丁ひのと部ぶ領りょう

先さき皇帝こうてい 丁ひのと部ぶ領りょう
丁ひのと朝あさ
初代しょだい皇帝こうてい
丁ちょう先皇せんのう像ぞう（ホアルー丁ひのと先皇せんのう廟びょう）
国号こくごう	大だい瞿越
王朝おうちょう	丁ひのと朝あさ
在位ざいい期間きかん	968年ねん - 979年ねん
都城みやこのじょう	華はな閭
姓せい・諱いみな	丁ちょう環たまき（初はつ名な）→丁ひのと部ぶ領りょう
尊号そんごう	大勝たいしょう明あかり皇帝こうてい
諡号しごう	丁ちょう先皇せんのう
別べつ号ごう	大勝たいしょう明王みょうおう、万まん勝しょう王おう
生年せいねん	乾いぬい亨とおる8年ねん2月がつ15日にち （924年ねん3月22日にち）
没年ぼつねん	太平たいへい10年ねん10月（979年ねん）
父ちち	丁ちょう公こう著ちょ
母はは	譚たん氏し
后妃こうひ	一覧いちらん 丹たん嘉よしみ皇后こうごう 貞明皇后ていめいこうごう 矯国皇后こうごう 瞿国皇后こうごう 歌うた翁おう皇后こうごう 楊雲娥
陵墓りょうぼ	華はな閭山陵りょう
元号げんごう	太平たいへい : 970年ねん - 979年ねん

丁ひのと 部ぶ領りょう（てい ぶりょう、てい ぶれい、ディン・ボ・リン、ベトナム語ご：Đinh Bộ Lĩnh / 丁ひのと部ぶ領りょう）は、丁ひのと朝あさ大だい瞿越の建国けんこく者しゃ。後世こうせい、丁ちょう先皇せんのう（ディン・ティエン・ホアン、ベトナム語ご：Đinh Tiên Hoàng / 丁ちょう先皇せんのう）と尊称そんしょうされた。

生涯しょうがい

ディン・ティエン・ホアン像ぞう（ニンビン）

初はつ名なは丁ちょう環たまき（ディン・ホアン、ベトナム語ご：Đinh Hoàn / 丁ちょう環たまき）といい、母ははの譚たん氏しがカワウソと交まじわってできた子こであるという伝承でんしょうがある。父ちちの丁ちょう公こう著ちょは楊廷芸げいの下したで将軍しょうぐんを務つとめ、驩州刺史ししとして呉ご権けんに使つかえたが、丁ひのと部ぶ領りょうがまだ幼おさない頃ころに死去しきょしている。

丁ひのと部ぶ領りょうは父ちちの地盤じばんを継ついで華はな閭洞を支配しはいした。叔父おじの丁ひのと預あずかとの抗こう争そうの最中さいちゅう2匹ひきの黄き龍りゅうに命いのちを救すくわれたという伝承でんしょうがあり、丁ひのと預あずかを討伐とうばつして帰順きじゅんさせ、勢力せいりょくを強つよめた。時ときに安やす南みなみは十じゅう二に使つかい君くんの乱らんによって豪族ごうぞくの地方ちほう割拠かっきょが進すすんでおり、丁ひのと部ぶ領りょうもはじめは十じゅう二に使つかい君くんの一人ひとりであった陳ちん覧らんに従したがい、後のちに同盟どうめい者しゃとなった。その際さいに陳ひね覧らんの跡あとを継つぐ約束やくそくをしており、その死後しご、勢力せいりょくを引ひき継ついだ。

乾いぬい和かず9年ねん（951年ねん）、呉ご朝ちょうへの納おさめ貢みつぎを拒こばんだことから、呉ご昌あきら岌・呉ご昌文まさふみに根拠地こんきょちの華はな閭洞を包囲ほういされたが、攻せめ落おとされることはなかった。また使つかい君くんの一人ひとりである呉ご日にち慶けいを降伏ごうぶくさせた後のち、その母ははの黄き氏しを娶めとって妻つまとし、また娘むすめの仏ふつ金きん公主こうしゅを呉ご日にち慶けいに嫁とつがせ、長男ちょうなんの丁ちょう璉には呉ご日にち慶けいの妹いもうとを娶めとらせた。

