出典 しゅってん : フリー百科 ひゃっか 事典 じてん 『ウィキペディア(Wikipedia)』
場 ば の量子 りょうし 論 ろん において、プロカ方程式 ほうていしき (プロカほうていしき、Proca equation)は、スピン 1を持 も ち、0でない質量 しつりょう を持 も つ相対 そうたい 論 ろん 的 てき なボース粒子 りゅうし 、及 およ びそれと対応 たいおう するベクトル場 じょう を記述 きじゅつ する運動 うんどう 方程式 ほうていしき である。質量 しつりょう が0のプロカ方程式 ほうていしき はマクスウェル方程式 ほうていしき である。名称 めいしょう はルーマニア 出身 しゅっしん の物理 ぶつり 学者 がくしゃ アレクサンドル・プロカ に由来 ゆらい する[1] 。
プロカ方程式 ほうていしき は以下 いか のように表記 ひょうき される。
(
∂
μ みゅー
∂
μ みゅー
+
m
2
)
A
ν にゅー
=
0
{\displaystyle \left(\partial _{\mu }\partial ^{\mu }+m^{2}\right)A^{\nu }=0}
ここで、Aν にゅー は実 み ベクトル場 じょう 、mはベクトル場 じょう の質量 しつりょう であり、ミンコフスキー空間 くうかん の計量 けいりょう テンソル はdiag(+1, -1, -1, -1)を採用 さいよう している。この形式 けいしき を見 み れば分 わ かるように、プロカ方程式 ほうていしき はクライン=ゴルドン方程式 ほうていしき で記述 きじゅつ されるスカラー場 じょう を、時空 じくう について4成分 せいぶん のベクトル場 じょう と入 い れ換 か えた式 しき である。
この項 こう で解説 かいせつ するのは、プロカ方程式 ほうていしき を導出 どうしゅつ する最 もっと も単純 たんじゅん なラグランジアン密度 みつど であるプロカ形式 けいしき である。質量 しつりょう を持 も つベクトル場 じょう を記述 きじゅつ する形式 けいしき として、他 た にシュテュッケルベルク形式 けいしき がある。プロカ形式 けいしき は、シュテュッケルベルク形式 けいしき における補助 ほじょ スカラー場 じょう を0とした場合 ばあい と等 ひと しい形式 けいしき である。
プロカ形式 けいしき のラグランジアン密度 みつど は以下 いか のように表記 ひょうき される。
L
=
−
1
4
F
μ みゅー
ν にゅー
F
μ みゅー
ν にゅー
+
1
2
m
2
A
ν にゅー
A
ν にゅー
{\displaystyle {\mathcal {L}}=-{\frac {1}{4}}F_{\mu \nu }F^{\mu \nu }+{\frac {1}{2}}m^{2}A_{\nu }A^{\nu }}
ここで、Aν にゅー は実 み ベクトル場 じょう で、
F
μ みゅー
ν にゅー
≡
∂
μ みゅー
A
ν にゅー
−
∂
ν にゅー
A
μ みゅー
{\displaystyle F_{\mu \nu }\equiv \partial _{\mu }A_{\nu }-\partial _{\nu }A_{\mu }}
(Aν にゅー が電磁場 でんじば の場合 ばあい は電磁場 でんじば テンソル )である。このラグランジアン密度 みつど はベクトル場 じょう の質量 しつりょう 項 こう が存在 そんざい するためにゲージ不変 ふへん 性 せい を破 やぶ っている。
上記 じょうき のラグランジアン密度 みつど をオイラー=ラグランジュ方程式 ほうていしき
∂
μ みゅー
(
∂
L
∂
(
∂
μ みゅー
A
ν にゅー
)
)
−
∂
L
∂
A
ν にゅー
=
0
{\displaystyle \partial _{\mu }\left({\frac {\partial {\mathcal {L}}}{\partial (\partial _{\mu }A_{\nu })}}\right)-{\frac {\partial {\mathcal {L}}}{\partial A_{\nu }}}=0}
に代入 だいにゅう して得 え られる運動 うんどう 方程式 ほうていしき がプロカ方程式 ほうていしき である。
∂
μ みゅー
(
∂
μ みゅー
A
ν にゅー
−
∂
ν にゅー
A
μ みゅー
)
+
m
2
A
ν にゅー
=
0
{\displaystyle \partial _{\mu }(\partial ^{\mu }A^{\nu }-\partial ^{\nu }A^{\mu })+m^{2}A^{\nu }=0}
ここで、両辺 りょうへん に
∂
ν にゅー
{\displaystyle \partial _{\nu }}
をかけて、
∂
μ みゅー
∂
ν にゅー
F
μ みゅー
ν にゅー
=
0
{\displaystyle \partial _{\mu }\partial _{\nu }F^{\mu \nu }=0}
を用 もち いると、m≠0 のとき、ローレンツゲージ 条件 じょうけん
∂
μ みゅー
A
μ みゅー
=
0
{\displaystyle \partial _{\mu }A^{\mu }=0}
が自動的 じどうてき に導 みちび ける。これより、結局 けっきょく 、プロカ方程式 ほうていしき は
(
∂
μ みゅー
∂
μ みゅー
+
m
2
)
A
ν にゅー
=
0
{\displaystyle \left(\partial _{\mu }\partial ^{\mu }+m^{2}\right)A^{\nu }=0}
となる。
なお、四元 よつもと ベクトルポテンシャルは本来 ほんらい 4成分 せいぶん であるが、ローレンツゲージ条件 じょうけん が課 か されていることにより、独立 どくりつ な成分 せいぶん は3成分 せいぶん になる。これはプロカ方程式 ほうていしき によって記述 きじゅつ される粒子 りゅうし がスピン1の粒子 りゅうし であることに対応 たいおう している。
^ Proca, A. (1936). “Sur la théorie ondulatoire des électrons positifs et négatifs”. Journal de Physique et le Radium 7 : 347–353. doi :10.1051/jphysrad:0193600708034700 .