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ころせ処分しょぶん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

ころせ処分しょぶん(さつしょぶん、さっしょぶん)とは、人間にんげん利害りがいもとづいて動物どうぶつころすことを言葉ことばである。安楽あんらくとも。人間にんげん危害きがいおよぼすおそれのある動物どうぶつや、不要ふようとなった動物どうぶつ対象たいしょうになる[1]競走きょうそうでは不良ふりょうともばれる。

いぬねことうりにおける処分しょぶん

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イギリス

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イギリスでは、英国えいこく動物どうぶつ虐待ぎゃくたい防止ぼうし協会きょうかい(Royal Society for the Prevention of Cruelty to Animals:RSPCA)、バタシー・ドッグズ&キャッツ・ホーム(Battersea Dogs and Cats Home)、ドッグズ・トラスト(Dogs Trust)、キャッツ・プロテクション(Cats Protection)などが動物どうぶつ保護ほご施設しせつ運営うんえいし、ぬし斡旋あっせんとうおこなっている[2]。イギリスの動物どうぶつ保護ほご団体だんたい対象たいしょうとした2010ねん調査ちょうさでは、動物どうぶつ保護ほご施設しせつにおけるけんねことう年間ねんかん受入うけいれ頭数とうすうは、いぬが9 - 13まんとうねこが13 - 16まんとうであり、そのうち施設しせつころせ処分しょぶんされる割合わりあいは、いぬが10.4%(1 - 1.3まんとう)、ねこが 13.2%(1.7 - 2まんとう)と推定すいていされている[2]

野良犬のらいぬ(stray dogs)については、基本きほんてきには自治体じちたいが7日間にちかん留置りゅうちし、そのあいだ所有しょゆうしゃつからなければ、あらたなぬしへの譲渡じょうと民間みんかん動物どうぶつ保護ほご施設しせつとうへの譲渡じょうところせ処分しょぶんのいずれかとなる[2]。2012年度ねんどぜんえい自治体じちたいあつかった野良犬のらいぬかずは、年間ねんかんやく11まん2せんとうで、その8%にあたるやく9せんとう自治体じちたいによりころせ処分しょぶんとなっている[2]

イギリスでは、動物どうぶつ保護ほご施設しせつおおくで、年間ねんかんとおして施設しせつきがない状態じょうたいとなっており、入居にゅうきょ頭数とうすう抑制よくせいおおきな課題かだいとなっている[2]。また、イギリスでは、若者わかものあいだ獰猛どうもういぬうことが流行りゅうこうしたが、管理かんりしきれずにてられてしまうこともおおく、攻撃こうげきてき野良犬のらいぬ増加ぞうか一因いちいんとなっている[2]とく闘犬とうけんしゅスタッフォードシャー・ブルテリア(スタッフィ)など攻撃こうげきてきいぬは、あらたなぬしつけることがむずかしく、施設しせつでは個室こしつ管理かんりする必要ひつようもあるため、動物どうぶつ保護ほご施設しせつおおきな負担ふたんとなっている[2]

ドイツでは、国内こくないの500 かしょ以上いじょう動物どうぶつ保護ほご施設しせつティアハイムTierheim)がぬし斡旋あっせんとうおこなっている[2]ドイツ動物どうぶつ保護ほご連盟れんめいはティアハイムの運営うんえい指針ししん基本きほんてきころせ処分しょぶんしてはならないとさだめているが、なお見込みこみのない病気びょうきやけがでくるしんでいる動物どうぶつについては動物どうぶつ福祉ふくし観点かんてんからしし医師いしによる安楽あんらくおこなわれている[2]

他方たほう、ドイツ連邦れんぽう狩猟しゅりょうほうは、狩猟しゅりょう動物どうぶつ保護ほごする目的もくてき野良犬のらいぬねこ駆除くじょみとめており、その頭数とうすう年間ねんかんねこ40まんとういぬ6まん5せんとうたっすると指摘してきする動物どうぶつ保護ほご団体だんたいもある[2]

アメリカ

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アメリカでは、自治体じちたい運営うんえいする公共こうきょう動物どうぶつ保護ほご施設しせつのほか、全米ぜんべい人道じんどう協会きょうかいHumane Society of the United States: HSUS)、米国べいこく動物どうぶつ虐待ぎゃくたい防止ぼうし協会きょうかい(The American Society for the Prevention of Cruelty to Animals: ASPCA)、ベストフレンズ・アニマルソサエティ(Best Friends Animal Society)、アレイ・キャット・アライズ(Alley Cat Allies)などの民間みんかん動物どうぶつ保護ほご団体だんたい施設しせつがある[2]全米ぜんべい人道じんどう協会きょうかい(HSUS)の統計とうけいでは、1970年代ねんだいには1200 - 2000まんとうものいぬねこころせ処分しょぶんとされていた[2]全米ぜんべい人道じんどう協会きょうかい(HSUS)の2012 - 2013ねん推計すいけいでは全米ぜんべい動物どうぶつ保護ほご施設しせつ入居にゅうきょする年間ねんかん600 - 800まんとういぬねこやく4わり相当そうとうする年間ねんかんやく270まんとういぬねこころせ処分しょぶんになっているとみられている[2]

