シリア砂漠さばく

シリア砂漠さばくの地理ちり的てき位置いち

シリア砂漠さばく（シリアさばく、Syrian Desert、アラビア語ご：بادية الشام, badiyah ash sham, 別名べつめいシリア・アラビア砂漠さばく Syro-Arabian desert）はシリア、ヨルダン、イラク各国かっこくの内陸ないりく部ぶにまたがる砂漠さばく地帯ちたい。ステップと砂漠さばくの複ふく合あわした植生しょくせいの荒地あれちである。西にしはシリアのオロンテス川がわ渓谷けいこく、東ひがしはシリアからイラクへ流ながれるユーフラテス川がわ渓谷けいこくに及およぶ。北きたはシリア北部ほくぶの肥沃ひよくな草原そうげん・森林しんりんへ至いたり、南みなみはネフド砂漠さばくなどアラビア半島はんとう内陸ないりくの砂漠さばくへとつながる。

砂漠さばくの中なかにはパルミラ（タドモル）をはじめ多おおくのオアシスがあり、砂漠さばくを横切よこぎる隊商たいしょうの中継ちゅうけい地ちとなってきた。シリアの首都しゅとダマスカスも、シリア砂漠さばくのオアシス都市としである。シリア砂漠さばくの多おおくは高原こうげん地帯ちたいで、東ひがしのユーフラテス川がわに向むかってなだらかに低ひくくなっており、その中なかに多おおくのワジが谷たにを作つくる。砂漠さばくの北方ほっぽうにはアッ=ルワーク山脈さんみゃく（Jabal ar-Ruwaq）、ラシード山脈さんみゃく（Jabal Rasid）、アブ=ルジマイン山脈さんみゃく（Jabal Abu Rujmayn）、ビシュリ山脈さんみゃく（Jabal Bishri）など低ひくい山並やまなみがユーフラテスのある北東ほくとう方向ほうこうへ並行へいこうに連つらなる。特徴とくちょう的てきな地形ちけいには、シリア南部なんぶのエッドゥルーズ山地さんち（Jebel Druze）にある古ふるい火山かざんからの溶岩ようがん流りゅうが作つくった地形ちけいがある。これらの山地さんちの南方なんぽうにはハマード高原こうげんという砂漠さばく地帯ちたいがサウジ内陸ないりくへ続つづく。ホムスの東ひがし、南みなみのルワーク山脈さんみゃくと北きたのラシード山脈さんみゃくに挟はさまれた盆地ぼんちはホムス砂漠さばくと呼よばれる荒地あれちであり、その先さきの谷間たにまにパルミラのオアシスがある。

シリア砂漠さばくは遊牧民ゆうぼくみんであるベドウィン諸しょ部族ぶぞくが古ふるくから住すんでおり、多おおくの部族ぶぞくが今いまもこの地域ちいきの街まちやオアシス周辺しゅうへんに作つくられた定住ていじゅう地ちに住すむ。また伝統でんとう的てきな遊牧ゆうぼく生活せいかつを今いまも続つづける部族ぶぞくもある。ベドウィンが書かいたSafaiticと呼よばれる初期しょきのアラビア語ごの碑文ひぶんがシリア砂漠さばくの各地かくちに見みつかり、多おおくは紀元前きげんぜん1世紀せいきから4世紀せいきに遡さかのぼる。イラク戦争せんそう以後いご、シリア砂漠さばくを通とおりイラクとシリア・ヨルダンを結むすぶ道みちは、イラクから逃のがれる難民なんみんやイラクに入はいる民兵みんぺい、イラクから出入でいりする物資ぶっしや武器ぶきの密輸みつゆルートとなっており、シリア砂漠さばくに接せっするイラク西部せいぶのアンバール県けんを拠点きょてんとするスンニ派は民兵みんぺいがおさえている。