オイ!

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Oi!
様式ようしきてき起源きげん パンク・ロック
グラムロック
パブロック
フットボールチャント
フォーク・ミュージック
文化ぶんかてき起源きげん 1970年代ねんだい後半こうはんイギリス (おもイースト・エンド)
使用しよう楽器がっき ヴォーカル - ドラムス - エレクトリック・ギター - ベースギター
派生はせいジャンル ストリート・パンク
サブジャンル
Punk pathetique
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オイ! (Oi!) とは1970年代ねんだい後半こうはんにイギリスで発生はっせいした、労働ろうどうしゃ階級かいきゅう支持しじされたパンク・ロックのサブジャンルのうちのひとつである[1]

その音楽おんがくサブカルチャーパンクススキンヘッド同盟どうめい若者わかものたちとをむすびつけること目標もくひょうとしていた。オイ!ムーブメントは、ザ・ビジネス 英語えいごばんのギタリスト、スティーブ・ケントのいう "トレンディーな大学生だいがくせいみたいな連中れんちゅうが、なが言葉ことば使つかってアーティスティックにやろうとしてタッチをうしなっている"[2]当時とうじのパンク・ロック・シーンへのレスポンスという側面そくめんもあった。

ザ・プレス 英語えいごばんのボーカル、アンドレ・ シュレジンガーによれば、"オイ!にはそのシンプルな音楽おんがくせいほかにもフォークミュージックとの共通きょうつうてんがある。見方みかたによってはおもむきがあり、またある見方みかたによってはがさつともえる。露骨ろこつないいかたはせず大体だいたい事実じじつもとづいたストーリーをうたう"[3]という。

歴史れきし[編集へんしゅう]

Oiの語源ごげん様々さまざま解釈かいしゃくがある。CRASSのきょくれいとしてあげられる。また、もともとはOiではなくネオ・スカ原点げんてんといわれる。元々もともとはOi-PunkではなくSkinsとばれていたかれらはスカをこよなくあいしていた。

オイ!はパンク・ロック商業しょうぎょうされたのちハードコアパンク発生はっせいよりまえである1970年代ねんだい後半こうはんにパンク・ロックのジャンルのひとつとして認識にんしきされた。ストゥージズザ・フーのようなガレージ・ロックサウンド、ドクター・フィールグッドエディー・アンド・ザ・ホット・ロッズのようなパブロックフットボールチャントサウンド、スレイドスウィートのようなグラムロックサウンドなどとセックスピストルズザ・クラッシュラモーンズザ・ジャムのようなパンク・ロックバンドのサウンドを融合ゆうごうさせた音楽おんがくがオイ!であるといわれる。 オイ!バンドの先駆せんくしゃとしては、シャム69やコックニー・リジェクツ[4]コック・スパラー、Menace などがげられ、かれらは、オイ!という言葉ことばがジャンルのひとつとして使つかわれる大体だいたい4ねんほどまえ活動かつどうし、のちにかれらの音楽おんがくスタイルもオイ!としてばれるようになった。

元々もともとこのような音楽おんがくスタイルはストリートパンクニューパンクリアルパンク[5]ばれていた。またある時期じきではストリートロックストリートロックンロールオイ!/ストリートパンクまたはストリートパンク/オイ!などとばれていたこともあったが、[6][7]1980ねん雑誌ざっしSoundsでロックジャーナリストのGarry Bushell がこの運動うんどうを、コックニー・リジェクツのスティンキー・ターナーがバンドの音楽おんがく紹介しょうかいするとき使つかった挨拶あいさつからオイ!づけた。[8][9] オイ!(oi!)とはふるいロンドンっ表現ひょうげんで、やあ(hey)やこんにちは(hello)といった意味いみである。

はじめて明確めいかくにオイ!として認識にんしきされたバンドにコックニー・リジェクツエンジェリック・アップスターツフォー・スキンズがあり、ザ・ビジネスブリッツザ・ブラッド、ザ・ラストリゾート、コンバット84、インファ・ライオット、ザ・ブリアル、コンデムンド84、ザ・オプレスドなどのバンドがつづいた。[10]

オイ!ムーブメントの元々もともとのイデオロギーは、社会しゃかい主義しゅぎで、失業しつぎょうしゃ労働ろうどうしゃ権利けんり警察けいさつやその権威けんいによるハラスメント、政府せいふによる抑圧よくあつなどが歌詞かし主題しゅだいとしてよくうたわれたが、[2]路上ろじょうでの暴力ぼうりょくやサッカー、さけやセックスなどもまたうたわれた。オイ!はおもにスキンヘッドに関連かんれんしたジャンルだとかんがえられているが、初期しょきのオイ!バンドはパンクロッカーたちと、スキンヘッドともパンクスともえないものたちによってつくられていた。

