チャット (通貨つうか)

チャット
ကျပ် (ミャンマー語ご)
ISO 4217 コード	MMK
中央ちゅうおう銀行ぎんこう	ミャンマー中央ちゅうおう銀行ぎんこう
ウェブサイト	www.cbm.gov.mm
使用しよう 国くに・地域ちいき	ミャンマー
インフレ率りつ	7%
情報じょうほう源げん	The World Factbook, 2016 est.
補助ほじょ単位たんい
1⁄100	ピャー 事実じじつ上じょう現金げんきん単位たんいとしては使つかわれていない。
通貨つうか記号きごう	K
硬貨こうか
流通りゅうつうは稀まれ	K1, K5, K10, K50, K100.
紙幣しへい
広ひろく流通りゅうつう	K50, K100, K200, K500, K1000, K5000, K10,000.
流通りゅうつうは稀まれ	50ピャー, K1, K5, K10, K20

チャット（ビルマ語ご: ကျပ်、発音はつおん [tɕaʔ]、英語えいご表記ひょうきKyat）は、ミャンマー（ビルマ）の通貨つうか単位たんいである。国際こくさい通貨つうかコード(ISO 4217)は、MMK。補助ほじょ通貨つうか単位たんいのピャー(ပြား, Pya)は、100分ぶんの1チャット。しかし、極度きょくどのインフレーションのため、ピャーは事実じじつ上じょう現金げんきん単位たんいとしては使つかわれていない。

概要がいよう

ミャンマーでは公定こうていレート、公認こうにん市場いちばレート、実勢じっせいレートの3種類しゅるいの為替かわせレートが存在そんざいしている。

• 下記かき以外いがいの日常にちじょうの経済けいざい活動かつどうにおいては、実勢じっせいレート（1USドル = 1,305チャット、2016年ねん11月がつ末まつ時点じてん）が用もちいられており、これが最もっとも一般いっぱん的てきである。金額きんがくが大おおきくなりがちなため、千せんチャット単位たんいで表あらわすことが多おおく、街まち中ちゅうでは10k（千せん）などで価格かかく表示ひょうじすることが多おおい。
• 公定こうていレートはSDRにペッグしている。（1USドル = 5.2チャット、2008年ねん2月がつ末まつ時点じてん）
• 輸入ゆにゅう関税かんぜいの算定さんてい時じには1USドル = 450チャットの公認こうにん市場いちばレートが適用てきようされる。

2012年ねん4月がつ1日にちから管理かんりフロート制せい（管理かんり変動へんどう相場そうば制せい）を導入どうにゅうした。

硬貨こうか・紙幣しへい

紙幣しへいの種類しゅるいは、50ピャー、1、5、10、20、50、100、200、500、1,000、5,000、10,000チャットの12種しゅであるが、2015年ねん9月がつ現在げんざい、市中しちゅうで流通りゅうつうしているのは50チャット以上いじょうの7種類しゅるいである。各かく紙幣しへいには発行はっこう機関きかんであるミャンマー中央ちゅうおう銀行ぎんこうの名なと金額きんがくが、ビルマ語ごと英語えいごで表記ひょうきされている。また、数字すうじは金額きんがくも通番つうばんもミャンマー数字すうじとアラビア数字すうじが併記へいきされている。2004年ねん10月がつには偽造ぎぞう防止ぼうしのため、200、500、1,000チャット紙幣しへいがリニューアルされ、大おおきさも使つかいやすいように小ちいさくされた。2009年ねんには5000チャット紙幣しへいが新しん発行はっこうされ、2014年ねんにマイナーチェンジされた。また2012年ねんには、新あらたに10,000チャット紙幣しへいが登場とうじょうし、2015年ねんにマイナーチェンジされた。硬貨こうかも存在そんざいするが、市中しちゅうでも既すでに流通りゅうつうしていない。このほか、外貨がいか管理かんりを目的もくてきに1993年ねんから2013年ねんにかけて兌換だかんチャットという外貨がいか兌換だかん券けんが発行はっこうされていた。

まだ銀行ぎんこう制度せいどが発達はったつしていないミャンマーにおいては、決済けっさいの場ばで小切手こぎってではなくキャッシュオンリーつまりチャット紙幣しへいが多おおく使用しようされる。現金げんきん決済けっさいを簡略かんりゃく化かするため、2009年ねん10月がつに5,000チャット紙幣しへい、2012年ねん6月がつに10,000チャット紙幣しへいが導入どうにゅうされた。

