出典 しゅってん : フリー百科 ひゃっか 事典 じてん 『ウィキペディア(Wikipedia)』
新 しん 鰊 にしん (蘭 らん :ホーランセニウエ)/何 なに も和 あ えたり添 そ えたりしていない。一応 いちおう このままでも新 しん 鰊 にしん という料理 りょうり であるが、和 あ え物 もの にしたり何 なに か添 そ えたりしたものも新 しん 鰊 にしん という料理 りょうり である。
昔 むかし ながらの、尾 お を指 ゆび でつまんで、顔 かお まで持 も ち上 あ げて、上 うえ を向 む いて食 た べるスタイル
(日本語 にほんご で言 い う)ハーリング は、オランダ などで食 しょく されるニシン を軽 かる く塩漬 しおづ け 、発酵 はっこう させた料理 りょうり [1] 。
原義 げんぎ からすれば、西 にし ゲルマン語 ご 群 ぐん に見 み られる「ニシン属 ぞく の魚 さかな [* 1] 」を意味 いみ する語 かたり (オランダ語 ご の haring 、ドイツ語 ご の Hering 、英語 えいご の herring 等 ひとし )の仮名 かめい 音 おと 写 うつし (表記 ひょうき 揺 ゆ れ :ヘリング 、ヘーリング )と言 い える。とはいえ、日本 にっぽん で外来 がいらい 語 ご として通用 つうよう しているわけではなく、新 しん 鰊 にしん /新 しん ニシン (しんにしん)と意訳 いやく されもするオランダ発祥 はっしょう の塩漬 しおづ け魚 ぎょ 料理 りょうり の一種 いっしゅ である。タイセイヨウニシン (アトランティックハーリング)の若 わか 魚 さかな [* 2] を生 なま の状態 じょうたい でマリネ にした料理 りょうり であるところの、Hollandse Nieuwe [* 3] (日本語 にほんご 音 おん 写 うつし 例 れい 〈以下 いか 同様 どうよう 〉 :ホーランセ ニウエ)を指 さ す。逆 ぎゃく を言 い えば、「ハーリング[* 4] 」という単語 たんご 一 ひと つで料理 りょうり 名 めい を指 さ すのは日本語 にほんご だけである[* 5] 。
なお、かかる食 しょく 文化 ぶんか が定着 ていちゃく している地域 ちいき では、それぞれフラマン語 ご で maatjesharing (マーチェスハリング。原意 げんい :若 わか くて小 ちい さいハーリング)もしくは maatjes (マーチェス。原意 げんい :若 わか いの、小 ちい さいの)[* 6] 、ドイツ語 ご で Matjes (マティエス)、英語 えいご で Soused herring 〈サウズド ハーリング。原意 げんい :塩漬 しおづ けハーリング〉もしくは matjes herring (マーチェス ハーリング)という。
この料理 りょうり には、ニシンを焼 や いたり 、フライ にしたりした後 のち にマリネにしたものもある。通常 つうじょう は冷 ひ やした状態 じょうたい で提供 ていきょう される。
マリネの漬 づ け汁 じる は、食酢 しょくず 、リンゴ酒 しゅ 、ワイン または紅茶 こうちゃ 、ハーブ (ローリエ 等 ひとし )、スパイス (ナツメグ 等 ひとし )やニンニク から作 つく られている。
オランダ、ドイツ 、スウェーデン では少 すこ し塩 しお を利 き かせて発酵 はっこう させたものが多 おお く、イギリス やカナダ ではロールキャベツ のように巻 ま いた形 かたち のロールモップス で売 う られることもある。
日本 にっぽん では、オランダの露天 ろてん で売 う られている生 せい のニシン料理 りょうり がよく知 し られている。
歴史 れきし ・食 しょく 文化 ぶんか [ 編集 へんしゅう ]
このニシンの調理 ちょうり 法 ほう は中世 ちゅうせい のオランダで生 う み出 だ された。ニシン漁 りょう が解禁 かいきん される5月 がつ 末 まつ から6月 がつ 初 はじ めにかけて、デンマーク からノルウェー の沖 おき の北海 ほっかい で獲 え れたものが使 つか われる[2] 。なぜなら、この頃 ころ のタイセイヨウニシンは魚 さかな 卵 たまご や白子 しらこ がまだ発達 はったつ せず、脂 あぶら が乗 の っているからである。オランダでは夏 なつ の風物詩 ふうぶつし のように食 た べられており、スヘフェニンゲン の「旗 はた の日 ひ 」(6月 がつ 14日 にち )のように新 しん ニシンを味 あじ わう催事 さいじ が開 ひら かれる地域 ちいき もある。タマネギ が付 つ き物 もの で、切 き り方 かた や食 た べ方 かた に地域 ちいき 差 さ がある。ハーグ やスヘフェニンゲン周辺 しゅうへん では、尾 お を指 ゆび でつまんで持 も ち上 あ げて丸 まる ごと一 いち 匹 ひき を食 た べるスタイルが好 この まれる。アムステルダム などでは一口 ひとくち 大 だい に切 き って爪楊枝 つまようじ で刺 さ して食 た べ、ピクルス を付 つ け合 あわ せる[1] 。
ドイツよりオランダの方 ほう が薄塩 うすじお のマイルドな味付 あじつ けである。また、ドイツの基準 きじゅん では寄生虫 きせいちゅう 対策 たいさく として、酢漬 すづ けにする前 まえ に氷点下 ひょうてんか 45℃以下 いか にする必要 ひつよう 性 せい がある。
^ 生物 せいぶつ 学 がく 的 てき ・歴史 れきし 学 がく 的 てき にニシン属 ぞく と比定 ひてい され、欧米 おうべい においては主 おも にタイセイヨウニシンを指 さ す。
^ 成魚 せいぎょ 一 いち 歩 ほ 手前 てまえ の未 み 成魚 せいぎょ が「若 わか 魚 さかな (わかうお)」。
^ 原意 げんい は[Hollandse (オランダの)+ Nieuwe (新 あたら しもの)]であり、転 てん じて「オランダの、初物 はつもの ニシン(を使 つか った料理 りょうり )」とでも言 い うべき意味合 いみあ いになる。そしてこのオランダ料理 りょうり に限 かぎ った、あるいはこのオランダ料理 りょうり を起源 きげん とする同種 どうしゅ の料理 りょうり に限 かぎ った日本語 にほんご 訳名 やくめい 「新 しん 鰊 にしん /新 しん ニシン 」が散見 さんけん されるのも、オランダ語 ご の原意 げんい あってのこと。
^ 稀 まれ ではあるが、この意味 いみ での「ヘリング」「ヘーリング」も表記 ひょうき 揺 ゆ れとして見 み られる。
^ もっとも、現地 げんち 語 ご などでは、この料理 りょうり に使 つか うニシンを指 さ して「若 わか くて小 ちい さいハーリング」といい、そのままでこの料理 りょうり をも意味 いみ することがある(フラマン語 ご : maatjesharing, 英語 えいご : matjesherring など)。成魚 せいぎょ のハーリングで新 しん ニシンは作 つく れず、若 わか 魚 さかな のハーリングを使 つか った料理 りょうり と言 い えば新 しん ニシンだからである。
^ フランス語 ふらんすご では、オランダ語 ご のまま、もしくはフラマン語 ご の maatjes (マーチェス)に同 おな じ。