日本にっぽん

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日本にっぽんでは動物どうぶつ愛護あいごおよ管理かんりかんする法律ほうりつ動物どうぶつ愛護あいごほう)で都道府県とどうふけんとうは、いぬまたねこ引取ひきとりをその所有しょゆうしゃからもとめられたときは、これをらなければならないとしている(だい35じょう1こう)。ただし、いぬねことう販売はんばい業者ぎょうしゃから引取ひきとりをもとめられた場合ばあいそのだい7じょうだい4こう規定きてい趣旨しゅしらして引取ひきとりをもとめる相当そうとう事由じゆうがないとみとめられる場合ばあいとして環境省かんきょうしょうれいさだめる場合ばあいには、その引取ひきとりを拒否きょひすることができる(だい35じょう1こう)。

2012ねん平成へいせい24ねん)には動物どうぶつ愛護あいごほう一部いちぶ改正かいせいされ、都道府県とどうふけん知事ちじとうったいぬねこぬし斡旋あっせんとうつとめるとする規定きていだい35じょうだい4こう)がまれた[2]

都道府県とどうふけんとうったいぬねこころせ処分しょぶん頭数とうすう1974ねん昭和しょうわ49年度ねんど)には122まんとういぬ:115.9まんとうねこ:6.3まんとう)であった[2]処分しょぶん頭数とうすう減少げんしょうしているものの、日本にっぽん国内こくない保健所ほけんじょとうによる2022ねんれい4年度ねんど)のころせ処分しょぶんすうは、それぞれ1まんとうって、いぬやく2.4せんとうねこやく9.5せんとうとなっている(れい4年度ねんど環境省かんきょうしょう統計とうけい[3])。近年きんねんころせ処分しょぶんりつ低下ていかについては、自治体じちたいによる譲渡じょうと取組とりくみ推進すいしん愛護あいご団体だんたいによる保護ほご譲渡じょうと活動かつどうおおきく発展はってんしてきたことの効果こうかおおきいとかんがえられる[4]

2014ねん平成へいせい26ねん6月3にち日本にっぽん環境省かんきょうしょうは、ころせ処分しょぶんされているいぬねこについて、将来しょうらいてきにゼロにするための行動こうどう計画けいかく発表はっぴょうした[5]

しかしながら、ころせ処分しょぶんらすことを優先ゆうせんした結果けっか譲渡じょうと適性てきせいのない個体こたい譲渡じょうとによる咬傷こうしょう事故じこ発生はっせいや、譲渡じょうとさき団体だんたいにおける過密かみつ飼育しいくとう動物どうぶつ健康けんこうおよ安全あんぜん確保かくほ観点かんてんからの問題もんだいしょうじているとの指摘してきけ、2020ねんれい2ねん4がつ30にち環境省かんきょうしょう自然しぜん環境かんきょうきょく総務そうむ動物どうぶつ愛護あいご管理かんりしつから発表はっぴょうされた「動物どうぶつ愛護あいごおよ管理かんりかんする施策しさく総合そうごうてき推進すいしんするための基本きほんてき指針ししん改正かいせいについて」より、今後こんごはいわゆる「ころせ処分しょぶんゼロ」ではなく、治癒ちゆ見込みこみがない病気びょうき攻撃こうげきせいがあるとう譲渡じょうとすることが適切てきせつではない場合ばあいのぞいたいぬねこについてはぬしへの返還へんかんおよ適正てきせい譲渡じょうと促進そくしん積極せっきょくてきすすめる方向ほうこうくこと、野犬やけんおおとう地域ちいき実情じつじょうわせてすすめていったうえで、ころせ処分しょぶんすう減少げんしょうさせていく方向ほうこう対応たいおうしていく方針ほうしんとなった[6]

捕獲ほかくいぬのみ)・り・収容しゅうよう

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かく自治体じちたい保健所ほけんじょ、もしくはかく都道府県とどうふけん政令せいれい指定してい都市とし管理かんり運営うんえいする動物どうぶつ愛護あいご施設しせつ自治体じちたいにより名称めいしょうことなる)がおこなう。公共こうきょう施設しせつであるため、従事じゅうじしゃはその自治体じちたい職員しょくいん(=公務員こうむいん)であり、現場げんばでの捕獲ほかくとう従事じゅうじする現業げんぎょう職員しょくいんのほか、動物どうぶつ健康けんこう管理かんり従事じゅうじするしし医師いしにより構成こうせいされる。

