白石しらいし萬よろず隆たかし

白石しらいし 萬よろず隆たかし
第だい二に艦隊かんたい参謀さんぼう長ちょう時代じだい
生誕せいたん	1892年ねん10月24日にち 日本にっぽん 愛媛えひめ県けん
死没しぼつ	(1961-11-16) 1961年ねん11月16日にち（69歳さい没ぼつ）
所属しょぞく組織そしき	大日本帝国だいにっぽんていこく海軍かいぐん
軍ぐん歴れき	1915年ねん - 1945年ねん
最終さいしゅう階級かいきゅう	海軍かいぐん中将ちゅうじょう

白石しらいし 萬よろず隆たかし（しらいし かづたか、1892年ねん（明治めいじ25年ねん）10月24日にち - 1961年ねん（昭和しょうわ36年ねん）11月16日にち）は、日本にっぽんの海軍かいぐん軍人ぐんじん。太平洋戦争たいへいようせんそう開戦かいせん時じの第だい二に艦隊かんたい参謀さんぼう長ちょうとして、南方なんぽう攻略こうりゃく戦せんや第だい三さん次じソロモン海戦かいせんなど、第だい七なな戦隊せんたい司令しれい官かんとしてマリアナ沖おき海戦かいせん、レイテ沖おき海戦かいせんを戦たたかった海軍かいぐん中将ちゅうじょうである。

経歴けいれき

艦長かんちょうを務つとめた重じゅう巡洋艦じゅんようかん「古こ鷹たか（1939年ねん）

開戦かいせんまで

愛媛えひめ県けん出身しゅっしん。海軍兵学校かいぐんへいがっこうおよび陸軍りくぐん士官しかん学校がっこう（第だい26期き）を受験じゅけんし、双方そうほうに合格ごうかくしている。海軍兵学校かいぐんへいがっこう42期き。同期生どうきせいに大西おおにし新蔵しんくら、三戸さんのへ寿ひさし、小柳こやなぎ冨とみ次じらがいる。白石しろいしの席次せきじは117名めい中ちゅう21番ばんであったが、練習れんしゅう艦隊かんたいにおいて好成績こうせいせきを収おさめ、1915年ねん（大正たいしょう4年ねん）の少尉しょうい任官にんかん時じの席次せきじはかなりの程度ていど上昇じょうしょうした。初級しょきゅう士官しかん配置はいちを終おえたのち、水雷すいらい学校がっこう高等こうとう科かへ進すすみ水雷すいらい専攻せんこう士官しかんとなる。白石しらいしは首席しゅせきで卒業そつぎょうし、軽けい巡洋艦じゅんようかん「天龍てんりゅう」水雷すいらい長ちょう、駆逐くちく艦かん「旗はた風ふう」艦長かんちょう、第だい一いち水雷すいらい戦隊せんたい参謀さんぼうを務つとめている。当時とうじの第だい一いち水雷すいらい戦隊せんたい司令しれい官かんは水雷すいらい戦術せんじゅつの権威けんいであった有ゆう地ち十じゅう五ご郎ろうであり、白石しらいしは約やく2年間ねんかん補佐ほさしている。この他ほか横須賀よこすか海軍かいぐん航空こうくう隊たい附つけとして、戦艦せんかん「石見いわみ」に対たいする飛行機ひこうきによる爆ばく撃げき実験じっけんの委員いいん、海兵かいへい51期きらの練習れんしゅう艦隊かんたい参謀さんぼうを歴任れきにんした。

1925年ねん（大正たいしょう14年ねん）海軍かいぐん大だい学校がっこう甲種こうしゅ学生がくせい（25期き）となる。当時とうじの校長こうちょうは実戦じっせん派はで水雷すいらい戦術せんじゅつの大家たいかであった大谷おおや幸四郎こうしろうで、教官きょうかんには嶋田しまだ繁太郎しげたろう、下村しもむら正ただし助すけ、寺本てらもと武治たけはるらがおり、同期生どうきせいには高木たかぎ惣そう吉きち、石川いしかわ信吾しんご、加来かく止とめ男おとこ、大杉おおすぎ守一しゅいちなどがいた。在校ざいこう中ちゅう、大正天皇たいしょうてんのうの大葬たいそうがあり、白石しらいしら学生がくせいは葬列そうれつ係がかりを務つとめた。この海うみ大だい25期きは、20名めいの学生がくせいすべてが将官しょうかんへ進級しんきゅうした珍めずらしいクラスであったが、5名めいが戦死せんし、1名めいが法務ほうむ死しとなっている。卒業そつぎょう後ごは艦かん政せい本部ほんぶ員いん、軍務ぐんむ局きょく員いんなど海軍かいぐん中央ちゅうおうでの軍政ぐんせい配置はいちを経験けいけんした。

