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ヒメ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヒメ
ヒメの1しゅ Aulopus purpurissatus
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : じょうひれつな Actinopterygii
つな : しんひれつな Neopterygii
: ヒメ Aulopiformes
下位かい分類ぶんるい
本文ほんぶん参照さんしょう

ヒメ学名がくめいAulopiformes)は、硬骨魚こうこつぎょるい分類ぶんるいぐんひとつ。415構成こうせいされ、44ぞく236しゅ記載きさいされる[1]ヒメマエソなど海底かいてい付近ふきんらすそこ生魚なまざかなと、ミズウオボウエンギョなど深海しんかい中層ちゅうそう遊泳ゆうえいする魚類ぎょるいをともにふくんだグループである。

分布ぶんぷ生態せいたい

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ヒメ魚類ぎょるいぜん世界せかい海洋かいよう分布ぶんぷし、生息せいそく深度しんどはごくあさ沿岸えんがんいきから深海しんかいまで幅広はばひろ[1]ヒメエソアオメエソチョウチンハダカそこせいせいで、のこるグループには中層ちゅうそうあるいは海底かいてい付近ふきん遊泳ゆうえいする漂泳ぎょおおふくまれる[1]雌雄しゆう同体どうたい種類しゅるいとく深海しんかいむものにおおく、個体こたい分布ぶんぷ密度みつどひくさへの適応てきおうれいかんがえられている。

エソ魚類ぎょるいはそのおおくが漁獲ぎょかく対象たいしょうとされ、おも練製品ねりせいひんとして利用りようされる。

形態けいたい

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ヒメ仲間なかま一般いっぱん細長ほそながく、円筒えんとうがた体型たいけいをもつ[2]形態けいたいがくてき共通きょうつうてんとしては、くちおおきくするどをもつこと、あぶらひれ(あぶらびれ)をもつ種類しゅるいおおいこと、ぶくろくことがげられる[1][2]

だいのどえらこつ外側そとがわ後方こうほうながびるなど[1]えらゆみ構造こうぞう特殊とくしゅすすんでおり、硬骨魚こうこつぎょるいにはみられない本目ほんめ特徴とくちょうとなっている。ぎょ腹膜ふくまくには色素しきそ沈着ちんちゃくみとめられる[3]

分類ぶんるい

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現生げんなまのヒメ魚類ぎょるいはヒメ・アオメエソ・ミズウオ・ボウエンギョの4けられ、1544ぞく236しゅ構成こうせいされる[1]絶滅ぜつめつしたグループとして Ichthyotringoidei と Halecoidei られ、それぞれ310ぞく以上いじょうおよび13ぞく記載きさいされている[1]。1990年代ねんだい以降いこう、ヒメ内部ないぶにおけるぞく位置付いちづけや、あいだでのたん系統けいとうせい評価ひょうかについて、さまざまな変遷へんせんかさねられている[1]

