千せん年ねん王国おうこく

キリスト教きりすときょう終末しゅうまつ論ろん
キリスト教きりすときょう終末しゅうまつ論ろんの相違そうい点てん
意見いけん 過去かこ主義しゅぎ 象徴しょうちょう主義しゅぎ 歴史れきし主義しゅぎ 未来みらい主義しゅぎ
千せん年ねん王国おうこく 無む千せん年ねん王国おうこく説せつ 後こう千せん年ねん王国おうこく説せつ 前ぜん千せん年ねん王国おうこく説せつ 艱難かんなん前ぜん携挙説せつ 艱難かんなん後ご携挙説せつ
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千せん年ねん王国おうこく（せんねんおうこく、英語えいご: Millenarianism、あるいはMillenarism）、あるいは千せん年ねん帝国ていこくは、キリスト教きりすときょう終末しゅうまつ論ろんの一ひとつ。千年ちとせ王国おうこく説せつを信しんじる者ものは、英語えいごで「millenarian」や「millenary」と呼称こしょうされている。

「神かみの国くに」および「神かみの王国おうこく（神かみの帝国ていこく）」も参照さんしょう

千せん年ねん王国おうこくの概要がいよう

終末しゅうまつの日ひが近ちかづき、キリストが直接ちょくせつ地上ちじょうを支配しはいする千せん年ねん王国おうこく（至福しふく千せん年ねん期き）が間近まぢかになったと説とく。千年ちとせ王国おうこくに入はいるための条件じょうけんである「悔くい改あらため」を強調きょうちょうする。また、至福しふくの1000年間ねんかんの終おわりには、サタンとの最終さいしゅう戦争せんそうを経へて最後さいごの審判しんぱんが待まっているとされる。千年ちとせ王国おうこくに直接ちょくせつ言及げんきゅうする聖書せいしょの箇所かしょは、ヨハネの黙示録もくしろく20章しょう1節せつから7節せつ。

「わたしはまた、一人ひとりの天使てんしが、底そこなしの淵ふちの鍵かぎと大おおきな鎖くさりとを手てにして、天てんから降ふって来くるのを見みた。この天使てんしは、悪魔あくまでもサタンでもある、年としを経へたあの蛇へび、つまり竜りゅうを取とり押おさえ、千せん年ねんの間あいだ縛しばっておき、底そこなしの淵ふちに投なげ入いれ、鍵かぎをかけ、その上うえに封印ふういんを施ほどこして、千せん年ねんが終おわるまで、もうそれ以上いじょう、諸国しょこくの民みんを惑まどわさないようにした。その後ごで、竜りゅうはしばらくの間あいだ、解放かいほうされるはずである。

わたしはまた、多おおくの座ざを見みた。その上うえには座すわっている者ものたちがおり、彼かれらには裁さばくことが許ゆるされていた。わたしはまた、イエスの証あかしと神かみの言葉ことばのために、首くびをはねられた者ものたちの魂たましいを見みた。この者ものたちは、あの獣ししもその像ぞうも拝おがまず、額がくや手てに獣ししの刻印こくいんを受うけなかった。彼かれらは生いき返かえって、キリストと共ともに千せん年ねんの間あいだ統治とうちした。その他たの死者ししゃは、千せん年ねんたつまで生いき返かえらなかった。これが第だい一いちの復活ふっかつである。第だい一いちの復活ふっかつにあずかる者ものは、幸さいわいな者もの、聖せいなる者ものである。この者ものたちに対たいして、第だい二にの死しは何なんの力りょくもない。彼かれらは神かみとキリストの祭司さいしとなって、千せん年ねんの間あいだキリストと共ともに統治とうちする。

この千せん年ねんが終おわると、サタンはその牢ろうから解放かいほうされ（る）、」

— ヨハネの黙示録もくしろく20:1-7、新しん共同きょうどう訳やく聖書せいしょ

三みっつの立場たちば

千せん年ねん王国おうこくに入はいる時期じきをめぐって、三みっつの立場たちばがある。

1. 前ぜん千せん年ねん王国おうこく説せつ（千せん年ねん期き前ぜん再臨さいりん説せつ-イエス・キリストの再臨さいりんの後のちに千せん年ねん期きがあるとする説せつ）
2. 後こう千せん年ねん王国おうこく説せつ（千せん年ねん期き後ご再臨さいりん説せつ-千せん年ねん期きの後のちにイエス・キリストが再臨さいりんするとする説せつ）
3. 無む千せん年ねん王国おうこく説せつ（文字通もじどおりの存在そんざいではなく、霊的れいてき、天てん的てきなものとする説せつ）

1は千せん年ねん王国おうこくを文字通もじどおり解釈かいしゃくする。歴史れきし的てきには3世紀せいきまでの初代しょだい教会きょうかいがこの立場たちばであった。キリスト再臨さいりんの切迫せっぱくを強調きょうちょうする傾向けいこうが強つよい。前ぜん千年紀せんねんき説せつをとる者ものの多おおくは、次つぎのように考かんがえる。以下いかは艱難かんなん前ぜん携挙説せつの説明せつめいである。「まずキリストが空中くうちゅうに再臨さいりんし、クリスチャンを空中くうちゅうにひきあげ（携挙）、その後ご大おおきな困難こんなんが地上ちじょうを襲おそう（艱難かんなん時代じだいと呼よばれる）。艱難かんなん期きの最後さいごにハルマゲドンの戦たたかいが起おこり、そのときキリストは地上ちじょうに再臨さいりんし、サタンと地獄じごくへ行いくべき人間にんげんを滅ほろぼし、地上ちじょうに神かみが直接ちょくせつ統治とうちする王国おうこくを建国けんこくする。千年ちとせが終おわった後のちに新あたらしい天てんと地ち（天国てんごく）が始はじまる。」艱難かんなん前ぜん携挙説せつはキリスト教きりすときょう根本こんぽん主義しゅぎ者しゃのうち、ディスペンセーション主義しゅぎの強調きょうちょう点てんであった。前ぜん千せん年ねん王国おうこく説せつを支持しじする立場たちばで、艱難かんなん前ぜん携挙説せつをとらない立場たちばもある。

