トキソプラズマ症 しょう (トキソプラズマしょう、Toxoplasmosis)とは、トキソプラズマ (Toxoplasma gondii )による原虫 げんちゅう 感染 かんせん 症 しょう である。世界中 せかいじゅう で見 み られる感染 かんせん 症 しょう で、世界 せかい 人口 じんこう の3分 ぶん の1が感染 かんせん していると推測 すいそく されているが[1] 、有 ゆう 病 びょう 率 りつ には地域 ちいき で大 おお きな差 さ がある。健康 けんこう な成人 せいじん の場合 ばあい には、感染 かんせん しても無 む 徴候 ちょうこう に留 と まるか、せいぜい数 すう 週間 しゅうかん のあいだ軽 かる い風邪 かぜ のような症状 しょうじょう が出 で る程度 ていど である。しかし臓器 ぞうき 移植 いしょく 後 ご やエイズ 患者 かんじゃ など、免疫 めんえき 抑制 よくせい 状態 じょうたい にある場合 ばあい には重症 じゅうしょう 化 か して死 し に至 いた ることもあり、重 おも 篤 あつ な日和見 ひよりみ 感染 かんせん 症 しょう といえる。重症 じゅうしょう 化 か した場合 ばあい には、脳炎 のうえん や神経 しんけい 系 けい 疾患 しっかん をおこしたり、肺 はい ・心臓 しんぞう ・肝臓 かんぞう ・眼球 がんきゅう などに悪影響 あくえいきょう をおよぼす。また、妊 にん 婦 ふ が初 はつ 感染 かんせん すると胎児 たいじ が先天 せんてん 性 せい トキソプラズマ症 しょう を発症 はっしょう する場合 ばあい がある。予防 よぼう するためのワクチン はない。
日本 にっぽん では家畜 かちく 伝染 でんせん 病 びょう 予防 よぼう 法 ほう において届出 とどけで 伝染 でんせん 病 びょう に指定 してい されている(対象 たいしょう はめん羊 ひつじ 、山羊 やぎ 、豚 ぶた 、いのしし)。なお、日本 にっぽん 獣医 じゅうい 学会 がっかい の提言 ていげん で法令 ほうれい 上 じょう の名称 めいしょう が「トキソプラズマ病 びょう 」から「トキソプラズマ症 しょう 」に変更 へんこう された[2] 。
トキソプラズマはアピコンプレックス門 もん に属 ぞく する単細胞 たんさいぼう 生物 せいぶつ である。以下 いか の3つの形態 けいたい をとる。
栄養 えいよう 型 がた
栄養 えいよう 型 がた は急増 きゅうぞう 虫 ちゅう 体 たい (タキゾイト )と呼 よ ばれており、細胞 さいぼう 内 うち に寄生 きせい して無性 むしょう 生殖 せいしょく により急激 きゅうげき に増殖 ぞうしょく する。消毒 しょうどく 液 えき や胃酸 いさん などに対 たい する抵抗 ていこう 性 せい を持 も たないため、これを摂食 せっしょく しても感染 かんせん は起 お きにくい。しかし眼 め や鼻 はな の粘膜 ねんまく や外傷 がいしょう から感染 かんせん することがある。
シスト
脳 のう や筋肉 きんにく の組織 そしき 中 なか に厚 あつ く丈夫 じょうぶ な壁 かべ に包 つつ まれた球形 きゅうけい のシスト を作 つく る。シストには数 すう 千 せん におよぶ緩 なる 増 ぞう 虫 むし 体 たい (ブラディゾイト )が含 ふく まれており、無性 むしょう 生殖 せいしょく によりゆっくりと増殖 ぞうしょく している。シストは室温 しつおん でも数日 すうじつ 、4 ℃なら数ヶ月 すうかげつ 生存 せいぞん しており、-12 ℃までの低温 ていおん にも耐 た えるが、熱処理 ねつしょり (56 ℃15分 ふん )や冷凍 れいとう 処理 しょり (-20 ℃24時 じ 間 あいだ )で不 ふ 活 かつ 化 か できる。
オーシスト
