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パキスタンぐん

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パキスタンぐん
پاک مسلح افواج
パキスタンぐんのエンブレム
派生はせい組織そしき
指揮しきかん
統合とうごう参謀さんぼう本部ほんぶ議長ぎちょう ズバイル・マフムード・ハヤト英語えいごばん
陸軍りくぐん参謀さんぼう総長そうちょう
空軍くうぐん参謀さんぼう総長そうちょう
海軍かいぐん参謀さんぼう総長そうちょう
カマル・ジャビド・バジュワ英語えいごばん
ソハイル・アマン英語えいごばん
ムハンマド・ザカウッラー英語えいごばん
国防こくぼう大臣だいじん カワジャ・ムハンマド・アシフ英語えいごばん
そう人員じんいん
徴兵ちょうへい制度せいど
財政ざいせい
予算よさん $78おくドル
軍費ぐんぴ/GDP 4.5(2006ねん
関連かんれん項目こうもく
歴史れきし
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パキスタンぐん(パキスタンぐん、英語えいご:Pakistan Armed Forces、ウルドゥー: پاک مسلح افواجラテン文字もじ転写てんしゃ:Musalah Afwaj-e-Pakistan)は、パキスタン軍隊ぐんたい

そう兵力へいりょくは646,000にんとされており、これは世界せかいだい7規模きぼである。地上ちじょう兵力へいりょく55まんにん作戦さくせん400艦船かんせん29せきゆうし、これ以外いがいに302,000めいじゅん軍事ぐんじ組織そしきと515,000めい予備よびやく部隊ぶたいがある。徴兵ちょうへい制度せいど採用さいようされておらず、いずれも志願しがんへいである。

こうした世界せかい有数ゆうすう規模きぼ通常つうじょう兵力へいりょくくわえて、核兵器かくへいき保有ほゆうしている。

概要がいよう

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アメリカぐんすべまい議長ぎちょう閲兵えっぺいけるパキスタン三軍さんぐん儀仗ぎじょうたい

独立どくりつ以来いらいアメリカとの協力きょうりょく同盟どうめい関係かんけい維持いじしながら、カシミール問題もんだいはげしくあらそインド対抗たいこうしたり、アフガニスタンへのソ連それんロシア南下なんか警戒けいかいしたりするのがパキスタンの一貫いっかんした外交がいこう政策せいさくである。インドという共通きょうつう相手あいてをもつ中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくとも緊密きんみつ軍事ぐんじ協力きょうりょくおこなっている。これを反映はんえいして、カシミール地方ちほう帰属きぞくバングラデシュきゅうひがしパキスタン)の独立どくりつ問題もんだいなどをめぐって、インドとのあいだには1948ねん以来いらい3全面ぜんめん戦争せんそう経験けいけんしているほか、カシミール地方ちほう軍事ぐんじ境界きょうかいせんにおいては武力ぶりょく衝突しょうとつ常態じょうたいしている。一方いっぽう親米しんべい路線ろせん堅持けんじされ、アメリカからの軍事ぐんじ援助えんじょさかんであるが、アメリカのアフガニスタン侵攻しんこう以後いごは、この方針ほうしんへの反発はんぱつから、国内こくないにおいてイスラム過激かげき勢力せいりょく活動かつどう活発かっぱつ。これにたいするたい反乱はんらん作戦さくせんつづけられている。

これらの情勢じょうせい背景はいけいとして、パキスタン国内こくないにおいてぐん政治せいじてき社会しゃかいてき影響えいきょうりょくきわめてつよい。独立どくりつ以来いらいクーデター度々たびたびきている。たとえば、パルヴェーズ・ムシャラフぜん大統領だいとうりょうも、1999ねん無血むけつクーデターでナワーズ・シャリーフ首相しゅしょう当時とうじ)から実権じっけん掌握しょうあくし、2001ねん民政みんせい移管いかんでそのまま大統領だいとうりょう横滑よこすべりした人物じんぶつである。

