希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅ

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希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅ(きしょうやせいどうしょくぶつしゅ)とは、日本にっぽん絶滅ぜつめつのおそれのある野生やせい動植物どうしょくぶつたね保存ほぞんかんする法律ほうりつしゅ保存法ほぞんほう)にもとづき指定していされる絶滅ぜつめつ危機ききにある野生やせい生物せいぶつである。

概要がいよう[編集へんしゅう]

希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅ」は絶滅ぜつめつ危惧きぐしゅ保護ほご目的もくてきに、絶滅ぜつめつのおそれのある野生やせい動植物どうしょくぶつたね保存ほぞんかんする法律ほうりつもとづきたね指定していされる。指定してい根拠こんきょ絶滅ぜつめつのおそれのある野生やせい動植物どうしょくぶつたね保存ほぞんかんする法律ほうりつだい4じょうおよだい5じょうであり、「国内こくない希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅ」、「国際こくさい希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅ」、「緊急きんきゅう指定していしゅならびに「特定とくていだい一種国内希少野生動植物種」および「特定とくていだい二種国内希少野生動植物種」に分類ぶんるいされる。これらは以下いかのように定義ていぎされている。

国内こくない希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅ
日本にっぽん生息せいそく生育せいいくする絶滅ぜつめつのおそれのある野生やせい動植物どうしょくぶつたねで、政令せいれい絶滅ぜつめつのおそれのある野生やせい動植物どうしょくぶつたね保存ほぞんかんする法律ほうりつ施行しこうれい)でさだめるもの。
国際こくさい希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅ
国際こくさいてき協力きょうりょくしてたね保存ほぞんはかることとされている絶滅ぜつめつのおそれのある野生やせい動植物どうしょくぶつたね政令せいれいさだめるもの。
緊急きんきゅう指定していしゅ
国内こくない希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅおよ国際こくさい希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅ以外いがい野生やせい動植物どうしょくぶつたねで、保存ほぞんとく緊急きんきゅうはか必要ひつようがあるとみとめられるもの。環境かんきょう大臣だいじんが3ねん以内いない期限きげん指定していする。
特定とくていだい一種国内希少野生動植物種
国内こくない希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅのうち、商業しょうぎょうてき個体こたい繁殖はんしょくをさせることができて、国際こくさいてき協力きょうりょくしてたね保存ほぞんはかることとされているものではない(つまり国際こくさい希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅではない)もの。この法律ほうりつ一部いちぶ改正かいせい平成へいせい30ねん6がつ施行しこう)により、「特定とくてい国内こくない希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅ」から「特定とくていだい一種国内希少野生動植物種」に改正かいせいされた。
特定とくていだい二種国内希少野生動植物種
国内こくない希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅのうち、販売はんばい頒布はんぷとう目的もくてきでの捕獲ほかくとうおよ譲渡じょうととうのみを規制きせいするもの。この法律ほうりつ一部いちぶ改正かいせい平成へいせい30ねん6がつ施行しこう)により創設そうせつされた。ほう改正かいせい施行しこう時点じてんでの政令せいれいでの指定していはなかったが、れい2ねん1がつ政令せいれい改正かいせいで3けん指定していされた。てき自然しぜん分布ぶんぷする昆虫こんちゅうるい魚類ぎょるい両生類りょうせいるいとう指定してい想定そうていしている。

希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅ指定していけたたね捕獲ほかく採取さいしゅ譲渡じょうとし(販売はんばい譲渡じょうとなど)が原則げんそく禁止きんしされ、それらを実施じっしする場合ばあいには環境かんきょう大臣だいじん許可きょか必要ひつようとなる。また、国内こくない希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅ指定していされたたねは「保護ほご増殖ぞうしょく事業じぎょう」の実施じっしや「生息せいそくとう保護ほご」の指定していにより、たねおよ生育せいいく生息せいそく保護ほご対策たいさくはかられる。保護ほご対策たいさくさいしては、希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅ保存ほぞん基本きほん方針ほうしん作成さくせいされ、この基本きほん方針ほうしんもとづき実施じっしされる。