2は「地上ちじょうでの人間にんげんの歴史れきしが進すすむ中なかでキリスト教化きょうかが進すすみ霊的れいてきな祝福しゅくふく期間きかん（1000年ねん）に入はいり、その終おわりにキリストが再臨さいりんし、最後さいごの審判しんぱんが行おこなわれ、サタンが滅ほろぼされる」というものであり、比較的ひかくてき穏健おんけんとされたが、二に度どの大戦たいせんを経へて廃すたれた考かんがえである。だがキリスト教きりすときょう再建さいけん主義しゅぎの特徴とくちょうとして後のち千年紀せんねんき説せつの強調きょうちょうがある。

3は、コンスタンティヌス大帝たいてい後ご、ロろーマ帝国まていこくが国教こっきょう化かし、アウグスティヌスが『神かみの国くに第だい2巻かん』で唱となえてからローマ・カトリックで支配しはい的てきになった考かんがえである。正教会せいきょうかい、プロテスタント等ひとし、伝統でんとう教派きょうはは地上ちじょうの教会きょうかいが神かみの国くにであるとし、前ぜん千せん年ねん王国おうこく説せつを否定ひていしている。ただし、アウグスティヌスは初期しょきに前まえ千せん年ねん王国おうこく説せつを支持しじしていた。

千せん年ねん王国おうこくの具体ぐたい的てき内容ないよう

上記じょうきヨハネの黙示録もくしろく20章しょう1節せつから7節せつにかけて示しめされる千せん年ねん王国おうこくの具体ぐたい的てきな内容ないようは、同どう17章しょう・18章しょう・12章しょう・13章しょう・14章しょう・19章しょう・20章しょう・21章しょうで示しめされている。以下いか、時とき系列けいれつ順じゅんに並ならべる。

「（略りゃく）「ここへ来きなさい。多おおくの水みずの上うえに座すわっている大だい淫婦いんぷに対たいする裁さばきを見みせよう。地上ちじょうの王おうたちは、この女おんなとみだらなことをし、地上ちじょうに住すむ人々ひとびとは、この女おんなのみだらな行おこないのぶどう酒しゅに酔よってしまった。」そして、この天使てんしは“霊れい”に満みたされたわたしを荒あれ野のに連つれて行いった。わたしは、赤あかい獣ししにまたがっている一人ひとりの女おんなを見みた。この獣ししは、全身ぜんしん至いたるところ神かみを冒おかせ瀆する数々かずかずの名なで覆おおわれており、七ななつの頭あたまと十じゅう本ほんの角かくがあった。女おんなは紫むらさきと赤あかの衣ころもを着きて、金かねと宝石ほうせきと真珠しんじゅで身みを飾かざり、忌いまわしいものや、自分じぶんのみだらな行おこないの汚よごれで満みちた金かねの杯はいを手てに持もっていた。その額がくには、秘ひめられた意味いみの名なが記しるされていたが、それは、「大だいバビロン、みだらな女おんなたちや、地上ちじょうの忌いまわしい者ものたちの母はは」という名なである。わたしは、この女おんなが聖せいなる者ものたちの血ちと、イエスの証人しょうにんたちの血ちに酔よいしれているのを見みた。この女おんなを見みて、わたしは大おおいに驚おどろいた。すると、天使てんしがわたしにこう言いった。「なぜ驚おどろくのか。わたしは、この女おんなの秘ひめられた意味いみと、女おんなを乗のせた獣しし、七ななつの頭あたまと十じゅう本ほんの角かくがある獣ししの秘ひめられた意味いみとを知しらせよう。あなたが見みた獣ししは以前いぜんはいたが、今いまはいない。やがて底そこなしの淵ふちから上のぼって来くるが、ついには滅ほろびてしまう。地上ちじょうに住すむ者もので、天地てんち創造そうぞうの時ときから命いのちの書しょにその名なが記しるされていない者ものたちは、以前いぜんいて今いまはいないこの獣ししが、やがて来くるのを見みて驚おどろくであろう。ここに、知恵ちえのある考かんがえが必要ひつようである。七ななつの頭あたまとは、この女おんなが座すわっている七ななつの丘おかのことである。そして、ここに七なな人にんの王おうがいる。五ご人にんは既すでに倒たおれたが、一人ひとりは今いま王おうの位くらいについている。他たの一人ひとりは、まだ現あらわれていないが、この王おうが現あらわれても、位くらいにとどまるのはごく短みじかい期間きかんだけである。以前いぜんいて、今いまはいない獣ししは、第だい八はちの者もので、またそれは先さきの七なな人にんの中なかの一人ひとりなのだが、やがて滅ほろびる。また、あなたが見みた十じゅう本ほんの角かくは、十じゅう人にんの王おうである。彼かれらはまだ国くにを治おさめていないが、ひとときの間あいだ、獣ししと共ともに王おうの権威けんいを受うけるであろう。この者ものどもは、心しんを一ひとつにしており、自分じぶんたちの力ちからと権威けんいを獣ししにゆだねる。この者ものどもは小しょう羊ひつじと戦たたかうが、小しょう羊ひつじは主おもの主おも、王おうの王おうだから、彼かれらに打うち勝かつ。小しょう羊ひつじと共ともにいる者もの、召めされた者もの、選えらばれた者もの、忠実ちゅうじつな者ものたちもまた、勝利しょうりを収おさめる。」天使てんしはまた、わたしに言いった。「あなたが見みた水みず、あの淫婦いんぷが座すわっている所ところは、さまざまの民族みんぞく、群衆ぐんしゅう、国民こくみん、言葉ことばの違ちがう民みんである。また、あなたが見みた十じゅう本ほんの角かくとあの獣ししは、この淫婦いんぷを憎にくみ、身みに着つけた物ものをはぎ取とって裸はだかにし、その肉にくを食くい、火ひで焼やき尽つくすであろう。神かみの言葉ことばが成就じょうじゅするときまで、神かみは彼かれらの心しんを動うごかして御ご心しんを行おこなわせ、彼かれらが心しんを一ひとつにして、自分じぶんたちの支配しはい権けんを獣ししに与あたえるようにされたからである。あなたが見みた女おんなとは、地上ちじょうの王おうたちを支配しはいしているあの大おおきな都とのことである。」」

