共同きょうどう飲食いんしょく

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
共同きょうどう飲食いんしょく

共同きょうどう飲食いんしょく(きょうどういんしょく)とは、広義こうぎでは特定とくてい機会きかい家族かぞく親族しんぞく地域ちいき社会しゃかい職場しょくば趣味しゅみ仲間なかまなどの成員せいいんあつまって、おな飲食いんしょくぶつとも飲食いんしょくする行為こうい共食ともぐい(きょうしょく)・きょういん共食ともぐい(きょういんきょうしょく)とも。

神道しんとうでは、とくおなかみ崇拝すうはいする集団しゅうだん神職しんしょくおよ氏子うじこ)がまつのちなどに神饌しんせん供物くもつ共同きょうどうして飲食いんしょくすること。また、「かみひととも飲食いんしょくすること」をして神人しんじん共食ともぐい(しんじんきょうしょく)とう。

共食ともぐい対比たいひして、一人ひとりでの食事しょくじを「しょく」とぶことがある[1]1990ねんだい日本にっぽんおな家族かぞくがバラバラにべる「しょく」が注目ちゅうもくされるようになり、家族かぞくきずな問題もんだいとされたが、同時どうじに「ランチメイト症候群しょうこうぐん」(まちさわ静夫しずお命名めいめい)や「しょく」も問題もんだいとなってきている。

歴史れきし[編集へんしゅう]

人類じんるい食事しょくじをするさいだれか、とく家族かぞくともべることがおお[2]共食ともぐい家族かぞくからよりおおきな共同きょうどうたいへとひろがり、かぎりある食物しょくもつうために共食ともぐいにおける儀礼ぎれいタブーまれ、テーブルマナー起源きげんとなった[2]

ユダヤきょう共食ともぐい儀礼ぎれい会食かいしょく儀礼ぎれい)がもととなってキリスト教きりすときょう聖餐せいさん儀式ぎしきまれた[3][4]共食ともぐい古代こだいローマの宗教しゅうきょう英語えいごばん儀礼ぎれい重要じゅうよう構成こうせい要素ようそだった[5]古代こだいギリシャスパルタアテネにおいて共食ともぐいへの参加さんか共同きょうどうたい構成こうせいいん義務ぎむとされた[6]

古代こだい日本にっぽんにおいてはじょう中心ちゅうしんとしたじん氏族しぞくである氏神うじがみまつり、おな調理ちょうりした食事しょくじともにすることでかみ氏神うじがみ)とひと氏族しぞく成員せいいん)、ひとひと氏族しぞく成員せいいん同士どうし)の一体化いったいかはかったとされる。中世ちゅうせいにおいてはおな氏神うじがみ産土神うぶすながみ信仰しんこうともにするものみや結成けっせいして、まつりのさい直会なおらい(なおらい)をおこなって飲食いんしょくともにしたり、なま饌(なま状態じょうたい神饌しんせん)を分配ぶんぱいしたりすることで、氏神うじがみ産土神うぶすながみからの加護かご家内かない安全あんぜん健康けんこう長寿ちょうじゅ子孫しそん繁栄はんえいなど)を構成こうせいいんあいだかちった。これは神饌しんせん供物くもつにはかみからあたえられた特別とくべつちから宿やどっているとかんがえられていたことによる。また、武士ぶしだんとう農村のうそんそう仲間なかまない団結だんけつはかるために神饌しんせん神酒みき神水じんずいとも飲食いんしょくすることおこなわれた。一揆いっきさいおこなわれた一味いちみ神水じんずい儀式ぎしきはその派生はせいえる。民俗みんぞくがく分野ぶんやではこうした共同きょうどう飲食いんしょくのち祭祀さいしかいさないひとひととの共同きょうどう飲食いんしょく、すなわち広義こうぎ共同きょうどう飲食いんしょくへと発展はってんして「一宿一飯いっしゅくいっぱん」「おながまめし」などの概念がいねんしたとほぐされてきた(「共食ともぐい進化しんかろん」)が、狭義きょうぎ共同きょうどう飲食いんしょく神人しんじん共食ともぐい)が広義こうぎ共同きょうどう飲食いんしょくへと発展はってんしたとする歴史れきしてき裏付うらづけは存在そんざいしないという批判ひはんがあり、この仮説かせつわるせつとして神人しんじん共食ともぐい代表だいひょうされる宗教しゅうきょうてき性格せいかく共同きょうどう飲食いんしょく宗教しゅうきょうてき共食ともぐい)とそうした性格せいかくたない社会しゃかいてき共食ともぐい併存へいそんしていたとするかんがえもされている[7]

動物どうぶつ行動こうどうとの比較ひかく[編集へんしゅう]

文化ぶんか人類じんるいがくでは動物どうぶつ人間にんげん区別くべつするのが共食ともぐいとされることがある。たとえばニワトリには「ペッキング・オーダー英語えいごばん」というべる順位じゅんいまっているし、シマウマなど草食そうしょく動物どうぶつ同時どうじべていても共食ともぐいではない。てき警戒けいかいしながら、おな時間じかんべているだけで、おな食事しょくじっているのではない。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ みんなとたのしくべること:農林水産省のうりんすいさんしょう 2016ねん11月2にち 0:03:34更新こうしん
  2. ^ a b 木佐きさ哲朗てつろう 文化ぶんかてき卓越たくえつ食物しょくもつ料理りょうり共食ともぐい文化ぶんか 県立新潟女子短期大学けんりつにいがたじょしたんきだいがく研究けんきゅう紀要きよう 45, 261-272, 2008
  3. ^ とい けい パンとワインが意味いみするもの : キリスト教きりすときょう共食ともぐい儀礼ぎれいとしての聖餐せいさん 時計とけいだい (83), 24-29, 2013-04-01
  4. ^ 挽地 茂男しげお マルコ「パンの物語ものがたりしゅう再考さいこう 駒沢大学こまざわだいがく仏教ぶっきょう学部がくぶ研究けんきゅう紀要きよう (63), 228-195, 2005-03
  5. ^ Marleen Martens 13. Communal Dining: Making Things Happen, A Companion to the Archaeology of Religion in the Ancient World
  6. ^ 新村しんむら 洋史ひろし 共食ともぐい文化ぶんか人間にんげんらしさの形成けいせい KGK ジャーナル Vol.42-1 p.1
  7. ^ 渡邊わたなべ欣一きんいち共食ともぐい」『日本にっぽん民俗みんぞくだい辞典じてん じょう

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん人物じんぶつ[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]