ローカルヒーロー

ローカルヒーローは、日本にっぽんにおいてテレビ番組ばんぐみや映画えいが、漫画まんが、ゲームなどを踏襲とうしゅうし、有志ゆうしの個人こじんや団体だんたい、企業きぎょうが独自どくじに企画きかく制作せいさくして生うまれた地方ちほう資本しほんのキャラクターのこと。ご当地とうちヒーロー（ごとうちヒーロー）とも呼よばれる。

沿革えんかく[編集へんしゅう]

日本にっぽんにおけるスーパーヒーロー[編集へんしゅう]

日本にっぽんにおいて、勧善懲悪かんぜんちょうあくを主題しゅだいとする物語ものがたりの中なかには、ヒーローが仮面かめんや覆面ふくめんをしたり、異形いぎょうであったり、サイボーグやアンドロイドであったり、常人じょうじんの状態じょうたいから変身へんしんしたりして、その能力のうりょくが超ちょう人的じんてきであることを端的たんてきに示しめす場合ばあいがある。戦中せんちゅう・戦後せんごの紙芝居かみしばい時代じだいには『黄金おうごんバット』が代表だいひょう的てきであったが、1950年代ねんだいにテレビ放送ほうそうが開始かいしされるとアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの「スペースオペラ」が放送ほうそうされ、これに影響えいきょうされたとみられる日本にっぽん初はつの特撮とくさつスーパーヒーロー映画えいが『スーパージャイアンツ』シリーズ（1957年ねん - 1959年ねん）が作つくられた^[1]。一方いっぽうのテレビでは『月光げっこう仮面かめん』（1958年ねん - 1959年ねん）が放送ほうそうされた。その後ご、特撮とくさつでは『ナショナルキッド』（1960年ねん - 1961年ねん）、アニメでは『8マン』（1963年ねん - 1964年ねん）などがテレビ放送ほうそうされた。

日本にっぽんの子供こどもの人口じんこう（年少ねんしょう人口じんこう： 0歳さい～14歳さい）は第だい一いち次じベビーブーム（団塊だんかい世代せだい）以降いこう減少げんしょうしていたが1966年ねん頃ころには底そこを打うち、第だい二に次じベビーブーム（団塊だんかいジュニア世代せだい）にかけて増加ぞうかして2500万まん人にん以上いじょう（全ぜん人口じんこうの約やく24%）となった^[2]。この子供こどもたちに向むけて、特撮とくさつでは1966年ねん（昭和しょうわ41年ねん）から「ウルトラシリーズ」（円谷つぶらやプロ）、1971年ねん（昭和しょうわ46年ねん）から「仮面かめんライダーシリーズ」（石ノ森いしのもり章太郎しょうたろう原作げんさく、東映とうえい）、1975年ねん（昭和しょうわ50年ねん）から「スーパー戦隊せんたいシリーズ」（石ノ森いしのもり章太郎しょうたろう原作げんさく、東映とうえい）などが、アニメでは1969年ねん（昭和しょうわ44年ねん）に『タイガーマスク』（東映動画とうえいどうが）、1972年ねん（昭和しょうわ47年ねん）に『科学かがく忍者にんじゃ隊たいガッチャマン』（竜りゅうの子こプロ）などが全国ぜんこく放送ほうそうされた。

キャラクターショーとローカルヒーロー[編集へんしゅう]

ヒーロー物ぶつは子供こどもへの訴求そきゅう力りょくが大おおきく、その物語ものがたりの登場とうじょう人物じんぶつに成なり切きってごっこ遊あそびをする男子だんし児童じどうがしばしば見受みうけられる。1967年ねん（昭和しょうわ42年ねん）、会津あいづ博覧はくらん会かい（福島ふくしま県けん）の円谷つぶらやプロ「怪獣かいじゅう館かん」において、怪獣かいじゅうの着きぐるみ、近ちかくにいた自衛隊じえいたい員いん、そして子供こどもたちがコミュニケーションを取とりながら進すすめるごっこ遊あそびあるいは寸劇すんげきが意図いとせずなされ、子供こどもたちが興奮こうふんして参加さんかした。この経験けいけんはキャラクターショーとして商業しょうぎょう化かされ、子連こづれ客きゃくの集客しゅうきゃくを企図きとする全国ぜんこく各地かくちの遊ゆう園地えんちや商業しょうぎょう施設しせつにおいて行おこなわれるようになった。