終 おわり 宿主 しゅくしゅ であるネコ科 か の動物 どうぶつ に感染 かんせん すると、有性 ゆうせい 生殖 せいしょく を行 おこな ってオーシスト が形成 けいせい される。オーシストは糞 くそ 便 びん 中 ちゅう に排出 はいしゅつ され、環境 かんきょう 中 ちゅう で数 すう 日間 にちかん かけて成熟 せいじゅく し、数ヶ月 すうかげつ 以上 いじょう 生存 せいぞん している。消毒 しょうどく 液 えき に対 たい する抵抗 ていこう 性 せい が高 たか いが、シスト同様 どうよう の処理 しょり で不 ふ 活 かつ 化 か できる。
トキソプラズマは人間 にんげん を含 ふく む幅広 はばひろ い温血動物 おんけつどうぶつ に寄生 きせい するが、終 おわり 宿主 しゅくしゅ はネコ科 か の動物 どうぶつ である。人間 にんげん への感染 かんせん 経路 けいろ としては、シストを含 ふく んだ食肉 しょくにく やオーシストを含 ふく むネコの糞便 ふんべん に由来 ゆらい する経口 けいこう 感染 かんせん が主 おも である。オーシストは耐久 たいきゅう 性 せい があるので、直接 ちょくせつ 糞便 ふんべん に接触 せっしょく しなくても、土壌 どじょう を経由 けいゆ して野菜 やさい や水 みず を汚染 おせん する場合 ばあい がある。その他 た に妊 にん 婦 ふ から胎児 たいじ への経 けい 胎盤 たいばん 感染 かんせん がある。
おそらくほぼ全 すべ ての哺乳類 ほにゅうるい ・鳥類 ちょうるい がトキソプラズマに感染 かんせん する可能 かのう 性 せい があり、したがって食肉 しょくにく は種類 しゅるい によらず感染 かんせん 源 げん になりうる。とくに羊 ひつじ 肉 にく ・豚肉 ぶたにく ・鹿 しか 肉 にく など、高 こう 頻度 ひんど にシストが見付 みつ かるものもある。感染 かんせん 動物 どうぶつ 由来 ゆらい の食肉 しょくにく を生食 なましょく したり加熱 かねつ が不十分 ふじゅうぶん だったりすると、感染 かんせん の原因 げんいん となる[3] 。食肉 しょくにく そのものだけでなく、包丁 ほうちょう やまな板 いた などが汚染 おせん されて、それが他 た の食材 しょくざい や手 て を汚染 おせん することもある。
例 たと えばネコの糞便 ふんべん 中 ちゅう のオーシストが付着 ふちゃく した物質 ぶっしつ を食餌 しょくじ としてネズミ が食 た べることで感染 かんせん し、ネズミの体内 たいない に形成 けいせい されたシストはネコがネズミに噛 か み付 つ くことで取 と り込 こ まれる、という具合 ぐあい に生活 せいかつ 環 たまき が成立 せいりつ していると考 かんが えられる。人間 にんげん への感染 かんせん 経路 けいろ としては、飼 か い猫 ねこ のトイレ掃除 そうじ 、園芸 えんげい 、砂場 すなば 遊 あそ びなどで手 て に付 つ いたオーシストが口 くち に入 はい ることが考 かんが えられる。
感染 かんせん は通常 つうじょう 腸管 ちょうかん で起 お こるが、マクロファージ に侵入 しんにゅう し血 ち 流 りゅう に乗 の って全身 ぜんしん へ広 ひろ がることができる。このとき宿主 しゅくしゅ が妊娠 にんしん していると、胎盤 たいばん を経由 けいゆ して胎児 たいじ に伝染 でんせん する場合 ばあい がある。伝染 でんせん のリスクは感染 かんせん 時期 じき によって異 こと なり、妊娠 にんしん 初期 しょき の感染 かんせん では低率 ていりつ で、しだいに増加 ぞうか し妊娠 にんしん 末期 まっき ではリスクは70%に達 たっ する。ただし、胎児 たいじ の症状 しょうじょう は感染 かんせん 時期 じき が早 はや いほど重 じゅう 篤 あつし になる。
臓器 ぞうき 移植 いしょく や輸血 ゆけつ によって感染 かんせん した例 れい が知 し られている。また実験 じっけん 中 なか に誤 あやま って注射 ちゅうしゃ したり、飛沫 しぶき が眼 め や鼻 はな に入 はい って感染 かんせん した例 れい もある。
