ダニエル・J・キャラハン

ダニエル・ジャドソン・キャラハン Daniel Judson Callaghan
サンフランシスコ艦上かんじょうのキャラハン少将しょうしょう。
渾名あだな	ダン
生誕せいたん	1890年ねん7月がつ26日にち カリフォルニア州しゅう サンフランシスコ
死没しぼつ	(1942-11-13) 1942年ねん11月13日にち（52歳さい没ぼつ） ガダルカナル島とう沖おき（第だい三さん次じソロモン海戦かいせん）
所属しょぞく組織そしき	アメリカ海軍かいぐん
軍ぐん歴れき	1911 - 1942
最終さいしゅう階級かいきゅう	海軍かいぐん少将しょうしょう
指揮しき	トラクスタン サンフランシスコ 第だい67任務にんむ部隊ぶたい
戦闘せんとう	第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん 第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん

“ダン” ダニエル・ジャドソン・キャラハン（Daniel Judson Callaghan, 1890年ねん7月がつ26日にち - 1942年ねん11月13日にち）は、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの海軍かいぐん軍人ぐんじん、最終さいしゅう階級かいきゅうは海軍かいぐん少将しょうしょう。名誉めいよ勲章くんしょう受章じゅしょう者しゃ。軍ぐん歴れきは二ふたつの大戦たいせんを含ふくめて30年ねんに及および、その内うち20年間ねんかんは第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん時どきにおける船団せんだん護衛ごえい任務にんむを含ふくめ、いくつかの艦船かんせんでの勤務きんむと陸上りくじょう勤務きんむを経験けいけんした。1938年ねんにはフランクリン・ルーズベルト大統領だいとうりょうによって海軍かいぐん補佐ほさ官かんに任命にんめいされ、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん参戦さんせん後ごは司令しれい官かん任務にんむに戻もどった。1942年ねん11月13日にちの第だい三さん次じソロモン海戦かいせんでは巡洋艦じゅんようかん主体しゅたいの第だい67.4任務にんむ群ぐんを率ひきいて戦艦せんかんを有ゆうする日本にっぽん艦隊かんたいと対決たいけつし、海戦かいせんはアメリカ側がわの戦略せんりゃく的てき勝利しょうりに帰かえしたがキャラハン自身じしんは重じゅう巡洋艦じゅんようかんサンフランシスコ (USS San Francisco, CA-38) 艦上かんじょうで敵てき弾だんを浴あびて戦死せんしし、死後しごに名誉めいよ勲章くんしょうが追贈ついぞうされた。

生涯しょうがい

前ぜん半生はんせい

“ダン”ことダニエル・ジャドソン・キャラハンは1890年ねん7月がつ26日にち、カリフォルニア州しゅうサンフランシスコに商社しょうしゃ員いんチャールズ・ウィリアム・キャラハンとローズ・ウィーラー・キャラハンの子ことして生うまれる。弟おとうとは、のちに中将ちゅうじょうに昇進しょうしんし戦艦せんかんミズーリ (USS Missouri, BB-63) 艦長かんちょう時代じだいには、艦かんに突入とつにゅうした特攻隊とっこうたい員いんに礼れいを尽つくしたウィリアム・M・キャラハン（アナポリス1918年ねん組ぐみ）である。キャラハン家かの信仰しんこうはローマ・カトリックであった。キャラハンは海軍兵学校かいぐんへいがっこう（アナポリス）に進すすむ前まえに聖せいイグナチオ・カレッジ・プレパラトリーに入学にゅうがくして1907年ねんに卒業そつぎょうしたが、のちに弟おとうとウィリアムも同おなじコースをたどった。その後ごはアナポリスに進すすみ、1911年ねんに卒業そつぎょう。卒業そつぎょう年次ねんじから「アナポリス1911年ねん組ぐみ」と呼称こしょうされたこの世代せだいからは沖縄おきなわ戦せんで戦艦せんかん大和やまとと対決たいけつし損そこなったモートン・デヨ、潜水せんすい艦かん部隊ぶたいを率ひきいたロバート・H・イングリッシュ、室蘭むろらん艦かん砲ほう射撃しゃげきを行おこなったオスカー・C・バジャー2世せい、空母くうぼ任務にんむ群ぐんを率ひきいたジョン・W・リーヴスらがおり、のちに第だい三さん次じソロモン海戦かいせんでともに戦たたかうノーマン・スコットも同期どうきである。卒業そつぎょう後ごは少尉しょうい候補こうほ生せいとして装甲そうこう巡洋艦じゅんようかんカリフォルニア (USS California, ACR-6) に配属はいぞくされ、8インチ砲ほうの担当たんとうとなる。1921年ねん5月がつ21日にち付づけで少尉しょういに任官にんかんした。

