テニスラケット

ガット張はり

ジュ・ド・ポームにおけるラケット（木きのへら状じょうのものがトリケとバトワール）

テニスラケット（英えい: tennis racket, tennis racquet、中なか: 网球拍はく）は、球技きゅうぎのテニスにおいて、選手せんしゅがボールを打うつために用もちいるラケット。硬式こうしきテニス用ようとソフトテニス用ようがある。

ラケットを意図いと的てきに損壊そんかいさせるとペナルティを受うける ほか、 ストリング（ガット）の切きれたラケットは使用しよう禁止きんしとなっているトーナメントもある。

歴史れきし

かつてジュ・ド・ポームという競技きょうぎにおいては、素手すで、素手すでに革かわ紐ひも、グローブ風ふう、木きの棒ぼう（1344年ねんという説せつあり）という段階だんかいを経へて、バトワール（battoir）と呼よばれる1枚まい板いたを削けずったラケット状じょうのものに達たっした。そして1550年ねん頃ごろ、ガット張はりラケットが生うまれた。従来じゅうらいはボール同様どうようにラケットの製造せいぞう権けんもギルド組織そしきの管理かんり下かに置おかれ、ほうき・ブラシなどの製造せいぞう業者ぎょうしゃが兼業けんぎょうしていたことから生産せいさん数すうが少量しょうりょうだったとされ、ラケット製造せいぞう業ぎょう組合くみあいが独立どくりつしたのは1550年ねん頃ころといわれる）。その後ごも手作てづくりの木製品もくせいひんが主流しゅりゅうだったが、大量たいりょう生産せいさん化かされ、炭素たんそ繊維せんい製せいのものも登場とうじょうした。

日本にっぽんでは、初期しょきのローンテニスにおけるラケットのことを、バットとも呼よんでいたといわれる。

1967年ねんにスチール製せい、1968年ねんにアルミ製せい、1974年ねんに複ふく合ごう材ざいのラケットが初はつ登場とうじょうしたという説せつがある。

1976年ねんにプリンス社しゃは、ストリング面めんが110平方へいほうインチのテニスラケット「クラシック」を発表はっぴょう（1960年代ねんだい前半ぜんはんまでは木製もくせいで68平方へいほうインチとルール規定きていされていたといわれる）し、パム・シュライバーなどに愛用あいようされた。日本にっぽんではデカラケと呼よばれた。130平方へいほうインチや超ちょう大型おおがたサイズの137平方へいほうインチのものもあったという。

その後ご、1987年ねんに厚あつラケ、1995年ねんに長ちょうラケ と呼よばれるジャンルのラケットも出現しゅつげんした。

素材そざいも進化しんかし、Wilsonが1999年ねんに東とうレから供給きょうきゅうを受うけた高価こうかで希少きしょうな「ハイパーカーボン」などがある。

サイズのルール変遷へんせん

2009年ねん（平成へいせい21年ねん）12月がつ現在げんざい

ラケットのフレーム

ハンドルを含ふくめ，全長ぜんちょうで73.66cmを超こえてはいけない。→73.7cmを超こえてはいけない。

全幅ぜんぷくで31.75cmを超こえてはいけない。→31.7cmを超こえてはいけない。

ストリング面めん

全長ぜんちょうで39.37cmを超こえてはいけない。→39.4cmを超こえてはいけない。

全幅ぜんぷくで29.21cmを超こえてはいけない。→29.2cmを超こえてはいけない。

ストリング

ヘッド社しゃのステンシル

ストリング（ストリングスとも呼よぶ）には素材そざいで大おおきく分わけて、ナチュラルガット（カットグットとも呼よぶ天然てんねん素材そざい）、ナイロンシンセティックガット、ポリエステルガット の3種類しゅるいがある。

現在げんざいのように縦糸たていとと横糸よこいとを垂直すいちょくに交差こうささせているものは、古ふるいものでは1583年ねん製せいとされるラケットに見みられる。それ以前いぜんでは、横糸よこいとのみ斜ななめに張はって交差点こうさてんを結むすんでいるもの（1552年ねん・シャルル9世せいが用もちいたとされるもの）などが見みつかっている。

高体連こうたいれんが主催しゅさい・主管しゅかんしている大会たいかいでは、ストリングにステンシルが入はいっているラケットは使用しよう禁止きんしになっている（ヨネックスのyy、プリンスのP、バボラのダブルラインなど）。

ラケットに張はられたストリング上じょうで、打球だきゅう時じにとても有効ゆうこうな領域りょういきをスウィートスポット と呼よぶが、それは3種類しゅるい（3ヶ所かしょ）あるという定義ていぎもある。

