中村なかむら幸彦さちひこ

中村なかむら 幸彦さちひこ

人物じんぶつ情報じょうほう
生誕せいたん	(1911-07-15) 1911年ねん7月がつ15日にち 日本にっぽん 兵庫ひょうご県けん
死没しぼつ	(1998-05-07) 1998年ねん5月7日にち（86歳さい没ぼつ）
出身しゅっしん校こう	京都きょうと帝国ていこく大学だいがく
学問がくもん
研究けんきゅう分野ぶんや	日本にっぽん近世きんせい文学ぶんがく
研究けんきゅう機関きかん	天理大学てんりだいがく 九州大学きゅうしゅうだいがく
博士はかせ課程かてい指導しどう教員きょういん	暉あきら峻たかし康隆やすたか 谷脇たにわき理り史し 神保じんぼ五ご弥わたる
博士はかせ課程かてい指導しどう学生がくせい	潁原退蔵たいぞう
主おもな指導しどう学生がくせい	中野なかの三さん敏さとし
学位がくい	文学ぶんがく博士はかせ
主おもな業績ぎょうせき	『戯作げさく論ろん』 『中村なかむら幸彦さちひこ著述ちょじゅつ集しゅう』全ぜん15巻かん
学会がっかい	日本にっぽん近世きんせい文学ぶんがく会かい
主おもな受賞じゅしょう歴れき	第だい32回かい読売よみうり文学ぶんがく賞しょう 朝日あさひ賞しょう 大阪おおさか文化ぶんか賞しょう

中村なかむら 幸彦さちひこ（なかむら ゆきひこ、1911年ねん7月がつ15日にち - 1998年ねん5月7日にち）は、日本にっぽんの近世きんせい文学ぶんがく研究けんきゅう者しゃ。博士はかせ（京都大学きょうとだいがく・1962年ねん）（学位がくい論文ろんぶん『戯作げさく論ろん』）。

来歴らいれき

兵庫ひょうご県けん津名つな郡ぐん由良ゆら町まち（現げん：洲本すもと市し由良ゆら3丁目ちょうめ）に父ちち・中村なかむら安やすし郎ろう、母はは・しげの次男じなんとして生うまれる。旧制きゅうせい洲本すもと中学校ちゅうがっこう、1935年ねん、京都きょうと帝国ていこく大学だいがく文学部ぶんがくぶ国文こくぶん科か卒業そつぎょう。1940年ねん、天理てんり図書館としょかん司書ししょとなり、京都きょうと帝国ていこく大学だいがく大学院だいがくいんを退学たいがく。1949年ねん、天理大学てんりだいがく教授きょうじゅ、1958年ねん、九州大学きゅうしゅうだいがく文学部ぶんがくぶ教授きょうじゅとなる。1962年ねん『戯作げさく論ろん』で京都大学きょうとだいがくの博士はかせ号ごうを取得しゅとく。1971年ねん、九州大学きゅうしゅうだいがくを退職たいしょく、関西大学かんさいだいがく教授きょうじゅに就任しゅうにん。

1981年ねん、『此ほとり一いち夜や四よん歌仙かせん評釈ひょうしゃく』で第だい32回かい読売よみうり文学ぶんがく賞しょう受賞じゅしょう。1982年ねんから『中村なかむら幸彦さちひこ著述ちょじゅつ集しゅう』の刊行かんこう開始かいし（1989年ねん7月がつまで）。1987年ねん、朝日あさひ賞しょうと大阪おおさか文化ぶんか賞しょうを受賞じゅしょう。中村なかむら本人ほんにんは様々さまざまな栄誉えいよ受賞じゅしょうを固辞こじしていたという。

1998年ねん5月がつ7日にち、87歳さいで死去しきょ。没後ぼつご、所蔵しょぞう資料しりょうは関西大学かんさいだいがく図書館としょかんに譲渡ゆずりわたされ、「中村なかむら幸彦さちひこ文庫ぶんこ」と名付なづけられた。

