デンタルフロス

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フロッシングの様子ようす

デンタルフロス英語えいご: dental floss)は、絹糸けんし合成ごうせい繊維せんいなどの繊維せんいもちいたあいだ歯垢しこうしょくへん除去じょきょ清掃せいそうするためのほそいと[1][2]のことである。

用途ようとものあいだブラシ存在そんざいする。

用途ようと[編集へんしゅう]

ブラシではとどかないあいだ側面そくめんあいだぐきにいた歯垢しこう除去じょきょし、しゅうびょう虫歯むしば予防よぼうする目的もくてき使つかわれる。一般いっぱんてきには「フロス」ともばれる。

ただ単純たんじゅんブラシでブラッシングするだけでは、歯垢しこうの50%~70%程度ていどまでしか除去じょきょできないといわれているが、デンタルフロスを使つかうことで、90%程度ていどまで歯垢しこう除去じょきょりつたかめることができるため、虫歯むしばしゅうびょうをはじめとする口内こうない疾病しっぺいふせ効果こうかがあるとされている。

デンタルフロスをもちいた清掃せいそうを「フロッシング」とい、ブラシ使つかったブラッシングとわせて予防よぼう効果こうかたかめる。欧米おうべいではフロッシングは一般いっぱんてき習慣しゅうかんとなっている。

歴史れきし[編集へんしゅう]

いと、もしくはほそ繊維状せんいじょうのものをあいだ掃除そうじ使つかうという慣習かんしゅう先史せんし時代じだいひとにも存在そんざいし、にそれらの痕跡こんせきられるみぞつかっているため、デンタルフロスやそれにたものは、有史ゆうし以前いぜんから使用しようされていたとかんがえられる。

現在げんざいのようなデンタルフロスは、1815ねんアメリカニューオリンズ歯科しかパーミリーきぬつくられた、現代げんだいのものにちかいデンタルフロスを発明はつめいし、人々ひとびとあいだ掃除そうじ推奨すいしょうするところにはじまりをるが、1882ねんにCodman and Shurtleft companyが、ワックスをかけないタイプのきぬせいフロスを販売はんばいするまで、人々ひとびとあいだには浸透しんとうしなかった。

1898ねんジョンソン・エンド・ジョンソンは、赤十字せきじゅうじや、ソールター・スィルしゃ、ブランズウィックなど、いくつかの商標しょうひょうふくんだデンタルフロスのだいいちごう特許とっきょ取得しゅとくした。

デンタルフロスはだい世界せかい大戦たいせんまでは、あまり一般いっぱんてきでなかった。しかし大戦たいせんちゅう、チャールズ・C・バス博士はかせによって、きぬせいより摩滅まめつしにくく、弾力だんりょくせい耐久たいきゅうせいんだ、れにくい現在げんざいのようなナイロンせいのデンタルフロスが発明はつめいされたために、大戦たいせんには、をより清潔せいけつたもつためにデンタルフロスをもちいることの重要じゅうようせいつよ強調きょうちょうされた。

種類しゅるい[編集へんしゅう]

糸巻いとまがた
エクスパンドタイプ

ここでは、一般いっぱんてきおおいものをげる。使用しようさい自分じぶんかたちぐきの状態じょうたいったものを歯科しか医院いいん指導しどうけて購入こうにゅうするのがのぞましい。

糸巻いとまき(ホール)がた
文字通もじどおりフロスを糸巻いとまきでたばねたもの。使用しようごとにフロスをばして、適度てきどながさにり、環状かんじょうにしたりゆびいて使用しようする。
ホルダーがた
専用せんようにフロスをりつけているタイプ。フロスとホルダーが単一たんいつでセットで販売はんばいされているもの、歯石しせき除去じょきょようのピックがくもの、糸巻いとまがた内蔵ないぞうしているものもある。
別名べつめいハンドルがたフロッサー、フロスアンドピック、いときようじとうばれる。
ワックス
あいだれやすいよう、繊維せんいすべりをよくしたもの使つかわないものはノンワックス、アンワックスとばれ、歯垢しこう除去じょきょ効果こうか効率こうりつ目的もくてきとしている。
エクスバンドタイプ
えき摩擦まさつによって繊維せんいふくらむタイプ。スポンジタイプとも。より広範囲こうはんい歯垢しこう除去じょきょ目的もくてきとする。
フッ素ふっそ加工かこう
むし予防よぼう効果こうかがあるフッ化物ばけもの繊維せんいにしみこませたものがある。

使用しよう方法ほうほう[編集へんしゅう]

  1. デンタルフロスを40~50cmくらいのながさに
  2. りょうはし親指おやゆび中指なかゆびち、右手みぎて中指なかゆびに3かいぐらい、のこりを左手ひだりて中指なかゆびきつける
  3. 両手りょうて中指なかゆびのあいだが10cmくらいのところできつけるのをやめ、人差ひとさゆび親指おやゆびいとをつまむ。そのさい、つまんだ指先ゆびさき指先ゆびさきのあいだが1.5~2cmぐらいになるように調整ちょうせいする
  4. 人差ひとさゆび親指おやゆび使つかってのこぎりのように往復おうふくさせながら、デンタルフロスをあいだにゆっくり挿入そうにゅうする。
  5. がきつくせっしている箇所かしょ通過つうかしたら、デンタルフロスを片側かたがわめんにピッタリてながらぐきのした1-2mmのところまでれる
  6. デンタルフロスが「C」がたになるようにしてつつみ、デンタルフロスを上下じょうげなん移動いどうさせる
  7. となりについても同様どうよう清掃せいそうする
  8. 挿入そうにゅうのときとおなじくゆっくりと隣接りんせつめん通過つうかさせて、デンタルフロスをはずす

デンタルフロスをおこなうさいには、よごれや細菌さいきん移動いどうふせぐため、いちあいだごとにきれいな箇所かしょ使つかって清掃せいそうする必要ひつようがある。よごれをとしたデンタルフロスを移動いどうさせるには、右手みぎて中指なかゆびいちきし、左手ひだりて中指なかゆびからいちかんはずす。また、歯並はならびや修復しゅうふくぶつ状態じょうたいにより使用しようほう注意ちゅうい事項じこうことなる場合ばあいがあるため、歯科しか医師いし歯科しか衛生えいせい指導しどうけて使用しようすることがのぞましい。

フロス・スレッダー[編集へんしゅう]

ワイヤーを使つかった矯正きょうせいにより、うえからフロスをとおすことができない場合ばあい使用しようする。スレッダーのにフロスをれて、そのままスレッダーをあいだ挿入そうにゅうすることで、フロスをあいだとおすことができる。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ ステッドマン医学いがくだい辞典じてん編集へんしゅう委員いいんかい『ステッドマン医学いがくだい辞典じてん 改訂かいていだい6はん』メジカルビューしゃ p.713 2008ねん
  2. ^ 看護かんごがくだい辞典じてん だい5はん』メヂカルフレンドしゃ p.1523 2002ねん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]