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シティサイクル

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ママチャリから転送てんそう

シティサイクル(City cycle)とは、現在げんざい日本にっぽんにおける自転車じてんしゃなかもっと一般いっぱんてき多数たすうめる日常にちじょう生活せいかつよう車種しゃしゅ総称そうしょうである。ぞくに「ママチャリ」などともばれる[1]。また、「軽快けいかいしゃ」とばれることもある(軽快けいかいしゃ参照さんしょう)。英語えいごけんでは、シティバイク(Citybike)、アーバンバイク(Urbanbike)、クラシックバイク(Classic bike)、ヨーロピアンシティバイク(European city bike、ECB)ともばれる。通勤つうきんようとしてマウンテンバイクのコンポーネントを搭載とうさいしたクロスバイクのようなハイブリッドバイクもありコミューターバイク(Commuter bike)とばれる。

定義ていぎ[編集へんしゅう]

かつてこのカテゴリーは軽快けいかいしゃばれていたが、日本人にっぽんじんのライフスタイルと嗜好しこう変化へんかおうじてこの分野ぶんや製品せいひん形態けいたい変化へんか多様たようすすんだことで、軽快けいかいしゃという枠組わくぐみではとらえきれなくなったためにあらたにあたえられた名称めいしょうである。日本工業規格にほんこうぎょうきかくJIS D 9111:2005(自転車じてんしゃ - 分類ぶんるいおよしょもと)では、従来じゅうらいの「軽快けいかいしゃ」にえて「シティしゃ」として、「おも日常にちじょう交通こうつう手段しゅだんおよびレジャーにもちいるたん中距離ちゅうきょりていちゅうそく走行そうこうよう自転車じてんしゃ」と定義ていぎされている。

軽快けいかいしゃとシティサイクルのあいだ明確めいかく定義ていぎがあるわけではなく、その境界きょうかい曖昧あいまいである。「シティサイクル」の名称めいしょうは、自転車じてんしゃ業界ぎょうかいかい)で自然しぜん発生はっせいてきまれひろまったものを業界ぎょうかい団体だんたい公的こうてき機関きかん追認ついにんするかたちとなった。そのため、そのしめ範囲はんい業界ぎょうかいにおいても厳密げんみつではなく、特定とくていのタイプをしてもちいられる場合ばあいもあれば、ミニサイクルやコンパクトしゃ、さらにはビーチクルーザーなどひろ範囲はんいしてもちいられる場合ばあいもある。

ちなみに「ママチャリ」という俗称ぞくしょうは、当初とうしょ婦人ふじんようミニサイクルをすものとしてまれ(“ママチャリンコ”のりゃく)、やがてミニサイクルブーム終焉しゅうえんともなって婦人ふじんよう軽快けいかいしゃすものにうつり、ついにはシティサイクル全体ぜんたいすものへと変化へんかしたというせつがある。

歴史れきし[編集へんしゅう]

かつて日本にっぽん主流しゅりゅうだった実用じつようしゃ
コンテンポラリーデザインのヨーロピアンシティバイク

かつて日本にっぽんでは、一般いっぱんてき実用じつようしゃ使用しようされていた。女性じょせい使用しよう考慮こうりょしたものもつくられたものの、さらなる開発かいはつ必要ひつようとなり、ファッショナブルでかる軽快けいかいしゃおお発表はっぴょうされる。日本工業規格にほんこうぎょうきかくにて軽快けいかいしゃからシティしゃへのさい定義ていぎおこなわれたのはJIS D 9111の1995ねん改正かいせいである。しかし現実げんじつ変化へんかはそれよりはるかにはやくからはじまっていた。なかでもエポックメーキングだったのは、1980年代ねんだい初期しょきブリヂストンサイクル発売はつばいしたKAMAKIRIシリーズである。それまでの画一かくいつてき軽快けいかいしゃわくだっし、ファッショナブルなデザインをむことであらたな需要じゅようこすこころみとして、KAMAKIRIのヒットにはしはっし、かく自転車じてんしゃメーカーもこぞって追従ついしょうするブームとなった。「KAMAKIRI」はブリヂストンの商標しょうひょうであるため、他社たしゃ製品せいひんふくめたこの分野ぶんや全体ぜんたいあらわすものとして「シティサイクル」という名称めいしょうまれ、次第しだいにその範囲はんいひろげていった。