ヒメ Synodontoidei(Aulopoidei)
ホタテエソ Pseudotrichonotus altivelis(ホタテエソ
ニシアカエソ Synodus intermedius(エソ
ヒトスジエソ Synodus variegatus(エソ
48ぞくからなり、78しゅふくむ。Nelson(2006)の体系たいけいではBaldwin(1996)[4]およびSato(2002)[5]らの解析かいせき結果けっかまえ、ナガアオメエソぞく本目ほんめなかでもっとも原始げんしてきいちぐんであり、のヒメ魚類ぎょるい姉妹しまいぐんであるとする見解けんかい採用さいようしている[1]
ナガアオメエソ Paraulopidae
1ぞく10しゅで、おもインド太平洋たいへいよう分布ぶんぷするそこ生魚なまざかな一群いちぐんである[1]最大さいだいで35cmほどに成長せいちょうし、背鰭せびれひれじょうすうは10-11ほん[1]
ヒメ Aulopidae
2ぞく10しゅふくみ、Aulopus ぞく大西おおにしひろしHime ぞく太平洋たいへいよう分布ぶんぷする[1]背鰭せびれおこりはじめからだ前方ぜんぽうにあり、ひれじょうすうは14-22ほん本科ほんかはかつて単独たんどくでヒメ Aulopoidei を構成こうせいしていた。Hime ぞく設置せっちみとめず、Aulopus ぞくふくめる意見いけんもある[4]
ホタテエソ Pseudotrichonotidae
1ぞく1しゅで、ホタテエソ P. altivelis のみをふくむ。背鰭せびれひれじょうすうは33ほんで、あぶらひれく。最大さいだいちょうやく9 cm。
エソ Synodontidae
24ぞく57しゅ構成こうせいされ、さん大洋たいよう幅広はばひろ分布ぶんぷする[1]雌雄しゆう異体いたいである。マエソワニエソオキエソなどは練製品ねりせいひん原料げんりょうとして漁獲ぎょかく対象たいしょうとなる。
アオメエソ Chlorophthalmoidei
512ぞく71しゅ
オニアオメエソ Bathysauroididae
オニアオメエソ B. gigas のみ、1ぞく1しゅのグループとの関係かんけい不明瞭ふめいりょうなままで、暫定ざんていてきにこの位置いちかれている[1]
アオメエソ Chlorophthalmidae
アオメエソぞくの1しゅ Chlorophthalmus agassizi (アオメエソ
さん大洋たいよう深海しんかい分布ぶんぷするそこ生魚なまざかなで、2ぞく19しゅふく[1]おおきく、雌雄しゆう同体どうたいである。マルアオメエソなどの食用しょくようしゅ総称そうしょうして「メヒカリ」とぶこともある。
Bathysauropsidae
1ぞく3しゅ本属ほんぞくはかつてチョウチンハダカふくめられていたが、Nelson(2006)において単独たんどくとされた[1]
フデエソ Notosudidae
3ぞく19しゅからなり、北極ほっきょくおよび南極なんきょく周囲しゅうい寒冷かんれいうみ生息せいそくする[1]ぎょ上顎じょうがくをもち、ヒメほか魚類ぎょるいにはられない特徴とくちょうとなっている。
チョウチンハダカ Ipnopidae
チョウチンハダカの1しゅ(Ipnopidae sp.)。なが発達はったつしたひれもちいて海底かいてい直立ちょくりつする姿すがたむねひれひれじょうはアンテナのように細長ほそながく、浮遊生物ふゆうせいぶつ捕捉ほそく役立やくだてられている
5ぞく29しゅふくむ。ちいさく、いたじょう網膜もうまくしかのこっていない種類しゅるいもある。イトヒキイワシぞくむねひれはらひれ尾鰭おびれいちじるしくながびる。
ミズウオ Alepisauroidei
422ぞく83しゅ構成こうせいされる。かつて独立どくりつの Enchodontidae として分類ぶんるいされていたはく亜紀あき絶滅ぜつめつぐん、Cimolichthyidae および Enchodontidae の2は、Nelson(2006)の体系たいけいではほんふくめられるようになった[1]
デメエソ Scopelarchidae
ヒカリデメエソ Benthalbella infans (デメエソ
4ぞく17しゅふくみ、北極ほっきょくかい地中海ちちゅうかいのぞくすべてのうみからられている[1]おおきく管状かんじょうで、真上まうえいている。したうえかぎのついた強靭きょうじんをもつ。全身ぜんしんうろこがある。
ヤリエソ Evermannellidae
ミナミヤリエソ Coccorella atrata(ヤリエソ
3ぞく7しゅふくむ。頭部とうぶからだにはうろこがない。おおきさはさまざまで、ほとんどの種類しゅるい管状かんじょうになっている。
ミズウオ Alepisauridae
ミズウオ Alepisaurus ferox(ミズウオ
2ぞく3しゅうろこく。ミズウオぞく背鰭せびれひれじょう非常ひじょうなが発達はったつする。キバハダカぞくは、以前いぜん独立どくりつのキバハダカ Omosudidae としてあつかわれていた。
ハダカエソ Paralepididae
ハダカエソ Lestrolepis japonica(ハダカエソ
13ぞく56しゅからなり、きょくけんふくぜん海洋かいよう分布ぶんぷ範囲はんいとする[1]背鰭せびれからだみき中央ちゅうおうからおこりはじめし、しりひれ基底きていながい。ミズウオダマシぞくはかつてミズウオダマシ Anotopteridae として分類ぶんるいされていた。
ボウエンギョ Giganturoidei
シンカイエソ Bathysaurus mollis(シンカイエソ)。水深すいしん2,375mにて撮影さつえい
22ぞく4しゅ構成こうせいされる。シンカイエソぞくはかつて所属しょぞくしたエソからほん移動いどうされ、単独たんどくとされた。
シンカイエソ Bathysauridae
1ぞく2しゅ頭部とうぶつよたてひらたし、ひらべったくなっている。深海しんかいそこせい生活せいかつをし、雌雄しゆう同体どうたいである。
ボウエンギョ Giganturidae
1ぞく2しゅふくむ。いずれも遊泳ゆうえいせい深海魚しんかいぎょで、眼球がんきゅうおおきく突出とっしゅつした管状かんじょうをもつ。伸縮しんしゅくせいみ、大型おおがた獲物えものむことが可能かのうとなっている。むねひれ位置いちたかく、えらよりもうえにある。尾鰭おびれしたがわひれじょうながびる。本科ほんか魚類ぎょるい発生はっせいじょ特徴とくちょうがあり、ぜん上顎じょうがくこつ頭頂とうちょうこつこうがわ頭骨とうこつなどいくつかの骨格こっかくく。

系統けいとう

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Davis and Fielitz(2010)による分子ぶんし形態けいたい双方そうほうのデータからの系統けいとう解析かいせきでは、以下いかのような系統けいとうじゅられている[6]。この場合ばあい、ボウエンギョ・アオメエソたん系統けいとうとならない。

ヒメ

アカエソ Synodontinae

ヒメ Aulopidae

ミズテング Harpadontinae

ホタテエソ Pseudotrichonotidae

ナガアオメエソ Paraulopidae

ボウエンギョ Giganturidae

シンカイエソ Bathysauridae

チョウチンハダカ Ipnopidae

アオメエソ Chlorophthalmidae

フデエソ Notosudidae

デメエソ Scopelarchidae

ヤリエソ Evermannellidae

ハダカエソ Paralepididae(ミズウオ Alepisauridaeふくむ)

Enchodontidae

出典しゅってん脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 『Fishes of the World Fourth Edition』 pp.214-223
  2. ^ a b 新版しんぱん ぎょ分類ぶんるい図鑑ずかん』 pp.72-73
  3. ^ 『Origin and Phylogenetic Interrelationships of Teleosts』 pp.144-145
  4. ^ a b Baldwin CC, Johnson GD (1996). Interrelationships of fishes. San Diego: Academic Press 
  5. ^ Sato T, Nakabo T (2002). “Paraulopidae and Paraulopus, a new family and genus of aulopiform fishes with revised relationships within the order”. Ichthyol Res 49: 25-46. 
  6. ^ Matthew P. Davis, Christopher Fielitz (2010). “Estimating divergence times of lizardfishes and their allies (Euteleostei: Aulopiformes) and the timing of deep-sea adaptations”. Molecular Phylogenetics and Evolution 57 (3): 1194–1208. doi:10.1016/j.ympev.2010.09.003. 

参考さんこう文献ぶんけん

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外部がいぶリンク

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