司法しほう関与かんよすることもあり、2017ねん4がつにはパキスタン最高裁判所さいこうさいばんしょが、パナマ文書ぶんしょ問題もんだいでシャリーフ首相しゅしょうたいして、ぐん連邦れんぽう捜査そうさきょく英語えいごばんによる合同ごうどう捜査そうさめいじた[1]

その一方いっぽう、インドとのパワー・バランスは、国力こくりょく反映はんえいしてパキスタンに不利ふりなものとなっている。通常つうじょう兵器へいきのみが使つかわれた過去かこ戦争せんそうにおいて、パキスタンはいずれも劣勢れっせい余儀よぎなくされている。このため核兵器かくへいきとその運搬うんぱん手段しゅだんである弾道だんどうミサイル開発かいはつちかられ、1998ねんにはインドに対抗たいこうしてかく実験じっけん実施じっし核保有かくほゆう公式こうしき宣言せんげんした。

創成そうせいのパキスタンぐんは、人材じんざいおおくがきゅう宗主そうしゅこくであるイギリス植民しょくみんぐん出身しゅっしんしゃによってめられていた。このため、軍制ぐんせいおおくをイギリスにじゅんじたものとなっているが、兵器へいき体系たいけい非常ひじょう多彩たさいである。イギリスをはじめとする欧州おうしゅう諸国しょこく、アメリカ、ロシア、中国ちゅうごくなどからの輸入ゆにゅう技術ぎじゅつ導入どうにゅうによる各種かくしゅ兵器へいき配備はいびされており、兵器へいき国産こくさんすすめられている。

統合とうごう参謀さんぼう本部ほんぶ

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統合とうごう参謀さんぼう本部ほんぶ(パキスタン)英語えいごばんは、パキスタンぐん最高さいこう意思いし決定けってい機関きかんであり、陸海空りくかいくうかくぐん参謀さんぼう総長そうちょうと、統合とうごう参謀さんぼう本部ほんぶ議長ぎちょうからなる。

統合とうごう参謀さんぼう本部ほんぶ議長ぎちょう(パキスタン)英語えいごばん原則げんそくとして、パキスタンぐん最高さいこう軍人ぐんじんとなる。しかし実際じっさいには、てして実権じっけん陸軍りくぐん参謀さんぼう総長そうちょう(パキスタン)英語えいごばんにぎられており、また、兼務けんむとなっていることもおおい。

陸軍りくぐん

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パキスタン陸軍りくぐんは、550,000めい常備じょうびぐんと500,000めい予備よびやく部隊ぶたいようしている。陸軍りくぐん司令しれいラーワルピンディー所在しょざいしており、陸軍りくぐん軍人ぐんじん最高さいこう陸軍りくぐん参謀さんぼう総長そうちょう (COAS) である。陸軍りくぐん参謀さんぼう総長そうちょう統合とうごう幕僚ばくりょう会議かいぎ構成こうせいするとともに、陸軍りくぐん作戦さくせん指導しどう責任せきにんっており、陸軍りくぐん一般いっぱん参謀さんぼうちょうCGS:Chief of General Staff)や陸軍りくぐん兵站へいたん参謀さんぼうちょうCLS:Chief of Logistics Staff)の補佐ほさける。

編制へんせい

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パキスタン陸軍りくぐん平時へいじにおける戦闘せんとう序列じょれつ

パキスタン陸軍りくぐんは10軍団ぐんだん編成へんせいしている。このうち、戦略せんりゃく軍団ぐんだんかく戦力せんりょく担当たんとうし、それ以外いがいの9軍団ぐんだんだい1,2,4,5,10,11,12,30,31軍団ぐんだん)はそれぞれの管区かんく警備けいび担当たんとうする。これらのナンバー軍団ぐんだんは、通例つうれい、2〜3師団しだんと、場合ばあいにより独立どくりつ旅団りょだんゆうしている。

