オレンジ革命かくめい

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ウクライナ・オレンジ革命かくめい
種類しゅるい	民主みんしゅ主義しゅぎ革命かくめい
目的もくてき	不正ふせい選挙せんきょへの抗議こうぎ
対象たいしょう	クチマ＝ヤヌコーヴィチ親しん露ろ政権せいけん
結果けっか	再さい選挙せんきょ, ユシチェンコ大統領だいとうりょうの誕生たんじょう
発生はっせい現場げんば	ウクライナ
期間きかん	2004年ねん11月22日にち-2005年ねん1月がつ23日にち
指導しどう者しゃ	ユシチェンコ, ティモシェンコ

オレンジ革命かくめい（オレンジかくめい、ウクライナ語ご: Помаранчева революція、英えい: Orange Revolution）は、2004年ねんウクライナ大統領だいとうりょう選挙せんきょの結果けっかに対たいしての抗議こうぎ運動うんどうと、それに関かんする政治せいじ運動うんどうなどの一連いちれんの事件じけんである。

選挙せんきょ結果けっかに対たいして抗議こうぎ運動うんどうを行おこなった野党やとう支持しじ者しゃがオレンジをシンボルカラーとして、リボン、「ユシチェンコにイエス！（Так! Ющенко!）」と書かかれた旗はた、マフラーなどオレンジ色しょくの物ものを使用しようしたことからオレンジ革命かくめいと呼よばれる。

同時どうじにこの事件じけんはヨーロッパとロシアに挟はさまれたウクライナが将来しょうらい的てきな選択せんたくとして、ヨーロッパ連合れんごうの枠組わくぐみの中なかに加くわわるのか、それともエネルギーで依存いぞんしているロシアとの関係かんけいを重要じゅうよう視しするのかと言いう二者択一にしゃたくいつを迫せまられた事件じけんでもある。

背景はいけい

ウクライナは1991年ねんにソビエト連邦れんぽうから独立どくりつしたが、ソ連それん崩壊ほうかい後こうも黒海こっかいに面めんするウクライナはロシアにとって地政学ちせいがく的てきに重要じゅうような地域ちいきとして捉とらえられ、カスピ海かすぴかいで産出さんしゅつされる石油せきゆ、天然てんねんガスの欧米おうべいに対たいしての積つみ出だし港みなととして重要じゅうような位置いちを占しめていた。また、ウクライナは国内こくないにおいてエネルギー資源しげんを産出さんしゅつできなかったため、この分野ぶんやに関かんしてはかなりの割合わりあいをロシアに依存いぞんしていた。

一方いっぽう、西にしに目めを転てんじると東欧とうおう革命かくめい以来いらい、ヨーロッパの広域こういき経済けいざい圏けんを目指めざす欧州おうしゅう連合れんごう（EU）とヨーロッパ全域ぜんいきにおける安全あんぜん保障ほしょう体制たいせいの確立かくりつを目指めざす北大西洋きたたいせいよう条約じょうやく機構きこう（NATO）が東ひがしへの拡大かくだいを続つづけており、特とくに2004年ねん5月1日にちにポーランドやスロバキア等とう旧きゅう東欧とうおう8各国かっこくがEUに加盟かめいすると、ウクライナはEUと直接ちょくせつ国境こっきょうを接せっすることになった。続つづいて2007年ねんにはルーマニアとブルガリアもEU入いりを果はたし、更さらにトルコも一貫いっかんして加盟かめいを希望きぼうしている。EUは域内いきないでの経済けいざいの自由じゆう化かを推おし進すすめる一方いっぽうで、域外いきがいからの経済けいざい活動かつどうには障壁しょうへきを設もうけている。ウクライナではEUと協定きょうていを結むすんで、EU加盟かめい国こくと国境こっきょうを接せっしている西部せいぶにEUやアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく、日本にっぽんの資本しほんを受うけ入いれる一方いっぽうで、主おもに中央ちゅうおうアジア諸国しょこくからのEUへの不法ふほう侵入しんにゅう者しゃの取とり締しまりなどを行おこなっている。その一方いっぽうでEU外がいにあっては陸上りくじょう、そして黒海こっかいからの海上かいじょうルート全すべてをEUと接せっすることで、将来しょうらい的てきにはEUからの締しめ出だしを食くらう可能かのう性せいがない訳わけでもない。そこでウクライナもEUに加盟かめいするべきであるという議論ぎろんが生しょうじてくる。この意見いけんに対たいしてはウクライナ西部せいぶ・中部ちゅうぶでの支持しじが強つよい。