特定とくていだい一種いっしゅ国内こくない希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅは、個体こたい繁殖はんしょく技術ぎじゅつ確立かくりつされたしゅであり、それら繁殖はんしょくした個体こたい流通りゅうつう可能かのうとなる。ただし、野生やせい個体こたい採集さいしゅう捕獲ほかく禁止きんしであり、販売はんばいたっても都道府県とどうふけん知事ちじなどへのとど必要ひつようとなる。

なお、環境省かんきょうしょう絶滅ぜつめつのおそれのあるしゅのリストとしてレッドリストおよレッドデータブック作成さくせいしている。これらには直接ちょくせつ根拠こんきょとなる法令ほうれいとうはないが、希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅ指定していさいにはレッドリストをもと検討けんとうしている。

国内こくない希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅ[編集へんしゅう]

以下いか国内こくない希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅは2024ねん2がつ13にち現在げんざい環境省かんきょうしょうのリスト[1]による。なお、和名わみょうについて、環境省かんきょうしょうホームページのリストではカタカナ表記ひょうきであるため、その根拠こんきょ法令ほうれいである「絶滅ぜつめつのおそれのある野生やせい動植物どうしょくぶつたね保存ほぞんかんする法律ほうりつ施行しこうれい」がひらがな表記ひょうきであるが前者ぜんしゃ出典しゅってんによる。

れいとして、環境省かんきょうしょうホームページのリストで、鳥類ちょうるいで「カモ」とされているところ、「絶滅ぜつめつのおそれのある野生やせい動植物どうしょくぶつたね保存ほぞんかんする法律ほうりつ施行しこうれい 別表べっぴょうだいいち 国内こくない希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅ」では、鳥類ちょうるいで「かも」とされている。

つぎの448しゅ亜種あしゅ変種へんしゅ)が指定していされている。

動物界どうぶつかい[編集へんしゅう]

※「和名わみょう**」は特定とくていだいしゅ国内こくない希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅ

鳥類ちょうるい[編集へんしゅう]

哺乳類ほにゅうるい[編集へんしゅう]

爬虫類はちゅうるい[編集へんしゅう]

両生類りょうせいるい[編集へんしゅう]

  • アカガエル
  • サンショウウオ
    • Hynobius abei アベサンショウウオ 平成へいせい7ねん(1995ねん指定してい
    • Hynobius abuensis アブサンショウウオ** れい4ねん(2022ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定
    • Hynobius akiensis アキサンショウウオ** れい4ねん(2022ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定
    • Hynobius amakusaensis アマクササンショウウオ 平成へいせい27ねん(2015ねん指定してい
    • Hynobius bakan ヤマグチサンショウウオ** れい4ねん(2022ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定
    • Hynobius boulengeri オオダイガハラサンショウウオ** れい4ねん(2022ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定
    • Hynobius dunni オオイタサンショウウオ** れい4ねん(2022ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定
    • Hynobius fossigenus ヒガシヒダサンショウウオ** れい4ねん(2022ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定
    • Hynobius guttatus マホロバサンショウウオ れい4ねん(2022ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定
    • Hynobius hidamontanus ハクバサンショウウオ れい4ねん(2022ねん指定してい
    • Hynobius ikioi ベッコウサンショウウオ** れい4ねん(2022ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定
    • Hynobius iwami イワミサンショウウオ** れい4ねん(2022ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定
    • Hynobius katoi アカイシサンショウウオ れい4ねん(2022ねん指定してい
    • Hynobius kuishiensis イヨシマサンショウウオ** れい4ねん(2022ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定
    • Hynobius kunibiki イズモサンショウウオ** れい4ねん(2022ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定
    • Hynobius naevius ブチサンショウウオ** れい4ねん(2022ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定
    • Hynobius nebulosus カスミサンショウウオ** れい4ねん(2022ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定
    • Hynobius okiensis オキサンショウウオ** れい4ねん(2022ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定
    • Hynobius osumiensis オオスミサンショウウオ 平成へいせい27ねん(2015ねん指定してい
    • Hynobius oyamai チクシブチサンショウウオ** れい4ねん(2022ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定
    • Hynobius sematonotos チュウゴクブチサンショウウオ** れい4ねん(2022ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定
    • Hynobius setoi サンインサンショウウオ** れい4ねん(2022ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定
    • Hynobius setouchi セトウチサンショウウオ** れい4ねん(2022ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定
    • Hynobius shinichisatoi ソボサンショウウオ 平成へいせい27ねん(2015ねん指定してい
    • Hynobius stejnegeri コガタブチサンショウウオ** れい4ねん(2022ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定
    • Hynobius tokyoensis トウキョウサンショウウオ** れい2ねん(2020ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定
    • Hynobius tosashimizuensis トサシミズサンショウウオ 平成へいせい31ねん(2019ねん指定してい
    • Hynobius tsurugiensis ツルギサンショウウオ れい4ねん(2022ねん指定してい
    • Hynobius utsunomiyaorum ヒバサンショウウオ** れい4ねん(2022ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定
    • Hynobius vandenburghi ヤマトサンショウウオ** れい4ねん(2022ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定
    • Onychodactylus kinneburi シコクハコネサンショウウオ** れい4ねん(2022ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定
    • Onychodactylus pyrrhonotus ホムラハコネサンショウウオ ** れい5ねん(2023ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定
    • Onychodactylus tsukubaensis ツクバハコネサンショウウオ 平成へいせい27ねん(2015ねん指定してい
    • Salamandrella keyserlingii キタサンショウウオ** れい4ねん(2022ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定
  • イモリ
    • Echinotriton andersoni イボイモリ 平成へいせい28ねん(2016ねん指定してい

