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絶滅ぜつめつのおそれのある野生やせい動植物どうしょくぶつたね国際こくさい取引とりひきかんする条約じょうやく

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CITESから転送てんそう
絶滅ぜつめつのおそれのある野生やせい動植物どうしょくぶつたね国際こくさい取引とりひきかんする条約じょうやく
通称つうしょう略称りゃくしょう ワシントン条約じょうやく
CITES
署名しょめい 1973ねん3がつ3にち
署名しょめい場所ばしょ ワシントンD.C.
発効はっこう 1975ねん7がつ1にち
寄託きたくしゃ スイス連邦れんぽう政府せいふ
文献ぶんけん情報じょうほう 昭和しょうわ55ねん8がつ23にち官報かんぽう号外ごうがいだい55ごう条約じょうやくだい25ごう
言語げんご 英語えいごフランス語ふらんすごスペイン
おも内容ないよう 希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつ国際こくさいてき取引とりひき規制きせいする
関連かんれん条約じょうやく 生物せいぶつ多様たようせい条約じょうやくラムサール条約じょうやく
条文じょうぶんリンク 1 (PDF) 2 (PDF) - 外務省がいむしょう
ウィキソース原文げんぶん
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絶滅ぜつめつのおそれのある野生やせい動植物どうしょくぶつたね国際こくさい取引とりひきかんする条約じょうやく(ぜつめつのおそれのあるやせいどうしょくぶつのしゅのこくさいとりひきにかんするじょうやく、えい: Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora)は、希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつ国際こくさいてき取引とりひき規制きせいする条約じょうやくである。

条約じょうやく採択さいたくされた都市とし名称めいしょうをとって、ワシントン条約じょうやくえい: Washington Convention)、または英文えいぶん表記ひょうき頭文字かしらもじをとってCITES(サイテス[注釈ちゅうしゃく 1])ともばれる[1]法令ほうれい番号ばんごう昭和しょうわ55ねん条約じょうやくだい25ごう

概要がいよう[編集へんしゅう]

野生やせい動植物どうしょくぶつ国際こくさい取引とりひき乱獲らんかくまねき、たね存続そんぞくおびやかされることがないよう、取引とりひき規制きせいはか条約じょうやくである。輸出ゆしゅつこく輸入ゆにゅうこく協力きょうりょくし、絶滅ぜつめつあやぶまれる野生やせい動植物どうしょくぶつ国際こくさいてき取引とりひき規制きせいすることにより、これらの動植物どうしょくぶつ保護ほごはかる(国内こくないでの移動いどうかんして、制限せいげんもうけていない)。絶滅ぜつめつのおそれのある動植物どうしょくぶつ野生やせいしゅを、希少きしょうせいおうじて3ランクに分類ぶんるい、これらを条約じょうやく附属ふぞくしょI、IIおよびIIIにけてリストアップし、合計ごうけいやく30,000しゅ動物どうぶつ取引とりひき制限せいげん対象たいしょうとしている。

絶滅ぜつめつおそれのある野生やせい動植物どうしょくぶつは、英語えいご呼称こしょうで「レッドデータアニマルズ」とばれることもあるが、ワシントン条約じょうやく附属ふぞくしょリストに登録とうろくされている生物せいぶつしゅは、国際こくさい団体だんたい原産げんさんこくによって、いわゆる「レッドデータブック」に登録とうろくされているたねかならずしも一致いっちするわけではない。

これは、この条約じょうやく自体じたいレッドリスト作成さくせい公表こうひょうしている国際こくさい自然しぜん保護ほご連合れんごう (IUCN) とは直接的ちょくせつてき関係かんけいがなく、あくまでも経済けいざい活動かつどうとしての国際こくさい取引とりひきによって、たね存続そんぞくおびやかされる生物せいぶつたね保全ほぜん目的もくてきとするものであるためであり、たね絶滅ぜつめつ危惧きぐされる生物せいぶつのうち、経済けいざい生物せいぶつとして国際こくさい取引とりひきされる生物せいぶつえらばれているためである。