ドネツィクにおけるヤヌコーヴィチの支持しじ者しゃ

ウクライナ南東なんとう部ぶには、もともと地元じもとの工業こうぎょうがウクライナ全体ぜんたいの経済けいざいを牽引けんいんしてきたという自負じふがあり、さらに最近さいきんのロシア経済けいざいの好調こうちょうもあり、ロシアと取とり引ひきの多おおい地元じもとの工業こうぎょう地帯ちたいでは景気けいきが回復かいふくしていた。また、南東なんとう部ぶにはロシア人じんの人口じんこうが多おおく、ロシア語ごが使つかわれていた。そのためEU寄よりの政権せいけん誕生たんじょうには不安ふあんを抱いだく人ひとが多おおく、ロシアは当時とうじの南東なんとう部ぶ系けいウクライナ大統領だいとうりょうおよび南東なんとう部ぶ住民じゅうみんとの思惑おもわくの一致いっちを口実こうじつに、南東なんとう部ぶへ肩入かたいれしていた。

事件じけんの経緯けいい

支持しじ者しゃに応こたえるヴィクトル・ユシチェンコ（2004年ねん11月28日にち）

2004年ねん大統領だいとうりょう選挙せんきょの選挙せんきょ結果けっか。オレンジがユシチェンコ支持しじ、青あおがヤヌコーヴィチ支持しじ。北西部ほくせいぶほどユシチェンコ支持しじが鮮明せんめいであり、南東なんとう部ぶではヤヌコーヴィチ支持しじが鮮明せんめいになる。

こうした状況じょうきょうの中なかで2004年ねんの大統領だいとうりょう選挙せんきょでは、ロシアとの関係かんけいを重要じゅうよう視しする与党よとう代表だいひょうで首相しゅしょうのヴィクトル・ヤヌコーヴィチと、ヨーロッパへの帰属きぞくを唱となえる野党やとう代表だいひょうで前ぜん首相しゅしょう（当時とうじ）のヴィクトル・ユシチェンコの激はげしい一騎討いっきうちちとなった。

2004年ねん11月21日にちの開票かいひょうの結果けっか、大統領だいとうりょう選挙せんきょにおけるヤヌコーヴィチの当選とうせんが発表はっぴょうされると、その直後ちょくごから野党やとうユシチェンコ大統領だいとうりょう候補こうほ支持しじ層そうの基盤きばんであった西部せいぶ勢力せいりょくが、ヤヌコーヴィチ陣営じんえいにおいて大統領だいとうりょう選挙せんきょで不正ふせいがあったと主張しゅちょうし始はじめ、不正ふせいの解明かいめいと再さい選挙せんきょを求もとめて、首都しゅとキーウを中心ちゅうしんに、ゼネラル・ストライキ、座すわり込こみ、デモ、大だい規模きぼな政治せいじ集会しゅうかいを行おこない選挙せんきょ結果けっかに抗議こうぎした（右上みぎうえ写真しゃしんはユシチェンコ支持しじ者しゃがキーウで行おこなった集会しゅうかい）。

この抗議こうぎ運動うんどうはマスメディアを通つうじて世界せかい各国かっこくに報道ほうどうされ、大おおきな関心かんしんを呼よんだ。特とくにヨーロッパやアメリカでは野党やとうユシチェンコに対たいして、ロシアでは与党よとうヤヌコーヴィチに対たいして肩入かたいれする報道ほうどうがなされた。この報道ほうどう合戦かっせんではナショナリズム的てきな報道ほうどうに終始しゅうししたロシア側がわに対たいして、一連いちれんの大統領だいとうりょう選挙せんきょが民主みんしゅ的てきではないというスタンスを取とった欧米おうべい側がわの報道ほうどうに世界せかい世論せろんがなびいたため、徐々じょじょにロシア側がわの行動こうどうが規制きせいされる結果けっかとなった。このことは、後ごのキルギスでの政変せいへん時じ（チューリップ革命かくめい）にロシア側がわとして積極せっきょく的てきな動うごきができないなどの足あしかせともなった。

