対たいテロ戦争せんそう

対たいテロ戦争せんそう
	; アフガニスタンでの作戦さくせん行動こうどう中ちゅうのアメリカ海兵かいへい隊たい。テロ組織そしきの構成こうせい員いんが潜伏せんぷくしていると考かんがえられる民家みんかを捜査そうさしている。
	戦争せんそう：テロとの戦たたかい
	年月日ねんがっぴ：2001年ねん9月11日にち以降いこう
	場所ばしょ：アフガニスタンやイラクなど。
	結果けっか：対象たいしょう国こくに対たいして軍事ぐんじ侵攻しんこうが行おこなわれているが、力ちからによってテロを完全かんぜんに封ふうじ込こめることは不可能ふかのうとなっている。
交戦こうせん勢力せいりょく
軍事ぐんじ作戦さくせん参加さんか国こく; アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく; イギリス; ロシア; 中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく; フランス; イスラエル; カナダ; オーストラリア; ドイツ; アフガニスタン; イラク; パキスタン; エチオピア; ソマリア; イエメン; パレスチナ（ファタハ）; フィリピン; シリア; リビア	作戦さくせんの標的ひょうてき; アルカーイダ; ターリバーン; ISIL; バアス党とう; イスラム法廷ほうてい会議かいぎ; パキスタン・ターリバーン運動うんどう; ヒズボラ; パレスチナ（ハマース）; ボコ・ハラム; カフカース首長しゅちょう国こく; 東ひがしトルキスタンイスラム運動うんどう; アブ・サヤフ; ジェマ・イスラミア
指導しどう者しゃ・指揮しき官かん
ジョージ・W・ブッシュ; バラク・オバマ; ジョー・バイデン	ウサーマ・ビン・ラーディン †; アイマン・ザワーヒリー †; サッダーム・フセイン
戦力せんりょく
国際こくさい治安ちあん支援しえん部隊ぶたい; 102,052人にん; （うち米まい軍ぐん68,000人にん）; 米べい軍ぐん増派ぞうは30,000人にん; 連合れんごう軍ぐん増派ぞうは7,000人にん; イラク駐留ちゅうりゅう軍ぐん; 増派ぞうは以前いぜん138,000人にん; （うち米まい軍ぐん93％）; アフガニスタン軍ぐん; 総そう兵力へいりょく181,000人にん; うち陸軍りくぐん174,000人にん; うち空軍くうぐん7,000人にん; イラク治安ちあん部隊ぶたい; 総そう兵力へいりょく193,000人にん; うち陸軍りくぐん180,000人にん; うち海軍かいぐん3,000人にん; うち空軍くうぐん5,000人にん; うち防空ぼうくう軍ぐん5,000人にん; 準じゅん軍事ぐんじ組織そしき148,000人にん	アルカーイダ; 数すう十じゅう人にん～500人にん; ターリバーン; 58,000人にん～100,000人にん; イスラム国こく; 10,000人にん; （最盛さいせい期き33,000人にん）
損害そんがい
米べい軍ぐん7052人にん戦死せんし; 現地げんち国軍こくぐん200,000人にん戦死せんし; 民間みんかん人じん370,000人にん犠牲ぎせい; 関係かんけい者しゃ数すう百ひゃく人にん以上いじょう犠牲ぎせい	300,000人にん戦死せんし
	アフガニスタン紛争ふんそう (2001年ねん-2021年ねん) リスト不朽ふきゅうの自由じゆう; クレセント・ウィンド; アフガン侵攻しんこう; ライノー; マザーリシャリーフ; クンドゥーズ1; へラート; タリバン政権せいけん崩壊ほうかい; タリン・コート; カンダハール; カラーイバシール; トラボラ; アナコンダ; タクル・ガー; ジャカナ作戦さくせん; マウンテン・バイパー; マウンテン・リゾルブ; アズベリーパーク; レッド・ウィング; パース作戦さくせん; ラシュカガル; マウンテン・スラスト; ヘルマンド州しゅう; (サンギン); (ナウザッド); (アキレス); (ピックアックス＝ハンドル); (ムサカラ); (ガルムシール); (イーグルス・サミット); (レッドダガー); (ディーゼル); (パンサーズ・クロー); (ストライク・オブ・ザ・ソード); カイカ; パンジュワイ; メデューサ; マウンテン・フューリー; ファルコン・サミット; フーバー; カミン; チョーラ; ハンマー; アナコンダ前線ぜんせん拠点きょてん; ナスラット; ハレカト・ヨロ; カレーズ; ゴラプライ; サルポサ刑務所けいむしょ; アルガンダブ; ワナト; オカブ作戦さくせん; カカラク; シーワン; チヌーク撃墜げきつい; ウズビン; バラムルガブ; シャーヒタンダル; アルザイ; チャハルダラ; ダヘイナ; カムデッシュ; 自由じゆうの番人ばんにん; クンドゥーズ2; クンドゥーズ3; カブールテロ事件じけん; クンドゥーズ4; 病院びょういん誤爆ごばく; 2021年ねんターリバーン攻勢こうせいドーハ合意ごうい; カンダハール; ザランジュ; カーブル陥落かんらく; ;
	表示ひょうじ;