そのため、いかに絶滅ぜつめつ危惧きぐされていようとも、経済けいざいてき国際こくさい取引とりひき対象たいしょうとなりない生物せいぶつはこの条約じょうやく対象たいしょうとはならない。また、条約じょうやくにより国際こくさい取引とりひき規制きせいされるのは動植物どうしょくぶつしゅ生体せいたいだけではなく、死体したい剥製はくせい毛皮けがわほねきばかくなど生体せいたい一部いちぶ、およびそれらの製品せいひん対象たいしょうとなる。

経緯けいい[編集へんしゅう]

1972ねん国連こくれん人間にんげん環境かんきょう会議かいぎにおいて、「特定とくていたね野生やせい動植物どうしょくぶつ輸出ゆしゅつ輸入ゆにゅうおよ輸送ゆそうかんする条約じょうやくあん作成さくせいし、採択さいたくするために、適当てきとう政府せいふまた政府せいふ組織そしき主催しゅさいによる会議かいぎ出来できるだけすみやかに招集しょうしゅうすること」が勧告かんこくされた。これをけて、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく連邦れんぽう政府せいふおよび国際こくさい自然しぜん保護ほご連合れんごう (IUCN) が中心ちゅうしんとなって野生やせい動植物どうしょくぶつ国際こくさい取引とりひき規制きせいのための条約じょうやく作成さくせい作業さぎょうすすめた。

1973ねん3月3にちアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくワシントンD.C.採択さいたく締結ていけつこくが10カ国かこくになった1975ねん7がつ1にち発効はっこう。2023ねん3がつ現在げんざい締約ていやくこくは184のくに地域ちいき[2]日本にっぽん1980ねん11月4にち締約ていやくこくとなった[3]

附属ふぞくしょ[編集へんしゅう]

附属ふぞくしょI
絶滅ぜつめつのおそれのあるしゅ取引とりひきにより影響えいきょうけるたねかかげられる。そのため附属ふぞくしょIにかかげられたたね商業しょうぎょう目的もくてき国際こくさい取引とりひき制限せいげんされる。輸出入ゆしゅつにゅうする場合ばあいは、各国かっこく政府せいふ機関きかん日本にっぽん場合ばあい経済けいざい産業さんぎょうしょう)の輸出ゆしゅつ許可きょかしょ輸入ゆにゅう許可きょかしょ必要ひつようである。おも学術がくじゅつ研究けんきゅう目的もくてきしゅとして動物どうぶつえん大学だいがくなどでの展示てんじ研究けんきゅう繁殖はんしょく)やそれらの材料ざいりょう使つかった加工かこうみの製品せいひん附属ふぞくしょIに掲載けいさいされた木材もくざい使用しようした楽器がっき家具かぐなど)の商業しょうぎょう取引とりひきかんして輸出入ゆしゅつにゅう許可きょかしょ交付こうふされる。やく1,050しゅ
附属ふぞくしょII
絶滅ぜつめつのおそれのあるしゅではないが、そのたねやそのたね由来ゆらい材料ざいりょう違法いほう手段しゅだん捕獲ほかく採取さいしゅ取引とりひきおこなわれるのを規制きせいするためにかかげられる。そのため附属ふぞくしょIIにかかげられたたねしょう取引とりひきさいには、輸出ゆしゅつこく輸出ゆしゅつ許可きょかしょ(その取引とりひきぶつ違法いほう入手にゅうしゅされたものではなく、その個体こたい適法てきほう捕獲ほかく伐採ばっさいされたものであることをみとめるもの)が必要ひつようとなる。これらを使用しようした加工かこうひんなどは申請しんせい不要ふようであったが、2016ねん改正かいせい(2017ねん1がつ2にち発効はっこう)において、規制きせいとなる動植物どうしょくぶつそのものだけでなく、それらを加工かこうとうして一部いちぶでも使用しようしていれば対象たいしょうとなること、対象たいしょうたね一部いちぶでもふくまれていれば、新品しんぴん中古ちゅうこかかわらず輸出入ゆしゅつにゅうさい手続てつづきが必要ひつようなこと、製品せいひん状態じょうたい輸入ゆにゅうしたものを再度さいど海外かいがい輸出ゆしゅつする場合ばあい規制きせい対象たいしょうとなり、輸出入ゆしゅつにゅうさい手続てつづきが必要ひつようなことも明記めいきされた[4][5]やく34,600しゅ
附属ふぞくしょIII
世界せかいてきには絶滅ぜつめつのおそれがすくないが、その地域ちいきない絶滅ぜつめつのおそれがあるしゅかかげられる。おも商業しょうぎょう目的もくてきのための国際こくさい取引とりひき制限せいげん協力きょうりょくもとめるものである。附属ふぞくしょIIIにかかげられた場合ばあい輸出ゆしゅつこく輸出ゆしゅつ許可きょかしょまたは原産地げんさんち証明しょうめいしょ附属ふぞくしょIIIの協力きょうりょくもとめたくに以外いがいである証明しょうめいとう必要ひつようである。やく220しゅ

