(Translated by https://www.hiragana.jp/)
アオウミガメ - Wikipedia コンテンツにスキップ

アオウミガメ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
アオウミガメ
アオウミガメ
アオウミガメ Chelonia mydas
保全ほぜんじょうきょう評価ひょうか[1][2][3]
ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
ワシントン条約じょうやく附属ふぞくしょI
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : 爬虫つな Reptilia
: カメ Testudines
: ウミガメ Cheloniidae
: アオウミガメ Cheloniinae
ぞく : アオウミガメぞく Chelonia
Brongniart, 1800[4]
たね : アオウミガメ C. mydas
学名がくめい
Chelonia mydas (Linnaeus, 1758)[4][5]
シノニム

Testudo mydas Linnaeus, 1758
Testudo viridis Schneider, 1783
Testudo japonica Thunberg, 1787
Testudo macropus Gmelin, 1789
Testudo chloronotus Bechstein, 1800
Caretta esculenta Merrem, 1820
Chelonia grisea Eschscholtz, 1829
Chelonia maculosa Cuvier 1829
Chelonia bicarinata Lesson, 1831
Chelonia marmorata
Duméril & Bibron 1835
Chelonia formosa Girard, 1858
Chelonia tenuis Girard, 1858
Chelonia albiventer Nardo, 1864
Chelonia agassizii Bocourt, 1868
Chelonia lata Philippi, 1887
Chelonia mydas carrinegra
Caldwell, 1962

和名わみょう
アオウミガメ[6][7][8]
英名えいめい
Green sea turtle[4]
Green turtle[3][4][5][6]

アオウミガメ青海あおみひさしChelonia mydas)は、爬虫つなカメウミガメアオウミガメぞく分類ぶんるいされるウミガメほんしゅのみでアオウミガメぞく構成こうせいする。

分布ぶんぷ[編集へんしゅう]

インド洋いんどよう大西おおにしひろし太平洋たいへいよう[6]

しき標本ひょうほん産地さんち基準きじゅん産地さんち・タイプ産地さんちしき産地さんち)はアセンションとう[4][6]だい規模きぼ産卵さんらんとしてインドネシアオーストラリアオマーンギニアビサウコスタリカコモロサウジアラビアスリナムセーシェルブラジルマレーシアミャンマー、アセンションとうガラパゴス諸島しょとうアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくフロリダしゅう確認かくにんされている[9]日本にっぽんではおも小笠原諸島おがさわらしょとう産卵さんらんし、南西諸島なんせいしょとうでも産卵さんらんする[8][6]1999ねん九州きゅうしゅう本土ほんど鹿児島かごしまけん頴娃えいまちげんみなみ九州きゅうしゅう)で産卵さんらん確認かくにんされた[10]2008ねんには愛知あいちけん豊橋とよはしおもてはま海岸かいがん片浜かたはまじゅうさん)で産卵さんらん確認かくにんされている[11]。また、2018ねん7がつ11にちには伊豆諸島いずしょとう八丈島はちじょうじまでも産卵さんらん確認かくにんされている[12][13][14][よう検証けんしょう]

しょくおこな地域ちいき産卵さんらんあいだ回遊かいゆうれいとしてアセンションとう産卵さんらんする個体こたいぐんみなみアメリカ近海きんかいしょくおこなう、小笠原諸島おがさわらしょとう産卵さんらんする個体こたいぐんみなみ日本にっぽん南西諸島なんせいしょとうしょくおこなう、など)することもある[6]

形態けいたい[編集へんしゅう]

大西洋たいせいよう個体こたいぐんかぶとちょう99 - 111.8センチメートルとウミガメ最大さいだいしゅ上陸じょうりくしたメスの計測けいそく。オスは上陸じょうりくしないため捕獲ほかく計測けいそくむずかしいとされる)[15]海域かいいきべつ内訳うちわけは、地中海ちちゅうかいかぶとちょう65.4 - 79.4センチメートル、きた太平洋たいへいようで83.2 - 85.6センチメートル、インド洋いんどようかぶとちょう87.6 - 93.6センチメートル、南太平洋みなみたいへいようで88.7センチメートル、大西洋たいせいようかぶとちょう87.7 - 105.3センチメートル[15]かぶとうえからると幅広はばひろたまごがた[7]しい甲板かんぱんは5まい[8][6][7]あばら甲板かんぱん左右さゆうに4まいずつ[8][6][7]かぶと頭部とうぶ四肢しし色彩しきさい濃緑こみどりしょくくろ[5]したえん甲板かんぱん左右さゆうに4まいずつ[7]はらかぶとしろ黄色おうしょく[7]

