ハマース

• イスラーム抵抗ていこう運動うんどう ハマース
• حركة حماس‎

組織そしき旗き
前身ぜんしん	ムスリム同胞どうほう団だん パレスチナ解放かいほう機構きこう（宗教しゅうきょう派閥はばつ） インティファーダ
設立せつりつ	1987年ねん12月
設立せつりつ者しゃ	アフマド・ヤースィーン マフムード・ザッハール
目的もくてき	極右きょくう イスラム原理げんり主義しゅぎ イスラエル打倒だとう 全ちょんパレスチナ解放かいほう
本部ほんぶ	ガザ地区ちくガザ市し
貢献こうけん地域ちいき	対たいイスラエル武装ぶそう闘争とうそうの主導しゅどう ガザ地区ちくでの慈善じぜん事業じぎょう
公用こうよう語ご	アラビア語ご ほか
指導しどう者しゃ	最高さいこう指導しどう者しゃ ヤヒヤ・シンワル ガザ地区ちくの指導しどう者しゃ ヤヒヤ・シンワル 軍事ぐんじ部門ぶもん司令しれい官かん ムハンマド・デイフ 軍事ぐんじ部門ぶもん副ふく司令しれい官かん マルワーン・イーサー
職員しょくいん数すう	15,000～40,000 (2023/10/7前まえの推定すいてい戦闘せんとう員数いんずう)

ハマース（アラビア語ご: حماس‎ Ḥamās, ハマース、英語えいご: Hamas）あるいはハマース運動うんどう（アラビア語ご: حركة حماس‎ Ḥarakat Ḥamās, ハラカト・ハマース、英語えいご: Hamas Movement）は、1987年ねんに結成けっせいされたパレスチナのスンナ派はイスラム原理げんり主義しゅぎ、民族みんぞく主義しゅぎ的てきな政治せいじ・軍事ぐんじ組織そしきで現在げんざいはガザ地区ちくを統治とうちしている。

名称めいしょうについては、公安調査庁こうあんちょうさちょうや多おおくの日本にっぽんメディアはハマスと表記ひょうき。組織そしきの性質せいしつを添そえた「イスラム原理げんり主義しゅぎ組織そしきハマス」といった記載きさいもなされている。

概要がいよう

正式せいしき名称めいしょうはイスラーム抵抗ていこう運動うんどう（アラビア語ご: حركة المقاومة الإسلامية‎ Ḥarakat al-Muqāwama al-Islāmīya, ハラカト・アル＝ムカーワマ・アル＝イスラーミーヤ, 実際じっさいの発音はつおん：ハラカトゥ・ル＝ムカーワマティ・ル＝イスラーミーヤ）で、アラビア文字もじ表記ひょうきの語頭ごとうや途中とちゅうに含ふくまれる文字もじ を合あわせて「ハマース」 (حماس, Ḥamās) と通称つうしょうされる。

ハマースは1987年ねん12月にパレスチナ地区ちくのムスリム同胞どうほう団だんの最高さいこう指導しどう者しゃアフマド・ヤースィーンにより対たいシオニズム抵抗ていこう組織そしきとして結成けっせいされた。パレスチナ土地とち奪還だっかんと、パレスチナ人権じんけん保護ほごを目的もくてきに活動かつどうしておりその方針ほうしんは『ハマース憲章けんしょう』にて規定きていされている。

2006年ねんのパレスチナ立法りっぽう選挙せんきょで勝利しょうりし、2007年ねんのガザの戦たたかいの後のち、ガザ地区ちくの事実じじつ上じょうの統治とうち当局とうきょくとなった。パレスチナ自治じち政府せいふの議会ぎかいでも過半数かはんすうを占しめているものの2007年ねんの分割ぶんかつ統治とうち以降いこう、議会ぎかいは実質じっしつ停止ていししている。

2006年ねん以降いこうの最高さいこう指導しどう者しゃはイスマーイール・ハニーヤでカタールを拠点きょてんとしている。

ハマースは社会しゃかい奉仕ほうし組織そしき「ダアワ（الدعوة, al-Daʿwa ないしは al-Daʿwah, アッ＝ダアワ）」と軍事ぐんじ組織そしき「イッズッディーン・アル＝カッサーム旅団りょだん（كتائب عز الدين القسام, Katāʾib ʿIzz al-Dīn al-Qassām）」を擁ようするが、これらはハマース設立せつりつ前まえから活動かつどうしていたムスリム同胞どうほう団だん系けい組織そしきを継承けいしょうした形かたちとなっている。

戦闘せんとう員数いんずうの正確せいかくな数かずは明あきらかになっていないが、2023年ねん10月がつ7日にち以前いぜんの時点じてんでは15,000～40,000人にんだったと言いわれている。

カナダ、欧州おうしゅう連合れんごう、イスラエル、日本にっぽん、オーストラリア、イギリス、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくはハマースをテロ組織そしきとして指定していしている。ニュージーランドとパラグアイは軍事ぐんじ組織そしきのみをテロ組織そしきとして指定していしている。ブラジル、中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく、エジプト、イラン、ノルウェー、カタール、ロシア、シリア、トルコからはテロ組織そしきとはみなされていない。2018年ねん12月、ハマースに対たいするテロ組織そしきとしての非難ひなん決議けつぎは国連こくれん総会そうかいを通過つうかできなかった。

名称めいしょうと発音はつおん・表記ひょうき

アラビア語ご

正式せいしき名称めいしょうと略称りゃくしょう

正式せいしき名称めいしょうはイスラーム抵抗ていこう運動うんどう（アラビア語ご: حركة المقاومة الإسلامية‎ Ḥarakat al-Muqāwama al-Islāmīya, ハラカト・アル＝ムカーワマ・アル＝イスラーミーヤ, 実際じっさいの発音はつおん：ハラカトゥ・ル＝ムカーワマティ・ル＝イスラーミーヤ）である。

上記じょうき3単語たんごのアラビア文字もじ表記ひょうきの語頭ごとうや途中とちゅうに含ふくまれる文字もじ ح (ḥ)、 م (m)、ا (āの一部いちぶ)、س (s) を並ならべた上うえで略称りゃくしょうとして発音はつおんするようح (ḥ)とم (m)に母音ぼいんaを加くわえ、ا を前まえの文字もじに付加ふかする母音ぼいんaと組くみ合あわせ長ちょう母音ぼいんā化かする弱じゃく文字もじアリフ（長ちょう母音ぼいんアリフ、soft Alif）とすることで形成けいせいされた頭字かしらじ語ご（アクロニム）の「ハマース」 (حماس, Ḥamās) が通称つうしょうとして用もちいられている。

一方いっぽうハマースの関係かんけい者しゃらは正式せいしき名称めいしょうに含ふくまれる「アル＝ムカーワマ（اَلْمُقَاوَمَة, al-muqāwamah ないしは al-muqāwama）」を多用たようしており、ガザ住民じゅうみんらが「アル＝ムカーワマ」と呼よぶ場合ばあいはハマースを指さしていることが多おおい。

アラブ世界せかい全体ぜんたいで共通きょうつうの文語ぶんごアラビア語ごにおける発音はつおんと意味いみ

この略称りゃくしょうはアラビア語ごの名詞めいし حَمَاسٌ（ḥamās, ハマース）

（アラビア語ごでのハマースの発音はつおん）

＊標準ひょうじゅん的てきなアクセント位置いちは「マー」部分ぶぶん

と同どう綴つづり同音どうおんであり、その語かたりが持もつ「激はげしさ、強つよさ」「熱情ねつじょう、熱意ねつい、激情げきじょう、活気かっき」「勇敢ゆうかん、勇いさむ猛たけし、屈強くっきょう、頑強がんきょう」「闘争とうそう、戦闘せんとう」などを想起そうきさせる組織そしき名めいとなっている。

アラビア語ごにおけるハマースとハマスの違ちがい

長ちょう母音ぼいんを含ふくまない「ハマス（حَمَسْ（ḥamas, ハマス））」

（アラビア語ごでの別べつ単語たんごハマスの発音はつおん）

＊標準ひょうじゅん的てきなアクセント位置いちは「ハ」部分ぶぶん

はアラビア語ごではハマース（حَمَاسٌ, ḥamās）とは全まったく別べつの単語たんごとして存在そんざいしており、

حَمَسٌ（ḥamas, ハマス）の休止きゅうし形がた発音はつおんحَمَسْ（ḥamas, ハマス）

（1）【動どう名詞めいし】（人ひとや地面じめんについて）強固きょうこ、頑強がんきょう；激はげしさ、強つよさ；武勇ぶゆう、勇いさむ猛たけし（ハマースの姉妹しまい語ご）

（2）【集合しゅうごう名詞めいし】亀かめ

（3）アルジェリアのムスリム同胞どうほう団だん系けい組織そしき「平和へいわ社会しゃかい運動うんどう」（アラビア語ご：حركة مجتمع السلم, Ḥarakat Mujtamaʿ al-Silm, ハラカト・ムジュタマア・アッ＝スィルム）の略称りゃくしょう

حَمَسَ（ḥamasa, ハマサ）の口語こうご発音はつおんحَمَسْ（ḥamas, ハマス）

【動詞どうし】（肉にくなどを）油あぶら炒いためする；（他人たにんを）怒いからす

などが挙あげられる。

アラビア語ごにおいてハマースとハマスとでは長ちょう母音ぼいん「ー」の有無うむで語形ごけいが異ことなるため別々べつべつの単語たんごとして区別くべつされ意味いみも変かわる上うえ、「ハマス」だと略称りゃくしょうの構成こうせい成分せいぶんである4文字もじのうち「ا (ā)」部分ぶぶんの1文字もじが脱落だつらくすることで「イスラーム抵抗ていこう運動うんどう」が「スラーム抵抗ていこう運動うんどう」となってしまった事例じれいに相当そうとうするとも言いえるが、日本にっぽんではハマースもハマスも同おなじ物ぶつを表あらわすものとして扱あつかい単たんなるカタカナ表記ひょうきの揺ゆれとしてみなすのが一般いっぱん的てきである。

なお「ハマース」のハ（ح）は咽頭いんとう摩擦音まさつおんと呼よばれ日本語にほんごには存在そんざいしないが、声門せいもん摩擦音まさつおんである日本語にほんごのハ（アラビア語ごの هَ, ha）とよく似にているため「ハ」以外いがいを当あてるカタカナ表記ひょうきは無ない。一方いっぽうマー（ما, mā）部分ぶぶんとス（س, s）部分ぶぶんは日本語にほんごと同おなじ発音はつおん「マー」「ス（ただし母音ぼいんuを伴ともなわない子音しいんsのみの発音はつおんが普通ふつう）」とみて差さし支つかえない。日本語にほんご発音はつおんと異ことなる部分ぶぶんは語頭ごとうのハ部分ぶぶんだが、多おおくのアラビア語ご学習がくしゅう者しゃがき分きわけに苦労くろうする程度ていどには日本語にほんごのハに似にており、マース部分ぶぶんが日本語にほんご発音はつおんとほぼ同一どういつである「ハマース」はアラビア語ご発音はつおんに最もっとも近ちかいカタカナ表記ひょうきとなっている。

アラビア語ごはわずかな聞きこえの違ちがいで言葉ことばを作つくっている言語げんごであるため、長ちょう母音ぼいん「ハー」か短たん母音ぼいん「ハ」か、長ちょう母音ぼいん「ハー」か声門せいもん閉鎖へいさ音おん「ハッ」「ハァ」か、長ちょう母音ぼいん「ー」の位置いちがどこに来くるか、促音そくおん「ッ」があるかどうか・またその位置いちはどこかによって全すべて別べつの単語たんごとして区別くべつしている。アラビア語ご発音はつおんに近ちかい「ハマース」以外いがいの「ハマス」「ハマッス」「ハッマース」「ハマァス」「ハマアス」「ハッマス」「ハァマス」「ハーマス」などはアラビア語ご話者わしゃによって全すべて別べつの語かたりとみなされるか、アラビア語ごに実在じつざいしない語かたりとして扱あつかわれるか、誤読ごどくとみなされるなどする。

なお文語ぶんごアラビア語ごの「ハマース」として発音はつおんされていても、長ちょう母音ぼいん「ー」部分ぶぶんが日本語にほんごのそれよりも短みじかめで「ハマース」と「ハマス」の中間ちゅうかんに聞きこえることも少すくなくない。

文語ぶんごアラビア語ごと口語こうごアラビア語ご（アラブ諸国しょこく各地かくちの方言ほうげん）との発音はつおん相違そうい

正則せいそくアラビア語ご、現代げんだい標準ひょうじゅんアラビア語ごなどと呼よばれる文語ぶんごアラビア語ご（フスハー）での発音はつおんは「ハマース（IPA: [ħaˈmaːs]）」だが、イマーラ（al-imālah ないしは al-imāla, アル＝イマーラ, 「傾斜けいしゃ」の意い）と呼よばれるアのエ化か、アーのエー化かないしはその中間ちゅうかんである「æ」化かが起おこる方言ほうげんの話者わしゃだと完全かんぜんに「ハメース」（例れい：レバノン・ベイルート方言ほうげん、チュニジア方言ほうげん）と聞きこえるか、「ハマース」と「ハメース」（例れい：エジプト方言ほうげん）の中間ちゅうかんに聞きこえることもある。

また「ヘメース」「ヘェメェス」に近ちかく聞きこえる場合ばあいも話者わしゃの方言ほうげんを反映はんえいした読よみとなっているが、アラブ諸国しょこく全域ぜんいきで見みた場合ばあいそのような発音はつおんが聞きかれることは稀まれである。標準ひょうじゅん的てき・正則せいそく的てき発音はつおんとされるものから大おおきく離はなれた発音はつおんであり、かつハマースの地元じもとであるパレスチナの方言ほうげんのそれとは異ことなっていることから、「現地げんちでの発音はつおんに即そくしたカタカナ表記ひょうき」と表現ひょうげんすることは困難こんなんである。