初感染 しょかんせん でも、およそ8割 わり の場合 ばあい は発熱 はつねつ もなくリンパ節 ぶし が腫 は れる程度 ていど でほとんど気付 きづ かれない。残 のこ り2割 わり 程度 ていど では、リンパ節 ぶし の腫 は れや発熱 はつねつ ・筋肉 きんにく 痛 つう ・疲労 ひろう 感 かん が続 つづ く亜 あ 急性 きゅうせい 症状 しょうじょう が出 で て、そのあと緩 ゆる やかに(1ヶ月 かげつ 程度 ていど で)回復 かいふく する。この間 あいだ 、患者 かんじゃ は単 たん 球 たま が増加 ぞうか しており、伝染 でんせん 性 せい 単 たん 核 かく 球 だま 症 しょう と似 に た徴候 ちょうこう を示 しめ す。普通 ふつう は治療 ちりょう の必要 ひつよう がない場合 ばあい が多 おお い。しかし、まれに急性 きゅうせい 症状 しょうじょう を示 しめ す患者 かんじゃ がいる。この場合 ばあい は眼 め (脈絡 みゃくらく 網膜 もうまく 炎 えん )、心臓 しんぞう 、肺 はい などに病変 びょうへん が起 お き、神経 しんけい 系 けい に症状 しょうじょう が出 で る場合 ばあい もある。血液 けつえき 中 なか に原虫 げんちゅう が認 みと められる虫 むし 血 ち 症 しょう (parasitemia)も長引 ながび き、尿 にょう や唾液 だえき のような体液 たいえき にも原虫 げんちゅう が出現 しゅつげん する。
いずれの場合 ばあい でも組織 そしき 中 ちゅう にシストが生 しょう じて慢性 まんせい 感染 かんせん に移行 いこう する。シストの検出 けんしゅつ は難 むずか しい。慢性 まんせい 感染 かんせん になった場合 ばあい の治療 ちりょう 法 ほう は確立 かくりつ していないが、特 とく に症状 しょうじょう が出 で るわけではないので問題 もんだい になることは少 すく ない。
トキソプラズマの慢性 まんせい 感染 かんせん が宿主 しゅくしゅ に影響 えいきょう を与 あた えるという研究 けんきゅう 報告 ほうこく がいくつかある。
疫学 えきがく 的 てき な研究 けんきゅう により、トキソプラズマ陽性 ようせい だと男児 だんじ が生 う まれやすいという結果 けっか が得 え られている[4] 。
トキソプラズマに感染 かんせん したマウス はネコのフェロモン を恐 おそ れなくなる(猫 ねこ の尿 にょう の匂 にお いに引 ひ き寄 よ せられるようになる)。これはネコを終 おわり 宿主 しゅくしゅ とする原虫 げんちゅう にとっては都合 つごう がいいと思 おも われる。詳 くわ しい機構 きこう はわかっていないが、ドーパミン 量 りょう が多 おお くなっていることと関係 かんけい があるかもしれない[5] [6] 。
トキソプラズマの慢性 まんせい 感染 かんせん によりヒトの行動 こうどう や人格 じんかく にも変化 へんか が出 で るとする研究 けんきゅう 報告 ほうこく もあり、男性 だんせい は反 はん 社会 しゃかい 的 てき に女性 じょせい は社交 しゃこう 的 まと になる、男性 だんせい はリスクを恐 おそ れなくなる・集中 しゅうちゅう 力 りょく が散漫 さんまん となる・規則 きそく を破 やぶ る・独断 どくだん 的 てき ・反 はん 社会 しゃかい 的 てき ・猜疑 さいぎ 的 てき ・嫉妬 しっと 深 ふか い・女性 じょせい に好 この ましくない、女性 じょせい は社交 しゃこう 的 てき ・ふしだら・男性 だんせい に媚 こ びをうる、などの傾向 けいこう が見 み られる[7] 。