キャラハン二に番目ばんめの艦かんで、のちに艦長かんちょうを務つとめたトラクスタン。

1913年ねん半なかばには駆逐くちく艦かんトラクスタン (USS Truxtun, DD-14) に移うつり、1915年ねん5月がつに中尉ちゅういに進級しんきゅう。5年ねんにおよんだカリフォルニアとトラクスタンにおけるキャラハンはアルコールを避さけ、定期ていき的てきにミサに出席しゅっせきするなど「良心りょうしん的てきな船乗ふなのり」としての評判ひょうばんを高たかめた。また、砲術ほうじゅつにも熱心ねっしんに取とり組くみ、キャラハンの上官じょうかんであったジョエル・プリングルは「（キャラハンの）義務ぎむへの忠実ちゅうじつさ、的確てきかくな判断はんだんと部下ぶかの忠誠ちゅうせい心しんを鼓舞こぶする能力のうりょくは、総そうじて効率こうりつアップにつながった。太平洋艦隊たいへいようかんたいでの演習えんしゅうのときには、キャラハンは他たの艦かんよりも艦かん砲ほうの命中めいちゅう率りつがよかった」と回想かいそうしている。1914年ねん7月がつ23日にち、キャラハンはメアリー・トーミーとオークランドで結婚けっこんし、翌よく1915年ねん10月がつ16日にちにはアラメダで息子むすこのダニエル・ジャドソン・キャラハン・ジュニアが誕生たんじょうした。

しかし1915年ねん7月がつにアラスカに向むかっていたトラクスタンで事故じこが起おき、キャラハンは「復ふく水すい器きに違ちがう部品ぶひんを取とり付つけた」と非難ひなんされて停職ていしょく処分しょぶんとなり、軍法ぐんぽう会議かいぎに出頭しゅっとうせざるを得えなかった。軍法ぐんぽう会議かいぎの結果けっか、原因げんいんは別べつの乗組のりくみ員いんによるものでキャラハンに非ひはなしと評決ひょうけつされたもののストレスは大おおきく、数すうか月げつ後ごにトラクスタンの艦長かんちょうとなった際さいには、半なかば白髪はくはつになっているかのように見みえた。

第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせんから戦たたかえ間あいだ期き

1916年ねん11月、キャラハンは防護ぼうご巡洋艦じゅんようかんニューオーリンズ (USS New Orleans, PG-34) に移うつる。1917年ねん4月がつにアメリカが第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせんに参戦さんせんすると、ニューオーリンズは大西洋たいせいようを渡わたる輸送ゆそう船団せんだんの護衛ごえいに任にんじた。キャラハンはこの任務にんむを通つうじて、のちに影響えいきょうを受うけることとなる外科げか医いのロス・マッキンタイアと初はじめて出会であう。キャラハンの伝記でんきを著あらわした伝記でんき作家さっかフランシス・マーフィーによれば、キャラハンはアイルランド沖おきで損傷そんしょうしたイギリス輸送ゆそう船せんを発見はっけんし、「4回かいにわたってニューオーリンズの3倍ばいある輸送ゆそう船せんを曳航えいこうしようとしたものの、4回かいともケーブルが切きれた。艦長かんちょうは曳航えいこうを断念だんねんしかけたが、キャラハンは敢然かんぜんと人並ひとなみ外はずれた能力のうりょくを発揮はっきして部下ぶかとともに作業さぎょうを継続けいぞくし、最終さいしゅう的てきに曳航えいこうに成功せいこうした。ニューオーリンズは48時じ間あいだかけて輸送ゆそう船せんを北きたアイルランドの基地きちまで曳航えいこうし、タグボートに引ひき渡わたした。」。