アラビア語ご圏けんでは一般いっぱん名詞めいしではなく組織そしき名めいとしてのハマースについては方言ほうげん会話かいわも含ふくめ各国かっこく共通きょうつうの文語ぶんごアラビア語ご（フスハー）に即そくした「ハマース（IPA: [ħaˈmaːs]）」そのものかそれに寄よせた発音はつおんが行おこなわれていること、ニュース報道ほうどうでは現地げんち方言ほうげんではなく文語ぶんごアラビア語ご（フスハー）が採用さいようされていることから、アラビア語ご放送ほうそうやインタビュー動画どうがなどでは上うえのサンプル音声おんせい1個こ目めで示しめしたハマース発音はつおんの割合わりあいが極きわめて高たかい。

マグリブ方言ほうげん（口語こうご）のようにアクセント位置いち移動いどうが顕著けんちょな方言ほうげんによってはハマースのアクセントが標準ひょうじゅん的てきなマー部分ぶぶんではなくハに置おかれかつ長ちょう母音ぼいんが通常つうじょうよりも短みじかくなる事例じれいがあり、日本語にほんご話者わしゃには「ハマス」と言いっているように聞きこえることがある。

ただしつづり上長じょうちょう母音ぼいん部分ぶぶんが省略しょうりゃくされる訳わけではなく、文語ぶんごと同おなじ حَمَاس（ḥamās, ハマース）を意図いとしているものの方言ほうげんでの発音はつおん変化へんかのみが加くわわった事例じれいとなっている。

アラブ人じんによるアラビア語ごの"正ただしい発音はつおん"の定義ていぎ

正則せいそくアラビア語ご、現代げんだい標準ひょうじゅんアラビア語ごなどと呼よばれる文語ぶんごアラビア語ご（フスハー）に関かんしては母音ぼいんがa、i、uしか無ないため、「ヘ（ḥe）」や「メー（mē）」といった音おと自体じたいが存在そんざいしない。

アラブ人じんのいう「正ただしいアラビア語ごの発音はつおん（النطق الصحيح, al-nuṭq al-ṣaḥīḥ, アン＝ヌトク・アッ＝サヒーフ）」とはいわゆる文語ぶんごアラビア語ごの発音はつおんのことで、欧米おうべいの音声おんせい学がくに似にたクルアーン（コーラン）朗誦ろうしょう学がく（タジュウィード）で定さだめられた特定とくていの調音ちょうおん方法ほうほう（المخارج الصحيحة, al-makhārij al-ṣaḥīḥa, アル＝マハーリジュ・アッ＝サヒーハ, 「正ただしい発声はっせい部位ぶい」の意い）で発はっした子音しいんと母音ぼいんによりアラビア語ごを発音はつおんすることを意味いみする。

アラビア語ごではクルアーン（コーラン）朗誦ろうしょうをいかに正確せいかくに行おこなうかという目的もくてきから、個人こじんの聞きこえという主観しゅかん的てきな感覚かんかくを排除はいじょし厳密げんみつな発音はつおんを要求ようきゅうする。これは外国がいこく人じんアラビア語ご研究けんきゅう者しゃが「文語ぶんごアラビア語ごの発音はつおんが過度かどに正ただしいとみなされ残のこりは矯正きょうせい対象たいしょうとなる権威けんい主義しゅぎ」とも評ひょうされる傾向けいこうであり、アラブ諸国しょこくにおいて「似にたような音おとに聞きこえれば発音はつおん位置いちがずれていても文語ぶんごアラビア語ごとして正ただしい」とみなすことを拒否きょひする傾向けいこうを強つよめる原因げんいんともなっている。

そのため「正ただしいハマースの発音はつおん」については母音ぼいんのe（エ）とo（オ）が含ふくまれるような「ハメース」「ヘメース」系けいの読よみは除外じょがいされ、「ハマース（ḥamās、IPA: [ħaˈmaːs]）」という文語ぶんご発音はつおんを基準きじゅんとして指さし、それ以外いがいを「正ただしい発音はつおん」と表現ひょうげんすることは基本きほん的てきに無ない。

パレスチナでの発音はつおん

パレスチナ方言ほうげんは癖くせの少すくない発音はつおんで知しられ、アラビア半島はんとうのアラブ人じんよりも喉のどを使つかった摩擦まさつによる調音ちょうおんをする子音しいん（عやح）で摩擦まさつが本来ほんらいよりも弱よわくなっているのが特徴とくちょうである。そのため本ほん組織そしき名めい 「ハマース」 (حماس, Ḥamās) 語頭ごとうの「ハ（ḥa）」を発音はつおんする際さいに生しょうじる「ハァッ」という吐息といきがはっきりと聞きこえにくく、日本語にほんごのカタカナ表記ひょうき「ハマース（hamās(u)）」により近ちかい発音はつおんが行おこなわれている。

（口語こうごアラビア語ごにおいて「ハマース」の「ハ」などに含ふくまれる حَ（ḥa）が日本語にほんごの「ハ」と全まったく同おなじ هَ（ha, ハ）に置おき換かわってしまう発音はつおん変化へんかもあり、そのような「ḥ→h化か」現象げんしょうは伝統でんとう的てきアラビア語学ごがくにおいて هَهَّة（hahhah ないしは hahha, ハッハ）などと呼よばれている。）

パレスチナ人じんは長年ながねんにわたり各国かっこくの放送ほうそう業界ぎょうかいや教育きょういく界かいに人材じんざいを輸出ゆしゅつしており、パレスチナ方言ほうげん話者わしゃによる「ハ（ḥa）」が弱よわめな発音はつおんは多おおくの国くにのアラブ人じんにとって馴染なじみがあるものともなっている。

またパレスチナ方言ほうげん特有とくゆうの発音はつおん変化へんかは複数ふくすう存在そんざいするが、حَمَاس（ḥamās, ハマース）という名詞めいしならびに組織そしき名称めいしょうに関かかわる部分ぶぶんについては文語ぶんごアラビア語ご（正則せいそくアラビア語ご、現代げんだい標準ひょうじゅんアラビア語ご）との差異さいが少すくなく、文語ぶんごで行おこなわれる現地げんちニュース報道ほうどう、ハマース関係かんけい者しゃの演説えんぜつ・声明せいめい、口語こうご（方言ほうげん）で行おこなわれる住民じゅうみんらの日常にちじょう会話かいわいずれにおいても ḥamās（ハマース）という発音はつおんが一般いっぱん的てきである。

上記じょうきから、「現地げんちでも実際じっさいに聞きかれる発音はつおん」という観点かんてんにおいても、本ほん組織そしき名めいのアラビア語ご名称めいしょうの発音はつおんに最もっとも近ちかいカタカナ表記ひょうきは「ハマース」であると言いえる。

英語えいご

元もとのアラビア語ごで長ちょう母音ぼいんāを含ふくむ語かたりは英語えいご圏けんではHamaasやHamāsではなくHamasと表記ひょうきされるのが普通ふつうである。

発音はつおんに関かんしては地域ちいきや話者わしゃによってハマス発音はつおん、ハマース発音はつおんが混在こんざいしており、語頭ごとうの「ハ」にアクセントが来くる場合ばあいと「マ(ー)」にアクセントが来くる場合ばあいとに分わかれる。

• həˈmæs（ハマス、マにアクセント）
• ˈhæmæs（ハマス、ハにアクセント）
• həˈmɑːs（ハマース、マーにアクセント）
• ˈhɑːmɑːs（ハーマース、ハーにアクセント)

日本語にほんごにおけるカタカナ表記ひょうき

アラビア語ご圏けんでは حَمَاس（Ḥamās, ハマース）はパレスチナのイスラム主義しゅぎ組織そしき、حَمَس（Ḥamas, ハマス）はアルジェリアにある別べつのイスラム主義しゅぎ組織そしきの名称めいしょうとして明確めいかくに区別くべつされているが、日本にっぽんでの報道ほうどうに登場とうじょうするのは前者ぜんしゃであること、メディアにおける日本語にほんごカタカナ表記ひょうきではアラビア語ごに元々もともとある長ちょう母音ぼいん「ー」が除去じょきょされることから、「ハマース」と「ハマス」は単たんなる表記ひょうき揺ゆれで同一どういつの組織そしきを示しめすものとして認識にんしきされている。

学術がくじゅつ的てきカタカナ表記ひょうき「ハマース」

日本にっぽんでは学術がくじゅつ論文ろんぶんや専門せんもん書しょについては原語げんごアラビア語ごの文語ぶんご発音はつおんに近ちかいカタカナ表記ひょうきが標準ひょうじゅんとされており『岩波いわなみ イスラーム辞典じてん』巻頭かんとうのカタカナ表記ひょうき規則きそくに則のっとるなどしている。学術がくじゅつ用語ようごとしてアラビア語ご名称めいしょうを同おなじカタカナ表記ひょうきで揃そろえる慣習かんしゅうが浸透しんとうしていることから「ハマース」表記ひょうきが一般いっぱん的てきである。

国名こくめいイランのように原語げんごであるペルシア語ご、そして近隣きんりん地域ちいきで話はなされているアラビア語ごでは「イーラーン」と発音はつおんしているにもかかわらず学界がっかいでも「イラン」とカタカナ表記ひょうきされる件けんがあるが、それらは原語げんご発音はつおんにより近ちかいカタカナ表記ひょうきの採用さいようが定着ていちゃくしてから誕生たんじょうした「ハマース」とは違ちがい、慣用かんよう表記ひょうきとして長ちょう母音ぼいん抜ぬきの「イラン」が先行せんこうして普及ふきゅうしていたことが原因げんいんで「イーラーン」というカタカナ表記ひょうきに敢あえて変更へんこうされなかった部類ぶるいに入はいる。

そのため学界がっかいでもアラビア語ご、中東ちゅうとう言語げんごにおける専門せんもん用語ようごについては一部いちぶがメディア等とうが採用さいようする慣用かんよう表記ひょうきと同おなじカタカナ表記ひょうきを用もちいていることがあり、原語げんごに即そくした当あて字じをしているかどうかはケースバイケースとなっている。

メディアや官公庁かんこうちょうも含ふくめ多用たようされている原語げんご発音はつおんとは異ことなる長ちょう母音ぼいん省略しょうりゃく済ずみの便宜べんぎ的てき慣例かんれい表記ひょうき

一方いっぽう、メディアや一般いっぱん記事きじにおいては

• 複数ふくすう通どおりある英語えいご発音はつおんのうち長ちょう母音ぼいんアーを含ふくまない読よみ方かた「həˈmæs」「ˈhæmæs」に依拠いきょした「ハマス」表記ひょうき
• 英語えいご発音はつおんとは関係かんけい無なく英字えいじ表記ひょうき「Hamas」にそのまま単純たんじゅんにカタカナを充あてた「ハマス」表記ひょうき
• 記事きじの文字数もじすうを減へらすために便宜上べんぎじょう「ハマース」ではなく「ハマス」としたもの

といった理由りゆうのいずれかから「ハマス」となっているカタカナ表記ひょうきが用もちいられることが多おおい。放送ほうそう業界ぎょうかいについては元もとの言語げんごでの発音はつおんとは異ことなっている場合ばあいでも既すでに特定とくていのカタカナ表記ひょうきが浸透しんとうしている場合ばあいは後者こうしゃを優先ゆうせんさせることから、アラビア語ごでの発音はつおんハマースではなくハマスが使つかい続つづけられる一因いちいんともなっている。

両者りょうしゃの違ちがいと使つかい分わけ

本ほん組織そしきの日本語にほんご表記ひょうきも原語げんごの長ちょう母音ぼいんを短たん母音ぼいん化かした形かたちである「ハマス」が多用たようされているが、日本にっぽん国内こくないで統一とういつルールが制定せいていされた訳わけではないこと、ハマスと発音はつおんする別べつのアラビア語ご単語たんごが日本にっぽん国内こくないに流通りゅうつうしておらずハマースとハマスの区別くべつが特とくに求もとめられていないことから、原語げんごにより近ちかく元もとの言語げんごでのつづりを想像そうぞうしやすいカタカナ化かを定さだめたガイドラインに従したがった中東ちゅうとう研究けんきゅう者しゃ・イスラーム研究けんきゅう者しゃらが常用じょうようする「ハマース」表記ひょうきと、記者きしゃ・執筆しっぴつ者しゃらが参照さんしょうする学界がっかいとは異ことなるメディア・記者きしゃ向むけガイドラインに従したがっている「ハマス」表記ひょうきがある程度ていどの棲すみ分わけのもと混在こんざいしている状況じょうきょうとなっている。

同どう業者ぎょうしゃ・専攻せんこう学生がくせいを主おもな対象たいしょうとしている専門せんもん書しょでは文語ぶんごアラビア語ご発音はつおんとほぼ同おなじハマース以外いがいのハマスが稀まれなのに対たいし、一般いっぱん向むけの記事きじでは昔むかしから用もちいられておりより広ひろく流通りゅうつうしており認知にんち度どの高たかいハマスの使用しようが好このまれる傾向けいこうにある。業界ぎょうかいによってカタカナ化かの経緯けいいや動機どうきが異ことなるだけでどちらか片方かたがたが優すぐれている/劣おとっている、片方かたがたのみが正ただしい/間違まちがっているという訳わけではないが、普段ふだんハマースという表記ひょうきを用もちいているアラビア語ご・イスラーム関係かんけい者しゃであっても一般いっぱん向むけ記事きじを執筆しっぴつする際さいにはハマス表記ひょうきで提供ていきょうするといった用途ようと・場じょうに応おうじた使つかい分わけを行おこなうことも珍めずらしくない。

なおWikipedia日本語にほんご版ばんについてはメディアや官公庁かんこうちょうの慣例かんれい表記ひょうきではなく専門せんもん書しょ・辞典じてんにおける記載きさいを優先ゆうせんさせるとのガイドラインが存在そんざいするためハマース表記ひょうきを採用さいようしている。（ノート参照さんしょうのこと）

ハマース表記ひょうきを採用さいようしている例れい（学術がくじゅつ的てき表記ひょうき法ほう準拠じゅんきょ）

• 朝倉書店あさくらしょてん『オッスクフォード イスラームの辞典じてん』
• 岩波書店いわなみしょてん『岩波いわなみ イスラーム辞典じてん』
• 学術がくじゅつ論文ろんぶん、専門せんもん書しょ
• 中東ちゅうとう研究けんきゅう・国際こくさい関係かんけい研究けんきゅうの調査ちょうさ会かい・研究所けんきゅうじょ・シンクタンク類るいのウェブサイト