近年 きんねん の研究 けんきゅう によっててんかん 、アルツハイマー病 びょう 、パーキンソン病 びょう 、統合 とうごう 失調 しっちょう 症 しょう 、双極 そうきょく 性 せい 障害 しょうがい 、パーソナリティ障害 しょうがい 、間欠 かんけつ 性 せい 爆発 ばくはつ 性 せい 障害 しょうがい など多 おお くの精神 せいしん 疾患 しっかん や人格 じんかく の変化 へんか [8] 、がん との間 あいだ に関連 かんれん があることが徐々 じょじょ に明 あき らかになってきた[9] [10] [11] 。大学生 だいがくせい においても経営 けいえい や起業 きぎょう などビジネス系 けい を専攻 せんこう する傾向 けいこう が見 み られ、社会 しゃかい 人 じん でも起業 きぎょう 経験 けいけん 者 しゃ は感染 かんせん 率 りつ が高 たか い[8]
免疫 めんえき 抑制 よくせい 状態 じょうたい の患者 かんじゃ が罹患 りかん すると中枢 ちゅうすう 神経 しんけい 系 けい 障害 しょうがい や肺炎 はいえん ・心筋 しんきん 炎 えん を起 お こすこともあり、より重 おも 篤 あつ な疾患 しっかん を引 ひ き起 お こしやすい。
トキソプラズマ陽性 ようせい のエイズ 患者 かんじゃ は、Tリンパ球 だま が200以下 いか になると予防 よぼう をしないかぎりトキソプラズマ脳症 のうしょう を発症 はっしょう する。これはシスト中 ちゅう の緩 なる 増 ぞう 虫 むし 体 たい が活性 かっせい 化 か し、血 ち 流 りゅう に乗 の って全身 ぜんしん に広 ひろ がり脳 のう に至 いた るためである。病状 びょうじょう は潜行 せんこう 性 せい になるときもあり、この場合 ばあい は突然 とつぜん 脳症 のうしょう を発症 はっしょう する。脳 のう を冒 おか されると、神経症 しんけいしょう 状 じょう が出 で て急速 きゅうそく に進行 しんこう する。症状 しょうじょう は部位 ぶい に応 おう じてさまざまで、片 かた 麻痺 まひ 、失語 しつご 、視野 しや 狭窄 きょうさく 、眠気 ねむけ 、不安 ふあん 感 かん など。まれだが延髄 えんずい を冒 おか された場合 ばあい は、対 たい 麻痺 まひ が起 お こる。
免疫 めんえき 系 けい が正常 せいじょう でも妊娠 にんしん している場合 ばあい には特別 とくべつ な注意 ちゅうい が必要 ひつよう になる。妊 にん 婦 ふ が虫 むし 血 ち 症 しょう になると、原虫 げんちゅう が胎盤 たいばん に移行 いこう して胎児 たいじ への感染 かんせん が成立 せいりつ し、先天 せんてん 性 せい トキソプラスマ症 しょう に至 いた る可能 かのう 性 せい があるためである。
トキソプラズマは胎児 たいじ 血 ち 流 りゅう に乗 の って脳 のう を含 ふく む全身 ぜんしん 臓器 ぞうき に移行 いこう する[12] 。
ほぼ全 ぜん 例 れい が母親 ははおや の妊娠 にんしん 中 ちゅう の初感染 しょかんせん に起因 きいん するが、再 さい 感染 かんせん を疑 うたが う症例 しょうれい も報告 ほうこく されている[13] [14] [15] 。
妊娠 にんしん 初期 しょき
胎児 たいじ へ伝染 でんせん するリスクは低 ひく いものの伝染 でんせん したときの症状 しょうじょう は重 じゅう 篤 あつし になる。原虫 げんちゅう が中枢 ちゅうすう 神経 しんけい 系 けい の発達 はったつ に影響 えいきょう して、頭蓋骨 ずがいこつ の形成 けいせい 異常 いじょう 、頭蓋 とうがい 内 ない の石灰 せっかい 化 か 、水 みず 頭 あたま 症 しょう 、大頭 おおと 症 しょう 、脳 のう 室 しつ の膨大 ぼうだい などを引 ひ き起 お こし、流産 りゅうざん 、死産 しざん 、または出産 しゅっさん 後 ご 数 すう ヶ月 かげつ で死亡 しぼう するか、精神 せいしん 運動 うんどう 障害 しょうがい が生 しょう じる場合 ばあい が多 おお い。神経症 しんけいしょう 状 じょう としてひきつけ、緊張 きんちょう ・弛緩 しかん 、異常 いじょう な反射 はんしゃ が、そして成長 せいちょう 不全 ふぜん や脈絡 みゃくらく 網膜 もうまく 炎 えん などが見 み られる。