対たいテロ戦争せんそう（たいテロせんそう、英語えいご: War on Terrorism または War on Terror、略称りゃくしょう: WoT）は、およそ2001年ねん頃ころから勃発ぼっぱつした、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくなどの有志ゆうし連合れんごうと呼よばれる国家こっかと、国内外こくないがいにおけるテロリズムを行おこなう組織そしきの間あいだの戦争せんそうである。勃発ぼっぱつの原因げんいんとしてはアメリカ同時どうじ多発たはつテロが契機けいきとなっており、テロ攻撃こうげきの犯人はんにんがアルカーイダであるとされ、アメリカ軍ぐんがイギリス軍ぐんなどと共ともにアルカーイダをかくまっているとされたアフガニスタン・イスラム首長しゅちょう国こくを攻撃こうげきし、崩壊ほうかいさせた他ほか、後のちにアルカーイダの最高さいこう指導しどう者しゃであるウサーマ・ビン・ラーディンを殺害さつがいした。しかし、アメリカの支援しえんを受うけて成立せいりつしたアフガニスタン・イスラム共和きょうわ国こくがゲリラ化かしたターリバーンの攻撃こうげきを受うけ崩壊ほうかい。同国どうこくに展開てんかいしていたアメリカ軍ぐんは撤退てったいする事こととなった^[10]。

正式せいしき名めいはテロとのグローバル戦争せんそう（GWOT:Global War on Terrorism）と呼よび^[11]^[12]、第だい三さん次じ世界せかい大戦たいせん^[13]やテロとの戦たたかいとも呼よばれた^{[注釈ちゅうしゃく 1]}。

アメリカ同時どうじ多発たはつテロ事件じけんを起おこしたアルカイダの首謀しゅぼう者しゃであるウサーマ・ビン・ラーディンの殺害さつがい成功せいこう（2011年ねん）により、歴史れきし的てきな区切くぎりを迎むかえたとされる。

しかし、2014年ねんには、アルカイダよりも規模きぼが大おおきいISILと世界せかい各国かっこくの戦たたかいが勃発ぼっぱつしている。

当事とうじ者しゃ

対たいテロ戦争せんそうの当事とうじ者しゃは大おおきく有志ゆうし連合れんごうとテロ組織そしきの2つの勢力せいりょくに分わかれる。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくを中心ちゅうしんとした有志ゆうし連合れんごうは「テロリストによる大量たいりょう殺人さつじんへの対抗たいこう」、イスラム過激かげき派はを中心ちゅうしんとしたテロ組織そしきは「西側にしがわ諸国しょこくによるムスリム迫害はくがいへの対抗たいこう」という立場たちばを取とっている。自衛じえいのための戦争せんそうを行おこなっている、という認識にんしきは双方そうほうの勢力せいりょくに共通きょうつうしている^[14]。