大戦たいせん終結しゅうけつ後ご、キャラハンはジョージタウンに2年ねんにわたって、妻つまメアリーおよび息子むすこダニエル・ジュニアと居住きょじゅうした。戦せん間あいだ期きの初はじめには、海軍かいぐん内ないにおける人員じんいん再さい編成へんせいに取とり組くんだ。家族かぞくとともにオークランドに戻もどった1920年ねん10月がつには、戦艦せんかんアイダホ (USS Idaho, BB-42) 配属はいぞくとなり、砲術ほうじゅつ管制かんせい担当たんとう士官しかんとなる。1923年ねん6月がつにはアイダホを退すさ艦かんし、一時いちじ中尉ちゅういの位くらいになったあと、1925年ねん5月がつからは戦艦せんかんコロラド (USS Colorado, BB-45) 配属はいぞくとなる。コロラドはオセアニア巡航じゅんこうのついでにオーストラリアに金かねを輸送ゆそうし、1926年ねんにアメリカに戻もどった。帰国きこく後ご、キャラハンは戦艦せんかんミシシッピ (USS Mississippi, BB-41) に移うつって砲術ほうじゅつ長ちょうとなった。後年こうねんアジア艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかんや上院じょういん議員ぎいんを務つとめたこともあるミシシッピ艦長かんちょうのトーマス・C・ハート大佐たいさ（アナポリス1897年ねん組ぐみ）は、キャラハンについて次つぎのように語かたった。「私わたしがこの将校しょうこうについて好意こうい的てきに報告ほうこくすることは難むずかしいでしょうが、彼かれは一般いっぱん的てきには優すぐれていると評価ひょうかされており、砲術ほうじゅつ長ちょうとしては非常ひじょうに優すぐれた士官しかんであるとは思おもうので、他所よその艦かんにも薦すすめることができるでしょう。」

ミシシッピでの勤務きんむは1928年ねん7月がつに終おわり、以降いこう2年間ねんかんは海軍かいぐんの検査けんさ所しょに務つとめていた。その後ごは合衆国がっしゅうこく艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかんの首席しゅせき補佐ほさ官かんを務つとめ、1931年ねん6月がつには中佐ちゅうさに昇級しょうきゅうした。以降いこうは、カリフォルニア大学だいがくバークレー校こう内うちの海軍かいぐん予備よび将校しょうこう訓練くんれん隊たい副長ふくちょうを経へて、重じゅう巡洋艦じゅんようかんポートランド (USS Portland, CA-33) 配属はいぞくとなる。1938年ねん、時ときのルーズベルト大統領だいとうりょうは主治医しゅじいのマッキンタイアに、海軍かいぐん補佐ほさ官かんとしてふさわしい人物じんぶつの推薦すいせんを依頼いらいした。ここでマッキンタイアは旧知きゅうちのキャラハンの名前なまえを挙あげ、キャラハンは1938年ねん7月がつに海軍かいぐん補佐ほさ官かんに任命にんめいされて3年間ねんかん務つとめた。その間あいだの1938年ねん10月がつには大佐たいさとなった。