基本きほんてき戦略せんりゃく単位たんい師団しだんであり、パキスタン陸軍りくぐんには9歩兵ほへい師団しだん、2機械きかい歩兵ほへい師団しだん、2機甲きこう師団しだん、2砲兵ほうへい師団しだん編成へんせいされている。これらは陸軍りくぐん少将しょうしょうによって指揮しきされており、通常つうじょう、3旅団りょだん歩兵ほへい砲兵ほうへい工兵こうへい)と若干じゃっかん師団しだん直轄ちょっかつ部隊ぶたい戦車せんしゃなど)によって編成へんせいされる、しょ兵科へいか混成こんせい部隊ぶたいである。

旅団りょだんちょうじゅんしょうであり、通例つうれいは3大隊だいたいより編成へんせいされる。また、師団しだん隷下れいかにはない独立どくりつ旅団りょだん編成へんせいされており、師団しだんない旅団りょだん同様どうようなぞらえしょう指揮しきける。基本きほん戦術せんじゅつ単位たんい大隊だいたいで、これは中佐ちゅうさ指揮しきに600めいから900めい兵員へいいんようする。[2]

なお陸軍りくぐんにはSpecial Services Groupという特殊とくしゅ部隊ぶたいがある。

装備そうび

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G3A3の国内こくない製造せいぞうばんであるG3P3。
59しき戦車せんしゃ近代きんだい改修かいしゅうがたであるアル・ザラール戦車せんしゃ

陸軍りくぐん兵器へいき体系たいけいは、非常ひじょう国際こくさいてきかおぶれとなっている。

主力しゅりょく小銃しょうじゅうドイツせいH&K G3であるが、ロシアあるいは中国ちゅうごく生産せいさんされたAK-47シリーズも使用しようされている。汎用はんよう機関きかんじゅうラインメタルMG3主力しゅりょくだが、擲弾発射はっしゃとしてはRPG-7あるいはその中国ちゅうごくばんおおい。また、ロシアせいあたらしい対戦たいせんしゃ火器かきであるRPG-29配備はいびもはじまっている。

主力しゅりょく戦車せんしゃおおくが中国ちゅうごくせいまたは共同きょうどう開発かいはつであり、さい新鋭しんえいアル・ハーリド戦車せんしゃ 600りょうをはじめとして、85しき戦車せんしゃ 300りょう69/79しき戦車せんしゃ 400りょう運用うんようされている。また、1997ねんより、ウクライナせいT-80UD も320りょう導入どうにゅうされた。一方いっぽう、これらに随伴ずいはんする装甲そうこう兵員へいいん輸送ゆそうしゃはしほうおおくがアメリカせいで、M113装甲そうこう兵員へいいん輸送ゆそうしゃが1100りょう以上いじょうM109 155mmはし榴弾りゅうだんほうが265りょう就役しゅうえきしている。牽引けんいんほう口径こうけい非常ひじょう多彩たさいで、ロシアけい85mmカノンほう、122mm榴弾りゅうだんほう130mmカノンほう、アメリカけいの105mm榴弾りゅうだんほうおよび155mm榴弾りゅうだんほう運用うんようされている。

ヘリコプター戦力せんりょくもやはり国籍こくせきとなっており、輸送ゆそうヘリコプターはベストセラーであるMi-8攻撃こうげきヘリコプターはAH-1けい用途ようとヘリコプターとしてはユーロコプター フェニックシュド・エスト SE.3130SA 316運用うんようされている。

以下いか現在げんざいおも装備そうびである。

戦車せんしゃ

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装甲そうこう車両しゃりょう

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火砲かほう

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海軍かいぐん

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アメリカ海軍かいぐんフリゲート艦隊かんたい行動こうどうおこなうパキスタン海軍かいぐんフリゲート

パキスタン海軍かいぐんそう人員じんいん31,000にん予備よびやく5,000にん艦船かんせんは29せきゆうし、その内訳うちわけは、潜水せんすいかん×8せき、フリゲート×6せき、ミサイルてい×4せき哨戒しょうかいてい×2せき掃海そうかいてい×3せき測量そくりょうかん×1せき補給ほきゅうかん×1せき給油きゅうゆかん×4せき。また、航空機こうくうきは33ゆうし、その内訳うちわけは、艦載かんさい哨戒しょうかいヘリコプターが15地上ちじょう基地きち発進はっしん固定こていつばさが18である。