他方たほう、前述ぜんじゅつのヒーロー物ぶつのステレオタイプを踏襲とうしゅうし、従来じゅうらい全国ぜんこく区くで製作せいさくされていた同種どうしゅ作品さくひんのブームの最中さいちゅう、石ノ森いしのもり章太郎しょうたろうの出身しゅっしん地ちである宮城みやぎ県けんのスーパーマーケットチェーン「エンドーチェーン」（仙台せんだい市し）が企画きかくして、1973年ねん（昭和しょうわ48年ねん）に『レインボー・アタックエース』が東北放送とうほくほうそうのローカル番組ばんぐみとして放送ほうそうされた。これがローカルヒーローの元祖がんそと言いわれる^[3]。

全国ぜんこく放送ほうそうのヒーロー物ぶつでは、異形いぎょうの等身とうしん大だいヒーローが地球ちきゅうの平和へいわを乱みだす悪あくの組織そしきと戦たたかうという壮大そうだいな勧善懲悪かんぜんちょうあく物語ものがたりであるが、キャラクターショーやローカルヒーローではより小ちいさな地域ちいきレベルの身近みぢかな悪あくを正ただすことになった。それでも児童じどうへの訴求そきゅう力りょくを持もち得えたため、伝つたえたいメッセージを盛もり込こんだダジャレを名称めいしょうとし、全国ぜんこく放送ほうそうのヒーローを真似まねた衣装いしょうを身みに着つけた様々さまざまなローカルヒーローが生うみ出だされ、道徳どうとくや地域ちいきの問題もんだい解決かいけつ法ほうを子供こどもに教育きょういくするキャラクターショーが行おこなわれるようになった。当初とうしょは『月光げっこう仮面かめん』のような布ぬのによる覆面ふくめんで簡便かんべんな衣装いしょうを用もちいたが、団塊だんかいジュニア以降いこうの子供こどもの注目ちゅうもくを得えるためには彼かれらが見慣みなれたヘルメットによる仮面かめん・覆面ふくめんが必要ひつようになり、衣装いしょうも特注とくちゅうの高価こうかなものになった。結果けっか、ある程度ていどの資本しほんがあり、子供こどもの注目ちゅうもくを集あつめたい遊ゆう園地えんち・商業しょうぎょう施設しせつ・商店しょうてん街がい・ローカル局きょく、あるいは道徳どうとくやマナーを子供こどもに教育きょういくしたい自治体じちたいや防災ぼうさい・防犯ぼうはん組織そしきなどがローカルヒーローの担にない手てとして定着ていちゃくした。

客層きゃくそうの拡大かくだいと地域ちいきおこし[編集へんしゅう]

バブル景気けいき期きになると団塊だんかいジュニアが生産せいさん年齢ねんれい人口じんこう（15歳さい～64歳さい）に移行いこうしたため日本にっぽんの子供こどもの人口じんこう（年少ねんしょう人口じんこう）は急減きゅうげんし、バブル崩壊ほうかい後のちには2000万まん人にんを下回したまわって全ぜん人口じんこうに対たいする比率ひりつも15%程度ていどにまで低下ていかした^[2]。すると、ヒーロー物ぶつのテレビ番組ばんぐみは下火したびになっていった。