罰則ばっそく[編集へんしゅう]

条約じょうやくにより規定きていされる生物せいぶつ国際こくさい取引とりひき規制きせい担保たんぽするため、かく加盟かめいこく独自どくじ条約じょうやく運用うんようのためのほう整備せいびおこなっている。日本にっぽんでは外国がいこく為替かわせおよ外国がいこく貿易ぼうえきほうがこれにあたる。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは、輸入ゆにゅう許可きょかしょ産地さんち証明しょうめいしょ取得しゅとくせずに輸入ゆにゅうした場合ばあいアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく司法省しほうしょうから罰金ばっきんされる。

なお条約じょうやく違反いはん行為こういかんしては、後述こうじゅつ締約ていやくこく会議かいぎした常設じょうせつ委員いいんかいもうけられており、どう委員いいんかい締約ていやくこく会合かいごうにおいて採択さいたくされたしょ決議けつぎそくし、条約じょうやく違反いはんこくたいする貿易ぼうえき制裁せいさい締約ていやくこく政府せいふ勧告かんこくする権限けんげんゆうしている。どう委員いいんかい貿易ぼうえき制裁せいさい勧告かんこく措置そちおこなわれた場合ばあい条約じょうやく違反いはんとされただい多数たすう国家こっかは、どう委員いいんかい勧告かんこくけて是正ぜせい措置そちこうじており、環境かんきょう条約じょうやく履行りこう問題もんだいたいする、ひとつの解決かいけつさく提示ていじしているものと主張しゅちょうされている[6]

締約ていやくこく会議かいぎ[編集へんしゅう]

だい11じょうにより、締約ていやくこく会議かいぎは2ねんに1かい開催かいさいされることになっているが、実際じっさいには3ねんあいだがあいたこともなんかある。1992ねんだい8かい締約ていやくこく会議かいぎ日本にっぽんおこなわれた。

2010ねん3月13にちから25にちにかけてカタール開催かいさいされただい15かい締約ていやくこく会議かいぎにおけるタイセイヨウクロマグロ禁輸きんゆあん否決ひけつは、日本にっぽんおおきくほうじられた[7]

2019ねん5月23にちからスリランカ開催かいさいされる条約じょうやく締約ていやくこく会議かいぎけ、ワシントン条約じょうやく規制きせいされる象牙ぞうげめぐり、みが不十分ふじゅうぶんだとして、日本にっぽん欧州おうしゅう連合れんごう(EU)を名指なざししたうえで、すべてのくに国内こくない取引とりひき原則げんそく禁止きんしもとめる議案ぎあんアフリカ諸国しょこく8カ国かこくおよシリアから共同きょうどう提出ていしゅつされた[8]が、提案ていあんこく以外いがいEUチリ米国べいこく日本にっぽん南部なんぶアフリカ諸国しょこくカンボジアひとし多数たすうくにから決議けつぎあん反対はんたいする意見いけん相次あいつぎ、全会ぜんかい一致いっち否決ひけつされた[9]一方いっぽうで、アフリカゾウ生息せいそく増加ぞうかしている南部なんぶアフリカ諸国しょこくからは象牙ぞうげ取引とりひき再開さいかいもとめる議案ぎあん[10]提出ていしゅつされたが、これは投票とうひょう反対はんたいこく多数たすうにより否決ひけつされた[11]

開催かいさいねん開催かいさいこく一覧いちらん[編集へんしゅう]