パキスタン海軍かいぐんは、数次すうじわたしるし戦争せんそうにおいて空海くうかいせん経験けいけんしている。とくだいさんしるし戦争せんそうにおいては、インド海軍かいぐん空母くうぼ機動きどう部隊ぶたいによってパキスタンの後方こうほう地域ちいき攻撃こうげきすることを企図きとしたことから、きわめて激烈げきれつ交戦こうせん発生はっせいしており、インド海軍かいぐん14がたフリゲート1せき撃沈げきちんした一方いっぽうで、駆逐くちくかん2せきおよび潜水艦せんすいかん1せき喪失そうしつしている。また、近年きんねんではインド洋いんどよううえでの海上かいじょう阻止そし行動こうどうにも参加さんかしており、日本にっぽん自衛隊じえいたいインド洋いんどよう派遣はけん部隊ぶたいからの給油きゅうゆけている。実際じっさい、パキスタン海軍かいぐん日本にっぽんからの受油りょうは、アメリカ海軍かいぐんいでだい2である。

潜水せんすいかん

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洋上ようじょうにおいて、パキスタン海軍かいぐんは、圧倒的あっとうてきなインド海軍かいぐん洋上ようじょう兵力へいりょくたいして劣勢れっせいいられている。しかし、インド海軍かいぐんは、伝統でんとうてき空母くうぼ機動きどう部隊ぶたいによってパキスタンの後方こうほう地域ちいき攻撃こうげきするという戦略せんりゃく採用さいようする傾向けいこうがあるため、これを洋上ようじょう邀撃ようげきする必要ひつようせいきわめて切迫せっぱくしたものである。

このことから、パキスタン海軍かいぐん潜水せんすいかん戦力せんりょく拡充かくじゅう重点じゅうてんいている。そのかんおおくがフランスせいであり、アゴスタきゅう潜水せんすいかんを2せき改良かいりょうがたのアゴスタ90Bがたが3せき就役しゅうえきしているほか、やや旧式きゅうしきダフネきゅう潜水せんすいかんも4せきのこっている。これらはいずれも、水中すいちゅう発射はっしゃがたたいかんミサイル(アゴスタ90Bがたのみエグゾセ、それ以外いがいハープーン)の運用うんよう能力のうりょく付与ふよされているほか、アゴスタ90Bがた大気たいき依存いぞん推進すいしんシステムの追加ついか搭載とうさいおこなっている。

パキスタン海軍かいぐんは2017ねん1がつ9にち潜水せんすいかんから核弾頭かくだんとう搭載とうさい可能かのう巡航じゅんこうミサイル「バーブル3」(射程しゃてい450キロメートル)を発射はっしゃする試験しけんはじめて成功せいこうした[3]潜水せんすいかん陸上りくじょう発射はっしゃミサイルや航空機こうくうき水上すいじょうかんくらべて隠密おんみつせいなまざんせいたかく、報復ほうふく攻撃こうげき能力のうりょくによるかく抑止よくしや、先制せんせい奇襲きしゅう攻撃こうげき能力のうりょく大幅おおはばたかまることになる。

また、特殊とくしゅ作戦さくせんおよ特殊とくしゅ部隊ぶたい運搬うんぱんようにミゼットサブマリン(潜水せんすいてい)を保有ほゆうしている。

潜水せんすいかんおおくは初期しょき海外かいがいからの供与きょうよであったが、現在げんざいでは設計せっけいのみ海外かいがいおこない、実際じっさい建造けんぞう修繕しゅうぜんはパキスタン国内こくない造船ぞうせんしょ実施じっしできるようになっている。通常つうじょう潜水せんすいかん建造けんぞう技術ぎじゅつはフランスから、ミゼットサブマリンの建造けんぞう技術ぎじゅつイタリアから提供ていきょうされているとみられる。