「en:Strings (tennis)」も参照さんしょう

グリップ

日本にっぽんで発売はつばいされているラケットのグリップの規格きかくサイズは、1（G1）・2（G2）・3（G3）・4（G4）がある。オーバーグリップテープを巻まいて調節ちょうせつする場合ばあいもある。

スロート

ヘッドとグリップの間あいだの空間くうかんの事ことをスロート（喉のどの意味いみ）と呼よばれる。材料ざいりょうの強度きょうどが上あがったため、軽量けいりょう化かのためにスロートの開口かいこう部ぶが広ひろく出来できるようになった。そのため、上級じょうきゅう者しゃの試合しあいではほとんどないが、初心者しょしんしゃの試合しあいではボールがスロートにはまることがあるが、その場合ばあいははまった側がわの失点しってんやフォールト、ダブルフォールトなど失敗しっぱい扱あつかいになる。はまったボールは生いきているわけでは無ないので、そのラケットを相手あいてコートに投なげても得点とくてんやサーブ成功せいこうにはならない。。 スロートにボールがはまるリスクを減へらすために、シングルシャフトと呼よばれるスロートの無ないラケットを選えらぶ場合ばあいがある。その場合ばあい、仮かりにスロートに相当そうとうする部分ぶぶんに当あたっても失点しってんなどが発生はっせいしない利点りてんがあるが、ラケットのねじれが少すくなくなるため、芯しんが狭せまくなる欠点けってんがある。

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  グリップ
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  ラケットバッグ
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  Barellanにて

テニスラケット開発かいはつ史し

テニスラケットの技術ぎじゅつ革新かくしんは日進月歩にっしんげっぽであり、テクノロジー革命かくめいにより軽かるく、頑丈がんじょうなものに進化しんかしている。

ウッドから、スチールやグラスファイバー、チタンやカーボンなどの素材そざい革命かくめいが進すすみ、 レギュラーサイズから、デカラケ・厚あつラケ・長ちょうラケなどの形状けいじょう革命かくめいなど、 ラケットを構成こうせいするあらゆる要素ようそに画期的かっきてきな新しんテクノロジーを駆使くしした大おおきいのに軽量けいりょう、かつ強つよく反発はんぱつ力りょくのあるラケットが開発かいはつされた。

20世紀せいき・ウッドラケットの時代じだいは68平方へいほうインチでシングルシャフト、フレーム重量じゅうりょう380g程ほどとかなり重おもく、スウィングスピードがないのでしなりを利用りようしてボールを飛とばしていた。 戦後せんごまもない1949年ねんにWilsonジャック・クレイマー・オートグラフを誕生たんじょうさせた。このラケットは1981年ねんまで30年ねん以上いじょうのロングセラーであった。

フランスのラコステによって、1967年ねんにスチール製せいフレーム素材そざいのテニスラケットがWilsonT2000として開発かいはつされました。 1968年ねんにアルミ製せい、1970年ねんにウッド素材そざいより柔やわらかいグラスファイバーが取とり入いれられたが、カーボンに比くらべて重おもかったため、フルグラスファイバーの時代じだいは短みじかく、 その後ご1974年ねんにカーボンファイバー炭素たんそ繊維せんいフレームが登場とうじょうした。

カーボン製せいは形状けいじょうをいろいろな形かたちに製造せいぞうしやすいことから、Princeが1976年ねん世界せかい初はつの大おおきいサイズのプリンスクラシックを開発かいはつした。 これまでの70平方へいほうインチを110平方へいほうインチフェイスに拡大かくだいし当時とうじデカラケと呼よばれていた。考案こうあんしたのは、HEAD創始そうし者しゃハワード・ヘッドであった。 カーボンフレームによるLサイズラケットはテニス史上しじょう最大さいだいの革命かくめい的てき大だい転換てんかんだった。

1980年代ねんだい前半ぜんはんほんの数すう年ねんでイノベーションが進すすんで、複ふく合あい素材そざい台頭たいとうし始はじめレギュラーからデカラケへと移行いこうしウッド時代じだいに終止符しゅうしふを打うった。 1985年ねん頃ころはデカラケの全盛ぜんせい時代じだいであった。フェースがかなり大おおきいデカラケはボールも当あたりやすいがスピンが掛かけにくく、飛とびすぎるデメリットのため、フェイス面積めんせきがデカラケより少すこし小ちいさな100平方へいほうインチ前後ぜんこうのミッドラケットが主流しゅりゅうになっていった。