テロ組織そしき自体じたいは大量たいりょう殺人さつじんの正当せいとう化かという意味いみで世界せかい的てきに批判ひはんされているが、テロリズムの撲滅ぼくめつという大義名分たいぎめいぶんを掲かかげるアメリカが、イスラム諸国しょこくの状況じょうきょうを深ふかく理解りかいせずにアルカイダ以外いがいの組織そしきに対たいして先手せんて必勝ひっしょうで仕掛しかけた「自衛じえい戦争せんそう」により、イスラム諸国しょこくの反感はんかんを買かい、新あらたなテロ組織そしきの台頭たいとうを招まねいている事実じじつも批判ひはんされている。

有志ゆうし連合れんごう

対たいテロ戦争せんそうは「人類じんるい史上しじょう最大さいだいの連合れんごう」^[15]とも呼よばれた多おおくの国家こっかが連合れんごうして行いっている。対たいテロ戦争せんそうで行おこなわれた作戦さくせんによって変動へんどうするものであり、特定とくていの国際こくさい機構きこうや同盟どうめいに規定きていされた単一たんいつの国家こっかの連合れんごうではない。世界せかいに存在そんざいする、ありとあらゆる組織そしきを凌駕りょうがする圧倒的あっとうてきな戦力せんりょくを擁ようする。

対たいテロ戦争せんそうにおいて最もっとも指導しどう的てきな立場たちばにあるのがアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくとイギリスであり、イラクやアフガニスタンで対たいテロ作戦さくせんを展開てんかいしている。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくは『四よん年ねん次じ国防こくぼう見直みなおし(Quadrennial Defense Review)』にて国家こっか戦略せんりゃくとして国土こくど防衛ぼうえいや大量たいりょう破壊はかい兵器へいき使用しようの防止ぼうしなどと並ならんでテロリスト・ネットワークの打倒だとうを掲かかげている^[16]。

またアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくだけでなくイスラエルはパレスチナ問題もんだいを通つうじてでテロリズムに直面ちょくめんしている。反はんシオニズムのパレスチナ勢力せいりょくとしてヒズボラやハマースなどがあるが、これらは政治せいじ勢力せいりょくであると同時どうじにテロ攻撃こうげきをも行おこなう勢力せいりょくである。なお、同おなじ反はんシオニズム勢力せいりょくの中なかでもファタハなどの穏健おんけん派はは有志ゆうし連合れんごうに味方みかたしている。

対たいテロ作戦さくせんはさらにオーストラリアやカナダなどが参加さんかしており、中東ちゅうとうや東南とうなんアジア、アフリカの角かくなどでの多た国籍こくせき軍ぐんによる作戦さくせんやアフガニスタンでの不朽ふきゅうの自由じゆう作戦さくせんではイラクやアフガニスタンはまさに当事とうじ国こくとなっており、国民こくみんがテロの被害ひがいにあったりまたは国民こくみんがテロ組織そしきに加入かにゅうしたりするなど深刻しんこくな状況じょうきょうであるためアメリカなどと共ともに軍ぐんや警察けいさつを動員どういんしてテロ組織そしきと戦たたかっている。またアフガニスタンではパキスタンも政府せいふ軍ぐんや米べい英軍えいぐんなどを支援しえんしているほか同国どうこくも軍ぐんを派遣はけんしている。その他たではフィリピンやインドネシアなどの東南とうなんアジア諸国しょこくも国内こくないのテロ組織そしきの掃討そうとう・監視かんし等とうを行おこない対策たいさくを強化きょうか。また日本にっぽんはアメリカとの同盟どうめいに基もとづき兵站へいたんを担になうなど後方こうほう支援しえんを行おこなっている。

