ナビゲーター (モータースポーツ)

ナビゲーター (navigator)とは、ラリーなどの自動車じどうしゃ競技きょうぎにおいてドライバーと共ともに車両しゃりょうに乗のり込こみ、走行そうこうの手助てだすけをする選手せんしゅである。コ・ドライバー(co-driver^[1])とも呼よばれ、「ナビ」「コ・ドラ」などと略りゃくされる。

ラリー系けい競技きょうぎ[編集へんしゅう]

役割やくわり[編集へんしゅう]

ナビゲーターは助手じょしゅ席せきに搭乗とうじょうし、ヘルメットに内蔵ないぞうされた有線ゆうせん交信こうしん機きでドライバーとコミュニケーションを取とりながら、ドライバーの運転うんてんを補助ほじょする。基本きほん的てきに、ドライバーは「走はしる事こと」だけに専念せんねんし、ナビがその他たの役割やくわりを全すべて行おこなうと言いっても過言かごんではない。また、物理ぶつり的てき・精神せいしん的てき両面りょうめんでドライバーを走はしる事ことだけに集中しゅうちゅうさせられるようにするのも役目やくめの一ひとつである。

道案内みちあんない: 主催しゅさい者しゃ側がわから配布はいふされた競技きょうぎ用ようのルート案内あんない図ず（コマ図ず）の通とおりに走はしるよう、曲まがり角かどなどをドライバーに指示しじする。
時間じかん管理かんり: チェックポイント (CP) やタイムコントロール (TC) の通過つうか時間じかんを記しるしたカードを受うけ取とり管理かんりする。競技きょうぎ終了しゅうりょう後ご、主催しゅさい者しゃへ提出ていしゅつし成績せいせき判定はんていを受うける。
指示しじ速度そくどの確認かくにん: アベレージラリーでは、主催しゅさい者しゃ側がわから指示しじされた速度そくどどおりに自じ車くるまが走はしれているかを逐次ちくじチェックする。以前いぜんは計算尺けいさんじゃくなどを用もちいて手動しゅどう計算けいさんしていたが、ラリーコンピュータの登場とうじょう後ごはその入力にゅうりょく操作そうさが主体しゅたいとなっている。
ペースノート作成さくせい: スペシャルステージ（閉鎖へいさタイムトライアル区間くかん）が設定せっていされるラリーでは、前日ぜんじつまたは当日とうじつ朝あさに行おこなわれる下見したみ走行そうこう（レッキ）にて、ドライバーが読よみ上あげるスペシャルステージのコース情報じょうほうをノートに控ひかえる。このノートを「ペースノート」と言いう。書かいてある内容ないようはカーブのきつさ、直線ちょくせんの距離きょり、走行そうこう時じの注意ちゅうい事項じこうなどである。
ペースノート読よみ: スペシャルステージにおいて、膝元ひざもとに置おいたペースノートを1ページずつめくりながら、ドライバーにコース情報じょうほうを指示しじする。激はげしく揺ゆれる車内しゃないで、冷静れいせいにドライバーがき取きとりやすいよう読よみ上あげることが大事だいじ。現在地げんざいち点てんを見失みうしなう（ロストする）とタイムロスや事故じこにつながる。
トラブル対応たいおう: コースアウト等とうをして、それ以上いじょう走行そうこうできなくなった時ときは、後続こうぞく車しゃに対たいして救護きゅうご等とうの要よう・不要ふようを示しめさなければならない。ドライバーと共ともにパンクしたタイヤを交換こうかんしたり、自じ走はし不能ふのうな車両しゃりょうを押おしていったりする姿すがたも良よく見みられる。不幸ふこうにもリタイアとなってしまった際さいには後ごの処理しょりなどを行おこなう。自動車じどうしゃ修理しゅうりののためのある程度ていどの知識ちしきや技術ぎじゅつも必要ひつようになる。
タイム確認かくにん: 自分じぶん及および他たの選手せんしゅのタイムを確認かくにんし、自分じぶんの大体だいたいの順位じゅんいを確認かくにんする。
競技きょうぎ進捗しんちょくの確認かくにん: 競技きょうぎ直前ちょくぜんや競技きょうぎ中ちゅうに主催しゅさい者しゃから出だされる公式こうしき通知つうちを確認かくにんし、競技きょうぎの進行しんこう予定よてい（アイテナリー）やルールに変更へんこうがないかどうかを確認かくにんする。
タイムキーパー: サービスなどの残のこり時間じかんを確認かくにんし、作業さぎょうの進行しんこうやドライバーの準備じゅんびを促うながす。
事務じむ作業さぎょう: 競技きょうぎの申込もうしこみなどをナビが行おこなう場合ばあいが多おおい。
運転うんてん代行だいこう: 競技きょうぎの途中とちゅうでドライバーと役割やくわりを入いれ替かわってもルール的てきには全まったく問題もんだいないため、ドライバーが何なんらかの事情じじょうで運転うんてんできない場合ばあいに代かわりに運転うんてんを行おこなうこともある^[2]。中なかにはコロネル兄弟きょうだいのように、交代こうたいでドライブすることを作戦さくせんに組くみ込こんでいる競技きょうぎ者しゃもいる。