十じゅう二に使つかい君くんの平定へいてい

呉ご朝ちょうの呉ご昌あきら熾おきを宴会えんかいに誘さそって脅おどし、屈服くっぷくさせた。また、杜もり景けい碩せき・阮超とは長年ながねんにわたって争あらそった。杜もり景けい碩せきは戦たたかいの中なかで流ながれ矢やに当あたって戦死せんしし、その兵へいは丁ひのと部ぶ領りょうに降伏ごうぶくした。阮超は最もっとも頑強がんきょうな存在そんざいであったが、阮超軍ぐんの渡河とか中ちゅうに突風とっぷうが起おこり、軍船ぐんせんや軍ぐんの物資ぶっしはすべて水中すいちゅうに沈しずんだことを知しった丁ひのと部ぶ領りょうは、十じゅう人にんの勇士ゆうしを潜入せんにゅうさせて阮超の陣営じんえいを焼やき、阮超軍ぐんを大おおいに破やぶった。その後ご、矯順・阮守捷とし・阮寛・呂りょ唐とうらの使つかい君くんを各個かっこ撃破げきはして、安やす南みなみを統一とういつした。負まけ知しらずの丁ひのと部ぶ領りょうを民衆みんしゅうは「万まん勝しょう王おう」と呼よんだ。

大だい瞿越皇帝こうてい

大宝たいほう11年ねん（968年ねん）に帝位ていいにつき、国号こくごうを「大だい瞿越（だいくえつ、ダイコーヴェト）」とし華はな閭に都とを置おいた。華はな閭はこの後のち、順じゅん天てん元年がんねん（1010年ねん）の昇龍しょうりゅう遷都せんとまで都ととして在あり続つづけた。宋そうの皇帝こうていの存在そんざいがありながら自みずからも皇帝こうていを名乗なのり、丁ちょう璉を南越なんごし王おうに封ふうじた。太平たいへい2年ねん（971年ねん）には行政ぎょうせい官僚かんりょう・軍ぐん司令しれい官かん・僧侶そうりょ・道士どうしなどに位階いかい制度せいどを設もうけ、軍制ぐんせいも整備せいびした。太平たいへい4年ねん（973年ねん）には宋そうへの朝貢ちょうこうを行おこなった。また、ベトナムで初はじめて元号げんごうをもうけ、989年ねんを太平たいへい元年がんねんとした。

晩年ばんねんは政権せいけんの安定あんていを図はかって多おおくの有力ゆうりょく氏族しぞくから皇后こうごうを迎むかえたことがかえって宮廷きゅうてい内乱ないらんの元もととなり、太平たいへい10年ねん（979年ねん）、丁ちょう璉と共ともに祗候しこう内ない人じんの杜もり釈しゃくによって殺ころされた。

関連かんれん項目こうもく

2011年ねん8月がつにベトナム人民じんみん海軍かいぐんがロシアから購入こうにゅうしたゲパルト型がたフリゲートが、ベトナム史し草創そうそう期きの王朝おうちょうを打うち建たてた二に大だい皇帝こうてい (丁ちょう先皇せんのうと李り太ふとし祖そ）の名なにちなんでディン・ティエン・ホアン、リ・タイ・トと命名めいめいされた。

子女しじょ

男子だんし

1. 南越なんごし王おう 丁ちょう璉（母ははは不ふ詳しょう）
2. 衛まもる王おう 丁ちょう璿（廃帝はいてい、母ははは楊雲娥）
3. 皇太子こうたいし 丁ちょう項こう郎ろう（母ははは不ふ詳しょう）

女子じょし

1. 明あかり珠たま公主こうしゅ（陳ちん覧らんの弟おとうと・陳ちん升ますに嫁かす）
2. 仏ふつ金きん公主こうしゅ（母ははは不ふ詳しょう、呉ご日にち慶けいに嫁かす）

参考さんこう資料しりょう

• 桐山きりやま昇のぼる、栗原くりはら浩ひろし英えい、根本ねもと敬たかし編へん 編へん『東南とうなんアジアの歴史れきし―人ひと・物もの・文化ぶんかの交流こうりゅう史し』有斐閣ゆうひかく〈世界せかいに出会であう各国かっこく=地域ちいき史し〉、2003年ねん9月がつ30日にち。ISBN 978-4641121928。 

先代せんだい ―

丁ひのと朝あさの初代しょだい皇帝こうてい 968年ねん - 979年ねん

次代じだい 廃帝はいてい