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タデスミレ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
タデスミレ
長野ながのけん松本まつもと 2021ねん6がつ上旬じょうじゅん
分類ぶんるいAPG IV
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ Angiosperms
階級かいきゅうなし : 真正しんしょうそう子葉しようるい Eudicots
階級かいきゅうなし : バラうえるい Superrosids
階級かいきゅうなし : バラるい Rosids
階級かいきゅうなし : マメるい Fabids
: キントラノオ Malpighiales
: スミレ Violaceae
ぞく : スミレぞく Viola
たね : タデスミレ V. thibaudieri
学名がくめい
Viola thibaudieri Franch. et Sav. (1878)[1]
和名わみょう
タデスミレ(たですみれ[2][3]

タデスミレたですみれ学名がくめいViola thibaudieri)はスミレスミレぞく多年草たねんそう[2][3][4][5]

ゆうくきたねで、花茎かけいがり、たかさ20-40cmになる。基部きぶがくさびじょうになり、そのまま葉柄ようへいながれるのは、日本にっぽんのスミレぞくのなかでほんしゅのみで、そののようすが和名わみょう由来ゆらいとなっている[4][5]

特徴とくちょう

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地下茎ちかけいみじかく、すうほんくき叢生そうせいする。ゆうくきたねで、地上ちじょうくき緑色みどりいろ円柱えんちゅうがたでややジグザグにがり、たかさ20-40cmになる。は、花期かきには存在そんざいしない。下部かぶ茎葉けいよう鱗片りんぺんじょうになり、上部じょうぶ茎葉けいようは5ほどが互生ごせいする。ながさ7-10cm、はば1.5-2cm、披針形ひしんけいからせまたまごがたで、先端せんたんするどあたまからするど突頭、基部きぶはくさびがたとなってながさ1.5cm以下いか葉柄ようへいにつづく。えんにはひく鋸歯きょしがまばらにあり、表面ひょうめんは鮮緑色みどりいろ裏面りめんあわ緑色みどりいろで、両面りょうめんともにほとんどたくくき両側りょうがわ沿ってち、披針形ひしんけいながさ1.5-2cmになり、くしじょうけ、さきするどくとがる[2][3][4][5]

花期かきは5-6がつくき上部じょうぶ葉腋ようえきから細長ほそながはながらび、白色はくしょくまたはあわ紫色むらさきいろはなをつける。はながら途中とちゅうには狭小きょうしょうな2しょうつとがある。はなみち1.5-2cmで芳香ほうこうがある。花弁はなびらながさ12-13mm、ちょう楕円だえんがたさきはとがり、くちびるべん紫色むらさきいろほそじょうがあり、うえべんがり、がわべん基部きぶはふつうえるが、まれにくちびるべんの距はみじかく、ながさは4-6mmになり、背面はいめん縫合ほうごうせんのようなせんがある。がくへんせま披針形ひしんけいで、さきするど突頭になる。雄蕊おしべは5あり、はなばしらつつがたになり、はなばしら上部じょうぶ先端せんたん方向ほうこうにふくらみ、柱頭ちゅうとう前方ぜんぽうる。柱頭ちゅうとう突起とっきい。果実かじつたまご球形きゅうけいの蒴果で、3りょうがある。染色せんしょくたいすうは2n=20[2][3][4][5]

分布ぶんぷ生育せいいく環境かんきょう

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日本にっぽんでは長野ながのけんにのみ分布ぶんぷし、山地さんち落葉らくよう広葉樹こうようじゅりんはやしゆかり生育せいいくする[4]松本まつもと上田うえだきゅう真田さなだまち)に分布ぶんぷするとされていたが、上田うえだのものは絶滅ぜつめつした可能かのうせいたかいという。松本まつもとでは、山地さんち落葉らくよう広葉樹こうようじゅ林下りんかのほか、やや湿しめったカラマツ植林しょくりん道路どうろほうめん歩道ほどうとう生育せいいくする。近年きんねんでは、自生じせい増加ぞうかしているニホンジカによる食害しょくがいによる影響えいきょうがあるという[6]

日本にっぽん以外いがいでは、朝鮮半島ちょうせんはんとう中部ちゅうぶ隔離かくり分布ぶんぷする[4]

名前なまえ由来ゆらい

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和名わみょうタデスミレは「たですみれ」の[2][3]で、タデていることによる[4][5]牧野まきの富太郎とみたろう (1909) による命名めいめいである[7]

たね小名しょうみょうたね形容けいようthibaudieri は、「採集さいしゅうチボージェの」の意味いみ[8]

たね保全ほぜんじょうきょう評価ひょうか

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絶滅ぜつめつ危惧きぐIBるい (EN)環境省かんきょうしょうレッドリスト

(2019ねん環境省かんきょうしょう

  • 長野ながのけん(2014ねん絶滅ぜつめつ危惧きぐIAるい(CR) [9]

2020ねん2がつには、絶滅ぜつめつのおそれのある野生やせい動植物どうしょくぶつたね保存ほぞんかんする法律ほうりつ平成へいせい4ねん法律ほうりつだい75ごう)による国内こくない希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅ指定していされた。環境かんきょう大臣だいじん許可きょかけて学術がくじゅつ研究けんきゅうとう目的もくてき採取さいしゅとうをしようとする場合ばあい以外いがいは、採取さいしゅ損傷そんしょうとう禁止きんしされている。あわせて、商業しょうぎょうてき個体こたい繁殖はんしょくをさせることができる特定とくていだい一種国内希少野生動植物種に指定していされた[10]

長野ながのけんにおいては、2004ねん2がつに、長野ながのけん希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつ保護ほご条例じょうれい規定きていもとづく特別とくべつ指定してい希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつ指定していされ、県知事けんちじ許可きょかなくして採取さいしゅ損傷そんしょうとう禁止きんしされている。また、どう条例じょうれい規定きていもとづき、「タデスミレ保護ほご回復かいふく事業じぎょう計画けいかく」が策定さくていされている[6]

ギャラリー

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類似るいじたね

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関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ タデスミレ「BG Plants 和名わみょう-学名がくめいインデックス」(YList)
  2. ^ a b c d e やまけいハンディ図鑑ずかん2 やまはな増補ぞうほ改訂かいてい新版しんぱん)』p.312
  3. ^ a b c d e 『スミレハンドブック』p.44
  4. ^ a b c d e f g h 門田かどた裕一ひろいち (2016)「スミレ」『改訂かいてい新版しんぱん 日本にっぽん野生やせい植物しょくぶつ 3』p.224
  5. ^ a b c d e しん分類ぶんるい 牧野まきの日本にっぽん植物しょくぶつ図鑑ずかん』p.714
  6. ^ a b タデスミレ保護ほご回復かいふく事業じぎょう計画けいかく
  7. ^ 牧野ぼくや 1909, p. en134-136.
  8. ^ しん分類ぶんるい 牧野まきの日本にっぽん植物しょくぶつ図鑑ずかん』p.1516
  9. ^ 長野ながのけんばんレッドリスト(植物しょくぶつへん)2014ねん
  10. ^ 国内こくない希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅ一覧いちらんおよび「しゅ保存法ほぞんほう」にもとづく規制きせい環境省かんきょうしょう、2021ねん
  11. ^ コウライタデスミレ「BG Plants 和名わみょう-学名がくめいインデックス」(YList)

参考さんこう文献ぶんけん

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