— ヨハネの黙示録もくしろく17:1-18、新しん共同きょうどう訳やく聖書せいしょ

「その後ご、わたしは、大おおきな権威けんいを持もっている別べつの天使てんしが、天てんから降ふって来くるのを見みた。地上ちじょうはその栄光えいこうによって輝かがやいた。天使てんしは力強ちからづよい声こえで叫さけんだ。「倒たおれた。大だいバビロンが倒たおれた。そして、そこは悪霊あくりょうどもの住すみか、あらゆる汚よごれた霊れいの巣窟そうくつ、あらゆる汚よごれた鳥とりの巣窟そうくつ、あらゆる汚よごれた忌いまわしい獣ししの巣窟そうくつとなった。すべての国くにの民みんは、怒いかりを招まねく彼女かのじょのみだらな行おこないのぶどう酒しゅを飲のみ、地上ちじょうの王おうたちは、彼女かのじょとみだらなことをし、地上ちじょうの商人しょうにんたちは、彼女かのじょの豪勢ごうせいなぜいたくによって富とみを築きずいたからである。」わたしはまた、天てんから別べつの声こえがこう言いうのを聞きいた。「わたしの民みんよ、彼女かのじょから離はなれ去ざれ。その罪つみに加くわわったり、その災わざわいに巻まき込こまれたりしないようにせよ。彼女かのじょの罪つみは積つみ重かさなって天てんにまで届とどき、神かみはその不義ふぎを覚おぼえておられるからである。彼女かのじょがしたとおりに、彼女かのじょに仕返しかえしせよ、彼女かのじょの仕業しわざに応おうじ、倍ばいにして返かえせ。彼女かのじょが注そそいだ杯はいに、その倍ばいも注そそいでやれ。彼女かのじょがおごり高たかぶって、ぜいたくに暮くらしていたのと、同おなじだけの苦くるしみと悲かなしみを、彼女かのじょに与あたえよ。彼女かのじょは心しんの中なかでこう言いっているからである。『わたしは、女王じょおうの座ざに着ついており、やもめなどではない。決けっして悲かなしい目めに遭あいはしない。』それゆえ、一いち日にちのうちに、さまざまの災わざわいが、死しと悲かなしみと飢うえとが彼女かのじょを襲おそう。また、彼女かのじょは火ひで焼やかれる。彼女かのじょを裁さばく神かみは、力ちからある主おもだからである。」彼女かのじょとみだらなことをし、ぜいたくに暮くらした地上ちじょうの王おうたちは、彼女かのじょが焼やかれる煙けむりを見みて、そのために泣なき悲かなしみ、彼女かのじょの苦くるしみを見みて恐おそれ、遠とおくに立たってこう言いう。「不幸ふこうだ、不幸ふこうだ、大おおいなる都と、強大きょうだいな都とバビロン、お前まえは、ひとときの間あいだに裁さばかれた。」地上ちじょうの商人しょうにんたちは、彼女かのじょのために泣なき悲かなしむ。もはやだれも彼かれらの商品しょうひんを買かう者ものがないからである。その商品しょうひんとは、金きむ、銀ぎん、宝石ほうせき、真珠しんじゅ、麻あさの布ぬの、紫むらさきの布ぬの、絹地きぬじ、赤あかい布ぬの、あらゆる香こうばしい木きと象牙ぞうげ細工ざいく、そして、高価こうかな木材もくざいや、青銅せいどう、鉄てつ、大理石だいりせきなどでできたあらゆる器うつわ、肉桂にっけい、香料こうりょう、香こう、香油こうゆ、乳香にゅうこう、ぶどう酒しゅ、オリおりーブ油ぶゆ、麦粉むぎこ、小麦こむぎ、家畜かちく、羊ひつじ、馬うま、馬車ばしゃ、奴隷どれい、人間にんげんである。お前まえの望のぞんでやまない果物くだものは、お前まえから遠とおのいて行いき、華美かびな物もの、きらびやかな物ものはみな、お前まえのところから消きえうせて、もはや決けっして見みられない。このような商品しょうひんを扱あつかって、彼女かのじょから富とみを得えていた商人しょうにんたちは、彼女かのじょの苦くるしみを見みて恐おそれ、遠とおくに立たって、泣なき悲かなしんで、こう言いう。「不幸ふこうだ、不幸ふこうだ、大おおいなる都と、／麻あさの布ぬの、また、紫むらさきの布ぬのや赤あかい布ぬのをまとい、金かねと宝石ほうせきと真珠しんじゅの飾かざりを着つけた都と。あれほどの富とみが、ひとときの間あいだに、みな荒あれ果はててしまうとは。」また、すべての船長せんちょう、沿岸えんがんを航海こうかいするすべての者もの、船乗ふなのりたち、海うみで働はたらいているすべての者ものたちは、遠とおくに立たち、彼女かのじょが焼やかれる煙けむりを見みて、「これほど大おおきい都とがほかにあっただろうか」と叫さけんだ。彼かれらは頭あたまに塵ちりをかぶり、泣なき悲かなしんで、こう叫さけんだ。「不幸ふこうだ、不幸ふこうだ、大おおいなる都と、海うみに船ふねを持もつ者ものが皆みな、この都とで、高価こうかな物ものを取とり引ひきし、豊ゆたかになったのに、ひとときの間あいだに荒あれ果はててしまうとは。」天てんよ、この都とのゆえに喜よろこべ。聖せいなる者ものたち、使徒しとたち、預言よげん者しゃたちよ、喜よろこべ。神かみは、あなたがたのためにこの都とを裁さばかれたからである。」