テロ組織そしき

テロ組織そしきとはテロリズムを実践じっせんする組織そしきである。またテロ組織そしきを支援しえんするとされるイランやシリアなどの国家こっかはテロ支援しえん国家こっかと呼よばれる。冷戦れいせん後ごのテロ組織そしきはイスラム主義しゅぎの運動うんどうと関連かんれんしており、従来じゅうらいの分離ぶんり主義しゅぎや民族みんぞく主義しゅぎの運動うんどうと並ならぶテロ活動かつどうの動機どうきとなっている。小規模しょうきぼで戦力せんりょくは弱よわいが、ゲリラ的てきな活動かつどうを主体しゅたいとし、テロ組織そしきの所在しょざいの特定とくていやテロ事件じけん発生はっせいの予測よそくと撲滅ぼくめつが難むずかしい。

対たいテロ戦争せんそうの主体しゅたいとして特とくに有名ゆうめいなテロ組織そしきとして挙あげられるのがアルカイダである。アルカイダはウサーマ・ビン・ラーディンによって主導しゅどうされているが、固定こてい的てきな構成こうせい員いんを持もつ組織そしきではなく、首脳しゅのう部ぶによって構成こうせいされる中核ちゅうかくを中心ちゅうしんとするテロリストの流動的りゅうどうてきかつ広範こうはんなネットワークであるとされている^[17]。

ビン・ラーディンの主張しゅちょうはサウジアラビア駐留ちゅうりゅう米まい軍ぐんの撤退てったい、サウジアラビアの税制ぜいせいや保健ほけん衛生えいせいの改革かいかく、イラク制裁せいさいの解除かいじょ、パキスタンやチェチェン、カシミールでの人権じんけん弾圧だんあつの解決かいけつである。第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんでの核かく攻撃こうげき、戦後せんごの核かく開発かいはつ、イスラエル支援しえん、人権じんけん侵害しんがいなどを理由りゆうにアメリカを「史上しじょう最悪さいあくの文明ぶんめい」として強つよく非難ひなんする^[18]。

詳細しょうさいは「アフガニスタン紛争ふんそう (2001年ねん-2021年ねん)」および「2021年ねんターリバーン攻勢こうせい」を参照さんしょう

またアルカーイダと関係かんけいがあったとされるタリバンはムハンマド・オマルが指導しどうするイスラム主義しゅぎ運動うんどうの流ながれを汲くむ政治せいじ勢力せいりょくであり、2022年ねん現在げんざいアフガニスタンを支配しはいしている。

また、アルカイダやタリバンなどとは別べつに、ソマリアのイスラム法廷ほうてい会議かいぎや東南とうなんアジアのアブ・サヤフ、ジェマ・イスラミアもイスラム原理げんり主義しゅぎ組織そしきとして知しられる他ほか、反はんシオニズムの政治せいじ勢力せいりょくであるハマースやヒズボラ、フセイン政権せいけん崩壊ほうかい後ごのバアス党とうなどはレジスタンス活動かつどうでもあるが、その手法しゅほうにテロリズムが含ふくまれるためにテロ組織そしきと呼よばれることもある。

作戦さくせん概要がいよう

テロリズム

詳細しょうさいは「テロリズム」を参照さんしょう

テロリズムを定義ていぎすることは難むずかしいが、その目的もくてきから政治せいじ的てきな策略さくりゃくとして理解りかいすることができる。つまり暴力ぼうりょくによって政府せいふや社会しゃかいに対たいする心理しんり的てきな衝撃しょうげきを与あたえるための手段しゅだんであり、より大おおきな政治せいじ戦略せんりゃくの一環いっかんとして位置いちづけることができる。軍事ぐんじ学がく的てきに見みれば、テロ攻撃こうげきはゲリラ戦せんのような不正規ふせいき戦せんでしばしば利用りようされる作戦さくせんである。テロ攻撃こうげきに必要ひつような計画けいかく、人員じんいん、装備そうび、訓練くんれん、拠点きょてんなどは高度こうどに秘匿ひとくされながら準備じゅんびされ、敵てきである政府せいふや軍事ぐんじ組織そしきだけでなく、一般いっぱん市民しみんまでをも攻撃こうげきの対象たいしょうとする場合ばあいもある。これは攻撃こうげきの物理ぶつり的てきな成果せいかは本質ほんしつ的てきには重要じゅうようではなく、その攻撃こうげきでもたらされる恐怖きょうふや畏怖いふが狙ねらいであるためである。