しかし、晩婚ばんこん化かした団塊だんかいジュニアが親しん世代せだいとなった1990年代ねんだい末すえからは、子供こどもだけではなく親しん世代せだいも楽たのしめるように工夫くふうされたヒーローものが放送ほうそうされるようになった。また、ヒーローものを嗜好しこうするおたくが顕在けんざい化かし、客きゃく単価たんかの大おおきい消費しょうひ者しゃとして注目ちゅうもくされるようになった。このようにヒーローの訴求そきゅう力りょくが子供こども以外いがいにも広ひろがったこと、インターネットが普及ふきゅうして地方ちほうから全国ぜんこくに情報じょうほう発信はっしんすることが簡単かんたんになったこと、完成かんせい度どの高たかい『超ちょう神かみネイガー』（秋田あきた県けん、2005年ねん - ）が全国ぜんこく的てきに話題わだいになったことなどから、ローカルヒーローは新あらたに地域ちいきおこしの手法しゅほうとして用もちいられる傾向けいこうが生うまれ、ご当地とうちグルメ、ご当地とうちアイドル、ご当地とうちキャラ（ゆるキャラ）などと共ともに「ご当地とうちヒーロー」との呼称こしょうも用もちいられるようになり、地域ちいき密着みっちゃくと全国ぜんこくへの情報じょうほう発信はっしんの装置そうちの1つとなった。全国ぜんこく展開てんかいメディアのヒーローによるショーは誘致ゆうちが高価こうかである割わりにフォーマットが単純たんじゅんであり、ショーおよび撮影さつえい会かい程度ていどしかコンテンツがなく、番組ばんぐみスポンサーや全国ぜんこく展開てんかいのしがらみによる硬直こうちょく性せいゆえに地域ちいき振興しんこうの効果こうかが薄うすい。また、大半たいはんのショーはTV番組ばんぐみ登場とうじょう俳優はいゆうによるセリフの録音ろくおんや使用しよう楽曲がっきょく、効果こうか音おんなどが入はいった完かんパケによる作成さくせいであり、実際じっさいに演えんじるのはスーツアクターのため、企画きかく外がいの内容ないようへの対応たいおう力りょくも低ひくい。対たいしてローカルヒーローは時ときに吹ふき替かえはあっても全すべてがキャラクター本人ほんにんであり、マスクを脱ぬいでもローカル番組ばんぐみやWEBで見みた俳優はいゆう本人ほんにんである。さらにグリーティング手法しゅほうによりショー以外いがいの場面ばめんでも祭事さいじに参加さんかし、実際じっさいにヒーローが参加さんかする、または商品しょうひんを食たべてみせ、時ときには子供こどもたちと触ふれ合あえるヒーローとして満足まんぞく度どが高たかい。

2012年ねん現在げんざいでは、広告こうこく代理だいり店てんなどが幹事かんじに連つらなる「ご当地とうちヒーロー情報じょうほう共有きょうゆう会かい」も存在そんざいしており、テレビ局てれびきょく系列けいれつの枠わくを超こえたローカル局きょく有志ゆうしの手てによって、放送ほうそう外がい収入しゅうにゅうに関かんするノウハウ等とう、情報じょうほうの共有きょうゆうが積極せっきょく的てきに行おこなわれている^[4]。

東映とうえいのスタンス[編集へんしゅう]

1988年ねんに『戦隊せんたい』をキャラクターグッズを販売はんばいするバンダイが商標しょうひょうとして登録とうろくし^[5]、爆ばく竜りゅう戦隊せんたいアバレンジャー^[6]やスーパー戦隊せんたいシリーズのなど作品さくひん名めいでの版権はんけんを数多かずおおく所有しょゆうする東映とうえいの姿勢しせいは、公認こうにんするものも存在そんざいする^[5]^[7]一方いっぽうで、必かならずしも好意こうい的てきでない場合ばあいも存在そんざいする。例たとえば「葬祭そうさい戦隊せんたいオガムンジャー」は、東京とうきょう新聞しんぶんで紹介しょうかいされた^[8]事ことが仇かたきとなり、東映とうえいからの申もうし入いれを受うけて『解散かいさん』している^[9]。

地域ちいき別べつローカルヒーロー[編集へんしゅう]

各かく地域ちいき[編集へんしゅう]

それぞれの記事きじを参照さんしょう。

複数ふくすう地域ちいき[編集へんしゅう]

防犯ぼうはん戦隊せんたい！フセグンジャー！！^{[リンク切きれ]} - 防犯ぼうはんだけでなく、色々いろいろなものを防ふせぐローカル戦隊せんたい。24時じ間あいだテレビとのタイアップや明石あかし市しの各種かくしゅイベントや国際こくさい交流こうりゅうなど、幅広はばひろく活躍かつやくしている。