頭部とうぶ小型こがた[6]まるみをびる[7]。吻端はあまり突出とっしゅつしない[6][7]前額ぜんがくばん左右さゆうに1まいずつ[5][6][7]いたは4まい[7]。咬合めん鋸歯きょしじょうで、植物しょくぶつるのにてきしている[6][7]したあごおおうろこしもあごうろこばん)は左右さゆうに1まいずつ[7]前肢ぜんしつめが1ほん[7]頭部とうぶ四肢ししおおうろこ黄色きいろふちどられる[7]

たまご直径ちょっけい4.3 - 5.3センチメートルの球形きゅうけい[6]孵化ふか直後ちょくご幼体ようたいかぶとちょう5センチメートル[6]孵化ふか直後ちょくご幼体ようたいはまれに前肢ぜんしつめが2ほんある個体こたいもいる[7]甲板かんぱん50センチメートル以下いか個体こたいではあばら甲板かんぱんしい甲板かんぱん放射状ほうしゃじょう褐色かっしょくまだらはい個体こたいおお[5]

和名わみょう「アオウミガメ」や英名えいめい"Green Sea Turtle"はからだ脂肪しぼうあお (みどり) いろであることに由来ゆらいする[16][17]。これは主食しゅしょくである海藻かいそうるい色素しきそ脂肪しぼう反映はんえいされることによる[17][よう検証けんしょう]

分類ぶんるい[編集へんしゅう]

太平洋たいへいよう個体こたいぐんとくひがし太平洋たいへいよう)には個体こたいとはことなる形態けいたい個体こたいられることがあり、これを独立どくりつしゅクロウミガメC. agassiziiとするせつもある[6][7]大型おおがた標本ひょうほんすくなく輸送ゆそうむずかしい、標本ひょうほんえきひた標本ひょうほんではなく剥製はくせいにされることがおおかたちいがんでしまう、絶滅ぜつめつのおそれのある野生やせい動植物どうしょくぶつたね国際こくさい取引とりひきかんする条約じょうやく(ワシントン条約じょうやく附属ふぞくしょIに掲載けいさいされているためからだ組織そしきふくめて加盟かめいこくあいだ輸送ゆそうきびしく制限せいげんされている、などの理由りゆうからウミガメるい分類ぶんるい比較ひかく検討けんとうむずかしいという問題もんだいもある[7]一方いっぽうで1995ねん発表はっぴょうされた頭骨とうこつ測定そくてい形態けいたい比較ひかくでは、クロウミガメとされるガラパゴス諸島しょとう個体こたい差異さいがあったものの、独立どくりつしゅとして分割ぶんかつするほどの差異さいはなく、亜種あしゅとされている[7]。クロウミガメとされる、メキシコ西部せいぶ太平洋たいへいようがん採取さいしゅされた試料しりょうかくDNAおよびミトコンドリアDNA分子ぶんし系統けいとう解析かいせきでは、たねうち変異へんいにすぎないという解析かいせき結果けっかられている[7]国際こくさい自然しぜん保護ほご連合れんごう(IUCN)たね保存ほぞん委員いいんかい(SSC)のIUCN/SSC Tortoise and Freshwater Turtle Specialist Group(2017)では、クロウミガメをほんしゅシノニムとしてあつかっている[4]

以下いかではクロウミガメをほんしゅ亜種あしゅとしてあつかう。

Chelonia mydas mydas (Linnaeus, 1758) アオウミガメ
Chelonia mydas agassizii Bocourt, 1868 クロウミガメ
太平洋たいへいようおもひがし太平洋たいへいよう[7]かたぎしき産地さんちグアテマラ[4]
かぶとうえからるとのちえんくびれたハートがた[7]甲高こうだかたか[7]かぶと色彩しきさいくろく、はらかぶと色彩しきさい灰色はいいろ[7]
頭部とうぶがよりまるみをび、あごのこじょう突起とっきがより顕著けんちょ[7]四肢ししうろこ小型こがたうす[7]頭部とうぶ四肢ししおおうろこ黄色きいろふちどられない[7]

生態せいたい[編集へんしゅう]