開催かいさいかい 開催かいさいねん 開催かいさいこく 開催かいさいかい 開催かいさいねん 開催かいさいこく 開催かいさいかい 開催かいさいねん 開催かいさいこく
だい1かい 1976ねん スイスの旗 スイス だい8かい 1992ねん 日本の旗 日本にっぽん だい15かい 2010ねん カタールの旗 カタール
だい2かい 1979ねん コスタリカの旗 コスタリカ だい9かい 1994ねん アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく だい16かい 2013ねん タイ王国の旗 タイ
だい3かい 1981ねん インドの旗 インド だい10かい 1997ねん ジンバブエの旗 ジンバブエ だい17かい 2016ねん 南アフリカ共和国の旗 みなみアフリカ共和きょうわこく
だい4かい 1983ねん ボツワナの旗 ボツワナ だい11かい 2000ねん  ケニア だい18かい 2019ねん スイスの旗 スイス
だい5かい 1985ねん アルゼンチンの旗 アルゼンチン だい12かい 2002ねん  チリ
だい6かい 1987ねん カナダの旗 カナダ だい13かい 2004ねん タイ王国の旗 タイ
だい7かい 1989ねん スイスの旗 スイス だい14かい 2007ねん オランダの旗 オランダ

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ サイテスは日本にっぽんでの慣用かんようみである。英語えいごでの一般いっぱんてき発音はつおんは /ˈsʌɪtiːz/ でサイティーズにちかい。参考さんこう: Lexico

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ R. シフマン「ケニアの野生やせい動物どうぶつまもれ リチャード・リーキーにく」、『日経にっけいサイエンス』2017ねん4がつごう日経にっけいサイエンスしゃ、 83ぺーじ
  2. ^ CITES: List of Contracting Parties(2017ねん3がつ14にち閲覧えつらん
  3. ^ 1980ねん昭和しょうわ55ねん)8がつ23にち外務省がいむしょう告示こくじだい298ごう絶滅ぜつめつのおそれのある野生やせい動植物どうしょくぶつたね国際こくさい取引とりひきかんする条約じょうやく日本にっぽんこくによる受諾じゅだくかんするけん
  4. ^ ワシントン条約じょうやく附属ふぞくしょにローズウッドなどが追加ついかされます。(経済けいざい産業さんぎょうしょう - 日本にっぽんオフィス家具かぐ協会きょうかい
  5. ^ ワシントン条約じょうやく対象たいしょう貨物かもつ輸出入ゆしゅつにゅうかんするFAQえふえーきゅー - 経済けいざい産業さんぎょうしょう
  6. ^ Rosalind Reeve, Policing International Trade in Endangered Species: The CITES Treaty and Compliance (London: Earthcan, 2002)
  7. ^ 友清ともきよ あきら, 協力きょうりょく/プレスラボ (2010ねん3がつ31にち). “経済けいざい時事じじ News&Analysis【だい162かい水産すいさん市場いちばの「ドーハの悲劇ひげき」はこれから?禁輸きんゆ否決ひけつでもマグロ騒動そうどうわらない理由りゆう”. ダイヤモンド・オンライン. ダイヤモンド社だいやもんどしゃ. 2010ねん4がつ4にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2013ねん5がつ16にち閲覧えつらん
  8. ^ IMPLEMENTING ASPECTS OF RESOLUTION CONF. 10.10 (REV. COP17) ON THE CLOSURE OF DOMESTIC IVORY MARKETS”. CITES事務じむきょく (2019ねん3がつ21にち). 2019ねん6がつ12にち閲覧えつらん
  9. ^ Eighteenth meeting of the Conference of the Parties Geneva (Switzerland), 17 - 28 August 2019 Summary record of the ninth session for committee II 21 August 2019: 14h15 - 17h05”. CITES Secritariat;ワシントン条約じょうやく事務じむきょく. 2019ねん9がつ21にち閲覧えつらん
  10. ^ CONSIDERATION OF PROPOSALS FOR AMENDMENT OF APPENDICES I AND II”. CITES事務じむきょく. 2019ねん6がつ13にち閲覧えつらん
  11. ^ Eighteenth meeting of the Conference of the Parties Geneva (Switzerland), 17-28 August 2019 Summary record of the eleventh session of Committee I 22 August 2019: 14h00 - 17h10”. CITES Secritariat;ワイントン条約じょうやく事務じむきょく. 2019ねん9がつ21にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]