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

競技きょうぎのルール上じょうは、ナビゲーターとドライバーは全まったく平等びょうどうな選手せんしゅとして扱あつかわれており、ライセンスや装備そうび品ひんなどの規定きていもドライバーと同様どうようである。ただし肢体したいに不自由ふじゆうがあるなど、ドライバーに適てきさない者ものもナビであれば特例とくれいで出場しゅつじょうできる場合ばあいがある。

しかし一般いっぱん的てきな認識にんしきはドライバーの黒子くろこ的てきな存在そんざいであり、果はたす役割やくわりに見合みあわず待遇たいぐうは低ひくい。世界せかいラリー選手権せんしゅけん（WRC）の車両しゃりょうのサイドウインドウにはドライバーとナビゲーターの名前なまえと国旗こっきが貼はられているが、2004年ねん- 2010年ねんシーズン途中とちゅうまではナビゲーターの名前なまえと国旗こっきの表記ひょうきは禁止きんしされていた。またメディアでも優勝ゆうしょう報道ほうどうの見出みだしでナビゲーターが併記へいきされることは稀まれで、ファンのラリー談義だんぎでもドライバーばかりが語かたられることが多おおい。ワークス選手せんしゅの給料きゅうりょうも、ドライバーに2人ふたり分ぶんがまとめて渡わたされ、そこからナビがもらうケースが多おおい。FIA殿堂でんどうでも、2019年ねんよりWRCのシリーズチャンピオン経験けいけん者しゃが殿堂でんどう入いりするようになったものの、ナビゲーターは殿堂でんどう入いりの対象たいしょうとならなかった。

過去かこにはマシントラブルが出でた場合ばあい、ドライバーが運転うんてんしている間あいだエンジンルームに乗のってスロットルバルブを操作そうさしたり、窓まどから大おおきく身みを乗のり出だして脱落だつらくしそうなパーツを押おさえたり、パンクしたタイヤと反対はんたい側がわに荷重かじゅうをかけるため公道こうどうで箱乗はこのりするなど、危険きけんな役割やくわりを担になわされることもあった。

最初さいしょからナビゲーターを志こころざす者ものがドライバーよりも少すくない事ことは自明じめいであり、プライベーターはもちろん時ときにはワークスドライバーでも自分じぶんの条件じょうけんに合あうナビゲーター探さがしには苦労くろうする事ことがある。経験けいけんが豊富ほうふで特定とくていのドライバーに付ついていないナビゲーターは、シーズンごとにあちこちから競技きょうぎへの誘さそいの声こえが掛かかる。

ラリー自体じたいが豊富ほうふな経験けいけんが要求ようきゅうされる競技きょうぎであり、ナビゲーターはドライバーをコントロールする立場たちばである関係かんけい上じょう、ドライバー以上いじょうに経験けいけんが必要ひつようと言いわれる。トップレベルの実績じっせきを挙あげたドライバーやライダーがナビに転向てんこうするケースは多おおい。そのためトップレベルでは年齢ねんれい層そうが高たかい傾向けいこうがあるが、個人こじんレベルでは性質せいしつ上じょう女性じょせいや競技きょうぎ経験けいけんの浅あさい者ものが乗のることも多おおい。