中佐ちゅうさおよび大佐たいさ時代じだいの初期しょきは、駐ちゅう満まん海軍かいぐん部ぶ参謀さんぼう、海うみ大だい教官きょうかん、興亜こうあ院いん政務せいむ部ぶ第だい一いち課長かちょうを経へて、第だい一いち艦隊かんたい第だい六ろく戦隊せんたい所属しょぞくの重じゅう巡洋艦じゅんようかん「古こ鷹たか」艦長かんちょうに補ほせられた。副長ふくちょうは黛まゆずみ治夫はるおである。戦艦せんかん「霧島きりしま」艦長かんちょうを経へて、1941年ねん（昭和しょうわ16年ねん）8月がつ30日にち、日本にっぽん海軍かいぐんの前進ぜんしん部隊ぶたいである第だい二に艦隊かんたい参謀さんぼう長ちょうに就任しゅうにん。同年どうねん10月がつには少将しょうしょうへ昇進しょうしんし、太平洋戦争たいへいようせんそうを迎むかえた。

南方みなかた作戦さくせん

第だい二に艦隊かんたいは開戦かいせん劈頭へきとうの南方なんぽう作戦さくせんの責任せきにん部隊ぶたいであり、南みなみ遣や艦隊かんたいが協力きょうりょくする陸軍りくぐんのマレー攻略こうりゃく作戦さくせん、第だい三さん艦隊かんたいが協力きょうりょくするフィリピン攻略こうりゃく戦せんの全般ぜんぱん支援しえんという役割やくわりで開戦かいせんを迎むかえる。問題もんだいになったのは、大本営だいほんえい、連合れんごう艦隊かんたいのレベルで陸軍りくぐん側がわと同意どういにいたらなかったコタバル上陸じょうりく作戦さくせんおよびイギリス東洋とうよう艦隊かんたいに属ぞくする「プリンス・オブ・ウェールズ」、「レパルス」の2戦艦せんかんの動向どうこうである。第だい二に艦隊かんたいは、イギリス軍ぐん飛行場ひこうじょうにちかいコタバルに上陸じょうりくすることに同意どういしておらず、海軍かいぐん側がわの協力きょうりょく方法ほうほうは実施じっし部隊ぶたいの南みなみ遣や艦隊かんたい（司令しれい長官ちょうかん・小沢おざわ治おさむ三郎さぶろう）にゆだねられた。上陸じょうりく部隊ぶたいは輸送ゆそう船せん「淡路山あわじさん丸まる」などの船舶せんぱくに被害ひがいを受うけつつも、佗美浩ひろし率ひきいる陸軍りくぐん部隊ぶたいの迅速じんそくな飛行場ひこうじょう占領せんりょうにより成功せいこう裡うらに終おわった。続つづいてイギリス2戦艦せんかんの出撃しゅつげきを迎むかえ、小沢おざわは夜戦やせんによる攻撃こうげきを企図きとしたが、第だい二に艦隊かんたいは中止ちゅうしと北上ほくじょうを命めいじている。白石しらいしはその理由りゆうについてイギリス海軍かいぐんがレーダーを装備そうびしている情報じょうほうがあり、夜間やかんに視界しかい不良ふりょう（スコールがあった）の中なかでの戦闘せんとうは不利ふりと判断はんだんしたと述のべ、また第だい二に艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかん・近藤こんどう信しん竹ちくは、南みなみ遣や艦隊かんたいが自分じぶんの指揮しき下かで夜戦やせんの訓練くんれんを行おこなったことがなかったと述のべている。第だい二に艦隊かんたい首脳しゅのうは、夜明よあけに航空こうくう攻撃こうげきを実施じっしし、その後ごの艦隊かんたい戦闘せんとうを予期よきしていたのである。いまだ運動うんどう中ちゅうの戦艦せんかんを航空機こうくうきによって撃沈げきちんした前例ぜんれいは無なく、またこの戦闘せんとうに敗やぶれればマレまれー半島はんとうに上陸じょうりくした山下やました奉文ともゆき率ひきいる陸軍りくぐん部隊ぶたいは敵てき中ちゅうに孤立こりつするのである。重じゅう巡じゅん主体しゅたいの第だい二に艦隊かんたいは重大じゅうだい決意けついをもってイギリス2戦艦せんかんとの対決たいけつに臨のぞんだのである。しかしイギリス艦隊かんたいは南下なんかしたため会かい敵てきすることはなく、のちに一式いっしき陸りく攻おさむを主体しゅたいとする航空こうくう部隊ぶたいによって撃沈げきちんされた（マレー沖おき海戦かいせん）。

