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ハルマゲドン

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
黙示録もくしろくあらわパトモスとうのヨハネ、 ヒエロニムス・ボス(1505)
キリスト教きりすときょう終末しゅうまつろん
キリスト教きりすときょう終末しゅうまつろん相違そういてん
意見いけん
過去かこ主義しゅぎ
象徴しょうちょう主義しゅぎ
歴史れきし主義しゅぎ
未来みらい主義しゅぎ
せんねん王国おうこく
せんねん王国おうこくせつ
こうせんねん王国おうこくせつ
ぜんせんねん王国おうこくせつ
艱難かんなんぜん携挙せつ
艱難かんなん携挙せつ
聖書せいしょ本文ほんぶん
オリーブやま説教せっきょう
ひつじ山羊やぎ
ヨハネの黙示録もくしろく
ダニエルしょ
    Seventy Weeks
外典げてん
エノクしょ
だい2エスドラしょ
重要じゅうよう用語ようご
• Abomination of Desolation
ハルマゲドン
よんにん騎士きし
あたらしいエルサレム
•携挙
•キリストの再臨さいりん
•2011ねん5がつ21にち携挙予言よげん
ななつのしるし
大患たいかんなん
にん証人しょうにん
はんキリスト
歴史れきし主義しゅぎにおいて
ほろびの
じゅう
過去かこ主義しゅぎにおいて
イスラエルと教会きょうかい 
契約けいやく神学しんがく
•ディスペンセーション
置換ちかん神学しんがく
しん契約けいやく神学しんがく
• オリーブの神学しんがく
双子ふたご契約けいやく神学しんがく
Portal:キリスト教きりすときょう
語源ごげんとなったイスラエル北部ほくぶメギドのおか全体ぜんたいぞう北緯ほくい3235ふん7びょう 東経とうけい3511ふん4びょう / 北緯ほくい32.58528 東経とうけい35.18444 / 32.58528; 35.18444

ハルマゲドンアルマゲドンハーマゲドンアーマゲドン表記ひょうきされる場合ばあいもある、古代こだいギリシャ: ἉρμαγεδώνHarmagedōnえい: Armageddon日本語にほんごでは最終さいしゅう戦争せんそう)とは、アブラハムの宗教しゅうきょうにおける、世界せかい終末しゅうまつにおける最終さいしゅうてき決戦けっせん[1]世界せかい終末しゅうまつてきぜんあく戦争せんそう世界せかい破滅はめつそのものをす(戦争せんそうわらせる最後さいご戦争せんそう一説いっせつではだい艱難かんなん頂点ちょうてんがハルマゲドンともわれている)。

ヨハネの黙示録もくしろく」(『新約しんやく聖書せいしょ』)にてくる言葉ことばであり、ヘブライでイスラエル北部ほくぶ実在じつざいする「メギドおか」を意味いみする地名ちめい(テル・メギド)が語源ごげんである[2]。ヘブライのテル・メギトが古代こだいギリシャでハルマゲドンとなまって転訛てんかされてヨハネ16:16で記載きさいされた。その聖書せいしょによれば、将来しょうらいきる世界せかい最終さいしゅう戦争せんそう(あるいは世界せかい最終さいしゅう戦争せんそう代名詞だいめいし)として使用しようされているが、ここでかたられる「終末しゅうまつ」は、かならずしも未来みらいのこととはかぎらないと解釈かいしゃくするものた。(後述こうじゅつ[3]。また、実在じつざいする語源ごげんとなった地名ちめい(イスラエル)と関係かんけいするとも、あくまで比喩ひゆでしかないとも様々さまざま解釈かいしゃく乱立らんりつしており、一定いっていしない。同書どうしょ成立せいりつしたのは西暦せいれき90ねん前後ぜんこうとみられる。

「ヨハネの黙示録もくしろく成立せいりつ状況じょうきょう

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「ヨハネの黙示録もくしろく」の成立せいりつ紀元きげん90ねん前後ぜんこう)は、マ帝国まていこくキリスト教きりすときょう弾圧だんあつした時期じきだった[3]。ヨハネがしるした「かみさばき」は、ローマ皇帝こうていたいする制裁せいさい願望がんぼうとして表現ひょうげんしているとされる[3]

