シロワニ

シロワニ
シロワニ Carcharias taurus
保全ほぜん状じょう況きょう評価ひょうか
CRITICALLY ENDANGERED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))
分類ぶんるい
界さかい : 動物界どうぶつかい Animalia 門もん : 脊索せきさく動物どうぶつ門もん Chordata 亜あ門もん : 脊椎動物せきついどうぶつ亜あ門もん Vertebrata 綱つな : 軟骨なんこつ魚ぎょ綱つな Chondrichthyes 亜あ綱つな : 板いた鰓えら亜あ綱つな Elasmobranchii 目め : ネズミザメ目め Lamniformes 科か : シロワニ科か Carchariidae 属ぞく : シロワニ属ぞく Carcharias 種たね : シロワニ C. taurus
学名がくめい
Carcharias taurus Rafinesque, 1810
シノニム
Carcharias tricuspidatus Day, 1878
英名えいめい
Grey nurse shark Sand tiger shark Spotted-ragged tooth shark
シロワニの生息せいそく域いき

シロワニ Carcharias taurus（白和しらわ邇、Sand tiger shark） は、ネズミザメ目めシロワニ科かに属ぞくするサメ。「ワニ（和わ邇）」はサメの別称べっしょう。世界中せかいじゅうの暖あたたかい海うみの沿岸えんがんに生息せいそくする大型おおがたのサメで、全長ぜんちょう3.2mに達たっする。繁殖はんしょく様式ようしきはサメの中なかでも珍めずらしい卵たまご食しょく・共食ともぐい型がた。

シロワニはミズワニが属ぞくすミズワニ科かシロワニ属ぞくとされたこともあった。 2020年ねんの研究けんきゅう結果けっかからオオワニザメ等ひとしが属ぞくすオオワニザメ科かはオオワニザメ属ぞくとシロワニ属ぞくで単たん系統けいとう群ぐんを形成けいせいせず、多た系統けいとうであることが示しめされ、シロワニはオオワニザメ科かからシロワニ属ぞくのみで構成こうせいされるシロワニ科かへ変更へんこうされた。

分布ぶんぷ・生息せいそく地ち

全ぜん世界せかいの温帯おんたい・熱帯ねったいの海うみに生息せいそく。東ひがし太平洋たいへいようからは知しられていない。日本にっぽん近海きんかいにも生息せいそく。沿岸えんがん性せい。

形態けいたい

最大さいだいで全長ぜんちょう325cm、体重たいじゅう158.8kg。最大さいだい全長ぜんちょう430cmとするものもあるが、これは未み確認かくにんの記録きろくであり、信憑しんぴょう性せいが低ひくい。 。体型たいけいは流線型りゅうせんけいで、太ふとく重量じゅうりょう感かんがある。背せ側がわの体からだ色しょくは褐色かっしょくから灰色はいいろで、腹はら側がわは白色はくしょく。幼魚ようぎょ期きの体側たいそくには不鮮明ふせんめいな薄うす色いろ斑まだらが見みられることもあるが、成魚せいぎょでは消失しょうしつする。吻はやや扁平へんぺいな円錐えんすい形がた。口くちは大おおきく、常時じょうじ半開はんびらきになっている。両りょう顎あご歯ぱはほぼ同形どうけい。歯はの形状けいじょうは牙きば状じょうで、小ちいさな副ふく咬頭を2つ備そなえる。最さい前歯まえばだけでなく、後うしろの数列すうれつも立たち上あがり、歯はがずらりと並ならんだ外見がいけんは恐おそろしい印象いんしょうを与あたえるかもしれない。2基きの背鰭せびれはほぼ同おなじ大おおきさ。尾鰭おびれは上うえ葉はが長ながく伸のびる。

生態せいたい

活動かつどうは夕方ゆうがたからで昼間ひるまは岩いわ陰かげなどでじっとしていることが多おおい。主おもな餌えさ生物せいぶつはサメやエイを含ふくむ魚類ぎょるい、甲殻こうかく類るい、頭あたま足あし類るいである。

他たのサメ同様どうよう浮うき袋ぶくろはないが、シロワニは水面すいめんで空気くうきを吸すい込こみ、浮うき袋ぶくろの代かわりに胃いに空気くうきを溜ためる。

胎生たいせい（狭義きょうぎの卵たまご胎生たいせい）。ネズミザメ目めに見みられる卵たまご食しょく型がたに分類ぶんるいされるが、シロワニの場合ばあいはその最もっとも特殊とくしゅ化かしたタイプであり、未み受精卵じゅせいらんだけでなく同おなじ子宮しきゅう内ないの他ほかの胎仔も捕食ほしょくする卵たまご食しょく・共食ともぐい型がたである。55mmで孵化ふかし、未み受精卵じゅせいらんや他たの胎仔を食たべるようになる。17cmになると機能きのう歯ぱが生はえ揃そろい、摂食せっしょくを行おこなう。サメには子宮しきゅうが2つあり、それぞれに1尾びの胎仔が生いき残のこる。そのため産さん仔こ数すうは最大さいだいで2尾び。妊娠にんしん期間きかんは9-12ヶ月かげつ、産うまれてくる子こどもの大おおきさは約やく1mである。貯精能力のうりょくもあり、交尾こうびから時間じかんがたった時点じてんで受精じゅせいすることができるため、水族館すいぞくかんなどでの飼育しいく員いんによる観察かんさつでは出産しゅっさん時期じきの予測よそくが難むずかしい。