孵化ふかあいだもない幼体ようたい

熱帯ねったいから亜熱帯あねったいにかけての海洋かいよう生息せいそくし、おも水深すいしんあさ沿岸えんがんいき生息せいそくする[6]。これはおも食物しょくもつである海草かいそう海藻かいそう生育せいいく可能かのうであることによる[6]幼体ようたい外洋がいよう表層ひょうそう浮遊ふゆうする藻類そうるいなどにかくれて生活せいかつし、かぶとちょう30センチメートルまで成長せいちょうすると沿岸えんがんいき侵入しんにゅうし、そこで生活せいかつするようになるとかんがえられている[5][6][8]水温すいおん一時いちじてきに20まで低下ていかする程度ていどであればある程度ていど低温ていおんにもたいせいがあるとかんがえられ、日本にっぽんでは冬季とうきでも伊豆半島いずはんとうおきしょくおこなっている[6]一方いっぽうアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくフロリダ半島はんとうでは1977 - 1986ねん海水温かいすいおんが8℃まで低下ていかしたとしが5かいあり、342とう衰弱すいじゃく個体こたい死亡しぼう個体こたいれいもある[8]陸上りくじょうでは左右さゆう前肢ぜんし左右さゆう後肢あとあしそろえて移動いどうするが、斜面しゃめん危険きけんかんじたとき前肢ぜんし後肢あとあし交互こうごみぎ前肢ぜんしひだり後肢あとあしひだり前肢ぜんしみぎ後肢あとあし)にうごかして移動いどうすることもある[9]

しょくせいはほぼ植物しょくぶつしょくで、アマモウミヒルモリュウキュウスガモなどの海草かいそうべるが、キクヒオドシツノマタなどの藻類そうるいべる[6]クラゲサルパ海綿かいめん動物どうぶつさかなたまごなどの動物どうぶつしつべることもある[15]日本にっぽんでは九州きゅうしゅう以北いほくでは藻類そうるい南西諸島なんせいしょとうでは海草かいそう海藻かいそうべる[15]一方いっぽう飼育しいくでは魚類ぎょるいイカなどの動物どうぶつしち配合はいごう飼料しりょうべることもおおく、おも植物しょくぶつしつべるのは遊泳ゆうえいしている獲物えもの捕食ほしょくするのがむずかしいためとかんがえられている[15]

繁殖はんしょく様式ようしき卵生らんせい産卵さんらんちかくにある海洋かいよう交尾こうびおこな[6]ねつ帯域たいいきではしゅうねん産卵さんらんするが[8]緯度いどがると産卵さんらんおも初夏しょかの3かげつ限定げんていされる[6]マレーシアでは周年しゅうねん繁殖はんしょくおもに8 - 10がつ)、ハワイ諸島しょとうでは4がつ中旬ちゅうじゅんから6がつ上旬じょうじゅん小笠原諸島おがさわらしょとうでは4がつ下旬げじゅんから8がつ中旬ちゅうじゅんおもに6がつ中旬ちゅうじゅんから7がつ中旬ちゅうじゅん)、屋久島やくしまでは5がつ中旬ちゅうじゅんから8がつ下旬げじゅん産卵さんらんする[8]夜間やかんおも砂浜すなはまにあるアダンモンパノキなどの低木ていぼくしたあなり、日本にっぽんでは5 - 8がつに1かいに80 - 150たまごすうかい小笠原おがさわらでは平均へいきん4かい)にけて[6]産卵さんらんはまず前肢ぜんし姿勢しせい安定あんていよう全身ぜんしんかくれるほどのふかくぼみ(ボディーピット、ピット)を[8][9]。そのなか後肢あとあし使つかってふかあな[6]たまごは45 - 70にち孵化ふかする[6]生後せいご20 - 25ねんせい成熟せいじゅくするとかんがえられているが、飼育しいくでは栄養えいようたか配合はいごう飼料しりょうもちいたためか生後せいご8ねん産卵さんらんおこなった個体こたいもいる[6]

人間にんげんとの関係かんけい[編集へんしゅう]

たまごふくめて食用しょくようとされることもある[6]はらかぶとはスープの原料げんりょうとされた[6]だい航海こうかい時代じだいには保存ほぞんしょくとされ、ヨーロッパにも大量たいりょう個体こたいまれた[7]

