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ユーゴー・デュミニル＝コパン

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
ユーゴー・デュミニル＝コパン
デュミニル＝コパン（2014）
生誕せいたん (1985-08-26) 1985年ねん8月がつ26日にち（38歳さい）
フランス、イル＝ド＝フランス地域ちいき圏けん、 シャトネ＝マラブリー
研究けんきゅう分野ぶんや 数学すうがく
研究けんきゅう機関きかん
出身しゅっしん校こう
論文ろんぶん Phase transition in random-cluster and O(n)-models (2011)
博士はかせ課程かてい
指導しどう教員きょういん		 スタニスラフ・スミルノフ
主おもな受賞じゅしょう歴れき
プロジェクト:人物じんぶつ伝でん
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ユーゴー・デュミニル＝コパン（Hugo Duminil-Copin, 1985年ねん8月がつ26日にち - ）は、確率かくりつ論ろんを専門せんもんとするフランスの数学すうがく者しゃ。2022年ねんにフィールズ賞しょうを受賞じゅしょうした。

経歴けいれき[編集へんしゅう]

デュミニル＝コパンは、中学校ちゅうがっこうの体育たいいく教師きょうしの父ちちと、元もとダンサーで現在げんざい小学校しょうがっこう教師きょうしの母ははの息子むすことして生うまれ、幼少ようしょう期きはパリ郊外こうがいで多おおくのスポーツをしながら育そだち、ハンドボールへの情熱じょうねつを追求ついきゅうするため初はじめは体育たいいく会かい系けいの高校こうこうに進学しんがくしようと考かんがえていた[1]。最終さいしゅう的てきに、デュミニル＝コパンは、数学すうがくと科学かがくに特とく化かした学校がっこうに進学しんがくすることにし[1]、パリのリセ・ルイ＝ル＝グランに入学にゅうがく、その後ご高等こうとう師範しはん学校がっこう (パリ)、パリ第だい11大学だいがくへと進すすんだ。数学すうがくの証明しょうめいの厳密げんみつさに満足まんぞく感かんを覚おぼえ、物理ぶつり学がくではなく数学すうがくに集中しゅうちゅうすることに決きめたが、統計とうけい力学りきがく上うえの問題もんだいを扱あつかうために数理すうり物理ぶつり学がくで用もちいられるパーコレーション理論りろん（英語えいご版ばん）に関心かんしんを徐々じょじょに持もち始はじめた[1]。2008年ねん、デュミニル＝コパンはスタニスラフ・スミルノフの下したで博士はかせ論文ろんぶんを執筆しっぴつするためジェノヴァ大学だいがくへ移うつった。二人ふたりはパーコレーション理論りろんと格子こうし内ないの頂点ちょうてんと辺あたりを用もちいて流体りゅうたいの流ながれとそれに伴ともなう相あい転移てんいをモデル化かした。二人ふたりは六方ろっぽう格子こうし（英語えいご版ばん）において可能かのうな自己じこ回避かいひウォーク（英語えいご版ばん）の数かずを調しらべ、組くみ合あわせ論ろんをパーコレーション理論りろんに応用おうようした。この成果せいかは2012年ねんのAnnals of Mathematicsに掲載けいさいされ、同年どうねんデュミニル＝コパンは27歳さいで博士はかせ号ごうを取得しゅとくした[1]。

ポスドク後ごの2013年ねん、デュミニル＝コパンはジェノヴァ大学だいがくの助じょ教きょうになり、2014年ねん正せい教授きょうじゅとなった[2]。2016年ねんにはフランス高等こうとう化学かがく研究所けんきゅうじょ（IHES）の終身しゅうしん教授きょうじゅになった[3]。2019年ねんより、欧州おうしゅうアカデミー（英語えいご版ばん）の会員かいいんである[4]。

2017年ねんより、デュミニル＝コパンは欧州おうしゅう研究けんきゅう会議かいぎ（英語えいご版ばん）の主任しゅにん研究けんきゅう員いんであり、格子こうしモデルの臨界りんかい挙動きょどう（Critical behavior of lattice models、略りゃくしてCriBLam）のグラントを獲得かくとくしている。デュミニル＝コパンは、CNRSとIHESの共同きょうどう研究けんきゅうユニットであるアレクサンドル・グロタンディーク研究けんきゅう室しつのメンバーである[2] 。