ハマス表記ひょうきを採用さいようしている例れい（マスコミ等とう向むけ一般いっぱん業界ぎょうかい慣例かんれい・ガイドライン表記ひょうき）

• 公安調査庁こうあんちょうさちょうウェブサイト
• 新聞しんぶん社しゃ
• テレビ局てれびきょく各社かくしゃ
• 一般いっぱんネット記事きじ・投稿とうこう、書籍しょせき

ハマース表記ひょうき、ハマス表記ひょうきが混在こんざいしている例れい

• 外務省がいむしょうウェブサイト（直近ちょっきんのページはハマス表記ひょうき）

同おなじ略称りゃくしょう「Hamas」を持もつアルジェリアの組織そしき

アルジェリアの政党せいとうである「平和へいわ社会しゃかい運動うんどう」（アラビア語ご：حركة مجتمع السلم, Ḥarakat Mujtamaʿ al-Silm, ハラカト・ムジュタマア・アッ＝スィルム、英語えいご名称めいしょう：Movement of Society for Peace、公式こうしきサイトロゴ下か英語えいご名称めいしょう：Movement of the Society of Peace）は「ハマス党とう」とも呼よばれている。

現在げんざいのアラビア語ご略称りゃくしょうは頭文字かしらもじをとった頭字かしらじ語ご（アクロニム）の حمس（حَمَس, Ḥamas, ハマス）であり、長ちょう母音ぼいんを示しめす「ا（アリフ）」が含ふくまれるパレスチナのハマース (حماس, Ḥamās) とはアラビア語ごでの表記ひょうきと発音はつおんが異ことなっている。

同どう組織そしきはパレスチナのハマース同様どうようムスリム同胞どうほう団だんを源流げんりゅうとする組織そしきで、当初とうしょは「イスラーム社会しゃかい運動うんどう」（アラビア語ご：حركة المجتمع الإسلامي, 英語えいご名称めいしょう：Movement for the Islamic Society）という名称めいしょうならびに「ハマース」 (حماس, Ḥamās, 英字えいじ表記ひょうき：Hamas) という略称りゃくしょうを用もちいていた。しかしながらアルジェリアで法ほう改正かいせいにより宗教しゅうきょう活動かつどうに規制きせいが設もうけられたことから組織そしき名めいからイスラームの名なを外はずし、現在げんざいの名称めいしょうに変更へんこうされアラビア語ご略称りゃくしょうも「ハマース」から「ハマス」に変かわった。

方針ほうしんに関かんしても民主みんしゅ主義しゅぎや個人こじんの自由じゆうを認みとめるなど穏健おんけんな路線ろせんとなっており、軍事ぐんじ部門ぶもんが拡大かくだいしたパレスチナのハマースとは異ことなる道みちを進すすんでいる。英字えいじ表記ひょうきのHamasではパレスチナのハマースと区別くべつがつかないことから、英語えいご名称めいしょう「Movement for the Society of Peace」の略称りゃくしょうを添そえて「MSP/Hamas」と表記ひょうきする場合ばあいもある。

アルジェリアの平和へいわ社会しゃかい運動うんどう（ハマス）自体じたいはイスラーム政党せいとうとしての性質せいしつ自体じたいは失うしなっておらず、イスラエルとの国交こっこう正常せいじょう化かに対たいする批判ひはんやパレスチナのハマースを支持しじする方針ほうしんをとっており、2023年ねんパレスチナ・イスラエル戦争せんそうに際さいしては組織そしきがハマースやアルジェリア国外こくがいとの連携れんけいを取とることを防ふせぐため前ぜん代表だいひょうの海外かいがい渡航とこうを禁きんじる措置そちがなされたことが報ほうじられるなどした。

中東ちゅうとう料理りょうりの名称めいしょうとの類似るいじ

食品しょくひん改名かいめい事件じけん

ハマスとも発音はつおんされる中東ちゅうとう料理りょうりのフンムス（ホンモス）

中東ちゅうとう生うまれのヒヨコマメとゴマから作つくられるペースト、ディップであるフンムスはアラビア語ご方言ほうげんでホンモス、ヘブライ語ごといった周辺しゅうへん地域ちいき言語げんごの非ひアラビア語ご発音はつおんでフムスなどと呼よばれているが、2017年ねん7月がつに大阪おおさかの会社かいしゃがパック入いり製品せいひんを新しん発売はつばいした際さい、英字えいじ表記ひょうきHUMMUSに英語えいご発音はつおんに基もとづいたカタカナ表記ひょうき「ハマス」を添そえた結果けっかパレスチナ問題もんだいやイスラーム原理げんり主義しゅぎ組織そしきハマス（ハマース）を想起そうきさせるとの指摘してきが複数ふくすう寄よせられたという。

同社どうしゃは検討けんとうの結果けっか商品しょうひん名めいをハムスに変更へんこう、その他たカタカナ表記ひょうきとしてフムスを併記へいきすることとなった。

この一いち件けんもあり、日本にっぽんではヘブライ語ご、トルコ語ご、英語えいご発音はつおんなどのフムスが主おもに使つかわれ、ハマスと呼よばれることがほぼ無ないまま普及ふきゅうした形かたちとなった。そのため日本にっぽんには英語えいご圏けんのようなハマースとフンムス（ホンモス、フムス）との混同こんどうや言葉ことば遊あそび的てき駄洒落だじゃれは存在そんざいしない。

「Love hummus, not Hamas」

欧米おうべいなどの非ひアラブ諸国しょこくではフンムス（ホンモス）の発音はつおんが「ハマス」である話者わしゃも多おおいが、パレスチナ ガザのイスラーム主義しゅぎ組織そしきハマースの非ひアラビア語ご発音はつおん「ハマス」とかぶることから、2023年ねんパレスチナ・イスラエル戦争せんそうの際さいにはハマース支持しじの言葉ことば「I love Hamas」（自分じぶんはハマースが大好だいすき）をもじった「I love hummus」（自分じぶんはハマスが大好だいすき）や「I love Hummus, but I hate Hamas」（ハマスは大好だいすきだけどハマースは嫌きらいだ）「I like hummus not hamas」（自分じぶんはハマースじゃなくてハマスが好すき）といったジョークが生うまれるなどした。

2023年ねん10月15日にちにオランダのアムステルダムで開催かいさいされた平和へいわ・停戦ていせんを求もとめる抗議こうぎ集会しゅうかいではパレスチナとイスラエルのあいさつや料理りょうりにからめた抗議こうぎ声明せいめいが叫さけばれ、飛行機ひこうきに取とり付つけられた横断幕おうだんまくに「Love hummus, not Hamas」（ハマースではなくハマスを愛あいせ）というスローガンが印字いんじされたことで話題わだいになった。

活動かつどう地域ちいき

ガザ地区ちく

本拠地ほんきょちはパレスチナのガザ地区ちくで、同どう地区ちくの政権せいけんを握にぎっている。

ヨルダン川よるだんがわ西岸せいがん地区ちく

競合きょうごう相手あいてファタハが主導しゅどう権けんを得えたヨルダン川よるだんがわ西岸せいがん地区ちくでも活動かつどうは続つづいておりガザ地区ちく同様どうようにイッズッディーン・アル＝カッサーム旅団りょだんが展開てんかい、トゥールカルム旅団りょだん（トゥールカリム旅団りょだん、トゥールカレム旅団りょだん）のように他た勢力せいりょくに合流ごうりゅうしている例れいも見みられる。西岸せいがん地区ちくではイスラエル軍ぐんによるハマース関係かんけい者しゃ逮捕たいほ・殺害さつがいも発生はっせい。

パレスチナ・イスラエル戦争せんそうでは組織そしき掃討そうとう作戦さくせんや暗殺あんさつが進すすめられ、西岸せいがん地区ちく出身しゅっしんで西岸せいがん側がわハマース軍事ぐんじ部門ぶもん設立せつりつに関与かんよし西岸せいがん地区ちくのハマース責任せきにん者しゃも務つとめてきたサーリフ・アル＝アールーリー（صالح العاروري, Ṣāliḥ al-ʿĀrūrī、口語こうご（現地げんち方言ほうげん）発音はつおん：サーレフ・アル＝アールーリー、英字えいじ表記ひょうき例れい：Saleh al-Arouri）の実家じっか破壊はかい措置そちがとられるなどした。

レバノン

同様どうようにレバノンにも支部しぶがあり、レバノン支部しぶ代表だいひょうを始はじめとしたメンバーらが活動かつどうを行おこなっている。ガザ地区ちくやヨルダン川よるだんがわ西岸せいがん地区ちく同様どうように軍事ぐんじ部門ぶもんイッズッディーン・アル＝カッサーム旅団りょだんがあり、2023年ねんに勃発ぼっぱつしたパレスチナ・イスラエル戦争せんそうではレバノン側がわからミサイル発射はっしゃなどを行おこなうなどしている。

歴史れきし

ムスリム同胞どうほう団だんの浸透しんとうと前身ぜんしんとなる組織そしきの活動かつどう

パレスチナではエジプトで生うまれたムスリム同胞どうほう団だんが以前いぜんから活動かつどうしており対たい英えい闘争とうそうそして対たいシオニズム闘争とうそうに関与かんよ。1948年ねん頃ごろには25の支部しぶがパレスチナ地域ちいきに展開てんかいしていたとされる。1948年ねんの第だい一いち次じ中東ちゅうとう戦争せんそう（パレスチナ戦争せんそう）ではエジプト本国ほんごくのムスリム同胞どうほう団だんからも義勇ぎゆう兵へいが送おくられ、各地かくちでの貢献こうけんがパレスチナ民衆みんしゅうらの支持しじを獲得かくとく。エジプトでムスリム同胞どうほう団だんが取とり締しまり対象たいしょうとなるまでは公然こうぜんと活動かつどうを行おこない、ガザ地区ちくの全体ぜんたいに浸透しんとうしていった。

ガザ出身しゅっしんでムスリム同胞どうほう団だんパレスチナ支部しぶメンバーでもあった宗教しゅうきょう活動かつどう家かアフマド・ヤースィーンはハマースに先立さきだち1973年ねんにムスリム同胞どうほう団だん系けいの社会しゃかい奉仕ほうし組織そしきアル＝ムジャンマア・アル＝イスラーミー（المجمع الإسلامي, al-Mujammaʿ al-Islāmī, 「イスラミック・センター」の意い、英訳えいやく：Islamic Center）を設立せつりつ。社会しゃかい・医療いりょう・文化ぶんか・教育きょういく・スポーツなどに関かかわる幅広はばひろい活動かつどうを行おこない、病院びょういん・大学だいがく・教育きょういく機関きかん・図書館としょかんそして関係かんけい者しゃの説法せっぽうの場ばともなったモスクの建設けんせつ、教育きょういく事業じぎょうによるイスラーム主義しゅぎ的てき価値かち観かんの普及ふきゅうなどを通つうじその影響えいきょう力りょくを強つよめており、ガザにあるモスクの多おおくを影響えいきょう下かに置おくに至いたっていた。

この組織そしきの事業じぎょうは現在げんざいのハマースの社会しゃかい奉仕ほうし事業じぎょう部門ぶもんの元もととなっており、ムスリム同胞どうほう団だん活動かつどうを普及ふきゅうする場ばとして機能きのうするものでもあったが、パレスチナ解放かいほう機構きこう（PLO）に対抗たいこうする組織そしきとして期待きたいされたことからイスラエル側がわの認可にんかを得えて活動かつどうしていた。

先行せんこうして作つくられた大学だいがくや管理かんり下かにあるモスクでは伝統でんとう的てきイスラームとは異ことなるパレスチナ問題もんだいとジハード思想しそうとを結むすびつけた抵抗ていこう運動うんどうの思想しそうが教おしえられることでイスラーム抵抗ていこう運動うんどうに参加さんかする若手わかてが増ふえていき、ハマースはこうした下地したじの上うえに作つくられた形かたちとなった。

ハマース設立せつりつ

ハマースは1980年代ねんだいの第だい1次じインティファーダ時代じだいに、ヤーセル・アラファト議長ぎちょうが指揮しきするパレスチナ解放かいほう機構きこう (PLO) の影響えいきょう力りょくを排除はいじょした民衆みんしゅうレベルでの対たいイスラエル抵抗ていこう組織そしきとして設立せつりつされた。

アフマド・ヤースィーンに彼かれが設立せつりつしたイスラミック・センターのメンバーだったガザ育そだちの医師いしアブドゥルアズィーズ・アッ＝ランティースィーらの知識ちしき人じん・教育きょういく者しゃ6名めいが加くわわり1987年ねん12月に結成けっせいされ、ムスリム同胞どうほう団だんによるパレスチナ内ない政治せいじ活動かつどう組織そしきとして始動しどう。モスクでの説法せっぽうなどからスタートしたハマースはこの後のち長年ながねんにわたりガザ地区ちくで続つづいていくこととなった。12月14日にちは住民じゅうみんらに抵抗ていこう運動うんどうに参加さんかするよう呼よびかける最初さいしょの声明せいめいが発表はっぴょうされた。

1988年ねんにはヨルダン川よるだんがわ西岸せいがん地区ちくに進出しんしゅつするとともにその行動こうどう指針ししんである「ハマース憲章けんしょう」を発表はっぴょう。また軍事ぐんじ部門ぶもんも活動かつどうを行おこない、1990年ねん過すぎにはイッズッディーン・アル＝カッサーム旅団りょだん（كتائب عز الدين القسام, Katāʾib ʿIzz al-Dīn al-Qassām, カターイブ・イッズッディーン・アル＝カッサーム）との名称めいしょうで知しられるようになった。

ハマースに対たいする援助えんじょと勢力せいりょくの拡大かくだい

イスラーム主義しゅぎを支援しえんするアラブ諸国しょこく他たからの資金しきん援助えんじょ、その中なかでも特とくにムスリム同胞どうほう団だんに対たいして肯定こうてい的てきなカタール（カタル）による政治せいじ的てき・経済けいざい的てき支援しえん、また対たいガザ方針ほうしん・西岸せいがんとの分断ぶんだん・PLOに対抗たいこうする存在そんざいとしておくという政策せいさくの一環いっかんとして行おこなわれたイスラエルからの資金しきん提供ていきょうによって成長せいちょうを続つづけていくこととなった。