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん

アメリカがいまだ第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんに参戦さんせんしていなかった1941年ねん7月がつ、ルーズベルトはキャラハンを重じゅう巡洋艦じゅんようかんサンフランシスコ艦長かんちょうとした。ルーズベルト曰いわく、「それは、私わたしがキャラハン大佐たいさを海軍かいぐん補佐ほさ官かんとして手元てもとに置おき続つづけることができないという後悔こうかいであった。彼かれは多おおくの職務しょくむをこなし、その指揮しきぶりと効率こうりつには大おおいに満足まんぞくであった。彼かれはまた、政府せいふとその他たの機関きかんとの関係かんけいに起おこった多おおくの問題もんだいに対たいして、真しんに理解りかいをしてくれた。」。キャラハンは1942年ねん4月がつに少将しょうしょうに昇進しょうしんし、サンフランシスコの艦長かんちょうを5月7日にちまで務つとめたあと、新あらたに編成へんせいされた南太平洋みなみたいへいよう軍ぐん入いりして司令しれい官かんロバート・L・ゴームレー中将ちゅうじょう（アナポリス1906年ねん組ぐみ）の参謀さんぼう長ちょうとなった。

南太平洋みなみたいへいよう軍ぐんは8月がつ7日にちからのガダルカナル島とうの戦たたかいで日本にっぽん軍ぐんと対峙たいじしており、キャラハンの仕事しごとは、自然しぜんとガダルカナル戦せんに関かかわる作戦さくせん立案りつあんが主おもであった。しかし、ダグラス・マッカーサー陸軍りくぐん大将たいしょう指揮しき下かの南西なんせい太平洋軍たいへいようぐんの間接かんせつ的てきな支援しえんがあったにもかかわらず戦局せんきょくは一進一退いっしんいったいで、ゴームレーの支援しえんは効果こうか的てきとは言いえず「ガダルカナルは奪回だっかいできない」という悲観ひかん論ろんが出でる有様ありさまであった。太平洋艦隊たいへいようかんたい司令しれい長官ちょうかんチェスター・ニミッツ大将たいしょう（アナポリス1905年ねん組ぐみ）が直接ちょくせつ視察しさつし、ゴームレーを焚たき付つけても流ながれはあまり変かわらなかった。キャラハンの同期どうきスコットが第だい64.2任務にんむ群ぐんを指揮しきして、1942年ねん10月がつ11日にちから12日にちの深夜しんやに五ご藤ふじ存知ぞんち少将しょうしょうの日本にっぽん艦隊かんたいを追おい払はらったサボ島とう沖おき海戦かいせんは一時いちじ的てきにせよ南太平洋みなみたいへいよう方面ほうめんの連合れんごう軍ぐんの士気しきを上昇じょうしょうさせたが、日本にっぽん側がわは間髪かんぱつ入いれず戦艦せんかんを繰くり出だしてヘンダーソン基地きち艦かん砲ほう射撃しゃげき（10月がつ13日にち）を行おこなった。視察しさつしたニミッツはゴームレーの解任かいにんを決定けっていし、10月18日にち付づけで後任こうにんはウィリアム・ハルゼー中将ちゅうじょう（アナポリス1904年ねん組ぐみ）となった。

ガダルカナル島とうをめぐる息いきもつかせぬ攻防こうぼうで、キャラハン以下いかゴームレーの幕僚ばくりょうも疲労ひろう困憊こんぱいの極きわみであった。ハルゼーの副官ふっかんウィリアム・アッシュフォード少佐しょうさはゴームレーの幕僚ばくりょうについて「睡眠すいみん不足ふそく、過労かろう、それに一種いっしゅのぼーっとした状態じょうたいのままで彼かれらの双肩そうけんにかぶさる緊張きんちょうで、あまりにも疲つかれ切きっていた。わたしは彼かれらが人間にんげんの持久じきゅう力りょくの限界げんかいに達たっしていると感かんじた」と回想かいそうしており、ハルゼーは幕僚ばくりょうを入いれ替かえることとした。キャラハンに代かわる参謀さんぼう長ちょうにはマイルズ・ブローニング大佐たいさ（アナポリス1918年ねん組ぐみ）を据すえ、キャラハンは第だい67.4任務にんむ群ぐんの指揮しきを執とることとなった。アメリカでは参謀さんぼうという職務しょくむがあまり歓迎かんげいされないこともあって、これは「栄転えいてん」と受うけ止とめられていた。キャラハンの司令しれい官かん就任しゅうにんは10月30日にち付づけで発令はつれいされた。キャラハンは自分じぶんの旗艦きかんを、半年はんとし足たらず前まえまでは自分じぶんの艦かんであったサンフランシスコと決きめたが、当時とうじサンフランシスコはスコットの旗艦きかんであった。しかし、キャラハンの少将しょうしょう昇進しょうしんがスコットより早はやかったこともあって、スコットはサンフランシスコをキャラハンに譲ゆずって軽けい巡洋艦じゅんようかんアトランタ (USS Atlanta, CL-51) に移うつり、副将ふくしょう格かくとなった。そのサンフランシスコはキャラハンが艦長かんちょうだったころとさほど変かわっておらず、レーダーも旧式きゅうしきのままであった。