水上すいじょうかん

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D-185「ティップ・スルタン」。

また、洋上ようじょう戦力せんりょくも、けっして弱体じゃくたいなものではない。その主力しゅりょくとなっているのが、イギリス海軍かいぐん退役たいえきした21がたフリゲート 6せきで、パキスタン海軍かいぐんではタリクきゅう駆逐くちくかん呼称こしょうしている。これらはいずれも、パキスタン海軍かいぐんによる改修かいしゅうけており、中国ちゅうごくせいLY-60 かん対空たいくうミサイル搭載とうさいした防空ぼうくうがたと、アメリカせいのハープーンかんたいかんミサイル搭載とうさいしたたい水上すいじょう打撃だげきがたとにけられる。

中国ちゅうごく設計せっけいによるズルフィカルきゅうフリゲート取得しゅとくすすんでおり、同級どうきゅうの4ばんかんはパキスタン国内こくないでの建造けんぞうおこなわれている。さらに、アメリカからオリバー・ハザード・ペリーきゅうミサイルフリゲート譲渡じょうとまたは売却ばいきゃくける計画けいかくもあり、同国どうこく海軍かいぐんは6せき取得しゅとくしたいという意向いこうしめしており、2010ねん8がつ31にちにはFFG-8「マッキナニー」引渡ひきわたしをけ、「アラムジル」(Alamgir)としてさい就役しゅうえきさせた。[4]また、これらを支援しえんするため、中国ちゅうごく人民じんみん解放かいほうぐん海軍かいぐん運用うんようしていたぶくきよしがた補給ほきゅうかんの4ばんかん取得しゅとくし、「ナスル」(Nasr)として運用うんようちゅうである。なお、パキスタン海軍かいぐんは、1988ねんから1994ねんにかけて、アメリカ海軍かいぐん退役たいえきしたブルークきゅうミサイルフリゲート 4せき貸与たいよされて運用うんようしており、これによって艦隊かんたい防空ぼうくうミサイル運用うんよう経験けいけんんでいるが、現在げんざいアメリカ海軍かいぐん在籍ざいせきするペリーきゅうミサイルフリゲートは、ぜんかんがミサイルへいそう撤去てっきょしているため、パキスタン海軍かいぐん貸与たいよされるさいにどのような装備そうびおこなうかは不透明ふとうめいである。

航空機こうくうき

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特別とくべつ塗装とそうほどこしたパキスタン海軍かいぐんのP-3C
P-3Cのわたしき

パキスタン海軍かいぐんは、洋上ようじょう哨戒しょうかいたい水上すいじょう打撃だげき目的もくてきとした小規模しょうきぼ航空こうくうたい保有ほゆうしている。

タリクきゅう駆逐くちくかん(21がたフリゲート)とズルフィカルきゅうフリゲートはいずれも艦載かんさいヘリコプター運用うんよう可能かのうであり、タリクきゅうSA 319B アルエットIIIまたはアグスタウェストランド リンクスを、ズルフィカルきゅうZ-9搭載とうさいする。

また、地上ちじょう基地きちより発進はっしんするたいせん哨戒しょうかいとしてアトランティック2〜3とアメリカ海軍かいぐんから購入こうにゅうした中古ちゅうこP-3C×4海洋かいよう哨戒しょうかいとしてフォッカー F27を5運用うんようする。ただし、アトランティックのうちの1は、1999ねんインド空軍くうぐんによって撃墜げきついされている(アトランティック撃墜げきつい事件じけん)。

なお、たいかん攻撃こうげきとしてミラージュ5保有ほゆうするが、これは空軍くうぐんによって運用うんようされている。

歩兵ほへい戦力せんりょく

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パキスタンが保有ほゆうする海上かいじょう歩兵ほへい部隊ぶたいとしては、パキスタン海兵かいへいたいSpecial Services Group Navy(SSGN)という特殊とくしゅ部隊ぶたいげられる。