星ほし龍りゅう戦士せんしコスモフラッシャー - 宇宙うちゅうを拠点きょてんとするご当地とうちヒーロー。太陽系たいようけいの惑星わくせいのお祭まつり等とうで大人気だいにんきの為ため休やすむ日ひがないという。地球ちきゅうでも主おもに関東かんとう地方ちほうや東京とうきょう都内とないのライブハウスで活躍かつやく中ちゅう。
DarkSideLine（ダークサイドライン） - 骸むくろ696を中心ちゅうしんに怪人かいじん（悪役あくやく）のみに特とく化かした悪役あくやく集団しゅうだん。様々さまざまな理由りゆうで活動かつどうが手薄てうすな各地かくちのヒーローショーに登場とうじょう。また骸むくろ696は地域ちいきや局きょく、番組ばんぐみ枠わくを超こえてヒーロードラマに出演しゅつえんしている。
ゴロゴローネ - 宇宙うちゅうの鬼おにだが、関東かんとう地方ちほうのイベントステージに登場とうじょうすることが多おおい。
獣しし鬼おに忍にん炎えん狼おおかみ鬼おに - 広島ひろしまを拠点きょてんに西にしへ東ひがしへ全国ぜんこく各地かくちのヒーローのもとへ向むかう。
はぐれ戦闘せんとう員いん古田ふるた - 奈良ならを拠点きょてんに各地かくちのヒーローのもとへ向むかう。

ストラップやキーホルダー[編集へんしゅう]

アクションレンジャー - 長野ながの県けん松本まつもと市しの土産みやげ品ひんメーカー「エイコー」によるローカルヒーローストラップ。北海道ほっかいどう限定げんていや横浜よこはま中華ちゅうか街がい限定げんていなどの特定とくてい地域ちいき限定げんていバリエーションがある。
トゥルース・タカオ - ドリームプラネット製せいのご当地とうちヒーローストラップのシリーズ。北海道ほっかいどうや愛知あいち県けんなど特定とくてい地域ちいき限定げんていのバージョンを多数たすう展開てんかいしている。
香かおり貴公子きこうし・仮面かめんラベンダー - 軽井沢かるいざわのヒーロー。ストラップで展開てんかい。他たに北海道ほっかいどう富良野ふらの市しでもバージョン違ちがい（ベルトのバックルが北海道ほっかいどう型がた）も存在そんざいする。
北陸ほくりく三さん県けん隊たい - 石川いしかわ・福井ふくい・富山とやまの3県けんで展開てんかいしているご当地とうちヒーローストラップ。
ご当地とうち戦隊せんたいみやげんジャー - 離島りとう戦隊せんたいサドガシマンと同おなじくご当地とうちヒーローストラップとして展開てんかいされている。複数ふくすうの県けんで販売はんばいされているが、鳥取とっとり県けんがモチーフの中心ちゅうしん。
四国しこく戦隊せんたいみやげんジャー - 四国しこく4県けんで展開てんかいしているご当地とうちヒーローストラップ。
四国しこくレンジャー瀬戸内せとうち戦隊せんたい - 瀬戸内海せとないかいのローカル戦隊せんたい。ストラップで展開てんかい。
神話しんわ戦隊せんたいカッパレンジャー - 北海道ほっかいどう～東北とうほく地方ちほうで展開てんかい。ストラップで展開てんかい。
秘ひ湯ゆ戦隊せんたい温泉おんせん卵たまごレンジャー - 温泉おんせんのある観光かんこう地ち向むけに企画きかくされた。ストラップのみ。
急襲きゅうしゅう戦隊せんたいダンジジャー - 九州きゅうしゅう7県けんのアニメイトとゲーマーズで菓子かしやキーホルダーを展開てんかいしている。各かく県けんに対応たいおうした7人にんのキャラクターが存在そんざいするが、県けんに関係かんけいなくどこの店みせでも販売はんばいされている商品しょうひん内容ないようは同おなじ。