キリスト教きりすときょう教理きょうり

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聖書せいしょ

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ヨハネの黙示録もくしろく16しょうにはこのようにかれている[4][5]

それから、おおきなこえひじりしょからて、ななにん使つかいにむかい、「さあって、かみはげしいいかりのななつのはちを、かたぶけよ」とうのをいた。そして、だいいちものって、そのはちかたむけた。すると、しし刻印こくいん人々ひとびとと、そのぞうおが人々ひとびととのからだに、ひどい悪性あくせいのできぶつができた。だいものが、そのはちうみかたむけた。すると、うみ死人しにんのようになって、そのなかものがみなんでしまった。だいさんものがそのはちかわみずみなもととにかたむけた。すると、みなになった。それから、みずをつかさどる使つかいがこううのを、いた、「こんいまし、むかしいませるせいなるものよ。このようにおさだめになったあなたは、ただしいかたであります。聖徒せいと預言よげんしゃとのながしたものたちに、をおませになりましたが、それは当然とうぜんのことであります」。わたしはまた祭壇さいだんがこううのをいた、「全能ぜんのうしゃにしておもなるかみよ。しかり、あなたのさばきは真実しんじつで、かつただしいさばきであります」。だいよんものが、そのはち太陽たいようかたむけた。すると、太陽たいよう人々ひとびとくことをゆるされた。人々ひとびとは、はげしい炎熱えんねつかれたが、これらの災害さいがい支配しはいするかみ御名ぎょめいよごし、あらためてかみ栄光えいこうすることをしなかった。だいものが、そのはちししかたむけた。すると、ししくにくらくなり、人々ひとびと苦痛くつうのあまりしたをかみ、その苦痛くつうとできぶつとのゆえに、てんかみをのろった。そして、自分じぶんおこないをあらためなかった。だいろくものが、そのはちだいユウフラテかわかたむけた。すると、そのみずは、ほうからおうたちにたいみちそなえるために、かれてしまった。またると、りゅうくちから、ししくちから、にせ預言よげんしゃくちから、かえるのようなみっつのよごれたれいてきた。これらは、しるしをおこな悪霊あくりょうれいであって、ぜん世界せかいおうたちのところにき、かれらを召集しょうしゅうしたが、それは、全能ぜんのうなるかみおおいなるに、たたかいをするためであった。(よ、わたしは盗人ぬすっとのようにる。はだかのままであるかないように、また、はだかはじられないように、をさまし着物きものけているものは、さいわいである。)みっつのれいは、ヘブルでハルマゲドンというところに、おうたちを召集しょうしゅうした。だいななものが、そのはち空中くうちゅうかたむけた。すると、おおきなこえひじりしょなかから、御座ぎょざからて、「ことはすでにった」とった。すると、いなずまと、もろもろのこえと、雷鳴らいめいとがおこり、またはげしい地震じしんがあった。それは人間にんげん地上ちじょうにあらわれて以来いらい、かつてなかったようなもので、それほどにはげしい地震じしんであった。おおいなるみっつにかれ、しょ国民こくみんまち々はたおれた。かみおおいなるバビロンをおもおこし、これにかみはげしいいかりのぶどうしゅはいあたえられた。島々しまじまはみなり、山々やまやまえなくなった。またいちタラントのおもさほどのおおきな雹が、てんから人々ひとびとうえってきた。人々ひとびとは、この雹の災害さいがいのゆえにかみをのろった。その災害さいがいが、非常ひじょうおおきかったからである。 — ヨハネの黙示録もくしろく16しょう1せつから21せつ口語こうごやく

キリスト教きりすときょう終末しゅうまつろん相違そういてん

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ハルマゲドンのたたかいとゴグ・マゴグのたたか

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ふたつの終末しゅうまつ戦争せんそうをハルマゲドンのたたかいと、ゴグ・マゴグたたかいについて、ぜんせんねん王国おうこくせつでは、ふたつのことなるたたかいとし、せんねん王国おうこくせつこうせんねん王国おうこくせつ では同一どういつたたかいとする[6]