— ヨハネの黙示録もくしろく18:1-20、新しん共同きょうどう訳やく聖書せいしょ

「また、天てんに大おおきなしるしが現あらわれた。一人ひとりの女おんなが身みに太陽たいようをまとい、月つきを足あしの下したにし、頭あたまには十じゅう二にの星ほしの冠かんむりをかぶっていた。女おんなは身みごもっていたが、子こを産うむ痛いたみと苦くるしみのため叫さけんでいた。また、もう一ひとつのしるしが天てんに現あらわれた。見みよ、火ひのように赤あかい大おおきな竜りゅうである。これには七ななつの頭あたまと十じゅう本ほんの角かくがあって、その頭あたまに七ななつの冠かんむりをかぶっていた。竜りゅうの尾おは、天てんの星ほしの三さん分ぶんの一いちを掃はき寄よせて、地上ちじょうに投なげつけた。そして、竜りゅうは子こを産うもうとしている女おんなの前まえに立たちはだかり、産うんだら、その子こを食たべてしまおうとしていた。女おんなは男おとこの子こを産うんだ。この子こは、鉄てつの杖つえですべての国民こくみんを治おさめることになっていた。子こは神かみのもとへ、その玉座ぎょくざへ引ひき上あげられた。女おんなは荒あれ野のへ逃にげ込こんだ。そこには、この女おんなが千せん二に百ひゃく六ろく十じゅう日にちの間あいだ養やしなわれるように、神かみの用意よういされた場所ばしょがあった。さて、天てんで戦たたかいが起おこった。ミカエルとその使つかいたちが、竜りゅうに戦たたかいを挑いどんだのである。竜りゅうとその使つかいたちも応戦おうせんしたが、勝かてなかった。そして、もはや天てんには彼かれらの居場所いばしょがなくなった。この巨大きょだいな竜りゅう、年としを経へた蛇へび、悪魔あくまとかサタンとか呼よばれるもの、全ぜん人類じんるいを惑まどわす者ものは、投なげ落おとされた。地上ちじょうに投なげ落おとされたのである。その使つかいたちも、もろともに投なげ落おとされた。わたしは、天てんで大おおきな声こえが次つぎのように言いうのを、聞きいた。「今いまや、我々われわれの神かみの救すくいと力ちからと支配しはいが現あらわれた。神かみのメシアの権威けんいが現あらわれた。我々われわれの兄弟きょうだいたちを告発こくはつする者もの、昼ひるも夜よるも我々われわれの神かみの御前ごぜんで彼かれらを告発こくはつする者ものが、投なげ落おとされたからである。兄弟きょうだいたちは、小しょう羊ひつじの血ちと自分じぶんたちの証あかしの言葉ことばとで、彼かれに打うち勝かった。彼かれらは、死しに至いたるまで命いのちを惜おしまなかった。このゆえに、もろもろの天てんと、その中なかに住すむ者ものたちよ、喜よろこべ。地ちと海うみとは不幸ふこうである。悪魔あくまは怒いかりに燃もえて、お前まえたちのところへ降ふって行いった。残のこされた時ときが少すくないのを知しったからである。」竜りゅうは、自分じぶんが地上ちじょうへ投なげ落おとされたと分わかると、男おとこの子こを産うんだ女おんなの後のちを追おった。しかし、女おんなには大おおきな鷲わしの翼つばさが二ふたつ与あたえられた。荒あれ野のにある自分じぶんの場所ばしょへ飛とんで行いくためである。女おんなはここで、蛇へびから逃のがれて、一いち年ねん、その後ご二に年ねん、またその後ご半年はんとしの間あいだ、養やしなわれることになっていた。蛇へびは、口くちから川かわのように水みずを女おんなの後うしろに吐はき出だして、女おんなを押おし流ながそうとした。しかし、大地だいちは女おんなを助たすけ、口くちを開あけて、竜りゅうが口くちから吐はき出だした川かわを飲のみ干ほした。竜りゅうは女おんなに対たいして激はげしく怒いかり、その子孫しそんの残のこりの者ものたち、すなわち、神かみの掟おきてを守まもり、イエスの証あかしを守まもりとおしている者ものたちと戦たたかおうとして出でて行いった。そして、竜りゅうは海辺うみべの砂すなの上うえに立たった。」

— ヨハネの黙示録もくしろく12:1-18、新しん共同きょうどう訳やく聖書せいしょ

「わたしはまた、一人ひとりの天使てんしが、底そこなしの淵ふちの鍵かぎと大おおきな鎖くさりとを手てにして、天てんから降ふって来くるのを見みた。この天使てんしは、悪魔あくまでもサタンでもある、年としを経へたあの蛇へび、つまり竜りゅうを取とり押おさえ、千せん年ねんの間あいだ縛しばっておき、底そこなしの淵ふちに投なげ入いれ、鍵かぎをかけ、その上うえに封印ふういんを施ほどこして、千せん年ねんが終おわるまで、もうそれ以上いじょう、諸国しょこくの民みんを惑まどわさないようにした。その後ごで、竜りゅうはしばらくの間あいだ、解放かいほうされるはずである。（略りゃく）わたしはまた、イエスの証あかしと神かみの言葉ことばのために、首くびをはねられた者ものたちの魂たましいを見みた。この者ものたちは、あの獣ししもその像ぞうも拝おがまず、額がくや手てに獣ししの刻印こくいんを受うけなかった。（略りゃく）彼かれらは神かみとキリストの祭司さいしとなって、千せん年ねんの間あいだキリストと共ともに統治とうちする。」