イギリス下火したびになったのちにも、ヨーロッパきたアメリカアジアくにでオイ!シーンは形作かたちづくられていった。のちに、とくにアメリカではアグノスティック・フロントアイロン・クロスSSDなどのバンドにより、1980年代ねんだい初頭しょとうのハードコアパンクを模倣もほうしたオイ!シーンが形成けいせいされていった。オイ!とハードコアパンクはとく初期しょきのころには精神せいしんせいている部分ぶぶんもあり影響えいきょうっているともいえるが、ハードコアパンクは労働ろうどうしゃ階級かいきゅうではなくアメリカの中流ちゅうりゅう階級かいきゅう立場たちばうたい、影響えいきょうりょくつよめていった。 そのイギリスのオイ!シーンにつよ影響えいきょうけたバンドとしてザ・プレスアンチ・ヒーローズテンプラーズ、Wretched Ones、Those Unknown、ブルーサーズドロップキック・マーフィーズロジャー・ミレット・アンド・ザ・ディザスターズThe GC5げられる。

1990年代ねんだい中頃なかごろ、イギリスのPressure 28、Another Mans Poison、Boisterous、Argy Bargy、Straw Dogsらの新人しんじんバンドの出現しゅつげんによって、オイ!はふたた注目ちゅうもくをあびるようになり、これによって初期しょきのオイ!バンドにたいする認識にんしきつよまることになった。2000ねんはいると、おおくの初期しょきのオリジナルUKオイ!バンドがさい結成けっせいし、ライブ活動かつどうやレコーディング活動かつどうおこなうようになった。またピーター・アンド・ザ・テスト・チューブ・ベイビーズコック・スパラーエンジェリック・アップスターツザ・ビジネスコックニー・リジェクツレッド・アラートシャム69などは初期しょきころから解散かいさんせずに活動かつどうつづけている。

詳細しょうさい/論争ろんそう[編集へんしゅう]

ファンの一部いちぶ英国えいこく国民こくみん戦線せんせんブリティッシュ・ムーブメントといった白人はくじん至上しじょう主義しゅぎ組織そしき参加さんかしていたため、いくにんかのロックミュージシャンはオイ!を人種じんしゅ差別さべつてきだとして否定ひていしたが、[2]オイ=人種じんしゅ差別さべつ主義しゅぎというわけではない。エンジェリック・アップスターツザ・ブリアル、The Oppressed のようなバンドは、左翼さよくてきはん人種じんしゅ差別さべつてきだった。[5] [11] ホワイト・パワー・スキンヘッド・ムーブメントはオイ!と類似るいじせいがあるが、オイ!シーンとは無関係むかんけいである。

オイ!と極右きょくう思想しそうむすびつけられた原因げんいんは、一部いちぶのファンが国民こくみん戦線せんせんのスローガンを会場かいじょうのまわりに落書らくがきしたために、アジアじん青年せいねんがコンサートにネオナチあつまっていると勘違かんちがいして火炎瓶かえんびんんだという、1981ねん7がつにサウソールのパブHambrough Tavernでおこなわれたザ・ビジネス、The Last Resort、フォー・スキンズのコンサートの報道ほうどうためである。[2] 。 そのおおくのオイ!バンドが人種じんしゅ主義しゅぎてきだとかファシズムじみていると非難ひなんされた。また1981ねんにリリースされたコンピレーションアルバムのStrength Thru Oiというタイトルもファンの一部いちぶ不信ふしんかんあたえた。これはアルバムタイトルがNaziのスローガン(よろこびをつうじてちからStrength Through Joy)を文字もじったものというだけでなく、カバーにブリティッシュ・ムーブメントの活動かつどうであり、人種じんしゅ差別さべつにより4ねん刑罰けいばつけた Nicky Crane をもちいたことにもよった。 当時とうじのアルバム編集へんしゅう責任せきにんしゃの Garry Bushell は、このアルバムタイトルはザ・スキッズのアルバムStrength Through Joyをもじったものだと主張しゅちょうした。またかれは、アルバムカバーのスキンヘッドの男性だんせいを、ヶ月かげつのちにデイリー・メール報道ほうどうするまでらなかったと主張しゅちょうした。[5] そのころ社会しゃかい主義しゅぎしゃだったBushellは、報道ほうどうにより「以前いぜんオズワルド・モズレーくろシャツムッソリーニだいエチオピア戦争せんそうをサポートし、だい2世界せかい大戦たいせん勃発ぼっぱつまでヒトラー賛同さんどうしていた」 極右きょくう活動かつどうというレッテルをられたことを皮肉ひにくっている。[5]

オイ!に分類ぶんるいされるバンド[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Dalton, Stephen, "Revolution Rock", Vox, June 1993
  2. ^ a b c d Robb, John (2006). Punk Rock: An Oral History (London: Elbury Press). ISBN 0-09-190511-7
  3. ^ Ian Glasper, Burning Britain, London: Cherry Red, 2004, p. 282.
  4. ^ Cockney Rejects: History and Pictures / Oi Music / Punk Rock ”. 2020ねん3がつ16にち閲覧えつらん
  5. ^ a b c d www.garry-bushell.co.uk - Oi! – The Truth by Garry Bushell
  6. ^ Oi/Street Punk - Punk - Alternative/Punk - Music - www.real.com
  7. ^ www.garry-bushell.co.uk - Garry Bushell by Garry Johnson
  8. ^ http://punkmodpop.free.fr/cockneyrejects_pic.htm
  9. ^ http://www.garry-bushell.co.uk/oi/index.asp
  10. ^ Marshall, George (1991). Spirit of '69 - A Skinhead Bible. Dunoon, Scotland: S.T. Publishing. ISBN 1-898927-10-3 
  11. ^ oi! oi! oi!

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]