吉よし栄さかえ

吉よし栄さかえ（きちえい、生なま没年ぼつねん不ふ詳しょう）は、江戸えど時代じだい末期まっき（幕末ばくまつ）の女性じょせい。名なはお栄さかえとも。新選しんせん組ぐみ幹部かんぶ永倉ながくら新八しんぱちが記しるした『浪士ろうし文久ぶんきゅう報国ほうこく記事きじ』『新選しんせん組ぐみ顛末てんまつ記き』や小説しょうせつ家かの子母澤しもざわ寛ひろしが八木やぎ為三郎ためさぶろう（新選しんせん組ぐみが屯所とんしょとしていた八木はちぼく家かの子息しそく）からのきき『新選しんせん組ぐみ始末しまつ記き』『新選しんせん組ぐみ遺のこ聞』に登場とうじょうする。

生涯しょうがい

京都きょうと島原しまばらの置屋おきや「桔梗ききょう屋や」の天神てんじん（芸妓げいぎ）で、水戸みと派は（芹沢鴨せりざわかも派は）の新選しんせん組ぐみ副ふく長助ちょうすけ勤つとむ・平山ひらやま五郎ごろうの馴染なじみだった。八木やぎ為三郎ためさぶろうの証言しょうげんによると22から23歳さいぐらいで、可愛かわいい女性じょせいだった。

文久ぶんきゅう3年ねん（1863年ねん）9月がつ16日にち（18日にちとも）の日暮ひぐれ過すぎに吉よし栄さかえは平山ひらやまを訪たずねて八木はちぼく家かへやってきた。芹沢鴨せりざわかもや平山ひらやまが留守るすだったために、吉よし栄さかえは芹沢せりざわの愛人あいじんのお梅うめや八木はちぼく家かの女中じょちゅうとお勝手かってで遊あそんで暇ひまを潰つぶしていた。吉栄よしえいが来くる前まえに輪わ違たがえ屋やの糸いと里さとも八木はちぼく家かに来きて平間ひらま重助しげすけを待まっていた。夜よるになって芹沢せりざわ、平山ひらやま、平間ひらまが帰かえってきて、芹沢せりざわはお梅うめと平山ひらやまは吉よし栄さかえと奥おくの十じゅう畳じょう間あいだを屏風びょうぶで仕切しきって同衾どうきんし、平間ひらまと糸いと里さとは別室べっしつで寝ねた。

芹沢せりざわと平山ひらやまが寝入ねいったころ、吉よし栄さかえは小用しょうようをたすため便所べんじょへ行いった。すると、数すう人にんの男おとこたちが寝室しんしつへ押おし入いり、芹沢せりざわ・平山ひらやま・お梅うめを殺害さつがいして立たち去さった。刺客しかくは芹沢せりざわの水戸みと派はと対立たいりつしていた近藤こんどう勇いさむの試ためし衛まもる館かん派は（土方ひじかた歳三としぞう、山南さんなん敬助けいすけ、沖田おきた総司そうし、原田はらだ左ひだり之の助すけという説せつが有力ゆうりょく）。便所べんじょにいた吉栄よしえは危あやうく難なんを逃のがれており、吉よし栄さかえと馴染なじみだった原田はらだが便所べんじょに逃にがしてやったともいう。

吉栄よしえいのその後ごは桔梗ききょう屋やが昭和しょうわに入はいって廃業はいぎょうしており、史料しりょうもなく不明ふめいである。

関連かんれん項目こうもく

• 平山ひらやま五郎ごろう