ガダルカナル島とうに赴おもむく砲撃ほうげき部隊ぶたい。手前てまえから第だい二に艦隊かんたい旗艦きかん「愛宕あたご」、「高雄たかお」。最後さいご方かたの「霧島きりしま」は白石しらいしが艦長かんちょうを務つとめた艦かんであった。（1942年ねん11月14日にち、「愛宕あたご」艦上かんじょうから撮影さつえい）

こののち第だい二に艦隊かんたいは、ミッドウェー島とう攻略こうりゃく部隊ぶたいとしてミッドウェー海戦かいせんに、第だい三さん艦隊かんたいの前衛ぜんえい部隊ぶたいとして第だい二に次じソロモン海戦かいせん、南太平洋みなみたいへいよう海戦かいせんを、またガダルカナル島とう砲撃ほうげきに向むかい、連合れんごう国こく海軍かいぐんと第だい三さん次じソロモン海戦かいせんを戦たたかった。この間あいだ白石しろいしは近藤こんどうを補佐ほさして歴戦れきせんの日々ひびを送おくり、1943年ねん（昭和しょうわ18年ねん）7月がつまで参謀さんぼう長ちょうの任にんにあった。海軍かいぐん大だい学校がっこう教頭きょうとうとして陸上りくじょう勤務きんむに就つくものの戦局せんきょくは悪化あっかの度たびを加くわえ、翌年よくねん3月がつには第だい七なな戦隊せんたい司令しれい官かんに任にんじられる。この部隊ぶたいは｢熊野くまの｣、 ｢鈴谷すずや｣、｢利根とね｣、｢筑摩ちくま｣から成なり、かつては帝国ていこく海軍かいぐんの花形はながたと謳うたわれた高速こうそく重じゅう巡じゅん部隊ぶたいである。白石しらいしはマリアナ沖おき海戦かいせんに参戦さんせん後ごに中将ちゅうじょうへ進級しんきゅうし、続つづいてレイテ沖おき海戦かいせんを迎むかえる。

レイテ沖おき海戦かいせん

空母くうぼ航空こうくう兵力へいりょくを失うしなった日本にっぽん海軍かいぐんは、残のこされた海上かいじょう兵力へいりょくの大部たいぶを投入とうにゅうしたレイテ湾わん突入とつにゅう作戦さくせんを企図きとし、第だい二に艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかん・栗田くりた健男たけおを指揮しき官かんとして実行じっこうに移うつす。白石しらいし率ひきいる第だい七なな戦隊せんたいは、鈴木すずき義よし尾おを指揮しき官かんとする第だい一いち遊ゆう撃げき部隊ぶたいの第だい二に部隊ぶたいとして出撃しゅつげきした。1944年ねん（昭和しょうわ19年ねん）10月がつ25日にち、日本にっぽん海軍かいぐん部隊ぶたいはサマール島とう沖合おきあいでアメリカ海軍かいぐん護衛ごえい空母くうぼ部隊ぶたいと遭遇そうぐうする。双方そうほうとも予期よきせぬ事態じたいであったが、栗田くりたは橋本はしもと信太郎しんたろう率ひきいる第だい五ご戦隊せんたいの重じゅう巡洋艦じゅんようかん2隻せき、そして白石しろいしの第だい七なな戦隊せんたいに突撃とつげきを命めいじた。重じゅう巡じゅん6隻せきは全ぜん軍ぐんの最さい先頭せんとうに立たってアメリカ空母くうぼ部隊ぶたいに進撃しんげきした。しかし白石しろいしの座乗ざじょうしていた「熊野くまの」は艦かん首くびにアメリカ駆逐くちく艦かんの魚雷ぎょらいを受うけ高速こうそく発揮はっきが不能ふのうとなり、白石しらいしは旗艦きかんを「鈴谷すずや」へ移うつす。すでにアメリカ空母くうぼの艦載かんさい機きによる攻撃こうげきが始はじまっている中なかでの短艇たんていによる移動いどうであった。しかし「鈴谷すずや」もすでに航空こうくう攻撃こうげきにより損傷そんしょうを受うけており、白石しらいしは攻撃こうげきに向むかうことは出来できず、航空こうくう攻撃こうげきを受うけ続つづけた。麾下きかの「筑摩ちくま」、「利根りこん」は攻撃こうげきに向むかい、空母くうぼ「ガンビア・ベイ」撃沈げきちんに貢献こうけんしたが、「筑摩ちくま」は撃沈げきちんされた。「利根りこん」は「羽黒はぐろ」とともに護衛ごえい空母くうぼ群ぐんを追おい詰つめつつあったが、第だい二に艦隊かんたい司令しれい部ぶの集合しゅうごう命令めいれいにより攻撃こうげきは終了しゅうりょうした。白石しらいしは健在けんざいであった「利根りこん」に移乗いじょうしたが、迎むかえた艦長かんちょうはかつての副長ふくちょう・黛まゆずみ治夫はるおであった。「鈴谷すずや」 は沈没ちんぼつ、「熊野くまの」はマニラへたどり着ついたが11月25日にちに撃沈げきちんされ、第だい七なな戦隊せんたいは「利根りこん」のみが日本にっぽんへ帰還きかんした。