漁業ぎょぎょうによるこんたまごふくめた乱獲らんかくにより生息せいそくすう減少げんしょうしている[6]法的ほうてき捕獲ほかくたまご採取さいしゅ禁止きんしされているところもあるが、厳守げんしゅされていないこともおお[6]一方いっぽうしまなどで生活せいかつする民族みんぞくにとっては、重要じゅうよう食料しょくりょう資源しげんとなっているという問題もんだいもある[6]インドネシアバリ島ばりとうでは宗教しゅうきょう儀式ぎしきもちいるため、アラフラかいジャワかいからたまご大量たいりょう入手にゅうしゅしている[6]。マレーシアのサラワクしゅうではイスラム教徒きょうとにより1930年代ねんだいに2,000,000以上いじょうたまご採取さいしゅされたが、1960年代ねんだいには10ぶんの1まで減少げんしょうしている[18]大西洋たいせいようケイマン諸島しょとうではジャマイカ入植にゅうしょくしていたイギリスじんにより組織そしきてき乱獲らんかくおこなわれ、としあたり13,000とう捕獲ほかくが17世紀せいき末期まっきから18世紀せいきにかけておこなわれたことで産卵さんらんがほぼ壊滅かいめつしている[18]大西洋たいせいようバミューダ諸島しょとうインド洋いんどようモーリシャスレユニオン東シナ海ひがししなかいめんする香港ほんこん繁殖はんしょく消滅しょうめつし、アセンションとう小笠原諸島おがさわらしょとうでの産卵さんらんすう激減げきげんした[18]

一方いっぽう流通りゅうつう規制きせいされたことで、産卵さんらんすう増加ぞうかしたと推定すいていされる産卵さんらん存在そんざいする[18]。アセンションとうでは2006ねんに、1970年代ねんだい以降いこう産卵さんらんすうが285 %の割合わりあい増加ぞうかしているという報告ほうこくれいがある[18]。コスタリカのトルチュゲロでは1970ねん産卵さんらんすうやく16,000かいだったが、1996ねんにはやく57,000かい増加ぞうかした[18]。フロリダ半島はんとうでは1990年代ねんだいから産卵さんらんすう増加ぞうかし、あたらしい産卵さんらんえるなど増加ぞうか傾向けいこうにある[6]アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくではトロールもうにウミガメの侵入しんにゅうふせ装置そうち設置せっちすることが義務付ぎむづけられている[6]。1975ねんのワシントン条約じょうやく発効はっこうにはワシントン条約じょうやく附属ふぞくしょII、1977ねんにオーストラリアの個体こたいぐんのぞいてワシントン条約じょうやく附属ふぞくしょI(オーストラリアの個体こたいぐんはワシントン条約じょうやく附属ふぞくしょII)、1981ねんにウミガメ単位たんいぜん個体こたいぐんがワシントン条約じょうやく附属ふぞくしょIに掲載けいさいされている[2]

日本にっぽん
伊豆諸島いずしょとうでは「あおがめ」「あかがめ」「あさひべっこう」「うみがめ」「かめ」、南西諸島なんせいしょとうでは「あおがめ」「あかがめ」「あさひがめ」「ろがめ」「みじがーみー」「みじゃー」「みずがーみー」「みずがめ」などの方言ほうげんめいがある[8]南西諸島なんせいしょとう方言ほうげんで「カーミー」はカメ(ウミガメ)、「ミジガーミー」「ミジャー」は水亀いしがめで、くとみずることに由来ゆらいする[19]。「正覚坊しょうがくぼう」という別名べつめいもある[8]
食用しょくようとされることもある。小笠原諸島おがさわらしょとうではみずるためそのままる、八丈島はちじょうじま南西諸島なんせいしょとうでは汁物しるものみずるためそのままる、もしくは味噌みそく)、南西諸島なんせいしょとうではふくめたいたぶつ(チイリチャー)や刺身さしみといった調理ちょうりほうがあった[19]小笠原諸島おがさわらしょとうでは2012ねん時点じてんでも缶詰かんづめ販売はんばいされたり、食堂しょくどうなどで提供ていきょうされたりすることもある[19]薬用やくようになるともしんじられ八丈島はちじょうじま南西諸島なんせいしょとうでは血圧けつあつようくすり南西諸島なんせいしょとうでは肺病はいびょうやくあぶらきずやくとされることもあった[19]南西諸島なんせいしょとうでは剥製はくせい利用りようされることもあり、新築しんちくなどのいわぶつとして贈呈ぞうていする習慣しゅうかんもあった[19]
小笠原諸島おがさわらしょとうけいりょうあいだ諸島しょとう八重山諸島やえやましょとうでの上陸じょうりく回数かいすう産卵さんらんかず四国しこくから八重山諸島やえやましょとうにかけてのダイバーによる目撃もくげきれいとも増加ぞうか傾向けいこうにあり、個体こたいぐん回復かいふく傾向けいこうにあるとかんがえられている[5]一方いっぽうしょくいきである本州ほんしゅう四国しこく九州きゅうしゅうあさ海域かいいきでのいそによる食物しょくもつ減少げんしょう秋季しゅうきから冬季とうきおこなわれるイセエビりょうでのもうによるこん産卵さんらんである南西諸島なんせいしょとうでは開発かいはつ海洋かいよう構造こうぞうぶつ建築けんちくによるすな流出りゅうしゅつによる影響えいきょう懸念けねんされている[5]