2013ねん9がつ動物どうぶつ愛護あいごほう改正かいせいにより、相当そうとう理由りゆうがないかぎ自治体じちたいりを拒否きょひできるようになったため、かく自治体じちたいぬしあらたなぬしさがすよう指導しどうしている[7]自治体じちたいりを拒否きょひできる項目こうもく以下いかのとおり。

  1. いぬねことう販売はんばい業者ぎょうしゃから引取ひきとりをもとめられた場合ばあい
  2. 引取ひきとりをかえもとめられた場合ばあい
  3. 繁殖はんしょく制限せいげんのための指導しどうしたがわず子犬こいぬ子猫こねこ引取ひきとりをもとめられた場合ばあい
  4. いぬねこ老齢ろうれい疾病しっぺい理由りゆうとして引取ひきとりをもとめられた場合ばあい
  5. 飼養しよう困難こんなんであるとはみとめられない理由りゆうにより引取ひきとりをもとめられた場合ばあい
  6. 譲渡じょうとさきつけるための取組とりくみおこなっていない場合ばあい

となっている。

なお、2013ねん平成へいせい25ねん)の改正かいせいほう施行しこうには以下いか問題もんだいしょうじていることが指摘してきされている。

  • 所有しょゆうしゃ不明ふめいねこ引取ひきとりについて、拒否きょひする運用うんようをしている自治体じちたいおおいこと。
    とく野良猫のらねこについては、自活じかつできないもの(離乳りにゅうまえ子猫こねことう)をのぞいて一切いっさい引取ひきとりを拒否きょひするケースがえている。このような実態じったいについて、所有しょゆうしゃ不明ふめいねこによる継続けいぞくてき生活せいかつ環境かんきょう被害ひがいけている住民じゅうみんとうからは、自治体じちたい所有しょゆうしゃ不明ふめいねこらないのは明確めいかく法律ほうりつ違反いはんであるとの指摘してき多数たすうせられている。[4]
  • ころせ処分しょぶんがなくなることを目指めざして譲渡じょうと促進そくしんつとめるむね規定きてい追加ついかされたことから、自治体じちたいったいぬねこ譲渡じょうと活動かつどう促進そくしんされた。
    近年きんねん急速きゅうそく譲渡じょうと促進そくしんころせ処分しょぶんりつ低下ていか)の要因よういんとしては、一般いっぱんぬしくわえ、動物どうぶつ愛護あいご団体だんたいへの団体だんたい譲渡じょうと寄与きよするところもおおきい。
    その一方いっぽうで、自治体じちたいによっては、ころせ処分しょぶんがなくなることをさい優先ゆうせんとした結果けっか譲渡じょうと適性てきせいのない個体こたい譲渡じょうとしたことによる咬傷こうしょう事故じこ発生はっせいや、団体だんたい譲渡じょうとした動物どうぶつ愛護あいご団体だんたいのシェルターが過密かみつ飼育しいくとなっており動物どうぶつ健康けんこう安全あんぜん確保かくほ観点かんてんから問題もんだいしょうじているのではないかとの指摘してきがある。[4]
  • 動物どうぶつ保護ほご譲渡じょうと活動かつどうは、海外かいがい(イギリス、ドイツ)では、民間みんかん団体だんたい寄付きふきんとう自己じこ資金しきんもちいて実施じっし。これらのくにでは、野良犬のらいぬ野良猫のらねこがほとんど存在そんざいせず、シェルターに収容しゅうようされる動物どうぶつおおくはぬし所有しょゆう放棄ほうきしたものがおおいという。
    一方いっぽう日本にっぽん場合ばあいは、北関東きたかんとう西日本にしにほん中心ちゅうしん野良犬のらいぬ収容しゅうようおおく、全国ぜんこくてき野良猫のらねこかずおおいことから、保護ほご収容しゅうようした個体こたいのうち人間にんげんとの社会しゃかいができておらず、馴化じゅんか困難こんなん飼養しようてきさないものもおおい。[4]
  • 日本にっぽん国内こくないにおいても、大都市だいとしにおいては、過去かこ捕獲ほかく努力どりょく適正てきせい飼養しよう徹底てってい結果けっか野良犬のらいぬがいなくなり、野良猫のらねこについてもおおくの愛護あいご団体だんたい協力きょうりょくられるため地域ちいきねことして管理かんりできるケースがえている。
    他方たほう西日本にしにほんとう地域ちいきでは、温暖おんだんえさ豊富ほうふなため、おおくの野良犬のらいぬ野良猫のらねこ生息せいそく繁殖はんしょくしやすく、依然いぜんとして自治体じちたい収容しゅうようすうおおい。このように自治体じちたいかれた状況じょうきょうおおきくことなるなかで、大都市だいとし同様どうよう動物どうぶつ愛護あいご管理かんり手法しゅほうについて、それ以外いがい地域ちいき要求ようきゅうすることは困難こんなん状況じょうきょうである。 [4]
  • 自治体じちたいは、動物どうぶつ引取ひきとり・譲渡じょうととう活動かつどうほかに、多岐たきにわたる業務ぎょうむになっている(動物どうぶつ愛護あいご管理かんり推進すいしん計画けいかく策定さくてい推進すいしん一般いっぱんぬしたいする適正てきせい飼養しよう普及ふきゅう啓発けいはつ指導しどうあたま飼育しいくしゃたいする指導しどう勧告かんこく命令めいれい動物どうぶつ取扱とりあつかいぎょう登録とうろく制度せいど運用うんよう特定とくてい動物どうぶつ許可きょかせい運用うんよう動物どうぶつ虐待ぎゃくたい事案じあんへの対応たいおうとう。)。また、動物どうぶつ保護ほご管理かんりほう制定せいてい当時とうじから、公衆こうしゅう衛生えいせい確保かくほなど動物どうぶつ管理かんり動物どうぶつによる生命せいめい身体しんたい財産ざいさん侵害しんがい防止ぼうし前回ぜんかい改正かいせいからは動物どうぶつによる生活せいかつ環境かんきょう被害ひがい防止ぼうし)の観点かんてんからの施策しさく行政ぎょうせい機関きかんとしての基本きほんであり、保護ほご法益ほうえきかんがみても優先ゆうせん事項じこうとすべきである。
    しかしながら、近年きんねんでは、動物どうぶつ愛護あいご優先ゆうせんする結果けっか動物どうぶつ管理かんりかか施策しさく十分じゅうぶんこうじることがむずかしい環境かんきょうかれる自治体じちたいもあるのではないかとの指摘してきもある。 そうしたなかで、ほうにおいて動物どうぶつ愛護あいご管理かんり行政ぎょうせい自治じち事務じむとされた趣旨しゅしらし、引取ひきとりや譲渡じょうとのありかたふくめ、動物どうぶつ愛護あいご行政ぎょうせいのありかたについては、かく自治体じちたい実情じつじょうおうじ、地域ちいきざす住民じゅうみん愛護あいご団体だんたいのニーズやリソースとうまえて、かぎられた人的じんてき物的ぶってき行政ぎょうせいリソース(人員じんいん予算よさん)の効率こうりつてき効果こうかてき活用かつよう方法ほうほうについて、かく自治体じちたいごとに検討けんとうすることが必要ひつようとなっている。[4]