ロシアの支持しじを受うけたヤヌコーヴィチを中心ちゅうしんとする与党よとう勢力せいりょくは選挙せんきょ結果けっかを既成きせい事実じじつ化かしようと試こころみたが、野党やとう勢力せいりょくを支持しじするEU及およびアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくなどの後押あとおしもあり、結局けっきょく野党やとうの提案ていあんを受うけ入いれて再度さいど投票とうひょうが行おこなわれることとなった。再さい投票とうひょうの結果けっか、2004年ねん12月28日にちヴィクトル・ユシチェンコ大統領だいとうりょうが誕生たんじょうした。

この運動うんどうは同おなじく現職げんしょく政権せいけんへの抗議こうぎであるユーゴスラビアのミロシェヴィッチ大統領だいとうりょうに対たいする抗議こうぎ運動うんどう、その後ごグルジアで起おこったバラ革命かくめい（ローズ・レボリューション）に誘発ゆうはつされた運動うんどうであるとされる。また、原因げんいんとしては、ロシアが南東なんとう部ぶよりの当時とうじの政権せいけん側がわにあからさまに肩入かたいれしたためである、との説明せつめいがなされることが多おおい。

だがその一方いっぽうで、他国たこく勢力せいりょくの介入かいにゅうという点てんでは、ユシチェンコ陣営じんえいに対たいする米国べいこくからの介入かいにゅうがあったとする見方みかたも存在そんざいしており、具体ぐたい例れいとしては、米国べいこくの投資とうし家かジョージ・ソロスの名ななどが挙あげられている。

また、この政変せいへんで成立せいりつしたユシチェンコ政権せいけんであるが、成立せいりつ直後ちょくごから盟友めいゆうであったはずのティモシェンコとの対立たいりつが報ほうじられるなど政権せいけん内部ないぶの抗こう争そうが相次あいついだ。結果けっか、革命かくめいを支持しじした民衆みんしゅうも離反りはんし、最終さいしゅう的てきに支持しじ率りつが一いち桁けたに落おち込こむ。その結果けっかとして、2010年ねんのウクライナ大統領だいとうりょう選挙せんきょでは、一いち度どは「革命かくめい」によって大統領だいとうりょうになり損そこなったヤヌコーヴィチがウクライナ大統領だいとうりょうに就任しゅうにんするという、皮肉ひにくな事態じたいを招まねくこととなった。

2010年ねん9月30日にち、ウクライナ憲法けんぽう裁判所さいばんしょは2004年ねんの政治せいじ改革かいかく法ほうを違憲いけんと判断はんだんし、同どう法ほうによってもたらされた憲法けんぽう改正かいせいを無効むこうとする判決はんけつを下くだした。これにより、オレンジ革命かくめいは大おおきく後退こうたいすることとなった。

参考さんこう文献ぶんけん

• The Orange Revolution in Ukraine - a Step to Freedom (2nd ed ed.). (2007). p. 48. http://ukrainaphoto.com/ 
• 天てん江こう喜七郎きしちろう「オレンジ革命かくめいとウクライナ危機きき : 経験けいけん的てきウクライナ論ろん」『神戸こうべ学院がくいん経済けいざい学がく論集ろんしゅう』神戸学院大学こうべがくいんだいがく経済けいざい学会がっかい（編へん）第だい47巻かん第だい1・2号ごう、(特集とくしゅう ウクライナの政治せいじ・経済けいざいに関かんする史的してきならびに現状げんじょう分析ぶんせき)、2015年ねん9月がつ、23-48頁ぺーじ。

関連かんれん項目こうもく

• 色いろの革命かくめい
• チューリップ革命かくめい
• 尊厳そんげんの革命かくめい

外部がいぶリンク

• （英語えいご） オレンジ革命かくめいの年代ねんだい記き
• （日本語にほんご） オピニオン：オレンジ革命かくめい
• （日本語にほんご） オレンジ革命かくめい - ウクライナで作成さくせいされた日本語にほんごのウェブサイト「日本にっぽんのページ」のオレンジ革命かくめいの記き
• （日本語にほんご） 藤森ふじもり信吉のぶよし「ドネツクで考かんがえたこと」『スラブ研究けんきゅうセンターニュース』 季刊きかん 2005年ねん冬ふゆ号ごう No.100
• （日本語にほんご） ウクライナ民主みんしゅ主義しゅぎの戦たたかいのウソ - ジャーナリスト田中たなか宇による「オレンジ革命かくめい」の疑問ぎもん点てんを追及ついきゅうする記事きじ。
• （日本語にほんご） 続ぞく・ウクライナ民主みんしゅ化かの戦たたかいのウソ - 上記じょうきの記事きじの続編ぞくへん。