— ヨハネの黙示録もくしろく20:1-6、新しん共同きょうどう訳やく聖書せいしょ

「その後ご、わたしは、大だい群衆ぐんしゅうの大声おおごえのようなものが、天てんでこう言いうのを聞きいた。「ハレルヤ。救すくいと栄光えいこうと力ちからとは、わたしたちの神かみのもの。その裁さばきは真実しんじつで正ただしいからである。みだらな行おこないで地上ちじょうを堕落だらくさせたあの大だい淫婦いんぷを裁さばき、御ご自分じぶんの僕ぼくたちの流ながした血ちの復讐ふくしゅうを、彼女かのじょになさったからである。」（略りゃく）「ハレルヤ。大だい淫婦いんぷが焼やかれる煙けむりは、世々せぜ限かぎりなく立たち上のぼる。」（略りゃく）「ハレルヤ、全能ぜんのう者しゃであり、わたしたちの神かみである主あるじが王おうとなられた。わたしたちは喜よろこび、大おおいに喜よろこび、神かみの栄光えいこうをたたえよう。小しょう羊ひつじの婚礼こんれいの日ひが来きて、花嫁はなよめは用意よういを整ととのえた。花嫁はなよめは、輝かがやく清きよい麻あさの衣ころもを着きせられた。この麻あさの衣ころもとは、聖せいなる者ものたちの正ただしい行おこないである。」（略りゃく）そして、わたしは天てんが開ひらかれているのを見みた。すると、見みよ、白しろい馬うまが現あらわれた。それに乗のっている方ほうは、「誠実せいじつ」および「真実しんじつ」と呼よばれて、正義せいぎをもって裁さばき、また戦たたかわれる。その目めは燃もえ盛さかる炎ほのおのようで、頭あたまには多おおくの王冠おうかんがあった。この方ほうには、自分じぶんのほかはだれも知しらない名なが記しるされていた。また、血ちに染そまった衣ころもを身みにまとっており、その名なは「神かみの言葉ことば」と呼よばれた。そして、天てんの軍勢ぐんぜいが白しろい馬うまに乗のり、白しろく清きよい麻あさの布ぬのをまとってこの方ほうに従したがっていた。この方ほうの口くちからは、鋭するどい剣けんが出でている。諸国しょこくの民みんをそれで打うち倒たおすのである。また、自みずから鉄てつの杖つえで彼かれらを治おさめる。この方ほうはぶどう酒しゅの搾しぼり桶おけを踏ふむが、これには全能ぜんのう者しゃである神かみの激はげしい怒いかりが込こめられている。この方ほうの衣ころもと腿もものあたりには、「王おうの王おう、主おもの主あるじ」という名なが記しるされていた。

— ヨハネの黙示録もくしろく19:1-16、新しん共同きょうどう訳やく聖書せいしょ

また、わたしが見みていると、見みよ、白しろい雲くもが現あらわれて、人ひとの子このような方ほうがその雲くもの上うえに座すわっており、頭あたまには金かねの冠かんむりをかぶり、手てには鋭するどい鎌かまを持もっておられた。すると、別べつの天使てんしが神殿しんでんから出でて来きて、雲くもの上うえに座すわっておられる方ほうに向むかって大声おおごえで叫さけんだ。「鎌かまを入いれて、刈かり取とってください。刈がり入いれの時ときが来きました。地上ちじょうの穀物こくもつは実みのっています。」そこで、雲くもの上うえに座すわっておられる方ほうが、地ちに鎌かまを投なげると、地上ちじょうでは刈かり入いれが行おこなわれた。 また、別べつの天使てんしが天てんにある神殿しんでんから出でて来きたが、この天使てんしも手てに鋭するどい鎌かまを持もっていた。 すると、祭壇さいだんのところから、火ひをつかさどる権威けんいを持もつ別べつの天使てんしが出でて来きて、鋭するどい鎌かまを持もつ天使てんしに大声おおごえでこう言いった。「その鋭するどい鎌かまを入いれて、地上ちじょうのぶどうの房ぼうを取とり入いれよ。ぶどうの実じつは既すでに熟じゅくしている。」 そこで、その天使てんしは、地ちに鎌かまを投なげ入いれて地上ちじょうのぶどうを取とり入いれ、これを神かみの怒いかりの大おおきな搾しぼり桶おけに投なげ入いれた。 搾しぼり桶おけは、都との外そとで踏ふまれた。すると、血ちが搾しぼり桶おけから流ながれ出でて、馬うまのくつわに届とどくほどになり、千せん六ろく百ひゃくスタディオンにわたって広ひろがった。