なお、2022年度ねんどれい4年度ねんど)の環境省かんきょうしょう統計とうけい資料しりょうによると、られたすべてのいぬねこうちぬしからのりはいぬやく11.5%(2,576とう)、ねこやく31.4%(9,559とう)である[3]

収容しゅうよう日数にっすう

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狂犬病きょうけんびょう予防よぼうほうによりさだめられた公示こうじ期間きかんは2日間にちかんであるが、収容しゅうよう期間きかん法令ほうれいによってさだめられておらず、実際じっさい収容しゅうよう期間きかんかく自治体じちたい条例じょうれいもとづいた日数にっすうであり[よう出典しゅってん]かく自治体じちたいにより様々さまざまである。そのあいだ捕獲ほかく収容しゅうようした地域ちいき動物どうぶつ種類しゅるい品種ひんしゅ性別せいべつ毛色けいろ首輪くびわ有無うむおよびその特徴とくちょうといった内容ないようを、収容しゅうようされた地域ちいき市役所しやくしょ掲示板けいじばん公示こうじすることでぬし名乗なのるのをつことになる。

処分しょぶん

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動物どうぶつ愛護あいごほうだい35じょう1こうおよだい3こうだい36じょうだい2こうによってさだめられたいぬおよびねこの引取ひきとならびに負傷ふしょう動物どうぶつとう収容しゅうようかんする措置そちだい4でさだめられている「処分しょぶん」とは、「所有しょゆうしゃへの返還へんかん飼養しよう希望きぼうするものへの譲渡じょうとおよころせ処分しょぶんとする。」とあり[8]ころせ処分しょぶん以外いがいぬしへの返還へんかん里親さとおや募集ぼしゅう業務ぎょうむによる希望きぼうしゃへの譲渡じょうとふくめた「愛護あいご施設しせつからすべての事例じれい」をしている。