妊娠 にんしん 中期 ちゅうき
4ヶ月 かげつ 以降 いこう の感染 かんせん では、内臓 ないぞう 、特 とく に消化 しょうか 器 き 系 けい に影響 えいきょう が出 で る。黄疸 おうだん 、脾臓 ひぞう や肝臓 かんぞう の肥大 ひだい 、粘膜 ねんまく からの出血 しゅっけつ などが多 おお く、しばしば予 よ 後 ご 不良 ふりょう となる。
妊娠 にんしん 後期 こうき
出生 しゅっしょう 時 じ には症状 しょうじょう が明 あき らかでないことも多 おお い。早 はや くに気付 きづ かれる症状 しょうじょう としては、色 いろ 素性 すじょう の脈絡 みゃくらく 網膜 もうまく 炎 えん 、難聴 なんちょう 、ひきつけや精神 せいしん 運動 うんどう 発達 はったつ の遅 おく れ、頭蓋 とうがい の肥大 ひだい などが挙 あ げられる。数 すう 年 ねん たってから眼 め に病変 びょうへん が見付 みつ かって先天 せんてん 性 せい トキソプラズマ症 しょう と診断 しんだん されることもある。
感染 かんせん 診断 しんだん
母体 ぼたい が感染 かんせん したことを診断 しんだん するには、免疫 めんえき 学 がく 的 てき な方法 ほうほう を用 もち いる。(理論 りろん 的 てき には血液 けつえき 中 ちゅう やリンパ節 ぶし から原虫 げんちゅう を検出 けんしゅつ することもできるが、一般 いっぱん に困難 こんなん である。)そこで妊娠 にんしん がわかったときにはあらかじめトキソプラズマ抗体 こうたい を調 しら べておくのである。はじめから陽性 ようせい であればすでに初感染 しょかんせん は済 す んでいるので胎児 たいじ への影響 えいきょう はないと考 かんが えられる。はじめは陰性 いんせい であったのに陽転 ようてん した場合 ばあい には先天 せんてん 性 せい トキソプラズマ症 しょう を発症 はっしょう するおそれがある。早期 そうき 薬剤 やくざい 投与 とうよ によって先天 せんてん 性 せい トキソプラズマ症 しょう の発症 はっしょう を抑 おさ えることが出来 でき るので早期 そうき 診断 しんだん が重要 じゅうよう である。治療 ちりょう は主 おも にスピラマイシン を用 もち いる。通常 つうじょう 用 もち いられるサルファ剤 さるふぁざい は妊 にん 婦 ふ には禁忌 きんき である。
調理 ちょうり の前後 ぜんご にはよく手 て を洗 あら う
園芸 えんげい や猫 ねこ の世話 せわ をする時 とき にはゴム手袋 てぶくろ などを着用 ちゃくよう する
生食 なましょく や無 む 滅菌 めっきん の牛乳 ぎゅうにゅう を避 さ け、加熱 かねつ 、燻製 くんせい 、塩蔵 えんぞう がしっかりされた食品 しょくひん をとる
24時間 じかん 以上 いじょう 冷凍 れいとう した食品 しょくひん を使 つか う
野菜 やさい や果物 くだもの は酢 す 水 すい で洗 あら ってから食 た べる
猫 ねこ はできるだけ部屋 へや 飼 か いにし、生肉 せいにく を与 あた えたり狩 か りをさせたりしない
肉類 にくるい は十分 じゅうぶん に加熱 かねつ し食 た べる
妊 にん 婦 ふ は、生肉 せいにく はもちろん、十分 じゅうぶん に加熱 かねつ していない肉 にく を食 た べない
もし飼 か い猫 ねこ が外出 がいしゅつ せず、かつ生肉 せいにく を食 た べないのであれば、飼 か い猫 ねこ から感染 かんせん するリスクは高 たか くない。
