(Translated by https://www.hiragana.jp/)
カナブン - Wikipedia コンテンツにスキップ

カナブン

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
カナブン
カナブン
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 節足動物せっそくどうぶつもん Arthropoda
つな : 昆虫こんちゅうつな Insecta
: コウチュウさや翅目) Coleoptera
: カブトムシ多食たしょくPolyphaga
下目しため : コガネムシ下目しため Scarabaeiformia
うえ : コガネムシうえ Scarabaeoidea
: コガネムシ Scarabaeidae
: ハナムグリ Cetoniinae
ぞく : カナブンぞく Goliathini
ぞく : カナブンぞく Coryphocerina
ぞく : カナブンぞく Rhomborrhina
または Pseudotorynorrhina
ぞく : Rhomborrhina
たね : カナブン R. japonica
学名がくめい
Rhomborrhina japonica
Hope, 1841

または Pseudotorynorrhina (Rhomborrhina) japonica

和名わみょう
カナブン
英名えいめい
Drone beetle

カナブンきむ蚉、きむ亀虫かめむしきむ)は、コウチュウコガネムシハナムグリぞくする昆虫こんちゅうであり、やや大型おおがたハナムグリ一種いっしゅである。

ただしきんえんたねすうしゅあるうえ一般いっぱんにはコガネムシ全般ぜんぱんとく金属きんぞく光沢こうたくのあるものを通称つうしょうとして「カナブン」と場合ばあいもあるため、アオドウガネドウガネブイブイなどと混同こんどうされることもある。

生息せいそく[編集へんしゅう]

日本にっぽんでは本州ほんしゅう四国しこく九州きゅうしゅうのほか、佐渡さどとう伊豆諸島いずしょとう隠岐諸島おきしょとう対馬つしま壱岐島いきしま五島列島ごとうれっとう種子島たねがしま屋久島やくしま黒島くろしま生息せいそくする。海外かいがいでは朝鮮半島ちょうせんはんとう済州さいしゅうとう中国ちゅうごく大陸たいりくられる。低地ていちから山地さんちまで全般ぜんぱんてき生息せいそくしている。

生態せいたい[編集へんしゅう]

幼虫ようちゅう[編集へんしゅう]

カナブンるい普通ふつうしゅであるのにもかかわらず幼虫ようちゅう生態せいたいながあいだ不明ふめいであった。カナブンの成虫せいちゅうはカブトムシなどとおな環境かんきょう飼育しいくでき、産卵さんらんもするため、幼虫ようちゅう自体じたい飼育しいくでもることは可能かのうだが、幼虫ようちゅう野生やせいにおいてなにべているのかは不明ふめいであり、カブトムシとおな腐葉土ふようどでは成虫せいちゅうまで飼育しいくすることは困難こんなんで、すぐんでしまった。

2009ねん昆虫こんちゅう写真しゃしん鈴木すずき知之ともゆきが、クズ群落ぐんらくしたにおいて野生やせいにおけるカナブンの幼虫ようちゅう世界せかいはじめて発見はっけんした。幼虫ようちゅうクズ群落ぐんらくした(つまり、地中ちちゅうではなく地上ちじょう)という乾燥かんそうした環境かんきょう生息せいそくし、クズの腐葉土ふようどべてそだち、ふゆ地中ちちゅうくぐる、などのことを解明かいめいし、2011ねんに『月刊げっかんむし』に発表はっぴょうした[1]ただし、こういった環境かんきょう相対そうたいてき希少きしょうであるため、くさがある程度ていどれば発生はっせいかえせるシロテンハナムグリなどにくらべ、環境かんきょう破壊はかいへのたいせいにおいてほんしゅ劣勢れっせいいられている。なお、飼育しいくする場合ばあいはマットの水分すいぶんりょうおおいとぜんさなぎでの死亡しぼうりつたかくなってしまうため、水分すいぶんりょうをかなりすくなめにする必要ひつようがある[よう出典しゅってん]。また、カナブンるい幼虫ようちゅう地上ちじょうすと、背中せなかあるく。

成虫せいちゅう[編集へんしゅう]

ハナムグリとしては大型おおがたで、頭部とうぶ四角しかくく、背面はいめんたいらになったかたちをしている。全身ぜんしんみどり褐色かっしょく金属きんぞく光沢こうたくがある。この金属きんぞく光沢こうたくコレステリック液晶えきしょう構造こうぞうとよば れる構造こうぞうによってつくされている[2]

