ^ 「対たいテロ作戦さくせん（Anti-Terrorist Operation;ATO）」は2018年ねんまでの呼称こしょうで、その後ごは「統合とうごう軍事ぐんじ作戦さくせん（Joint Forces Operation;JTO）」へと改名かいめいされた。
  6. ^ 『インタープリター』紙しは、2016年ねん10月12日にちの電話でんわ会議かいぎにおけるプーチンの発言はつげんを引用いんようした[68]。
    "When we were forced, I want to stress, forced to defend the Russian-speaking population in the Donbass, forced to respond to the desire of the people living in Crimea to return to being part of the Russian Federation, they instantly began to whip up anti-Russian policies and the imposition of sanctions."
  7. ^ 時事じじ用語ようご事典じてんイミダスに基もとづく、frozen conflictsの訳語やくご。武力ぶりょく紛争ふんそうは収おさまったものの、紛争ふんそう解決かいけつが棚上たなあげになっている状態じょうたいを指さす。
  8. ^ 通常つうじょう、戦地せんちで死亡しぼうした兵士へいしの遺体いたいを本国ほんごくへ送還そうかんするために輸送ゆそうする際さいに使用しようされる用語ようご。
  9. ^ 彼かれらの大半たいはんは旧きゅうソビエト連邦れんぽうのゲルマン民族みんぞくで、幾いく人にんかはドイツ連邦れんぽう軍ぐんで兵役へいえきについていた。
  10. ^ それまでウクライナ政府せいふが支配しはいしていた地域ちいき。
  11. ^ トランスニストリア、アブハジア、南みなみオセチアなど。
  12. ^ 殺ころされたウクライナ兵へいの数かずには、ロシアによるクリミアの併合へいごう中なかに死亡しぼうした軍人ぐんじん2人にんが含ふくまれる。
  13. ^ 軍事ぐんじ史し博物館はくぶつかんは、身元みもとを特定とくていできていない139人にんの死亡しぼう兵へいを列記れっきしている。そのうち66人にんはクラスノポリエ墓地ぼち[18] 、63人にんがクシュグム墓地ぼち[169]、残のこりの10人にんがスタロビルスク墓地ぼち[170]に埋葬まいそうされている。

出典しゅってん　

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関連かんれん作品さくひん

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