日本にっぽんとの協力きょうりょく関係かんけい

2013年ねん1月がつには、日本にっぽんの財務省ざいむしょうが同年どうねんにミャンマー首都しゅとネピドーで開催かいさいされる東南とうなんアジア競技きょうぎ大会たいかいの記念きねん硬貨こうかの鋳造ちゅうぞうを受託じゅたくする方針ほうしんを固かためたと報ほうじられたほか、チャット紙幣しへいを日本にっぽんで印刷いんさつする計画けいかくが持もち上あがっている。2014年ねん11月には、日本にっぽんとミャンマーの外交がいこう関係かんけい樹立じゅりつから60周年しゅうねんとなることを記念きねんする5,000チャット銀貨ぎんか幣ぬさを財務省ざいむしょう・造幣局ぞうへいきょくが受注じゅちゅうしている。

3度どの廃はい貨

1948年ねんの独立どくりつ以降いこう、2016年ねん現在げんざいまでにミャンマーでは過去かこ3回かいにわたって流通りゅうつうする紙幣しへいを廃止はいしする廃はい貨が行おこなわれた。

ビルマ式しき社会しゃかい主義しゅぎの推進すいしんによる産業さんぎょう・流通りゅうつうの国有こくゆう化かに伴ともなって出現しゅつげんした闇やみ商人しょうにんの撲滅ぼくめつを名目めいもくとして、1964年ねん5月に最初さいしょの廃はい貨が実施じっしされ、予告よこく無なしに高額こうがく紙幣しへいが廃止はいしされた。1985年ねん11月に闇やみ商人しょうにん対策たいさくを掲かかげた廃はい貨が再ふたたび実施じっしされる。2回かい目めの廃はい貨の際さいに25、35、75チャット紙幣しへいが発行はっこうされたが、間まも無なく3回かい目めの廃はい貨が行おこなわれ、代かわって45、90チャット紙幣しへいが発行はっこうされた。1987年ねん9月には、事前じぜんに「高額こうがく紙幣しへい廃止はいしの噂うわさはデマである」という新聞しんぶん広告こうこくが掲載けいさいされた上うえで廃はい貨が行おこなわれ、庶民しょみんにとって使用しよう頻度ひんどの高たかい25チャット紙幣しへいも廃止はいしされたため、不満ふまんが噴出ふんしゅつする。ビルマ市民しみんの間あいだでは、2回かい目めの廃はい貨から3回かい目めの廃はい貨にかけて導入どうにゅうされた非合理ひごうり的てきな紙幣しへいの額面がくめんは、ネ・ウィンが信任しんにんする占星術せんせいじゅつ師しが出だした吉きち数すうに基もとづいていると噂うわさされた。3回かい目めの廃はい貨での不満ふまんの高たかまりは1988年ねん8月がつ8日にちのゼネスト・デモ（8888民主みんしゅ化か運動うんどう）、翌年よくねん9月がつのクーデターを引ひき起おこした。

過去かこの廃はい貨では、以下いかの紙幣しへいが廃止はいしされた。

• 1964年ねん5月がつ - 1,000チャット
• 1985年ねん11月 - 20チャット、50チャット、100チャット
• 1987年ねん9月がつ - 25チャット、35チャット、75チャット

これらの廃はい貨においては廃止はいしされた紙幣しへいの持もち主ぬしに対たいして十分じゅうぶんな補償ほしょうはされず、他たの紙幣しへいの交換こうかんは実施じっししない、あるいはごく限かぎられた期間きかんに一定いってい額がくまでの紙幣しへいの交換こうかんを行おこなう対応たいおうがされた。このため、現金げんきんを自宅じたくに保管ほかんする習慣しゅうかん（タンス預金よきん）が一般いっぱん的てきだったビルマでは多おおくの国民こくみんが損害そんがいを受うけた。不定期ふていきに行おこなわれる廃はい貨、紙幣しへいの増刷ぞうさつによって起おきるインフレーションへの対策たいさくとして、多おおくのミャンマー国民こくみんは金きむ製品せいひんや米あめりかドルを資産しさんとして保有ほゆうしている。

• 
  35チャット紙幣しへい
• 
  75チャット紙幣しへい
• 
  45チャット紙幣しへい

参考さんこう文献ぶんけん

• 田村たむら克己かつみ、根本ねもと敬たかし『ビルマ』（暮くらしがわかるアジア読本とくほん, 河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ, 1997年ねん2月がつ）
• 田村たむら克己かつみ、松田まつだ正彦まさひこ『ミャンマーを知しるための60章しょう』（エリア・スタディーズ, 明石書店あかししょてん, 2013年ねん10月がつ）
• 『もっと知しりたいミャンマー』（綾部あやべ恒雄つねお、石井いしい米雄よねお編へん, 弘文こうぶん堂どう, 1994年ねん12月がつ）