— ヨハネの黙示録もくしろく14:14-20、新しん共同きょうどう訳やく聖書せいしょ

「わたしはまた、一いち匹ひきの獣ししが海うみの中なかから上のぼって来くるのを見みた。これには十じゅう本ほんの角かくと七ななつの頭あたまがあった。それらの角かくには十じゅうの王冠おうかんがあり、頭あたまには神かみを冒おかせ瀆するさまざまの名なが記しるされていた。わたしが見みたこの獣ししは、豹ひょうに似にており、足あしは熊くまの足あしのようで、口くちは獅子ししの口くちのようであった。竜りゅうはこの獣ししに、自分じぶんの力ちからと王座おうざと大おおきな権威けんいとを与あたえた。この獣ししの頭あたまの一ひとつが傷きずつけられて、死しんだと思おもわれたが、この致命ちめい的てきな傷きずも治なおってしまった。そこで、全ぜん地ちは驚おどろいてこの獣ししに服従ふくじゅうした。竜りゅうが自分じぶんの権威けんいをこの獣ししに与あたえたので、人々ひとびとは竜りゅうを拝おがんだ。人々ひとびとはまた、この獣ししをも拝おがんでこう言いった。「だれが、この獣ししと肩かたを並ならべることができようか。だれが、この獣ししと戦たたかうことができようか。」この獣ししにはまた、大言たいげんと冒おかせ瀆の言葉ことばを吐はく口くちが与あたえられ、四よん十じゅう二にか月げつの間あいだ、活動かつどうする権威けんいが与あたえられた。そこで、獣ししは口くちを開ひらいて神かみを冒おかせ瀆し、神かみの名なと神かみの幕屋まくや、天てんに住すむ者ものたちを冒おかせ瀆した。獣ししは聖せいなる者ものたちと戦たたかい、これに勝かつことが許ゆるされ、また、あらゆる種族しゅぞく、民族みんぞく、言葉ことばの違ちがう民みん、国民こくみんを支配しはいする権威けんいが与あたえられた。地上ちじょうに住すむ者もので、天地てんち創造そうぞうの時ときから、屠ほふられた小しょう羊ひつじの命いのちの書しょにその名なが記しるされていない者ものたちは皆みな、この獣ししを拝おがむであろう。耳みみある者ものは、聞きけ。捕とらわれるべき者ものは、捕とらわれて行いく。剣けんで殺ころされるべき者ものは、剣けんで殺ころされる。ここに、聖せいなる者ものたちの忍耐にんたいと信仰しんこうが必要ひつようである。わたしはまた、もう一いち匹ひきの獣ししが地中ちちゅうから上のぼって来くるのを見みた。この獣ししは、小しょう羊ひつじの角かくに似にた二に本ほんの角かくがあって、竜りゅうのようにものを言いっていた。この獣ししは、先さきの獣ししが持もっていたすべての権力けんりょくをその獣ししの前まえで振ふるい、地ちとそこに住すむ人々ひとびとに、致命ちめい的てきな傷きずが治なおったあの先さきの獣ししを拝おがませた。そして、大おおきなしるしを行おこなって、人々ひとびとの前まえで天てんから地上ちじょうへ火ひを降ふらせた。更さらに、先さきの獣ししの前まえで行おこなうことを許ゆるされたしるしによって、地上ちじょうに住すむ人々ひとびとを惑まどわせ、また、剣けんで傷きずを負おったがなお生いきている先さきの獣ししの像ぞうを造つくるように、地上ちじょうに住すむ人ひとに命めいじた。第だい二にの獣ししは、獣ししの像ぞうに息いきを吹ふき込こむことを許ゆるされて、獣ししの像ぞうがものを言いうことさえできるようにし、獣ししの像ぞうを拝おがもうとしない者ものがあれば、皆殺みなごろしにさせた。また、小ちいさな者ものにも大おおきな者ものにも、富とめる者ものにも貧まずしい者ものにも、自由じゆうな身分みぶんの者ものにも奴隷どれいにも、すべての者ものにその右手みぎてか額がくに刻印こくいんを押おさせた。そこで、この刻印こくいんのある者ものでなければ、物ものを買かうことも、売うることもできないようになった。この刻印こくいんとはあの獣ししの名な、あるいはその名なの数字すうじである。（略りゃく）そして、数字すうじは六ろく百ひゃく六ろく十じゅう六ろくである。」

— ヨハネの黙示録もくしろく13:1-18、新しん共同きょうどう訳やく聖書せいしょ

「この千せん年ねんが終おわると、サタンはその牢ろうから解放かいほうされ、地上ちじょうの四方しほうにいる諸国しょこくの民みん、ゴグとマゴグを惑まどわそうとして出でて行いき、彼かれらを集あつめて戦たたかわせようとする。その数かずは海うみの砂すなのように多おおい。彼かれらは地上ちじょうの広ひろい場所ばしょに攻せめ上のぼって行いって、聖せいなる者ものたちの陣営じんえいと、愛あいされた都ととを囲かこんだ。すると、天てんから火ひが下くだって来きて、彼かれらを焼やき尽つくした。そして彼かれらを惑まどわした悪魔あくまは、火ひと硫黄いおうの池いけに投なげ込こまれた。そこにはあの獣ししと偽にせ預言よげん者しゃがいる。そして、この者ものどもは昼ひるも夜よるも世々よよ限かぎりなく責せめさいなまれる。わたしはまた、大おおきな白しろい玉座ぎょくざと、そこに座すわっておられる方かたとを見みた。天てんも地ちも、その御前ごぜんから逃にげて行いき、行方ゆくえが分わからなくなった。わたしはまた、死者ししゃたちが、大おおきな者ものも小ちいさな者ものも、玉座ぎょくざの前まえに立たっているのを見みた。幾いくつかの書物しょもつが開ひらかれたが、もう一ひとつの書物しょもつも開ひらかれた。それは命いのちの書しょである。死者ししゃたちは、これらの書物しょもつに書かかれていることに基もとづき、彼かれらの行おこないに応おうじて裁さばかれた。海うみは、その中なかにいた死者ししゃを外そとに出だした。死しと陰かげ府ふも、その中なかにいた死者ししゃを出だし、彼かれらはそれぞれ自分じぶんの行おこないに応おうじて裁さばかれた。死しも陰かげ府ふも火ひの池いけに投なげ込こまれた。この火ひの池いけが第だい二にの死しである。その名なが命いのちの書しょに記しるされていない者ものは、火ひの池いけに投なげ込こまれた。」

— ヨハネの黙示録もくしろく20:7-15、新しん共同きょうどう訳やく聖書せいしょ

わたしはまた、一人ひとりの天使てんしが太陽たいようの中なかに立たっているのを見みた。この天使てんしは、大声おおごえで叫さけび、空そら高たかく飛とんでいるすべての鳥とりにこう言いった。「さあ、神かみの大だい宴会えんかいに集あつまれ。王おうの肉にく、千せん人にん隊長たいちょうの肉にく、権力けんりょく者しゃの肉にくを食たべよ。また、馬うまとそれに乗のる者ものの肉にく、あらゆる自由じゆうな身分みぶんの者もの、奴隷どれい、小ちいさな者ものや大おおきな者ものたちの肉にくを食たべよ。」わたしはまた、あの獣ししと、地上ちじょうの王おうたちとその軍勢ぐんぜいとが、馬うまに乗のっている方ほうとその軍勢ぐんぜいに対たいして戦たたかうために、集あつまっているのを見みた。しかし、獣ししは捕とらえられ、また、獣ししの前まえでしるしを行おこなった偽にせ預言よげん者しゃも、一緒いっしょに捕とらえられた。このしるしによって、獣ししの刻印こくいんを受うけた者ものや、獣ししの像ぞうを拝おがんでいた者ものどもは、惑まどわされていたのであった。獣ししと偽にせ預言よげん者しゃの両者りょうしゃは、生いきたまま硫黄いおうの燃もえている火ひの池いけに投なげ込こまれた。」