パキスタン海兵かいへいたいは1971ねんから存在そんざいしていたが、十分じゅうぶん能力のうりょく発揮はっきできず1974ねん解体かいたいされた。しかし1990ねんから海軍かいぐん参謀さんぼう総長そうちょうらのによって再編さいへんされ、近接きんせつ戦闘せんとう警備けいび訓練くんれんけ、パキスタン海軍かいぐん一翼いちよくにな部隊ぶたいとなっている。

SSGNはNavy SEALs指導しどうけて1966ねん設立せつりつされ、1971ねんだいさんしるし戦争せんそう投入とうにゅうされたのを最初さいしょバングラデシュ紛争ふんそうアメリカ同時どうじ多発たはつテロ事件じけん以降いこうたいテロ戦争せんそう導入どうにゅうされ、2010ねんこったパキスタンだい洪水こうずいでは海軍かいぐん部隊ぶたいとも被災ひさいしゃ救助きゅうじょ参加さんかした。

空軍くうぐん

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パキスタン空軍くうぐんのJF-17サンダー戦闘せんとう

パキスタン空軍くうぐんそう人員じんいん65,000にん予備よびやく10,000にん航空機こうくうき700(うち作戦さくせん450)をゆうしている。

保有ほゆう機材きざいはアメリカとフランスおおかったが、近年きんねん中国ちゅうごく比率ひりつ急速きゅうそく増大ぞうだいしている。

装備そうび

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戦闘せんとう

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なお、F-16の運用うんようについては、購入こうにゅう契約けいやくに「テロ対策たいさくかぎる」といった制約せいやくがアメリカがわからせられている。2019ねんにパキスタンぐんがインドぐんミグ21撃墜げきついしたさいには、アメリカがわがF-16の使用しよう有無うむについて調査ちょうさしたことがある[5][6]

無人むじん航空機こうくうき無人むじん攻撃こうげき)では、中国ちゅうごくせいあやにじ3つばさりゅう導入どうにゅうしており[7][8]あやにじ3をベースにした国産こくさんネスコム バラクゆうする。

近年きんねんでは空中くうちゅう早期そうき警戒けいかい管制かんせい能力のうりょく整備せいびすすめており、中国ちゅうごくせいのKJ-200 4と、スウェーデンせいサーブ 2000 AEW&C(エリアイ搭載とうさい) 4導入どうにゅう計画けいかくされている。

一方いっぽう航空こうくう輸送ゆそう戦力せんりょくとしては、はん世紀せいき以上いじょうにわたるベストセラーのC-130 12主力しゅりょくとなっており、また、Il-78空中くうちゅう給油きゅうゆも2保有ほゆうする。

また、パキスタンぐんのSpecial Service Wing(SSW)は、空軍くうぐん特殊とくしゅ部隊ぶたいである。

おも作戦さくせん行動こうどう

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核兵器かくへいき弾道だんどう巡航じゅんこうミサイル

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1998ねん、パキスタンは地下ちかかく実験じっけん実施じっしし、7番目ばんめ核保有かくほゆうこくとなったことを宣言せんげんした。この実験じっけんにあたっては、アブドゥル・カディール・カーン博士はかせ主導しゅどうてき役割やくわりたしたほか、中国ちゅうごく北朝鮮きたちょうせん関与かんようたがわれている。

