フィンガー・ピッキング

フィンガー・ピッキング (Finger picking) とは、ギターなどの撥ばち弦楽器げんがっきを、ピックなどを使つかわず、指ゆび先さきと爪つめを使つかって弾たま(はじ)き演奏えんそうする奏法そうほう。指弾しだんき。ヴァイオリンやコントラバスを含ふくむクラシック楽器がっきに用もちいる場合ばあいはピッツィカート、もしくはピチカートと呼よぶ。ジャンルとしてはクラシック音楽おんがく、フラメンコ、ラグタイム、カントリーブルース/デルタ・ブルース、カントリーミュージック、ブルース、フォークソング、アフリカ音楽おんがく、ジャズ、ワールド・ミュージック、ボサノヴァなど、多おおくのジャンルでフィンガー・ピッキングを使用しようした演奏えんそうがおこなわれている。

概要がいよう

主おもにクラシックギター、アコースティックギター、バンジョー、ウッドベースなどのアコースティック系けいの楽器がっきで使用しようされるが、エレキギターなどでロックなど他たの音楽おんがくジャンルでも使用しようされる。ただし、クラシック・ギターにおけるフィンガーピッキング奏法そうほうは厳密げんみつな取とり決きめが数多かずおおくあるのに対たいし、ロックやポピュラー音楽おんがくでの奏法そうほうにはこれといった取とり決きめはほとんどなく、演奏えんそう者しゃが独自どくじに技法ぎほうを開拓かいたくする場合ばあいがほとんどである。演奏えんそう者しゃとしては、フォーク・カントリーのジョン・フェイヒー、レオ・コッケらがいた。

5弦げんバンジョーの場合ばあいはほぼ必かならず、スティール弦つるアコースティックギターやエレキギターの場合ばあいは音量おんりょうや演奏えんそう者しゃの好このみに応おうじてフィンガーピックが演奏えんそうに用もちいられる。

また、ベースにおいては、アコースティックベース、エレキベース、音楽おんがくジャンルを問とわず、ピック奏法そうほうに加くわえ、フィンガー・ピッキングが用もちいられる事ことが多おおい。スラッピングやタッピングなどの奏法そうほうに移行いこうしやすいため、特とくにテクニカルなプレイを好このむプレイヤーはフィンガー・ピッキングを好このむ傾向けいこうがある。

ギター・ベース・バンジョーのフィンガー・ピッキング技法ぎほう

親指おやゆびから薬指くすりゆびまでの4本ほんを使用しようする奏法そうほう

親指おやゆびから薬指くすりゆびを順番じゅんばんに動うごかして分散ぶんさん和音わおんやトレモロ奏法そうほうなどを演奏えんそうする奏法そうほうである。ギターではクラシック・ポピュラー音楽おんがくの双方そうほうで最もっとも一般いっぱん的てきに用もちいられる。

スリーフィンガー・ピッキング

バンジョーでのスリーフィンガー・ピッキングの例れい（Gコード）

ギターでのスリーフィンガー・ピッキング (Travis picking) の例れい（Cコード）

親指おやゆびから中指なかゆびを順番じゅんばんに動うごかして分散ぶんさん和音わおんやトレモロ奏法そうほうなどを演奏えんそうする奏法そうほうである。もともと、ブルーグラスやカントリー・ミュージックにおける5弦げんバンジョーとアコースティック・ギターの演奏えんそうで一般いっぱん的てきに用もちいられる奏法そうほうであり、そこから派生はせいしたかたちでフォークソングやロックのギター演奏えんそうにおいてもしばしば用もちいられる。

また、ベースにおけるスリーフィンガー・ピッキングはあまり一般いっぱん的てきな奏法そうほうではない。これは、ベースの演奏えんそう時じには親指おやゆびを支点してんとして掌てのひらを固定こていするため、人差ひとさし指ゆび・中指なかゆび・薬指くすりゆびの3本ほんの指ゆびを用もちいて演奏えんそうすることになり、薬指くすりゆびが他たの指ゆびに比くらべて動うごかし辛しんく力りょくが弱よわいためピッキングがバラつきやすいことによる。エレクトリック・ベースの演奏えんそうにおいてこの奏法そうほうを使用しようするベーシストでは、ジャズのスタンリー・クラークやアンソニー・ジャクソンなどが挙あげられる。ジャズ・ベーシストのマシュー・ギャリソン（en:Matthew Garrison）やアドリアン・フェロー（en:Hadrien Feraud）などはこの奏法そうほうに親指おやゆびを加くわえたフォーフィンガー・ピッキングを行おこなうこともある。ウッドベースでは、ジャズ・ベーシストのニールス・ペデルセン（en:Niels-Henning Ørsted Pedersen）が人差ひとさし指ゆび～薬指くすりゆびの三さん本ほんによる高速こうそくなフレージングを自在じざいにこなしたが、ペデルセンが編あみ出だしたこの奏法そうほうは極きわめて独自どくじ性せいが高たかく高度こうどな技術ぎじゅつを要ようするもので、追随ついずい者しゃはほとんど現あらわれていない。

ツーフィンガー・ピッキング

詳細しょうさいは「ツーフィンガー奏法そうほう」を参照さんしょう

• 人指ひとさし指ゆびと中指なかゆび

コントラバスやベース・ギターに於おけるフィンガー・ピッキングとしては最もっとも一般いっぱん的てきな奏法そうほうで、音楽おんがくのジャンルを問とわず活用かつようされる。ピック奏法そうほうに比くらべると輪郭りんかくやアタックがぼやけがちだが、ニュアンスの変化へんかは比較的ひかくてき付つけやすい。

• 親指おやゆびと人指ひとさし指ゆび

主おもにカントリー・ミュージック、ブルーグラスなどで用もちいられる奏法そうほう。ポール・マッカートニー、ポール・サイモン、PPMらが、この演奏えんそう方法ほうほうで楽曲がっきょくを発表はっぴょうしたことがある。

アポヤンドとアル・アイレ

アポヤンド

スペイン語ごで「寄よりかかる」と言いう意味いみ。

ギター・ベースで、ピッキングした後のちの指ゆびを隣となりの弦つるに触ふれて止とめる弾ひき方かた。

アル・アイレ

スペイン語ごで「空中くうちゅうに」と言いう意味いみ。

ギター・ベースで、ピッキングした後のちの指ゆびを隣となりの弦つるに触ふれさせない弾びき方かた。

関連かんれん項目こうもく

• スラップ奏法そうほう
• タッピング奏法そうほう
• ツーフィンガー奏法そうほう
• ピック奏法そうほう