— ヨハネの黙示録もくしろく19:17-20、新しん共同きょうどう訳やく聖書せいしょ

「わたしはまた、新あたらしい天てんと新あたらしい地ちを見みた。最初さいしょの天てんと最初さいしょの地ちは去さって行いき、もはや海うみもなくなった。更さらにわたしは、聖せいなる都と、新あたらしいエルサレムが、夫おっとのために着飾きかざった花嫁はなよめのように用意よういを整ととのえて、神かみのもとを離はなれ、天てんから下くだって来くるのを見みた。そのとき、わたしは玉座ぎょくざから語かたりかける大おおきな声こえを聞きいた。「見みよ、神かみの幕屋まくやが人ひとの間あいだにあって、神かみが人ひとと共ともに住すみ、人ひとは神かみの民みんとなる。神かみは自みずから人じんと共ともにいて、その神かみとなり、彼かれらの目めの涙なみだをことごとくぬぐい取とってくださる。もはや死しはなく、もはや悲かなしみも嘆なげきも労苦ろうくもない。最初さいしょのものは過すぎ去さったからである。」すると、玉座ぎょくざに座すわっておられる方ほうが、「見みよ、わたしは万物ばんぶつを新あたらしくする」と言いい、また、「書かき記しるせ。これらの言葉ことばは信頼しんらいでき、また真実しんじつである」と言いわれた。また、わたしに言いわれた。「事ことは成就じょうじゅした。わたしはアルファであり、オメガである。初はじめであり、終おわりである。渇かわいている者ものには、命いのちの水みずの泉いずみから価あたいなしに飲のませよう。勝利しょうりを得える者ものは、これらのものを受うけ継つぐ。わたしはその者ものの神かみになり、その者ものはわたしの子ことなる。しかし、おくびょうな者もの、不ふ信仰しんこうな者もの、忌いまわしい者もの、人ひとを殺ころす者もの、みだらな行おこないをする者もの、魔術まじゅつを使つかう者もの、偶像ぐうぞうを拝おがむ者もの、すべてうそを言いう者もの、このような者ものたちに対たいする報むくいは、火ひと硫黄いおうの燃もえる池いけである。それが、第だい二にの死しである。」」

— ヨハネの黙示録もくしろく21:1-8、新しん共同きょうどう訳やく聖書せいしょ

怒いかりの葡萄ぶどう

ヨハネの黙示録もくしろく14章しょうと19章しょうと同様どうようの文章ぶんしょうが先行せんこうするイザヤ書しょに書かかれている。

「エドムから来くるのは誰だれか。 ボツラから赤あかい衣ころもをまとって来くるのは。 その装よそおいは威光いこうに輝かがやき 勢いきおい余あまって身みを倒たおしているのは。」 「わたしは勝利しょうりを告つげ 大おおいなる救すくいをもたらすもの。」 「なぜ、あなたの装よそおいは赤あかく染そまり 衣ころもは酒さかぶねを踏ふむ者もののようなのか。」 「わたしはただひとりで酒さかぶねを踏ふんだ。 諸国しょこくの民みんはだれひとりわたしに伴ともなわなかった。 わたしは怒いかりをもって彼かれらを踏ふみつけ 憤いきどおりをもって彼かれらを踏ふみ砕くだいた。 それゆえ、わたしの衣ころもは血ちを浴あび わたしは着物きものを汚よごした。」 わたしが心しんに定さだめた報復ほうふくの日ひ わたしの贖あがないの年としが来きたので わたしは見回みまわしたが、助たすける者ものはなく 驚おどろくほど、支ささえる者ものはいなかった。 わたしの救すくいはわたしの腕うでにより わたしを支ささえたのはわたしの憤いきどおりだ。 わたしは怒いかりをもって諸国しょこくの民みんを踏ふみにじり わたしの憤いきどおりをもって彼かれらを酔よわせ 彼かれらの血ちを大地だいちに流ながれさせた。

— イザヤ書しょ63:1-6

新しん宗教しゅうきょうと千せん年ねん王国おうこく

キリスト教きりすときょうの千せん年ねん王国おうこく説せつとは区別くべつされてはいるが、新しん宗教しゅうきょうに独自どくじの千せん年ねん王国おうこくを主張しゅちょうする者ものがいる。またナチス・ドイツ（大だいドイツ国こく）は第だい三さん帝国ていこくを千せん年ねん王国おうこくと称しょうしたが、ノーマン・コーン等ひとしによればマルクス主義まるくすしゅぎにも千せん年ねん王国おうこくと同様どうようの思想しそうが見みられる。この説せつを受うけた三石みついし善吉ぜんきちによれば、中国ちゅうごくの太平たいへい天国てんごくの乱らんは元もとより、仏教ぶっきょうの弥勒みろく思想しそうに千せん年ねん王国おうこく思想しそうを刺戟しげき伝播でんぱして発生はっせいした大乗だいじょうの乱らん等ひとしに、千せん年ねん王国おうこく思想しそうが見みられる。千年ちとせ王国おうこく思想しそうは