その特徴とくちょうとして、スポーツしゃのイメージをれたり、無駄むだ装備そうびはらう「ざん発想はっそう」にもとづくデザインと、あか黄色おうしょくみどりなどのあざやかな膨張ぼうちょうしょくのモデルも発売はつばいするなど、それらによって従来じゅうらい軽快けいかいしゃおおきく上回うわまわる「軽快けいかいかん」を体現たいげんしていた。どろよけをそなえ、シンプルなはんケースのチェーンガードと、ワイヤしきブレーキを前後ぜんごそなえる。また、あざやかな塗装とそうしょく紫外線しがいせんによる退色たいしょくや、よごれやびが目立めだちやすいてん問題もんだいされて、よごれの目立めだたない中間色ちゅうかんしょくのメタリック塗装とそうおおい。

種類しゅるい[編集へんしゅう]

シティサイクルは使用しよう目的もくてきやユーザーそうわせた多様たよう形態けいたいがあり、いくつかの代表だいひょうてきなタイプにわけられる。

基本きほんがた[編集へんしゅう]

シティサイクル(基本きほんがた

メーカーや販売はんばいてんによっては、たんに「シティサイクル」という場合ばあいは、とくにこのタイプに限定げんていする場合ばあいもある。カマキリ自転車じてんしゃ面影おもかげ色濃いろこのこもっともシンプルなタイプであり、性別せいべつわないユニセックスな形態けいたいであるため、学生がくせい生徒せいと通学つうがくや、男性だんせいおよびわか女性じょせい通勤つうきん用途ようとえらばれることがおおい。

フレームは直線ちょくせんてき構成こうせいのスタッガードフレーム(Staggered frame)ステップスルーフレーム step-through frame(オープンフレーム open frame、 ローステップフレーム low-step frame)で、チェーンガードはピストルがたばれるはんケース。スタンドは一本いっぽんあしのキックスタンドがく。ぜんかごを標準ひょうじゅん装備そうびするが、リヤキャリヤ(こう荷台にだい)は別売べつうりとなるものがおおい。ぞくにトンボハンドルとばれるオールラウンダー・バータイプのハンドルバーをもつものおおいが、カマキリハンドルとばれるおおきくアップした(ライズがおおきいと表現ひょうげんすることもある)アップハンドルを装備そうびしたものもある。スタッガードフレームとは和製わせい英語えいごであり、「よろめいたフレーム」と意味いみになってしまうため、英語えいごでは、使つかわれない。

タイヤのサイズは27がた(27×1 3/8 リムみち630mm)のものが多数たすうめ、一部いちぶにひとまわりちいさい26がた(26×1 3/8 リムみち590mm、フランスしき:650A)や、体格たいかくおおきく活発かっぱつなユーザーによる酷使こくしえるべく、おおきくふとい28がた(28×1 1/2 リムみち635mm、フランスしき:700B)を採用さいようしたものがある。タイヤはばは35mm。なお、24×1 3/8、22×1 3/8、20×1 3/8サイズのちいさなものもあるが、これらは子供こどもしゃとしてあつかわれることがおおい。

チューブバルブには、えいしきバルブ(ウッズバルブ、ダンロップバルブ)のものが使つかわれている。

使用しようコンポーネントもスポーツバイク(ロードバイク・MTB)とことなる部分ぶぶんおおい。ボトムブラケットのシェルはばが70mmで右側みぎがわだけぎゃくネジ、フロントフォークのエンドはばが93mm(スポーツけいおおくが100mm)、各所かくしょ使つかわれるネジに「BC」規格きかくという自転車じてんしゃ専用せんようのものを使つかう、こうブレーキはハブと一体いったい使用しようバンドブレーキローラーブレーキ圧倒的あっとうてきおおい、等々とうとう独自どくじせいゆうしている。