対たいテロ作戦さくせん

詳細しょうさいは「対たい反乱はんらん作戦さくせん」、「対たいテロ作戦さくせん」、および「対たいゲリラ作戦さくせん」を参照さんしょう

テロ攻撃こうげきを防御ぼうぎょすることは極きわめて困難こんなんである。テロ攻撃こうげきの被害ひがいを防ふせぐためには不正規ふせいき戦せんにおいて敵てきに攻勢こうせいをかける必要ひつようがある。しかし伝統でんとう的てきな軍事ぐんじ力りょくに対たいする作戦さくせんとは異ことなり、不正規ふせいき戦せんの特性とくせいに合致がっちした作戦さくせん能力のうりょくが必要ひつようである。この作戦さくせん能力のうりょくが備そなわっている戦力せんりょくとして特殊とくしゅ部隊ぶたいが高たかく評価ひょうかされている。特殊とくしゅ部隊ぶたいはテロリストを発見はっけんしてから排除はいじょするまでのあらゆる機能きのうを集約しゅうやくした部隊ぶたいである。対たいテロ作戦さくせんとして、特殊とくしゅ部隊ぶたいはさまざまな情報じょうほう源げんを活用かつようした諜報ちょうほう・諜報ちょうほう活動かつどう、対たいゲリラ作戦さくせんのような存在そんざいが秘匿ひとくされた敵てきを迅速じんそくに発見はっけん、拘束こうそくして殲滅せんめつする戦闘せんとう、また現地げんちの行政ぎょうせい機関きかんや治安ちあん機関きかんとの関係かんけいを構築こうちくして連携れんけいする民事みんじ作戦さくせん、公共こうきょうサービスの提供ていきょうなどによって現地げんち住民じゅうみんの人心じんしんを掌握しょうあくする心理しんり戦せんを行おこなう。敵てきゲリラ組織そしきだけでなく、一般いっぱん市民しみんまでをも攻撃こうげきの対象たいしょうとする場合ばあいもある。これも攻撃こうげきの物理ぶつり的てきな成果せいかは本質ほんしつ的てきには重要じゅうようではなく、その攻撃こうげきでもたらされる恐怖きょうふや畏怖いふが狙ねらいであるためである。

経過けいか

アメリカ同時どうじ多発たはつテロ事件じけんが起おきた2001年ねん9月がつ11日にち以降いこう、イスラム過激かげき派はと世界せかい各国かっこくの対立たいりつの構図こうずが形成けいせいされ、終おわりの見みえない戦たたかいが続つづいている。

テロリズムの脅威きょうい

詳細しょうさいは「アメリカ同時どうじ多発たはつテロ事件じけん」を参照さんしょう

2001年ねん 9月11日にちに発生はっせいしたアメリカ同時どうじ多発たはつテロにより、ハイジャックされた2機きの飛行機ひこうきはニューヨークの世界せかい貿易ぼうえきセンタービル、1機きはバージニア州しゅうアーリントン郡ぐんの国防総省こくぼうそうしょうに衝突しょうとつし、1機きはペンシルベニア州しゅうに墜落ついらくした。

結果けっかとして2,977人にんの民間みんかん人じんが死亡しぼうし、世界せかいに衝撃しょうげきを与あたえた。事件じけんはアルカーイダによるものと報道ほうどうされ、国際こくさいテロ組織そしきの脅威きょういが強つよく認識にんしきされることになった。米べい大統領だいとうりょうジョージ・W・ブッシュはこの大だい規模きぼなテロ事件じけんをうけて9月がつ12日にちの国家こっか安全あんぜん保障ほしょうチームの会合かいごうにおいて、このようなテロ攻撃こうげきはもはやテロリズムではなく「戦争せんそう行為こうい(acts of war)」であると述のべた。