ペースノートやコマ図ずを凝視ぎょうししなければならない以上いじょう、トップレベルのナビゲーターでも車くるま酔よいが大おおきな問題もんだいとなるが、内耳ないじの理学りがく療法りょうほうを用もちいたトレーニングである程度ていどの改善かいぜんが見込みこめる^[3]。

ペースノート読よみではドライバーとの阿吽あうんの呼吸こきゅうが必要ひつようであり、加くわえて競技きょうぎ期間きかん中ちゅうは起おきている間あいだずっと車内しゃないで二に人にんきりになる。そのため息いきの合あうもの同士どうしで長年ながねんコンビを組くむ例れいも多おおいが、基本きほん的てきにはドライバーやチームの意向いこう、契約けいやくの問題もんだい、突然とつぜんのトラブル（負傷ふしょうや病気びょうき）などで入いれ替かわりが激はげしいため、誰だれと組くんでもある程度ていど問題もんだい無なくこなせる人間にんげん性せいも必要ひつようである。また国籍こくせきの違ちがう者もの同士どうしの場合ばあいは言語げんごや訛なまりも問題もんだいとなるため、語学ごがく力りょくも必要ひつようとなる。

不仲ふなかが表面ひょうめん化かした有名ゆうめいな例れいとして、2002年ねんWRC（世界せかいラリー選手権せんしゅけん）のラリー・オーストラリアでフランソワ・デルクールがナビを怒鳴どなり続つづけていた様子ようすが車内しゃないカメラから世界せかいに配信はいしんされてしまった事件じけんがある。より極端きょくたんな例れいでは、2012年ねんのダカール・ラリーでは、アルゼンチン人じんのオーランド・テラノバとナビが口論こうろんの末すえ、ナビがボイコットしてリタイアに追おい込こまれるという出来事できごともあった^[4]。

予あらかじめレッキで予習よしゅうした道みちを走はしって秒びょう単位たんいを争あらそうラリーとは異ことなり、道みちなき道みちをコマ図ずを見みながら正確せいかくなルートを見みつけられるかが勝敗しょうはいを決きめるラリーレイド（クロスカントリーラリー）では競技きょうぎの特性とくせいやルール上じょう、ナビゲーターは必かならずしも必要ひつようでは無なく、ドライバーだけがマシンに搭乗とうじょうし、自みずからナビゲーションを行おこなって好成績こうせいせきを残のこすケースもしばしある。

自動車じどうしゃ競技きょうぎにおいて助手じょしゅの同乗どうじょうが認みとめられるのは、ラリーだけとは限かぎらない。古いにしえのスポーツカーレースでもミッレ・ミリアやカレラ・パナメリカーナ・メヒコのような長距離ちょうきょり公道こうどうレースではナビゲーターが同乗どうじょうして道案内みちあんないを行おこなっていた。公道こうどうレースは観客かんきゃく事故じこなどにより廃止はいしされてしまうが、当時とうじを再現さいげんするヒストリックカーイベントでは現在げんざいもナビゲーターが活躍かつやくしている。エクストリームEでは、ドライバーが必かならず「男女だんじょコンビ」であることが求もとめられ、レース中ちゅうに交代こうたいする義務ぎむもあるため、運転うんてんを担当たんとうしない側がわがナビゲーションを行おこなう。

ナビゲーターに似にた役割やくわりの出場しゅつじょう者しゃ[編集へんしゅう]

ライディングメカニック[編集へんしゅう]

オープンホイールカーの分野ぶんやでは、欧州おうしゅうのグランプリレースでは1920年代ねんだいまで、アメリカのインディ500では1930年代ねんだいまで、助手じょしゅ席せきにライディングメカニックを乗のせて走はしるのが一般いっぱん的てきだった。レース中ちゅうの故障こしょう修理しゅうりやタイヤ交換こうかんを手伝てつだうために同乗どうじょうしていたのだが、インディでは後方こうほうから接近せっきんする車両しゃりょうの位置いちをドライバーに知しらせる役割やくわりも担になっていた。ホンダの創業そうぎょう者しゃである本田ほんだ宗そう一郎いちろうも若わかき日ひにライディングメカニックとしてレースに参加さんかしたことがある^[5]。

