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ユースクルー

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

ユースクルー(Youth Crew)は、ストレート・エッジから派生はせいしたハードコア・パンクのサブジャンル。

背景はいけい歴史れきし

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ユースクルーだいいち世代せだい登場とうじょうから隆盛りゅうせい 1980年代ねんだい中期ちゅうき後期こうき

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1980年代ねんだいなかごろから登場とうじょうした、コネティカットのユース・オブ・トゥデイ、ニューヨークストレイト・アヘッド、カリフォルニアのユニティ[よう曖昧あいまい回避かいひ]ユニフォーム・チョイスといったストレートエッジハードコアだい2世代せだいマイナー・スレットD.Y.S.といったワシントンD.C.ボストンのバンドがだい1世代せだいにあたる)がユースクルーだいいち世代せだいとされる。 そのスタイルは、ストレイト・エッジ発祥はっしょうワシントンDCのバンドよりも、SSDやDYSといったボストンの強硬きょうこうストレート・エッジバンドや、初期しょきニューヨークの荒々あらあらしいハードコア・バンドからの影響えいきょうつよかった。

1980年代ねんだい後半こうはんごろには、前出ぜんしゅつバンドのながれをんで、CRIPPLED YOUTHから改名かいめいしたBOLD、CIVやRIVAL SCHOOLS、QUICKSAND、MOONDOGといったバンドの母体ぼたいとなったゴリラ・ビスケッツ労働ろうどうしゃほこりをかかげ、スキンヘッズストレイト・エッジ・キッズの連帯れんたいいたSIDE BY SIDE、モッシュ・ハードコアの開祖かいそとされるJUDGE、ニューヨークのユースクルー・オールスターによる覆面ふくめんバンドPROJECT-Xといったバンドが登場とうじょう。それまでパンクや不良ふりょう、ジャンキーのまりだったニューヨークのシーンをおおきくえた。

呼応こおうするかのように、近郊きんこうのコネチカットからはWIDEAWAKEやUP FRONT、ニュージャージーからはTURNING POINT、カリフォルニア中部ちゅうぶからは知的ちてき歌詞かしられるNO FOR AN ANSWERラップメタル・バンド、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのち結成けっせいするザック・デ・ラ・ロック(ロッチャではなく、ロックと名乗なのっていた)が在籍ざいせきしたINSIDE OUTCHAIN OF STRENGTH、オレンジカウンティからはINSTED、ワシントンしゅうからはFALSE LIBERTYというスピードコア・バンドから派生はせいしたBROTHERHOOD、アリゾナからはLAST OPTION、フロリダからはPOWERHOUSE、ヒッピー発祥はっしょうであり、マキシマム・ロックンロールが拠点きょてんかまえるアメリカン・パンクの中心ちゅうしん、サンフランシスコからもUNITPRIDEが登場とうじょうするなど、シーンは最高さいこうがりをせた。

しかし、1990年代ねんだいむかえるころには大半たいはんのバンドがブレイク・エッジ(ストレート・エッジをめること)。ワシントンDCのストレート・エッジだいいち世代せだいたち同様どうようオルタナティヴ・ロック/カレッジ・ロックやエモへとなが終息しゅうそくむかえた。

ユースクルーだい世代せだいとハードコアの衰退すいたい

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以来いらい、1990年代ねんだいはんごろまでは、ストレート・エッジシーンではハードコアは完全かんぜん下火したび

ニューヨークからとおはなれたニューヨークしゅうHALFMASTPLAGUED WITH RAGE、コネチカットのCORNERSTONEFASTBREAK、LINE OF FIRE、カリフォルニアのREDEMPTION 87、IGNITE、ブラジルのPERSONAL CHOICESICK TERROR)、ドイツのNO LESSON LEARNED、ベルギーのVICTIMS OF SOCIETYNATIONS ON FIRE、オランダのMANLIFTING-BANNER今日きょうのモダン・ハードコア(=ニュースクール・ハードコア)のともいえる、DCのBATTERY、ニュージャージーのMOUTHPIECEストレート・エッジだい3世代せだい=ユースクルーだい2世代せだい細々こまごま活動かつどうをしていた。

