ロンズデーライト

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ロンズデーライト lonsdaleite
ロンズデーライトの結晶構造
ロンズデーライトの結晶けっしょう構造こうぞう
分類ぶんるい 元素げんそ鉱物こうぶつ
化学かがくしき C
結晶けっしょうけい 六方ろっぽうあきらけい
モース硬度こうど 3[1] または 7 から 8[2] とされるが、純粋じゅんすいなものでは10をえると予想よそうされている。
プロジェクト:鉱物こうぶつPortal:地球ちきゅう科学かがく
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ロンズデーライトえい: Lonsdaleite)は六方ろっぽうあきらけい結晶けっしょう構造こうぞうをもつ炭素たんそ同素体どうそたい。その結晶けっしょう構造こうぞうから六方ろっぽうあきらダイヤモンド(ろっぽうしょうダイヤモンド、えい: Hexagonal diamond)ともばれる。ロンズデーライトという名称めいしょう結晶けっしょう学者がくしゃキャスリーン・ロンズデール由来ゆらい

発見はっけん[編集へんしゅう]

自然しぜんかいにおいては、隕石いんせき地球ちきゅう衝突しょうとつしたさい巨大きょだいねつ圧力あつりょくによって、隕石いんせきちゅうグラファイト構造こうぞう変化へんか生成せいせいされる。ロンズデーライトは、バリンジャー・クレーター米国べいこくアリゾナしゅう)をつくった隕石いんせき一部いちぶキャニオン・ディアブロ隕石いんせきから、1967ねんはじめて発見はっけんされた。キャニオン・ディアブロ隕石いんせきのほか、ケナ隕石いんせき米国べいこくニューメキシコしゅう)、アラン・ヒルズ77283(ALH77283とも。南極大陸なんきょくたいりくヴィクトリアランド)といった隕石いんせきなかから、顕微鏡けんびきょうでしかえないほど微細びさい結晶けっしょうとして、ダイヤモンドとともに確認かくにんされている。またロシアツングースカだい爆発ばくはつ現場げんばからも存在そんざい報告ほうこくされている。

ロンズデーライトとおなじものは、おそらく1967ねんよりかなりまえから、研究けんきゅうしつないでの静的せいてきプレス爆薬ばくやく使用しようグラファイト加圧かあつ加熱かねつされて生成せいせいされていたとかんがえられる。

性質せいしつ[編集へんしゅう]

いろ褐色かっしょく透明とうめい屈折くっせつりつは 2.40 から 2.41、比重ひじゅうは 3.2 から 3.3、モース硬度こうどは 3[1] または 7 から 8[2]一方いっぽうダイヤモンドのモース硬度こうどは 10 である。このロンズデーライトの硬度こうどひくさはおもに、天然てんねん存在そんざいする材料ざいりょうふくまれる不純物ふじゅんぶつ格子こうし欠陥けっかんによるものとみられ、純粋じゅんすいなロンズデーライトはダイヤモンドより 58% かたいと予想よそうされている[3]

ブロモホルムをNa-K合金ごうきん還元かんげんしてられるポリマーポリヒドリドカルビン英語えいごばん薄膜うすまくアルゴン雰囲気ふんいき室温しつおんから800~1300℃までのぼりあつしねつ分解ぶんかいするとダイヤモンドの薄膜うすまくられるが、この薄膜うすまくちゅうにロンズデーライトがふくまれていることが分光ぶんこうがくてき見出みいだされた[4]

硬度こうど[編集へんしゅう]

ロンズデーライトはダイヤモンドよりも 58% かた可能かのうせい示唆しさされている。ネバダ大学だいがくラスベガスこう上海しゃんはい交通こうつう大学だいがく研究けんきゅうしゃらはだいいち原理げんり計算けいさんにより、じょう非常ひじょうおおきな負荷ふかをかけるとロンズデーライトの抵抗ていこうりょくが 78% も増大ぞうだいするというシミュレーション結果けっかを2009ねん2がつ発表はっぴょうした。

その研究けんきゅう結果けっかから、純粋じゅんすいなロンズデーライトは 152 GPaちょう高圧こうあつえると推測すいそくされるが、これはダイヤモンドの97 GPaよりたか[5]。これは、IIaがたダイヤモンドの <111> 先端せんたん硬度こうど162 GPaをまだえない。

結晶けっしょう構造こうぞう[編集へんしゅう]

炭素たんそ同素体どうそたい: a:ダイヤモンド、 b:グラファイトc:ロンズデーライト、 d,e,f:フラーレン、 g:無定形むていけい炭素たんそ、 h:カーボンナノチューブ

ロンズデーライトは六方ろっぽうあきらけい単位たんいをもち、ダイヤモンド単位たんい胞と同様どうようさいみつ充填じゅうてん構造こうぞうである。ダイヤモンドの立方りっぽうあきら構造こうぞうは、シクロヘキサンたまきいすがたはいをとりながら連結れんけつしたものという見方みかたができる。一方いっぽう、ロンズデーライトの構造こうぞうでは連結れんけつしたシクロヘキサンたまき一部いちぶふねかたはいをとっている。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b mindat.org - the mineral and locality database 2009ねん3がつ1にち閲覧えつらん
  2. ^ a b Mineralogy Database 2009ねん3がつ1にち閲覧えつらん
  3. ^ Discovery News: Taking Diamonds Down a Notch
  4. ^ P. A. Bianconi, S. J. Joray, B. L. Aldrich, J. Sumranjit, D. J. Duffy, D. P. Long, J. L. Lazorcik, L. Raboin, J. K. Kearns, S. L. Smulligan, J. M. Babyak "Diamond and Diamond-Like Carbon from a Preceramic Polymer" J. Am. Chem. Soc., 2004, 126, 3191-3202. DOI: 10.1021/ja039254l
  5. ^ Pan, Zicheng; Sun, Hong; Zhang, Yi; and Chen, Changfeng (2009). “Harder than Diamond: Superior Indentation Strength of Wurtzite BN and Lonsdaleite”. Physical Review Letters (102): 055503. doi:10.1103/PhysRevLett.102.055503. 専門せんもんけの内容ないよう要旨ようし – Physorg.com (12-02-2009). 

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • Anthony, J.W.; et al (1995). Mineralogy of Arizona (3rd ed.) 
  • Frondel, C.; U.B. Marvin (1967). “Lonsdaleite, a new hexagonal polymorph of diamond”. Nature 214: 587–589. doi:10.1038/214587a0. 
  • Frondel, C.; U.B. Marvin (1967). “Lonsdaleite, a hexagonal polymorph of diamond”. Am.Min. 52. 
  • Bianconi, P.; et al (2004). “Diamond and Diamond-like Carbon from a Preceramic Polymer”. J. Am. Chem. Soc. Vol. 126 (10): 3191–3202. doi:10.1021/ja039254l. 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

  • Lonsdaleite (英語えいご), MinDat.org, 2009ねん3がつ1にち閲覧えつらん 英語えいご
  • Lonsdaleite (英語えいご), WebMineral.com, 2009ねん3がつ1にち閲覧えつらん 英語えいご
  • Materials Science and Technology Division, Naval Research Laboratory website 英語えいご 2009ねん3がつ1にち閲覧えつらん
  • lonsdaleite 3D animation 英語えいご
  • Diamond no longer nature's hardest material 英語えいご