人ひととの関かかわり

世界中せかいじゅうの海うみに生息せいそくしているが、一部いちぶの地域ちいきでは数かずが減少げんしょうしている。オーストラリア東海岸ひがしかいがん、大西おおにし洋ひろし南東なんとう部ぶの個体こたい群ぐんは絶滅ぜつめつの危機ききに瀕ひんしており、IUCNの評価ひょうかではCRITICALLY ENDANGERED（CR）とされている。

性格せいかくは見みかけによらず大人おとなしく人ひとを襲おそうことはないとされている（温厚おんこうな性格せいかくであることから、この鮫さめを「巨大きょだいな子犬こいぬ」と呼よんだ学者がくしゃもいる）。インターナショナル・シャーク・アタック・ファイルにおいては36件けんの攻撃こうげき例れいのみが報告ほうこくされている。

飼育しいく

水族館すいぞくかんにおける飼育しいくは比較的ひかくてき容易よういで、アメリカでは1970年代ねんだいから飼育しいくを試こころみる水族館すいぞくかんが存在そんざいした。現在げんざい同国どうこくではジョージア水族館すいぞくかんのサメ展示てんじ水槽すいそう等とうにて飼育しいくされている。 日本にっぽんにおいては1995年ねんにオーストラリア産さんの個体こたいをマリンワールド海うみの中道ちゅうどうが輸送ゆそうし飼育しいく展示てんじを開始かいし、その後ごいくつかの水族館すいぞくかんが南みなみアフリカ共和きょうわ国こくから輸入ゆにゅうし水族館すいぞくかん飼育しいく種しゅとして広ひろまった。

2021年ねん時点じてんで、マリンワールド海うみの中道ちゅうどう、京急けいきゅう油ゆ壺つぼマリンパーク、アクアワールド大洗おおあらい、東海大学とうかいだいがく海洋かいよう科学かがく博物館はくぶつかん、横浜よこはま八景島はっけいじまシーパラダイス、しながわ水族館すいぞくかん、登別のぼりべつマリンパークニクス、鳥羽水族館とばすいぞくかん、須磨すま海浜かいひん水すい族ぞく園えん、すみだ水族館すいぞくかんにて飼育しいく展示てんじされている。 この内うち、すみだ水族館すいぞくかんで飼育しいくされている個体こたいは小笠原おがさわらで捕獲ほかくされた個体こたいである。

飼育しいく展示てんじに比くらべ繁殖はんしょくは非常ひじょうに難むずかしく、過去かこにシロワニの繁殖はんしょくに成功せいこうした水族館すいぞくかんはオーストラリアのアンダーウォーターワールドシーライフムールーラボ、マンリーシーライフサンクチュアリー、南みなみアフリカ共和きょうわ国こくのシーワールド、ウシャカマリンワールド、クウェートのクウェートサイエンティフィックセンター、日本にっぽんのアクアワールド大洗おおあらいの6館かんのみ。

また日本にっぽん国内こくないの水族館すいぞくかんでは、繁殖はんしょくに向むけた取とり組くみとしてマリンワールド海うみの中道ちゅうどう、アクアワールド大洗おおあらい、東海大学とうかいだいがく海洋かいよう科学かがく博物館はくぶつかん、横浜よこはま八景島はっけいじまシーパラダイス、しながわ水族館すいぞくかんのシロワニ飼育しいくを行おこなう水族館すいぞくかん5館かんが積極せっきょく的てきな飼育しいく情報じょうほう共有きょうゆうを目指めざしたシロワニ繁殖はんしょく協議きょうぎ会かいが2015年ねんに設立せつりつされた。2019年ねんに登別のぼりべつマリンパークニクスが加盟かめいし6館かんで情報じょうほう共有きょうゆうや小笠原諸島おがさわらしょとうでの野生やせい個体こたい写真しゃしん識別しきべつ調査ちょうさを行おこなっている。

参考さんこう文献ぶんけん

• 仲谷なかたに一宏かずひろ『サメ: 海うみの王者おうじゃたち』（初はつ）ブックマン社しゃ、2011年ねん9月がつ1日にち。ISBN 978-4-89308-753-9。 NCID BB06880349。 

関連かんれん項目こうもく

• サメ
• 魚さかなの一覧いちらん

外部がいぶリンク

• 日本動物園水族館協会にほんどうぶつえんすいぞくかんきょうかい