なお1911年ねんの第だい1回かいインディ500ではレイ・ハルーンがライディングメカニックを載のせる代かわりにバックミラーを取とり付つけ、1人ひとり乗のりで走はしって優勝ゆうしょうしている^[6]。

同おなじ役割やくわりとして、ラリーレイドのトラック部門ぶもんではその巨体きょたいさゆえ、ドライバーとナビの他ほかにもう一人ひとりメカニックを搭乗とうじょうさせて修理しゅうりにあたっている。

スポッター/マインダー[編集へんしゅう]

同乗どうじょう者しゃではないが、現在げんざいのNASCARやインディカーのようなアメリカのレースではスポッターと呼よばれる、会場かいじょうの上うえからマシンの周囲しゅういの状況じょうきょうについて伝つたえる役やくが存在そんざいしており、特とくにデイトナ500やインディ500などの高速こうそくオーバルでは重要じゅうような鍵かぎを握にぎる。スポッターは練習れんしゅう、予選よせん、決勝けっしょうの間あいだ常つねに集中しゅうちゅう力りょくを欠かくことができず、数時間すうじかん以上いじょうに渡わたってサーキットを眺ながめていなければならないため、ドライバー並なみに過酷かこくであるとされる。場合ばあいによっては他たのスポッターたちと交渉こうしょうして、協力きょうりょくして順位じゅんいを上あげるようなケースもある。

欧米おうべい問とわず、ラリークロスでもスポッターが存在そんざいする。一いち度どの通過つうか義務ぎむがある「ジョーカーラップ」への進入しんにゅうを適切てきせつに指示しじできるどうかが勝敗しょうはいの鍵かぎを握にぎるため、これもやはり重要じゅうような役割やくわりである。

二に輪りんのトライアル]競技きょうぎではマインダーと呼よばれる、選手せんしゅに路面ろめん状況じょうきょうや時間じかんを教おしえながら走行そうこうルートを模索もさくする役割やくわりのスタッフがいる。

著名ちょめいなナビゲーター[編集へんしゅう]

海外かいがい[編集へんしゅう]