注意ちゅういすべきてん

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岡山おかやま英雄ひでお注意ちゅういすべきてんとして「しし地上ちじょうおうたちとその軍勢ぐんぜい」と「キリストとその軍勢ぐんぜい」のたたかいであること、たたかいの武器ぶきは、「するどけん」、「かみのことば」であること、このたたかいによって、すべてのあく滅亡めつぼうするのは目的もくてきひとつにぎず、キリストの花嫁はなよめである教会きょうかい結婚けっこんこそが重要じゅうようであるとする[7]

最後さいごななつの災害さいがいちているななつのはちっていたななにん使つかいのひとりがきて、わたしにかたってった、「さあ、きなさい。しょうひつじつまなる花嫁はなよめせよう」。 — ヨハネの黙示録もくしろく21しょう9せつ口語こうごやく

キリストの勝利しょうり

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尾山おやまれいひとしは、悪霊あくりょう支配しはいにある地上ちじょう支配しはいしゃたちとの軍勢ぐんぜいと、おも軍勢ぐんぜいとのたたかいであるので、こののいかなる戦争せんそうともことなるたたかいであり、メギドのおかおこなわれるわけではなく、あくとその勢力せいりょくほろぼされるキリスト勝利しょうりたたかいであるとする[8]

奥山おくやまみのるはハルとメギドというふたつの言葉ことばからできているこのかたりは「虐殺ぎゃくさつおか」を意味いみし、りゅうであるサタンししである独裁どくさいしゃにせ預言よげんしゃからの悪霊あくりょうあつめられたものが、おも軍勢ぐんぜいたたかい、子羊こひつじ軍勢ぐんぜい勝利しょうりすると説明せつめいする[9]

教会きょうかいへの迫害はくがい

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ウィリアム・ヘンドリクセンは、はんキリストのリーダーシップのもとに、よごれたものたちが教会きょうかいおそろしい迫害はくがいくわえるときがハルマゲドンであるとおしえる。ヘンドリクセンによれば、はんキリストは目的もくてきをとげられず、邪悪じゃあくものたちの軍勢ぐんぜいかみいかそそがれ、悪魔あくまが「硫黄いおういけまれ」るという。[10]

その

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ハルマゲドンののちこることについては、教派きょうはによって解釈かいしゃくことなる。ハルマゲドンは最後さいご審判しんぱん直接ちょくせつ関係かんけいはないが、キリストきょう教理きょうりでは、最後さいご審判しんぱんのちに、キリストしゃにとって天国てんごくよろこびのときだが、不信ふしんしゃ地獄じごくちるとされる[11]

しかし、おくびょうなものしんじないものむべきもの人殺ひとごろし、姦淫かんいんおこなもの、まじないをするもの偶像ぐうぞうおがもの、すべていつわりをものには、硫黄いおうえているいけが、かれらの受くべきむくいである。これがだいである」。 — ヨハネの黙示録もくしろく21しょう8せつ口語こうごやく

比較ひかく宗教しゅうきょうがく

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メギド遺跡いせき

比較ひかく宗教しゅうきょうがくによれば、アブラハムの宗教しゅうきょうにおける、世界せかい終末しゅうまつにおける最終さいしゅうてき決戦けっせんあらわ言葉ことばヘブライで「メギドのおか」を意味いみするとかんがえられている。メギドきたイスラエル地名ちめい戦略せんりゃくじょう要衝ようしょうであったため、古来こらいより幾度いくど決戦けっせんとなった(著名ちょめいなものに、トトメス3せいメギドのたたかなど)。このことから「メギドのおか」という言葉ことばがこの意味いみもちいられたとかんがえられている。世界せかい終末しゅうまつてきぜんあく戦争せんそう世界せかい破滅はめつそのものを言葉ことばである。

カルトとの関係かんけい

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歴史れきしじょう、ハルマゲドンをふく終末しゅうまつ思想しそうは、しばしばカルト信者しんじゃ獲得かくとく教祖きょうそ自己じこ実現じつげん利用りようされやすく、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでのブランチ・ダビディアンによる事件じけんや、日本にっぽんでの地下鉄ちかてつサリン事件じけんなど、オウム真理教おうむしんりきょうによる一連いちれん事件じけんなどドゥームズデー・カルトこすことがすくなからずあった。