デュミニル＝コパンの業績ぎょうせきは統計とうけい物理ぶつり学がくの数理すうり分野ぶんやに集中しゅうちゅうしている。デュミニル＝コパンは確率かくりつ論ろんに由来ゆらいする発想はっそうを用もちいてネットワーク上じょうの様々さまざまなモデルの臨界りんかい挙動きょどうを研究けんきゅうしている[2]。相あい転移てんいが起おこる臨界りんかい点てんを特定とくていすること、臨界りんかい点てんで何なにが起おこるか、そして臨界りんかい点てんの直上ちょくじょう直下ちょっかの系けいの挙動きょどうに、業績ぎょうせきは集中しゅうちゅうしている[1]。強つよ磁性じせい材料ざいりょうにおける相あい転移てんいを研究けんきゅうするために使つかわれるイジング模型もけいを解明かいめいするために、格子こうしの一部いちぶにおいてある辺あたりの状態じょうたいが他たの辺あたりの状態じょうたいに影響えいきょうするような依存いぞん性せいパーコレーション模型もけいについて、デュミニル＝コパンは研究けんきゅうしている。2011年ねんにはヴァンサン・ベファラ（フランス語ふらんすご版ばん）と共同きょうどうで、多数たすうの2次元じげん依存いぞん性せいパーコレーション模型もけいに対たいする臨界りんかい点てんを決定けっていする公式こうしきを与あたえた[1]。2019年ねん、ヴァンサン・タシオン(Vincent Tassion)とアラン・レウフィ(Aran Raoufi)と共同きょうどうで、系けいが臨界りんかい点てんの直下ちょっかと直上ちょくじょうである場合ばあいの格子こうしにおける連結れんけつ成分せいぶんのサイズに関かんする結果けっかを公表こうひょうした。3人にんは、臨界りんかい点てんの下したでは格子こうしの連結れんけつ成分せいぶんに頂点ちょうてんが2つある確かく率りつは分離ぶんり距離きょりとともに指数しすう関数かんすう的てきに減衰げんすいし、臨界りんかい点てんの上じょうでも類似るいじの結果けっかが成立せいりつし、また臨界りんかい点てんの上うえではサイズが無限むげんになる連結れんけつ成分せいぶんが存在そんざいすることを示しめした。デュミニル＝コパンと共同きょうどう研究けんきゅう者しゃは、「鋭敏えいびん性せい（sharpness）」と名付なづけたこの特性とくせいを、解析かいせき学がくと計算けいさん機き科学かがくを用もちいて証明しょうめいした[1]。デュミニル＝コパンはまた、臨界りんかい点てん自体じたいでの相あい転移てんいの性質せいしつ、そして様々さまざまな状況じょうきょう下かで相あい転移てんいは連続れんぞく的てきか非ひ連続れんぞく的てきか、についてもポッツ模型もけい（英語えいご版ばん）の場合ばあいを中心ちゅうしんに、より深ふかく明あきらかにした[1]。

デュミニル＝コパンは2次元じげんの依存いぞん性せいパーコレーション模型もけいにおける共きょう形かたち不変ふへん性せい（英語えいご版ばん）について研究けんきゅうしている。デュミニル＝コパンはこの対称たいしょう性せいの存在そんざいを証明しょうめいすることで、模型もけいについての多大ただいな情報じょうほうが導みちびかれるだろうと述のべた[1]。2020年ねん、デュミニル＝コパンと共同きょうどう研究けんきゅう者しゃは、多おおくの物理ぶつり系けいにおける相そうの間あいだの境界きょうかいで回転かいてん不変ふへん性せいが存在そんざいすることを証明しょうめいした[5][6]。

デュミニル＝コパンはイジング模型もけいに関かんする業績ぎょうせきに対たいして、2017年ねんのブレイクスルー賞しょうのNew Horizons in Mathematics Prizeを受賞じゅしょうした[7]。