ファブリッツァ・ポンス: 自動車じどうしゃラリー史上しじょう最もっとも成功せいこうを収おさめた女性じょせいナビ。女傑じょけつミシェル・ムートンをはじめ、アリ・バタネン、ピエロ・リアッティなどとペアを組くみ、WRCで通算つうさん5勝しょうを挙あげ、年間ねんかんランキング2位いに入はいった。初期しょきはWRCドライバーとしても活動かつどうしており、ドライバーとナビの両りょう部門ぶもんでポイントを獲得かくとくした稀少きしょうなドライバーの一人ひとりでもある。00年代ねんだいにはユタ・クラインシュミットと共ともにダカール・ラリーにも参戦さんせんした。
ルイス・モヤ: カルロス・サインツのナビ。早口はやくちなペースノート読よみで有名ゆうめい。トヨタで2度ど王座おうざに輝かがやき、引退いんたい後ごはスバル・ワールドラリーチームのスポーティングディレクターを務つとめた^[7]。
ティモ・ラウティアイネン: マーカス・グロンホルムのナビ。グロンホルムの義弟ぎてい（ラウティアイネンの方ほうが年上としうえだが、グロンホルムの妹いもうとと結婚けっこんしたため）。プジョーで2度どWRC王者おうじゃとなった。
ジャン・トッド: ラウノ・アルトーネン、ギ・フレクランらのナビ。引退いんたい後ごの方ほうが有名ゆうめいで、プジョーのラリーチーム監督かんとく、F1のフェラーリチーム代表だいひょう、フェラーリ社しゃCEO、国際こくさい自動車じどうしゃ連盟れんめい（FIA）の会長かいちょうを歴任れきにんした。
アンリ・マーニュ: 1985年ねんから三菱みつびしラリーアートに加入かにゅう。1997年ねんに篠塚しのづか建次郎けんじろうと組くみ、彼かれの日本人にっぽんじん初はつダカール・ラリー制覇せいはに貢献こうけんした。一方いっぽうで2001年ねんダカールの悪名あくめい高たかい増岡ますおか浩ひろしへの妨害ぼうがい行為こうい事件じけんで、加害かがい者しゃ側がわのジャン＝ルイ・シュレッサーのナビでもあった。2006年ねんモロッコラリーでナニ・ロマと共ともに走行そうこう中ちゅう、コンクリート壁かべに衝突しょうとつし即死そくし。享年きょうねん53歳さい^[8]。ダカールでは彼かれを悼いたみ、若わかくして成功せいこうを収おさめたナビに贈おくられる副賞ふくしょうの『アンリ・マーニュ賞しょう』を2007年ねんに新設しんせつした^[9]。ワールドカップの総合そうごうタイトル獲得かくとく数すう（4回かい）は歴代れきだい2位いタイ。
カイ・リンドストローム: トミ・マキネン、キミ・ライコネン、ユホ・ハンニネンなどフィンランド人じんWRCドライバーのナビを歴任れきにん。2002年ねんラリー・モンテカルロではマキネンと優勝ゆうしょうを果はたした。2018年ねんからトヨタWRCのスタッフになった。スノーモービルやバイクを販売はんばいする会社かいしゃの経営けいえいも手掛てがける^[10]。
ダニエル・エレナ: セバスチャン・ローブのナビ。WRC史上しじょう最多さいた勝しょう（79勝しょう）と最多さいたタイトル（9度ど）記録きろくを保持ほじする。
エルベ・パニッツィ: ジル・パニッツィの実弟じっていで、彼かれとコンビを組くんだ。2006年ねんシーズン途中とちゅうに引退いんたい。
クリス・パターソン: ナッサー・アル＝アティヤ、ペター・ソルベルグ、クリス・ミーク、ハリド・アル＝カシミのナビを歴任れきにんし、2006年ねんPWRCでアル＝アティヤを王者おうじゃに導みちびいた。2011年ねんラリー・スウェーデンで、リエゾン区間くかんで免まぬかれ停とまを受うけたソルベルグに代かわりステアリングを握にぎった珍事ちんじで知しられる。
マイケル・パーク: マルコ・マルティンのナビ。愛称あいしょうは「ビーフ」。2005年ねんウェールズ・ラリーGBで事故死じこし（享年きょうねん39歳さい）。この死しを受うけてプジョーはイベントから撤退てったいするが、セバスチャン・ローブはこの形かたちでの王座おうざ獲得かくとくを善よしとせず、わざとペナルティを受うけて最終さいしゅう戦せんに決着けっちゃくを持もち越こして議論ぎろんを呼よんだ。
デビッド・リチャーズ: アリ・バタネンのナビとして1981年ねんにWRC王者おうじゃとなった。引退いんたい後ごはプロドライブを設立せつりつし、スバルWRCやホンダF1、アストンマーティンGTなどのチーム運営うんえいを担になった。
ジュリアン・イングラシア: 8度どのWRC王者おうじゃセバスチャン・オジェのナビ。
ミイカ・アンティラ: ヤリ＝マティ・ラトバラのナビ。WRC最多さいた出場しゅつじょう（220戦せん）記録きろく保持ほじ者しゃ。
ジャン＝ポール・コトレ: ステファン・ペテランセルのナビ。ダカール四よん輪りん部門ぶもんのナビゲーター最多さいた勝利しょうり（7勝しょう）記録きろく保持ほじ者しゃ。
ミシェル・ペラン: カルロス・サインツ、ナニ・ロマ、ゲラン・シシェリ、ミッコ・ヒルボネンなどのナビを歴任れきにん。ダカール四よん輪りん部門ぶもんでの4勝しょうは、コトレに次つぐ歴代れきだい2位い。ワールドカップの総合そうごうタイトル獲得かくとく数すう（6回かい）は歴代れきだい1位い。
マシュー・ボウメル: ゲラン・シシェリ、ヤジード・アル＝ラジ、ナッサー・アルアティヤのナビ。アルアティヤと共ともにトヨタでワールドカップと世界せかい選手権せんしゅけん（W2RC）を通算つうさん5度ど、ダカールを3度ど制覇せいはした。
ダニエル・バリット: 新井あらい敏弘としひろ、奴やつ田原たはら文雄ふみお、勝田かつた貴たか元もとなど日本人にっぽんじんドライバーと縁えんの深ふかいイギリス人ひとナビ。奴やつ田原たはらのラリー・モンテカルロクラス優勝ゆうしょうや、2017年ねんエルフィン・エバンスの初はつ優勝ゆうしょう、勝田かつたのサファリラリー2位い初はつ表彰台ひょうしょうだいなどに貢献こうけんした。