飛行ひこう能力のうりょくすぐれている。かた特徴とくちょうてきで、飛翔ひしょう前翅ぜんしさや)の外側そとがわわずかにげる(さや翅は結果けっかてき内側うちがわかたむく)と、おおくの甲虫かぶとむしのようにひらかなくても側面そくめん隙間すきまができ、この状態じょうたい後翅こうしばせるので、前翅ぜんしじたまま後翅こうしばたいてぶ。また、足場あしばくても離陸りりくできる。

くさじゅくした果実かじつクヌギコナラアキニレシラカシヤナギアカメガシワなどの広葉樹こうようじゅ樹液じゅえきえさとし、これらのじょうしゅたる生活せいかつとするため、すべちたりがされたりしないようにかくあし跗節先端せんたんに2ほんするどつめつ。樹液じゅえきのにじみるところにはカブトムシクワガタムシほんしゅきんえんのハナムグリるい多数たすうあつまるのがられる。

姿すがたシロテンハナムグリなどに非常ひじょうるが、かれらとちが越冬えっとう能力のうりょくたないため、成虫せいちゅう活動かつどう期間きかん例外れいがいなくひとなつのみ、それも1かげつ程度ていどである。

きんえんしゅ[編集へんしゅう]

日本にっぽん生息せいそくするきんえんしゅとしてつぎのようなものがある。生息せいそく習性しゅうせい似通にかよ混生こんせいする場合ばあいすくなくないが、ゆるやかなけもみとめられる。

形態けいたいがくてき識別しきべつてんはいずれもはっきりしており、不明瞭ふめいりょう緩慢かんまん差異さいではない。

和名わみょうからもわかるとおからだしょくちがいがあるが、カナブン自身じしんにもどう一種いっしゅないおなじような色彩しきさい変異へんいがあり、一概いちがいめられるものではなく、色彩しきさいだけで種類しゅるい同定どうていするのは困難こんなんである。

アオカナブン Rhomborrhina unicolor Motschulsky, 1861
緑色みどりいろがたのカナブンよりも金属きんぞく光沢こうたくつよく、いろどりたかい。体型たいけい細長ほそながく、こうあし左右さゆうもとぶしたがいにせっする。相対そうたいてき冷涼れいりょう環境かんきょうこの山地さんちせい傾向けいこうつ。気温きおんたかいと産卵さんらんせず、大都市だいとし近郊きんこうでの激減げきげんおおきな原因げんいんとなっている。北海道ほっかいどうにも生息せいそくする。福江島ふくえじま生息せいそくする個体こたいぐん亜種あしゅ ssp. fukueana分類ぶんるいされる。
クロカナブン Rhomborrhina polita Waterhouse, 1875
からだしょく完全かんぜん黒色こくしょくであり、光沢こうたくつよい。野生やせい状態じょうたいでは多年たねん1飼育しいくでも2ねん1であるために繁殖はんしょく速度そくどおそいうえ、生息せいそくいき変更へんこう必要ひつようしょうじてもすみやかな移動いどう困難こんなん[3]だといわれる。また、幼虫ようちゅうのうちまる1ねんを、成長せいちょうしきったのちさなぎしつ形成けいせいめている[3]。アオカナブンとちがいかつては都市とし公園こうえんでも多数たすう個体こたいられたが、21世紀せいきはい激減げきげんした。
サキシマアオカナブン Rhomborrhina hamai Nomura, 1964
石垣いしがきとう西表島いりおもてじま分布ぶんぷする。山地さんちせい湿度しつどたか土壌どじょうられるが、幼虫ようちゅう期間きかんなが羽化うかまでに3ねん以上いじょうかかる。ふか藍色あいいろであることおおく、かずすくない。
チャイロカナブン Cosmiomorpha similis nigra Niijima et Kinoshita, 1927
さきとう諸島しょとう分布ぶんぷし、しまごとに4亜種あしゅ分類ぶんるいされている。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 鈴木すずき知之ともゆきカナブンの幼虫ようちゅうはクズ群落ぐんらくにいた!」『月刊げっかんむし』だい488ごう、むししゃ、2011ねん9がつ21にち、34-37ぺーじISSN 0388418XNAID 40018993890 
  2. ^ 独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん科学かがく技術ぎじゅつ振興しんこう機構きこうJST Front Line」『JSTnews』だい7かんだい3ごう、2010ねん、3-5ぺーじdoi:10.1241/jstnews.7.3_3ISSN 1349-6085NAID 130007986739 
  3. ^ a b 『クロカナブンの飼育しいく観察かんさつ p.14 「羽化うかしないさなぎぶし結論けつろん部位ぶい、「すくなくなったクロカナブン」ぶし および p.12 1「飼育しいくにおけるクロカナブンの生活せいかつ」 をもとちぢみやく

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]