ゴム手袋 てぶくろ などを着用 ちゃくよう して飼 が い猫 ねこ のトイレを毎日 まいにち 清潔 せいけつ に保 たも ち、適宜 てきぎ ゴム手袋 てぶくろ を消毒 しょうどく する。
どこで食事 しょくじ をしているかわからないようなネコは、近 ちか づけない。
生肉 せいにく 、動物 どうぶつ 、ネコの糞便 ふんべん に汚染 おせん される可能 かのう 性 せい があるものなどを取 と り扱 あつか う職業 しょくぎょう に就 つ いている場合 ばあい は、注意 ちゅうい が必要 ひつよう である。獣 しし 医師 いし や繁殖 はんしょく 家 か とその補佐 ほさ 、食肉 しょくにく 処理 しょり 場 じょう ・加 か 工場 こうじょう や肉屋 にくや の従業 じゅうぎょう 員 いん や検査 けんさ 員 いん 、農家 のうか 、造園 ぞうえん 家 か 、研究 けんきゅう 施設 しせつ や衛生 えいせい 試験場 しけんじょう の技師 ぎし 、医師 いし や保健 ほけん 衛生 えいせい 関連 かんれん の専門 せんもん 家 か などが該当 がいとう する。
先天 せんてん 性 せい トキソプラスマ症 しょう を防 ふせ ぐために、妊 にん 婦 ふ においては特 とく に厳重 げんじゅう な予防 よぼう 策 さく が必要 ひつよう である[16] 。
まず、十分 じゅうぶん に加熱 かねつ していない肉 にく を食 た べることは危険 きけん である。生 なま ハム、ローストビーフ、レアステーキ、肉 にく のパテ(火 ひ を通 とお していないパテ、加熱 かねつ 不十分 ふじゅうぶん なパテ)、生 なま サラミ、生 なま ベーコン、ユッケ、馬刺 ばさ し、鳥刺 とりさ し、鹿 しか 刺 ざ し、エゾシカのレアステーキ、鯨 くじら 刺 ざ し、ヤギ刺 ざ し、加熱 かねつ が不十分 ふじゅうぶん なジビエ(野生 やせい の鳥獣 ちょうじゅう )料理 りょうり 、等 ひとし はトキソプラズマを含 ふく む可能 かのう 性 せい があるとされる。また、土 つち いじりをすることは危険 きけん である。庭 にわ や畑 はたけ や公園 こうえん の砂場 すなば では、ネコがトキソプラズマを含 ふく んだ糞 くそ をしている可能 かのう 性 せい がある。ネコの糞 くそ が含 ふく まれた土 ど からの感染 かんせん を防 ふせ ぐために、作業 さぎょう 中 ちゅう は手袋 てぶくろ や眼鏡 めがね やマスクを装着 そうちゃく すること、作業 さぎょう 後 ご は十分 じゅうぶん な手洗 てあら いをすること、 収穫 しゅうかく したものはよく洗浄 せんじょう してから食 た べることが大切 たいせつ とされる。
ネコの飼育 しいく にも危険 きけん を伴 ともな う。排 はい 菌 きん するのは「トキソプラズマに初 はじ めて感染 かんせん して二 に 週間 しゅうかん 以内 いない のネコ」だけだが、未 み 感染 かんせん のネコが多 おお い。ネコに感染 かんせん させないため、猫 ねこ を外 そと へ出 だ さない、猫 ねこ に生肉 せいにく をあたえない、(成 なり 猫 ねこ ・子猫 こねこ にかかわらず)他所 よそ の猫 ねこ と接触 せっしょく させない、といった工夫 くふう が必要 ひつよう である。ネコからの感染 かんせん を防 ふせ ぐため、猫 ねこ の糞 くそ にふれない(ネコのトイレ掃除 そうじ は妊 にん 婦 ふ にさせない)、猫 ねこ のトイレ掃除 そうじ は頻繁 ひんぱん に行 おこな う(1日 にち 2回 かい )、猫 ねこ の糞 くそ は密閉 みっぺい して捨 す てる、といった工夫 くふう が必要 ひつよう である。