日本にっぽん[編集へんしゅう]

小田切おだぎり順じゅん之これ: 東京とうきょう都と出身しゅっしん。1971年ねんにラリー界かい入いり。奴やつ田原たはら文雄ふみおのコ・ドライバーとして、6度ど全日本ぜんにほんラリー選手権せんしゅけんの王者おうじゃに輝かがやいた他ほか、全日本ぜんにほんの最多さいた勝利しょうり記録きろくも達成たっせいしている。またMSCC（マツダ・スポーツカー・クラブ）の会長かいちょうとしても知しられ、ラリー振興しんこうに多大ただいな貢献こうけんをした。2013年ねんに61歳さいで永眠えいみん^[11]。
市野いちの諮はか: 東京とうきょう都と出身しゅっしん。藤本ふじもと吉郎よしろうや奴やつ田原たはら文雄ふみお、鎌田かまた卓たく麻あさ、三好みよし秀しげる昌あきららと組くんでWRCを初はじめとする海外かいがいラリーに参戦さんせん。1995年ねんに日本人にっぽんじん初はつのサファリラリー総合そうごう優勝ゆうしょうを果はたしている。またFIAアジアパシフィックラリー選手権せんしゅけん(APRC)やアフリカラリー選手権せんしゅけんでもタイトルを獲得かくとくした経験けいけんを持もち、2018年ねん現在げんざいも全日本ぜんにほんの現役げんえき選手せんしゅとして活動かつどう中ちゅうである。ナビ以外いがいでは藤本ふじもととともにアフターパーツ会社かいしゃのテインを設立せつりつしており、チームとして欧州おうしゅう各地かくちに参戦さんせんしたほか、世界せかいラリークロス選手権せんしゅけんや国内こくないモータースポーツに部品ぶひん供給きょうきゅうを行おこなっている^[12]。
中原なかはら祥雅よしまさ: 東京とうきょう都と出身しゅっしん。1970年代ねんだいから香港ほんこん-北京ぺきん、サファリラリー、サザンクロスラリーなど国外こくがいのイベントに参戦さんせん。1990年代ねんだいからはWRC、APRCなどにも参戦さんせんし、2013年ねんには全日本ぜんにほんラリー史上しじょう最年長さいねんちょう（62歳さい）総合そうごう優勝ゆうしょう記録きろくを樹立じゅりつした。これまでに組くんだパートナーは平林ひらばやし武たけし、岩下いわした良雄よしお、神かみ岡おか政夫まさお、井上いのうえ潔きよし、綾部あやべ美津雄みつお、柳澤やなぎさわ宏ひろし至いたりらがいる^[13]。
佐藤さとう忠ただし宜よろし: 福島ふくしま県けん出身しゅっしん。本業ほんぎょうはITエンジニア。2001年ねんに全日本ぜんにほんデビュー。当時とうじの全日本ぜんにほんはSS結果けっかは競技きょうぎ終了しゅうりょうまで公開こうかいされないラリーが主流しゅりゅうであったが、佐藤さとうは参戦さんせんしつつ他たの選手せんしゅから直接ちょくせつSSタイムの情報じょうほうを集あつめ、PDA端末たんまつで集計しゅうけいし配信はいしんした。配信はいしんは選手せんしゅのみならずメディア・スポンサーに対たいしてもSS終了しゅうりょう毎ごとにリアルタイムに行おこなわれ、全日本ぜんにほんのスポーツ性せいを高たかめると同時どうじに運営うんえいの広報こうほう活動かつどうに多大ただいな影響えいきょうを与あたえた。この功績こうせきを讃たたえられ、2006年ねんに第だい一いち回かいJRCAアワードを授与じゅよされている。また2006年ねんに佐藤さとうが開発かいはつしたトラッキング＆リアルタイムSS速報そくほうシステムは国内こくないの多おおくのラリー主催しゅさい者しゃが導入どうにゅうするなど、日本にっぽんのラリーの在あり方かたを大おおきく変かえたとされる^[14]。ナビとしても、奴やつ田原たはら文雄ふみおとともに2度ど総合そうごう王者おうじゃとなるなどの成功せいこうを収おさめた。JRCA（Japanese Rally Competition Association）の選手せんしゅ部会ぶかい長ちょうも務つとめる。