第だい三さん次じソロモン海戦かいせん

キャラハンが艦長かんちょうを務つとめ、旗艦きかんにもなったサンフランシスコ（1945年ねん9月がつ28日にち）。

10月がつ末まつから11月がつにかけては、北きたアフリカ戦線せんせんの第だい二に次じエル・アラメイン会戦かいせんと重かさなったこともあって南太平洋みなみたいへいよう方面ほうめんに兵力へいりょくが回まわらず、ルーズベルトのイニシアチブがなかったら、ガダルカナル島とうは日本にっぽん軍ぐんの手てに帰かえしていた可能かのう性せいもあった。新あらたな日本にっぽん軍ぐんの攻勢こうせいが察知さっちされ、ハルゼーはキャラハンとスコットに輸送ゆそう船団せんだんをガダルカナル島とうへ送おくり、任務にんむが終おわれば日本にっぽん艦隊かんたいとの交戦こうせんを避さけるため即座そくざに撤退てったいするよう命めいじた。11月11日にち、まずスコットに率ひきいられた輸送ゆそう船団せんだんがガダルカナル島とうに到着とうちゃくして揚陸ようりくを開始かいしし、到着とうちゃくを嗅かぎ付つけた日本にっぽん軍機ぐんきの空襲くうしゅうを受うけたが撃退げきたいした。翌よく11月がつ12日にち朝あさには、キャラハンが指揮しきする輸送ゆそう船団せんだんがガダルカナル島とうに到着とうちゃくし、同おなじように揚陸ようりくを開始かいししたが、相あい前後ぜんごして偵察ていさつ機きが「スロット」ニュージョージア海峡かいきょうを南下なんかする阿部あべ弘毅こうき少将しょうしょう率ひきいる日本にっぽん艦隊かんたいを発見はっけんしたため揚陸ようりく作業さぎょうは急速きゅうそくに進すすめられたものの、前日ぜんじつに続つづいて日本にっぽん軍機ぐんきが空襲くうしゅうを行おこない、そのうちの撃墜げきついされた1機きがサンフランシスコに体当たいあたりを行おこなって射撃しゃげき指揮しき装置そうちと射撃しゃげき用ようレーダーを破壊はかいして能力のうりょくを低下ていかさせた。夕方ゆうがたまでに輸送ゆそう船団せんだんは揚陸ようりくを9割わり方かた終おえて洋上ようじょうに退避たいひし、あとにはキャラハン、スコットの第だい67.4任務にんむ群ぐんが日本にっぽん艦隊かんたい迎撃げいげきのため残のこっていた。キャラハンはハルゼーが戦艦せんかんを後詰ごづめに繰くり出だしてくることを知しっていたため、迎撃げいげきには乗のり気きではなかったが、ガダルカナル島とうの味方みかた部隊ぶたいを守まもりきる使命しめい感かんがそれを上回うわまわっていた。