こうして自由じゆうと民主みんしゅ主義しゅぎが危機ききに瀕ひんしている情勢じょうせいと主張しゅちょうし、このような新あたらしい脅威きょういに対抗たいこうするためにテロリズムとの戦たたかい、すなわち対たいテロ戦争せんそうの重要じゅうよう性せいが論ろんじられるようになる。

対たいテロ作戦さくせんの開始かいし

詳細しょうさいは「アフガニスタン紛争ふんそう (2001年ねん-2021年ねん)」を参照さんしょう

9月がつ20日はつかにはブッシュ大統領だいとうりょうは米国べいこく議会ぎかいと国民こくみんに対たいして訴うったえかけ、ウサーマ・ビン・ラーディンが指導しどうするアルカーイダなどの国際こくさいテロリズムの存在そんざいを指摘してきした上うえでアルカーイダがアフガニスタン政府せいふによって支援しえんされていると述のべ、当時とうじアフガニスタンを統治とうちしていたターリバーンを非難ひなんした。

10月7日にち、有志ゆうし連合れんごうは「テロリズムに対たいする汎ひろし地球ちきゅう戦争せんそう」（Global War on Terrorism）としてアフガニスタン侵攻しんこうを開始かいしした。アメリカ軍ぐんが主力しゅりょくとなり、『不朽ふきゅうの自由じゆう作戦さくせん(Operation Enduring Freedom-Afghanistan, OEF-A)』を実行じっこうしてアルカーイダと繋つながりがあるとされたターリバーン政権せいけんを攻撃こうげきした。これが対たいテロ戦争せんそうにおける最初さいしょの戦たたかいと位置いちづけることができる。

北大西洋きたたいせいよう条約じょうやく機構きこうもこの軍事ぐんじ作戦さくせんに賛同さんどうはするが、主要しゅような作戦さくせんへの参加さんかは各国かっこくの自主じしゅ性せいに委ゆだねた。関連かんれんする作戦さくせんとして10月16日にちに海上かいじょう阻止そしを行おこなう『活発かっぱつなエンデバー作戦さくせん(Operation Active Endeavour)』を公式こうしきに開始かいしした。

また不朽ふきゅうの自由じゆう作戦さくせんはアフガニスタンだけでなく、有志ゆうし連合れんごうによって2002年ねんにはフィリピン、グルジア、ジブチ、エチオピア、ソマリアでも行おこなわれた。これら作戦さくせんは地域ちいきの安定あんてい化かのための治安ちあん作戦さくせんや軍事ぐんじ支援しえんなどを含ふくむものである。

イラクへの侵攻しんこう

詳細しょうさいは「イラク戦争せんそう」を参照さんしょう

ターリバーン政権せいけんを打倒だとうした後のちもインドネシアのバリ島ばりとうやテロ事件じけんなどが続つづき、またアルカーイダの指導しどう者しゃであるウサーマ・ビン・ラーディンも10年ねん近ちかく行方ゆくえがわからなくなり（2011年ねん5月がつ2日にちにアメリカ軍ぐんにより殺害さつがい）、テロリズムの脅威きょういはなくならなかった。対たいテロ戦争せんそうは続つづき、2002年ねん1月がつ29日にちの一般いっぱん教書きょうしょ演説えんぜつではイラク、北朝鮮きたちょうせん、イランなどを名指なざしして「悪あくの枢軸すうじく」と発言はつげんした。核かく開発かいはつ疑惑ぎわくをめぐってはイラクのフセイン政権せいけんへの敵視てきしを強つよめる。