自転車じてんしゃOロック
ボトルダイナモbottle dynamo)とランプ

標準ひょうじゅんOロックO-lock)がついている。

婦人ふじんよう[編集へんしゅう]

婦人ふじんようシティサイクル

ママチャリ婦人ふじんよう自転車じてんしゃなどとぶものである。メーカーや販売はんばいてんによっては「ホームサイクル」または「ファミリーサイクル」と場合ばあいもある。カマキリ自転車じてんしゃよりもさらにふるく1960年代ねんだい後期こうきから1970年代ねんだい前半ぜんはんごろにかけて流行りゅうこうした、婦人ふじんようミニサイクルの影響えいきょうがうかがえるタイプであり、おも主婦しゅふ中心ちゅうしんとした女性じょせいの、日常にちじょうもの用途ようとえらばれることがおおい。中学校ちゅうがっこう高等こうとう学校がっこう生徒せいとあいだでは、自転車じてんしゃ通学つうがくのため、あえてこのタイプをえらぶのがいきとする風潮ふうちょう一部いちぶられる。

スタッガードフレームをベースに曲線きょくせんれたダブルループフレーム(double loop frame)や、一本いっぽんふといパイプを加工かこうしたU(またはL)フレームで、りのさいになるべくあしたかげる必要ひつようがないよう配慮はいりょされている。乗員じょういんのスカートなど衣服いふくすそこうまれるのをふせぐドレスガードをそなえ、チェーンガードはフルカバードのぜんケースであるものがおおい。スタンドは両足りょうあしスタンドとばれる車体しゃたい直立ちょくりつした状態じょうたい駐車ちゅうしゃできるものが使つかわれ、荷物にもつろしのさい安定あんていかんがある。ぜんかごにくわえ、リヤキャリアも標準ひょうじゅん装備そうびするのが一般いっぱんてき上体じょうたいこした視界しかいひろ乗車じょうしゃ姿勢しせいられ、ぜんかごの荷物にもつ干渉かんしょうすることのいセミアップハンドルとばれるハンドルバーをもつものがほとんどであるが、アップハンドルにsemiがくのは、さきにミニサイクルに使つかわれていたアップハンドルと比較ひかくして、ライズが半分はんぶんほどとちいさいためである。

タイヤのサイズは26がた多数たすうめるが、27がたおよび小柄こがら顧客こきゃくけの24がた(24×1 3/8 リムみち540mm)も存在そんざいしている。なお、日本工業規格にほんこうぎょうきかくJIS D 9101-1991(自転車じてんしゃ用語ようご)では「車輪しゃりんみちび24以下いかのもの」をミニサイクルと規定きていしているが、販売はんばいてんなどかい現場げんばでは、24×1 3/8がたのシティサイクルはミニサイクルとはばないことがおおい。これは22がた(22×1 3/4 リムみち501mm がいみちから23.5がた場合ばあいもある)のミニサイクルと、24がた婦人ふじんようシティサイクルとのくるまかくちかいことによる混乱こんらんふせぐとともに、ミニサイクルという名称めいしょうともな特定とくていのイメージの影響えいきょうけるための習慣しゅうかんてき区別くべつである。

フルチェーンガードとスカートガードがついたシティバイク

スカートガードskirt guard)、ドレスガードdress guard)、コートガードcoat guard)がついている婦人ふじんよう自転車じてんしゃもある。

ファッションサイクル[編集へんしゅう]

ファッションサイクルのいちれい

基本きほんがたはシティサイクルの始祖しそであるカマキリ自転車じてんしゃ形態けいたいいでいるが、誕生たんじょう重要じゅうよう特質とくしつであったファッションせいは、普及ふきゅうともなってうしなわれ、「自転車じてんしゃのある生活せいかついろどりをあたえよう」という当初とうしょ精神せいしんすたれてしまった。シティサイクルが普及ふきゅうするにつれ画一かくいつてき形状けいじょうの、実用じつようせい一辺倒いっぺんとう銀色ぎんいろ塗装とそうのものばかりとなり、ぼつ個性こせいてきなシティサイクルがまちにあふれることになった。