なお、れい4年度ねんど環境省かんきょうしょう統計とうけい資料しりょうによると、返還へんかん譲渡じょうとりついぬやく87.8%(19,658とう)、ねこやく67.3%(20,471とう)、ころせ処分しょぶんりついぬやく10.9%(2,434とう)、ねこやく31.2%(9,472とう)となっている。また、ころせ処分しょぶんされたようよわい個体こたいおも離乳りにゅうしていない個体こたい)は、いぬは449とういぬころせ処分しょぶんやく18.4%にたいして、ねこ場合ばあいは5,878とうねこころせ処分しょぶんやく62.1%をめる。ただし、成熟せいじゅく個体こたいようよわい個体こたい区別くべつしていない自治体じちたいにあっては、すべて成熟せいじゅく個体こたいとして計上けいじょうしていることに留意りゅういする[3]

また、ころせ処分しょぶん分類ぶんるいべつでは、

  • 譲渡じょうとすることが適切てきせつではない(治癒ちゆ見込みこみがない病気びょうき攻撃こうげきせいがあるひとし)と判断はんだんされた動物どうぶつころせ処分しょぶん いぬ:1,701とううちようよわい個体こたい199とう) ねこ:3,855とううちようよわい個体こたい1,363とう
  • 譲渡じょうとすることが適切てきせつではない(治癒ちゆ見込みこみがない病気びょうき攻撃こうげきせいがあるひとし)と判断はんだんされた動物どうぶつ以外いがいころせ処分しょぶん譲渡じょうとさき確保かくほ適切てきせつ飼養しよう管理かんり困難こんなん) いぬ:281とううちようよわい個体こたい103とう) ねこ:2,857とううちようよわい個体こたい2,186とう
  • 引取ひきと死亡しぼう いぬ:452とううちようよわい個体こたい147とう) ねこ:2,760とううちようよわい個体こたい2,329とう

となっている。譲渡じょうとすることが適切てきせつではないいぬ以外いがいころせ処分しょぶんされたのは、ころせ処分しょぶんされたいぬ内約ないやく30.1%、ねこ場合ばあいやく59.3%であった。とくいぬは、愛玩あいがん動物どうぶつまた伴侶はんりょ動物どうぶつとして家庭かてい飼養しようできる動物どうぶつころせ処分しょぶんが4わり以下いかとなっている。

日本にっぽんにおいては、ころせ処分しょぶん方法ほうほう政令せいれい[9]さだめられており、対象たいしょうとなる動物どうぶつ動物どうぶつ愛護あいごほうだい44じょう4こうさだめられた家庭かてい動物どうぶつ展示てんじ動物どうぶつ実験じっけん動物どうぶつ産業さんぎょう動物どうぶつ対象たいしょう[10]であり、すなわちひと所有しょゆうする動物どうぶつ哺乳類ほにゅうるい鳥類ちょうるいまた爬虫類はちゅうるいぞくするものが対象たいしょうとなる[11]

政令せいれい動物どうぶつころせ処分しょぶん方法ほうほうかんする指針ししん[9]で、「化学かがくてきまた物理ぶつりてき方法ほうほうにより、できるかぎころせ処分しょぶん動物どうぶつ苦痛くつうあたえない方法ほうほうもちいて当該とうがい動物どうぶつ意識いしき喪失そうしつ状態じょうたいにし、しん機能きのうまたはい機能きのう可逆かぎゃくてき停止ていしさせる方法ほうほうによるほか、社会しゃかいてき容認ようにんされている通常つうじょう方法ほうほうによること。」とさだめている。また「苦痛くつう」とは省令しょうれい[12]で「痛覚つうかく刺激しげきによるいたならびに中枢ちゅうすう興奮こうふんとうによる苦悩くのう恐怖きょうふ不安ふあん およびうつの状態じょうたいとう態様たいようをいう。」(同省どうしょうれい だい2(4))とさだめられている(具体ぐたいれいについては後述こうじゅつする)。

こう濃度のうど二酸化炭素にさんかたんそ哺乳類ほにゅうるい呼吸こきゅう中枢ちゅうすう麻痺まひさせるので、しょう中型ちゅうがた動物どうぶつ場合ばあいには二酸化炭素にさんかたんそによる昏睡こんすい自発じはつ呼吸こきゅう停止ていしによる窒息ちっそく処分しょぶんするという方法ほうほう一般いっぱんてきであり、最終さいしゅうてき死体したい焼却しょうきゃくされる。定期ていきてき慰霊いれいさいなどを実施じっししているところもあるが、食肉しょくにく生産せいさんとうのためにおこなう「とさつ屠殺とさつ)」とはことなり、人間にんげん社会しゃかいもっと身近みぢか動物どうぶつであるいぬねこぬしがわ一方いっぽうてき都合つごうによってころさなければならないというてんにおいて、しし医師いしふくめて処分しょぶんたずさわる職員しょくいん精神せいしんてき苦痛くつう非常ひじょうおおきい。