この時期じきのユースクルーは全盛期ぜんせいきがりにはおよばず、アース・クライシスMORNING AGAINのようなハードコアのルーツを一切いっさいかんじさせない[よう出典しゅってん]ストレートエッジ・「メタル」が主流しゅりゅうとなり、ストレートエッジ・「ハードコア」は壊滅かいめつ状態じょうたいにあった。[よう出典しゅってん]

だいさん世代せだい登場とうじょうから復興ふっこう

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しかし、1990年代ねんだい後半こうはんになり、アメリカのFLOORPUNCH97a、ヨーロッパではMAINSTRIKEらが人気にんきあつめだし、ボストンのTEN YARD FIGHTIN MY EYES登場とうじょう決定けっていとなり、シーンはふたた隆盛りゅうせいむかえる。

TIME FLIES、RAIN ON THE PARADE、PUSHED TOO FAR、OPEN CLOSE MY EYES、BLACK TURNS GREEN、SPIRIT 84'、VOICE OF REASON、DESTRO、HELDBACK、ENVY、ATARI、PROJECT208、INSTINCT、RANCOR、HIGHSCORE、BUILDING、HALLRAKER、SPORTSWEAR、CONVICTED TRUTH、INSTINCT、GOOD CLEAN FUN、SEPARATION、STAND YOUR GROUND、EYE'S SHUT、PRODUCT、ANTI-HERO、HANDS TIED、PRODUCT X、BARFIGHT、GROWING CONCERN、FADED GREY、RED TAPE、FIELDS OF HOPE、BURNING FLAMES、ONE MORES、TEPBACK、RAZLOG ZA、REACHING FORWARD、H-STREET、POINTING FINGER、WOOF、SECOND AGE といった往年おうねんのユースクルー・スタイルを体現たいげんするバンドが無数むすう活動かつどうしていた。

ユースクルーからモダン・ハードコアへ

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これらユースクルーだい3世代せだいのバンドもやがて下火したびになり、2000年代ねんだいはいるとVERSECOMEBACK KIDCHAMPIONBETRAYEDといったメタリックなニュースクール・ハードコア/モダン・ハードコアが主流しゅりゅうとなっている。

音楽おんがくてき特徴とくちょう

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ギブソンマーシャル・アンプ直結ちょっけつする正統せいとうの70'sハードロック・サウンド(ただし、楽曲がっきょくめんではロックてき要素ようそはない)、メジャーからマイナーへと転調てんちょうするコード進行しんこうパターン、おぼえやすいシンガロングコーラス、明快めいかい前向まえむきな歌詞かし、ベースライン主体しゅたい楽曲がっきょく構成こうせいげられる。また、米国べいこくばんWikipediaにもあるとおり、音楽おんがくてきにはハードコア・"パンク"の原型げんけいのこしつつも、バンドにもファンにもパンクへのおもれがまったくないのも特徴とくちょうといえる。

これらを基本きほんにしつつ、開放かいほうつる多用たようしてハードロック/メタルてきなダイナミズムをれたのがCHAIN OF STRENGTHやJUDGEであり、オクターヴ奏法そうほうハーモニクスれたメロディックなギター・フレーズをかせたのがGORILLA BISCUITSである。

起源きげん

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音楽おんがくてき姿勢しせいてきにユースクルーだいいち世代せだいおおきな影響えいきょうあたえたのは7SECONDS、ABUSED(GORILLA BISCUITSがカバーしたはんドラッグ・ソング、DRUG FREE YOUTHでられる)、DYS、SSD(イアン・マッケイのちに「YOUTH OF TODAYはSSDそのまんまにしかこえなかった」とかたっている)ら。

また、精神せいしんめんでの影響えいきょう皆無かいむだが、きょく構成こうせい、コード進行しんこうといっためんではAGNOSTIC FRONT、NEGATIVE APPROACHといったバンドの影響えいきょうつよい。だいいち世代せだいのユースクルー・バンドたちは、かれらのヒーローであったAGNOSTIC FRONTやCRO-MAGSといったバンドたちのクロスオーバー路線ろせんをハードコアへの裏切うらぎ行為こういとしてとらえ、かれらへの反発はんぱつとして登場とうじょうしたとされている。