ハマースは教育きょういく、医療いりょう、福祉ふくしなどの分野ぶんやで一般いっぱん民衆みんしゅうに各種かくしゅサービスを提供ていきょうする形かたちで活動かつどうを続つづけたことなどからパレスチナ人じんの間あいだで影響えいきょうが拡大かくだいしていった。

中東ちゅうとう和平わへい交渉こうしょうの破綻はたん

1990年代ねんだいにPLOがイスラエルとの和平わへい交渉こうしょうを開始かいしすると、ハマースはこれに強つよく反対はんたいし、対たいイスラエル強硬きょうこう派はの支持しじを得えた。1995年ねんの右派うはイスラエル青年せいねんによるイツハク・ラビン首相しゅしょうの暗殺あんさつ、和平わへい交渉こうしょうにおけるアラファト議長ぎちょうの強硬きょうこう姿勢しせい、そして2000年ねんのリクードのアリエル・シャロン党首とうしゅによる岩いわのドーム訪問ほうもんをきっかけとして、第だい2次じインティファーダが開始かいしされると、ハマースは自爆じばく攻撃こうげきやロケット弾だんを用もちいたイスラエル国防こくぼう軍ぐんへ攻撃こうげきを開始かいしした。

イスラエルは2004年ねん3月22日にちに創設そうせつ者しゃのアフマド・ヤースィーンをアパッチ戦闘せんとうヘリでの攻撃こうげきにより殺害さつがいした。翌日よくじつには最高さいこう幹部かんぶ陣じんからアブドゥルアズィーズ・アッ＝ランティースィーが後継こうけい者しゃとなることが発表はっぴょうされたが、同年どうねん4月がつ17日にちに再ふたたびイスラエル国防こくぼう軍ぐんヘリの攻撃こうげきを受うけ暗殺あんさつされた。

ハマースは草くさの根ねの民衆みんしゅう支援しえんへの評価ひょうか、和平わへい交渉こうしょうの破綻はたん、ファタハの率ひきいるパレスチナ自治じち政府せいふへの不満ふまんなどを背景はいけいに、2004年ねん12月に行おこなわれたパレスチナ地方ちほう議会ぎかい選挙せんきょにおいて過半数かはんすうの議席ぎせきを獲得かくとく。さらに2006年ねん1月がつのパレスチナ評議会ぱれすちなひょうぎかい選挙せんきょでも定数ていすう132の議席ぎせき中ちゅうで76議席ぎせきを獲得かくとくするなど圧勝あっしょうした。同年どうねん3月29日にちにハマースのイスマーイール・ハニーヤがパレスチナ政府せいふ首相しゅしょうに任命にんめいされた。

多数たすうの西側にしがわ諸国しょこくはハマースをテロリズム団体だんたいに指定していしており、ハマースの政権せいけん参加さんかを機きにパレスチナ政府せいふへの支援しえんを停止ていしした。日本にっぽんは世界せかい食糧しょくりょう計画けいかくなどを介かいした形かたちで同年どうねん7月がつに再開さいかいしている。

国際こくさい連帯れんたい運動うんどう（ISM）、パレスチナ・メディア・ウォッチの活動かつどう家かパトリック・オコナーによると、ハマースは政権せいけん参加さんか後ごはおおむね停戦ていせんを守まもっていると指摘してきされていた。2000年ねんから2006年ねん11月3日にちまでの、パレスチナ側がわとイスラエル側がわの犠牲ぎせい者しゃ数すうの比率ひりつは39:10である。しかし、2006年ねんは258:10で3月がつのハマースの政権せいけん参加さんか後ごに限かぎると762:10にまで差さが広ひろがった。一方いっぽうでイスラエル情報じょうほう機関きかんの元もと長官ちょうかんは、分離ぶんり壁かべの建設けんせつによって自爆じばく攻撃こうげきを90%阻止そししたことが原因げんいんであるとしている。

ヤーシーンとランティーシーが相次あいついでイスラエル国防こくぼう軍ぐんに暗殺あんさつされたため、ハマースは後継こうけいの指導しどう者しゃを発表はっぴょうしていなかったが、2005年ねん9月3日にちに軍事ぐんじ部門ぶもん「イッズッディーン・アル＝カッサーム旅団りょだん」の指揮しき官かんがムハンマド・デイフ（文語ぶんごアラビア語ご発音はつおん：ムハンマド・アッ=ダイフ、口語こうごアラビア語ご発音はつおん：モハンメド・アッ＝デイフ）であることを公表こうひょうした。

現在げんざいの最高さいこう指導しどう者しゃは政治せいじ局きょく議長ぎちょうのハーリド・マシャアル（マシュアル）である。2007年ねん5月21日にちにイスラエルのアビ・デヒテル警察けいさつ長官ちょうかん（警察けいさつ相しょう）は「見みつけ次第しだい、軍ぐんは彼かれを片かたづける」とマシャアルが暗殺あんさつの目標もくひょうとなっていることを明あきらかにしている。ハニーヤ首相しゅしょうについても、「（イスラエルに対たいする）攻撃こうげき命令めいれいを出だしている者ものの中なかにハニーヤが連つらなっているならば、彼かれも正当せいとうな（暗殺あんさつの）標的ひょうてきとなる」としている。

ファタハとの対立たいりつと対たいイスラエル闘争とうそう路線ろせん

「ガザの戦闘せんとう (2007年ねん)」を参照さんしょう

ハマースのポスター。イスラエル側がわの自じ組織そしき捕虜ほりょらを英雄えいゆうとし、彼かれらが解放かいほうされない限かぎりイスラエル兵へいギルアド・シャリートのような捕虜ほりょを今後こんごも生うみ出だしていくことを誓ちかった内容ないようとなっている。

2007年ねん6月12日にちにハマースは武力ぶりょく制圧せいあつの形かたちでガザ地区ちくの政権せいけんを握にぎり、2006年ねんの総そう選挙せんきょ後ごに形成けいせいされていたファタハとの連立れんりつ政権せいけんは崩壊ほうかいした。現在げんざいに至いたるまでガザ地区ちくはハマースが、ヨルダン川よるだんがわ西岸せいがん地区ちくはファタハが事実じじつ上じょう支配しはいしている。評議ひょうぎ会かいではハマースが過半数かはんすうを占しめているため、ファタハは、非常ひじょう事態じたい宣言せんげんを発令はつれいすることで合法ごうほう的てきに政権せいけんを維持いじしている。

ハマースはハニーヤ内ない閣かくが正当せいとう政府せいふであるとして、閣僚かくりょうを任命にんめいし自治じち政府せいふを組織そしきしているが、イランやシリア以外いがいの国際こくさい社会しゃかいはファタハによる政府せいふを承認しょうにんしている。ハマースは連立れんりつ政権せいけん時代じだいに自制じせいしていたカッサームロケット砲ほうによるイスラエル領内りょうないへの攻撃こうげきを再開さいかい。これに対たいしてイスラエル国防こくぼう軍ぐんは2008年ねんからガザを攻撃こうげきした。一時いちじ的てきな停戦ていせんの後のちもイスラエルは規制きせいを緩ゆるめず、小規模しょうきぼな衝突しょうとつが繰くり返かえされた。

イスラエルは11月5日にちから封鎖ふうさをさらに強化きょうかし、国際こくさい連合れんごうの「イスラエル政府せいふが封鎖ふうさを緩和かんわしない限かぎり、支援しえん物資ぶっしがすぐに底そこを尽つきる」という警告けいこくも無視むしした。6ヶ月かげつ間あいだにパレスチナ側がわは20人にんが殺害さつがいされ、イスラエル側がわの犠牲ぎせい者しゃは0であった。ハマースの政治せいじ指導しどう者しゃであるハーリド・マシャアルは「イスラエルの火器かきで30人にんのガザの人々ひとびとが殺ころされ、封鎖ふうさの直接ちょくせつの影響えいきょうで数すう百ひゃく人にんの患者かんじゃが死亡しぼうした」と主張しゅちょうしている。

イスラエルとエジプト政府せいふは休戦きゅうせん延長えんちょうを模索もさくしたがハマースは再度さいどの封鎖ふうさ解除かいじょと全すべての検問けんもん所しょの開放かいほうを条件じょうけんとし、イスラエルは攻撃こうげき停止ていしが先さきだと主張しゅちょうしたためハマースは「停戦ていせん延長えんちょうを拒否きょひする」と発表はっぴょうした。休戦きゅうせん期間きかん終了しゅうりょうを待またずにロケット砲ほうによる攻撃こうげきを再開さいかいし、イスラエルは攻撃こうげきを中止ちゅうしするよう警告けいこくを発はっしたが、ハマースはそれを黙殺もくさつした。

2008年ねん末すえにイスラエルはロケット砲ほう攻撃こうげきの根絶こんぜつを目的もくてきにガザへの空爆くうばくを開始かいしした。2009年ねん1月がつ1日にちにハマース創設そうせつ者しゃでありガザにおける指導しどう者しゃのひとりであったニザール・ラヤーン（ライヤーン）が、ジャバリーヤ難民なんみんキャンプの自宅じたくでイスラエル国防こくぼう軍ぐんの空爆くうばくにより殺害さつがいされた。2009年ねん1月がつ15日にちには、ハマース政府せいふのサイード・スィヤーム内相ないしょうがイスラエル国防こくぼう軍ぐんの空爆くうばくで殺害さつがいされた。

イスラエルはガザ地区ちくへの攻撃こうげきと並行へいこうして、病気びょうき治療ちりょうのためイスラエル入国にゅうこくを申請しんせいしたガザ地区ちく住民じゅうみんに対たいし内通ないつう者しゃ（スパイ）になるよう要求ようきゅうするなど、ガザ地区ちくでの情報じょうほう提供ていきょう者しゃの勧誘かんゆうを続つづけている。2009年ねんにハマースは少すくなくとも17人にんを内通ないつうを理由りゆうとして処刑しょけいしたとされる。2010年ねんにはハマース幹部かんぶハサン・ユーセフの息子むすこでキリスト教徒きりすときょうとであるムスアブ・ハサン・ユーセフがイスラエルのスパイであったことを告白こくはくし、ハマースとイスラーム教きょうを批判ひはんする手記しゅきを出版しゅっぱんして反響はんきょうを呼よんだ。

2010年ねん1月がつ20日はつかに軍事ぐんじ部門ぶもん創設そうせつ者しゃマフムード・マブフーフがアラブ首長しゅちょう国こく連邦れんぽうのドバイのホテルで暗殺あんさつされた。犯人はんにんの姿すがたがホテルの監視かんしカメラに映うつっており、イギリス、フランス、オーストラリアなどの偽造ぎぞうパスポートを所持しょじして入国にゅうこくしたイスラエルのモサド工作こうさく員いんによる犯行はんこうであると断定だんていされた。

2010年ねん8月がつ31日にちにヨルダン川よるだんがわ西岸せいがん南部なんぶのユダヤ人じん入植にゅうしょく地ちであるキリアトアルバ近郊きんこうの路上ろじょうで乗用車じょうようしゃが襲撃しゅうげきされ、イスラエル人じん4人にんが射殺しゃさつされ、ハマースの軍事ぐんじ部門ぶもんカッサーム隊たいが犯行はんこう声明せいめいを行おこなった。西岸せいがんでイスラエル人じん4人にんが殺害さつがいされたのは2006年ねんの自爆じばく攻撃こうげき以来いらいである。

ファタハとの和解わかい

2011年ねん4月がつにハマースとファタハはカイロにおいて共同きょうどうで会見かいけんし、2007年ねん以来いらい続つづいていた対立たいりつ関係かんけいを解消かいしょうし連立れんりつ政権せいけんをつくったうえで総そう選挙せんきょを行おこなうことを発表はっぴょうした。今後こんごの交渉こうしょうでは、ハマースのテロリズム路線ろせんの是非ぜひや治安ちあん部隊ぶたいの指揮しき系統けいとうが議題ぎだいとなる。イスラエルはこの和解わかいを批判ひはんし、国連こくれんは好意こうい的てきに評価ひょうかしている。

アラブの春はる・シリア反はん体制たいせい派はへの支持しじ

2011年ねんに始はじまったアラブの春はるでは当初とうしょ、ハマースはリビアの反はんカダフィ蜂起ほうきを支持しじする一方いっぽう、シリアでの反はん体制たいせいデモには沈黙ちんもくを保たもっていた。

しかしシリア内戦ないせんが長期ちょうき化か、拡大かくだいするにつれてハマース内部ないぶでもシーア派はであるシリアのアサド政権せいけんやイランを忌避きひする傾向けいこうを強つよめた。2012年ねん1月がつにはシリアの首都しゅとダマスカスに滞在たいざいしてアサド政権せいけんに近ちかいマシャアルが退任たいにんを表明ひょうめい、ヨルダンに退去たいきょした。翌よく2月がつにはガザ地区ちく行政府ぎょうせいふを握にぎるハニーヤがシリア反はん体制たいせい派はの支持しじを明言めいげんし、ダマスカスとの決別けつべつが明あきらかとなった。

シリアの同盟どうめい国こくのイランはこのハマースの背信はいしんに批判ひはん的てきな態度たいどを示しめしたが、かえってハマースはイスラエルの対たいイラン攻撃こうげきに反対はんたいしない旨むねを発表はっぴょうし、両者りょうしゃの関係かんけいもまた断絶だんぜつした事ことを明あきらかにした。