加瀬かせ直毅なおき: 北海道ほっかいどう出身しゅっしん。1992年ねんにラリー界かい入いりし、2000年ねんに全日本ぜんにほんBクラスチャンピオンを獲得かくとく。その後ごプロダクションカー世界せかいラリー選手権せんしゅけん(PWRC)、APRC、中国ちゅうごくラリー選手権せんしゅけんなどに参戦さんせん。2010・2012・2014年ねんにAPRCアジアカップ王者おうじゃとなっている。また2010年ねんからクスコ・ラリーチームの母体ぼたいであるキャロッセの社員しゃいんにもなっている。これまでに組くんだパートナーに鎌田かまた卓たく麻あさ、炭山たんざん裕ひろし矢や、牟田むた周平しゅうへい、竹内たけうち源はじめ樹きらがいる^[13]。
保ほ井い隆宏たかひろ: 神奈川かながわ県けん出身しゅっしん。2006年ねんに全日本ぜんにほんデビュー。勝田かつた範彦のりひこ、番場ばんば彬あきら、炭山たんざん裕ひろし矢や、竹内たけうち源はじめ樹きらのナビとして活動かつどうし、2012年ねんに番場ばんばと共ともにAPRCの2WDカップタイトルを獲得かくとく。2018年ねんには炭山たんざんとともに、日本人にっぽんじんコンビとしては史上しじょう初はつのAPRC王者おうじゃに輝かがやいた。またJSR（日本にっぽんスーパーラリーシリーズ）に、ラリー映画えいがOVER DRIVEの撮影さつえい車しゃであるヤリスSCRSが参戦さんせんした際さいにもナビとして搭乗とうじょうした。JRCAの事務じむ局きょくも務つとめる。
羽村はむら勝美かつみ: 東京とうきょう都と出身しゅっしん。日野ひのチームスガワラのナビ。菅原すがわら義正よしまさの拓殖大学たくしょくだいがく自動車じどうしゃ部ぶの後輩こうはいであり^[15]、1992年ねん以降いこう15度ど義正よしまさとコンビを組くみ、クラス優勝ゆうしょうに貢献こうけんしてきた。^[16]。輸入ゆにゅう自動車じどうしゃ販売はんばい店てんを経営けいえいしているため、何なん度どかの引退いんたいをしている。現在げんざいは義正よしまさの息子むすこ照あきら仁じんとコンビを組くむ。
鈴木すずき誠一せいいち: 東京とうきょう都と出身しゅっしん。90年代ねんだいから松本まつもと尚子しょうこや菅原すがわら義正よしまさのナビやメカニックとして、ダカールに20回かい以上いじょう参戦さんせんした。現在げんざいは日野ひのチームスガワラのメカニックリーダーを担当たんとう。
三浦みうら昂のぼる: 愛知あいち県けん出身しゅっしん。トヨタ車体とよたしゃたいの社員しゃいんで、同社どうしゃのプロジェクトであるTLC（チームランドクルーザー）に2007年ねんから2016年ねんまで三橋みつはし淳あつしとニコラ・ジボンのナビとして参戦さんせん。2度どの市販しはん車しゃ部門ぶもん優勝ゆうしょうに貢献こうけんした。2017年ねんからはドライバーに転向てんこうし、2018年ねんに部門ぶもん優勝ゆうしょうを果はたしている^[17]。
ロジャー安川やすかわ: 元もとインディカードライバーで、現在げんざいは佐藤さとう琢磨たくまのスポッターを務つとめる。佐藤さとうの日本人にっぽんじん初はつのインディ500制覇せいはに貢献こうけんし、一躍いちやく注目ちゅうもくを浴あびた。
