三連星さんれんせい

三連星さんれんせい（さんれんせい）は囲碁いごにおける布石ふせき手法しゅほうの一ひとつ。隣となり合あった隅すみ・辺へん・隅すみの星ほしを占しめる布石ふせきである。辺あたりを打うたず、隣となり合あった隅すみの星ほしを占しめるのは二に連れん星ほしと呼よばれる。中央ちゅうおうに大おおきな模様もようを張はることを主眼しゅがんとしたスタイルで、武たけ宮みや正樹まさきが有名ゆうめいな使つかい手てである。

図ずの黒くろの配置はいちが三連星さんれんせい、白しろの配置はいちが二に連れん星ぼしである。

歴史れきし

三連星さんれんせいは六ろく子し以上いじょうの置碁おきごには必かならず現あらわれる形かたちでありながら、互先たがいせんの布石ふせきとしては長ながらく打うたれることはなかった。1933年ねんに当時とうじ24歳さいの木谷きたに実みのるが前田まえだ陳ひね爾なんじを相手あいてに実戦じっせんで試ためしたのが始はじまりといわれる。この後のちプロ棋士きし間あいだでも大だい流行りゅうこうしたが、新しん布石ふせきの衰退すいたいに伴ともなって打うたれる回数かいすうは減へっていった。

三連星さんれんせいに新あらたな輝かがやきを与あたえたのは木谷きたにの弟子でし武たけ宮みや正樹まさきであり、黒くろ番ばんではほぼ三連星さんれんせい一本槍いっぽんやりの布石ふせきを打うち続つづけて世界せかい選手権せんしゅけんを2連覇れんぱするなど活躍かつやくし、豪快ごうかいな「宇宙うちゅう流りゅう」を披露ひろうした。これに影響えいきょうを受うけて中ちゅう韓かんでも三連星さんれんせいが大おおいに打うたれた時期じきもあったが、近年きんねんでは対策たいさくの研究けんきゅうが進すすみ、やや碁ご形がたが単調たんちょうになりがちとしてプロの間あいだでは打うたれることが少すくなくなっている。

特徴とくちょう

三連星さんれんせいの特徴とくちょうは全すべての石いしが第だい四よん線せんにあるため中央ちゅうおうに模様もようを張はるのに有利ゆうりであり、かつ隅すみを一手いってで済すませているため足早あしばやな展開てんかいが可能かのうである点てんである。反面はんめん地ちには甘あまく、攻せめ損そこねて模様もようを荒あらされてしまうと即そく負まけにつながりやすい。

白しろ1と内側うちがわからカカるのは黒くろ2・白しろ3・黒くろ4と重おもくして攻せめ立たてられ、主導しゅどう権けんを黒くろに与あたえてしまう。また攻せめられている間あいだに下方かほうの黒くろ模様もようが大おおきくなり、弱じゃく石いしを抱かかえている限かぎり侵入しんにゅうは難むずかしくなる。このため布石ふせき初期しょきにおいて、三連星さんれんせいに対たいする内側うちがわからのカカリは一般いっぱんに不利ふりとされている。

白しろの外側そとがわからのカカリに対たいしては例たとえば黒くろ2へ一いち間あいだにハサみ、白しろ3への三さん々入いりを促うながして黒くろ4と押おさえ、右辺うへんに大おおきな黒くろ模様もようを構築こうちくすることを目指めざす。下図したずのような形かたちは三連星さんれんせいのひとつの理想りそう形がたである。またカカリに手てを抜ぬいて下辺かへん星ぼし（a）へと展開てんかいするような手てもあり、これを「四よん連れん星ほし」と呼よぶことがある。

これに対たいし、白しろは一いち間あいだバサミに対たいして白しろ3と中央ちゅうおうにトビ出だし、黒くろ4なら白しろ5へとカケて中央ちゅうおうへの制空権せいくうけんを奪うばう手法しゅほうが開発かいはつされた。左辺さへんが二に連れん星ぼしである場合ばあいなど関連かんれんさせて大だい模様もようを築きずくこともでき、白しろの側がわからの有力ゆうりょくな対策たいさくとされた。