11月12日にち夜よる、キャラハンの第だい67.4任務にんむ群ぐんはスコットがサボ島とう沖おき海戦かいせんで使用しようした隊形たいけいを借用しゃくようし、前衛ぜんえいと後衛こうえいに駆逐くちく艦かんを配はいして北きた北西ほくせいの針路しんろを進すすんでいた。やがて軽けい巡洋艦じゅんようかんヘレナ (USS Helena, CL-50) が阿部あべ艦隊かんたいを探知たんちしたものの、旧式きゅうしきレーダーしかないサンフランシスコでは何なにもわからないまま時じが過すぎていった。前衛ぜんえいの駆逐くちく艦かんが日本にっぽん側がわの駆逐くちく艦かん夕立ゆうだちと春雨はるさめに至近しきん距離きょりで出でくわして大だい混乱こんらんしたことすら、すぐにはわからなかった。間あいだもなく、前衛ぜんえいの混乱こんらんを避さけて左ひだりに針路しんろをとった軽けい巡洋艦じゅんようかんアトランタが阿部あべ艦隊かんたいの戦艦せんかん、比叡ひえいおよび霧島きりしまの懐ふところに飛とび込こむ形かたちとなり、比叡ひえいはサーチライトでアトランタを照射しょうしゃののち主砲しゅほうの二に斉射せいしゃを行おこなって艦橋かんきょうを破壊はかいし、アトランタにいるスコットや幕僚ばくりょうは一人ひとりを残のこして全員ぜんいん戦死せんしした。

キャラハンの指揮しきは、全まったく良よいものではなかった。サンフランシスコは炎上えんじょう中ちゅうの艦船かんせんに向むけて19発はつの命中めいちゅう弾だんを与あたえたが、その艦船かんせんはアトランタであり、驚おどろいたキャラハンは射撃しゃげき中止ちゅうしを命めいじたものの、何なにがどう間違まちがったのか指揮しき下かの全ぜん艦艇かんていに一瞬いっしゅんとはいえ発令はつれいしてしまい米べい艦隊かんたいを著いちじるしく混乱こんらんさせた。やがてサンフランシスコは比叡ひえいと砲撃ほうげき戦せんを演えんじたが、比叡ひえいの背後はいごにいた霧島きりしまが三さん斉射せいしゃを行おこなって、そのうちの一発いっぱつが艦橋かんきょうに命中めいちゅう、キャラハンやサンフランシスコ艦長かんちょうカッシン・ヤング大佐たいさ（アナポリス1916年ねん組ぐみ）ら任務にんむ群ぐん幕僚ばくりょうおよびサンフランシスコ幹部かんぶはことごとく戦死せんしした。キャラハンはアイザック・C・キッド（アナポリス1906年ねん組ぐみ）、スコットに続つづく、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんで直接ちょくせつ戦闘せんとうにより戦死せんしした3人にん目めの提督ていとくとなった。自みずからの失策しっさくにて余計よけいな損失そんしつを多おおく出だしたものの、曲まがりなりにも使命しめいを尽つくしたことは評価ひょうかされ、死後しご名誉めいよ勲章くんしょうが追贈ついぞうされた。

サンフランシスコでは死傷ししょう者しゃが続出ぞくしゅつし、生存せいぞん者しゃで最さい上位じょういの将校しょうこうであった通信つうしん担当たんとうのブルース・マッカンドレス少佐しょうさ（アナポリス1932年ねん組ぐみ）が艦かんの指揮しきをキャラハンの名前なまえにおいて発はっした。マッカンドレスの行為こうい自体じたいは、通常つうじょうなら重大じゅうだいな違法いほう行為こういとして軍法ぐんぽう会議かいぎで追及ついきゅうされるところであったが、マッカンドレスが作戦さくせんに直接ちょくせつタッチしていたこととキャラハンの戦死せんしを日本にっぽん側がわから秘匿ひとくする必要ひつよう性せいがあったことから特例とくれいで不問ふもんとなり、マッカンドレスにも名誉めいよ勲章くんしょうが授さづけられた。第だい三さん次じソロモン海戦かいせんではキャラハン、スコット両りょう将しょうが戦死せんしして幕僚ばくりょうも多おおくが戦死せんししたが、海戦かいせんはアメリカ側がわの戦略せんりゃく的てき勝利しょうりに帰かえした 最もっともキャラハンが的確てきかくな指示しじを出だせたなら戦術せんじゅつ的てき、戦略せんりゃく的てきに完勝かんしょうは確実かくじつであった