小笠原諸島おがさわらしょとうでは1876ねん日本にっぽんりょうになってからとしあたり3,000とう以上いじょう捕獲ほかくしたと推定すいていされ、1880ねんには1,852とう捕獲ほかく、1910ねんには捕獲ほかくすうすうひゃくとうになるまで激減げきげんした[8]。1973ねん小笠原諸島おがさわらしょとう日本にっぽん返還へんかんされてからは東京とうきょう都知事とちじ許可きょかのもとにりょうおこなわれ、漁獲ぎょかくりょうとしあたり100 - 200とう前後ぜんこうだが1990ねんに60とう、1992ねんに55とう急落きゅうらくした時期じきもある[8]南西諸島なんせいしょとうでは昭和しょうわ40 - 50年代ねんだい剥製はくせい流行りゅうこうし、それにともな食用しょくよう流通りゅうつう急増きゅうぞうした[19]。1910ねんから明治めいじ政府せいふによって小笠原諸島おがさわらしょとう保護ほご増殖ぞうしょくすすめられた[7]だい世界せかい大戦たいせん小笠原諸島おがさわらしょとう日本にっぽん返還へんかんされてからは東京とうきょう小笠原おがさわらむらによって調査ちょうさ再開さいかいされ、小笠原おがさわら海洋かいようセンターによる調査ちょうさ継続けいぞく漂着ひょうちゃくした死骸しがい調査ちょうさなど市民しみん活動かつどうによる調査ちょうさつづけられている[7][20]

絶滅ぜつめつ危惧きぐIIるい (VU)環境省かんきょうしょうレッドリスト[5]

ワシントン条約じょうやく附属ふぞくしょⅠに記載きさいされているため、国際こくさい取引とりひき全面ぜんめん禁止きんしされ、ほぼどのくにでも法令ほうれいでその捕獲ほかく禁止きんしがうたわれているが、現在げんざいもなおかなりのかず世界中せかいじゅう捕獲ほかくされつづけている。とくニカラグアなどの発展はってん途上とじょうこく海浜かいひんめんしたまずしい村落そんらくでは、入手にゅうしゅ可能かのう獣肉じゅうにくはウミガメだけというところがおおく、こうした国々くにぐに政府せいふ捕獲ほかく禁止きんし表向おもてむきはこれとしながらも、うらでは国内こくない経済けいざい事情じじょうなどをかんがえると無視むしせざるをえない状況じょうきょうつづいている。

しかし現在げんざいのように建前たてまえだけでも捕獲ほかく禁止きんし認識にんしきされるようになるまで、ウミガメはとくだい洋上ようじょう離島りとうにおいて唯一ゆいいつ利用りよう可能かのう獣肉じゅうにくであり、工芸こうげい材料ざいりょうであった歴史れきしがある。バヌアツツバルクック諸島しょとうといった太平洋たいへいよう散在さんざいする島嶼とうしょから国家こっかがその典型てんけいで、現在げんざいもその習慣しゅうかんからけきれないでいる。ハワイ諸島しょとうでも食用しょくよう捕獲ほかくされ、かわされてハンドバッグ加工かこうされた。

多数たすうのウミガメが産卵さんらんおとずれるインドネシアはイスラム教徒きょうと多数たすうで、イスラムほうシャリーア)においてカメにく不浄ふじょうとされているが、ヒンドゥー教徒きょうとおおバリ島ばりとうでは、カメにく宗教しゅうきょう儀式ぎしきげるためにきょうされる食材しょくざいとして消費しょうひされている。バリ島民とうみんにはウミガメのたまごべる習慣しゅうかんがなく、カメたまご儀式ぎしきあまりものという名目めいもく国内こくないのイスラム教徒きょうと売却ばいきゃくされ、結果けっかとしてウミガメのたまご珍味ちんみとしてインドネシア国内こくないひろべられるようになった。

