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オグズ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ペチェネグあせこくとその周辺しゅうへんこく中央ちゅうおうみぎがオグズ護国ごこく(OĞUZ YABGULUĞU)

オグズOghuz)は、かつて中央ちゅうおうアジア北部ほくぶ存在そんざいしたテュルクけい遊牧ゆうぼく民族みんぞく

ブルガロイなど草原そうげんみち(ステップロード)に沿って移動いどうしたテュルクと区別くべつして、きぬみちシルクロード)を移動いどうしたテュルクのひとびとをしょうすることがある[1]10世紀せいき以降いこうになると南下なんかしてトゥルクマーン[注釈ちゅうしゃく 1]というばれるようになり、その一部いちぶセルジュークあさなどのイスラーム王朝おうちょうてた。

名称めいしょう

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オグズをあらわ用語ようご史料しりょうによってことなり、なかには微妙びみょう差異さいもある。

グッズ(Ghuzz)、グオッズ(Guozz)、クズ(Kuz)、オグズ(Oguz、Oğuz)、オクズ(Okuz)、オウフォイ(Oufoi)、オウズ(Ouz)、オウゾイ(Ouzoi)、トルク(Torks)、トゥルクマーン(Turkmen)、ウグズ(Uguz、Uğuz)、ウズ(Uz)

このうちのトゥルクマーンはムスリムとなってセルジューク勢力せいりょくしたがものたちにたいして使つかわれ、グッズはムスリム・セルジュークあらわ傾向けいこうにある[4]。「オグズ」は、神話しんわ伝説でんせつじょう英雄えいゆうオグズ・カガントルクメンばん英語えいごばん由来ゆらいする[1][5]モンゴル高原こうげんからシルクロードに沿って中央ちゅうおうアジアイランザカフカスみなみコーカサス)、アナトリア高原こうげんバルカン半島ばるかんはんとうなどへ移動いどうしていったテュルクのひとびとをしている[1][注釈ちゅうしゃく 2]

24氏族しぞく

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マフムード・カーシュガリーの『テュルク諸語しょご集成しゅうせいトルコばん』において、オグズは22の氏族しぞくかれていたとされるが、ラシードゥッディーンの『しゅう』では24氏族しぞくとされている。以下いかはその24氏族しぞく

ボズ・オクラル(Boz Oklar:灰色はいいろ
  • クン・カン(Kun qan、ギュン・ハン、Gün Han:太陽たいようあせ
    • カイ(qayi、kayi:壮健そうけんしゃ
    • バヤト(Bayat)
    • アルカ・オラ(アル・カラウリ、al qrauli、アルカエヴリ、Alkaevli)
    • カラ・エヴルゥ(カラ・ヤウリ、qra yauli、カラエヴリ、Karaevli:くろちょう
  • アイ・カン(ai qan、アイ・ハン、Ay Han:つきあせ
    • ヤゼル(yazr、ヤズルル、Yazlr)
    • ドュグュル(ドゥケル、dukr、ドゲル、Döger)
    • ドドルガ(ドルダルガ、durdarga、ドドゥルガ、Dodurga:立法りっぽう会議かいぎ
    • ヤパルル(Yaparlu)
  • ユルドゥズ・カン(yulduz qan、イルディズ・ハン、Yildiz Han:ほしあせ
    • オスル(ausr、アヴシャル、Avsar)
    • カズィク(qiziq、クズィク、クルズルク、Klzlk:剛毅ごうき
    • ビグディリ(bik dili、ベグ・デリ、ベグディリ、Begdili:尊敬そんけい
    • カルキン(qarqin、カルクルン、Karkln)
ウチュ・オクラル(Üç Oklar、オチ・オク、auc auq:さんほん
  • コク・カン(kuk qan、ギョク・ハン、Gök Han:そらあせ
    • バインドゥル(baindur、バヤンドル、バユンドゥル、Bayundur)
    • ビチナ(ビチネ、bicneh、ペチェネク、Peçenek)
    • チャウンドル(ジャウルドル、jauldur、チャヴルドゥル、Çavuldur)
    • チニ(チブニ、cibni、チェプニ、Çepni)
  • タク・カン(taq qan、ダグ・ハン、Dağ Han:やまあせ
    • サロル(サルル、Salur)
    • イムル(yimur、エイミュル、Eymür)
    • アラ・ユントゥ(alaiunt、アラ・ユントゥル,Ala Yuntlu)
    • オラギル(ウルキズ、aurkiz、ユレギル、Yüregir)
  • ディングィズ・カン(dinkkiz、デンギズ・カン、デニズ・ハン、Deniz Han:うみあせ
    • エスキンドル(ベクディル、bikdir、イグディル、Igdir)
    • ブクドル(ブクドズ、bukduz、ブグデュズ、Bügdüz)
    • セヴァ(イバ、yiweh、イルヴァ、Ylva)
    • カニク(qiniq、クヌク、クルンルク、Klnlk:尊敬そんけいされる)

