ノヴォロシア

ノヴォロシアとその関連かんれん地図ちず

「荒野あらの」の地図ちず（17世紀せいき）。

ザポロージャの地図ちず（18世紀せいき）。

エディサンの地図ちず（18世紀せいき）。

ノヴォロシア（ロシア語ご: Новоро́ссия, ウクライナ語ご: Новоросія）は、18世紀せいき末すえにロシア帝国ていこくが征服せいふくした黒海こっかい北岸ほくがん部ぶ地域ちいきを差さす歴史れきし的てきな地域ちいき名めいである。「新あたらしいロシア」を意味いみする。これにはザポロージャのシーチの支配しはい権けんの南部なんぶ、そしてザポロージャとそれ以前いぜんにオスマン帝国ていこくとクリミア・ハン国こくが数すう世紀せいきにわたり支配しはいしてきた黒海こっかい北岸ほくがんとの間あいだのステップが含ふくまれる。

行政ぎょうせい上じょう新あらたに統合とうごうされた地域ちいきはノヴォロシースク県けんといい県けん都とのノヴォロシースクとともに（現在げんざいのウクライナのドニプロペトロウシク。現在げんざいのロシアのノヴォロシースクとは異ことなる）ノヴォロシースク県けんとして知しられていた。19世紀せいきに、ノヴォロシアは黒海こっかい北西ほくせい岸がんの主要しゅような港みなとであるオデッサに置おかれる行政府ぎょうせいふの名称めいしょうとなった。ノヴォロシアは19世紀せいきの初はじめに、急速きゅうそくに都市としと村むら、入植にゅうしょく者しゃのための農地のうちを開拓かいたくしていったロシア人じんの急速きゅうそくな移動いどうのために変化へんかしていた。

この地域ちいきは、ロシア帝国ていこく陸軍りくぐんとその対抗たいこう勢力せいりょくとの間あいだでの熾烈しれつな争あらそいの結果けっか、荒廃こうはいした後のちに、完全かんぜんに再建さいけんされた。オズ・カレ、アッケルマン、ハジベイ、 キンブルンといったトルコの主要しゅような要塞ようさいとそのほか多おおくは露ろ土ど戦争せんそうの間あいだに征服せいふくされ、破壊はかいされた。そして新あたらしい、都市としと居住きょじゅう地ちがここに建設けんせつされていった。

歴史れきし

エカチェリーナ2世せいは南下なんか政策せいさくを進すすめ、オスマン帝国ていこくとたびたび戦争せんそうをした。

ノヴォロシアは、18世紀せいきのクレメンチュークから管理かんりされるノヴォロシースク県けんの設立せつりつに始はじまる。歴史れきし的てきに、この地域ちいきは「荒野あらの」と呼よばれており、科学かがく的てき、歴史れきし学がく的てきな情報じょうほうは欠如けつじょしている。そこがおおまかに現代げんだいのウクライナ南部なんぶとロシア南部なんぶの領土りょうどとなった。

西部せいぶは(ドニエストル川がわとドニエプル川がわの間あいだ)はリトアニア大公たいこう国こくの 「荒野あらの（Dykra）」として知しられ、続つづいてオスマン帝国ていこくの自治じち地域ちいきのエディサン州しゅうとしてなり、かつてジョチ・ウルスの征服せいふくの時代じだいに移うつり住すんだタタールの一派いっぱ、ノガイ人じんが居住きょじゅうしていた。

ロシア帝国ていこくはヘーチマン国家こっかとの条約じょうやくと、3度どにわたる露ろ土ど戦争せんそう（1735年ねん–39年ねん, 1768年ねん–74年ねん、1787年ねん–92年ねん、1806年ねん–12年ねん） の結果けっか結むすばれたオスマン帝国ていこくとの講和こうわ条約じょうやくによって徐々じょじょに統治とうち権けんを確立かくりつした。ロシアはまた、ロシア人じんの入植にゅうしょくのために不要ふようになったため、ウクライナ・コサックの軍事ぐんじ組織そしきであるシーチのザポロージャのシーチによる自由じゆう国こくを強制きょうせい的てきに解体かいたいした。