レヴィアタンによる破壊はかい、 ギュスターヴ・ドレ挿絵さしえ(1865)

現代げんだい文化ぶんかとのかかわり

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SF小説しょうせつSFアニメSF映画えいがなどサイエンス・フィクション作品さくひんとく終末しゅうまつものにもこの構図こうず使つかわれつづけている。

五島ごしまつとむ著書ちょしょによる『ノストラダムスのだい予言よげんほんがブームになり、オウム真理教おうむしんりきょうが、教義きょうぎにおいてハルマゲドンの到来とうらい主張しゅちょうし、1995ねん平成へいせい7ねん)の地下鉄ちかてつサリン事件じけん以降いこうワイドショー度々たびたびほうじられ、幅広はばひろ年代ねんだいにまで「あやまったハルマゲドン」がひろられるようになった。

関連かんれん作品さくひん

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漫画まんが

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デビルマン
日本にっぽんでは、1972ねん昭和しょうわ47ねん)に連載れんさいはじまった永井豪ながいごう漫画まんが。ハルマゲドンをあつかっていたものの、当時とうじはこの言葉ことば意味いみひとすくなかったようである(永井ながいだん)。

アニメ・映画えいが

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幻魔げんま大戦たいせん
1983ねん昭和しょうわ58ねん)に公開こうかいされた、角川かどかわ春樹はるき制作せいさくのアニメ映画えいが。「ハルマゲドン接近せっきん」というキャッチコピーがテレビや雑誌ざっし多用たようされ、キリストきょう信者しんじゃでない日本にっぽん若者わかものにもこの単語たんご普及ふきゅうする。
アルマゲドン
1998ねん公開こうかいされた映画えいが。20世紀せいきまつ地球ちきゅう大気圏たいきけん流星りゅうせい突破とっぱして地球ちきゅう環境かんきょう致命ちめいてき打撃だげきけるおそれが判明はんめいする。被害ひがいしょうじるまえ宇宙うちゅう飛行ひこうらが決死けっし覚悟かくごきびしい任務にんむたるストーリー。ぜんあく決戦けっせんえがいたものではない。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 土井どいかおる『よくわかるキリスト教きりすときょう』PHP研究所けんきゅうじょ、2004ねん、p.27
  2. ^ 小友こども 2020, p. 106.
  3. ^ a b c 小友こども 2020, p. 107.
  4. ^ ヨハネの默示録もくしろく(文語ぶんごやく) だい16しょう
  5. ^ ヨハネの黙示録もくしろく(口語こうごやく) だい16しょう
  6. ^ 子羊こひつじ王国おうこく』p.182
  7. ^ 子羊こひつじ王国おうこく』p.183-184
  8. ^ 啓示けいじ』p.235
  9. ^ おわりがる』p.180-181
  10. ^ ウィリアム・ヘンドリクセンしる鈴木すずき英昭ひであきわけ死後しご終末しゅうまつ』p.267-271 つのぶえしゃ
  11. ^ 『ウェストミンスター信仰しんこう基準きじゅん新教しんきょう出版しゅっぱんしゃ

参考さんこう文献ぶんけん

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  • しん聖書せいしょ注解ちゅうかいいのちのことばしゃ
  • しん聖書せいしょ辞典じてん』いのちのことばしゃ
  • しょうひつじ王国おうこく黙示録もくしろく終末しゅうまつについてなにかたっているのか』岡山おかやま英雄ひでお いのちのことばしゃ
  • 『ヨハネがけたキリストの啓示けいじ尾山おやまれいひとしひつじぐんしゃ
  • わりがる!『ヨハネの黙示録もくしろく』のわたしやくこうかい奥山おくやまみのる マルコーシュ・パブリケーション
  • しんカトリック事典じてん研究けんきゅうしゃ
  • 現代げんだいカトリック事典じてんエンデルレ書店しょてん
  • 小友こどもさとし『それでもきる 旧約きゅうやく聖書せいしょ「コヘレトの言葉ことば」』NHK出版しゅっぱんNHKこころの時代じだい宗教しゅうきょう人生じんせい〜〉、2020ねん4がつ1にちISBN 978-4-14-911019-6 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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