あつまり』によると、これら24氏族しぞくはもともとかれらの伝説でんせつてき始祖しそであるオグズ・カガントルクメンばん英語えいごばん[5]からまれた6にん息子むすこ(ギュン・ハン、アイ・ハン、イルディズ・ハン、ギョク・ハン、ダグ・ハン、デニズ・ハン)から、さらに4にんずつまれた息子むすこたちが始祖しそとなって形成けいせいされたという。また、『テュルク諸語しょご集成しゅうせい』における22氏族しぞくはこの24氏族しぞくなかにすべてふくまれるが、その順番じゅんばんはまったくことなっている。

その、オグズぞく分派ぶんぱとしてはつぎのものがある。

  1. ウイグルぞく
  2. カンクリぞく
  3. キプチャクぞく
  4. カルルクぞく
  5. カラジ(カラチぞく
  6. アガチェリぞく

[6]

カーシュガリーの記録きろく

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カーシュガリーの『テュルク諸語しょご集成しゅうせい』によると、テュルク民族みんぞくは20のおおきな集団しゅうだんかれており、オグズとばれる集団しゅうだんは、ペチェネグキプチャクいで西方せいほうから3番目ばんめ集団しゅうだんであったという。カーシュガリーはこのオグズ部族ぶぞくについてことのほかくわしい記録きろくのこしており、オグズについてのみ内部ないぶしょう集団しゅうだん(22氏族しぞく)の名称めいしょうげられている。さらに現存げんそんするカーシュガリーの写本しゃほんには、遊牧民ゆうぼくみんであったオグズ部族ぶぞくが、たがいの家畜かちく見分みわけるためにもちいたしるしで、モンゴル時代じだいにはタムガばれたしめぎあきらまれている[7]

トゥルクマーン

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「トゥルクマーン」の由来ゆらいを『あつまり』「テュルク・モンゴルしょ部族ぶぞく」では以下いかのようにしるしている。

オグズ(Ūghūz)の諸子しょしから24の枝分えだわかれがあらわれ、目次もくじ詳細しょうさいしるされたように、各々おのおの固有こゆう名称めいしょう通称つうしょうた。世界せかい存在そんざいするすべてのトゥルクマーンたち(Turkmānān)は、これらのしょ部族ぶぞく、すなわちオグズの24子孫しそんである。トゥルクマーン(Turkmān)というかたりむかしはなかった。トゥルク(テュルク)にんかお東洋とうようけいかお)をしているすべての遊牧ゆうぼくしょ部族ぶぞくは、「純粋じゅんすいなトゥルク(Turk)」とばれ、かく部族ぶぞくには固有こゆう通称つうしょうさだめられていた。オグズのしょ部族ぶぞくが、自己じこ領域りょういきて、マー・ワラー・アンナフル地方ちほうと、イランのはいり、この地域ちいきにおいて彼等かれら人口じんこう増加ぞうかがあったときに、みず大気たいき影響えいきょうによって、彼等かれらかおかたちは次第しだいタジクかおかたちにるようになった。しかし、純粋じゅんすいなタジクではなかったので、タジクしょ部族ぶぞく彼等かれらを「トゥルクマーン」すなわち「トゥルク(テュルク)にている」とんだ。そのために、このがオグズのしょぶんぞくしょ部族ぶぞく全体ぜんたい適用てきようされ、そのられるようになったのである。 — 『しゅう』テュルク・モンゴルしょ部族ぶぞく

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オグズけいのイスラーム王朝おうちょう

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イスラーム歴史れきしじょう、オグズあるいはトゥルクマーンとばれたテュルクけい民族みんぞく一大いちだい集団しゅうだんは、11世紀せいき以降いこう西にしアジア政治せいじてき重要じゅうよう役割やくわりたした。カーシュガリーはオグズ部族ぶぞくなかに22のしょう集団しゅうだんかぞえているが、そのうちの上位じょうい6氏族しぞくからは西にしアジアのこイスラーム王朝おうちょうまれている。

  1. クヌクセルジュークあさ
  2. カユグ(カユ)オスマンちょう
  3. バユンドゥル→アクコユンル(しろひつじあさ
  4. イウェ→カラコユンル(くろひつじあさ
  5. サルグルサルグルあさ
  6. アフシャルアフシャールあさ

[9]

