中村なかむら六三郎ろくさぶろう

中村なかむら 六三郎ろくさぶろう（なかむら ろくさぶろう、天保てんぽう12年ねん（1841年ねん） - 明治めいじ40年ねん（1907年ねん））は、長崎ながさき出身しゅっしんの教育きょういく者しゃである。三菱みつびし商船しょうせん学校がっこう（後こう官立かんりつ東京とうきょう商船しょうせん学校がっこう）初代しょだい校長こうちょう、日本にっぽん海員かいいん掖わき済ずみ会かい創立そうりつに参与さんよした。

人物じんぶつ・略歴りゃくれき

長崎ながさき西浜にしのはま町まち呉服ごふく舗の藤井ふじい太ふとし兵衛ひょうえと妻つまのぶ（村山むらやま氏し）の次男じなんとして生うまれる。六三郎ろくさぶろうは異母いぼ兄けい（母ははは田島たじま氏し）幸みゆき之これ進しんが中村なかむら家かの養やしなえ嗣となっていたので、藤井ふじい家かの父母ちちははの没後ぼつご、六三郎ろくさぶろうは兄あにの子ことして中村なかむら家かに引ひき取とられた。13歳さいの時ときである。

六ろく三さん郎ろうは、15歳さいにして高島たかしま浅あさ五郎ごろう（秋帆しゅうはんの長子ちょうし）及および久松ひさまつ土岐とき太郎たろう（秋帆しゅうはんの次男じなん）の門もんに入はいってオランダ砲術ほうじゅつを学まなんだ。17歳さいにして長崎ながさき奉行ぶぎょう所しょの命いのちにより蘭らん人じん教師きょうしハントロイエンに就ついて砲ほう銃じゅうの火ひ技わざを修おさめると、21歳さいで山本やまもと晴海はるみに漢籍かんせきと武術ぶじゅつを学まなび、23歳さいで高島たかしま流りゅう砲術ほうじゅつ家か中島なかじま名めい左衛門さえもんに従したがって長門ながと国こくの萩はぎに赴おもむき、同国どうこく藩士はんしに砲術ほうじゅつ火ひ工こうの諸しょ術じゅつを伝つたえた。

24歳さいで帰き崎さきして英語えいごを学習がくしゅう、25歳さいで再ふたたび奉行ぶぎょう所しょ命いのちによって在ざい泊はくの英国えいこく軍艦ぐんかんに至いたり、海軍かいぐん用兵ようへいの一いち班はんを修行しゅぎょうした。26歳さいで兵学へいがく師範しはん役やく久松ひさまつ忠ただし論ろんの塾頭じゅくとうとして薩・土ど・肥こえ・築ちく勢ぜいなど諸しょ藩士はんしに英えい式しき砲術ほうじゅつを授さづけ、27歳さいで長崎ながさき界隈かいわいの農兵のうへいを以もって編成へんせいせる砲ほう隊たいの指揮しきを執とる（この兵隊へいたいは後のちに振ふ遠どお隊たいと号ごうした）。

幕府ばくふが瓦解がかいし、明治めいじ元年がんねん3月がつ、部下ぶかの諸しょ兵へいを置おく長崎ながさき駐屯ちゅうとんの官軍かんぐんに交付こうふし、同士どうし数すう名めいと江戸えどへ出だしで、さきに長崎ながさきにおいて知遇ちぐうを受うけし勝海かつみ舟ふねに頼たよる。8月がつ徳川とくがわ慶喜よしのぶに隋ずいって駿府すんぷ城じょう外がいの割付わりつけを為なし、11月沼津ぬまづに移住いじゅうする。

明治めいじ2年ねん東京とうきょうに上のぼり、赤松あかまつ則そく良りょう（後ご、海軍かいぐん中将ちゅうじょう男爵だんしゃく）の塾じゅくに入塾にゅうじゅく。算数さんすう・測量そくりょうを習業し、3年ねん大学だいがく中ちゅう得業とくぎょう生せいより累進るいしんし、8年ねん広島ひろしま師範しはん学校がっこう校長こうちょうとなる。時ときに、前島まえじま密ひそかは郵便ゆうびん汽船きせん三菱みつびし会社かいしゃに補助ほじょ金きんを給付きゅうふして商船しょうせん学校がっこうを創立そうりつさせ、11月に六ろく三さん郎ろうを薦すすめて該校の主幹しゅかんとした。

明治めいじ15年ねん官立かんりつ東京とうきょう商船しょうせん学校がっこう長ちょうに任にんじ、後ご、大阪おおさか・函館はこだて商船しょうせん学校がっこう両分りょうぶん校長こうちょうを兼職けんしょくせしことがある。

明治めいじ27年ねん11月に辞じす。六三郎ろくさぶろうが日本にっぽん海員かいいん掖わき済ずみ会かいの創立そうりつに参与さんよした。

明治めいじ40年ねん9月がつ、脳溢血のういっけつで死亡しぼう。享年きょうねん67。

系譜けいふ・家族かぞく

中村なかむら氏しは大村おおむら丹後たんご守もりの家系かけいで、肥前ひぜん東彼杵ひがしそのぎ郡ぐん大村おおむらの出身しゅっしんである。

六ろく三さん郎ろうの妻つまみや（平野ひらの富二とみじの母方ははかたの従姉妹いとこ）は、福岡ふくおかで没ぼっしたが、恐おそらく長女ちょうじょふみが大森おおもり治おさむ豊ゆたかの許もとに嫁とついでいたので、そこを頼たよって六ろく三さん郎ろうの死後しご約やく1年間ねんかんを過すごしたのであろう。

墓所はかしょ・記念きねん碑ひ

六ろく三さん郎ろうは、沼津ぬまづ蓮光寺れんこうじに埋葬まいそうされた。

長崎ながさき市内しないの諏訪すわ公園こうえんに顕彰けんしょう碑ひがある。撰文せんぶんは前島まえじま密ひそかで、明治めいじ42年ねん10月がつ24日にちに除幕じょまく式しきが行おこなわれた。 子孫しそんは長崎ながさき市しに在住ざいじゅう

著書ちょしょ

小学しょうがく幾何きか用法ようほう（明治めいじ九きゅう年ねん訳本やくほん）上中かみなか・下した・付録ふろく

その他た

平成へいせい23年ねん11月「第だい25回かい長崎ながさきウーマンズウォークラリー」に初はつ登場とうじょう。

公職こうしょく
先代せんだい 久保田くぼた譲ゆずる	広島ひろしま師範しはん学校がっこう長なが 1875年ねん	次代じだい 松本まつもと正ただし凝しこり