バリ島ばりとうはインドネシアの中心ちゅうしんであるジャワ島じゃわとうからとおはなれたちいさなしまで、同地どうちではウミガメ資源しげん枯渇こかつふせぐため、1950年代ねんだいから儀式ぎしき使つかうウミガメを輸入ゆにゅうしている。こうしたこともあって、インドネシア国内こくないにおける食用しょくようカメたまごはさほど重要じゅうようされていなかったが、結果けっかとしてこれがカメたまご流通りゅうつうにお墨付すみつきをあたえたかたちになっており、まずしい人々ひとびと海浜かいひん勝手かってかえしてカメたまご採集さいしゅうし、悪徳あくとく商人しょうにんらがそうして違法いほう採集さいしゅうしたカメたまご市場いちば大量たいりょうながすようになった。僻地へきちのちっぽけなしまで、宗教しゅうきょう儀式ぎしきさいころされるカメなどごくわずかであり、資源しげん枯渇こかつなどまねくことはないとかんがえられていたが、それにかこつけてウミガメ資源しげん蕩尽とうじんされているのが実態じったいであり、近年きんねんではこの宗教しゅうきょう儀式ぎしきがウミガメ資源しげん持続じぞく世界一せかいいち悪影響あくえいきょうあたえていると説明せつめいされるまでにいたっている。

こうした島嶼とうしょかぎらず、中国ちゅうごく大陸たいりくにおいてもカメは消費しょうひされており、ことに古来こらいより「かめまんねん」とその長寿ちょうじゅたたえた中国ちゅうごくでは、その霊力れいりょく体内たいない意味いみもあってウミガメをふくめたカメが珍味ちんみとして賞味しょうみされ、なかでもほんしゅはそのにく美味びみなこともあって珍重ちんちょうされた。

現在げんざい捕獲ほかく禁止きんし思想しそう名実めいじつともにわたっている先進せんしんこくにおいても、ウミガメは船乗ふなのりが船上せんじょう唯一ゆいいつ補給ほきゅう可能かのう保存ほぞんしょくではない獣肉じゅうにくであったため、だい航海こうかい時代じだいからさかんに捕獲ほかくされ食用しょくようにされた。ウミガメにあふれていたカリブ海かりぶかいでは、はやくも19世紀せいき初頭しょとう個体こたいぐん絶滅ぜつめつはじまっている[21]。またとくにウミガメのしょく習慣しゅうかんがある太平洋たいへいよう離島りとうおおくを自国じこく植民しょくみん地下ちかにおいたイギリスフランスにもその習慣しゅうかん輸入ゆにゅうされ、『不思議ふしぎくにのアリス』にもえがかれたようにウミガメのスープがちょう高級こうきゅう料理りょうりとしてもてはやされた。

ウミガメ全般ぜんぱん共通きょうつうする問題もんだいとして、捕獲ほかく禁止きんしがそれなりにまもられている国々くにぐにであっても、漁網ぎょもうへのこんなどによる意図いとしないころせすうおおく、政府せいふ保護ほご団体だんたいからされる解決かいけつさくが、いずれも漁業ぎょぎょうしゃたいして手間てま負担ふたんいるものであるためなかなか賛同さんどうられず、遅々ちちとしてすすんでいないのが現状げんじょうである。このほかビニールなどゴミのあやましょくなどによっても生息せいそくすう減少げんしょうしている。この問題もんだい背景はいけいについては「漂流ひょうりゅう漂着ひょうちゃくごみ」も参照さんしょう

ワシントン条約じょうやく締結ていけつされる以前いぜんから、西にしインド諸島しょとうのケイマンタートル・ファームなどの養殖ようしょく業者ぎょうしゃほんたね養殖ようしょくじょうかこっていた。最盛さいせいには出荷しゅっかつアオウミガメを常時じょうじやく100,000個体こたいかかえていたのだが、条約じょうやく締結ていけつにより市場いちば閉鎖へいさされ、かなりのかず業者ぎょうしゃ破産はさんまれた。現在げんざい個体こたいすう大幅おおはばらして常時じょうじやく11,000個体こたいとし、目的もくてき食用しょくようから観光かんこうへとえたうえで運営うんえいされている。

日本にっぽんでも小笠原諸島おがさわらしょとう父島ちちじまおよび母島ははじま沖縄おきなわなどで食用しょくよう目的もくてきのウミガメりょうみとめられている[22]。なお、両島りょうしまとも産卵さんらん漁獲ぎょかく禁止きんしで、小笠原諸島おがさわらしょとうではとしに135とう沖縄おきなわではとしに205とう捕獲ほかく制限せいげんもうけ、捕獲ほかくする個体こたいについては小笠原諸島おがさわらしょとう体長たいちょう75cm以上いじょうかぎ[23]沖縄おきなわでははらかぶとちょう30cmから60cmに限定げんていしている[24]2018ねんには、翌年よくねん予定よていされていた明仁あきひとからとくじんへの皇位こうい継承けいしょうともなおこなわれる大嘗祭だいじょうさいかめぼく使用しようするため、小笠原おがさわらむら協力きょうりょくて2018ねんはる捕獲ほかくされたアオウミガメ8とうぶん甲羅こうら確保かくほしたことが話題わだいになった[25]近年きんねん人工じんこう孵化ふかややガメの放流ほうりゅうおこなわれており、生息せいそくすう安定あんていしている。