山本やまもと昌美まさみ: 日本人にっぽんじん女性じょせい初はつのパリ・ダカールラリー出場しゅつじょう者しゃ^[18]。愛称あいしょうは「ヤーミー」。歌手かしゅの松任谷まつとうや由実ゆみにパリダカの魅力みりょくを教おしえ^[19]、1987年ねんには「ユーミンマリ・クレール号ごう」を結成けっせいしてエントリーした。夫おっとの内田うちだ正洋まさひろも初期しょきのパリダカ常連じょうれん選手せんしゅだった。執筆しっぴつした絵本えほん『ふしぎのヤッポ島とう』はフジテレビ『ポンキッキーズ』やNHK Eテレでアニメ化かされた^[20]。2016年ねん、くも膜まく下か出血しゅっけつで死去しきょ^[21]。
足立あだちさやか: 埼玉さいたま県けん出身しゅっしん。元々もともとは全日本ぜんにほんに参戦さんせんするドライバーであったが、後のちにナビに転向てんこうした。全日本ぜんにほんラリー選手権せんしゅけん王者おうじゃの勝田かつた範彦のりひこのナビを務つとめ、2010年ねんから4年ねん連続れんぞく王者おうじゃに輝かがやいた。2017～2018年ねんにTOYOTA GAZOO Racingのプログラムの下した欧州おうしゅうで修行しゅぎょうしていた。帰国きこく後ごも00カーなどに搭乗とうじょうすることがあるものの、競技きょうぎ者しゃとしては引退いんたい状態じょうたいにある。
井上いのうえ裕紀子ゆきこ: 愛知あいち県けん出身しゅっしん。豊田自動織機とよたじどうしょっき社員しゃいんドライバーの天野あまの智之としゆきの妻つまで、キャリアの大だい部分ぶぶんを夫婦ふうふで過すごしている。小学生しょうがくせい時代じだいの作文さくぶんに書かくほどのラリー好すきで、大学だいがく自動車じどうしゃ部ぶを経へて2000年ねんに全日本ぜんにほんラリーにデビュー。2010～2022年ねんまで2度どの全勝ぜんしょう王者おうじゃを含ふくめ、クラスタイトル13連覇れんぱという金字塔きんじとうを打うち立たてている^[22]^[23]。また19連勝れんしょうの全日本ぜんにほん記録きろくも樹立じゅりつした。愛車あいしゃはAE92型がたトヨタ・カローラFX-GTV^[24]。
松本まつもと尚子しょうこ: パリ=ダカール・ラリーのプレスカーやファラオラリーのアシスタンスカーでドライバーを経験けいけん後ご、1990年ねんにはドライバーとしてパリダカに出場しゅつじょう。92年ねんにはナビとして女性じょせい部門ぶもん総合そうごう優勝ゆうしょうを果はたしている。その後ご菅原すがわら義正よしまさや長谷見はせみ昌弘まさひろのナビゲーターを務つとめ、多数たすうのクラス優勝ゆうしょうに貢献こうけんした^[25]。フランスのル・マン近郊きんこうに長ながく住すんでおり、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい発生はっせい時じは当地とうちでの募金ぼきん活動かつどうを主導しゅどうした^[26]
梅本うめもとまどか: 愛知あいち県けん出身しゅっしん。SKE48出身しゅっしんの元もとアイドルで、現在げんざいはタレント・女優じょゆう。SKE48在籍ざいせき時じからモータースポーツ好すきを公言こうげんしており、F1関連かんれんのイベントやメディアに多おおく登場とうじょうする。2018年ねんにクスコジュニアラリーチームに加入かにゅうし、TGRラリーチャレンジでナビゲーターデビュー。C-1クラスチャンピオンとなった。2022年ねんにはラリージャパンでWRCデビューを果はたした。愛車あいしゃはホンダ・CB400SF^[27]。