魚類ぎょるい[編集へんしゅう]

昆虫こんちゅうるい[編集へんしゅう]

くちびるあしるい[編集へんしゅう]

二枚貝にまいがいるい[編集へんしゅう]

  • カワシンジュガイ
    • Margaritifera laevis カワシンジュガイ** れい4ねん(2022ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定
    • Margaritifera togakushiensis コガタカワシンジュガイ** れい4ねん(2022ねん指定してい 同年どうねん特定とくていだい二種国内希少野生動植物種指定

くがさん貝類かいるい[編集へんしゅう]

甲殻こうかくるい[編集へんしゅう]

植物しょくぶつかい[編集へんしゅう]

※「和名わみょう*」は特定とくていだい一種いっしゅ国内こくない希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅ

過去かこ希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅ指定していされていた生物せいぶつ[編集へんしゅう]

  • ルリカケス - 2008ねん平成へいせい20ねん8がつ14にちまで[2]
  • ダイトウノスリ - 2013ねんまで
  • オオタカ - 2017ねん9がつ20日はつかまで
  • シマハヤブサ - 環境省かんきょうしょうレッドリスト2018において絶滅ぜつめつ(EX)とされたため、2019ねん2がつ5にちまで
  • ウスアカヒゲ - 環境省かんきょうしょうレッドリスト2018において絶滅ぜつめつ(EX)とされたため、2019ねん2がつ5にちまで

国際こくさい希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅ[編集へんしゅう]

国際こくさい希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅは、国際こくさいてき商取引しょうとりひき対象たいしょうとなるたね - ワシントン条約じょうやく附属ふぞくしょIるい掲載けいさいされたしゅわたどり条約じょうやく指定していされたたねなど - から指定していされるため、そのほとんどが日本にっぽん分布ぶんぷしないしゅであるが、以下いか日本にっぽんにも分布ぶんぷあるいは繁殖はんしょくなどで利用りようするたねふくまれている。

また、クジラたね対象たいしょうとなっている。

アジアクロクマツキノワグマ別称べっしょうである。

緊急きんきゅう指定していしゅ[編集へんしゅう]

緊急きんきゅう指定していしゅには、2022ねんれい4ねん)5がつ21にちチョウセングンバイトンボが、2023ねんれい5ねん)12月26にちに、同年どうねん11がつ新種しんしゅおよびしん亜種あしゅとして記載きさいされたミナヅキギボウシセトガワギボウシの2しゅ指定していされている[3]

2021ねんれい3ねん)にはリュウジンオオムカデウスオビルリゴキブリベニエリルリゴキブリが、2017ねん平成へいせい29ねん)にはケラマトカゲモドキが、2008ねん平成へいせい20ねん)にはタカネルリクワガタ[4]が、1994ねん平成へいせい6ねん)にはワシミミズクイリオモテボタルクメジマボタル緊急きんきゅう指定していしゅ指定していされており、このうちケラマトカゲモドキ、ワシミミズク、クメジマボタル、リュウジンオオムカデ、ウスオビルリゴキブリ、ベニエリルリゴキブリが国内こくない希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅ指定していされている。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]