エジプトでは2011年ねんの革命かくめいでムバーラク政権せいけんが崩壊ほうかいし、2012年ねんにはムスリム同胞どうほう団だん出身しゅっしんのムハンマド・ムルシーが選挙せんきょに勝利しょうりして大統領だいとうりょうに就任しゅうにんした。ガザ政府せいふ首相しゅしょうイスマーイール・ハニーヤはエジプトを訪問ほうもんし、ムルシーやヒシャーム・カンディール首相しゅしょうと会談かいだんするなど関係かんけい強化きょうかに努つとめた。2012年ねん11月のイスラエル国防こくぼう軍ぐんによるガザ攻撃こうげきの際さいは、カンディール首相しゅしょうがガザ地区ちくを訪問ほうもんしムルシー大統領だいとうりょうが停戦ていせん交渉こうしょうの仲介ちゅうかいをおこなった。ムバーラク政権せいけん時じはシリアアサド政権せいけんと良好りょうこうな関係かんけいを保たもっていたが、ムスリム同胞どうほう団だんのムルシー政権せいけんが誕生たんじょうするとシリア反はん体制たいせい派は、アサド政権せいけん打倒だとうへの支持しじを表明ひょうめいした。

2013年ねんエジプトクーデター後ご

2013年ねん7月がつに起おこったエジプトでのクーデターにより、ムルシーが失脚しっきゃく。その後ごのシシ政権せいけんは、ガザ地区ちくとエジプトを結むすぶ密輸みつゆなどに使用しようされているトンネルを「武装ぶそう勢力せいりょくに利用りようされている」として破壊はかいするなどしており、ガザ地区ちくは経済けいざい的てきに苦境くきょうに立たたされている。

加くわえて、内戦ないせんが長期ちょうき化かしたシリアでは決別けつべつしたアサド政権せいけんが国土こくど西部せいぶを中心ちゅうしんとした防衛ぼうえい戦略せんりゃくで一定いっていの成功せいこうを収おさめる一方いっぽう、ハマースが支持しじした反はん体制たいせい派はは自由じゆうシリア軍ぐん・ISILやアルカーイダ等ひとしのイスラーム過激かげき派は・クルド系けい武装ぶそう勢力せいりょくなどに分裂ぶんれつし、いずれの勢力せいりょくからの支援しえんも見込みこめない状況じょうきょうに陥おちいった（2015年ねんのロシア軍ぐん介入かいにゅう以降いこうはアサド政権せいけん軍ぐんが攻勢こうせいに転てんじ、2020年ねん現在げんざいでは国土こくどの主要しゅよう部ぶを奪還だっかん）。更さらにシリア情勢じょうせいに関連かんれんし、イランともアサド政権せいけん政権せいけん支持しじをめぐり関係かんけいが希薄きはく化かし支援しえんが大おおきく縮小しゅくしょう。

アラブの春はる後ごのエジプトとシリアの情勢じょうせいを見み誤あやまり、エジプト・シリア・イランの後うしろ盾たてをいずれも失うしなったことで財政ざいせい的てきに困窮こんきゅうしており、職員しょくいんの給与きゅうよを分割払ぶんかつばらいにするなど苦くるしい状況じょうきょうにある。

2014年ねん4月がつ23日にち、ハマースとファタハは共同きょうどう声明せいめいを発表はっぴょうし、5週間しゅうかん以内いないに統一とういつ内ない閣かくを樹立じゅりつするとした。これにハマースをテロ組織そしきと見みるイスラエルは反発はんぱつし、ガザ北部ほくぶを空爆くうばくした。

2014年ねん6月2日にち、ラミ・ハムダラを首相しゅしょうとする暫定ざんてい統一とういつ内ない閣かくが発足ほっそく。ファタハ、ハマース双方そうほうが認みとめる内閣ないかくが成立せいりつしたのは、ハマースがガザ地区ちくを制圧せいあつした2007年ねん以来いらいとなる。

2014年ねん

4月～ファタハとの合意ごうい

ファタハとの融和ゆうわが進すすんだ結果けっか、ハマースはパレスチナ自治じち政府せいふとの統一とういつ内ない閣かく樹立じゅりつに合意ごうい。6月には発足ほっそくが宣言せんげんされたが、ハマースによるガザ統治とうちの現状げんじょうはそのまま維持いじされる形かたちとなった。

7月がつ～ガザ侵攻しんこう

2014年ねん7月がつ上旬じょうじゅん、パレスチナの少年しょうねんがユダヤ系けい過激かげき派はに殺害さつがいされたことに抗議こうぎするデモが拡大かくだいした。7月7日にちにはハマース側がわがロケット弾だんをイスラエル側がわへ打うち込こむ一方いっぽう、イスラエル国防こくぼう軍ぐんもガザ地区ちくに報復ほうふくの空爆くうばくを開始かいしして多数たすうの民間みんかん人じんの死傷ししょう者しゃを出だしている。

詳細しょうさいは「ガザ侵攻しんこう (2014年ねん)」を参照さんしょう

12月～人権じんけん活動かつどうや批判ひはんへの対応たいおう

ガザでは人権じんけん活動かつどうに従事じゅうじする研究けんきゅう者しゃ・大学だいがく関係かんけい者しゃらがハマース政権せいけんに対たいする厳きびしい批判ひはんを行おこなうなどしたが、当局とうきょくは逮捕たいほの形かたちで対応たいおう。言論げんろんの自由じゆうや非ひ武装ぶそう抗議こうぎデモ開催かいさいの自由じゆうが制限せいげんされている件けんが報ほうじられるなどした。

2017年ねん

５月ごがつ～ムスリム同胞どうほう団だんとの関係かんけい解消かいしょう

ムスリム同胞どうほう団だん系けい組織そしきとして発足ほっそくしたハマースだったが、改訂かいていされたハマース憲章けんしょうではムスリム同胞どうほう団だんに関かんする記述きじゅつが削除さくじょされた。これにより、エジプトの同胞どうほう団だんから指示しじを受うけて活動かつどうするのではない独立どくりつしたパレスチナの組織そしきとなった。

2019年ねん

1月～テレビ局てれびきょく破壊はかい事件じけん

1月がつ4日にち、パレスチナ自治じち政府せいふの番組ばんぐみを放送ほうそうしている報道局ほうどうきょくパレスチナTV（Palestine TV）のガザ支局しきょくに、何者なにものかが侵入しんにゅうし職員しょくいんを暴行ぼうこうし機材きざいなどを破壊はかいする事件じけんが起おこった。ハマース政権せいけん側がわは関与かんよを否定ひていしている。

2021年ねんの戦闘せんとう

詳細しょうさいは「ガザ危機きき」を参照さんしょう

5月10日にち以降いこう、ハマース側がわのロケット弾だん攻撃こうげきとイスラエル側がわの空爆くうばくの応酬おうしゅうが相次あいついだ。

5月12日にち、イスラエルがガザ地区ちくに空爆くうばくを行おこない、ハマースの旅団りょだん長ちょうを含ふくむ幹部かんぶ16名めいを殺害さつがいした。ハマースでは報復ほうふくとしてアシュドッドへロケット弾だんによる攻撃こうげきを行おこなった。約やく10日間にちかんにハマース側がわが発射はっしゃしたロケット弾だんは4000発はつ以上いじょうであり、これらの多おおくはイランの支援しえんによりガザ地区ちくで製造せいぞうされたと見みられた。しかし、発射はっしゃしたロケット弾だんの大半たいはんはイスラエルのアイアンドームにより撃墜げきついされており、効果こうかは限定げんてい的てきなものとなった。

2021年ねん5月21日にち、ハマースはエジプトが仲介ちゅうかいする停戦ていせん案あんを受諾じゅだく。イスラエルとの戦たたかいにおける勝利しょうり宣言せんげんを行おこなった。

イスラエル側がわの発表はっぴょうでは、攻撃こうげきに使用しようされたロケット弾だんはシリア製せいのM-302（原型げんけいは中国ちゅうごく製せいの「衛士えじ」）とされている。

2023年ねん

8月がつ～住民じゅうみんらの不満ふまんとデモ

ガザ地区ちくでは生活せいかつ水準すいじゅんの悪化あっかが続つづいている、停電ていでん問題もんだいが深刻しんこくである、政権せいけん関係かんけい者しゃらによる汚職おしょくがある、失業しつぎょう率りつが極きわめて高たかい、公務員こうむいん給与きゅうよの支払しはらいが長年ながねん滞とどこおっている、軍事ぐんじ費ひの割合わりあいが極きわめて大おおきい、自由じゆうな選挙せんきょの機会きかいが与あたえられていない、といった社会しゃかい問題もんだいが存在そんざいしていた。

一般いっぱん庶民しょみんにしわ寄よせが集あつまっている構造こうぞうに不満ふまんを抱だいた人々ひとびとがSNSを通つうじた呼よびかけに応おうじて複数ふくすう地域ちいきで数すう百ひゃく人にん規模きぼのデモを実施じっし。ハマース当局とうきょくはデモの中止ちゅうしや逮捕たいほ・拘留こうりゅうを行おこなったが、最低限さいていげんの生活せいかつを求もとめる平和へいわ的てき抗議こうぎ集会しゅうかいの権利けんりを奪うばうものだとして不満ふまんの声こえも上あがっていた。

10月～アル＝アクサーの洪水こうずい

そのような中なか、2023年ねん10月7日にち、ハマースをはじめとするパレスチナ武装ぶそう勢力せいりょくによる一斉いっせい攻撃こうげきにより、2023年ねんパレスチナ・イスラエル戦争せんそうが始はじまった。イスラエルはガザ地区ちくに対たいして空爆くうばくを続行ぞっこうし、10月がつ10日とおかには幹部かんぶ二に人にん（資金しきん調達ちょうたつ役やくと武装ぶそう勢力せいりょく間あいだの調整ちょうせい役やく）の殺害さつがいを発表はっぴょうしたほか、10月17日にちにはアイマン・ノファル（أيمن نوفل, 文語ぶんごアラビア語ご発音はつおん：アイマン・ナウファル、口語こうごアラビア語ご発音はつおん：アイマン・ノーファル）最高さいこう司令しれい官かんを殺害さつがいしたと発表はっぴょうし、ノファルについてはハマースも死亡しぼうを確認かくにんしている。

詳細しょうさいは「2023年ねんパレスチナ・イスラエル戦争せんそう」を参照さんしょう

この事件じけんにおいてはネタニヤフ政権せいけんを含ふくめてイスラエルが対たいガザ政策せいさくの手段しゅだんとしてハマースを利用りようし、ガザ政府せいふの公務員こうむいんへの給与きゅうよやインフラ整備せいびのためにハマスがカタールから資金しきんを移動いどうすることを認みとめてきたことがハマスの軍事ぐんじ作戦さくせんの資金しきんになったと批判ひはんされ、イスラエル国内外こくないがいでも報ほうじられたほか、ハマース支持しじを続つづけているカタール（カタル）、イラン、トルコの方針ほうしんをめぐる議論ぎろんが起おこるなどした。

2024年ねん

ハマース幹部かんぶへの逮捕たいほ状じょう請求せいきゅう

5月がつ20日はつか、国際こくさい刑事けいじ裁判所さいばんしょ (ICC) のカリム・カーン主任しゅにん検察官けんさつかんは、戦争せんそう犯罪はんざいや人道じんどうに対たいする罪つみの疑うたがいで、海外かいがいから指揮しきを取とるハマース全体ぜんたいの政治せいじ部門ぶもんトップのイスマイル・ハニヤ最高さいこう幹部かんぶ、ガザ地区ちく現地げんちトップのヤヒヤ・シンワル指導しどう者しゃ、同どう地区ちく現地げんち軍事ぐんじトップでアル＝カッサーム旅団りょだんのムハンマド・アル＝マスリー、通称つうしょうムハンマド・デイフ司令しれい官かんの幹部かんぶ3人にんの逮捕たいほ状じょうを同どう裁判所さいばんしょに請求せいきゅうしたと発表はっぴょうした。2023年ねん10月がつ7日にちに民間みんかん人じんを殺害さつがいしたり、少すくなくとも245人にんを人質ひとじちに取とったこと、そして性せい暴力ぼうりょくなどが戦争せんそう犯罪はんざいの責任せきにんが問とわれると信しんじるに足たる合理ごうり的てきな理由りゆうがあると同どう首席しゅせき検察官けんさつかんは主張しゅちょうした。

請求せいきゅうされた逮捕たいほ状じょうは予審よしん裁判さいばん部ぶの裁判官さいばんかんパネルによって、提出ていしゅつされた証拠しょうこなどを検討けんとうしたうえで、発はつ付づけの可否かひの判断はんだんがなされる。

ハマース指導しどう者しゃの暗殺あんさつ

詳細しょうさいは「イスマーイール・ハニーヤの暗殺あんさつ」を参照さんしょう

7月がつ31日にち未明みめい、ハマースの最高さいこう指導しどう者しゃ、イスマイル・ハニヤ氏しが訪問ほうもん先さきのイランの首都しゅと・テヘランで暗殺あんさつされた。イランは報復ほうふくを行おこなう模様もようである。後任こうにんはヤヒヤ・シンワル。

政策せいさく

対たいイスラエル政策せいさくでは「イスラエルの生存せいぞん権けんを認みとめない」組織そしきとして報道ほうどうされることが多おおい。

1988年ねんのハマース憲章けんしょうでは「ユダヤ人じんによるパレスチナの不当ふとう占拠せんきょ」と「イスラエルの破壊はかい」を掲かかげ、2009年ねん6月25日にちにマシャアル政治せいじ局長きょくちょうは「パレスチナ民衆みんしゅうにとっての最低限さいていげんのライン」として、イスラエルによる全ぜん入植にゅうしょく地ちの撤廃てっぱい、パレスチナ難民なんみんの自由じゆうな帰還きかん、1967年ねん6月4日にち時点じてんでの停戦ていせんラインを国境こっきょうとする、パレスチナをエルサレムを首都しゅととする完全かんぜんな主権しゅけん国家こっかとするーーとの4条件じょうけんを挙あげた。

しかし2017年ねんの新しん憲章けんしょうでは「イスラエルの破壊はかい」や反はんユダヤとの批判ひはんもあった表現ひょうげんを無なくし、パレスチナ国家こっかの境界きょうかい線せんとして1967年ねんの国連こくれん安保理あんぽり停戦ていせん決議けつぎ（安保理あんぽり決議けつぎ242）に基もとづく国境こっきょう線せんを認みとめた。ただしイスラエルの国家こっか承認しょうにんは認みとめず、イスラエルとの闘争とうそうは継続けいぞくするとしている。