人物じんぶつ

• 厳密げんみつな実証じっしょう的てき研究けんきゅうにより、近世きんせい文学ぶんがく研究けんきゅうに多大ただいな貢献こうけんをした。
• 代表だいひょう作さく『戯作げさく論ろん』は、近世きんせい戯作げさくを詳細しょうさいに検討けんとう、一般いっぱんには風刺ふうし文学ぶんがくなどと言いわれるが、うがち、ちゃかし等とうが本領ほんりょうであり、風刺ふうしの名なには値あたいしないと述のべた。
• 自みずからの研究けんきゅう対象たいしょうに近代きんだい的てきな幻想げんそうを投影とうえいしない著述ちょじゅつ姿勢しせいは他たに冠絶かんぜつしており、論文ろんぶんは数多かずおおかったが『近世きんせい文藝ぶんげい思潮しちょう攷』に収録しゅうろくされた以外いがいでは、『中村なかむら幸彦さちひこ著述ちょじゅつ集しゅう』（全ぜん15巻かん）が出だされるまで、大学だいがく紀要きようなどで探さがすしかなかった。
• 門下生もんかせいの近世きんせい文学ぶんがく者しゃには中野なかの三さん敏さとしがおり、『本ほん道楽どうらく』（講談社こうだんしゃ）で回想かいそうしている。

著作ちょさく

• 『仁斎じんさい日記にっき抄しょう』生活せいかつ社しゃ 1946
• 『近世きんせい作家さっか研究けんきゅう』三さん一いち書房しょぼう 1961
• 『近世きんせい小説しょうせつ史しの研究けんきゅう』桜さくら楓かえで社しゃ出版しゅっぱん 1961
• 『戯作げさく論ろん』角川書店かどかわしょてん 1966
• 『近世きんせい文芸ぶんげい思潮しちょう攷』岩波書店いわなみしょてん 1975
• 『此ほとり一いち夜や四よん歌仙かせん評釈ひょうしゃく』角川書店かどかわしょてん 1980
• 『俳諧はいかい百ひゃく韻いん評釈ひょうしゃく--宗因そういん独吟どくぎん』富士見書房ふじみしょぼう 1989

著作ちょさく集しゅう

• 『中村なかむら幸彦さちひこ著述ちょじゅつ集しゅう』（全ぜん15巻かん） 中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ 1984-1989

1. 近世きんせい文芸ぶんげい思潮しちょう論ろん
2. 近世きんせい的てき表現ひょうげん
3. 近世きんせい文芸ぶんげい〔ヨウ〕稿こう
4. 近世きんせい小説しょうせつ史し
5. 近世きんせい小説しょうせつ様式ようしき史し考こう
6. 近世きんせい作家さっか作品さくひん論ろん
7. 近世きんせい比較ひかく文学ぶんがく攷
8. 戯作げさく論ろん
9. 俳諧はいかい瑣説
10. 舌した耕こう文学ぶんがく談だん
11. 漢学かんがく者しゃ記事きじ
12. 国学こくがく者しゃ紀きの譚たん
13. 近きん世世せぜ語ご
14. 書誌しょし聚談
15. 菜さい色しょく子こ雑筆ざっぴつ

校こう注ちゅう・編著へんちょほか

• 十返舎一九じっぺんしゃいっく『東海道とうかいどう中ちゅう膝栗毛ひざくりげ』小学館しょうがくかん日本にっぽん古典こてん文学ぶんがく全集ぜんしゅう、1974
• 松浦まつうら静しず山さん『甲子きのえね夜話やわ』（全ぜん20巻かん） 中野なかの三さん敏さとしと共編きょうへん、平凡社へいぼんしゃ東洋文庫とうようぶんこ 1977-1983
• 『随筆ずいひつ百ひゃく花はな苑えん』（全ぜん15巻かん）中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ 1979-1984 森もり銑三せんぞう・野間のま光ひかり辰たつ・朝倉あさくら治彦はるひこと編集へんしゅう委員いいん
• 『角川かどかわ古語こご大だい辞典じてん』（全ぜん5巻かん）阪ばん倉くら篤あつし義よし・岡見おかみ正雄まさおとの共編きょうへん、角川書店かどかわしょてん 1982-1999
• 岩波書店いわなみしょてん『新しん日本にっぽん古典こてん文学ぶんがく大系たいけい』『日本にっぽん思想しそう大系たいけい』- 多数たすうの巻まきを校こう注ちゅう担当たんとう。

外部がいぶリンク

• 紙谷かみたに栄治えいじ「中村なかむら幸彦さちひこ先生せんせい略りゃく年譜ねんぷ」『國文學こくぶんがく』第だい68号ごう、関西大学かんさいだいがく国文こくぶん学会がっかい、1991年ねん12月、121-136頁ぺーじ、ISSN 0389-8628、NAID 120005686249。