万まん創そう

株式会社かぶしきがいしゃ万まん創そう（ばんそう）は、かつて存在そんざいした日本にっぽんの企業きぎょう。

2020年ねん現在げんざい、別べつの業種ぎょうしゅで同名どうめいまたは類似るいじ名めいの企業きぎょうが複数ふくすう存在そんざいするが、それらとは全まったく関係かんけいがない。

概要がいよう

フジテレビ事業じぎょう局きょくから発売はつばいされていたウルトラシリーズなどの「とびだすえほん」が、放送ほうそう局きょくの出版しゅっぱん事業じぎょうを禁止きんしするという当時とうじの法律ほうりつに抵触ていしょくしたため、創設そうせつされた企業きぎょうである。

設立せつりつ

フジテレビ時代じだいに「とびだすえほん」の下請したうけ制作せいさくを請うけ負おっていた小出こいで信宏のぶひろ社しゃの子会社こがいしゃとして、1970年ねんに東京とうきょう都と中央ちゅうおう区く日本橋にほんばしで山田やまだ高こう亘わたるを社長しゃちょうとして設立せつりつし、「とびだすえほん」の出版しゅっぱん・販売はんばいを引ひき継ついだ。

成長せいちょう期き

フジテレビ時代じだいからのヒット商品しょうひんである「とびだすえほん」は幸運こううんにも他社たしゃと競合きょうごうしない商品しょうひんで、万まん創そうは『仮面かめんライダー』や『帰かえってきたウルトラマン』など当時とうじの人気にんき番組ばんぐみのスポンサーになる。同社どうしゃは独占どくせん的てきに商品しょうひん化か権けんを獲得かくとくすることで、急速きゅうそくに成長せいちょうした。

当初とうしょの独占どくせん的てき商品しょうひん化か権けんは、万まん創そうが手てがけていた「とびだすえほん」や紙かみ製せい玩具おもちゃのみであったが、同社どうしゃの強引ごういんな商品しょうひん化か戦略せんりゃくに危機きき感かんを持もった他社たしゃも続々ぞくぞくとキャラクター番組ばんぐみのスポンサーに参加さんかすることで、第だい二に次じ怪獣かいじゅうブームにおけるキャラクター番組ばんぐみの量産りょうさんに拍車はくしゃをかける。東京放送とうきょうほうそう（TBS、現げん・TBSホールディングス）の岡崎おかざき潔きよしは業界ぎょうかいの秩序ちつじょを乱みだす同社どうしゃに対たいし、スポンサーになっても新あたらしい許諾きょだくを与あたえない方針ほうしんを取とった。しかし万まん創そうは岡崎おかざきを懐柔かいじゅうし、自社じしゃに呼よび込こむことによって障害しょうがいを取とり除のぞく。

1972年ねん8月がつ時点じてんでは年商ねんしょう31億おく円えんをあげていた。

転換期てんかんき

万まん創そうでは競合きょうごう他社たしゃへの対抗たいこう策さくとして、1972年ねんからは文房具ぶんぼうぐやプラモデルなどの生産せいさん・販売はんばいへと事業じぎょうを拡大かくだい。同社どうしゃが手てがける番組ばんぐみはさらに数かずを増まし、番組ばんぐみ提供ていきょう費ひも増大ぞうだいしてゆく。しかし、商品しょうひん化かに必要ひつようなパルプなどの原材料げんざいりょう不足ふそくが1973年ねん初頭しょとうから深刻しんこく化かしていたこともあって、同社どうしゃの商品しょうひんは粗悪そあく品ひんが増ふえていき、消費しょうひ者しゃからは苦情くじょうが寄よせられるようになった。また「とびだすえほん」の価格かかくをめぐる小売こうり店てんとの対立たいりつから、不買ふばい運動うんどうも勃発ぼっぱつしていた。

倒産とうさん

キャラクター番組ばんぐみの供給きょうきゅう過剰かじょう状態じょうたいに加くわえて、それまでの膨大ぼうだいな宣伝せんでん費ひや流通りゅうつう経費けいひなどの要因よういんも重かさなった万まん創そうは、1973年ねん6月がつ19日にちに総額そうがく28億おく円えんの負債ふさいを抱かかえて倒産とうさん。20日はつかが決済けっさい期日きじつの6000万まん円えんの手形てがたを落おとせず、事前じぜんに東京とうきょう地裁ちさいに会社かいしゃ整理せいりを申請しんせいしたとされる。番組ばんぐみ提供ていきょう費ひは総そう売上うりあげの3割わりにも達たっしており、同社どうしゃが倒産とうさん直前ちょくぜんまで提供ていきょうスポンサーだった毎日放送まいにちほうそうの『ジャンボーグA』や、フジテレビの『ロボット刑事けいじ』などの番組ばんぐみにも、未払みはらいのキャラクター使用しよう料りょうが負債ふさいとして残のこった。そのため連鎖れんさ倒産とうさんした親会社おやがいしゃの小出こいで信宏のぶひろ社しゃを含ふくめた経営けいえい再建さいけん案あんとして再ふたたびキャラクター使用しようの要請ようせいが各かくテレビ局てれびきょくにされたが、負債ふさいを理由りゆうに拒否きょひしたため再建さいけんには至いたらなかった。

竜りゅうの子こプロダクション（タツノコプロ）作品さくひんのプラモデルは、同社どうしゃが今井いまい科学かがくの協力きょうりょくで設立せつりつした子会社こがいしゃ「タツノコランド」から再販さいはんされたが、同社どうしゃは1974年ねんに活動かつどうを停止ていしした。その直後ちょくごに今井いまい科学かがくがタツノコプロとの契約けいやく切きれ後ごも、同社どうしゃの警告けいこくを無視むしして不正ふせいに商品しょうひんの販売はんばいを継続けいぞくしていたことが問題もんだいとなった。

倒産とうさん後ごの1975年ねんから1980年代ねんだいに平仮名ひらがな表記ひょうきの「株式会社かぶしきがいしゃばんそう」が「とびだすえほん」や「POPえほん」などの商品しょうひん名めいで当時とうじの人気にんき番組ばんぐみなどの絵本えほん類るいを発売はつばいしていたが、本社ほんしゃ所在地しょざいちが異ことなり、旧きゅう「万まん創そう」との法人ほうじんとしての連続れんぞく性せいや人的じんてき関係かんけいなどは不明ふめいである。

手薄てうすになった紙かみ製せい玩具おもちゃに文具ぶんぐメーカーのセイカ（現げん・サンスタさんすたー文具ぶんぐ セイカブランド）やショウワノートが進出しんしゅつする。万まん創そうの倒産とうさんはスポンサーに商品しょうひん化か権けんを与あたえることの危険きけん性せいを示しめしたが、テレビ局てれびきょくとしては収益しゅうえきが上あがることから、現在げんざいでも方針ほうしんを改あらためていない。

参考さんこう文献ぶんけん

• マーチャンダイジングライツレポート
• 『テレビマガジン特別とくべつ編集へんしゅう 変身へんしんヒーロー大だい全集ぜんしゅう』講談社こうだんしゃ、1995年ねん11月30日にち。ISBN 4-06-178419-6。