伊賀いが兼光かねみつ

凡例はんれい 伊賀いが兼光かねみつ
時代じだい	鎌倉かまくら時代ときよ後期こうき - 南北なんぼく朝あさ時代じだい
生誕せいたん	不明ふめい
死没しぼつ	不明ふめい
別名べつめい	山城やましろ兼光かねみつ
官位かんい	図書としょ頭あたま兼けん土佐とさ守まもる、大蔵おおくら少しょう輔
幕府ばくふ	鎌倉かまくら幕府ばくふ
主君しゅくん	北条ほうじょう氏し、後醍醐天皇ごだいごてんのう
氏族しぞく	伊賀いが氏し
父母ちちはは	伊賀いが光政みつまさ

伊賀いが 兼光かねみつ（いが かねみつ）は、鎌倉かまくら時代ときよ後期こうきから南北なんぼく朝あさ時代じだいにかけての御家人ごけにん、実務じつむ官僚かんりょう。六ろく波は羅ら探題たんだい越訴えっそ頭あたま人じんであった山城やましろ守まもる伊賀いが光政みつまさの子こ。父ちちの官かん名めいにちなんで山城やましろ兼光かねみつとも。

生涯しょうがい

伊賀いが氏しは藤原ふじわら北きた家か秀しゅう郷きょう流りゅうと伝つたえられる。鎌倉かまくら時代じだい初期しょきの、伊賀いが守まもる朝光ともみつ以降いこう、伊賀いがを姓せいとしたとされている。以後いご、北条ほうじょう氏しの外戚がいせきとして鎌倉かまくら幕府ばくふの有力ゆうりょく御家人ごけにんであったが伊賀いが氏し事件じけん以後いご勢力せいりょくを弱よわめ、評定ひょうじょう衆しゅ、引付ひきつけ衆しゅなど幕府ばくふの実務じつむ官僚かんりょうとして活躍かつやくした家系かけいである。

兼光かねみつも鎌倉かまくら時代じだい末期まっきに六ろく波は羅ら探題たんだいの引付ひきつけ頭あたま人じん兼けん評定ひょうじょう衆しゅとなっている。この頃ころの所領しょりょうは不明ふめいであるが、歴史れきし学者がくしゃの網野あみの善彦よしひこは、文ぶん永ひさし2年ねん（1265年ねん）11月に兼けん光ひかりの曾祖父そうそふ光ひかり宗むねの跡あと（後継こうけい者しゃ）として、若狭わかさ国こく耳みみ西郷さいごう・日向ひなた浦うらの地頭じとう職しょくを継承けいしょうしたことが確認かくにんされている伊勢いせ前ぜん司つかさ、及および、元げん亨とおる4年ねん（1324年ねん）3月がつの日付ひづけがある大和やまと国こく般若寺はんにゃじの康かん俊しゅん・康成やすなり作さくの文殊もんじゅ菩薩ぼさつ像ぞう墨書ぼくしょ銘めいに見みえる施主せしゅ前ぜん伊勢いせ守まもる藤原ふじわら兼光かねみつを、伊賀いが兼光かねみつと推定すいていしている。この説せつでは、文殊もんじゅ菩薩ぼさつ像ぞう墨書ぼくしょ銘めいに願主がんしゅとして殊こと音おん（文観もんかん）が見みえること、「金輪かなわ聖きよし主しゅ御願ごがん成就じょうじゅ」とあるのは後醍醐天皇ごだいごてんのうによる正中せいちゅうの変へんの成功せいこうを指さしているとして、兼けん光ひかりを建たて武たけしの新政しんせい以前いぜんから後醍醐天皇ごだいごてんのうに内通ないつうしていたと見みている。更さらに後醍醐天皇ごだいごてんのうと楠木くすのき正成まさしげとを仲介ちゅうかいしたとする見解けんかいもある。

建たて武たけしの新政しんせいが始はじまると若狭わかさ守護しゅごと国司こくしを兼任けんにんし、更さらに図書としょ頭あたま兼けん土佐とさ守もり、大蔵おおくら少しょう輔に任にんぜられる。一方いっぽうで雑ざつ訴決断けつだん所しょ（五ご畿内きない担当たんとう）、窪くぼ所しょ、記録きろく所しょ、恩賞おんしょう方かたを兼任けんにんし、新政しんせいの役職やくしょくの中枢ちゅうすうを占しめる幹部かんぶとして活躍かつやくした。これには、官かん司し請負うけおい制せいを打破だはしようと寵臣ちょうしんを使つかった異例いれいの人事じんじを行おこなったとの佐藤さとう進一しんいちの評価ひょうかがある。

しかし新政しんせいは2年ねん半はんで瓦解がかいし、兼けん光ひかりのその後ごの消息しょうそくは不明ふめいとなる。

参考さんこう文献ぶんけん

• 佐藤さとう進一しんいち『日本にっぽんの歴史れきし９　南北なんぼく朝あさの動乱どうらん』中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ、1965年ねん
• 森もり茂しげる暁あかつき『南北なんぼく朝あさ公武こうぶ関係かんけい史しの研究けんきゅう』文献ぶんけん出版しゅっぱん、1984年ねん
• 網野あみの善彦よしひこ『異形いぎょうの王権おうけん』平凡社へいぼんしゃ、1993年ねん、（初版しょはん 1986年ねん）ISBN 4582760104

登場とうじょう作品さくひん

• 『太平たいへい記き』（NHK大河たいがドラマ、1991年ねん）演えんじ：ト字じたかお