18世紀せいき末まつの入植にゅうしょくは、エカチェリーナ2世せいにこの地域ちいきの統治とうちの絶対ぜったい的てきな権力けんりょくを与あたえられたグリゴリー・ポチョムキン公おおやけが主導しゅどうした。 土地とちはロシアの貴族きぞくに分配ぶんぱいされ、農奴のうどとされた農民のうみん（農奴のうどにされた農民のうみんのほとんどはウクライナ出身しゅっしんでロシア出身しゅっしんは少すくなかった）が人家じんかもまばらなステップの開発かいはつのために送おくり込こまれた。エカテリーナ2世せいは、ヨーロッパから、ドイツ人じん、ポーランド人じん、イタリア人じん、ギリシャ人じん、セルビア人じんなどの入植にゅうしょく者しゃを新あらたに征服せいふくした土地とちに招まねいた。のちに東部とうぶ地域ちいきに住すむ人々ひとびとはよりロシアよりの傾向けいこうになった。かつての「新あたらしいロシア」ではロシア語ごは都市としといくつかの外そとの地域ちいきでの共通きょうつう語ごであった。そのころウクライナ語ごは農村のうそん部ぶや小ちいさな都市としや村落そんらくでは広ひろく使用しようされていた。その歴史れきしとともに、ギリシャ人じんコミュニティ、ブルガリア人じんコミュニティ、アルメニア人じんコミュニティ、タタール人じんコミュニティとその他た多おおくのコミュニティを含ふくむ民族みんぞく構成こうせいが形成けいせいされた。1922年ねん、この地域ちいきはボリシェヴィキによってウクライナ・ソビエト社会しゃかい主義しゅぎ共和きょうわ国こくの一部いちぶとなった。今日きょうでは、この言葉ことばはウクライナのドネツィク州しゅう、ルハーンシク州しゅう、 ドニプロペトロウシク州しゅう、ザポリージャ州しゅう、ムィコラーイウ州しゅう、ヘルソン州しゅう、オデッサ州しゅうとクリミア自治じち共和きょうわ国こく、セヴァストポリ、及およびロシアのクラスノダール地方ちほう、ロストフ州しゅうとアディゲ共和きょうわ国こくを包含ほうがんする。

2006年ねんのウクライナ議会ぎかい選挙せんきょでは、しばしばロシア語ご保護ほごを訴うったえる地域ちいき党とうが南部なんぶウクライナで多数たすうを獲得かくとくした。同地どうちはノヴォロシアがかつて存在そんざいした土地とちである。

2014年ねんにウクライナでの騒乱そうらんを契機けいきにクリミア自治じち共和きょうわ国こくが独立どくりつを宣言せんげんした上うえにロシアへの編入へんにゅうの是非ぜひを問とう住民じゅうみん投票とうひょうを同年どうねん3月がつ16日にちに実施じっしし、ロシア編入へんにゅうが圧倒的あっとうてき多数たすうで決定けっていすると、ロシアはこれを承認しょうにんした。このころからロシアではマスメディアを中心ちゅうしんにクリミア半島くりみあはんとうに接続せつぞくするウクライナ南部なんぶの黒海こっかい北岸ほくがんを地域ちいき「ノヴォロシア」と呼よび始はじめた。ドンバス地域ちいきでは親しんロシア派はの分離ぶんり・独立どくりつ運動うんどうによってノヴォロシア人民じんみん共和きょうわ国こく連邦れんぽうが結成けっせいされ、親おや欧米おうべいのウクライナ中央ちゅうおう政府せいふと紛争ふんそうになった（東部とうぶウクライナ紛争ふんそう）。

建設けんせつされた都市とし

植民しょくみん時代じだいの都市としの多おおくは今日きょう大都市だいとしになっている。

第だい1波は

• エリサヴェトフラード(キロヴォフラード)（1754年ねん）
• アレクサンドロフスク (ザポリージャ)（1770年ねん）
• エカテリノスラーフ(ドニプロペトロウシク)（1776年ねん）
• ヘルソン（1778年ねん）
• マリウポリ（1778年ねん）
• セヴァストポリ（1783年ねん）
• シンフェロポリ（1784年ねん）
• メリトポリ（1784年ねん）
• パウロフラード（1784年ねん）

第だい2波は

• ニコラエフ(ムィコラーイウ)（1789年ねん）
• ティラスポリ（1792年ねん）
• オデッサ（1794年ねん）
• エカテリノダール(クラスノダール)（1794年ねん）

第だい3波は

• ベルジャーンシク（1827年ねん）
• ノヴォロシースク（1838年ねん）

参考さんこう文献ぶんけん

• H・カレール＝ダンコース著ちょ、志賀しが亮一りょういち訳やく『エカテリえかてりーナ二世なにせい 下か 十じゅう八はち世紀せいき、近代きんだいロシアの大成たいせい者しゃ』（藤原ふじわら書店しょてん、2004年ねん）ISBN 4894344033
• 黒川くろかわ祐次ゆうじ著ちょ『物語ものがたりウクライナの歴史れきし ヨーロッパ最後さいごの大国たいこく』（中公新書ちゅうこうしんしょ; 1655 中央公論ちゅうおうこうろん新しん社しゃ、2002年ねん） ISBN 4121016556

関連かんれん項目こうもく

• ザポロージャ
• エディサン
• 新しんセルビア
• スラヴォ・セルビア
• ドネツク＝クリヴォーイ・ローク・ソビエト共和きょうわ国こく
• キュチュク・カイナルジ条約じょうやく
• 沿ドニエストル共和きょうわ国こく

外部がいぶリンク

• Map of Novorossiya (New Russia)
• Novorossiya leaders and Odessa mayors