シャリーアに基もとづく統治とうちを目指めざしているため、同性愛どうせいあいを処罰しょばつ対象たいしょうにするなど、西欧せいおう北米ほくべい諸国しょこくにおいて広ひろく認みとめられた人権じんけん規範きはんとは相容あいいれない政策せいさくも多おおい。

ガザ地区ちくにはハマースよりさらに過激かげきな武装ぶそう組織そしきもあり、それらとの間あいだに衝突しょうとつも発生はっせいしている。議会ぎかい活動かつどうも行おこない対外たいがい的てきにもある程度ていどの妥協だきょうも行おこなうハマースに対たいし、より厳格げんかくなシャリーアによる国家こっかの建設けんせつを主張しゅちょうしている団体だんたいもある。2009年ねん8月がつ14日にちにはそれらの組織そしきの一ひとつでアルカーイダとの関係かんけいも指摘してきされる「ジュンド・アンサール・アッラー」との間あいだで銃撃じゅうげき戦せんとなり、「ジュンド・アンサール・アッラー」の指導しどう者しゃが自爆じばく。子供こども1人にんを含ふくめ、双方そうほうで24人にんの死者ししゃが発生はっせいした。ガザ地区ちくには他ほかにも類似るいじの武装ぶそう集団しゅうだんが少すくなくとも10前後ぜんこうはあるとされる。

またISIL（イスラム国こく、ダーイシュ）とも敵対てきたいしており、ISIL側がわはハマースをユダヤ（イスラエル）、ファタハと共ともに「根絶ねだやしにする」と宣言せんげんしている。

このため、イスラエル側がわはハマースへの攻撃こうげきを「芝刈しばかり（mowing the lawn）」と称しょうしている。「芝しば」であるハマースが伸のびすぎないよう、定期ていき的てきに攻撃こうげきして「刈かる」が、根絶ねだやしにしてより過激かげきな組織そしきが台頭たいとうしても困こまるというわけである。

西側にしがわ諸国しょこくやイスラエルはシリア、イランがハマースに対たいして支援しえんを行おこなっていると指摘してきし、両国りょうこくはハマースに対たいして軍事ぐんじ面めんでも協力きょうりょくしており、最大さいだいの支援しえん国こくであったと主張しゅちょう。2011年ねんから始はじまったシリア内戦ないせんでアサド政権せいけんとの関係かんけいが悪化あっかしたことからシリアとの関係かんけいは凍結とうけつ状態じょうたいとなり、イランからの支援しえんも減少げんしょう。（シリアについては2022年ねんに和解わかい。）

イラクとサウジアラビアもかつて資金しきん提供ていきょうや軍事ぐんじ支援しえんを行おこなっていたが、イラクは対たいイスラエル強硬きょうこう派はのサッダーム・フセイン政権せいけんが崩壊ほうかいしたため支援しえんは停止ていしされた。サウジアラビアは対たい米べい関係かんけいへの配慮はいりょとシリア・イラン両国りょうこくとの対立たいりつから、現在げんざいは政府せいふとしては反はんハマースの立場たちばである。サウジアラビアと同おなじ親米しんべいのペルシア湾わん岸きし諸国しょこくでも、トルコと並ならんでムスリム同胞どうほう団だんへの影響えいきょう力りょくが最もっとも強つよいカタールは政府せいふ首脳しゅのうがハマース指導しどう部ぶと頻繁ひんぱんに会談かいだんを行おこなうなどハマースを支援しえんしており、2012年ねん10月23日にちにはハマースのガザ制圧せいあつ以来いらい、外国がいこく元首げんしゅとして初はじめてハマド首長しゅちょうがガザ地区ちくを訪問ほうもんした。また、国家こっかレベルだけでなく、ハマースを支持しじするアラブ・イスラーム社会しゃかいからの個人こじん献金けんきんがハマースに対たいして行おこなわれている。

二ふたつの自治じち政府せいふ

ハマースはアッバース大統領だいとうりょう（自治じち政府せいふ議長ぎちょう）率ひきいる自治じち政府せいふの正統せいとう性せいを否定ひていしている。その理由りゆうには、アッバース政権せいけんが自治じち政府せいふ首相しゅしょうであるハニーヤを一方いっぽう的てきに解任かいにんし、議会ぎかい第だい1党とうのハマースを排除はいじょした政権せいけんであることや、更さらにアッバースが大統領だいとうりょうの任期にんき切きれ（2009年ねん1月がつ）後ごも大統領だいとうりょう選せんを延期えんきして在任ざいにんを続つづけていること、などが挙あげられる。

逆ぎゃくに自治じち政府せいふを正統せいとうと認みとめる立場たちばからは、ガザ地区ちくを実効じっこう支配しはいしているハマースによる統治とうち機構きこうに対たいしては、「ガザ地区ちくの（自治じち政府せいふに）解任かいにんされた内閣ないかく」との表現ひょうげんが用もちいられることがある。他たに「ガザ政府せいふ」「ガザ・ハマス政府せいふ」とも表記ひょうきされる。

組織そしき

ハマース支持しじ者しゃらの集会しゅうかい

政治せいじ部門ぶもん

諮問しもん評議ひょうぎ会かい

ハマースの指導しどう機関きかんはイスラーム式しきの合議ごうぎ（シューラー）に基もとづく諮問しもん評議ひょうぎ会かいマジュリス・アッ＝シューラー（مجلس الشورى, majlis al-shūrā）である。

政治せいじ局きょく

ハマース指導しどう部ぶとしては政治せいじ局きょく（المكتب السياسي, al-maktab al-siyāsī, アル＝マクタブ・アッ＝スィヤースィー）が設置せっちされ、4年ねんおきにガザ地区ちく、ヨルダン川よるだんがわ西岸せいがん地区ちく、パレスチナ外そとの3部門ぶもんをあわせての組織そしき内ない選抜せんばつを通つうじ選出せんしゅつされる15～18名めいのメンバーら（再選さいせん可か）が組織そしきとしてのハマースを運営うんえいする方式ほうしきとなっている。

政治せいじ局きょくは1992年ねんに設立せつりつされた機関きかんで、次第しだいにハマース内ないでの影響えいきょう力りょくを拡大かくだいしていった。

当初とうしょはヨルダンに拠点きょてんがあったがシリア首都しゅとのダマスカスに移転いてん。ハマースが反はんアサド政権せいけん組織そしきへの支持しじを表明ひょうめいしたためムスリム同胞どうほう団だん系けいの反はん体制たいせい活動かつどうを嫌きらったバッシャール・アル＝アサド大統領だいとうりょうの意向いこうによりダマスカスにあった事務所じむしょは閉鎖へいさ措置そちを受うけた。シリアを追おわれた政治せいじ部ぶは再度さいど移転いてん、2012年ねん以降いこうはカタールが所在地しょざいちとなっている。

現代げんだいの政治せいじ局きょく局長きょくちょうはイスマーイール・ハニーヤ（口語こうごアラビア語ご（現地げんち方言ほうげん）発音はつおん：ハニーエ）で、カタールの首都しゅとドーハに在住ざいじゅうしている。

社会しゃかい事業じぎょう・慈善じぜん事業じぎょう部門ぶもん

名称めいしょう

アラビア語ご：الدعوة（al-daʿwa ないしは al-daʿwah, アッ＝ダアワ, 「呼よびかけ；招待しょうたい；祈いのり；伝道でんどう、宣教せんきょう」の意い）

概要がいよう

ガザ地区ちくではハマース設立せつりつ前まえより注力ちゅうりょくされてきた分野ぶんやであり、政治せいじ活動かつどう・武力ぶりょく行動こうどうに先さきんじて発展はってん。後のちにハマース創設そうせつ者しゃともなったアフマド・ヤースィーンが1973年ねんに設立せつりつしたムスリム同胞どうほう団だん系けいの社会しゃかい奉仕ほうし組織そしきアル＝ムジャンマア・アル＝イスラーミー（المجمع الإسلامي, al-Mujammaʿ al-Islāmī, 「イスラミック・センター」の意い、英訳えいやく：Islamic Center）がこの分野ぶんやを担になっており、ハマース設立せつりつ後ごはその一部いちぶとして上記じょうき組織そしきの社会しゃかい・慈善じぜん事業じぎょうを継承けいしょうすることとなった。

ハマースの社会しゃかい事業じぎょう・慈善じぜん事業じぎょう運営うんえいは組織そしきの母体ぼたいともなったエジプトにおけるムスリム同胞どうほう団だん方式ほうしきを踏襲とうしゅう。各種かくしゅ草くさの根ね活動かつどうを通つうじて地元じもと社会しゃかいに浸透しんとうするとともに社会しゃかいの生活せいかつ水準すいじゅん向上こうじょう・安定あんていを試こころみる、対たいイスラエル抵抗ていこう運動うんどうの基盤きばん作づくりとするという形かたちをとっており、設立せつりつ以降いこう社会しゃかい事業じぎょう・慈善じぜん活動かつどうに多額たがくの予算よさんを投入とうにゅうしてきた。

• 保育ほいく所しょ・幼稚園ようちえん、孤児こじ院いん、学校がっこう、大学だいがくの建設けんせつ・運営うんえい
• 病院びょういん・診療しんりょう所しょの建設けんせつ・運営うんえい、医療いりょう補助ほじょ
• 慈善じぜん団体だんたい設立せつりつ
• モスク等とうでの宗教しゅうきょう活動かつどう実施じっし
• アル＝アクサーモスク参拝さんぱい小しょう旅行りょこう開催かいさい、イスラーム祝祭日しゅくさいじつイベント開催かいさい
• 婦人ふじん部ぶ活動かつどう
• スポーツクラブ運営うんえい、スポーツ事業じぎょう企画きかく
• 住宅じゅうたく供給きょうきゅう
• 貧困ひんこん家庭かてい救済きゅうさいとしての飲用いんよう水すい・食料しょくりょう品ひん補助ほじょ
• 個人こじん間あいだトラブル調停ちょうてい

といった各種かくしゅ社会しゃかい事業じぎょうを実施じっし。

これらの事業じぎょうはハマースの思想しそうを浸透しんとうさせるという役割やくわりを果はたし、モスクは地域ちいき社会しゃかい運営うんえいならびに寄付きふ金きん集あつめ・慈善じぜん活動かつどう展開てんかいの拠点きょてん、大学だいがくは若者わかものらのイスラーム活動かつどう・政治せいじ活動かつどうの拠点きょてんとしても機能きのうしてきた。

またイスラエルに関連かんれんしては

• イスラエル側がわに収監しゅうかんされている人物じんぶつ（捕虜ほりょ）や解放かいほうされ帰還きかんした人物じんぶつに関かんする対応たいおう
• イスラエルからの制裁せいさいにより職しょくを失うしなった人々ひとびとへの支援しえん
• 自爆じばく攻撃こうげきで死亡しぼうした戦闘せんとう員いん一家いっかへの見舞みまい金きん支払しはらい、報復ほうふくとして行おこなわれた住宅じゅうたく破壊はかいを受うけての住宅じゅうたく補助ほじょ

などを提供ていきょう。

他たの組織そしきが応こたえることのできなかった様々さまざまなニーズに対応たいおうし、ハマースの地位ちいを築きずく要因よういんともなった。

軍事ぐんじ部門ぶもん

詳細しょうさいは「イッズッディーン・アル＝カッサーム旅団りょだん」を参照さんしょう

前身ぜんしんと設立せつりつ

パレスチナ各地かくちに拠点きょてんを置おいていたムスリム同胞どうほう団だんは1948年ねん以降いこう特とくにガザ地区ちくでその勢力せいりょくを伸長しんちょうしていた。エジプト本国ほんごくで1954年ねんに非合法ひごうほう化かされ弾圧だんあつが開始かいしされたのに合あわせパレスチナでも公然こうぜんと活動かつどうすることが困難こんなんとなったが、直前ちょくぜんの1952-1954年ねん期きにガザ地区ちくで軍事ぐんじ部門ぶもんを秘密ひみつ組織そしきの形かたちで設立せつりつ。第だい一いち次じ中東ちゅうとう戦争せんそう（パレスチナ戦争せんそう）に参加さんかした同胞どうほう団だん員いんが指揮しきをとった。

ハマース軍事ぐんじ部門ぶもん自体じたいの原点げんてんは「パレスチナのジハード戦士せんしたち」（المجاهدون الفلسطينيون, al-mujāhidūn al-Filasṭīnīyūn, アル＝ムジャーヒドゥーン・アル＝フィラスティーニーユーン、英訳えいやく：Palestinian Mujahideen）であった。この組織そしき自体じたいは1987年ねんのハマース設立せつりつ発表はっぴょうよりも前まえの1984年ねんにアフマド・ヤースィーンによって作つくられたムスリム同胞どうほう団だん系けいの武装ぶそう組織そしきを再編さいへんしたもので、当初とうしょは秘密ひみつ組織そしきとして扱あつかわれておりハマース結成けっせいよりも先さきに対たいイスラエル活動かつどうを展開てんかいしていた。

1987年ねんのインティファーダ以来いらい勢力せいりょくを拡張かくちょうし反はんイスラエル闘争とうそうのリーダー的てき存在そんざいとなったが、同どう活動かつどうを危険きけん視ししたイスラエルにより指導しどう者しゃアフマド・ヤースィーンが逮捕たいほ・投獄とうごくされるに至いたった。

イッズッディーン・アル＝カッサーム旅団りょだんの演習えんしゅう

イッズッディーン・アル＝カッサーム旅団りょだん（كتائب عز الدين القسام, Katāʾib ʿIzz al-Dīn al-Qassām, カターイブ・イッズッディーン・アル＝カッサーム）は1930年代ねんだいにパレスチナにおけるジハード闘争とうそうの支柱しちゅうとなった宗教しゅうきょう家かの名前なまえを冠かんしたハマースの軍事ぐんじ部門ぶもんで、「パレスチナのジハード戦士せんしたち」（المجاهدون الفلسطينيون, al-mujāhidūn al-Filasṭīnīyūn, アル＝ムジャーヒドゥーン・アル＝フィラスティーニーユーン、英訳えいやく：Palestinian Mujahideen）を1991年ねんに改称かいしょうした組織そしきである。