ろういぬほとんどのねこもらつからないことがおおく、里親さとおや募集ぼしゅうをされることすらなくころせ処分しょぶんされるケースもある。このような不幸ふこう事例じれいすこしでもらすべく、かく自治体じちたいはさまざまな動物どうぶつ愛護あいごけた啓蒙けいもう活動かつどうおこなっている[13]

2019ねん(平成へいせい31ねん)4がつ5にち東京とうきょう定例ていれい会見かいけんより、ころせ処分しょぶんいぬねこどもに0になったことを発表はっぴょうした。ただし、衰弱すいじゃくはげしかったり、攻撃こうげきせいつよかったりじゅうあつし病気びょうきなどにかかったりして飼育しいく困難こんなんのため、安楽あんらくさせたものや施設しせつったのちんだものはふくまれておらず、2018年度ねんどはおよそ350ひきいた。東京とうきょうつづき、ぬしにペットをみとるまでうことの大切たいせつさをうったえていくほか、動物どうぶつ譲渡じょうとをスムーズにおこなえる仕組しくみづくりを強化きょうかし、このかずらしていくかんがえを表明ひょうめいした[14][15][16]。その、2022年度ねんどれい4年度ねんど)のころせ処分しょぶんすういぬで11とうねこで28とうとなっており、どちらも死亡しぼう譲渡じょうとすることが適切てきせつではない(治癒ちゆ見込みこみがない病気びょうき攻撃こうげきせいがあるひとし)と判断はんだんされた動物どうぶつのぞいたころせ処分しょぶんは0である[3]

また、競走きょうそう競走きょうそう調教ちょうきょうさい事故じこなどで重度じゅうど骨折こっせつなどの故障こしょう発症はっしょうした場合ばあい、「不良ふりょう (競馬けいば)」と発表はっぴょうされることがある。これは診察しんさつしたしし医師いしが「治療ちりょうおこなっても回復かいふく見込みこ[17]」と診断しんだんして安楽あんらく診断しんだんくだした、あるいは処置しょちったことを意味いみし、人間にんげん医療いりょうもちいられる用語ようごとしての「不良ふりょう」とは意味合いみあいがことなる。ウマるいなどの大型おおがた動物どうぶつ場合ばあいは、麻酔ますいやくしん停止ていしやくあるいはすじ弛緩しかんやく併用へいようされる。

方法ほうほう
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伝染でんせんびょう感染かんせん拡大かくだい防止ぼうしにおける処分しょぶん

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日本にっぽん

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日本にっぽんにおいては、家畜かちく伝染でんせんびょう予防よぼうほうにより指定していされている法定ほうてい家畜かちく伝染でんせんびょう罹患りかんした動物どうぶつについては、感染かんせん拡大かくだい防止ぼうし経済けいざいてき悪影響あくえいきょうなどの副次的ふくじてき被害ひがい防止ぼうしという観点かんてんから、行政ぎょうせい手続てつづきによるすみやかな摘発てきはつ淘汰とうた、すなわちころせ処分しょぶん実施じっしされることになっている。

この場合ばあい処分しょぶん方法ほうほうについては疾病しっぺい動物どうぶつにもよるが、基本きほんてきには安楽あんらく方法ほうほう選択せんたくされる。たとえばうま伝染でんせんせい貧血ひんけつつてひん)に感染かんせんしたウマるい場合ばあいには、感染かんせん確認かくにんされると、都道府県とどうふけん知事ちじによって「ころせ処分しょぶん命令めいれいしょ」がされ、これにもとづいてすみやかに安楽あんらく処置しょちられ、死骸しがいはその焼却しょうきゃく処分しょぶんされることになる。 うま伝染でんせんせい貧血ひんけつでは、ウイルスの性質せいしつてきにワクチンの製造せいぞう事実じじつじょう不可能ふかのううえ、ひとたび感染かんせん拡大かくだいすれば、うま畜産ちくさん競馬けいばやこれに関連かんれんする各種かくしゅ産業さんぎょうだい打撃だげきあたえてしまうという理由りゆうから、罹患りかんした患畜に治療ちりょう選択せんたくされることはく、いかなる歴史れきしてき名馬めいばであろうとも、感染かんせん間違まちがいないと確認かくにんされたうま[18]すべ対象たいしょうとなる[19]