その次つぎにイノベーションとなったのが1987年ねんのWilson Profileで当時とうじ厚あつラケと呼よばれていた。1990年ねん頃ころになりカーボン・グラファイトの特性とくせいを生いかしワイドボディフレームの出現しゅつげんで、ラケット開発かいはつに革命かくめいを起おこした。 ボールの弾びきを決きめるのはフレームの硬かたさで厚あついラケットは、その分ぶんフレームが硬かたくしならないので、よくボールを弾ひく。ただ当初とうしょの厚あつラケは飛とび過すぎるものだったので、中なか厚あつしラケットが主流しゅりゅうとなった。

その後ご1995年ねんの頃ころになりラケットの長ながさが１インチ長ながい28インチのロングボディラケットPrinceマイケルチャンGraphiteが登場とうじょうし当時とうじ長ちょうラケと呼よばれていた。

HEADがチタンラケット製造せいぞうを開始かいし。1997年ねんにラケットに革新かくしんをもたらした素材そざいチタンは衝撃しょうげきや腐食ふしょく、高温こうおんにも強つよい。 耐久たいきゅう力りょくに優すぐれ、このスポーツに最適さいてきな軽量けいりょうで強度きょうどのある素材そざいチタンをフレームに採用さいようし中空なかぞら構造こうぞうで高たかい反発はんぱつ性せいを実現じつげんしている。 Wilsonは1998年ねんにチタンと比くらべ軽かるく4倍ばいの強度きょうどと硬度こうどを備そなえ新しん素材そざいハイパー・カーボンを発表はっぴょう。 Wilsonは2000年ねんグロメット部ぶにローラー組くみ込こんだローラー・テクノロジーを開発かいはつ。 HEADはインテリファイバー素材そざいを使つかってインパクト時じに生しょうじる衝撃しょうげきの機械きかい的てきエネルギーを電気でんき的てきエネルギーに変換へんかんしグリップに内蔵ないぞうしたコンピュータマイクロチップで10倍ばい増幅ぞうふくを開発かいはつ。 HEADが2003年ねんに世界せかい最先端さいせんたんのニューテクノロジーチタンに比くらべ３倍ばいの弾力だんりょく性せいと強度きょうどを合あわせ持もつ液体えきたい金属きんぞく素材そざいLIQUIDMETALシリーズを開発かいはつ。

黄金おうごんスペックの起源きげんはBabolaTピュアドライブで基本きほんスペックである重量じゅうりょう＝300g、フレーム厚あつし＝25㎜、フェイス面積めんせき＝100平方へいほうインチと同おなじ組くみ合あわせのモデルがメーカー各社かくしゃから発表はっぴょうされた。

Princeが2005年ねんにグロメットレス新しん構造こうぞうフレームは、フレーム上じょうにストリングホールを巨大きょだい化かさせた穴あなを空あけることでグロメットはなく、フレームにストリングを直接ちょくせつ張はることにより ストリング可動かどう範囲はんいは大おおきく広ひろがり、スィートスポットの拡大かくだいを実現じつげんさせた。結果けっか、振ふり抜ぬくときの空気くうき抵抗ていこうを大幅おおはばに激減げきげんさせ、スイングスピードのアップした。

Wilsonは2010年ねんにニューテクノロジー新しん素材そざいBASALT Fiberバサルトファイバーを採用さいようラケットを開発かいはつした。

HEADはINNEGRAファイバーをカーボンファイバーと複ふく合あい、インネグラ・ハイブリッド・コンポジット複ふく合あい構造こうぞうIGを開発かいはつした。 BabolaTがコアテックスとウーファー・システムにタングステンを織おり込こんだGTテクノロジーを採用さいようし革新かくしん技術ぎじゅつアエロモジュラーフレームテクノロジーで強烈きょうれつなスピン性能せいのうを達成たっせいした。

HEADは2013年ねんに先進せんしんニューテクノロジー世界せかい最強さいきょう最さい軽量けいりょうの素材そざいGraphineを実現じつげんした。

BabolaTが2014年ねんにグリップ部分ぶぶんに搭載とうさいされた内蔵ないぞうセンサーにより通信つうしん機能きのう搭載とうさいしワイヤレス通信つうしんで端末たんまつによるグラフや数値すうちでの分析ぶんせきを可能かのうとした。 ラケット・メーカー各社かくしゃが最新さいしんハイテクノロジーを駆使くしし激化げきかした開発かいはつ競争きょうそうが続つづいてきた結果けっか フレーム・フェイス形状けいじょうの大型おおがた化かと共ともにハイパーカーボン、アルティマムチタンなど素材そざいにおける軽量けいりょう化かも相次あいつぐようになったことから反発はんぱつ性能せいのうの大幅おおはばな向上こうじょうが続つづいた。 これによりスピン量りょうが増大ぞうだいしボールスピードが上昇じょうしょうした。