設立せつりつ・指揮しきに当あたったのは、1984年ねんに先行せんこうして組織そしきされた上記じょうき武装ぶそう組織そしきの直接ちょくせつの設立せつりつ者しゃでもあるサラーフ・シャッハーデ（صلاح شحادة, 文語ぶんごアラビア語ご発音はつおん：Ṣalāḥ Shaḥḥāda ないしは Ṣalāḥ Shaḥḥādah, サラーフ・シャッハーダ、口語こうご（現地げんち方言ほうげん）発音はつおん：Ṣalāḥ Shaḥḥāde/Sheḥḥāde, サラーフ・シャッハーデ/シェッハーデ、英字えいじ表記ひょうき例れい：Salah Shehadeh）であった。

概要がいよう

イスラエル人じん及およびその協力きょうりょく者しゃの誘拐ゆうかい・暗殺あんさつなどを担当たんとう。1992年ねん以降いこうの大だい規模きぼなテロ活動かつどう、ロケット弾だん攻撃こうげきの大だい部分ぶぶんは同どう組織そしきによるものとされている。パレスチナ-イスラエル和平わへい交渉こうしょうが行おこなわれていた1993年ねん頃ごろから攻撃こうげき内容ないようが激化げきかの兆きざしを見みせ、イスラエル側がわに赴おもむいての自爆じばく攻撃こうげきなどを行おこなうようになっていった。

なお、ハマース全体ぜんたいとしてはサラフィー主義しゅぎ勢力せいりょくと軍事ぐんじ的てき衝突しょうとつを繰くり返かえしており、ガザ南部なんぶラファフを拠点きょてんとするサラフィー主義しゅぎ運動うんどう「ジュンド・アンサール・アッラーフ（جند أنصار الله, Jund Anṣār Allāh）」と戦闘せんとうを行おこない、同どう勢力せいりょくを率ひきいるアブドゥッラティーフ・ムーサーを殺害さつがいするなどしている。

2011年ねん4月がつには、ガザで活動かつどうする支援しえん組織そしき「国際こくさい連隊れんたい組織そしき」のイタリア人じん活動かつどう家かヴィットーリオ・アリゴーニが同おなじくサラフィー主義しゅぎの過激かげき派は組織そしき「タウヒード・ジハード」に誘拐ゆうかい・殺害さつがいされた事件じけんでは、同どう組織そしきの犯人はんにんを逮捕たいほし犯行はんこうを非難ひなんしている。

治安ちあん部門ぶもん

名称めいしょう

組織そしき名称めいしょうはムナッザマト・アル＝ジハード・ワ・アッ＝ダアワ（アラビア語ご：منظمة الجهاد والدعوة, Munaẓẓamat al-Jihād wa al-Daʿwa(ないしはal-Daʿwah), 「ジハードと宣教せんきょうの組織そしき」の意い）と呼よばれる。

略称りゃくしょうは頭文字かしらもじをとった頭字かしらじ語ご（アクロニム）で「栄光えいこう、名誉めいよ」という意味いみを持もつ名詞めいしと同おなじつづり・発音はつおんの「Majd」（مجد, マジュド）ないしはそれに定冠詞ていかんしを付ふした「al-Majd」（المجد, アル＝マジュド）である。

設立せつりつ

ムスリム同胞どうほう団だんの軍備ぐんびを進すすめていたとしてイスラエル当局とうきょくによって投獄とうごくされていたアフマド・ヤースィーンは、1985年ねんに釈放しゃくほうされた後のち、すなわち組織そしきとしてのハマースが生うまれた1987年ねんよりも前まえに地域ちいき内ないの治安ちあん保持ほじとスパイ摘発てきはつ活動かつどうを行おこなう治安ちあん部門ぶもんを設立せつりつした。

同どう組織そしきのトップに立たったのは現在げんざいハマースのガザ地区ちく指導しどう者しゃとなっているヤフヤー・アッ＝スィンワール（يحيى السنوار, Yaḥyā al-Sinwār、日本にっぽんでのカタカナ表記ひょうき例れい：ヤヒヤ・シンワル、英字えいじ表記ひょうき例れい：Yahya Sinwar, Yahya al-Sinwar）ならびにラウヒー・ムシュタハー（روحي مشتهى, Rawḥī Mushtahā、英字えいじ表記ひょうき：Rawhi Mushtaha）だった。

このうちアフマド・ヤースィーンに治安ちあん部門ぶもん設立せつりつを進言しんげんしたのがヤフヤー・アッ＝スィンワール（ヤヒヤ・シンワル）だったとされている。

広報こうほう部門ぶもん

アラビア語ご：الإعلام（al-iʿlām, アル＝イウラーム, 「通告つうこく、通知つうち」「報道ほうどう」の意い）

ハマースは軍事ぐんじ力りょくだけでなくマスメディアの威力いりょく・効果こうかも重視じゅうししており、組織そしきが創設そうせつされた1987年ねん以降いこう、ポスターやビラを含ふくむ印刷物いんさつぶつ、映像えいぞう・音声おんせい作品さくひんのリリースに加くわえて新聞紙しんぶんしの創刊そうかん、ラジオ局きょくやテレビ局てれびきょくの設立せつりつを進すすめてきた。

最初さいしょ期きはカセットテープやビデオテープが生産せいさんされていたが、時代じだいの経過けいかに伴ともないデジタル媒体ばいたいへと進化しんかしていった。

新聞しんぶん

アッ＝リサーラ新聞しんぶん（アラビア語ご：صحيفة الرسالة, Ṣaḥīfat al-Risālah（ないしはal-Risāla）, サヒーファト・アッ＝リサーラ, 「メッセージ」「使命しめい、布教ふきょう、ミッション」の意い、英訳えいやく例れい：The Message、The Mission）は1996年ねん1月がつ創刊そうかんの新聞しんぶんで、オンラインサイトでのニュース提供ていきょうも行おこなっている。

ラジオ局きょく

公式こうしきの名称めいしょうはサウト・アル＝アクサー・ラジオ（アラビア語ご：إذاعة صوت الأقصى, Idhāʿat Ṣawt al-Aqṣā, イザーアト・サウト・アル＝アクサー、「アル＝アクサーの声こえ放送ほうそう」「アル＝アクサーの声こえラジオ」の意い、英字えいじ表記ひょうき例れい：Radio Al-Aqsa, Al-Aqsa Radio）だが、アル＝アクサー・ラジオ（アラビア語ご：إذاعة الأقصى, Idhāʿat al-Aqṣā, イザーアト・アル＝アクサー、「アル＝アクサー放送ほうそう」「アル＝アクサー・ラジオ」の意い、公式こうしき英字えいじ表記ひょうき：Al-Aqsa Voice Radio、公式こうしきロゴ英字えいじ表記ひょうき：ALAQSA VOICE）と記載きさいされている記事きじも複数ふくすう見みられる。

2003年ねん6月がつに設立せつりつされたラジオ局きょくで、イスラームの教義きょうぎやパレスチナ問題もんだいなどに関かんする番組ばんぐみを放送ほうそう。ガザ地区ちくでの周波数しゅうはすうは106.7MHz（FM放送ほうそう）。公式こうしきウェブサイトに加くわえ各種かくしゅSNSアカウントを開設かいせつしている。

衛星えいせいテレビ局てれびきょく

概要がいよう

正式せいしき名称めいしょうはアル＝アクサー衛星えいせいチャンネル（アラビア語ご：قناة الأقصى الفضائية, Qanāt al-Aqṣā al-Faḍāʾīyah（ないしはal-Faḍāʾīya, al-Faḍāʾiyyah, al-Faḍāʾiyya）, カナート・アル＝アクサー・アル＝ファダーイーヤ、英字えいじ表記ひょうき：Al-Aqsa TV）で、単たんにアル＝アクサー・テレビとも呼よばれる。公式こうしきウェブサイトに加くわえ各種かくしゅSNSアカウントを所有しょゆうしているがX（Twitter）アカウントに関かんしては凍結とうけつ済ずみとなっている。

2006年ねん1月がつ9日にち開局かいきょく。選挙せんきょで大勝たいしょうし国内外こくないがいに向むけてハマースの情報じょうほう発信はっしんとPRを行おこなう必要ひつよう性せいが増ました時期じきに誕生たんじょうした。

ハマースの放送ほうそう局きょくであることからこれまでに複ふく数すう回かい攻撃こうげき対象たいしょうとなっており、2018年ねんには約やく30分ふんにわたって12発はつのミサイルがイスラエル軍ぐんによって投下とうかされテレビ局てれびきょくが全壊ぜんかいするなどした。

2023年ねんパレスチナ・イスラエル戦争せんそうに際さいしては、フランス政府せいふからの要請ようせいによりフランスに本拠地ほんきょちを置おくユーテルサット（Eutelsat）がそれまで行いっていたアル＝アクサー衛星えいせいチャンネルの伝送でんそう停止ていし措置そちを取とったことで、放送ほうそう地域ちいきが縮小しゅくしょうした。

子供こども番組ばんぐみ『明日あしたの開拓かいたく者しゃ』と偽にせミッキー

明日あしたの開拓かいたく者しゃ（あすのかいたくしゃ、アラビア語ご：رواد الغد, Ruwwād al-Ghad, ルーワード・アル＝ガド, 「明日あしたの開拓かいたく者しゃたち」「明日あしたの先駆せんく者しゃたち」の意い）はアル＝アクサー・テレビが2007年ねん4月がつ13日にちから2009年ねん10月16日にちの間あいだに放送ほうそうした子供こども番組ばんぐみである。

通常つうじょうの子供こども番組ばんぐみが主題しゅだいとする道徳どうとくやしつけよりも、イスラエル・欧米おうべい諸国しょこく・資本しほん主義しゅぎへの批判ひはんが主要しゅようなテーマであったこと、版権はんけん侵害しんがい無む許諾きょだくミッキーマウス着きぐるみを利用りようしたネズミのキャラクター「ファルフール」（فرفور, Farfūr、英字えいじ表記ひょうき例れい：Farfur、Farfour、Farfoor）などを登場とうじょうさせ抵抗ていこう運動うんどう参加さんかやシオニスト・ユダヤ人じんらの全面ぜんめん的てき掃討そうとう、殉教じゅんきょう死しの重要じゅうよう性せいを呼よびかけたことから、イスラエルや諸しょ外国がいこくで問題もんだい視しされ話題わだいとなった。

宗教しゅうきょう歌か（ナシード）

ナシード（単数たんすう形がた：نشيد, nashīd、複数ふくすう形がた：أناشيد, anāshīd, アナーシード）はアラビア語ごで「歌唱かしょう、唱歌しょうか」「詩吟しぎん、吟詠ぎんえい」といった意味いみを持もつ名詞めいしだが、イスラーム的てき文脈ぶんみゃくでは宗教しゅうきょう詩しを肉声にくせいで吟ぎんじたものを指さす。ナシードは戒律かいりつ上じょう望のぞましくない音楽おんがくを避さけるため楽器がっき演奏えんそうをせず人ひとの声こえのみで行おこなうスタイルが知しられるが、大衆たいしゅう向むけの広義こうぎのナシードに関かんしては太鼓たいこによる伴奏ばんそう、さらにはシンセサイザーなどを使つかったポップソング調ちょうのものまで含ふくまれるなどする。

ハマースは愛国あいこく歌かが及およぼす影響えいきょう力りょくとその重要じゅうよう性せいを熟知じゅくちした上うえでメディア戦略せんりゃくとしてこのナシードを制作せいさく。イスラエル攻撃こうげきに身みを投とうじかの地ちを戦火せんかに包つつむといった戦意せんい発揚はつよう、イスラエルに対たいする挑発ちょうはつ・脅迫きょうはくなどの目的もくてきで活用かつようしてきた。

これらの歌唱かしょうをパフォーマンスするチームもおり、レバノンで誕生たんじょうしたハマース系けい歌唱かしょう団だんファリーク・アル＝ワアド（فريق الوعد, Farīq al-Waʿd, ファリークは「チーム、団だん」, アル＝ワアドは「約束やくそく」「誓ちかい」の意い）は

• 「زلزل أمن إسرائيل」（Zalzil Amn Isrāʾīl, ザルズィル・アムン・イスラーイール, 「イスラエルの治安ちあんを揺ゆるがせ」の意い）
• 「لن نعترف بإسرائيل」（Lan Naʿtarif bi-Isrāʾīl, ラン・ナアタリフ・ビ・イスラーイール, 「我々われわれがイスラエルを承認しょうにんをすることはない」の意い）

といった持もち歌うたの音声おんせい作品さくひんリリース、ハマース系けいテレビ局てれびきょくでの放送ほうそう、パレスチナを始はじめとするアラブ諸国しょこくでの披露ひろうを行おこなってきた。

ビデオ制作せいさく

ハマースの活動かつどうを撮影さつえいした動画どうがの制作せいさくが行おこなわれており、上記じょうきの宗教しゅうきょう歌か・愛国あいこく歌かがBGMとして使つかわれるなどしている。

イッズッディーン・アル＝カッサーム旅団りょだんによる軍事ぐんじ行動こうどうの様子ようすを収おさめた記録きろく映像えいぞうなどもハマースのメディア部門ぶもんの制作せいさくとなっている

ウェブサイト

ハマースの公式こうしきウェブサイトURLは https://hamas.ps/ となっている。同どうサイトは2023年ねん10月がつ7日にち以降いこう各国かっこくからハッキングを受うけたが、その後ごアクセス不能ふのうとなったままである。軍事ぐんじ部門ぶもんであるイッズッディーン・アル＝カッサーム旅団りょだんの公式こうしきウェブサイト https://alqassam.ps/arabic/もアクセスができない状態じょうたい。

2023年ねん10月がつ7日にちに勃発ぼっぱつしたパレスチナ・イスラエル戦争せんそう以後いご、https://hamas.com/が複数ふくすうイスラエル政府せいふ関連かんれんアカウントによって引用いんようされ、ハマースによる残虐ざんぎゃく行為こういの真実しんじつを物語ものがたる画像がぞう・映像えいぞうを提供ていきょうしているとして話題わだいとなった。しかしながら同どうサイトはハマースの公式こうしきウェブサイトではなく、メディア戦略せんりゃくの一ひとつとしてイスラエル人じんによって設立せつりつされイスラエル系けい企業きぎょうWixのサーバー上じょうに置おかれているとの報道ほうどうがイスラエル国内こくない新聞しんぶんハアレツ（Haaretz）やイェディオト・アハロノト（Yedioth Ahronoth）などによってなされたほか、海外かいがいメディアほかがパレスチナ側がわが制作せいさくしたものではないとの検証けんしょうを行おこなうなどしており、ハマースが制作せいさくした公式こうしきコンテンツではない可能かのう性せいが極きわめて高たかい。