テロリストが入手にゅうしゅ可能かのうなイラクの大量たいりょう破壊はかい兵器へいきについて国際こくさい原子力げんしりょく機関きかんがイラクを調査ちょうさし、そのような疑惑ぎわくは否定ひていされる。しかしアメリカはその報告ほうこくを認みとめず、2003年ねん3月がつ19日にちにイラク戦争せんそうを開始かいししてフセイン政権せいけんを倒たおすが、大量たいりょう破壊はかい兵器へいきは発見はっけんされなかった。イラク戦争せんそうによってフセイン政権せいけんが打倒だとうされると、イラクでは抑圧よくあつの重石おもしがなくなった事ことも災わざわいして部族ぶぞく、民族みんぞく、宗派しゅうはをめぐる対立たいりつが激化げきかし、治安ちあんが急速きゅうそくに悪化あっかする。2004年ねん7月がつ、サッダーム・フセイン元もと大統領だいとうりょうはイラクの裁判所さいばんしょに起訴きそされ、2006年ねん12月に死刑しけい判決はんけつを受うけ執行しっこうされた。

続つづくテロ事件じけん

イラクでフセイン政権せいけんを打倒だとうした後のちの2004年ねん3月がつにパキスタンではワジリスタン紛争ふんそうが開始かいしされた。パキスタン軍ぐんや地域ちいきの武装ぶそう勢力せいりょくと、ターリバーン、アルカーイダ系けいの武装ぶそう勢力せいりょくとの戦たたかいであり、アメリカもアルカーイダを掃討そうとうするために作戦さくせんに参加さんかした。この作戦さくせんによってアフガニスタンとパキスタン国境こっきょう地帯ちたいのターリバーン勢力せいりょくは打撃だげきを受うけた。

しかし2004年ねん3月がつ11日にちにアルカーイダ系けいのテロ組織そしきによってスペイン列車れっしゃ爆破ばくは事件じけんが実行じっこうされ、またチェチェン共和国ちぇちぇんきょうわこく独立どくりつ派はによって9月がつ1日にちにベスラン学校がっこう占拠せんきょ事件じけんが発生はっせいした。2005年ねんにも7月がつ7日にちにロンドン同時どうじ爆破ばくは事件じけんが引ひき起おこされ、21日にちにも二に回かい目めのテロ事件じけんがあった。それ以後いごもインドネシア、インドでもテロ事件じけんが続つづいた。

評価ひょうか

ヒラリー・クリントン国務こくむ長官ちょうかんは2009年ねん3月がつ30日にち、ハーグに向むかう途中とちゅうで同行どうこう記者きしゃ団だんに、バラク・オバマ政権せいけんが「対たいテロ戦争せんそう」なる語かたりの使用しようを中止ちゅうしした旨むね述のべた^[19]。

アメリカ軍ぐんはイラクからは2011年ねん12月に撤退てったいした。アフガニスタンではアメリカ軍ぐんおよび国際こくさい治安ちあん支援しえん部隊ぶたいとターリバーンの戦闘せんとうが継続けいぞくしている。また掲かかげられたイラク侵攻しんこうの理由りゆうが変かえられたためにその正統せいとう性せいに対たいする批判ひはんもある。イスラム主義しゅぎに根ねざしたテロ組織そしきではアメリカとイスラエルの軍隊ぐんたいがダール・アル＝イスラームの征服せいふくをもくろんで開始かいししたものであり、イスラム教徒きょうとが彼かれらと戦たたかうのはアッラーの道みちにかなったジハードであるとしている。対たいテロ戦争せんそうでパレスチナ問題もんだいのパレスチナ側がわ組織そしきがテロ組織そしきとして挙あげられていることなどにより、その正統せいとう性せいに疑うたがいを投なげかける材料ざいりょうとされている。

イギリス外務がいむ大臣だいじんデイヴィッド・ミリバンドは、2009年ねん1月がつ15日にち付づけガーディアンに論文ろんぶんを投稿とうこう、この中なかで「“対たいテロ戦争せんそう”なる定義ていぎは誤あやまりだった、却かえって諸しょ勢力せいりょくを団結だんけつさせる事ことに繋つながった」と述のべた。イギリス政府せいふも2007年ねんからは「テロを煽あおる事ことになる」としてこの語かたりを用もちいないようにしている。