スカラベ

タマオシコガネ属ぞく Scarabaeus
	糞くそを転ころがすスカラベ
分類ぶんるい
学名がくめい
	Scarabaeus; Linnaeus, 1758年ねん
シノニム
	Actinophorus Creutzer, 1799; Madateuchus Paulian, 1953; Mnematidium Ritsema, 1883; Mnematium MacLeay, 1821; Neateuchus Gillet, 1911; Neomnematium Janssens, 1938; Neopachysoma Ferreira, 1953; Sebasteos Westwood, 1847;

スカラベ（scarab）は、甲虫かぶとむし類るいのコガネムシ科かにタマオシコガネ属ぞくの属ぞく名めい及およびその語源ごげんとなった古代こだいエジプト語ご。単独たんどくの種たね名めいではないため、いくつもの種たねが存在そんざいする。古代こだいエジプト人じんが聖せいなる甲虫かぶとむしとしていたのはヒジリタマオシコガネ（Scarabaeus sacer）の事ことである。

概要がいよう

フランスの生物せいぶつ学者がくしゃであるジャン・アンリ・ファーブルが自身じしんの著書ちょしょ『昆虫こんちゅう記き』の中なかで研究けんきゅうしたスカラベ・サクレには、タマオシコガネやフンコロガシという和名わみょうが充あてられて紹介しょうかいされ、有名ゆうめいになった。ただ、その後ごにサクレはファーブルの誤あやま同定どうていであったことが判明はんめいし、和名わみょうもヒジリタマオシコガネへ改あらためられている。スカラベやフンコロガシは、糞くそを食料しょくりょうとする糞虫くそむしに含ふくめて紹介しょうかいされる。

食しょく性せい

動物どうぶつの糞くそを球状きゅうじょうにして食しょくとして持もち運はこぶ習性しゅうせいで知しられている。糞くそを見みつけたスカラベは、頭あたまの先端せんたんにある突起とっきを使つかって糞くその塊かたまりを切きり出だし、後足あとあしで糞くそを球形きゅうけいに整ととのえながら前足まえあしで糞くそを付つけ足たすという動作どうさを続つづけ、その場ばで球たまを大おおきくしていく。球たまが十分じゅうぶんに大おおきくなると、逆立さかだちして後足あとあしで転ころがし始はじめる。糞くそ球だまは安全あんぜんな場所ばしょまで運はこんで食料しょくりょうとするが、運はこぶ最中さいちゅうに別べつのスカラベが現あらわれて糞くそ球だまを奪うばってしまうこともある^[2]。

2012年ねん現在げんざい、ファーブルの観察かんさつや採集さいしゅうのフィールドであった南仏なんふつ各地かくちは開発かいはつが進すすみ、スカラベが激減げきげんしている。

スウェーデン・ルンド大学だいがくの研究けんきゅう者しゃたちは、フンコロガシが糞くそを転ころがす直線ちょくせん方向ほうこうを、天あまの川がわの星ほし明あかりを道みちしるべにして決きめていることを突つき止とめた^[3]。

古代こだいエジプトにおけるスカラベ

詳細しょうさいは「スカラベ (アーティファクト)（英語えいご版ばん）」を参照さんしょう

古代こだいエジプトでは糞くそ塊かたまりを転ころがして大おおきな球体きゅうたいを作つくるスカラベの習性しゅうせいを神秘しんぴ的てきなものと考かんがえ、その球体きゅうたいを太陽たいように見立みたてて、スカラベを太陽たいようの運行うんこうを司つかさどる神かみである太陽たいよう神しんケプリと同一どういつ視しした^[2]。太陽たいようは再生さいせいや復活ふっかつの象徴しょうちょうでもあり、スカラベは聖せいなる甲虫かぶとむしとして崇拝すうはいされ、アーティファクトとしてスカラベをかたどった石いしや印章いんしょう(古代こだいエジプトファイアンス（英語えいご版ばん）で出来できたハート・スカラベ（英語えいご版ばん）等ひとし)なども作つくられている。また、スカラベはオスしか存在そんざいしない昆虫こんちゅうで、自分じぶんの精液せいえきを糞くその玉たまの中なかへ注つぎ込こみスカラベが繁殖はんしょくすると解釈かいしゃくしていた。

2018年ねん11月、エジプトのカイロ南方なんぽうにあるサッカラの古代こだいエジプトの共同きょうどう墓地ぼちで、甲虫かぶとむし類るいに属ぞくするスカラベの希少きしょうなミイラが複数ふくすうと、手付てつかずとみられる第だい5王朝おうちょう時代じだい（紀元前きげんぜん2500 - 同どう2350年ねん）の墓はかが見みつかった^[4]。

映画えいが「ハムナプトラ」シリーズでの描写びょうしゃ

下記かきの映画えいがで「スカラベ」についての描写びょうしゃがある。

ハムナプトラ/失うしなわれた砂漠さばくの都と（1999年ねん）

ハムナプトラ2/黄金おうごんのピラミッド（2001年ねん）

どちらにも、自分じぶんより大型おおがたの生いき物ものへ集団しゅうだんで襲おそい掛かかり捕食ほしょくする肉食にくしょくの甲虫かぶとむし「スカラベ」が登場とうじょうする。

甲虫かぶとむし目めに限かぎらず、ハエ目めやハチ目めにも動物どうぶつの死し肉にくや他たの虫むしの幼虫ようちゅう、水陸すいりく性せいの巻まき貝がいなどを捕食ほしょくするものが存在そんざいするが、このような獰猛どうもうな種類しゅるいは存在そんざいしない。そもそもスカラベやフンコロガシが属ぞくする科かの昆虫こんちゅうにそのような種類しゅるいは見みつかっていない。この映画えいがでの描写びょうしゃはオサムシ、シデムシ、エンマムシなどの生活せいかつ描写びょうしゃと、クワガタムシのような大おおきく鋭するどい大だい顎あごを持もつ種類しゅるいの形態けいたい描写びょうしゃを併あわせた架空かくうの「スカラベ」である。