幹部かんぶ

指導しどう者しゃ

• イスラエルによる暗殺あんさつを防ふせぐため非ひ公表こうひょう。複数ふくすう人じん存在そんざいしていると思おもわれる。

現在げんざいの主要しゅよう幹部かんぶ

• ヤヒヤ・シンワル（ヤフヤー・アッ＝スィンワール）- 政治せいじ局きょく議長ぎちょう。ガザ地区ちく指導しどう者しゃ。2023年ねんパレスチナ・イスラエル戦争せんそう開始かいし直後ちょくごの2023年ねん10月がつ9日にちに死亡しぼう報道ほうどうがあったが英語えいご記事きじからの和訳わやく時じに発生はっせいした誤訳ごやくでありその後ご生存せいぞんしていることが判明はんめい。10月中旬ちゅうじゅん時点じてんでイスラエル側がわが依然いぜんとして行方ゆくえを追おっていることが報ほうじられ、同年どうねん11月がつ上旬じょうじゅんにはイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相しゅしょうより小ちいさなヒトラーと批判ひはんされ、またヨアブ・ガラント国防こくぼう大臣だいじんからは名指なざしで抹殺まっさつ対象たいしょうに挙あげられている。
• ムーサー・ムハンマド・アブー・マルズーク - 政治せいじ局きょく副ふく議長ぎちょう。
• サーミー・ハーティル - 政治せいじ局員きょくいん
• ユーニス・アル＝アスタル - 精神せいしん的てき指導しどう者しゃ
• ユースフ・アフマド
• ハーリド・マシャアル（マシュアル）- 前ぜん政治せいじ局きょく議長ぎちょう。ヨルダンで1997年ねん9月がつ25日にち、モサド工作こうさく員いんに毒物どくぶつをかけられて殺害さつがいされかけた。ヨルダンとアメリカがイスラエル政府せいふに圧力あつりょくをかけて解毒げどく剤ざいと毒物どくぶつの化学かがく式しきを提供ていきょうさせて治療ちりょうが行おこなわれ、一命いちめいを取とり留とめた。
• マフムード・ザッハール（アッ＝ザッハール） - ハマースのガザ指導しどう部ぶメンバー。元もと外相がいしょう
• ムシール・アル＝マスリー - ガザのハマース幹部かんぶ。パレスチナ自治じち評議ひょうぎ会議かいぎ員いん。
• アブー・ウベイダ（ウバイダ、オベイダ） - 「イッズッディーン・アル＝カッサーム旅団りょだん」広報こうほう。
• サーミー・アブー・ズフリー - ハマースの広報こうほう主任しゅにん
• ファウズィー・バルフーム - 広報こうほう担当たんとう。
• イーハーブ・アル＝グサイン（グセイン）- ガザのハマース政権せいけん下かにて内務省ないむしょう報道ほうどう官かん
• ウサーマ・ハムダーン（オサーマ・ハムダーン） - ハマースの政治せいじ局員きょくいん、レバノン支部しぶ指導しどう者しゃ。
• アフマド・アブドゥルハーディー - ハマースのレバノン支部しぶ代表だいひょう。2023年ねん10月がつ26日にちテレビ朝日てれびあさひ報道ほうどうステーションでインタビュー放映ほうえい、アブドルハディ、アブドラハディ表記ひょうきで紹介しょうかいされた。
• アズィーズ・（アッ＝）ドゥワイク -　パレスチナ立法りっぽう評議ひょうぎ会かい前ぜん議長ぎちょう。イスラエル軍ぐんに拘束こうそく、収監しゅうかん中ちゅう。日本にっぽんメディアではアジズ・ドウェイクやアジズ・ドゥウェイク表記ひょうき多おおし。
• ハサン・ユースフ

殺害さつがいされた幹部かんぶ

• アフマド・ヤースィーン（ヤシン、ヤースィーン）- ハマースの創設そうせつ者しゃ。2004年ねん3月がつ22日にちにイスラエルによる攻撃こうげきにより殺害さつがいされた。
• アブドゥルアズィーズ・アッ＝ランティースィー - ヤーシーンの後継こうけい指導しどう者しゃ。2004年ねん4月がつ17日にちにイスラエルによる攻撃こうげきで殺害さつがいされた。
• ニザール・ラヤーン（ライヤーン）：ハマースのジャバリア（原語げんご発音はつおん：ジャバーリヤー、日本語にほんご記事きじではジャバリヤとも）地区ちく指導しどう者しゃ。2009年ねん1月がつ1日にちにイスラエルによる空爆くうばくで死亡しぼうした。
• サイード・スィヤーム - 「ガザ政府せいふ」内相ないしょう。ハマースの治安ちあん部隊ぶたい「執行しっこう部隊ぶたい」創設そうせつを主導しゅどう。2009年ねん1月がつ15日にちにイスラエルによる空爆くうばくで死亡しぼうした。
• マフムード・アル＝マブフーフ - ハマース軍事ぐんじ部門ぶもん幹部かんぶ。1989年ねんのイスラエル国防こくぼう軍ぐん兵士へいし2人にんの殺害さつがいに関与かんよしていた。2010年ねん2月がつにアラブ首長しゅちょう国こく連邦れんぽうドバイのホテルでイスラエル諜報ちょうほう特務とくむ庁ちょう（モサド）により殺害さつがい。
• アフマド・アル＝ジャアバリー - イッズッディーン・アル＝カッサーム旅団りょだん参謀さんぼう長ちょう。2012年ねん11月14日にちに、イスラエルによる空爆くうばくで暗殺あんさつ。
• ムハンマド・アブー・シャンマーラ - ハマースのガザ地区ちく南部なんぶ指導しどう者しゃ。2014年ねん8月がつ21日にちにイスラエル国防こくぼう軍ぐんによる空爆くうばくで死亡しぼうした。
• ラーイド・アル＝アッタール：ガザ南部なんぶにおけるイッズッディーン・アル＝カッサーム旅団りょだんの司令しれい官かん。2014年ねん8月がつ21日にちにイスラエル国防こくぼう軍ぐんによる空爆くうばくで死亡しぼうした。
• ヤヒヤ・アヤシュ：ハマスの爆ばく弾だん製造せいぞう者しゃ、別名べつめい「エンジニア」イスラエルの爆破ばくはにより死亡しぼう
• ムハンマド・バルフーム - イッズッディーン・アル＝カッサーム旅団りょだん幹部かんぶ。2014年ねん8月がつ21日にちにイスラエル国防こくぼう軍ぐんによる空爆くうばくで、アブー・シャンマーラ、アッタールらと共ともに死亡しぼうした。
• サーリフ・アル＝アールーリー（صالح العاروري, Ṣāliḥ al-ʿĀrūrī、口語こうご（現地げんち方言ほうげん）発音はつおん：サーレフ・アル＝アールーリー, サーレフ・アル＝アルーリ等とう、英字えいじ表記ひょうき例れい：Saleh al-Arouri） - 元もとヨルダン川よるだんがわ西岸せいがん地区ちく責任せきにん者しゃで、同どう地区ちくにおける軍事ぐんじ部門ぶもん設立せつりつを担当たんとう。暗殺あんさつ当時とうじの役職やくしょくは政治せいじ局きょく副ふく局長きょくちょう（副ふく代表だいひょう）でハマース指導しどう部ぶのナンバー2に相当そうとう。2024年ねん1月がつ2日にちにレバノンの南みなみベイルートにあるハマース事務所じむしょで起おこった爆発ばくはつ事件じけんにより死亡しぼう。イスラエルのドローン爆撃ばくげきが原因げんいんであり、建物たてもの破壊はかいが発生はっせい、イッズッディーン・アル＝カッサーム旅団りょだんの要人ようじん2人にんも同時どうじに暗殺あんさつされた。
• アッザーム・アル＝アクラア（عزام الأقرع, Azzām al-Aqraʿ）- イッズッディーン・アル＝カッサーム旅団りょだん幹部かんぶ。サーリフ・アル＝アールーリーらとともにイスラエルが2024年ねん1月がつ2日にちに実施じっししたドローン爆ばく撃げきで死亡しぼう。
• サミール・ファンディー（سمير فندي, Samīr Fandī）- イッズッディーン・アル＝カッサーム旅団りょだん幹部かんぶ。サーリフ・アル＝アールーリーらとともにイスラエルが2024年ねん1月がつ2日にちに実施じっししたドローン爆ばく撃げきで死亡しぼう。
• 【ハマース側がわは死亡しぼうを否定ひてい】マルワーン・イーサー（مروان عيسى, Marwān ʿĪsā）：イッズッディーン・アル＝カッサーム旅団りょだんの副ふく司令しれい官かんで、ムハンマド・デイフの右腕うわん。イスラエル側がわは2024年ねん3月がつ10日にち頃ごろに殺害さつがいを実施じっししたと発表はっぴょうしたが、ハマース政治せいじ局きょくは信憑しんぴょう性せいに欠かけるとしてこれを否定ひていしており公式こうしきには依然いぜんとして死亡しぼうを認みとめていない状況じょうきょうにある。
• イスマーイール・ハニーヤ（ハニーエ） - 政治せいじ局きょく議長ぎちょう。事実じじつ上じょうの最高さいこう指導しどう者しゃ。2024年ねん7月がつ31日にち、訪問ほうもん先さきのイランで暗殺あんさつされた。
  「イスマーイール・ハニーヤの暗殺あんさつ」も参照さんしょう
• 【ハマース側がわは死亡しぼうを否定ひてい】ムハンマド・ダイフ（アッ＝デイフ）محمد الضيف,Muḥammad al-Ḍayf(ないしはal-Ḍaif) - 「イッズッディーン・アル＝カッサーム旅団りょだん」司令しれい官かん。2023年ねんパレスチナ・イスラエル戦争せんそうの首謀しゅぼう者しゃと目めされている。2024年ねん7月がつ13日にちにIDFの戦闘せんとう機きがハーンユニス地域ちいきを攻撃こうげきし、情報じょうほう分析ぶんせきの結果けっか、攻撃こうげきでムハンマド・デイフが殺害さつがいされたことが確認かくにんされたと発表はっぴょうしたがハマスはこれを否定ひていしている。

旗はたとロゴマーク

ハマースの組織そしき旗き

ハマースの組織そしき旗き

緑みどりの地ちに白しろい文字もじでイスラームにおける信仰しんこう告白こくはくの文言もんごんであるシャハーダの言葉ことば

لَا إِلَٰهَ إِلَّا ٱللَّٰهُ مُحَمَّدٌ رَسُولُ ٱللَّٰهِ（lā ʾilāha ʾilla-llāhu Muḥammad(un) rasūlu-llāh, ラー・イラーハ・イッラッラーフ ムハンマド(ゥン)・ラスールッラー(フ), アッラーの他ほかに神かみはなし。ムハンマドはアッラーの使徒しとである。）」がアラビア書道しょどうの書体しょたいにてデザインされている。

右側みぎがわ＋中央ちゅうおう上じょう半分はんぶん：لَا إِلَٰهَ إِلَّا ٱللَّٰهُ（lā ʾilāha ʾilla-llāhu, ラー・イラーハ・イッラッラーフ, アッラーの他ほかに神かみはなし）

中央ちゅうおう下か半分はんぶん＋左側ひだりがわ：مُحَمَّدٌ رَسُولُ ٱللَّٰهِ（Muḥammad(un) rasūlu-llāh, ムハンマド(ゥン)・ラスールッラー(フ), ムハンマドはアッラーの使徒しとである）

ロゴマーク

ハマース公式こうしきロゴ

交差こうさした剣けんの上うえに岩いわのドーム、さらにその上うえにパレスチナ国くにの形かたちがデザインされている。左右さゆうのリボン状じょうの部分ぶぶんはパレスチナの国旗こっきで、右側みぎがわに組織そしき旗きにも用もちいられているイスラーム信仰しんこう告白こくはくの文言もんごん（シャハーダ）が書かかれている。

右側みぎがわ国旗こっき部分ぶぶん：لَا إِلَٰهَ إِلَّا ٱللَّٰهُ（lā ʾilāha ʾilla-llāhu, ラー・イラーハ・イッラッラーフ, アッラーの他ほかに神かみはなし）

左側ひだりがわ国旗こっき部分ぶぶん：مُحَمَّدٌ رَسُولُ ٱللَّٰهِ（Muḥammad(un) rasūlu-llāh, ムハンマド(ゥン)・ラスールッラー(フ), ムハンマドはアッラーの使徒しとである）

交差こうさした剣けんの柄えの間あいだにはパレスチナのアラビア語ご名称めいしょう فلسطين（Filasṭīn, フィラスティーン）、一番いちばん下かには組織そしきの正式せいしき名称めいしょうと略称りゃくしょうが並ならべられ「حركة المقاومة الإسلامية ـ حماس」（Ḥarakat al-Muqāwama al-Islāmīya _ Ḥamās, ハラカト・アル＝ムカーワマ・アル＝イスラーミーヤ _ ハマース）と印字いんじされている。

関連かんれん項目こうもく

• イッズッディーン・アル＝カッサーム旅団りょだん（ハマース軍事ぐんじ部門ぶもん）
• 明日あしたの開拓かいたく者しゃ（ハマース制作せいさく子供こども番組ばんぐみ）
• ムスリム同胞どうほう団だん
• イスラーム過激かげき派は
• 反はんシオニズム
• 岡おか真理まり

外部がいぶリンク

• 公式こうしきウェブサイト（アラビア語ご）
• ハマス（HAMAS） - 公安調査庁こうあんちょうさちょう
• イスラエル及およびパレスチナ - 公安調査庁こうあんちょうさちょう
• 2017年ねんハマース憲章けんしょう 全文ぜんぶん（英語えいご） - Middle East Eye .NET