海草かいそう食害しょくがい[編集へんしゅう]

日本にっぽん八重山諸島やえやましょとうでは保護ほごと、天敵てんてき捕食ほしょくしゃ)であるサメ人間にんげん駆除くじょされた影響えいきょう個体こたいすうえたアオウミガメが希少きしょうしゅウミショウブふくめた海草かいそう食害しょくがいしており、環境省かんきょうしょう将来しょうらいてき個体こたいすう調整ちょうせい検討けんとうを2022ねん2がつ策定さくてい生態せいたいけい回復かいふく計画けいかく原案げんあんんだ[26]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ Appendices I, II and III<https://cites.org/eng>(download 22/01/2020)
  2. ^ a b UNEP (2020). Chelonia mydas. The Species+ Website. Nairobi, Kenya. Compiled by UNEP-WCMC, Cambridge, UK. Available at: www.speciesplus.net. (download 22/01/2020)
  3. ^ a b Seminoff, J.A. (Southwest Fisheries Science Center, U.S.) 2004. Chelonia mydas. The IUCN Red List of Threatened Species 2004: e.T4615A11037468. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2004.RLTS.T4615A11037468.en. Downloaded on 22 January 2020.
  4. ^ a b c d e f g Turtle Taxonomy Working Group [Rhodin, A.G.J., Iverson, J.B., Bour, R. Fritz, U., Georges, A., Shaffer, H.B., and van Dijk, P.P.]. 2017. Turtles of the World: Annotated Checklist and Atlas of Taxonomy, Synonymy, Distribution, and Conservation Status (8th Ed.). In: Rhodin, A.G.J., Iverson, J.B., van Dijk, P.P., Saumure, R.A., Buhlmann, K.A., Pritchard, P.C.H., and Mittermeier, R.A. (Eds.). Conservation Biology of Freshwater Turtles and Tortoises: A Compilation Project of the IUCN/SSC Tortoise and Freshwater Turtle Specialist Group. Chelonian Research Monographs 7:1-292. https://doi.org/10.3854/crm.7.checklist.atlas.v8.2017. (Downloaded on 22 January 2020.)
  5. ^ a b c d e f g h i 亀崎かめざき直樹なおき「アオウミガメ」『レッドデータブック2014 -日本にっぽん絶滅ぜつめつのおそれのある野生やせい動物どうぶつ-3 爬虫類はちゅうるい両生類りょうせいるい』(環境省かんきょうしょう自然しぜん環境かんきょうきょく野生やせい生物せいぶつ希少きしょうしゅ保全ほぜん推進すいしんしつへん株式会社かぶしきがいしゃぎょうせい2014ねん)28-29ぺーじ
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah 亀崎かめざき直樹なおき「アオウミガメ」『動物どうぶつ世界せかい遺産いさん レッド・データ・アニマルズ6 アフリカ』(小原おはら秀雄ひでおうらほん昌紀まさき太田おおた英利ひでとし松井まつい正文まさふみ編著へんちょ講談社こうだんしゃ、2000ねん)228-230ぺーじ
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac 亀崎かめざき直樹なおきだい1しょう 進化しんか 分類ぶんるい系統けいとう」『ウミガメの自然しぜん』(講談社こうだんしゃ、2012ねん)11-34ぺーじ
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m 菅沼すがぬま弘行ひろゆき「アオウミガメ」『日本にっぽん希少きしょう野生やせい水生すいせい生物せいぶつかんする基礎きそ資料しりょうi』(水産庁すいさんちょう、1994ねん)469-478ぺーじ