海戦かいせんのあとの11月19日にち、ハルゼーは海軍かいぐん大将たいしょうとなった。ハルゼーは両りょう襟えりに大将たいしょうの四よっつ星章せいしょうを取とり付つけたが、三みっつ星章せいしょうを外はずして外はずした中将ちゅうじょうの三みっつ星章せいしょうを「わたしに新あたらしい階級かいきゅう章しょうを下くださったのは、お二に人にんの御ご主人しゅじんたちの勇敢ゆうかんな行為こういだったのだ」との言葉ことばを添そえてメアリー・トーミー・キャラハンとスコット夫人ふじんに1個いっこずつ贈おくるよう手配てはいさせた。

名誉めいよ勲章くんしょうと賞賛しょうさん

名誉めいよ勲章くんしょう

名誉めいよ勲章くんしょう感状かんじょう
1942年ねん11月12日にちから13日にちにかけての夜よるに、サボ島とう沖おきで突発とっぱつ的てきに起おこった日本にっぽん艦隊かんたいの襲来しゅうらいに対たいして、並外なみはずれた英雄えいゆう的てき行為こういと明あきらかなる大胆だいたん不敵ふてきさを見みせつけた。キャラハン少将しょうしょうは彼我ひがの戦力せんりょく差さをものともせず、独創どくそう的てきかつ戦術せんじゅつ的てきスキルと部隊ぶたいの見事みごとな連携れんけい策さくをもって強力きょうりょくで恐おそれるべき日本にっぽん艦隊かんたいとの対決たいけつを決意けついし、日本にっぽん艦隊かんたいに決定的けっていてきな打撃だげきと敗走はいそうを与あたえることに貢献こうけんした。圧倒的あっとうてきに優勢ゆうせいな敵てきの火力かりょくの猛攻もうこう撃げきを前面ぜんめんに浴あびながら近接きんせつ攻撃こうげきを敢行かんこうし、彼かれは旗艦きかん艦上かんじょうで戦死せんしした。彼かれの発揮はっきした勇敢ゆうかんなイニシアチブと感動かんどう的てきなリーダーシップ、および重大じゅうだいな危機ききが迫せまる中なかでの賢明けんめいな予測よそくと分析ぶんせきは、アメリカ海軍かいぐんにおける任務にんむでの最高さいこうの伝統でんとうと一致いっちしている。彼かれはその勇敢ゆうかんな行為こういをもってわが身みを捧ささげて国くにに忠誠ちゅうせいをつくした。

キャラハンの戦死せんし時じ、息子むすこのダニエル・ジュニアは中尉ちゅういであり、父ちちに代かわって名誉めいよ勲章くんしょうを受うけ取とった。

賞賛しょうさん

名誉めいよ勲章くんしょう以外いがいでは、やはり第だい三さん次じソロモン海戦かいせんの戦功せんこうにより海軍かいぐん殊勲しゅくん章あきらが授さづけられた。フレッチャー級きゅう駆逐くちく艦かんの一いち艦かんであるキャラハン (USS Callaghan, DD-792) およびキッド級きゅうミサイル駆逐くちく艦かんの2番ばん艦かんキャラハン (USS Callaghan, DD-994/DDG-994) はキャラハンを記念きねんして命名めいめいされたが、前者ぜんしゃは1945年ねん7月がつ29日にち朝方あさがたに神風かみかぜ特攻隊とっこうたいの攻撃こうげきを受うけて沈没ちんぼつし、神風かみかぜ攻撃こうげきで沈没ちんぼつした最後さいごの艦艇かんていとなった。何なんたる偶然ぐうぜんか、沈しずみゆくキャラハンの救助きゅうじょ作業さぎょうにあたった艦艇かんていのうちの一いち隻せきは、キャラハンとともに戦死せんししたヤングを記念きねんして命名めいめいされたカッシン・ヤング (USS Cassin Young, DD-793) であった。