2022年ねん、デュミニル＝コパンは「統計とうけい物理ぶつり学がく、特とくに3次元じげんおよび4次元じげんの相あい転移てんいの確かく率りつ的てき理論りろんにおける長年ながねんの問題もんだいを解決かいけつした業績ぎょうせき」に対たいして、フィールズ賞しょうを受賞じゅしょうした[8][9]。ウェンデリン・ウェルナーはパーコレーション理論りろんの分野ぶんやの一般いっぱん化かはデュミニル＝コパンの功績こうせきだと讃たたえ、「全すべてがより簡単かんたんになり、合理ごうり化かされた。結果けっかはより強力きょうりょくになった。…これらの物理ぶつり現象げんしょうの理解りかいはまるまる置おき換かわった。」と述のべた[1]。ウェルナーは、パーコレーション理論りろんにおける「主要しゅような未み解決かいけつ問題もんだいのほとんど半分はんぶんはデュミニル＝コパンが解といてしまった」と述のべた[1]。

デュミニル＝コパンの趣味しゅみはスポーツで、研究けんきゅう中ちゅうにインスピレーションを与あたえてくれると述のべている[1]。結婚けっこんしており、娘むすめが一人ひとりいる[10]。

栄誉えいよ[編集へんしゅう]

著作ちょさく物ぶつの一部いちぶ[編集へんしゅう]

  • Duminil-Copin, Hugo (2016). Graphical representations of lattice spin models : cours Peccot, Collège de France : janvier-février 2015. ISBN 978-2-36693-022-1. OCLC 987302673 
  • Duminil-Copin, Hugo; Smirnov, Stanislav (1 May 2012). “The connective constant of the honeycomb lattice equals ”. Annals of Mathematics 175 (3): 1653–1665. arXiv:1007.0575. doi:10.4007/annals.2012.175.3.14. ISSN 0003-486X. 
  • Beffara, Vincent; Duminil-Copin, Hugo (18 March 2011). “The self-dual point of the two-dimensional random-cluster model is critical for ”. Probability Theory and Related Fields (Springer Science and Business Media LLC) 153 (3–4): 511–542. arXiv:1006.5073. doi:10.1007/s00440-011-0353-8. ISSN 0178-8051. https://hal-ens-lyon.archives-ouvertes.fr/ensl-00495872/file/BD%3Afkcriticalpoint.pdf. 
  • Duminil-Copin, Hugo; Hammond, Alan (13 October 2013). “Self-Avoiding Walk is Sub-Ballistic”. Communications in Mathematical Physics (Springer Science and Business Media LLC) 324 (2): 401–423. arXiv:1205.0401. Bibcode: 2013CMaPh.324..401D. doi:10.1007/s00220-013-1811-1. ISSN 0010-3616. 
  • Bauerschmidt, Roland; Duminil-Copin, Hugo; Goodman, Jesse; Slade, Gordon (2012). “Lectures on Self-Avoiding Walks”. MathProblems. arXiv:1206.2092. https://arxiv.org/abs/1206.2092 2022年ねん7月がつ5日にち閲覧えつらん。. 

