北条ほうじょう泰やすし家か

凡例はんれい 北条ほうじょう泰やすし家か
時代じだい	鎌倉かまくら時代ときよ末期まっき - 南北なんぼく朝あさ時代じだい初期しょき
生誕せいたん	不ふ詳しょう
死没しぼつ	建たて武たけし2年ねん（1335年ねん）頃ごろ?
改名かいめい	時どき利り（初はつ名な）→時とき興きょう→泰たい家か
別名べつめい	相模さがみ四郎しろう、大夫たいふ四よん郎ろう
官位かんい	従したがえ五ご位い下した、左近さこん将監しょうげん
幕府ばくふ	鎌倉かまくら幕府ばくふ
主君しゅくん	守まもり邦くに親王しんのう
氏族しぞく	北条ほうじょう氏し（得とく宗むね）
父母ちちはは	父ちち：北条ほうじょう貞時さだとき、母はは：覚さとし海うみ円えん成なり（安達あだち泰やすし宗むねの娘むすめ）
兄弟きょうだい	覚さとし久ひさ、菊きく寿ことぶき丸まる、高たか時とき、泰たい家か、崇たかし暁あかつき、金きむ寿ひさし丸まる、千代ちよ寿ひさし丸まる、他た女子じょし
子こ	兼けん寿ことぶき丸まる、菊きく寿ことぶき丸まる、金きむ寿ひさし丸まる、千代ちよ寿ひさし丸まる

北条ほうじょう 泰やすし家か（ほうじょう やすいえ）は鎌倉かまくら時代ときよ末期まっきから南北なんぼく朝あさ時代じだいにかけての北条ほうじょう氏しの一族いちぞく。鎌倉かまくら幕府ばくふの第だい9代だい執権しっけん・北条ほうじょう貞時さだときの四よん男なん。14代だい執権しっけん・北条ほうじょう高だか時じの同母どうぼ弟おとうとに当あたる。

生涯しょうがい

はじめ、相模さがみ四よん郎ろう時じ利りと号ごうした。正中せいちゅう3年ねん（1326年ねん）、兄あにの高こう時じが病やまいによって執権しっけん職しょくを退しりぞいたとき、母はは大方おおかた殿どの（覚さとし海うみ円えん成なり）と外戚がいせきの安達あだち氏し一族いちぞくは泰たい家かを後継こうけい者しゃとして推おすが、内うち管領かんりょう長崎ながさき高だか資しの反対はんたいにあって実現じつげんしなかった。結果けっか、高こう資しの推挙すいきょで金沢かなざわ流りゅうの金沢かなざわ貞さだ顕あきらが15代だい執権しっけんとなるが、泰たい家かはこれを恥辱ちじょくとして出家しゅっけ、多おおくの人々ひとびとが泰たい家かと同調どうちょうして出家しゅっけした。憤いきどおった泰たい家かが貞さだ顕あらわを殺ころそうとしているという風聞ふうぶんが流ながれ、貞さだ顕あらわは出家しゅっけしてわずか10日とおかで執権しっけん職しょくを辞任じにん、後任こうにんは北条ほうじょう守時もりときとなり、これが最後さいごの北条ほうじょう氏し執権しっけんとなった（嘉よしみ暦れきの騒動そうどう）。正せい慶けい2年ねん/元弘もとひろ3年ねん（1333年ねん）、幕府ばくふに反旗はんきを翻ひるがえした新田にった義貞よしさだが軍勢ぐんぜいを率ひきいて鎌倉かまくらに侵攻しんこうしてきたとき、幕府ばくふ軍ぐん15万まんを率ひきいて、北条ほうじょう氏し庶流で副将ふくしょうの桜田さくらだ貞さだ国こくとともに分倍河原ぶばいがわらにてこれを迎撃げいげき、一時いちじは勝利しょうりを収おさめたが、その勝利しょうりに油断ゆだんして新田しんでん軍ぐんに大敗たいはいを喫きっし、家臣かしんの横溝よこみぞ八郎はちろうなどの奮戦ふんせんにより鎌倉かまくらに生還せいかん。幕府ばくふ滅亡めつぼう時じには兄あにの高たか時ときと行動こうどうを共ともにせず、兄あにの遺児いじである北条ほうじょう時じ行ぎょうを逃にがした後のち、自身じしんも陸奥みちのく国こくへと落おち延のびている。陸奥みちのく国こくの糠ぬか部ぶ郡ぐんには北条ほうじょうの所領しょりょうがあったためである。この際さい、案内あんない者しゃの南部なんぶ太郎たろうと伊達だて六郎ろくろうは、人夫にんぷに姿すがたを変かえ、泰たい家かを粗末そまつな輿こしに寝ねかせ、負傷ふしょうした新田にったの兵へいが本国ほんごくの上野うえの国こくへ帰かえる様ようを装よそおい北方ほっぽうへ逃にげた。

その後ご、京都きょうとに上洛じょうらくして旧知きゅうちの仲なかにあった西園寺さいおんじ公こう宗むねの屋敷やしきに潜伏せんぷくし、建たて武たけし2年ねん（1335年ねん）6月がつに公おおやけ宗むねと共ともに後醍醐天皇ごだいごてんのう暗殺あんさつを企たくらむも、事前じぜんに計画けいかくが露見ろけんして公おおやけ宗むねは殺害さつがいされた。ただし、泰たい家かは追手おっての追跡ついせきから逃のがれて各地かくちの北条ほうじょう氏し残党ざんとうに蜂起ほうきを促うながし、これに呼応こおうした信濃しなのの北条ほうじょう時じ行ぎょう・諏訪すわ頼よりゆき重じゅうが挙兵きょへいして鎌倉かまくら将軍しょうぐん府ふを陥落かんらくさせた（中ちゅう先代せんだいの乱らん）。

『市河いちかわ家か文書ぶんしょ』によれば建たて武たけし3年ねん2月がつ、南朝なんちょうに呼応こおうした北条ほうじょう氏しである「丹波たんば右近うこん大夫たいふ」や地元じもとの凶徒きょうとの「深志ふかし介かい知ち光こう」とともに信濃しなの国こく麻績おみ御厨みくりやで挙兵きょへいし、北きた朝方あさがたの守護しゅご小笠原おがさわら貞宗さだむね、村上むらかみ信しん貞さだらと交戦こうせんしたとされるが、その後ごの消息しょうそくは不明ふめい。一説いっせつには建たて武たけし2年ねん末まつに野の盗とうによって殺害さつがいされたとも言いわれているが、『太平たいへい記き』においても建たて武たけし2年ねんの記述きじゅつを最後さいごに登場とうじょうすることが無ないので、恐おそらくはこの前後ぜんごに死去しきょしたものと思おもわれる。

関連かんれん作品さくひん

小説しょうせつ

• 田中たなか弘孝ひろたか『北条ほうじょう泰やすし家か 鎌倉かまくら幕府ばくふの再興さいこう』（文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう社しゃ、2012年ねん）

テレビドラマ

• 太平たいへい記き（1991年ねん、NHK大河たいがドラマ　演えんじ：緑川みどりかわ誠まこと）

参考さんこう文献ぶんけん

• 北条ほうじょう氏し系譜けいふ人名じんめい辞典じてん（新人物往来社しんじんぶつおうらいしゃ）

関連かんれん項目こうもく

• 分倍河原ぶばいがわらの戦たたかい
• 関戸せきとの戦たたかい