(Translated by https://www.hiragana.jp/)
クロユリ - Wikipedia コンテンツにスキップ

クロユリ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
クロユリ
エゾクロユリ(大雪山たいせつざんくろだけ・2001ねん7がつ撮影さつえい
分類ぶんるいAPG III
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ Angiosperms
階級かいきゅうなし : たん子葉しようるい Monocots
: ユリ Liliales
: ユリLiliaceae
ぞく : バイモぞく Fritillaria
たね : クロユリ F. camschatcensis
学名がくめい
Fritillaria camschatcensis (L.) Ker-Gawl.
和名わみょう
クロユリ
英名えいめい
Chocolate Lily

クロユリくろひゃくごう学名がくめい: Fritillaria camtschatcensis)はユリバイモぞく高山たかやま植物しょくぶつ別称べっしょうはエゾクロユリ(蝦夷えぞ黒百合くろゆり)。

特徴とくちょう

[編集へんしゅう]

多年草たねんそう地下ちかにある鱗茎りんけい多数たすう鱗片りんぺんからなる。くき直立ちょくりつしてたかさ10-50cmになり、3-5りんせいするすうだんにわたってつく。ながさ3-10cmになる披針形ひしんけいからちょう楕円だえんじょう披針形ひしんけいで、しつあつ表面ひょうめんはつやがあり、基部きぶ葉柄ようへいはない[1][2]

花期かきは6-8がつはなかねじょうで、くきさきに1-数個すうこなな下向したむきにつける。はなへんは6で、ながさ25-30mmの楕円だえんがたで、くらむらさき褐色かっしょくまたはくろ紫色むらさきいろになり、網目あみめ模様もようがあり、内面ないめん基部きぶせんたいがある。雄蕊おしべは6あり、はなへん半分はんぶんながさ。はなばしら基部きぶから3きれする。はなには悪臭あくしゅうがあり、英語えいごでは「skunk lily(スカンクユリ)」「dirty diaper(きたないオムツ)」「outhouse lily(そと便所べんじょユリ)」などの別名べつめいがある[1][2]

北海道ほっかいどう以北いほく低地ていち分布ぶんぷする染色せんしょくたいすうが3ばいたい3n=36で、草丈くさたけたかく50cmになり、はなが3-7つくのものをエゾクロユリ基本きほん変種へんしゅ)と、日本にっぽん本州ほんしゅう北海道ほっかいどう高山こうざん分布ぶんぷする染色せんしょくたいすうが2ばいたい2n=24で、草丈くさたけが10-20cmのものをミヤマクロユリ変種へんしゅ)と分類ぶんるいする場合ばあいがある[1][3]

分布ぶんぷ生育せいいく環境かんきょう

[編集へんしゅう]

日本にっぽん北海道ほっかいどう千島ちしま列島れっとうロシア連邦れんぽうサハリンしゅう米国べいこく分布ぶんぷ高山たかやまたい草地くさちえる。

本州ほんしゅうでは、東北とうほく地方ちほう月山がっさん飯豊山いいでさん中部ちゅうぶ地方ちほう白山はくさんで、室堂むろどう周辺しゅうへんなどに大量たいりょう群生ぐんせいしているのがられる。石川いしかわけんの「郷土きょうどはな」である[4](「県花けんか」ではない[5]。)。

下位かい分類ぶんるい

[編集へんしゅう]
  • ミヤマクロユリ深山ふかやまくろひゃくごう学名がくめい: Fritillaria camtschatcensis (L.) Ker Gawl. var. keisukei Makino )- 本州ほんしゅう中部ちゅうぶ地方ちほう以北いほく北海道ほっかいどう分布ぶんぷし、高山たかやまたいから高山こうざんたい生育せいいくする。
  • キバナクロユリはなくろひゃくごう学名がくめい: Fritillaria camtschatcensis (L.) Ker Gawl. f. flavescens (Makino) T.Shimizu )- はな黄色きいろいものが区別くべつされる場合ばあいがある

利用りよう

[編集へんしゅう]

アイヌ料理りょうりでは鱗茎りんけいべいぜていたり、でてからあぶらけたりしてしょくされる。樺太からふとでは乾燥かんそうさせて保存ほぞん冬季とうき料理りょうりもちいられた。その調理ちょうり方法ほうほうは、まずチエトイ(cietoy 珪藻土けいそうど)をかしたみず乾燥かんそうさせた鱗茎りんけいて、ふかはちうつしてあぶられ、すりばちでよくつぶす。そして前述ぜんじゅつのチエトイのみずすこれ、コケモモれてからしずかにかきぜるというものである。

この鱗茎りんけい北海道ほっかいどうアイヌでアンㇻコㇿ(anrakor)またはハンㇻコㇿ(hanrakor)といい、樺太からふとアイヌではハㇵ(hax)とぶ。またはな染料せんりょうとしてもちいられた[6]

文化ぶんか

[編集へんしゅう]

花言葉はなことばは「こい」「のろい」。戦国せんごく武将ぶしょう佐々ささしげるせい側室そくしつはやひゃくごうひめ怨念おんねんにまつわる「くろひゃくごう伝説でんせつ」が富山とやまにあり、明治めいじになり金沢かなざわ出身しゅっしん作家さっかいずみ鏡花きょうかが『黒百合くろゆり』という小説しょうせついている。

川端かわばた康成やすなり小説しょうせつやまおと』の「はるかね」のしょうなかで、黒百合くろゆりにおいを「いやなおんなの、生臭なまぐさにおいだな」と表現ひょうげんしている[7]

画像がぞう

[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ a b c 日本にっぽん野生やせい植物しょくぶつ 草本そうほんIたん子葉しようるい』p.38
  2. ^ a b 新牧野しんまきの日本にっぽん植物しょくぶつ圖鑑ずかん』p.862
  3. ^ 日本にっぽん高山たかやま植物しょくぶつ』p.567
  4. ^ 郷土きょうどはな クロユリ”. 石川いしかわけん. 2024ねん5がつ2にち閲覧えつらん
  5. ^ 2008ねん6がつ4にち北國きたぐに新聞しんぶん
  6. ^ 知里ちり真志保ましほ分類ぶんるいアイヌ辞典じてん
  7. ^ 川端かわばた康成やすなりやまおと』(新潮しんちょう文庫ぶんこ、1957ねん4がつ改版かいはん2010ねん4がつ)p.220

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]
  • しろ簱史ろう増補ぞうほ新版しんぱん カラー高山こうざん植物しょくぶつやま溪谷社けいこくしゃ、1996ねん9がつ、170-171ぺーじISBN 4808305739 
  • 豊国とよくに秀夫ひでお日本にっぽん高山たかやま植物しょくぶつやま溪谷社けいこくしゃやまけいカラー名鑑めいかん〉、1988ねん9がつ、567ぺーじISBN 4-635-09019-1 
  • 佐竹さたけよし大井おおい三郎さぶろう北村きたむら四郎しろうへん日本にっぽん野生やせい植物しょくぶつ 草本そうほんIたん子葉しようるい』、1982ねん平凡社へいぼんしゃ
  • 牧野まきの富太郎とみたろう原著げんちょ大橋おおはしひろこのみ邑田むらたひとしいわけやき邦男くにおへん新牧野しんまきの日本にっぽん植物しょくぶつ圖鑑ずかん』、2008ねんきたたかしかん
  • 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-)「BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス」(YList)

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]