1. 信徒しんとが享受きょうじゅするもので、

2. 現世げんせいに降臨こうりんし、

3. 近々ちかぢか現あらわれ、

4. 完璧かんぺきな世界せかいであり、

5. 建設けんせつは超ちょう自然しぜんの者ものによる

という共通きょうつうした世界せかい観かんを持もち、

a. この世よは悪あくに染そまっており、

b. 全面ぜんめん的てきに改変かいへんする必要ひつようがあり、

c. それは人間にんげんの力ちからでは不可能ふかのうで、神かみのような者ものによらねばならず、

d. 終末しゅうまつは確実かくじつに、そろそろやってきて、

e. 来きたるべきミレニアムでは、信徒しんと以外いがいは全員ぜんいん居場所いばしょを失うしなう、

f. そのため、信徒しんとを増ふやすべく宣伝せんでんしなければならない。

という「症状しょうじょう」を伴ともなう。これをふまえると、1818年ねんのセイロンの大だい反乱はんらん、1902年ねんのピー・ブンの乱らん、1930年ねんのサャー・サンの乱らん、ヴェトナムの宝山たからやま奇き香がも含ふくまれる。というより、「千せん年ねん王国おうこくの影響えいきょうのない時代じだいを探さがす方ほうが難むずかしい」（マイケル・バークン）ほどだという。安丸やすまる良夫よしおは、出口いでぐちなおの神かみ掛かかりによって誕生たんじょうし大正たいしょう時代じだい～昭和しょうわ初期しょきに爆発ばくはつ的てき発展はってんを遂とげた新しん宗教しゅうきょう「大本おおもと」の原げん教義きょうぎは、上記じょうきの千せん年ねん王国おうこく思想しそうとよく一致いっちすると指摘してきする。第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん以降いこうの大本おおもと（当時とうじは皇すめらぎ道どう大本おおもと）は「大正たいしょう十じゅう年ねん立替たてかえ説せつ」という激烈げきれつな終末しゅうまつ論ろんを展開てんかいして大だい反響はんきょうを引ひき起おこし、1921年ねん（大正たいしょう10年ねん）の第だい一いち次じ大本おおもと事件じけんを招まねいた。弾圧だんあつから立たち直なおった1930年代ねんだい初頭しょとうの大本おおもとは教祖きょうそ出口いでぐち王仁三郎おにさぶろうの指導しどうにより超ちょう国家こっか主義しゅぎ運動うんどう団体だんたいへと変貌へんぼうする。安丸やすまるは国家こっか主義しゅぎ的てき神道しんとう説せつと千せん年ねん王国おうこく救済きゅうさい思想しそうが結むすびついて発展はってんした大本おおもとに対たいし「日本にっぽん近代きんだい史しの特徴とくちょうを考かんがえるうえで注目ちゅうもくに値あたいする」と述のべる。

イギリスの政治せいじ哲学てつがく者しゃジョン・グレイは、ソヴィエト共産きょうさん主義しゅぎは、ナチズム同様どうよう、近代きんだいの千せん年ねん王国おうこくであったという。

参考さんこう文献ぶんけん

研究けんきゅう資料しりょう

• 鈴木すずき中正ちゅうせい 編へん『千せん年ねん王国おうこく的てき民衆みんしゅう運動うんどうの研究けんきゅう　―中国ちゅうごく・東南とうなんアジアにおける―』東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱん会かい、1982年ねん2月がつ。ISBN 978-4-13-026039-8。 
  • 土屋つちや健治けんじ、「鈴木すずき中正ちゅうせい編へん『千せん年ねん王国おうこく的てき民衆みんしゅう運動うんどうの研究けんきゅう―中国ちゅうごく・東南とうなんアジアにおける」『アジア研究けんきゅう』 1983年ねん 30巻かん 2号ごう p.61-70, doi:10.11479/asianstudies.30.2_61, アジア政経せいけい学会がっかい
• 田野でんや, 大輔だいすけ「ヒトラーの真しんの敵てき：芸術げいじゅつの政治せいじ化かのために」『大阪おおさか経けい大だい論集ろんしゅう』第だい54巻かん第だい3号ごう、大阪おおさか経けい大だい学会がっかい、2003年ねん、95-113頁ぺーじ、ISSN 0474-7909。 
• 三さん佐川さがわ亮あきら宏ひろし 『紀元きげん千せん年ねんの皇帝こうてい―オットー三さん世せいとその時代じだい』刀かたな水すい書房しょぼう、2018年ねん
• 三石みついし善吉ぜんきち『中国ちゅうごくの千せん年ねん王国おうこく』東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱん会かい、1991年ねん4月がつ。ISBN 978-4-13-030078-0。 
• 安丸やすまる良夫よしお『一揆いっき・監獄かんごく・コスモロジー 周縁しゅうえん性せいの歴史れきし学がく』朝日新聞社あさひしんぶんしゃ、1999年ねん10月がつ。ISBN 4-02-257433-X。 第だいⅢ章しょう「大本おおもと教きょうの千せん年ねん王国おうこく主義しゅぎ的てき救済きゅうさい思想しそう」
• 吉田よしだ, 昌弘まさひろ「ドイツ第だい三さん帝国ていこくの医療いりょう犯罪はんざいにおける言語げんごの役割やくわり（<特集とくしゅう> 相互そうご行為こういにおける言語げんご使用しよう：会話かいわデータを用もちいた研究けんきゅう）」『社会しゃかい言語げんご科学かがく』第だい10巻かん第だい2号ごう、社会しゃかい言語げんご科か学会がっかい学会がっかい誌し編集へんしゅう委員いいん会かい、2008年ねん、158-172頁ぺーじ、ISSN 13443909。 
• グレイ, ジョン 松野まつの弘ひろし訳やく (2011), ユートピア政治せいじの終焉しゅうえん―グローバル・デモクラシーという神話しんわ, 岩波書店いわなみしょてん 

宗教しゅうきょう書しょや教本きょうほん

• アンリ・フォシヨン『至福しふく千せん年ねん』神沢かみさわ栄三えいざ訳やく、みすず書房しょぼう
• 岡山おかやま英雄えいゆう 『子羊こひつじの王国おうこく』 いのちのことば社しゃ
• 尾山おやま令れい仁じん 『聖書せいしょの教理きょうり』 羊ひつじ群ぐん社しゃ

関連かんれん項目こうもく

• ヨハネの黙示録もくしろく
• 黙示録もくしろくの獣しし
• 末法まっぽう思想しそう