セルジュークあさ成立せいりつ

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シルがわ以北いほくにいたオグズ連合れんごう部族ぶぞくいち氏族しぞくであるクヌクから、セルジューク(セルチュク)というもの台頭たいとうし、かれひきいられた集団しゅうだん10世紀せいきなかごろになってオグズからかれて左岸さがんうつり、ジャンドのまち根拠地こんきょちとした。ここでイスラーム受容じゅようしたかれらはサーマーンあさ庇護ひごのもと、ザラフシャンがわ流域りゅういき移動いどうした。11世紀せいき初頭しょとう1020ねんだい)、セルジュークの息子むすこであるアルスラーン・イスラーイールカラハンあさブハーラーサマルカンド支配しはいしゃであるアリー・ティギーンのもとにあったが、カラハンあさ内紛ないふんじょうじてカラ・クムの草原そうげんアムがわえてガズナあさ領域りょういきであったホラーサーン北部ほくぶ侵入しんにゅうした。ガズナあさマフムードはトゥルクマーン(イスラームに改宗かいしゅうしたオグズのこと)の影響えいきょうりょくおそれてアルスラーンを逮捕たいほ幽閉ゆうへいした。かれ統制とうせいからはなれたトゥルクマーンたちは、ニサー,サラフスなどのホラーサーン北方ほっぽう都市とし周辺しゅうへん地域ちいき多数たすう家畜かちく放牧ほうぼくはじめたため、まき荒廃こうはいし、租税そぜい収入しゅうにゅう減少げんしょうした。そのためマフムードはかれらの追放ついほうけっし、みずかぐんひきいて攻撃こうげきおもむいたが、トゥルクマーンのほうカスピ海かすぴかい東北とうほく拠点きょてんもうけ、各地かくち略奪りゃくだつをおこなった。トゥルクマーンはさらに集団しゅうだんわせてすうにんちょう(ベグ)の指揮しきのもと、ホラーサーンのしょ都市とし略奪りゃくだつつづけた。また、これらの集団しゅうだんかれらが侵入しんにゅうしたイラーク・アジャムにちなんでイラーキー・トゥルクマーンとんだり、族長ぞくちょうをとってキジル,ギョクタシュなどとぶものもあった。1038ねん、これら統制とうせいとなって暴徒ぼうとしたトゥルクマーンをまるため、ガズナあさ見切みきりをつけたニーシャープール支配しはいしゃであるアーヤーンは、セルジュークトゥグリル・ベクらをれ、かれにトゥルクマーンの統制とうせいまかせた(このニーシャープール入城にゅうじょうの1038ねんをもってセルジュークあさ成立せいりつとされる)。1040ねん、ダンダーンカーンのたたかいでガズナあさ壊滅かいめつさせたトゥグリル・ベクは、次々つぎつぎ周辺しゅうへん都市とし支配しはいにおさめ、ホラーサーンでの覇権はけん確保かくほするとともに、きゅうガズナあさ官僚かんりょうなどを採用さいようして語学ごがく法学ほうがくなどにつうじた知識ちしきじん確保かくほした。1055ねん、トゥグリル・ベクはバグダード入城にゅうじょうし、カリフから正式せいしきスルターン称号しょうごう授与じゅよされた[10]


言語げんご

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オグズの言語げんごテュルクであったとおもわれ、かれらの言語げんごてき子孫しそんであるトルコじんテュルク諸語しょご南西なんせいぐん(オグズぐん)にぞくトルコはなす。

関連かんれん叙事詩じょじし

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ トゥルクマーンとは、「テュルクにたもの」の意味いみである[2][3]
  2. ^ かれらは突厥帝国ていこく滅亡めつぼうかいによって支配しはいされていたが、バイカル周辺しゅうへん遊牧民ゆうぼくみんぞくによってかい鶻帝こくほろぼされた9世紀せいき後半こうはん以降いこう空前くうぜん民族みんぞく移動いどうこされていった[1]

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d 坂本さかもと(2006)p.37
  2. ^ カーシュガリー『テュルク諸語しょご集成しゅうせい
  3. ^ トルクメンぞく』 - コトバンク
  4. ^ 永田ながた 2002, p. 81.
  5. ^ a b オグズ・ハーン伝説でんせつ』 - コトバンク
  6. ^ こう 1976,p308
  7. ^ 永田ながた 2002, p. 101-102.
  8. ^ 宇野うの伸浩のぶひろあつまり』の構成こうせいにおける「オグズ・カン説話せつわ」の意味いみ」『東洋とうよう研究けんきゅうだい61かんだい1ごう東洋とうよう研究けんきゅうかい、2002ねん6がつ、110-137ぺーじCRID 1390572174787847936doi:10.14989/155416hdl:2433/155416ISSN 0386-9059 
  9. ^ 永田ながた 2002, p. 102.
  10. ^ 永田ながた 2002, p. 81-82.
  11. ^ デデ・コルクトのしょ』 - コトバンク
  12. ^ デデ・コルクトのしょ』 - コトバンク
  13. ^ キョルオウル伝説でんせつ』 - コトバンク
  14. ^ キョルオウル物語ものがたり』 - コトバンク
  15. ^ キョルオウル』 - コトバンク

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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