トキソプラズマは全 ぜん 人類 じんるい の30-50%に感染 かんせん していると考 かんが えられている[17] 。成人 せいじん での抗体 こうたい 陽性 ようせい 率 りつ は、アジア では少 すく なく、アメリカ では約 やく 11%[18] 、北欧 ほくおう やイギリス で30%以下 いか 、ヨーロッパ 南部 なんぶ と湿潤 しつじゅん アフリカで20-50%、ヨーロッパ西部 せいぶ では50-70%に達 たっ する。フランス は特 とく に多 おお いことが知 し られており、抗体 こうたい 陽性 ようせい 率 りつ は全体 ぜんたい で80%を超 こ え、妊 にん 婦 ふ に限 かぎ っても54%と高率 こうりつ である。これは生 なま に近 ちか い肉 にく を好 この む食 しょく 習慣 しゅうかん があることと関係 かんけい している。ドイツ (約 やく 80%)・オランダ (80%超 ちょう )・ブラジル (67%)も多 おお い国 くに として知 し られている。日本 にっぽん では、地域 ちいき 差 さ があるが10%前後 ぜんご となっている。
1948年 ねん にアルバート・サビン とフェルドマン(H.A.Feldman)により、トキソプラズマ感染 かんせん で産 さん 生 む された抗体 こうたい をアルカリ性 あるかりせい メチレンブルーで染色 せんしょく し定量 ていりょう 確認 かくにん する色素 しきそ 試験 しけん (Sabin–Feldman dye test)が開発 かいはつ された[19] 。
ヒト以外 いがい の動物 どうぶつ におけるトキソプラズマ症 しょう [ 編集 へんしゅう ]
日本 にっぽん ではめん羊 ひつじ 、ヤギ 、ブタ 、イノシシ のトキソプラズマ症 しょう が家畜 かちく 伝染 でんせん 病 びょう 予防 よぼう 法 ほう において届出 とどけで 伝染 でんせん 病 びょう に指定 してい されている。と畜場 ちくじょう 法 ほう において感染 かんせん 食肉 しょくにく は全 ぜん 廃棄 はいき の対象 たいしょう となる。トキソプラズマ症 しょう 以外 いがい での全 ぜん 廃棄 はいき の対象 たいしょう となる寄生虫 きせいちゅう 病 びょう はピロプラズマ症 しょう 、トリパノソーマ症 しょう 、旋毛 せんもう 虫 むし 症 しょう 、有 ゆう 鉤 かぎ 嚢虫症 しょう がある。治療 ちりょう にはマクロライド系 けい 抗生 こうせい 物質 ぶっしつ 、サルファ薬 やく 、スルファモイルダプソン 、ピリメサミン などが使用 しよう される。
猫 ねこ から人 ひと にうつる感染 かんせん 症 しょう としては、他 た にパスツレラ症 しょう 、猫 ねこ ひっかき病 びょう などがある。
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^ 『セービン 』 - コトバンク
家畜 かちく 伝染 でんせん 病 びょう
言葉 ことば 組織 そしき ・施設 しせつ 等 とう 協定 きょうてい ・法律 ほうりつ 等 とう
複数 ふくすう 種 しゅ ウシ ヒツジ 、ヤギ ウマ ブタ トリ ウサギ ハチ 魚類 ぎょるい 軟体動物 なんたいどうぶつ
Bonamia ostreae感染 かんせん 症 しょう - Bonamia exitiosus感染 かんせん 症 しょう - Marteilia refringens感染 かんせん 症 しょう - Mikrocytos roughleyi感染 かんせん 症 しょう - Perkinsus marinus感染 かんせん 症 しょう - Perkinsus olseni感染 かんせん 症 しょう - Xenohaliotis californiensis感染 かんせん 症 しょう
甲殻 こうかく 類 るい
タウラ症候群 しょうこうぐん - 白 しろ 点 てん 病 びょう - イエローヘッド病 びょう - バキュロウイルス・ペナエイによる感染 かんせん 症 しょう - モノドン型 がた バキュロウイルスによる感染 かんせん 症 しょう - 伝染 でんせん 性 せい 皮下 ひか 造血 ぞうけつ 器 き 壊死 えし 症 しょう - ザリガニ病 びょう
その他 た