(Translated by https://www.hiragana.jp/)
上弦の月を喰べる獅子 - Wikipedia コンテンツにスキップ

上弦じょうげんつきくえべる獅子しし

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

上弦じょうげんつきくえべる獅子しし』(じょうげんのつきをたべるしし)は、夢枕ゆめまくらばくSF小説しょうせつ幻想げんそう小説しょうせつ

1986ねんから1988ねんまで『SFマガジン』に連載れんさいされ、1989ねん8がつ早川書房はやかわしょぼうから単行本たんこうぼん刊行かんこうされた。1989ねんだい10かい日本にっぽんSF大賞たいしょう1990ねんだい21かい星雲せいうんしょう日本にっぽん長編ちょうへんしょう受賞じゅしょうする[1]

内容ないよう

[編集へんしゅう]

この存在そんざいするあらゆる螺旋らせんあつめる「螺旋らせん蒐集しゅうしゅう」である三島みしま草平そうへいは、ある現実げんじつではありえない螺旋らせん階段かいだんにしてそれをのぼりはじめる。また、わか宮沢みやざわ賢治けんじは、北上高地きたがみこうち巨大きょだいオウムガイ化石かせき発見はっけんする。2人ふたり時間じかんえて融合ゆうごうしてアシュヴィンとなり、世界せかいてしまう。

アシュヴィンは兄妹きょうだいであるダモンとシェラと出会であい、さらにだれたことのない迷楼(スメール)の山頂さんちょう目指めざすことになる。山頂さんちょうでアシュヴィンは問答もんどうかえし、自分じぶんなにであるかをる。

遍路へんろたんなかに、仏教ぶっきょう思想しそうとヒンドゥてき宇宙うちゅうかん挿入そうにゅうした広大こうだいなスケールの作品さくひん。「アシュヴィン」のアシュヴィンそうかみ由来ゆらいしている。

絵画かいが

[編集へんしゅう]

単行本たんこうぼん表紙ひょうしとうには細密さいみつえがかれており、この小説しょうせつ題名だいめい中身なかみとはべつにこの絵画かいが画題がだいからられた。この絵画かいが上弦じょうげんつきくえべる獅子しし」は、インドじん現代げんだい女性じょせい画家がかであるガンガー・デーヴィー英語えいごばんによるもの。

この絵画かいが題名だいめいは、画家がか本人ほんにん命名めいめいではなく、音楽おんがくバンドタージマハル旅行りょこうだんもとメンバーで、現在げんざい新潟にいがたけん十日町とおかまちにあるミティラー美術館びじゅつかん館長かんちょうつとめる長谷川はせがわ時夫ときお命名めいめいしたものである。絵画かいがの「上弦じょうげんつきくえべる獅子しし」は、きたインドネパール一部いちぶ伝統でんとう絵画かいが技法ぎほうである「ミティラー」の風景ふうけいぞくするとみられる。

画家がかによれば、中央ちゅうおう獅子ししはメスで、腹中ふくちゅうにはつきんでいるではなく、宿やどしているのだという。これをつきにいいかえたのは、命名めいめいしゃである長谷川はせがわ月見つきみきだからという理由りゆうらしい。

この絵画かいがも、人間にんげん一生いっしょう動物どうぶつ擬態ぎたいさせてえがいており、ヒンドゥーきょう影響えいきょう色濃いろこ秀作しゅうさくである。

関連かんれん作品さくひん

[編集へんしゅう]
  • 上段じょうだんきをらういのしし獅子じし
    作者さくしゃ本人ほんにんふでによるセルフパロディ作品さくひん哲学てつがくてき遍路へんろえがいたほんさく内容ないようを、筆者ひっしゃあいするプロレスなどの格闘技かくとうぎえたもの。こちらも星雲せいうんしょう受賞じゅしょうしている。
  • 天元てんげん突破とっぱグレンラガン
    シリーズ構成こうせい中島なかじまかずきが「螺旋らせん」というテーマをあつかうにたり、小説しょうせつばんのあとがきなどで名前なまえげていた。中島なかじまは「キマイラ」のおびぶんいたり対談たいだんおこなったりと、夢枕ゆめまくらばくとは交流こうりゅうがある。

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ 大森おおもりのぞむ三村みつむらよしころも『ライトノベル☆めったり!』NTT出版しゅっぱん、2004ねん12月24にちだい1さつ発行はっこう、263ぺーじISBN 4-87233-904-5