キャラハンはマニラ・アメリカ軍ぐん記念きねん墓地ぼちの行方ゆくえ不明ふめい者しゃの碑いしぶみに名なを連つらねている。ロードアイランド州しゅうニューポートにある将校しょうこう研修けんしゅう部隊ぶたい用ようのキャラハン・ホールは、キャラハンの栄誉えいよをたたえて命名めいめいされた。カリフォルニア州しゅうヴァレーホにある通とおり「アドミラル・キャラハン・レーン」もキャラハンにちなんで命名めいめいされたものであり、ゴールデン・ゲート国立こくりつ保養ほよう地ちの一角いっかく、ランズエンドにあるサンフランシスコの記念きねん碑ひには、キャラハンはともに戦死せんししたサンフランシスコの乗組のりくみ員いんとともに名前なまえが刻きざまれている。

参考さんこう文献ぶんけん

サイト

• "ダニエル・J・キャラハン". Find a Grave. 2012年ねん11月23日にち閲覧えつらん。
• この記事きじはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく政府せいふの著作ちょさく物ぶつであるDictionary of American Naval Fighting Shipsに由来ゆらいする文章ぶんしょうを含ふくんでいます。 記事きじはここで閲覧えつらんできます。

印刷物いんさつぶつ

• デニス・ウォーナー、ペギー・ウォーナー『ドキュメント神風かみかぜ 特攻とっこう作戦さくせんの全貌ぜんぼう』 下した、妹尾せのお作つくる太ふとし男おとこ（訳わけ）、時事通信社じじつうしんしゃ、1982年ねん。ISBN 4-7887-8218-9。 
• 木俣きまた滋しげる郎ろう『日本にっぽん戦艦せんかん戦史せんし』図書としょ出版しゅっぱん社しゃ、1983年ねん。 
• 木俣きまた滋しげる郎ろう『日本にっぽん水雷すいらい戦史せんし』図書としょ出版しゅっぱん社しゃ、1986年ねん。 
• イヴァン・ミュージカント『戦艦せんかんワシントン』中村なかむら定じょう（訳わけ）、光人みつひと社しゃ、1988年ねん。ISBN 4-7698-0418-0。 
• E.B.ポッター『BULL HALSEY/キル・ジャップス！ ブル・ハルゼー提督ていとくの太平洋たいへいよう海戦かいせん史し』秋山あきやま信雄のぶお（訳わけ）、光人みつひと社しゃ、1991年ねん。ISBN 4-7698-0576-4。 
• C.W.ニミッツ、E.B.ポッター『ニミッツの太平洋たいへいよう海戦かいせん史し』実松さねまつ譲ゆずる、冨永とみなが謙吾けんご（共とも訳やく）、恒文社こうぶんしゃ、1992年ねん。ISBN 4-7704-0757-2。 
• 谷たに光太郎こうたろう『米べい軍ぐん提督ていとくと太平洋戦争たいへいようせんそう』学習研究社がくしゅうけんきゅうしゃ、2000年ねん。ISBN 978-4-05-400982-0。 
• サミュエル.E.モリソン『モリソンの太平洋たいへいよう海戦かいせん史し』大だい谷内たにうち一夫かずお（訳わけ）、光人みつひと社しゃ、2003年ねん。ISBN 4-7698-1098-9。 

外部がいぶリンク

• "ダニエル・J・キャラハン". Hall of Valor. Military Times. 2012年ねん11月23日にち閲覧えつらん。 displays a summary record of Callaghan's awards for valor.
• “Naval Historical Center: Commander Daniel J. Callaghan displays photographs of Callaghan from 1931 to 1938”. 2009年ねん5月がつ5日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2012年ねん11月23日にち閲覧えつらん。
• “Naval Historical Center: Captain Daniel J. Callaghan displays photographs of Callaghan from 1938 to 1940”. 2012年ねん11月3日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2012年ねん11月23日にち閲覧えつらん。

関連かんれん項目こうもく

• 第だい三さん次じソロモン海戦かいせん