  9. ^ a b c 松沢まつざわけいはただい5しょう 繁殖はんしょく生態せいたい 交尾こうび産卵さんらん」『ウミガメの自然しぜん』(講談社こうだんしゃ、2012ねん)115-140ぺーじ
  10. ^ 岡田おかだしげる太田おおた英利ひでとし「アオウミガメ」『鹿児島かごしまけん絶滅ぜつめつのおそれのある野生やせい動植物どうしょくぶつ -鹿児島かごしまけんレッドデータブック動物どうぶつへん-』(財団ざいだん法人ほうじん鹿児島かごしまけん環境かんきょう技術ぎじゅつ協会きょうかい、2003ねん、)85ぺーじISBN 4-9901588-0-6
  11. ^ “アオウミガメ産卵さんらん本州ほんしゅうはつ 愛知あいち海岸かいがん温暖おんだん影響えいきょうか”. 朝日新聞あさひしんぶん. (2008ねん10がつ21にち). http://www.asahi.com/eco/NGY200810210012.html 2019ねん2がつ13にち閲覧えつらん [よう出典しゅってん科学かがく]
  12. ^ アオウミガメの産卵さんらん”. 八丈島はちじょうじまスズミ 今日きょううみ (2018ねん7がつ11にち). 2019ねん2がつ13にち閲覧えつらん[出典しゅってん無効むこう][よう出典しゅってん科学かがく]
  13. ^ 八丈島はちじょうじま ウミガメ産卵さんらん”. 八丈島はちじょうじま Ocean Boulevard (2018ねん7がつ11にち). 2019ねん2がつ13にち閲覧えつらん[出典しゅってん無効むこう][よう出典しゅってん科学かがく]
  14. ^ 東京とうきょう八丈はちじょう支庁しちょう [@hachijoshicho] (2018ねん7がつ12にち). "平成へいせい30ねん7がつ11にち(水)すい、ヤケンヶはま海水浴かいすいよくじょうでウミガメの産卵さんらん確認かくにんされました。". X(きゅうTwitter)より2019ねん2がつ13にち閲覧えつらん [出典しゅってん無効むこう][よう出典しゅってん科学かがく]
  15. ^ a b c d e 石原いしはらたかし生活せいかつ - 成長せいちょう生活せいかつ場所ばしょ」『ウミガメの自然しぜん』(亀崎かめざき直樹なおきへん東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱんかい、2012ねん)57-83ぺーじ
  16. ^ うみもの図鑑ずかん アオウミガメ”. 名古屋なごやこう水族館すいぞくかん. 2019ねん2がつ13にち閲覧えつらん
  17. ^ a b アオウミガメとは”. 小笠原おがさわら海洋かいようセンター. 2019ねん2がつ13にち閲覧えつらん
  18. ^ a b c d e f 松沢まつざわけいすすむ亀崎かめざき直樹なおきだい9しょう 保全ほぜん 絶滅ぜつめつ危惧きぐしゅまもる」『ウミガメの自然しぜん』(講談社こうだんしゃ、2012ねん)227-254ぺーじ
  19. ^ a b c d e f 藤井ふじい弘章ひろあきだい10しょう 民俗みんぞく ヒトとウミガメの関係かんけい」『ウミガメの自然しぜん』(講談社こうだんしゃ、2012ねん)255-279ぺーじ
  20. ^ 菅沼すがぬま弘行ひろゆき世界せかい遺産いさん小笠原おがさわら 海洋かいよう生物せいぶつ観点かんてんからの歴史れきし平成へいせい23ねん9がつ20日はつか
  21. ^ http://www.ne.jp/asahi/inlet/jomonjin/2006turtle.html [リンク]
  22. ^ アオウミガメ - 東京とうきょうとうしょ農林のうりん水産すいさん総合そうごうセンター”. www.ifarc.metro.tokyo.lg.jp. 2020ねん4がつ8にち閲覧えつらん
  23. ^ 結果けっかるのは30ねん小笠原諸島おがさわらしょとう父島ちちじまおこなうウミガメ保全ほぜん活動かつどう伊藤忠商事いとうちゅうしょうじ) @gendai_biz”. 現代げんだいビジネス. 2020ねん4がつ8にち閲覧えつらん
  24. ^ 沖縄おきなわかい漁業ぎょぎょう調整ちょうせい委員いいんかい、「沖縄おきなわかい漁業ぎょぎょう調整ちょうせい委員いいんかい指示しじ29だい3ごう平成へいせい29ねん6がつ30にち
  25. ^ うらな儀式ぎしきのカメ甲羅こうら確保かくほ宮内庁くないちょう大嘗祭だいじょうさい準備じゅんび”. 読売新聞よみうりしんぶんオンライン (2018ねん11月1にち). 2019ねん4がつ1にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2019ねん4がつ17にち閲覧えつらん
  26. ^ 希少きしょうなウミショウブ消失しょうしつ危機きき アオウミガメ急増きゅうぞう食害しょくがい読売新聞よみうりしんぶん夕刊ゆうかん2022ねん7がつ15にち8めん同日どうじつ閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]