また、口蹄疫こうていえきこう病原びょうげんせいとりインフルエンザなどでは、患畜の屠殺とさつころせ処分しょぶんほか死体したい焼却しょうきゃくうめ却なども義務付ぎむづけており、さらには摘発てきはつ淘汰とうた対象たいしょう感染かんせん動物どうぶつおな施設しせつ建物たてもの飼養しようされていたすべての同種どうしゅ動物どうぶつおよぶ。すなわちこれら疾病しっぺい感染かんせん発生はっせい確認かくにんされることは事実じじつじょう当該とうがい施設しせつにおける同種どうしゅ動物どうぶつ全滅ぜんめつ意味いみする。

ちなみに、この命令めいれいによる患畜の屠殺とさつころせ処分しょぶんについては、上述じょうじゅつしたよう観点かんてんから行政ぎょうせい命令めいれい強力きょうりょく強制きょうせいりょくつ。また、当該とうがい動物どうぶつ所有しょゆうしゃ様々さまざま事情じじょう対処たいしょ不能ふのうであったり、あるいは命令めいれい抵抗ていこうした場合ばあいには、行政ぎょうせいだい執行しっこうくに地方自治体ちほうじちたいによりしし医師いし家畜かちく防疫ぼうえきいん)が派遣はけんされころせ処分しょぶん実施じっしするほか、状況じょうきょう次第しだいでは警察けいさつ機動きどうたい投入とうにゅうされたり、さらには災害さいがい派遣はけんとして自衛隊じえいたい投入とうにゅうされ、死体したい焼却しょうきゃくうめ却などの作業さぎょう実施じっしすることもある。

デンマーク

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2020ねんデンマーク農場のうじょう飼育しいくされていたミンクから新型しんがたコロナウイルス変異へんいかぶ検出けんしゅつされた。デンマーク政府せいふは、ひとへの感染かんせん拡大かくだい阻止そしするために、国内こくない飼育しいくするすべてのミンク1500まんひきころせ処分しょぶん。デンマークは世界せかい最大さいだいのミンクの飼育しいく輸出ゆしゅつこくであり、ころせ処分しょぶん規模きぼおおきなものとなった[20]