こうした状況じょうきょう打破だはすべく、フレームやかく部品ぶひん装備そうびひん形状けいじょう色彩しきさい変化へんかあたえ、ファッションせいたかめるべくデザインされたものがあらわれ「ファッションサイクル」とばれるようになった。わか女性じょせい主婦しゅふえらばれることがおおい。

基本きほんがた婦人ふじんようをベースとして小規模しょうきぼ改変かいへんくわえただけの簡単かんたんなものが主流しゅりゅうだが、なかには実用じつようせいうたがわせるほど奇抜きばつなものもまれにある。

ハイブリッドバイク[編集へんしゅう]

ブレーキやギア、ハンドルなどは、マウンテンバイクコンポーネント使用しようし、ホイールやタイヤは、ロードバイクやツーリングバイクとおな700c規格きかく(リムみち622mm)を搭載とうさいしたクロスバイクのようなシティバイクもある。泥除どろよけ、チェーンガード、スタンドなどは、標準ひょうじゅん装備そうびされている。は、ママチャリだかギアもクロスバイクとおなじくらいついているモデルがおおく、スピードもクロスバイクみにる。ママチャリに形状けいじょうのフレームにママチャリに形状けいじょうのフラットバーハンドルを採用さいようし、タイヤのふとさは25cから38c程度ていど路面ろめんからの衝撃しょうげき吸収きゅうしゅうできたいパンク性能せいのう確保かくほしたタイヤを装備そうびしたモデルがおおい。コンポーネントは、ターニーなど比較的ひかくてきてい価格かかくたいのコンポーネントが使つかわれる。変速へんそくは、6だん変速へんそく標準ひょうじゅんだが18だん変速へんそくなどの機体きたいおおい。チューブバルブには、べいしきバルブ(シュレーダーバルブ)のものが使つかわれている。自動車じどうしゃモーターサイクル共通きょうつうであるため、ガソリンスタンド空気くうきれてもらえる。バルブがいみちえいしきおなためえいしきバルブ装備そうびしゃ相互そうご交換こうかんすることが可能かのう。さまざまな路面ろめん対応たいおうするため、まえふとしのブロックタイヤ、うしろはスリックタイヤといったわせもみられる。 ステップスルーフレームはハイブリッドがたシティバイクのおおきな特徴とくちょうひとつである。ブレーキにもおおきな特徴とくちょうひとつがあり、クロスバイクマウンテンバイク同様どうよう前後ぜんごVブレーキ標準ひょうじゅん装備そうびしている。リアエンドは、ぎゃくつまエンドロードエンドがたになっており、スタンドもサイドスタンドなっているので、軽快けいかいしゃよりもメンテナンスがしやすくなっている。

イベント[編集へんしゅう]

ロードバイクひとしちがいレースを前提ぜんてい開発かいはつされていないが、その入手にゅうしゅあつかいの容易たやすさから出場しゅつじょうをシティサイクルに限定げんていしたロードレースがおこなわれている。

  • 毎年まいとし8がつ北海道ほっかいどう十勝とかちインターナショナルスピードウェイでは「全日本ぜんにほんママチャリ耐久たいきゅう12あいだレース」がおこなわれている。
  • 静岡しずおかけん富士ふじスピードウェイでは「ママチャリグランプリ」がおこなわれている。
  • 大分おおいたけんオートポリスでは「おもの自転車じてんしゃ耐久たいきゅうレース」がおこなわれている。
  • 宮城みやぎけんスポーツランドSUGOでは「SUGOママチャリエンデューロ」が年間ねんかんさんせんおこなわれている。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ ロンドンでもmamachariとしてられている(「ママチャリ、ロンドンを快走かいそうちゅう」 Globe朝日新聞あさひしんぶん 2014ねん9月7にち)。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • チェスター・リーブス『世界せかい賞賛しょうさんした日本にっぽんまち秘密ひみつ』(よういずみしゃ 2011ねん) - アメリカの都市とし文化ぶんか専門せんもんがママチャリを使つかったまちづくりを絶賛ぜっさんしたほん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]