パキスタンは通常つうじょう兵力へいりょく優勢ゆうせいなインドを核兵器かくへいき抑止よくしする戦略せんりゃくをとっている。『アメリカ原子力げんしりょく科学かがくしゃ会報かいほう』の推計すいけいによると、保有ほゆうする核兵器かくへいきはインドより10はつおおい140はつ程度ていどで、さらにやしている。北部ほくぶクシャブに、核兵器かくへいき材料ざいりょうとなるプルトニウム生産せいさんよう原子げんしがある[11]将来しょうらいべいつづ世界せかいだい3核保有かくほゆうこくになる可能かのうせい指摘してきされている。パキスタンは、戦術せんじゅつ核兵器かくへいきレベルである射程しゃてい70km程度ていど短距離たんきょり弾道だんどうミサイル(SRBM)「ナスル」[12]から、じゅん中距離ちゅうきょり弾道だんどうミサイル(MRBM)、 中距離ちゅうきょり弾道だんどうミサイル(IRBM)までの各種かくしゅ弾道だんどうミサイル巡航じゅんこうミサイル保有ほゆうまたは開発かいはつちゅうである。このうち「ガウリ英語えいごばん」や「シャーヒーン2」などいくつかの機種きしゅについては、核弾頭かくだんとう搭載とうさい可能かのうではないかと推測すいそくされているか、公式こうしきみとめられている。パキスタンぐんは2017ねん1がつ弾道だんどうミサイル「アバビール」(最大さいだい射程しゃてい2200km)の発射はっしゃ実験じっけんはじめて成功せいこうしたさい、「かく抑止よくしりょく強化きょうかにつながる」と発表はっぴょうした[13]。 なお「ガウリ」ミサイルは朝鮮人民軍ちょうせんじんみんぐんの「ノドン」ミサイルの技術ぎじゅつが、「シャーヒーン」ミサイルには中国ちゅうごく技術ぎじゅつ導入どうにゅうされているとられている。

情報じょうほう組織そしき

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パキスタンぐん統合とうごう情報じょうほうきょくえい: Directorate for Inter-Services Intelligence)は、パキスタン最大さいだい情報じょうほう機関きかん諜報ちょうほう機関きかん)である。みじかく Inter-Services Intelligence ともばれ、略称りゃくしょう"ISI"内外ないがいひろ通用つうようしている。現在げんざいはパキスタンで軍事ぐんじのみならず政治せいじめんでも最強さいきょう組織そしきかぞえられる。本部ほんぶイスラマバード所在しょざいしている。

ソ連それんぐんのアフガニスタン侵攻しんこうにおいては、中央ちゅうおう情報じょうほうきょく(CIA)とともにムジャーヒディーン大々的だいだいてき支援しえんしたが、このころからイスラム原理げんり主義しゅぎ影響えいきょうつよくなったとされ、アフガニスタン紛争ふんそうでは最初さいしょグルブッディーン・ヘクマティヤールひきいるヒズベ・イスラーミー(ヘクマティヤール)の、のちにはターリバーンうしたてになったとされる。パキスタンのかく開発かいはつにもふか関与かんよした。また、アフガニスタンにたいするほか、インドたいする活動かつどうおこなっているといわれており、ラシュカレ・タイバなどのテロ組織そしき背景はいけいにISIの存在そんざいがあるとの指摘してき根強ねづよい。一方いっぽう国内こくないワジリスタン紛争ふんそうには関与かんよ消極しょうきょくてきともつたえられる。

じゅん軍事ぐんじ組織そしき

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じゅん軍事ぐんじ組織そしきには民兵みんぺい組織そしき防空ぼうくうなどを担当たんとうするパキスタン国家こっか警備けいびたいシンドしゅうパンジャブしゅうでの国境こっきょう警備けいびにあたるパキスタン・レンジャー、シンドしゅうメヘランに拠点きょてんメヘラン部隊ぶたいカイバル・パクトゥンクワしゅうクエッタペシャーワルおよびバローチスターンしゅううち治安ちあん維持いじ活動かつどうをする辺境へんきょう軍団ぐんだん(これはかく部族ぶぞく武装ぶそう集団しゅうだん起源きげんにもつ)が存在そんざいする。

また沿岸えんがん警備けいびたいとしては、陸軍りくぐん海軍かいぐん隷下れいかにそれぞれ組織そしき設置せっちされている。前者ぜんしゃパキスタン沿岸えんがん警備けいびたい英語えいごばんで、歩兵ほへい部隊ぶたい小型こがた舟艇しゅうていによる沿岸えんがん防備ぼうびおも任務にんむとしている。一方いっぽう後者こうしゃ海上保安庁かいじょうほあんちょう(パキスタン)英語えいごばんで、こちらは哨戒しょうかい艦艇かんていによる洋上ようじょう警備けいび救難きゅうなんおも任務にんむとしている。