ファッション

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当時とうじSxEキッズ、ユースクルー・ハードコア・バンドたちがこのんでけたのは、チャンピオンリヴァース・ウィーヴやフーディッド・スウェット(これはDYS〜DAG NASTYのデイヴ・スマリーや7 SECONDSのケヴィン・セコンズの影響えいきょうだろう)、アーミー・パンツ、スウェット・パンツ、ショートパンツ、レターマン・ジャケット(日本にっぽんでいうスタジャン)、ナイキしゃのハイカットスニーカーなど。

また、スウォッチしゃのX-RATEDモデルはジョン・ポーセル(YOUTH OF TODAY、PROJECT-X、JUDGE)の着用ちゃくようがきっかけとなり、元々もともと希少きしょうしていたどう製品せいひん高騰こうとう拍車はくしゃをかけた。

ユース・オブ・トゥデイのシンガー、レイ・カポが"トニー・ホーク ミーツ ビーバー・クリーヴァー(en:beaver cleaver)"とかたっているように、当時とうじのニューヨークや東海岸ひがしかいがんのハードコア・パンクスやハードコア・スキンヘッズ比較ひかくすると小奇麗こぎれいでさっぱりとしたファッションである。そのスタイルは、スケート・ボード・カルチャーからヒップホップ、スポーツ・ウェアー、ミリタリー、アイビーやトラッド、プレッピーアメカジ(アメリカ本国ほんごくにはアメカジという概念がいねんはないが)といった様々さまざま要素ようそ折衷せっちゅうえよう。

ファッションの経緯けいい

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現在げんざいいたるまでそのファッションにおおきな変化へんかはないが、多少たしょうなりとも主流しゅりゅうのカジュアル・ファッションの影響えいきょうられる。

たとえば、80年代ねんだいられたユースクルー・スタイルにおけるアメカジ要素ようそは90年代ねんだいになると後退こうたいし、ゆったりとしたオーバーサイズのこなしが主流しゅりゅうとなる。また、80年代ねんだいにはほとんられなかったタトゥーやピアスが目立めだはじめるのもこの時期じきである。2000ねん以降いこうぎゃくにタイトなシルエットが主流しゅりゅうとなっている。

思想しそうかた

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その背景はいけいちゆえ、ほとんどのバンド、おおくのファンがはん麻薬まやくはん飲酒いんしゅはん乱交らんこうをモットーとするストレート・エッジである。また、ニューヨークのユースクルーだいいち世代せだい(ストレート・エッジだい世代せだい)は、ボストンやワシントンDCのストレート・エッジだいいち世代せだい同様どうよう比較的ひかくてき裕福ゆうふく階層かいそうめられており、ギャングやストリート・チルドレン、貧困ひんこんそうめられていた旧来きゅうらいのニューヨークのハードコア・パンクスやハードコア・スキンズたちとはいがわるかった。

ユースクルー・シーンはリベラルや左派さは過激かげきはん体制たいせいろんしゃすくなくない欧米おうべいのハードコア・パンク・シーンからは保守ほしゅてきかつ反動はんどうてき非難ひなんされることもおおく、なかには露骨ろこつ宗教しゅうきょう(この場合ばあいキリスト教きりすときょう)に傾倒けいとうするバンドもめずらしくない。

しかしながら、すべてのバンドが右翼うよくてきというわけでもない。ジョン・ポーセルはユース・オブ・トゥデイ在籍ざいせき社会しゃかい主義しゅぎへの共感きょうかんくちにしていたし、バンド単位たんいでもLARMから派生はせいしたオランダのMANLIFTING-BANNER、FEEDING THE FIRE、ドイツのPROUD YOUTHのような左翼さよくシンパのバンドも活動かつどうしていた。また、シアトルのBROTHERHOOD、ベルギーのNATIONS ON FIRE、スウェーデンのSEPARTIONら過激かげきはん体制たいせいろんとなえるバンドもふるくから存在そんざいしていたし、最近さいきんでもANCHORのようにナイキ社きしゃ東南とうなんアジア労働ろうどうしゃへの待遇たいぐう抗議こうぎしてファンに同社どうしゃ製品せいひんのボイコットをびかけたり、CHAMPIONのように米国べいこく愛国あいこく教育きょういくこととなえたり、VERSEのように公然こうぜんはん政府せいふ組織そしきへの支持しじ表明ひょうめいするバンドも存在そんざいする。

ただし、全体ぜんたい傾向けいこうとしてはおおむ反動はんどうてきかつ保守ほしゅてきえる。