香港ほんこん

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2022ねん1がつ18にち香港ほんこん当局とうきょくでは輸入ゆにゅうハムスターから人間にんげんへの新型しんがたコロナウイルスのオミクロンかぶ感染かんせんうたがいが確認かくにんされたことから2000ひきころせ処分しょぶんするようめいじた[よう出典しゅってん]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ ころせ処分しょぶん(さつしょぶん)の意味いみ - goo国語こくご辞書じしょ”. goo辞書じしょ. 2021ねん1がつ19にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 遠藤えんどう 真弘まさひろ (2014-09-16). しょ外国がいこくにおけるいぬねこころせ処分しょぶんをめぐる状況じょうきょう―イギリス、ドイツ、アメリカ―” (日本語にほんご) (PDF). 調査ちょうさ情報じょうほう (国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん 調査ちょうさおよ立法りっぽう考査こうさきょく農林のうりん環境かんきょう) 830: 1-10. doi:10.11501/8748098. NAID 40020188774. https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_8748098_po_0830.pdf?contentNo=1 2017ねん2がつ1にち閲覧えつらん. 
  3. ^ a b c d 環境省かんきょうしょう自然しぜん環境かんきょうきょく総務そうむ動物どうぶつ愛護あいご管理かんりしつ (2023ねん). “いぬねこ引取ひきとおよ負傷ふしょう動物どうぶつ収容しゅうようじょうきょう”. 2024ねん1がつ27にち閲覧えつらん
  4. ^ a b c d e f 動物どうぶつ愛護あいご部会ぶかい, 環境省かんきょうしょう (26 March 2018). 資料しりょう3-1 動物どうぶつ愛護あいご管理かんりをめぐるおも課題かだいへの対応たいおうについて(論点ろんてん整理せいりあん) ) (PDF). 中央ちゅうおう環境かんきょう審議しんぎかい動物どうぶつ愛護あいご部会ぶかいだい48かい. pp. 12–13. 2018ねん11月5にち閲覧えつらん
  5. ^ 環境省かんきょうしょうひと動物どうぶつしあわせにらす社会しゃかい実現じつげんプロジェクト」 (3 June 2014). ひと動物どうぶつしあわせにらす社会しゃかい実現じつげんプロジェクトアクションプラン (PDF) (Report). 2019ねん4がつ6にち閲覧えつらん
  6. ^ 自然しぜん環境かんきょうきょく総務そうむ動物どうぶつ愛護あいご管理かんりしつ, 環境省かんきょうしょう (30 April 2020). 動物どうぶつ愛護あいごおよ管理かんりかんする施策しさく総合そうごうてき推進すいしんするための基本きほんてき指針ししん」の改正かいせい告示こくじ)について (PDF) (Report). 2024ねん1がつ27にち閲覧えつらん
  7. ^ “ペット:改正かいせいほう自治体じちたい拒否きょひ可能かのういのちまもれるか”. 毎日新聞まいにちしんぶん. (2013ねん9がつ23にち). http://mainichi.jp/select/news/20130923k0000e040104000c.html 2013ねん9がつ25にち閲覧えつらん 
  8. ^ 環境省かんきょうしょう (26 May 2022). いぬおよねこ引取ひきとならびに負傷ふしょう動物どうぶつとう収容しゅうようかんする措置そちについて (PDF) (Report). 2024ねん1がつ27にち閲覧えつらん
  9. ^ a b 環境省かんきょうしょう (12 November 2007). 動物どうぶつころせ処分しょぶん方法ほうほうかんする指針ししん 平成へいせい7ねん7がつ4にち 総理府そうりふ告示こくじだい 40 ごう (PDF) (Report). 2019ねん4がつ6にち閲覧えつらん
  10. ^ 動物どうぶつ適正てきせい取扱とりあつかいにかんする基準きじゅんとう”. 動物どうぶつ愛護あいご管理かんりほう. 環境省かんきょうしょう自然しぜん環境かんきょうきょく. 2013ねん9がつ12にち閲覧えつらん
  11. ^ 動物どうぶつころせ処分しょぶん方法ほうほうかんする指針ししんでは、対象たいしょう動物どうぶつ以外いがい動物どうぶつころせ処分しょぶんする場合ばあいにおいてもどう政令せいれい趣旨しゅし配慮はいりょする努力どりょく義務ぎむさだめている(どう政令せいれい補則ほそく2)。」
  12. ^ 環境省かんきょうしょう (12 November 2007). 動物どうぶつころせ処分しょぶん方法ほうほうかんする指針ししん (PDF) (Report). 環境省かんきょうしょう告示こくじだい105ごう.
  13. ^ また民間みんかんでのうごきも活発かっぱつはじまってきており、なかでも岩手いわてけん滝沢たきざわペットのさとというだい規模きぼ保護ほご施設しせつ開設かいせつ東京とうきょうオリンピックまでにころせ処分しょぶんゼロをめざすゼロジャパンプロジェクトという全国ぜんこく保護ほご団体だんたい企業きぎょうきこんだ運動うんどう開始かいしされている。 動物どうぶつ愛護あいご読本とくほんいぬうってステキです-か?」
  14. ^ HP> 都政とせい情報じょうほう > 報道ほうどう発表はっぴょう > これまでの報道ほうどう発表はっぴょう > 報道ほうどう発表はっぴょう平成へいせい31ねん(2019ねん) > 4がつ >動物どうぶつころせ処分しょぶんゼロを達成たっせいしました』(プレスリリース)東京とうきょう福祉ふくし保健ほけんきょく、2019ねん4がつ5にちhttps://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/04/05/03.html2019ねん4がつ6にち閲覧えつらん 
  15. ^ 小池こいけ都知事とちじ公約こうやく 「ペットころせ処分しょぶんゼロ」達成たっせい (インターネット番組ばんぐみ). TOKYO MX. 5 April 2019.
  16. ^ いぬねこ都内とないころせ処分しょぶんゼロに” (日本語にほんご). 産経新聞さんけいしんぶん. (2019ねん4がつ5にち). https://www.sankei.com/article/20190405-S7PUTJ6XL5J5PD75IEWFJUXYEA/ 2019ねん4がつ6にち閲覧えつらん 
  17. ^ ほそい4ほんあしに500kg前後ぜんこう体重たいじゅうがかかるうま歩行ほこう不可能ふかのうほど重傷じゅうしょううと、ほとんどが治療ちりょう闘病とうびょう課程かてい蹄葉えん発症はっしょうして衰弱すいじゃくしたり、いたみにえかねてあばれてさらに状態じょうたい悪化あっかさせるなどで、安楽あんらく余儀よぎなくされる状況じょうきょういたる。実際じっさいれいとしてテンポイントサクラスターオーバーバロ有名ゆうめい
  18. ^ 現在げんざいもちいられている寒天かんてんゲルない沈降ちんこう試験しけんによる判定はんていほう確立かくりつされる以前いぜんは、症状しょうじょうから感染かんせんうたがわれる状態じょうたいうますべ摘発てきはつ淘汰とうた対象たいしょうとされていた。
  19. ^ れい:日本にほんダービーうまクモハタ
  20. ^ ミンクころせ処分しょぶん農場のうじょう経営けいえいしゃ補償ほしょうへ、3200おくえん規模きぼ デンマーク”. AFP (2021ねん1がつ26にち). 2021ねん3がつ6にち閲覧えつらん

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