ラケットブランド

ラコステやプーマやヤマハのように、ラケット市場いちばから撤退てったいした企業きぎょうもある。

なお、シャネル やポルシェデザイン もラケットを発売はつばいしている。

日本にっぽんでは、明治めいじ30年代ねんだいには国産こくさん品ひんが既すでにあった。1960年ねん前後ぜんこうには木製もくせいラケット生産せいさん業者ぎょうしゃが多数たすうあり輸出ゆしゅつも行おこなわれていたが、次第しだいに台湾たいわんそして中国ちゅうごくへ、生産せいさん基地きちが移うつっていったという。

主おもなラケットブランド（右みぎ端はしの#は、メーカー公式こうしきサイト）

	メーカー名めい	英えい	備考びこう	#
	アディダス	adidas	2009年ねん、20年ねんぶりに新作しんさく発売はつばい
	アシックス	asics	2013年ねん、久々ひさびさに発売はつばい（ASICS America）
	エイブリィ	AVERY		[2]
	バボラ	Babolat	日本にっぽんではダンロップスポーツが提携ていけい	[3]
	ボリス・ベッカー	BORIS BECKER	フォルクルのラケットをベースに発展はってん	[4]
	カルフレックス	CALFLEX	サクライ貿易ぼうえき（SAKURAI）が扱あつかうブランド
	ボスワース	BOSWORTH		[5]
	ブリヂストン	BRIDGESTONE		[6]
	ドネー	DONNAY		[7] [8]
	ダンロップ	DUNLOP		[9]
	エスチューサ	ESTUSA	ドイツのプーマ社しゃのラケットの生産せいさんが中止ちゅうしされた後のち、ボリスベッカーが金かね型がたを購入こうにゅうし、アメリカで立たち上あげたブランド。
	フィッシャー	FISCHER	パシフィック（兼松かねまつ繊維せんい）が継続けいぞく	[10]
	フタバヤ	Futabaya	現存げんそんせず
	ガンマ	GAMMA	日本にっぽんではトアルソンが提携ていけい	[11] [12]
	ゴーセン	GOSEN		[13]
	ヘッド	HEAD		[14]
	イグニオ	IGNIO
	カワサキ	Kawasaki	ブランド名めい自体じたいは現存げんそん	[15] [16]
	クナイスル	KNEISSL	Kneissl.UKから発売はつばい	[17]
	ラコステ ※	LACOSTE	かつて発売はつばい
	マンティス	MANTIS	2009年ねんに創業そうぎょう	[18]
	ミズノ	MIZUNO		[19]
	パワーアングル	PowerAngle		[20]
	プリンス	prince		[21]
	プロケネックス	PROKENNEX		[22] [23]
	プーマ ※	PUMA	かつて発売はつばい
	レッドソン	REDSON
	ロシニョール ※	ROSSIGNOL	かつて発売はつばい
	スラセンジャー	Slazenger		[24]
	ソリンコ	SOLINCO		[25]
	スポルディング ※	SPALDING	かつて発売はつばい
	スリクソン	SRIXON	日本にっぽんでのダンロップスポーツ自社じしゃブランド	[26]
	テクニファイバー	Tecnifibre	日本にっぽんではブリヂストンスポーツが提携ていけい	[27]
	トアルソン	TOALSON		[28]
	フォルクル	Volkl		[29]
	ウィード	WEED		[30]
	ウィルソン	Wilson		[31]
	ウイングハート ※	Winghart	イグニオと同おなじくジャパーナの商品しょうひん
	ウィニングショット	WINNING SHOT
	ヤマハ ※	YAMAHA	かつて発売はつばい
	ヨネックス	YONEX		[32]

脚注きゃくちゅう

注ちゅう

参考さんこう資料しりょう

• 最新さいしんスポーツ大だい事典じてん（大修館書店たいしゅうかんしょてん、1987年ねん、p. 833とp.1314-1318：稲垣いながき正浩まさひろ）　ISBN 4469062030

関連かんれん項目こうもく

• en:Overgrip

外部がいぶリンク

• テニスラケットのハイテク化かを批判ひはんする歴代れきだいチャンピオンたち
• ブランド一覧いちらんページ - 総合そうごうテニス専門せんもんサイト テニス365
• テニスブランド一覧いちらん - TENNIS DAILY
• 公認こうにんメーカー - 日本にっぽんソフトテニス連盟れんめい
• みんなで作つくる『テニスラケットデータベース』
• ラケットの重おもさの表示ひょうじ - ウェイバックマシン（2019年ねん2月がつ18日にちアーカイブ分ぶん） - 第だい6話わ 失敗しっぱいしないラケット選えらび－2