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l Cepelewicz, Jordana (2022年ねん7月がつ5日にち). “Hugo Duminil-Copin Wins the Fields Medal”. Quanta Magazine. 2022年ねん7月がつ5日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2022年ねん7月がつ5日にち閲覧えつらん。
  2. ^ a b c d “Hugo Duminil-Copin, a French mathematician and a permanent professor at IHES, has been awarded the Fields Medal” (英語えいご). CNRS. 2022年ねん7月がつ5日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2022年ねん7月がつ6日にち閲覧えつらん。
  3. ^ “Webpage of Hugo Duminil-Copin”. www.ihes.fr. 2020年ねん10月がつ22日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2020年ねん8月がつ15日にち閲覧えつらん。
  4. ^ “Academy of Europe: Duminil-Copin Hugo”. Academy of Europe. 2021年ねん4月がつ11日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2022年ねん7月がつ5日にち閲覧えつらん。
  5. ^ “Mathematicians Prove Symmetry of Phase Transitions” (英語えいご). Wired. ISSN 1059-1028. オリジナルの14 July 2021時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210714020405/https://www.wired.com/story/mathematicians-prove-symmetry-of-phase-transitions/ 2021年ねん7月がつ14日にち閲覧えつらん。. 
  6. ^ Duminil-Copin, Hugo; Kozlowski, Karol Kajetan; Krachun, Dmitry; Manolescu, Ioan; Oulamara, Mendes (21 December 2020). "Rotational invariance in critical planar lattice models". arXiv:2012.11672 [math.PR]。
  7. ^ a b “Breakthrough Prize – Mathematics Breakthrough Prize Laureates – Hugo Duminil-Copin”. Breakthrough Prize. 2022年ねん6月がつ4日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2022年ねん7月がつ5日にち閲覧えつらん。
  8. ^ “Fields Medal 2022: Short citation”. 2022年ねん7月がつ5日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2022年ねん7月がつ5日にち閲覧えつらん。
  9. ^ Hoyer, Lukas von (2022年ねん7月がつ5日にち). “Der "Nobelpreis der Mathematik" geht an Schweizerin und Schweizer” (ドイツ語ご). Augsburger Allgemeine. 2022年ねん7月がつ5日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2022年ねん7月がつ5日にち閲覧えつらん。
  10. ^ Celerier, Pierre (2022年ねん7月がつ5日にち). “Duminil-Copin, Fields-winning mathematician with 'aesthetic vision'”. Phys.org. 2022年ねん7月がつ5日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2022年ねん7月がつ5日にち閲覧えつらん。
  11. ^ “Fields Medals 2022”. International Mathematical Union (IMU) (1958年ねん6月がつ6日にち). 2022年ねん7月がつ5日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2022年ねん7月がつ5日にち閲覧えつらん。
  12. ^ Larousserie, David (2022年ねん7月がつ5日にち). “La médaille Fields pour Hugo Duminil-Copin, mathématicien probabiliste de 36 ans et « percolateur » universel” (フランス語ふらんすご). Le Monde.fr. 2022年ねん7月がつ5日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2022年ねん7月がつ5日にち閲覧えつらん。
  13. ^ a b “Hugo Duminil-Copin, mathématicien français et professeur permanent à l'IHES, est lauréat de la médaille Fields” (フランス語ふらんすご). CNRS (2022年ねん7月がつ5日にち). 2022年ねん7月がつ5日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2022年ねん7月がつ5日にち閲覧えつらん。
  14. ^ “Hugo Duminil-Copin – National Meeting of the SPM 2021”. National Meeting of the SPM 2021 – Encontro Nacional da Sociedade Portuguesa de Matemática 2021 (1940年ねん12月12日にち). 2022年ねん7月がつ7日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2022年ねん7月がつ5日にち閲覧えつらん。
  15. ^ “Hugo Duminil-Copin awarded the Loève Prize and the Grand Prix Jacques Herbrand”. IHES (2017年ねん8月がつ8日にち). 2022年ねん7月がつ7日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2022年ねん7月がつ5日にち閲覧えつらん。
  16. ^ “Hugo Duminil-Copin receives the Prix Jacques Herbrand 2017”. SwissMAP (2017年ねん11月21日にち). 2022年ねん7月がつ7日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2022年ねん7月がつ5日にち閲覧えつらん。
  17. ^ “Hugo Duminil-Copin is awarded the European Mathematical Society Prize”. IHES (2016年ねん6月がつ30日にち). 2022年ねん7月がつ7日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2022年ねん7月がつ5日にち閲覧えつらん。
  18. ^ “International Association of Mathematical Physics”. IAMP (2018年ねん1月がつ31日にち). 2021年ねん12月31日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2022年ねん7月がつ5日にち閲覧えつらん。
  19. ^ “Hugo Duminil-Copin”. Collège de France. 2022年ねん7月がつ7日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2022年ねん7月がつ6日にち閲覧えつらん。
  20. ^ “Hugo Duminil-Copin receives the Oberwolfach Prize”. SwissMAP (2014年ねん6月がつ5日にち). 2022年ねん7月がつ7日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2022年ねん7月がつ5日にち閲覧えつらん。
  21. ^ “Rencontre avec Hugo Duminil-Copin, CQFD du 29.03.2013”. rts.ch (2013年ねん3月がつ29日にち). 2022年ねん7月がつ7日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2022年ねん7月がつ5日にち閲覧えつらん。

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