国際こくさい連合れんごう平和へいわ維持いじ活動かつどう

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パキスタンぐん積極せっきょくてき国際こくさい連合れんごう平和へいわ維持いじ活動かつどう(PKO)に参加さんかしていることでもられている。

モガディシュの戦闘せんとうさいには、モガディシュ市内しない孤立こりつしたアメリカぐんレンジャー部隊ぶたい救援きゅうえんするため、べいだい10山岳さんがく師団しだんマレーシアぐんとともに市内しない突入とつにゅうし、生存せいぞんしゃ遺体いたい回収かいしゅうした。

国際こくさい連合れんごう保護ほごぐんにも参加さんかしており、スレブレニツァの虐殺ぎゃくさつさいには、おなじく国連こくれん安全あんぜん区域くいきとして指定していしていたトゥズラ守備しゅびおこなっていた。トゥズラそのものが重大じゅうだい脅威きょういにさらされていたため、スレブレニツァを救援きゅうえんすることはできなかったが、スレブレニツァやジェパ脱出だっしゅつした難民なんみんたちにとって、トゥズラは唯一ゆいいつ希望きぼうとなった。このとき、パキスタンぐんは5まんにん難民なんみん救助きゅうじょした。

脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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  1. ^ “パキスタン首相しゅしょう捜査そうさへ”. 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん朝刊ちょうかん. (2017ねん4がつ21にち). https://www.nikkei.com/article/DGKKASGM20H7Y_Q7A420C1FF2000/ 
  2. ^ " Subdivisions of the army"”. 2006ねん11月16にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2007ねん1がつ21にち閲覧えつらん
  3. ^ “パキスタン、潜水艦せんすいかん発射はっしゃ巡航じゅんこうミサイル実験じっけん成功せいこう. 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん. (2017ねん1がつ10日とおか). https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM09HAS_Z00C17A1FF8000/ 
  4. ^ 編集へんしゅう海外かいがい艦艇かんていニュース」『世界せかい艦船かんせんだい732しゅう海人あましゃ、2010ねん11月、170ぺーじ 
  5. ^ 米国べいこく、パキスタンがインド撃墜げきついにF16使用しようしたか調査ちょうさ”. ロイター (2019ねん3がつ4にち). 2019ねん3がつ4にち閲覧えつらん
  6. ^ インドぐん弾薬だんやくはたった10日とおかぶん、パキスタンぐんたたかえばなし”. ニューズウィーク日本にっぽんばん (2019ねん3がつ5にち). 2019ねん3がつ8にち閲覧えつらん
  7. ^ China, Pakistan to Co-Produce 48 Strike-Capable Wing Loong II Drones”. The Diplomat (2018ねん10がつ9にち). 2019ねん10がつ10日とおか閲覧えつらん
  8. ^ China unveils new drones aimed at buyers in developing countries”. PRI (2012ねん11月15にち). 2019ねん7がつ1にち閲覧えつらん
  9. ^ しるし空中くうちゅうせん-インドの空爆くうばくはどのような成果せいかげたのか”. 笹川ささかわ財団ざいだん (2019ねん). 2022ねん4がつ18にち閲覧えつらん
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  11. ^ とお和平わへいしるし独立どくりつ70ねん(なか)核兵器かくへいき てなき競争きょうそう読売新聞よみうりしんぶん朝刊ちょうかん2017ねん8がつ13にち国際こくさいめん
  12. ^ しるし独立どくりつ70ねんだいかく脅威きょういのエスカレーション(なか)かく使用しようひくいハードル/パキスタンの応戦おうせん現実味げんじつみ”. 『毎日新聞まいにちしんぶん朝刊ちょうかん2017ねん8がつ15にち(国際こくさいめん). 2017ねん8がつ17にち閲覧えつらん[リンク]
  13. ^ “パキスタン、弾道だんどうミサイル実験じっけん成功せいこう. 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん. (2017ねん1がつ24にち). https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM24H9Z_U7A120C1FF2000/ 

外部がいぶリンク

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