その後ごの白石しろいしは運輸うんゆ通信つうしん省しょう船員せんいん局長きょくちょうを経へて、大本営だいほんえい海軍かいぐん部ぶ附ふとして終戦しゅうせんを迎むかえた。

第だい七なな戦隊せんたい

• 
  熊野くまの（艦長かんちょう人見ひとみ錚一郎いちろう）
• 
  鈴谷すずや（艦長かんちょう寺岡てらおか正雄まさお）
• 
  利根とね（艦長かんちょう黛まゆずみ治夫はるお）
• 
  筑摩ちくま（艦長かんちょう則のり満まん宰おさむ次じ）

参考さんこう文献ぶんけん

• アジア歴史れきし資料しりょうセンター「実験じっけん研究けんきゅう 1(2)」(Ref:C08051162700)
• 宇垣うがき纏まとい 『戦せん藻も録ろく』（第だい7版はん）原はら書房しょぼう、1977年ねん。
• 大西おおにし新蔵しんくら『海軍かいぐん生活せいかつ放談ほうだん』原はら書房しょぼう、1979年ねん。 
• 海軍かいぐん歴史れきし保存ほぞん会かい 『日本にっぽん海軍かいぐん史し』(第だい9巻かん) 第一法規出版だいいちほうきしゅっぱん
• 草くさ鹿しか龍之介りゅうのすけ『連合れんごう艦隊かんたい参謀さんぼう長ちょうの回想かいそう』光和こうわ堂どう、1981年ねん。ISBN 4-87538-039-9。 
• 小柳こやなぎ富次とみじ『栗田くりた艦隊かんたい』1995年ねん。ISBN 4-7698-2095-X。 
• 佐藤さとう和正かずまさ『艦長かんちょうたちの太平洋戦争たいへいようせんそう』光人みつひと社しゃNF文庫ぶんこ、2010年ねん。ISBN 978-4-7698-2009-3。 
• 外山とやま操みさお編へん『陸海りくかい軍ぐん将官しょうかん人事じんじ総覧そうらん 海軍かいぐん篇へん』芙蓉ふよう書房しょぼう出版しゅっぱん、1981年ねん。ISBN 4-8295-0003-4。 
• 外山とやま操みさお『艦長かんちょうたちの軍艦ぐんかん史し』光人みつひと社しゃ、2005年ねん。ISBN 4-7698-1246-9。 
• 佗美浩ひろし『コタバル敵前てきぜん上陸じょうりく』プレス東京とうきょう、1969年ねん。 
• 中島なかじま親ちかし孝こう『聯合れんごう艦隊かんたい作戦さくせん室しつから見みた太平洋戦争たいへいようせんそう』光人みつひと社しゃNF文庫ぶんこ、1997年ねん。ISBN 4-7698-2175-1。 
• 秦はた郁いく彦編へん 『日本にっぽん陸海りくかい軍ぐん総合そうごう事典じてん』東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱん会かい
• 吉田よしだ俊雄としお『四よん人にんの連合れんごう艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかん』文春ぶんしゅん文庫ぶんこ、1995年ねん。ISBN 4-16-736001-2。 
• 明治めいじ百ひゃく年ねん史し叢書そうしょ第だい74巻かん 『海軍兵学校かいぐんへいがっこう沿革えんかく』原はら書房しょぼう
• 『太平洋戦争たいへいようせんそう名将めいしょう勇将ゆうしょう総覧そうらん』1996年ねん、秋田あきた書店しょてん